MAシナリオ設計の全手順|80社支援のSells upがBtoB事例・テンプレート・ツール別実装を解説
シナリオ設計は「作ること」より「成果に直結させること」が難しい
ペルソナ設計・カスタマージャーニーマップ・コンテンツ計画・営業SLA構築まで、MAシナリオ設計を「成果につながる仕組み」として実装するための伴走支援を行います。 Account Engagement・HubSpot・Marketoのいずれでも対応可能です。 80社以上の支援実績から、貴社の現状に合ったシナリオ設計の改善プランをご提案します。
MAツールを導入したものの、シナリオ設計の画面を前にして「どこから手をつければいいか分からない」、あるいは「いくつかシナリオを組んでみたが成果が出ない」という状況にお悩みではないでしょうか。
Sells upはSalesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist資格を保有し、80社以上のBtoBマーケティング支援の中でMAシナリオ設計・Engagement Studio構築・営業連携のSLA設計を実際に行ってきました。株式会社SmartHRさまの支援では、Account Engagementのトリガーメール設計・フォーム移行・Engagement Studio設定を一気通貫で対応し、1年間で問い合わせ数が約10倍になりました。株式会社日本テレビアートさまの支援では広告費10万円で月100件のリード獲得を実現しました。
この記事では、MAシナリオ設計の基本的な考え方から、BtoB支援現場で実際に機能したシナリオ事例・Account Engagement/HubSpot別の実装ポイント・ROI可視化まで、一連の流れを解説します。
MAシナリオ設計とは:最初に理解すべき基本
MAシナリオ設計とは、見込み顧客一人ひとりの行動・属性・検討フェーズに合わせて「最適なタイミング」で「最適な情報」を「最適な方法」で届けるための一連のコミュニケーションフローを事前に設計し自動化する仕組みです。
展示会で名刺交換した方へのお礼メールから始まり、Webサイト訪問・資料ダウンロードといった行動に応じて自動的に導入事例を送ったり、関心が高まったタイミングで営業担当へ通知したりする——こうした人の手では追い切れないきめ細やかなアプローチを実現するのがシナリオの役割です。
MAシナリオ設計は「作業の自動化」ではなく、顧客データを活用してマーケティング部門が売上創出に直接貢献するための「設計図」を描く戦略的プロセスです。
MAシナリオが担う3つの役割
- 見込み顧客の検討フェーズに合わせた適切な情報提供の自動化
- 顧客の行動(メール開封・Webサイト訪問)をトリガーとした次のアプローチの自動分岐
- マーケティング部門から営業部門への質の高い見込み顧客(ホットリード)のスムーズな引き渡し
ナーチャリングの設計思想についてはナーチャリングのよくある間違いと正しい設計の考え方も参照してください。
シナリオ設計前に必須の2つの準備
やみくもにシナリオを作るのではなく、事前準備が成果を左右します。Sells upの支援では以下の2つを「土台」として必ず整備しています。
準備1:データで顧客を理解する(ペルソナ設計)
顧客データ・過去の商談履歴・営業現場の声をもとに、ターゲット企業の属性(業種・規模・エリア)と購買担当者(役職・課題・意思決定プロセス)を具体的に言語化します。ペルソナが曖昧なままシナリオを作ると的外れなアプローチになります。営業部門と認識をすり合わせながらリアルな顧客像を描くことが重要です。
準備2:顧客の購買プロセスを可視化する(カスタマージャーニーマップ)
ターゲット顧客がどのような課題意識を持ち、どのような情報収集・検討プロセスを経て購買・商談に至るかを整理します。「課題認知→情報収集→比較検討→導入決定」という流れを具体的な顧客行動とタッチポイントに落とし込み、各段階で有効なコンテンツとアクションを整理しておきます。
リードスコアリングとの連携設計についてはリードスコアリングとは?BtoB担当者が最初に理解すべき仕組み・設計・営業連携の全体像も参照してください。
MAシナリオ設計の4ステップ
Step.1:「誰に」届けるか(ターゲット定義)
シナリオの対象者をMAツール上でどのような条件でリスト抽出するかを決めます。
| データ種別 | 条件例 |
|---|---|
| 属性データ | 業種が製造業、企業規模が従業員100人以上、役職が課長以上 |
| 行動データ | 価格ページを3回以上閲覧、資料をダウンロード済み、メールをクリック済み |
| ファーストタッチ | 展示会で名刺交換、ウェビナーに参加、アンケートで「情報収集中」と回答 |
Step.2:「いつ」アプローチするか(タイミング設計)
顧客の行動や購買フェーズに合わせて最も反応が得られやすい瞬間を捉えます。
- 起点となる行動:資料ダウンロードの直後、ウェビナー参加の翌日など
- 時間経過:前のアクションから3日後、最後のWebアクセスから1ヶ月後など
- 頻度:顧客の温度感を考慮し過度なアプローチにならないよう間隔を調整する
Sells upの現場より:株式会社日本テレビアートさまの支援では「ウェビナー参加翌日に事例メール→3日後に価格ページ閲覧者にインサイドセールスから架電」という2ステップシナリオから始め、月100件のリード獲得を実現しました。最初からシナリオを複雑にする必要はありません。
Step.3:「何を」提供するか(コンテンツ計画)
顧客の検討フェーズや課題感に寄り添ったコンテンツを計画します。
| 検討フェーズ | 有効なコンテンツ例 |
|---|---|
| 情報収集フェーズ | 課題解決のヒントになるホワイトペーパー、業界トレンドレポート |
| 比較検討フェーズ | 導入事例、他社比較資料、機能紹介動画 |
| 最終決定フェーズ | 個別相談会の案内、無料トライアル、料金シミュレーション |
既存コンテンツを棚卸しし、各タイミングで有効なコンテンツをマッピングしておきましょう。コンテンツ不足はシナリオの最大の停止原因です。
Step.4:「どのように」伝えるか(チャネル選択)
BtoBではメールが中心ですが、他チャネルとの組み合わせで成果は大きく変わります。
- メール:ステップメール・トリガーメールが基本。Account Engagementのメール配信設定についてはAccount Engagementのメール配信設定ガイドを参照
- 電話(インサイドセールス):関心度が高いリードへの個別アプローチ
- Webサイト:ポップアップやチャットボットでのリアルタイムな案内
- 広告:離脱ユーザーへのリターゲティング広告
BtoBマーケティングのシナリオ具体例3選(Sells up支援実績より)
事例1:展示会・ウェビナー後のフォローアップシナリオ
目的:イベント直後の高い熱量を逃さず、効率的にホットリードを特定する。
| 誰に | イベント参加者で名刺交換・アンケート回答をしたリード |
| いつ | イベント終了当日〜翌営業日 |
| 何を | お礼メール+資料ダウンロード案内→反応があれば関連導入事例 |
| どのように | メール配信→ダウンロード・事例閲覧した反応リードをインサイドセールスが電話フォロー |
Sells upの支援実績:株式会社日本テレビアートさまの支援では、このシナリオ構造に加えてコンテンツを充実させることで広告費10万円で月100件のリード獲得を実現。スピードが最大の差別化要素です。
事例2:休眠顧客を掘り起こす再アプローチシナリオ
目的:過去の接点を無駄にせず、タイミングの変化によって生まれた新たなニーズを捉える。
| 誰に | 過去に接点があったが半年以上アクションがないリード |
| いつ | 休眠判定後、四半期に一度など定期的に |
| 何を | 最新の業界動向・新しい導入事例・製品アップデート情報など「新しい価値」を提供するコンテンツ |
| どのように | パーソナライズしたメール→開封・クリックがあったリードを再アプローチリストに追加 |
Sells upの支援実績:株式会社ブリューアスさまの支援では、一度失注した休眠顧客に対して適切なタイミングで掘り起こしメールを配信し、大型案件の受注を実現しました。売り込みではなく「有益な情報提供」というスタンスを貫くことが再エンゲージメントの鍵です。スコアリングとの連携についてはSalesforceリードスコアリングとAccount Engagement設定ガイドも参照してください。
事例3:Web行動履歴に基づいたナーチャリングシナリオ
目的:顧客の能動的な行動を捉え、検討度合いを次のステージへ引き上げる。
| 誰に | 価格ページや導入事例ページなど検討度合いが高い特定ページを複数回閲覧したリード |
| いつ | 対象ページ閲覧から24時間以内 |
| 何を | 閲覧ページに関連する詳細資料・よくある質問への回答・個別相談会の案内 |
| どのように | トリガーメールを自動配信→サイト再訪時にはチャットボットで個別対応 |
Sells upの支援実績:株式会社SmartHRさまの支援では、SmartHRユーザーの行動データをベースにしたトリガーメールの企画〜配信を担当し、1年間で問い合わせ数が約10倍になりました。

ツール別シナリオ実装の違い:Account Engagement・HubSpot・Marketo
MAシナリオ設計の考え方はツールによらず共通ですが、実装方法はツールごとに異なります。80社以上の支援経験から、主要3ツールの違いを整理します。
| ツール | シナリオ機能名 | 特徴 | 向いているシナリオ |
|---|---|---|---|
| Account Engagement(旧Pardot) | Engagement Studio | SalesforceのCRMとネイティブ連携。スコアリングカテゴリとの組み合わせが強力 | Salesforce利用中の企業・複数製品展開のBtoB企業 |
| HubSpot | ワークフロー | 設定UIが直感的で複雑な条件分岐も組みやすい。CRM・CMS・セールスが一体型 | マーケ〜営業まで一元管理したい企業・スタートアップ〜中堅企業 |
| Marketo | エンゲージメントプログラム | 大規模なデータ処理と細かなセグメンテーションが可能。エンタープライズ向け | 大企業・複雑なリード管理が必要な企業 |
Account Engagementの具体的な設定についてはAccount Engagementスコアリングカテゴリの設定方法を参照してください。MAツールの選び方についてはBtoBマーケティングオートメーション(MA)おすすめツール比較も参照してください。
シナリオの成果を最大化する3つの重要要素
要素1:ROI可視化のKPI設定
MAシナリオの成果を評価し社内で予算確保につなげるには、ROIの可視化が不可欠です。メールの開封率・クリック率だけでなく、商談化数・受注金額まで追うことが重要です。
| KPI | 測定内容 |
|---|---|
| MQL数 | 各シナリオから創出された有望リードの数 |
| 商談化率・商談化数 | MQLのうち実際に営業が商談化した割合と数 |
| 受注率・受注額 | 商談化案件のうち受注に至った割合と金額 |
| パイプライン貢献額 | シナリオ経由で生まれた商談の総額 |
これらをSFAやCRMと連携させてダッシュボードで可視化することで「このシナリオは今期これだけの商談を生み出しています」という誰もが納得する成果報告が可能になります。ナーチャリングの成果測定についてはナーチャリングの成果はどうやって測ればいいのかも参照してください。
要素2:営業部門との連携「引き渡しのルール(SLA)」
マーケティング部門がどれだけ質の高いリードを育成しても、営業部門が適切にフォローしなければ成果は生まれません。部門間の連携不足はMA導入失敗の最大原因の一つです。
- ホットリードの定義を明確にする:「スコアが100点以上」だけでなく「価格ページを3回閲覧し導入事例をダウンロードしたリード」のように具体的な行動に基づいた定義を共有する
- SLAでアクションルールを文書化する:「ホットリードが通知されたら24時間以内に初回連絡」「3営業日以内に接触できなかった場合は理由を添えてマーケティングに差し戻す」などを明文化する
SLA設計の詳細についてはSalesforceリードスコアリングとAccount Engagement設定ガイドを参照してください。
要素3:コンテンツ計画の立て方
シナリオ設計と同時に必要なコンテンツを計画的に準備することが重要です。コンテンツ不足はシナリオが途中で止まる最大原因です。
- 既存コンテンツの棚卸し:ホワイトペーパー・事例・FAQ・動画をリストアップし、カスタマージャーニーの各フェーズにマッピングする
- 不足コンテンツの制作計画:棚卸しで「足りない」と判明したコンテンツを優先度をつけて制作スケジュール化する。営業のよくある質問や失注理由から新しいコンテンツのヒントを得る
MAシナリオ設計でよくある失敗と解決策
失敗1:シナリオが複雑すぎて対象者がいなくなる
分岐や条件を細かく設定しすぎた結果、シナリオのゴールにたどり着く人が誰もいなくなるケースです。完璧主義な担当者ほど陥りやすい失敗です。
解決策:最初は「展示会参加者全員にサンクスメール→開封した人に事例送付→反応があれば営業連携」というシンプルなシナリオで十分です。対象者がある程度のボリュームになるよう設計し、運用しながら分岐や条件を追加していく。シナリオの精度はPDCAサイクルで徐々に高めていけば問題ありません。
失敗2:コンテンツが足りずシナリオが止まってしまう
シナリオ設計は完璧でも「このタイミングで送るべき事例資料がなかった」という事態に陥るケースです。
解決策:シナリオ設計とコンテンツ計画は必ずセットで行います。設計段階で各分岐で必要なコンテンツをリストアップし、既存で対応できるか新規作成が必要かを明確にしておきます。
失敗3:一度作って満足し改善されない
シナリオを稼働させたことに満足し、効果測定や見直しが全く行われないケースです。市場や顧客の状況は常に変化するため、同じシナリオが永遠に通用することはありません。
解決策:月に一度、マーケティング・営業合同でシナリオの成果を振り返る定例会を設定します。「このシナリオの商談化率が落ちているのはなぜか?」「コンテンツが古いのではないか?」といった議論を重ね、改善のアクションプランを決める。この改善の仕組みを文化として根付かせることが重要です。
まとめ:MAシナリオ設計の成功ポイント5つ
- ペルソナとカスタマージャーニーを土台にする:「誰に・いつ・何を・どのように」を曖昧にしたまま設計しない
- まずはシンプルなシナリオ1本から始める:完璧主義は最大の失敗原因。小さく始めてPDCAで精度を上げる
- コンテンツ計画をシナリオ設計と同時に行う:コンテンツ不足でシナリオが途中停止するのを防ぐ
- ROI可視化のKPIをSFAと連携させる:MQL数・商談化率・パイプライン貢献額まで追う
- SLAで営業連携を仕組み化する:ホットリードの定義・引き渡しルール・フォローアップ規約を明文化する
MAシナリオ設計の詳細な支援事例については以下も参照してください。

シナリオ設計は「作ること」より「成果に直結させること」が難しい
ペルソナ設計・カスタマージャーニーマップ・コンテンツ計画・営業SLA構築まで、MAシナリオ設計を「成果につながる仕組み」として実装するための伴走支援を行います。 Account Engagement・HubSpot・Marketoのいずれでも対応可能です。 80社以上の支援実績から、貴社の現状に合ったシナリオ設計の改善プランをご提案します。
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