BtoBマーケティングプロセスとは何か
BtoBマーケティングプロセスとは、企業間取引において見込み客の獲得から育成・選別・商談・受注までを一連の仕組みとして設計し、継続的に回し続ける活動のことです。
BtoBマーケティングを始めたものの、どのプロセスをどの順番で設計すればよいかが定まらないまま、施策だけが積み上がっていく状態は珍しくありません。問題の多くは、施策を個別に実行していても、プロセス全体が機能する仕組みとして設計されていないことにあります。
本記事では、BtoBマーケティングプロセスの定義とBtoCとの違いを整理したうえで、KGI設計からSLA連携・効果測定までの全体の流れを、100社以上の支援実績をもとに8ステップで解説します。各フェーズから次のフェーズへ進む判断条件もあわせて整理します。
BtoCとの本質的な3つの違い
BtoBとBtoCでは、購買に至るまでのプロセスにいくつかの違いがあります。特に押さえておきたいのが、「意思決定に関わる人」「検討期間」「購買目的」の3つです。
1つ目は、意思決定に関わる人の数です。
BtoCでは、商品を購入する本人が比較・検討し、そのまま購入を決めるケースも多くあります。一方、BtoBでは、情報収集をする担当者だけでなく、実際に利用する部門や上長、決裁者など、複数の人が意思決定に関わることがあります。
そのため、最初に接点を持った担当者だけではなく、その先にいる関係者が何を基準に判断するのかまで考えて情報を用意する必要があります。
2つ目は、検討期間です。
BtoBでは、情報収集や比較検討に加えて、社内での合意形成や稟議、決裁などのプロセスが必要になることがあります。そのため、商材や契約金額によっては、最初の接点から契約まで数か月以上かかることも珍しくありません。
短期間で購入を促すだけではなく、検討状況に応じて継続的に情報を届けていくことも考える必要があります。
3つ目は、購買目的です。
BtoCでは、必要性だけでなく個人の好みや感情も購買判断に影響します。一方、BtoBでは、「業務上の課題を解決できるか」「費用に見合った効果が期待できるか」「社内で導入理由を説明できるか」といった観点も判断材料になります。
もちろん、BtoBでも担当者の印象や信頼感といった要素は無視できません。ただ、複数の関係者による合意形成が必要になるほど、導入効果や費用対効果、他社事例など、社内で判断するための情報も求められるようになります。
こうした違いは、BtoBの購買行動に関する調査でも指摘されています。複雑なBtoB購買では複数の関係者が意思決定に関わることがあり、検討にも一定の期間を要します。
もちろん、すべてのBtoB商材が同じではありません。少額のサービスであれば短期間かつ少人数で決まることもありますし、契約金額が大きく、複数部門に影響する商材では、検討期間が長くなり、関係者も増えることがあります。
そのため、BtoCで成果が出た手法をそのままBtoBに当てはめるのではなく、「誰が意思決定に関わるのか」「どのくらいの期間をかけて検討するのか」「それぞれの関係者が何を判断材料とするのか」を踏まえて設計することがポイントです。
| 比較項目 | BtoB | BtoC |
|---|---|---|
| 意思決定者の数 | 複数人(担当者・上長・役員) | 主に1名 |
| 検討期間 | 数週間〜数ヶ月(大型案件は1年超) | 数分〜数日 |
| 購買目的 | 課題解決・業務改善 | 欲求・体験・感情 |
| 購買金額 | 高額(年間契約が多い) | 比較的少額 |
弊社が支援した株式会社ブリューアス様では、BtoCで実績のあったマーケティング手法をそのままBtoBに転用していたことが課題の中心でした。BtoCとBtoBでは購買プロセスの構造が本質的に異なるため、チャネル設計・LP構成・メール配信のすべてを再設計する必要がありました。この違いを早期に認識できるかどうかが、BtoBマーケティング立ち上げの成否を分けます。

プロセス設計が機能しない企業に共通する3つの原因
プロセス設計がうまく機能しにくい企業には、いくつか共通する傾向があります。特に見られやすいのが、次の3つです。
1つ目は、施策ごとに個別で進めていることです。
広告、ウェビナー、コンテンツ、MAなどをそれぞれ実施していても、その後の流れがつながっていなければ、獲得したリードを次の施策へ引き継ぎにくくなります。
2つ目は、営業との接続が十分に設計されていないことです。
マーケティング側で見込み度が高いと判断しても、どの状態になったら営業へ渡すのか、渡した後に誰がどのように対応するのかが決まっていなければ、せっかくのリードが活かされにくくなります。
3つ目は、KPIが活動量に偏っていることです。
リード獲得数やメール配信数だけを見ていると、その施策が商談や受注にどの程度つながったのかを把握しにくくなります。商談化率や受注率まで追えるようにしておくことで、どこを改善すべきかも見えやすくなります。
たとえば、
「広告でリードは獲得できているが、その後の育成シナリオがない」
「MQLの定義を営業とすり合わせていないため、リードを渡しても対応されないことがある」
「リード数は追っているものの、商談化率や受注率までは確認できていない」
といった状態です。
こうした状態では、それぞれの施策が個別には動いていても、リード獲得から商談化までを一連の流れとして捉えにくくなります。
BtoBマーケティングでは、施策を一つずつ実行するだけでなく、「次に何につなげるのか」まで考えて設計することがポイントです。
自社がどの状態に当てはまるのかを先に整理したい場合は、起きやすい7つの課題と解決手順で、原因ごとの考え方を確認できます。
以下では、こうした状態を見直すための8つのステップを順番に解説します。
BtoBマーケティングプロセスの全体像
BtoBマーケティングでは、戦略を立ててリードを獲得するだけでなく、その後の育成や選別、営業への引き渡し、商談・受注の結果を踏まえた改善までを一連の流れとして考えることが大切です。
本記事では、この流れを8つのステップに分けて解説します。
また、8つのステップは大きく「戦略設計」「リードジェネレーション」「ナーチャリング」「クオリフィケーション」「効果測定」の5つのフェーズに整理できます。それぞれを個別に考えるのではなく、前後のフェーズとのつながりまで設計しておくことで、リード獲得から商談・受注までの流れを把握しやすくなります。
Step.1:KGIとKPIの設計
受注数や売上などの最終目標から逆算し、商談数やMQL数、リード数など、マーケティングで追う指標を整理します。
Step.2:ターゲット・ペルソナ・ICPの設定
どのような企業を狙うのかという企業単位の条件と、その企業の中で誰に情報を届けるのかという人物単位の条件を整理します。
Step.3:チャネルの選定
ターゲットの情報収集行動や自社の商材を踏まえ、SEO、広告、ウェビナー、展示会、アウトバウンドなどから取り組むチャネルを検討します。
Step.4:MQL基準の設計
獲得したリードのうち、どのような属性や行動を満たした対象をMQLとするのかを定義します。営業と認識を合わせておくこともポイントです。
Step.5:シナリオ設計とコンテンツマッピング
見込み客の検討状況に応じて、どのタイミングでどのような情報を届けるのかを整理します。あわせて、各段階で必要になるコンテンツも洗い出します。
Step.6:MA(マーケティングオートメーション)による運用の自動化
メール配信やリスト管理、スコアリングなど、あらかじめ決めたルールに沿って実行できる業務をMAで自動化します。
Step.7:リードクオリフィケーションとトスアップ設計
蓄積された属性情報や行動データなどをもとにリードを見極め、どのような条件で営業へ共有するのか、共有後にどのように対応するのかを整理します。
Step.8:効果測定と改善
リード数やMQL数だけでなく、商談化率や受注率なども確認しながら、プロセスのどこに改善余地があるのかを検討します。その結果を、ターゲットやチャネル、MQL基準、シナリオなどの見直しにつなげていきます。
この8つのステップには、リードを獲得する「リードジェネレーション」、継続的な情報提供によって検討を促す「リードナーチャリング」、有望なリードを見極める「リードクオリフィケーション」という、デマンドジェネレーションの3つのプロセスも含まれています。
8つのステップとデマンドジェネレーションの関係をあわせて理解しておくと、自社が現在どの段階にあり、どこを見直すとよいのかを整理しやすくなります。
フェーズ間の移行条件と転換率の目安
フェーズ間の移行条件とは、ある段階にいるリードを、どのような状態になったら次の段階へ進めるのかを判断するための基準です。
ここまで8つのステップを紹介してきましたが、実際にプロセスを設計する際は、それぞれの施策を用意するだけでなく、フェーズとフェーズの間をどのようにつなぐのかも考えておく必要があります。
たとえば、獲得したリードをどの段階でMQLとするのか。MQLのうち、どのような状態になったら営業へ共有するのか。営業が対応したリードを、どの条件で商談として扱うのか。
こうした条件が曖昧なままだと、獲得したリードを一律に営業へ共有してしまったり、マーケティングと営業で「有望なリード」の認識が異なったりすることがあります。また、リード数は増えているのに商談が増えていない場合でも、どのフェーズに改善余地があるのかを把握しにくくなります。
そこで、各フェーズの境目には「次へ進める条件」と「どの程度が次のフェーズへ進んでいるかを確認する転換率」を設定しておくと、プロセス全体の状況を捉えやすくなります。
本記事では、主に4つの境目に分けて考えていきます。
なお、転換率については、業種や商材、単価、ターゲット、リードの獲得経路などによって大きく異なります。そのため、外部のベンチマークは「この数値を達成すべき」という基準ではなく、自社の現在値と比較しながら、どのフェーズを優先して確認するかを考えるための参考値として捉えるとよいでしょう。
| フェーズの移行 | 次へ進める判断条件 | 転換率の目安 |
|---|---|---|
| リード獲得 → MQL | 属性がICPに一致し、行動スコアが閾値を超えている | 4〜5%(水準の高い企業で8〜10%) |
| MQL → 営業が受け入れ | 営業が対象として受け入れ、CRM上で受領を記録した | 65〜70%(同80〜85%) |
| 営業受け入れ → 商談化 | 課題が顕在化し、決裁者の関与と検討時期が確認できた | 45〜50%(同60〜65%) |
| 商談化 → 受注 | 契約条件が合意され、決裁が完了した | 20〜25%(同30〜35%) |
この転換率をもとに計算すると、リード獲得から受注までの転換率は、おおむね0.5〜1%程度になります。
ここで確認したいのは、最終的な受注数だけではなく、どのフェーズで転換率が落ちているのかという点です。たとえば、リードの獲得数を増やしても、MQLから商談への転換率が低ければ、受注数は思うように伸びないかもしれません。
反対に、ボトルネックになっているフェーズの転換率を改善することで、新たなリードの獲得数を大きく増やさなくても、商談や受注の増加につながる場合があります。
そのため、BtoBマーケティングのプロセス設計では、単純に「リードを何件増やすか」だけではなく、「どのフェーズでリードが止まっているのか」「どの転換率を改善すると全体への影響が大きいのか」を見ながら、優先順位を決めていくことがポイントです。
また、フェーズ間の移行条件は、マーケティング部門だけで決めるのではなく、営業と認識を合わせておくことも重要です。
特にMQLから営業へ引き渡す段階では、「どのような属性・行動を満たしたリードを渡すのか」「営業はどの程度の期間で対応するのか」「対応結果をどのようにマーケティングへ戻すのか」といった内容まで決めておくと、運用しやすくなります。
こうして合意した内容をMQLの定義やSLAに落とし込み、実際の商談化率や受注率を見ながら見直していくことで、マーケティングと営業の間で共通の基準を持ちやすくなります。
こうした流れをファネル全体から整理したい場合は、マーケティングファネルの設計手順で、各フェーズの役割や設計方法を解説しています。
8ステップを順番どおりに進めなくてよい場合
ここまで8つのステップを紹介してきましたが、必ずしもStep.1から順番に進める必要はありません。自社の状況によっては、途中のステップから着手した方が設計を進めやすいこともあります。
代表的なのが、次の2つのケースです。
1つ目は、すでに一定数の受注実績がある場合です。
この場合は、ゼロからターゲットやチャネルを考える前に、過去の受注案件を振り返る方法があります。
たとえば、直近の受注案件を10件程度抽出し、「最初にどのチャネルで接点を持ったのか」「どのようなコンテンツに接触したのか」「商談化するまでにどのような行動があったのか」「社内の誰が検討や意思決定に関わったのか」といった情報を整理します。
複数の案件に共通する傾向が見つかれば、優先すべきターゲットやチャネル、MQLの条件を考える材料になります。
近年では、個人のリードだけを見るのではなく、購買に関わる複数の関係者を「バイインググループ」として捉える考え方もあります。BtoBでは複数の関係者が購買に関わることがあるため、受注案件を振り返る際も、一人の担当者の行動だけではなく、企業や案件単位で接点を確認すると、実際の購買プロセスを捉えやすくなります。
2つ目は、事業の立ち上げ期でマーケティングの担当者が1〜2名程度の場合です。
まだ「どのような企業の、誰が、どのような課題を理由に導入するのか」が十分に見えていない段階で、細かなスコアリングや複雑な配信シナリオまで作り込むと、ターゲットや訴求が変わるたびに設定を見直すことになります。
この段階では、最初から大規模な仕組みを作るのではなく、対象企業をある程度絞り、営業と一緒に商談を作りながら仮説を確かめていく方法もあります。
「どのような企業から反応があるのか」「誰が商談に関わるのか」「どのような課題や訴求が商談につながりやすいのか」といった情報が蓄積されてから、確認できた内容をターゲット設定やMQL基準、シナリオ設計へ反映していくイメージです。
いずれの場合も、8つのステップそのものが不要になるわけではありません。Step.1から順番に進めることを目的にするのではなく、すでに得られている受注・商談データや事業の状況に応じて、着手するポイントを変えていくとよいでしょう。
ここからは、まずプロセス全体の土台となる戦略設計について詳細に見ていきます。
Step.1〜Step.2:戦略設計フェーズ
戦略設計フェーズでは、具体的な施策を選ぶ前に、「何を目標とするのか」「誰に届けるのか」を整理します。
ここで押さえておきたいのは、大きく2つです。
1つ目は、KGIを定め、そこから必要なKPIを逆算することです。
2つ目は、企業単位と人物単位の両方からターゲットを具体化することです。
目標やターゲットが曖昧なまま施策を検討すると、「実施しやすい施策から始める」「過去に成果が出た施策をとりあえず試す」といった手段先行になりやすくなります。
先に目標とターゲットを整理しておくことで、どの施策を優先するのか、何を成果として評価するのかを判断しやすくなります。
戦略設計全体の進め方については、戦略立案の5ステップで詳しく解説しています。
Step.1:KGIとKPIの設計(ゴールから逆算する)
KGI(重要目標達成指標)は、事業やマーケティング活動によって最終的に達成したい目標を示す指標です。KPIは、そのKGIに至るまでの各プロセスを評価するための指標として設定します。
BtoBマーケティングでは、受注数や売上などの最終目標から、必要な商談数、MQL数、リード数などを順番に逆算していく方法があります。
たとえば、「年間受注50件」を目標とし、商談から受注への転換率を20%と仮定すると、年間250件の商談が必要です。
さらに、MQLから商談への転換率を30%と仮定すると、年間で約834件のMQLが必要になります。
ここから先も同様に、リードからMQLへの転換率やWebサイトのCV率など、自社の実績値や仮説を置きながら逆算していけば、「必要な受注数を実現するために、どの程度のリードや流入が必要なのか」を整理できます。
重要なのは、この数値そのものではありません。受注というゴールから逆算して、マーケティングの各フェーズで必要な数値をつなげて考えることです。
「リードを増やす」ことだけを目標にすると、獲得件数は伸びていても、商談や受注につながっているのかを判断しにくくなります。
リード数、MQL数、商談数、受注数までを一連の数値として確認できるようにしておくことで、どのフェーズに改善余地があるのかも見つけやすくなります。
KGIから逆算することで施策を選びやすくなる
広告、SEO、ウェビナー、展示会など、BtoBマーケティングにはさまざまな施策があります。
どの施策に予算や人員を配分するかを考える際も、KGIとKPIが一つの判断材料になります。
たとえば、必要なリード数に対して現在の獲得数が不足しているのであれば、新規リードを増やす施策を検討する。リード数は足りているもののMQLへの転換率が低いのであれば、ターゲティングやナーチャリングを見直す。MQLは十分にあるのに商談につながっていないのであれば、営業への引き渡し条件や対応方法を確認する、といった考え方です。
このようにKGIから各KPIをつなげておくと、単に「次は何をやるか」を考えるのではなく、目標との間にあるどの数値を改善するための施策なのかを整理しやすくなります。
Step.2:ターゲット・ペルソナ・ICPの設定
次に、「どのような企業の、誰に届けるのか」を具体化します。
ICP(Ideal Customer Profile:理想顧客プロファイル)は、自社の商品・サービスとの適合度が高いと考えられる企業の特徴を整理したものです。
一方、ペルソナは、その企業の中で情報収集や比較検討、導入判断などに関わる人物像を具体化したものです。
BtoBでは、企業単位と人物単位の2つの視点からターゲットを考えると整理しやすくなります。
企業単位では、業種、従業員規模、売上規模、事業フェーズ、利用しているツール、抱えている課題などを整理します。
人物単位では、部署や役職、担当業務、抱えている課題、評価されるKPI、情報収集の方法、購買への関与などを考えていきます。
BtoBの購買では、最初に情報収集する人と、実際にサービスを利用する人、導入を承認する人が異なることがあります。そのため、一人の人物像だけを想定するのではなく、購買に関わる人ごとに「何を知りたいのか」「何を判断材料にするのか」を考えておくことも重要です。
たとえば、ICPを「従業員50〜300名のBtoB SaaS企業で、マーケティング担当者が1〜2名」と設定したとします。
その中でも、接点を持ちたい人物を「マーケティング責任者」「マーケティングの立ち上げを任されている」「社内に十分なノウハウがなく、施策の優先順位を決められない」と具体化すれば、どのようなメッセージを届けるのか、どのチャネルで接点を作るのか、どのようなコンテンツを用意するのかを考えやすくなります。
ただし、ICPやペルソナは最初から正解を作るものではありません。実際の商談や受注、失注のデータを確認しながら、「どの企業が受注しやすいのか」「どのような課題を持つ人が商談につながりやすいのか」を見直していくことも必要です。
ICPをどのような項目から設計するかについては、ICP設計と6Rの考え方で詳しく整理しています。
Step.3〜Step.4:リードジェネレーション(見込み客獲得)フェーズ
リードジェネレーション(Lead Generation)とは、設定したターゲットとの接点をつくり、見込み客の情報を獲得していく活動です。
このフェーズで押さえておきたいのは、大きく2つです。
1つ目は、ターゲットの情報収集行動や検討状況に合わせてチャネルを選ぶことです。
2つ目は、獲得したリードのうち、どのような状態をMQL(Marketing Qualified Lead)とするのかをあらかじめ整理しておくことです。
リードの獲得件数だけを基準にチャネルを選ぶと、件数は増えても、その後の商談や受注につながりにくいことがあります。また、MQLの基準が曖昧なままだと、施策によって獲得したリードの「質」をどのように評価するのかも判断しにくくなります。
Step.3:自社に合ったチャネルを選定する
チャネルを選ぶ際は、「多くの企業が取り組んでいるから」という理由だけではなく、ターゲットがどのように情報を集めているのか、自社の商品・サービスとどのような接点をつくりやすいのかを考えることが重要です。
BtoBのリードジェネレーションには、SEO、コンテンツマーケティング、ウェビナー、ホワイトペーパー、Web広告、展示会、テレアポなど、さまざまな方法があります。
たとえばSEOやコンテンツマーケティング、検索広告は、すでに何らかの課題を認識し、自ら情報を探している層との接点をつくりやすい施策です。
一方、Meta広告やディスプレイ広告などは、特定の属性や興味・関心などをもとに、自社の商品・サービスをまだ認知していない層にも情報を届けられます。展示会やテレアポなども、自社側から接点をつくる方法として考えられます。
どちらが優れているというものではなく、ターゲットの情報収集行動や商材、検討段階などによって適した方法は変わります。
弊社が株式会社CLUE様を支援した際にも、チャネル選定の重要性を感じる場面がありました。
ターゲットとなる建設業界の情報収集行動を踏まえると、検索を起点とした施策だけで接点を広げるのではなく、Meta広告やディスプレイ広告など、こちらから情報を届ける施策も組み合わせる必要があると考えました。
実際にこうした施策を進める中で、ターゲットに合ったチャネルを選ぶことが、リード獲得を考えるうえで重要だと分かりました。
また、必ずしも多くのチャネルを同時に運用する必要はありません。
弊社が支援した株式会社日本テレビアート様では、営業・マーケティングの体制づくりからご一緒し、Meta広告を活用したリード獲得に取り組みました。毎月の広告予算を10万円程度に抑えながら、初年度から多い月には100件を超えるリードを獲得しています。
限られた予算や人員で取り組む場合は、最初から複数のチャネルへ広げるのではなく、まず一つのチャネルで検証を重ね、成果が見えてから次のチャネルを検討する方法もあります。
どの施策から着手するかを比較したい場合は、手法一覧と優先順位の決め方で、BtoBマーケティングの代表的な手法と選び方を解説しています。
集客を始める前に、受け皿となる導線も確認する
Web広告などを使ってサイトやLPへ集客する場合は、広告を始める前に、流入したユーザーをリード獲得につなげる導線も確認しておきたいところです。
たとえば、広告をクリックした後に表示されるページと広告の訴求内容が一致しているか、資料請求や問い合わせなどのCTAが分かりやすい位置にあるか、フォームの入力項目が必要以上に多くなっていないか、といった点です。
いくら流入を増やしても、こうした受け皿に課題があれば、リード獲得につながりにくい可能性があります。
一方で、すべてを完璧に整えてから集客を始める必要はありません。実際の流入やコンバージョンのデータを確認しながら、LPやCTA、フォームなどを改善していく方法もあります。
そのため、「集客施策」と「受け皿となるCV導線」を別々に考えるのではなく、リードを獲得するまでの一連の流れとして設計し、改善していくことがポイントです。


Step.4:MQL基準の設計
MQL(Marketing Qualified Lead)とは、獲得したリードの中から、企業属性や行動などをもとに、マーケティング活動において有望と判断したリードのことです。
MQL基準の設計では、「どのような企業・人物で、どのような行動が見られたらMQLとするのか」をあらかじめ整理します。
MQLの基準が曖昧なまま施策を運用すると、広告やSEO、ウェビナーなどで獲得したリードを一律に営業へ共有してしまうことがあります。その結果、営業側から「リードは来るものの、まだ検討段階ではない」と判断される状態が続けば、マーケティングから共有されたリードへの対応そのものが後回しになるかもしれません。
こうした認識のずれを減らすためにも、マーケティングと営業で「どのような状態を有望なリードと考えるのか」をすり合わせておくことが重要です。
MQLの基準を考える際は、大きく「属性」と「行動」の2つに分けると整理しやすくなります。
属性では、業種、従業員規模、売上規模、部署、役職など、自社のICPやターゲットとの適合度を確認します。
行動では、サービスページや料金ページの閲覧、資料のダウンロード、ウェビナーへの参加、メールへの反応など、商品・サービスへの関心を判断するための行動を確認します。
たとえば、「対象業種かつ従業員規模がICPに該当している」という属性条件に加えて、「サービスページを複数回閲覧している」といった行動条件を組み合わせてMQLとする方法があります。
MAを利用している場合は、それぞれの属性や行動にスコアを設定し、一定の条件を満たしたリードをMQLとして抽出することもできます。
ただし、スコアが高いからといって、必ずしも商談につながるとは限りません。資料を何度も閲覧していても対象企業ではない場合がありますし、Web上の行動が少なくても、問い合わせの内容から検討度が高いと判断できるケースもあります。
そのため、単純な合計スコアだけで判断するのではなく、「ICPとの適合度」と「検討度の高さを示す行動」を組み合わせて考えるとよいでしょう。
また、最初に設定したMQL基準を固定する必要もありません。営業へ共有した後の商談化率や受注率を確認しながら、「どの属性・行動を持つリードが実際に商談につながっているのか」を振り返り、基準やスコアを見直していくことがポイントです。
Step.5〜Step.6:リードナーチャリング(育成)フェーズ
リードナーチャリング(Lead Nurturing)とは、獲得したリードに継続的に情報を届けながら、商品・サービスへの理解や検討を深めてもらう取り組みです。
このフェーズで押さえておきたいのは、大きく2つです。
1つ目は、見込み客の検討状況に合わせて必要なコンテンツを整理することです。
2つ目は、繰り返し発生する配信やリード管理などを、MA(マーケティングオートメーション)で自動化することです。
BtoBでは、最初に接点を持った時点ですぐに具体的な導入検討が始まるとは限りません。情報収集を始めたばかりの人に価格や商談の案内ばかりを送ったり、反対に具体的な比較検討に入っている人へ基礎的な情報だけを送り続けたりすると、その時点で知りたい情報とのずれが生じます。
そのため、一律に同じ情報を届けるのではなく、見込み客が現在どのような状況にあり、次に何を知りたいのかを考えながらコンテンツを設計していきます。
Step.5:シナリオ設計とコンテンツマッピング
シナリオ設計では、見込み客の検討状況に応じて、「誰に」「どのタイミングで」「どのような情報を届けるのか」を整理します。
その際にあわせて考えたいのが、各段階で必要になるコンテンツです。
たとえば、まだ課題について情報収集している段階であれば、課題の整理や解決方法を解説する記事、ホワイトペーパーなどが考えられます。
具体的なサービスを比較し始めた段階では、導入事例や比較資料、費用対効果を検討するための資料などが判断材料になります。さらに導入を具体的に検討している段階では、デモや料金・導入方法に関する資料、よくある質問など、社内での検討を進めるための情報が求められることがあります。
ただし、すべての見込み客が同じ順番で検討を進めるわけではありません。
そのため、「資料をダウンロードしたら3日後にA、7日後にBを送る」といった時間軸だけでシナリオを作るのではなく、どのような情報に関心を持っているのか、どのような行動を取ったのかも確認しながら分岐を考えると、より状況に合った情報を届けやすくなります。
弊社が株式会社CLUE様を支援した際には、セミナー後のアンケートから参加者ごとの関心テーマを整理し、その内容に応じてフォローアップメールを出し分ける設計を行いました。
参加者全員に同じメールを送るのではなく、「何に関心を持ってセミナーへ参加したのか」をその後のコミュニケーションに反映する考え方です。
最初から複雑なシナリオを作る必要はありません。まずは、資料ダウンロード後やウェビナー参加後など、リード数が多く、次の行動につなげたい接点から設計し、反応を見ながら分岐やコンテンツを増やしていく方法もあります。
シナリオ設計の具体的な進め方については、リードナーチャリングの手法と実践手順で詳しく解説しています。
Step.6:MAを活用して運用を自動化する
Step.5でシナリオを整理したら、繰り返し発生する業務のうち、自動化できる部分をMAへ設定していきます。
たとえば、ホワイトペーパーをダウンロードした人に関連するコンテンツをメールで案内する、その後に特定のページを閲覧したらスコアへ反映する、一定の条件を満たしたら担当者へ通知するといった運用が考えられます。
MAでは、メール配信だけでなく、リード情報の管理、Web上の行動履歴の把握、セグメント、スコアリング、シナリオの自動実行、営業への通知など、さまざまな業務を仕組み化できます。利用できる機能や自動化の範囲はツールによって異なります。
ここで注意したいのは、自動化すること自体を目的にしないことです。
誰に何を届けるのかが曖昧な状態で配信だけを自動化しても、見込み客の状況に合わないコミュニケーションを繰り返してしまう可能性があります。
そのため、MAの設定を作り込む前に、まずは「誰に、何を、どのような条件で届けるのか」「どの状態になったらMQLとするのか」といった基本的な考え方を整理しておくと、設定の目的も明確になります。
一方で、すべてのシナリオを完成させてからMAの運用を始める必要もありません。
弊社がSmartHR様を支援した際には、Account Engagement(旧Pardot)を導入していたものの、社内に運用経験を持つマーケティング担当者がいない状態から運用の立ち上げをご一緒しました。
2023年7月に初期設定へ着手し、約1か月で最初のメール配信を開始。その後は、最初から多数のメールを用意するのではなく、初期の1〜2パターンから始め、週に1パターン程度のペースで追加しながら、最終的に20〜30パターンまで増やしていきました。
このように、最初から複雑なシナリオや多数のコンテンツを用意するのではなく、まず動かせる範囲から運用を始め、実際の反応を確認しながらシナリオやコンテンツを増やしていく方法もあります。

MAシナリオ設計の手順とスコア連動では、シナリオ作成の8ステップとツール別の実装イメージを詳しく解説しています。
Step.7:リードクオリフィケーション(選別)とトスアップ設計
リードクオリフィケーション(Lead Qualification)とは、獲得・育成してきたリードの中から、営業が優先して対応する対象を見極めていくプロセスです。
この段階で押さえておきたいのは、大きく2つです。
1つ目は、属性や行動などをもとにリードの優先度を判断する基準を設けることです。
2つ目は、マーケティングから営業へ引き継ぐ条件や、その後の対応方法をあらかじめ決めておくことです。
マーケティング側で有望なリードを見つけても、誰に、いつ、どのような情報とともに共有するのかが決まっていなければ、営業側ですぐに対応できないことがあります。
反対に、営業から「商談につながらなかった」「まだ検討時期ではなかった」といった情報がマーケティングへ戻らなければ、MQLやトスアップの基準を見直すことも難しくなります。
そのため、単に「有望なリードを営業へ渡す」だけではなく、リードを見極める基準、営業へ共有する方法、その後の結果をマーケティングへ戻すところまでを一連の流れとして設計することがポイントです。
スコアリングとホットリードの判定基準を設計する
リードの優先度を判断する方法の一つが、スコアリングです。
スコアリングでは、リードが「自社のターゲットにどの程度合っているのか」と「商品・サービスにどの程度関心を示しているのか」を、属性や行動などから評価します。
たとえば属性では、業種、従業員規模、部署、役職など、ICPとの適合度を確認します。
行動では、資料ダウンロード、ウェビナーへの参加、サービスページや料金ページの閲覧などを確認します。
MAを利用している場合は、それぞれに点数を設定し、一定の条件を満たしたリードを抽出して営業へ通知することもできます。
ただし、「合計80点を超えたらホットリード」といった基準を最初に決めるだけでは十分ではありません。
たとえば、メールを何度も開封して合計スコアが高くなっていても、自社のターゲットとは異なる企業かもしれません。反対に、Web上での行動は少なくても、料金ページを閲覧した直後に問い合わせをしているなど、検討度が高いと考えられるケースもあります。
そのため、合計点だけではなく、「ICPとの適合度」と「検討度の高さを示す行動」を分けて見る方法もあります。
スコアを設定する際も、「ウェビナー参加は重要そうだから高得点」といった感覚だけで決めるのではなく、可能であれば過去の商談・受注データを振り返ってみましょう。
実際に商談や受注につながったリードには、どのような属性が多かったのか。商談前にどのページを見ていたのか。どのコンテンツをダウンロードしていたのか。最後の行動から営業が接触するまで、どの程度の期間が空いていたのか。
こうした実績を確認することで、自社にとって意味のある評価項目や基準を考えやすくなります。
弊社でも、リードを評価する際には、行動の回数だけではなく、「どの程度深く関与しているか」「最後の行動からどの程度時間が経過しているか」「一定期間にどの程度行動しているか」といった複数の観点から評価する方法を取り入れています。
最初から複雑なスコアリングモデルを作る必要はありません。まずは属性と重要な行動から基準を設定し、商談化率や受注率を確認しながら調整していく方法でもよいでしょう。
スコアリングの具体的な設計方法については、スコアリング設計の基本と実践手順で詳しく解説しています。
SLAでマーケティングと営業の引き継ぎルールを決める
リードを見極める基準とあわせて決めておきたいのが、マーケティングから営業への引き継ぎ方法です。
SLA(Service Level Agreement)は、マーケティングと営業の間で、どのようなリードを、いつ、どのように引き継ぎ、その後どのように対応するのかについて共通のルールを設ける考え方です。
たとえば、次のような項目を決めておきます。
- どのような状態をMQLとするのか
- どの条件を満たしたら営業へ共有するのか
- 誰に、どのような方法で通知するのか
- 営業は共有を受けてから、どの程度の時間を目安に対応するのか
- 商談化しなかった場合、理由をどのように記録・共有するのか
- 営業から得た情報を、MQLやスコアリングの基準へどのように反映するのか
重要なのは、ルールを作ることだけではなく、実際の営業活動から得られた情報をマーケティングへ戻すことです。
たとえば、「スコアは高かったが検討時期が半年先だった」「対象業種ではあるものの決裁権を持つ人ではなかった」といった情報が蓄積されれば、MQL基準やスコアリングを見直す材料になります。
弊社が株式会社ブリューアス様を支援した際には、Account Engagement(旧Pardot)の運用を見直し、過去に接点を持った顧客への掘り起こし施策にも取り組みました。その中から、一度失注していた大型案件が再び動き、受注につながった事例があります。
この事例からも分かるように、一度商談や失注まで進んだリードであっても、その後の状況や検討時期が変わることがあります。
そのため、トスアップ設計では新規MQLを営業へ渡すことだけではなく、「今は営業が対応すべきではないリードをどう戻すか」「一度見送りになったリードをいつ再び確認するか」まで考えておくと、保有しているリードを活用しやすくなります。
マーケティングから営業への具体的な引き継ぎ方法については、マーケから営業へのトスアップ設計で詳しく解説しています。
Step.8:効果測定・PDCAとプロセスの継続改善
最後に、これまで設計してきたプロセスがどの程度機能しているのかを数値で確認し、改善につなげていきます。
このフェーズで押さえておきたいのは、大きく2つです。
1つ目は、広告やウェビナーなどの施策単体だけではなく、リード獲得から商談・受注までを一連のプロセスとして計測することです。
2つ目は、フェーズごとの転換率を確認し、どこに改善余地があるのかを見つけることです。
たとえば、広告のCV数が増えていても、その後のMQLや商談が増えていなければ、広告の成果だけを見て施策を評価することは難しくなります。
反対に、リードの獲得数そのものは大きく増えていなくても、MQLへの転換率や商談化率が改善し、受注数が伸びているのであれば、プロセス全体としては良い変化が起きていると考えられます。
そのためStep.8では、「どの施策から何件獲得できたか」だけではなく、獲得したリードがその後どのようにMQL、商談、受注へ進んだのかまで確認していきます。
BtoBマーケティングの主要KPIと計測設計
Step.1では、KGIから逆算して各フェーズで追うKPIを設定しました。ここでは、実際の数値をもとに、そのKPIがどのように推移しているのかを確認します。
たとえば、Webサイトを起点とする場合は、「サイト流入→CV→リード→MQL→商談→受注」といった流れで、それぞれの件数と転換率を確認します。
展示会やウェビナーであれば、「獲得リード→フォロー対象→MQL→商談→受注」のように、施策に合わせて追うプロセスを整理します。
ここで重要なのは、すべての数値を細かく計測することではありません。どこで次のフェーズへ進みにくくなっているのかを判断できる状態にすることです。
たとえば、リード数は十分にあるもののMQLへの転換率が低いのであれば、ターゲットやチャネル、ナーチャリングに改善余地があるかもしれません。
MQLは増えているものの商談につながっていないのであれば、MQL基準やトスアップ後の営業対応を確認する必要があります。
商談数は確保できているものの受注率が低い場合は、マーケティングだけでなく、ターゲットとの適合度や営業プロセス、提案内容なども含めて確認する必要があるでしょう。
このように、最終的な受注数だけを見るのではなく、フェーズごとの件数と転換率を確認することで、「どこを改善するとプロセス全体への影響が大きいのか」を考えやすくなります。
| フェーズ | 主要KPI | 改善施策の方向性 |
|---|---|---|
| 流入フェーズ | セッション数・CV率 | LP改善・SEO・広告チャネルの見直し |
| リード獲得フェーズ | リード数・CPA(顧客獲得単価) | チャネル配分・LP訴求の見直し |
| MQLフェーズ | MQL数・MQL転換率 | スコアリング基準・ナーチャリングシナリオの改善 |
| SQLフェーズ | 商談数・商談化率 | SLA・トスアップ基準の見直し |
| 受注フェーズ | 受注数・受注率・LTV(顧客生涯価値) | 商談品質・営業プロセスの改善 |
プロセスが機能しているかを判断する5つのチェックポイント
ここまで紹介したKPIをすべて確認しようとすると、見るべき数値が増えすぎてしまうことがあります。
弊社の支援では、月次の振り返りを行う際、まず次の5つの観点からプロセス全体の状況を確認することをおすすめしています。
- KGI・KPIの達成状況:設定した目標に対して、受注数、商談数、MQL数、リード数などの実績がどの程度進んでいるか
- フェーズごとの転換率:リード→MQL、MQL→商談、商談→受注など、前月や過去の実績と比べて変化している箇所はないか
- 営業からのMQLに対するフィードバック:営業へ共有したリードが実際に商談につながっているか、つながらなかった場合はどのような理由だったのか
- チャネル別の獲得効率とその後の転換率:チャネルごとのリード獲得単価だけでなく、MQLへの転換率や商談化率に違いがないか
- ナーチャリング施策への反応:メールの開封率やクリック率だけでなく、その後のWeb閲覧や資料ダウンロード、MQLへの転換などに変化が見られるか
この5つを継続的に確認することで、「リードの獲得数が不足しているのか」「獲得後のMQL転換に課題があるのか」「営業へ共有した後に止まっているのか」といった状況を整理しやすくなります。
また、単月の数値だけで判断するのではなく、前月や四半期、前年同期などと比較しながら変化を見ることも大切です。リード数が少ない企業では、数件の増減だけで転換率が大きく変わることもあるため、一定期間の推移とあわせて確認すると判断しやすくなります。
すべての指標を最初から細かく計測する必要はありません。まずは自社のKGIにつながる主要な指標から確認し、「数値を見る→原因を考える→施策や基準を見直す→次回の数値で確認する」という流れを継続できる状態をつくることがポイントです。
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。
相談してみる →まとめ
BtoBマーケティングプロセスは、見込み客の獲得から育成、選別、営業への引き渡し、受注後の振り返りまでを一連の流れとして設計するものです。本記事では、「戦略設計」「リードジェネレーション」「ナーチャリング」「クオリフィケーション」「効果測定」の5つのフェーズ、8つのステップに分けて解説しました。
戦略設計(Step.1〜Step.2)ではKGIから必要なKPIを逆算し、企業と人物の両面からターゲットを整理します。リードジェネレーション(Step.3〜Step.4)ではチャネルとMQL基準を決め、ナーチャリング(Step.5〜Step.6)では検討状況に応じたコンテンツとMAによる運用を設計します。
クオリフィケーションとトスアップ(Step.7)では、営業が優先して対応するリードの基準と引き継ぎ方法を決めます。効果測定(Step.8)では、リードからMQL、商談、受注までの転換率を確認し、改善するフェーズを見極めていきます。
重要なのは、8つのステップを順番どおりに作ることではありません。すでに商談や受注の実績がある場合は、そのデータから逆算して課題のあるフェーズを見つけ、優先順位を決める方法もあります。
弊社が支援したCLUE様も、2019年当時は社内にマーケティング経験者がいない状態からのスタートでした。KPI設計やチャネル選定、LP改善、MA・SFAの導入、インサイドセールスの立ち上げなどを段階的に進め、マーケティングによって継続的にリードを獲得する体制を整えていきました。
自社のプロセスを見直す際は、すべてを一度に整えるのではなく、現在どこでリードが止まっているのかを確認し、優先度の高いところから改善していくと考えると進めやすくなります。
オンライン施策を軸に定義から整理したい場合は、デジタル施策の定義と全体像をあわせてご覧ください。他社がどの順番でプロセスを整えたかを先に見たい場合は、成功事例9選と転用のポイントで施策が機能した構造を確認できます。自社だけで進めるのが難しい場合の外部支援の選び方は、支援会社の選び方と費用相場にまとめています。
Sells upでは、BtoBマーケティングプロセスの設計から施策実行・MA導入支援まで、100社以上の支援実績をもとに伴走します。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist(Salesforce認定マーケティングクラウドアカウントエンゲージメントスペシャリスト)を保有した担当者が、スコアリング設計・SLA構築・シナリオ設計まで一貫してサポートします。「何から始めればいいかわからない」という段階からのご相談も歓迎しています。
よくある質問
BtoBマーケティングプロセスとは何ですか?
BtoBマーケティングプロセスとは、見込み客の獲得から育成・選別・商談・受注までを一連の仕組みとして設計し、継続的に改善し続ける活動のことです。各フェーズが連動して機能することで、施策の成果が受注に直結します。
BtoBマーケティングプロセスは何から始めるべきですか?
KGI(受注数・売上目標)の設定と、ターゲット・ICPの定義から始めます。この2つが決まらないと、チャネル選定・コンテンツ設計・KPI設定のすべてが迷走します。施策を選ぶのはその後です。
リードは獲得できているのに商談が増えない場合の原因は何ですか?
主な原因は3つです。
- MQLの基準が未定義で、質の低いリードが営業に渡っている
- ナーチャリングシナリオがなく育成が機能していない
- SLA(マーケと営業の引き継ぎルール)が未整備でホットリードが放置されている
のいずれかです。
MAツールはプロセス設計前に導入すべきですか?
弊社は推奨しません。MAツールは設計した仕組みを動かす手段であり、シナリオ設計・MQL基準・スコアリングが定まる前に導入しても活用できないデータが蓄積されるだけです。プロセス設計と営業との合意を先行させてください。
BtoBとBtoCのマーケティングプロセスはどのように違いますか?
BtoBは意思決定者が複数いる・検討期間が長い・購買目的が課題解決という3点でBtoCと本質的に異なります。そのため、認知から受注まで複数のフェーズにわたる長期的なプロセス設計が必要です。BtoCの手法をそのまま転用すると機能しません。
スコアリングはどのように設計すればよいですか?
属性スコア(業種・役職・従業員規模がICPに一致するほど高得点)と行動スコア(メール開封・資料DL・ページ訪問・ウェビナー参加ごとに加算)を組み合わせて設計します。感覚的な点数設定では営業がスコアを見て動く判断ができないため、過去の受注案件の行動履歴を分析してスコアの根拠を作ることを推奨します。
SLAとは何ですか?BtoBマーケティングで必要な理由は何ですか?
SLA(Service Level Agreement)とは、マーケティング部門と営業部門の間で「どのリードをいつ・誰が・どのように引き継ぐか」を明文化した取り決めのことです。SLAがないとホットリードが放置され、マーケと営業の対立が生まれます。プロセス設計のなかでも特に重要な取り決めです。
BtoBマーケティングプロセスの効果をどのように測定すればよいですか?
フェーズごとにKPIを設定し、流入・CV率・リード数・MQL転換率・商談化率・受注率の順で計測します。どのフェーズで数値が落ちているかを月次で確認し、ボトルネックを特定して改善施策を実行します。施策単体ではなくプロセス全体を評価することが重要です。
