「スコアリングルールが作れない」は卒業!失敗の根本原因を解消し、営業に信頼されるリードを生む実践的ステップ

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なぜ、あなたの作ったスコアリングルールは成果に繋がらないのか?
「スコアリングルールが作れない」に隠された、マーケティング担当者の本当の悩み
「MAツールを導入したのに、なぜか商談化率が上がらない」「営業に引き渡したMQLが“質が悪い”と突き返されてしまう…」。
もしあなたがこのような壁に直面しているなら、それは決してあなただけの悩みではありません。多くのマーケティング担当者が、リードスコアリングという強力な機能の前で立ち止まり、「自分のやり方が間違っているのではないか」と自信を失いがちです。
「スコアリングルールが作れない」という一言の裏には、単なる設定ノウハウの不足だけではなく、
営業部門と自部門で「良いリード」の定義が食い違っていることへの焦り
自社のビジネスに本当に合った基準が分からず、手探りで進める不安
成果を出さなければならないというプレッシャーの中で、相談相手がいない孤独感
といった、マーケティング担当者ならではの複雑な葛藤が隠されています。
しかし、ご安心ください。スコアリング設計の悩みは、個人の力量や知識だけで解決するものではありません。その根本的な解決策は、部門間の壁を取り払い、マーケティングと営業が手を取り合う“共創”の仕組みづくりにあります。
陥りがちな5つの失敗パターンとその背景
成果が出ない原因を特定するために、まずはよくある失敗パターンを見ていきましょう。これらは、多くの企業が知らず知らずのうちに陥ってしまう落とし穴です。
失敗1:良かれと思って作ったルールが、営業部門の求めるものとズレている
マーケティング担当者がデータを見て「この行動は確度が高いはずだ」と設計したルール。しかし、その基準で渡されたリードに対し、営業担当者は「まだ検討の初期段階だ」「話が噛み合わない」と感じている。これは非常によくある失敗です。
背景には、両部門で「理想の顧客像」や「今アプローチすべきタイミング」に対する認識が根本的にズレているという問題があります。このズレを放置したままでは、どれだけ精緻なルールを作っても、両者の溝は深まるばかりです。
失敗2:最初から完璧を目指し、複雑すぎるルールを設計してしまう
「あらゆる行動を網羅して、完璧なモデルを作りたい」という真面目さから、何十項目ものスコア項目や、細かすぎる点数設定をしてしまうケースです。しかし、複雑すぎるルールは形骸化への第一歩。運用現場では内容が理解されず、改善の議論もできなくなり、結果として誰にも使われない「お飾りの機能」になってしまいます。
失敗3:不正確なデータや不足している情報に基づいてスコアを付けている
MAツールに蓄積されたデータの質や量が不十分なまま、スコアリングを始めてしまうのも失敗の元です。いわゆる「Garbage In, Garbage Out(ゴミを入れれば、ゴミしか出てこない)」の原則通り、不正確なデータからは不正確なスコアしか生まれません。点数は高いのに一向に商談化しない、あるいは本当に有望なリードを見逃すといった問題を引き起こします。
失敗4:過去の行動に縛られ、スコアの「鮮度」が失われている
数ヶ月前の資料ダウンロードやWebサイト訪問といった行動も、現在の関心度を正しく反映しているとは限りません。顧客の関心は時間とともに変化します。スコアが時間経過で減衰する仕組みがないと、過去の活動でスコアが高いだけの「休眠リード」が、直近で活発な動きを見せている「ホットなリード」よりも優先されてしまうという本末転倒な事態が起こります。
失敗5:「一度作って終わり」になり、形骸化している
市場環境や顧客の行動、そして自社の戦略も常に変化します。それにもかかわらず、一度作ったスコアリングルールを何年も見直さずに使い続けてしまうと、モデルはどんどん現実と乖離していきます。定期的な見直しと改善のサイクルを回さなければ、スコアリングは機能しない仕組みになってしまうのです。
【Sells upの視点】スコアリング成功の鍵は、ルール設計の「前」にある
成果の9割は「営業とマーケティングの連携」で決まるという事実
私たちはこれまで多くの企業様をご支援する中で、ある共通の事実にたどり着きました。それは、リードスコアリングの成否を分ける最も重要な要素は、ツールの機能やルールの精緻さではなく、その前段階にある「営業とマーケティングの戦略的な連携」だということです。
どんなに優れたMAツールを導入しても、両部門が別々の方向を向いていては宝の持ち腐れです。成果を出し続けている企業は例外なく、スコアリングルールを作る前に、営業とマーケティングが「どんな顧客をターゲットにするのか」「どんな状態のリードを営業に渡すのか」を徹底的にすり合わせています。この強固な共通認識こそが、スコアリングという仕組みを動かすための揺るぎない土台となるのです。
部門間の対立をなくす共通言語「SLA(サービスレベルアグリーメント)」とは?
「今月は100件のMQLを渡しました」「いや、質の低いリードばかりで商談にならなかった」。このような不毛な対立をなくし、両部門が同じ目標に向かうために不可欠なのが、SLA(サービスレベルアグリーメント)です。
SLAとは、マーケティングと営業が、互いの役割と責任、そして共通の目標を明確に定義し、合意するための「共通言語」であり「契約書」です。SLAを策定することで、これまで曖昧だった「良いリード」の定義が明確になり、以下のようなメリットが生まれます。
マーケティングは自信を持って「これが合意したMQLです」と説明できる
営業はリードの質に対して、建設的なフィードバックをしやすくなる
部門間の責任範囲が明確になり、お互いの貢献が正しく評価される
営業に「質の高いリードをありがとう」と言われるためのSLA設計 3ステップ
では、具体的にどのようにSLAを設計すればよいのでしょうか。ここでは、明日から実践できる3つのステップをご紹介します。
Step.1:関係者を集め、過去の成功データから「理想の顧客像」を洗い出す
まず、マーケティングと営業の主要メンバーが一堂に会する場を設けます。ここで重要なのは、マネージャーだけでなく、日々顧客と対峙しているトップセールス担当者にも必ず参加してもらうことです。彼らの現場感覚こそ、データだけでは見えない「受注に繋がるリード」のヒントをくれます。
会議では、過去に受注した優良顧客のリストを元に、以下のような特徴を客観的なデータと現場の知見の両面から洗い出します。
属性情報:どんな業種、企業規模、役職の顧客が多かったか
行動情報:受注に至る前に、どんなWebページを閲覧し、どんな資料をダウンロードしていたか
課題・ニーズ:どのような課題を解決するために自社サービスを選んでくれたのか
この作業を通じて、「自社にとって本当に価値のある顧客とは誰か」という理想の顧客像(ICP:Ideal Customer Profile)を具体化します。
Step.2:双方納得の「MQL(Marketing Qualified Lead)」を定義する
理想の顧客像が明確になったら、次はいよいよMQLの定義です。MQLは、以下の2つの軸を組み合わせて定義するのが一般的です。
Fit(適合度):どんな「企業」の「誰」にアプローチすべきか?
これは、リードがStep.1で定義した理想の顧客像にどれだけ合致しているかを示す指標です。業種、従業員規模、役職、地域といった属性情報から、「自社サービスが最も価値を発揮できる相手かどうか」を判断します。
Intent(関心度):どんな「行動」を確度が高いと判断するか?
これは、リードが自社に対してどれだけ高い関心や購買意欲を示しているかを行動から判断する指標です。「価格ページの閲覧」「デモリクエスト」など、営業とすり合わせた「商談化に繋がりやすい行動」をリストアップします。
この2軸を組み合わせ、「Fit(適合度)が高く、かつIntent(関心度)も高いリード」をMQLとして正式に定義します。
Step.3:リードの引き渡しとフィードバックの明確なルールを決める
MQLの定義が固まったら、そのリードをどのように運用するかのルールを決めます。
引き渡しのルール:MQLの基準を満たしたリードを、どのタイミングで、どのような情報(行動履歴など)と共に営業へ引き渡すかを具体的に定めます。
フォローアップのルール:営業は引き渡されたリードに対し、「何時間以内に」「最低何回」アプローチするのかを約束します。
フィードバックのルール:最も重要なのがこのルールです。営業はフォローアップの結果(商談化した、時期尚早だった、など)を必ずマーケティングにフィードバックします。このフィードバックこそが、スコアリングの精度を改善していくための貴重なデータとなります。
【テンプレート付】すぐに使えるSLA設計ワークシート
SLAの議論を円滑に進めるために、以下のワークシートをご活用ください。これをたたき台に、自社に合った項目を加えていきましょう。
実践編:成果に繋がるスコアリングルールの具体的な作り方
強固なSLAという土台ができたところで、いよいよ具体的なスコアリングルールの設計に入ります。
顧客の「属性」と「行動」を掛け合わせる2軸評価モデル
前述の通り、スコアリングは「属性(Fit)」と「行動(Intent)」の2軸で評価するのが基本です。属性は「自社と相性の良い顧客か」を、行動は「今、どれだけ関心が高いか」を測る指標です。この2つを組み合わせることで、「理想的な顧客像」であり、かつ「今アプローチすべきタイミング」のリードを的確に抽出できます。
Fitスコア(グレーディング)の項目例と点数の考え方
Fitスコアは、企業の属性情報に点数を割り当てます。SLAで定義した理想の顧客像に合致するほど高得点になるよう設計します。
業種がターゲット業界:+15点
従業員数が100名以上:+10点
役職が部長以上:+15点
決裁権あり(フォーム回答):+20点
Intentスコアの項目例と行動の重み付け
Intentスコアは、顧客の行動履歴を数値化します。「成約に直結しやすい行動」ほど高い点数を設定するのがポイントです。
価格ページ閲覧:+20点
デモリクエスト:+50点
導入事例ダウンロード:+15点
ウェビナー参加:+10点
メルマガ開封:+2点
【アクション別】スコア設定の具体例とポイント
高関心度アクション(例:価格ページの閲覧、デモリクエスト)
購入意欲が非常に高いことを示す決定的な行動です。これらのアクションには、他の行動よりも高い点数(20点~50点)を割り当てます。特に「デモリクエスト」や「営業への問い合わせ」は、スコアに関わらず即座に営業へ通知するルールにするのが一般的です。
中関心度アクション(例:ウェビナー参加、資料ダウンロード)
課題解決のために積極的に情報収集している段階の行動です。10点~15点程度を目安に設定し、リードの検討度合いが上がってきているサインとして捉えます。
低関心度アクション(例:ブログ閲覧、メルマガ開封)
まだ認知・興味段階の行動です。単体では確度が高いとは言えませんが、継続的な関心を示す指標となります。1回あたり2点~5点と低めに設定し、ナーチャリングのきっかけとして活用します。
意外と重要。見込み違いのリードを除く「ネガティブスコア」
スコアを加算するだけでなく、減点するルールも非常に重要です。これにより、営業がアプローチすべきでないリードを自動的に除外できます。
採用ページの閲覧:-50点(求職者の可能性が高い)
フリーメールアドレスでの登録:-10点
競合企業のドメイン:-100点
メルマガの購読解除:-20点
スコアだけでは見えない確度を測る「BANT条件」の活用法
スコアが高くても、必ずしもすぐに商談化するとは限りません。そこで有効なのが、リードの質をより深く見極めるためのフレームワーク「BANT条件」です。
Budget(予算):製品を購入できる予算があるか
Authority(決裁権):導入の決定権を持っているか
Need(必要性):解決すべき明確なニーズがあるか
Timeline(導入時期):具体的な導入時期はいつか
これらの情報を、資料ダウンロードフォームなどに「ご検討時期」や「導入における立場」といった設問として追加し、その回答に応じてスコアを加算する仕組みも有効です。これにより、スコアリングの精度をさらに高めることができます。
「作って終わり」にしない。スコアリングを育て続ける改善プロセス
まずはシンプルに。データに基づいてルールを磨き上げる
スコアリング設計は、最初から完璧を目指す必要はありません。むしろ「最小限の項目・シンプルなルール」でスタートし、実際のデータに基づいて改善を繰り返していくことが成功の秘訣です。
具体的には、受注に至ったリードと失注したリードのデータを定期的に分析します。そして、「受注したリードに共通して見られた行動」のスコアを上げ、「商談化に繋がらなかった行動」のスコアを下げる、といったチューニングを行っていくのです。
スコアの鮮度を保つ「スコア減衰」の考え方と具体的な設定方法
リードの関心度は時間とともに変化します。
「3ヶ月前に資料請求したが、その後音沙汰なし」のリードを高評価し続けるのは非効率です。
【スコア減衰の設定例】
・30日間行動がなければ-20点
・60日間行動がなければさらに-30点
・定期的なアクションがあれば減衰をリセット
このように「最新の行動」に重きを置くことで、今アプローチすべきリードを見逃しません。
営業からのフィードバックを仕組み化し、モデルの精度を高める
スコアリングの精度を高める最大のポイントは、「現場の声」を反映し続けることです。
営業が「このリードは質が良い」「この条件は見込み違いだった」と感じた理由を、
SFAやCRMでコメント入力
月次のフィードバック会議
などの形で定期的に集め、ルールの見直しに活かしましょう。
定期的な見直し会議で、スコアリングモデルを進化させる
スコアリングを形骸化させないために、マーケティングと営業の合同で、四半期に一度はスコアリングの見直し会議を実施しましょう。
【会議のアジェンダ例】
MQLから受注までの転換率のレビュー
受注・失注データ分析の結果報告
営業現場からの定性的フィードバック
上記に基づく、スコアリングルールの改善案の討議
次四半期までのアクションプランの決定
このサイクルを回し続けることで、スコアリングは会社の「生きた資産」として進化し続けます。
【Sells upの視点】そのスコアリング、本当にあなたの会社に必要ですか?
スコアリングが機能しにくい、あるいは不要なケースとは?
スコアリングは万能な仕組みではありません。
特に以下のようなケースでは、スコアリングがかえって非効率になることもあります。
リード数が極端に少ない(毎月数件~十数件レベル)
営業が全リードに丁寧にアプローチできる体制
購買プロセスが単純かつ短期間で完結する商材
ターゲットが明確に絞られていて、属性要件だけで十分に選別できる場合
このような場合は、複雑なスコアリングルールを設けるよりも、シンプルな条件分岐や手動での目視判断の方が効果的なこともあります。
もう一つの選択肢:「トリガーベース」で機会を逃さないアプローチ
スコアリングの運用に悩む企業にとって、近年注目されているのが「トリガーベース」のアプローチです。これは、点数を積み上げるのではなく、特定の“ホットな行動”をきっかけ(トリガー)に、即座に営業へ通知する方法です。
https://ferret-one.com/blog/scoring
近年のBtoBマーケティングでは、細かくスコアリングするよりも、特定のトリガーとなるアクションを設計して、そのアクションをした人にアプローチをしていく方が効果的と言われています。検討度の高まったことが分かる行動を見逃さないようにするということです。
【トリガーの例】
「価格ページを30日以内に3回以上閲覧した」
「競合比較資料をダウンロードした」
このような決定的な行動を見逃さず、最速でアプローチすることで、商談機会を最大化します。この方法はルールがシンプルで分かりやすく、スピード感を重視したい場合に特に有効です。
まとめ:スコアリングは「作る」ものではなく、営業と「育てる」もの
この記事を通して、本当に大切なのは、完璧なルールを一人で作り上げることではない、ということがお分かりいただけたかと思います。
成功への道筋は、以下の通りです。
まず、営業部門を巻き込み、SLAという共通言語を作ることから始める。
シンプルなルールからスタートし、最初から完璧を目指さない。
そして、現場の声と客観的なデータを元に、粘り強く改善を繰り返していく。
スコアリングは「作って終わり」の静的な設定ではなく、会社全体で対話を重ねながら“育てていく”動的な仕組みです。焦らず、着実に、明日から一歩ずつ進めていきましょう。
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