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HubSpotスコアリングガイド|設定手順・SLA設計・運用改善を80社支援の経験に基づいて解説

HubSpotスコアリングの設定手順と営業連携SLA構築:80社支援の設計ノウハウ

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

目次

HubSpotのスコアリングは、見込み顧客の属性情報や行動履歴に点数を付けることで、営業がどのリードから優先的にアプローチすべきかを見える化するMA(マーケティングオートメーション)の機能です。

弊社にご相談いただく企業の中には、HubSpotでスコアリングを設定したにもかかわらず、営業担当者がスコアをほとんど見ず、結局はハウスリストの上から順に電話している、というケースが少なくありません。

本記事では、HubSpotスコアリングの基本構造や設定手順から、統計的な点数設計、SLAの構築、ROIの測り方、よくある失敗パターンとその対処法まで、80社以上の支援で得た知見をもとに整理してお伝えします。

HubSpotスコアリングとは:「営業が動く仕組み」を設計すること

HubSpotスコアリングとは、リードの属性情報(Fit)と行動情報(Engagement)を数値化し、マーケティングと営業の両部門が同じ基準で優先度を判断できるようにするための仕組みです。

スコアリングが形だけになってしまう企業に共通しているのは、まずツールの設定だけを先に進めてしまい、営業側との合意形成を後回しにしている点です。「スコアが何点になったら、誰が、何をするのか」といった運用ルールが決まっていなければ、スコアは画面の中で数字が増減しているだけの存在になってしまいます。HubSpotの機能自体がいくら優れていても、営業シーンで使われなければ意味がありません。

リードスコアリングそのものの考え方や設計の基本については、リードスコアリングの設計と営業連携の全体像で詳しく解説していますので、まずはこちらを押さえていただくと全体像がつかみやすくなります。本記事では、HubSpotというツールに絞って、具体的な設定と運用設計にフォーカスしていきます。

なぜスコアリングは「設定して終わり」になってしまうのか?

弊社が支援している企業で、営業担当へヒアリングをすると、「スコアは見ていない」「自分の感覚の方が当たる気がする」といった声が返ってくることがよくあります。ここでありがちなのが、「マーケティング側で一通り設定を済ませてから営業に説明しようとした結果、『なぜその基準なのか』という議論に巻き戻ってしまう」というすれ違いです。

スコアを営業に信頼してもらうには、設定前の段階でしっかり合意を取ることと、設定後も継続的にフィードバックをもらいながら調整し続けることの両方が欠かせません。片方だけでは、まずうまく機能しません。

スコアリングがもたらす3つの変化

変化内容
アプローチの優先順位がはっきりする確度の低いリードへの手当たり次第のアプローチを減らし、受注の見込みが高いリードに時間とリソースを集中できます。
部門間で共通言語ができるMQLの定義を一緒につくることで、「いいリード」のイメージのズレが小さくなり、連携がスムーズになります。
マーケティングROIを説明しやすくなるどの施策が、どれくらい質の高いリードを生み出しているのかを数値で追えるようになり、経営陣への報告もしやすくなります。

HubSpotスコアリングの基本構造:2つの評価軸と設計の考え方

HubSpotスコアリングは、「属性情報(Fit)」と「行動情報(Engagement)」という2つの軸を掛け合わせて、リードの優先度を判断する仕組みです。「そもそも自社のターゲットに合っているか」と「今まさに検討しているか」の両方が揃ったリードを見つけ出すことが、スコアリング設計の目的になります。

評価軸1:属性スコアで「ターゲットとのフィット感」を見る

属性スコアは、企業規模・業種・役職・所在地といった「そのリードがどのような会社・どのような立場の人か」を見て点数をつける項目です。あらかじめ定義したペルソナ像に近いほど、高いスコアがつくように設計します。

属性項目加点例設計の考え方
役職部長以上:+30点、課長クラス:+15点意思決定権の有無や影響力の大きさで重みを変える。
企業規模従業員100名以上:+20点自社の受注実績を見ながら、勝ちやすい規模帯に閾値を置く。
業種ターゲット業種:+15点受注顧客データを振り返り、成約率が高い業種に加点する。
所在地商圏内:+10点対応可能エリアや重点エリアが決まっている場合に活用する。

評価軸2:行動スコアで「今どれくらい熱いか」を見極める

行動スコアは、Webサイト上でのアクション(資料ダウンロード、料金ページの閲覧、ウェビナー参加、フォーム送信など)に点数を付けて、エンゲージメントの高さを数値化するためのものです。

弊社が支援してきたケースでは、属性よりも行動のスコアを重めに設計した方が、MQLから商談(SQL)への転換率が上がるケースが多く見られました。ただしこれは商材やターゲットによって変わるため、自社の受注データを使って検証しながらバランスを調整していくことが前提になります。

具体的な検証の進め方については、後半の「統計的アプローチ」の章で触れます。

ポジティブスコアとネガティブスコアをどう使い分けるか

加点だけを積み上げてネガティブスコアを設計しないままにしておくと、半年前に資料請求だけしてその後まったく動きのないリードと、今週デモを申し込んだばかりのリードが、同じ「高スコア」として並んでしまいます。

これが、営業から「スコアは当てにならない」と見なされてしまう典型的なパターンです。中でも一つ外したくないのが「採用ページの閲覧」に対する減点設定です。求職目的のアクセスを見込み顧客と同列に扱ってしまうと、スコアリングへの信頼が揺らいでしまいます。

種別具体例ねらい
ポジティブスコア(加点)役職が部長以上(+30点)、価格ページ閲覧(+20点)、ウェビナー参加(+25点)購買意欲が高い・ターゲットに合致したシグナルを浮かび上がらせる。
ネガティブスコア(減点)メール配信停止(-30点)、採用ページ閲覧(-50点)、90日間アクションなし(-15点)関心が薄れたリードや、競合・求職者など「追わなくてよい相手」を自動的に下げる。

手動スコアリングと予測リードスコアリング(AI):どう選べば良いか

HubSpotには、自分たちで条件と点数を決める「手動スコアリング」と、過去の成約・失注データをもとにAIが自動で成約確率を算出してくれる「予測リードスコアリング(Predictive Lead Scoring)」の2つの方式があります。

方式特徴向いている企業
手動スコアリング自社で決めたルールに沿って加点・減点していく方式。現場の感覚や営業の知見を、そのままスコアに落とし込めます。データの蓄積がまだ少ない企業や、HubSpot導入の初期フェーズにある企業。
予測リードスコアリング(AI)AIが過去の成約・失注データを学習し、「Likelihood to close(成約可能性)」などの指標としてスコアを算出します。成約・失注データが十分に蓄積されている企業。Marketing Hub Enterpriseプランで利用できます。

弊社としては、まずは手動スコアリングで「自社にとっての良いリード像」を言語化しつつ運用を回し、その中でデータがたまってきた段階でAIによる予測スコアリングを検討する、というステップをおすすめしています。予測スコアリングは、学習に使えるデータが少ないとどうしても精度が出にくいため、導入直後のフェーズでいきなり導入しても期待した成果が得られないことが多いからです。各プランで利用できる機能や条件は随時アップデートされるため、詳細はHubSpot公式サイトの最新情報も合わせて確認してください。

スコアリング設定から運用開始まで:4ステップで考える

HubSpotスコアリングを“設定して終わり”にせず、ちゃんと成果につなげるには、「まず営業との合意を固めてから、ツールの設定に入る」という順番を守ることがとても重要です。特に避けたいのは、「とりあえず触りながら決めていこう」という入り方です。先に設定を済ませてしまうと、あとから営業に説明した際に、「そもそもその基準は妥当なのか」という議論になってしまい、設定をし直すことになってしまいます。

Step.1:営業を巻き込み、MQLの定義を決める

MQL(Marketing Qualified Lead)は、「マーケティングとして営業に渡すに値するリード」をどう定義するか、という約束ごとです。スコアリングが機能するかどうかは、ツール以前に、この定義を営業と一緒に詰めているかどうかにかかっています。

弊社の支援先でも、MQLの定義を決める場にしっかり時間をかけた企業は、その後のスコアの改修回数が少なく、営業がスコアを日常的に見てくれる割合も高くなる傾向にありました。まずはマーケティングと営業でミーティングをひらき、「どういう状態になったら営業に渡すのか」を言語化するところから始めてください。

MQL定義で最低限押さえておきたい5つの観点:

  1. 必須となる属性条件:従業員規模・役職・業種など
  2. 必須となる行動条件:資料請求、ウェビナー参加、特定ページの閲覧など
  3. タイミングに関する条件:直近30日以内のアクションなど
  4. 過去の失注理由の棚卸し:営業が「これは違う」と感じたリードの共通点
  5. スコアの閾値の仮置き:最終的にHubSpot上で何点以上をMQLとみなすか

Step.2:スコアリングの基準と点数を組み立てる

MQLの定義が固まったら、それを具体的なスコア項目と点数に落としていきます。ここでポイントになるのは、過去の受注データを振り返り、「勝ち案件に共通していた属性」や「成約に効いていた行動パターン」をきちんと洗い出すことです。この作業の質が、その後のモデルの精度をほぼ決めてしまいます。

カテゴリ行動・属性の例推奨スコア
高価値(すぐ営業に回す)デモ依頼、料金ページの閲覧、製品資料のダウンロード、問い合わせフォーム送信+30〜50点
中価値(ナーチャリング継続)導入事例のダウンロード、ウェビナー参加+10〜20点
低価値(関心の入り口)ブログ記事の閲覧、メール開封+1〜5点
ネガティブ(関心低下・対象外)メール配信停止、採用ページ閲覧、90日間アクションなし-15〜-50点

Step.3:HubSpot側でスコアリングを設定する

HubSpotでのスコア設定には、大きく分けて2通りのやり方があります。ひとつは従来からある「HubSpotスコア」プロパティを使う方法、もうひとつは新しく提供されている「リードスコアリングツール」(コンタクト・会社・取引ごとにスコアプロパティを作成できる機能)を使う方法です。機能名や画面の構成はアップデートで変わることがあるため、実際に設定する際には、あらかじめ公式ナレッジベースで最新の情報を確認しておくと安心です。

基本的な設定の流れは、どちらの方法でも大きくは変わりません。

  1. HubSpotの管理画面右上の歯車アイコンから「設定」→「プロパティ」を開く。
  2. 検索窓でスコア関連のプロパティを探し、設定したいスコアプロパティを選択する。
  3. 「スコア条件」セクションの「条件を追加」ボタンから、フォーム送信・ページ閲覧回数・役職など、加点・減点したい条件を追加する。
  4. ポジティブスコアは「肯定的スコア」エリア、ネガティブスコアは「否定的スコア」エリアに、それぞれ条件と点数を設定する。
  5. 最後に「保存」をクリックして、設定を反映させる。

設定時によくあるつまづきと、その防ぎ方:

よくあるミス原因対処のポイント
メール開封に点数を盛りすぎる開封はエンゲージメントが低いにもかかわらず、5〜10点など高めのスコアをつけてしまう。開封は1〜2点に抑えるのがおすすめです。ここを盛りすぎると、スコアインフレの主な原因になります。
ネガティブスコアを入れていない加点だけを設定してしまい、休眠リードがいつまでも高スコアのまま残る。一定期間アクションがない場合の自動減点を必ず設定し、スコアを徐々に落とすようにします。
全リードを1つのモデルで見てしまう製品やターゲットが複数あるのに、1つのスコアプロパティでまとめて評価しようとする。製品やペルソナごとにスコアプロパティを分けることを検討してください。利用できるプロパティ数の上限はプランや設定によって異なるため、最新の公式情報を確認しておくと安心です。

Step.4:設定したスコアをテストし、調整する

ひと通りスコア条件を入れたら、「スコア条件をテスト」機能などを使って、実際のコンタクトにどうスコアがついているかを確認します。スコアの分布を見て「ほとんどのリードが同じような点数に固まっていないか」「明らかに対象外のリードが上位に紛れ込んでいないか」をチェックし、営業にもテスト結果を共有して、現場の感覚とのギャップがないかフィードバックをもらいます。

最初から完璧なスコアモデルをつくろうとするよりも、まずはシンプルなルールで走らせてみて、営業からのフィードバックと実際のデータを見ながら、調整していく方がうまくいきます。

スコアリングの精度を上げるための「統計的な考え方」

「一応スコアはつけてみたけれど、この点数配分で本当に合っているのか、自信が持てない」。こうしたご相談をいただくことは少なくありません。

弊社では、受注データをもとにロジスティック回帰分析を行い、各行動と受注確率との関係を定量的に可視化したうえで、スコアの重み付けを決めています。

受注データからスコアを「逆算」する

これまでの支援で見てきた感触としても、行動の種類によって受注確率への効き方は大きく違います。分析のステップは、おおまかには次のような流れです。

まず、受注か失注かのフラグがついたリードデータを集め、資料ダウンロードやフォーム送信などの行動を変数として用意します。次に、変数同士のスケールを揃えるために標準化を行い、ロジスティック回帰を回して各行動の係数を算出します。係数が大きい行動ほど受注への寄与が大きいと考えられるため、その大小を見ながら「この行動は+40〜50点」「この行動は+15〜20点」といった具合にスコアレンジを決めていきます。

行動受注確率との関係(社内分析の傾向)推奨スコア帯
フォーム送信(問い合わせ)強い正の関係が見られる+25〜50点
料金・サービスページ閲覧比較的強い正の関係が見られる+15〜25点
資料ダウンロード中程度の正の関係が見られる+15〜20点
導入事例ページ閲覧やや中程度の正の関係が見られる+10〜15点
メール内のリンククリック弱い正の関係が見られる+5点
メール開封ほとんど関係が見られない+1〜2点

この結果から分かるのは、メール開封を何度重ねても、受注確率にはほとんど影響がない、ということです。開封に高いスコアをつけてしまうと、「メールを開いてくれてはいるが、まったく検討に入っていない」リードばかりが上位に来てしまい、営業の感覚とどんどん乖離していきます。一方で、料金ページの閲覧などは、具体的な検討に入っているサインとして非常に重要な行動です。

RFEの重み付けで「いまの温度感」を表現する

RFEとは、Recency(直近性)、Frequency(頻度)、Engagement(行動の質)の3つの軸で、リードの「いまどれくらい温度感が高いか」を評価する考え方です。

弊社の分析では、Engagementの重みが相対的に高くなり、「いつ・何回触れているか」よりも「どの行動を取ったか」の方が、受注確率に強く効いている傾向が見られるケースが多くあります。

たとえば、支援先のデータを見ていると、毎週のようにメールを開いているリードよりも、一度だけ料金ページをじっくり見ているリードの方が、商談につながるケースが多く出てきます。「どれだけ触れているか」よりも「どんなアクションを取ったか」を重視する設計に切り替えることが、スコアリングの精度を上げるうえで重要なポイントです。

スコア減衰:時間経過をどう織り込むか

スコア減衰は、一定期間行動が見られなかったリードのスコアを、自動的に下げていくための仕組みです。弊社では、180日間まったくアクティビティがないリードには、大きめの減点を入れる設定を推奨しています。HubSpotでは、「最終アクティビティの日付が180日以上前」という条件にネガティブスコアをつけることで、こうした減衰を実装できます。

減衰を入れていないと、半年前に資料を一度ダウンロードしただけのリードが、今週ウェビナーに参加したばかりのリードと同じ扱いになってしまいます。「今、誰から優先して動くべきか」を常にリストの上位に反映させるためにも、スコア減衰は最初の段階から設計に組み込んでおくことをおすすめします。

実際に設定するときに意識したいこと

統計的なアプローチは有効ですが、そもそも受注データの件数が少ない場合は、分析結果が安定しません。データが少ないタイミングでは、「デモ申し込み」「料金ページ閲覧」「製品資料ダウンロード」といった、購買意思が出やすい行動だけに高いスコアを集中させる、シンプルな設計から始めるのがおすすめです。そのうえで、データがたまってきたら改めて分析をかけ、細かい点数の微調整やRFEの重み付けの見直しを行っていくと、無理なく精度を高めていけます。

スコアリングを「仕組み」に落とし込むSLA設計

SLA(Service Level Agreement)は、「どういうリードをマーケティングから営業に渡すか」「営業はいつまでにどう動くか」「その結果をどうマーケティングに返すか」といった約束ごとを文書に落としたものです。

スコアリングがうまく回らないとき、原因として真っ先に指摘されるのは「ツールの使い方」ではなく、「営業がスコアを活用していない」という点です。よくあるパターンとして、「マーケティング側ではリードを渡したつもりでも、営業側では優先度が分からず後回しになり、その結果『マーケティングは頑張っているのに商談が増えない』という状態に陥る」というものがあります。SLAは、こうしたすれ違いを防ぐための土台になるものですが、肝心なのは「誰が・何をしたら・次に何が起きるか」を、実務レベルで迷いが出ないくらいの粒度まで具体化することです。

複数ツールをまたいだスコアリングモデル全体の設計については、スコアリングモデルの設計と運用の全体像でも紹介していますので、あわせてご覧ください。

SLAに入れておきたい6つの項目

  1. 共通の目標(MQL数・商談化率など):マーケと営業の双方が納得できる数値目標を設定する。
  2. MQLのはっきりした定義:スコアの閾値・必要な属性条件・必須行動を文章に落とし、曖昧さを残さない。
  3. リード引き渡しのプロセス:どのタイミングで、どの方法(HubSpot上の所有者変更、Slack通知など)でリードを渡すかを決める。
  4. 営業側のフォロー義務:「MQLを受領してから24時間以内に初回連絡」「最低3回はアプローチを試す」など、具体的な行動ルールを定める。
  5. リード評価とフィードバック:営業がフォローした結果(商談化・時期尚早・対象外など)と、その理由をマーケに返す流れを作る。
  6. 定期的なレビュー:月次または四半期ごとに合同ミーティングを設け、SLAとスコアリングモデルの見直しを行う。

HubSpotのワークフローで、SLAを自動化する

HubSpotのワークフロー機能を使うと、SLAで決めた多くのルールをそのまま自動化できます。例えば、スコアが一定以上になったタイミングで営業担当にSlackやメールで通知したり、自動的にフォローアップタスクを作成したり、スコア条件に応じて特定のナーチャリングリストに追加したり、といった設定が可能です。

  • スコアが閾値を超えたら、担当営業にSlackまたはメールで通知する。
  • 同時に、HubSpot上でフォローアップタスクを自動作成する。
  • スコアのレンジに応じて、ホット/ウォーム/コールドなどのリストに自動で出し入れする。

スコアリングのROIをどう測るか:回し続けるためのPDCA

スコアリングのROIを測るというのは、「マーケティング施策が、どれだけ質の高いリードを生み出し、最終的に売上にどれくらい貢献したか」を数字で示すことです。実務的には、MQL→SQLの転換率を主な軸としつつ、スコアの設計が受注にどの程度効いているかを定期的に振り返っていくイメージです。

HubSpotレポートで見ておきたい指標

指標意味見るときのポイント
MQL数・SQL数マーケが創出したリードのうち、有望と判定されたリード数と、営業が商談として受け取った件数。MQL→SQL転換率が上がっているかどうかが、部門間の目線が揃っているかを見る一つの物差しになります。
スコア帯別の受注率スコアが高いリードほど、実際の受注率も高くなっているかどうか。スコアの高低と結果が連動していない場合は、モデルの見直しが必要です。
マーケティングROI(スコアリングによる売上増分 − スコアリング運用コスト)÷ 運用コスト × 100 で算出する指標。マーケティングの投資対効果を経営層に説明する際の材料として活用できます。

マーケティングと営業の定例会で話しておきたいこと

  1. 前月のKPI(MQL数、MQL→SQL転換率など)の結果を共有する。
  2. 受注・失注したリードを振り返り、スコアと結果がどの程度リンクしていたかを見る。
  3. 営業から見て「スコアは当たっていたか」「違和感があったか」といった定性的な声を出してもらう。
  4. スコア条件や点数の見直し案をすり合わせる。
  5. 次回までに実行するアクションを決める。

弊社の支援事例:日本テレビアート様・SmartHR様の場合

最後に、弊社が実際にご支援したケースを2つご紹介します。どちらの企業様も、スコアリングの前に「マーケティング基盤の整備」と「営業との合意形成」にしっかり時間をかけたことが、結果につながった共通点です。

株式会社日本テレビアート様では、マーケティングの専門人材がいない状態からスタートし、HubSpotへの移行、リード情報の集約、メールマーケティングの設計を順番に進めていきました。Meta広告とコンテンツマーケティングを組み合わせた結果、月間の広告予算をおおよそ10万円に抑えながら、多い月で100件を超えるリードを安定的に獲得できる体制を構築できました。電話でのフォローが追いつかなくなったため、インサイドセールスチームを立ち上げ、トークスクリプトの整備も含めて伴走しています。

株式会社SmartHR様では、Account Engagement(旧Pardot)を導入したものの、社内に運用経験のあるマーケターがいない状態からご相談をいただきました。2024年1月から、SmartHRユーザーの行動データにもとづくトリガーメールの配信を開始し、この1年で、当初掲げていた問い合わせ目標に対して、実績値が約10倍近くまで伸びる結果になりました。

どちらの事例にも共通しているのは、「ひとまずツールを動かしながら考える」のではなく、「まず営業も含めて設計の合意を取り、そのうえでツールをその実現手段として使う」という順番を徹底したことです。HubSpotスコアリングも、まさに同じ考え方で設計・運用していくことが重要です。


新規事業の舞台裏。広告予算10万円で毎月100件のリードを創出し、顧客に“デザインの力”を届けるまで

新規事業立ち上げの一環として立ち上げられた株式会社日本テレビアートのビジネスプロデュース室では、新しいサービスの企画から新規顧客との接点創出と販路の拡大に悩みを抱えていました。こうした課題解決を目的とした弊社との取組みでは、サービス企画から広告の運用、MAの導入まで幅広い支援サービスをご提供させていただきました。

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1年間で約10倍の問い合わせ数を獲得!急成長のマーケチームを支えたMA活用支援の裏側に迫る

SmartHR Plusのプラットフォーム事業部が、Account Engagement導入初期にSells upのMA活用支援を活用した事例。社内知見ゼロの状態からトリガーメール・スコアリング設計・40超のフォーム構築まで一貫支援し、1年で問い合わせ数約10倍を達成。マーケチーム立ち上げ期にMA成果を最速で出す支援の全貌を公開。

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HubSpotスコアリングで陥りがちな失敗と、その避け方

スコアリングはうまくハマると非常に効果的ですが、設計を誤るとかえって現場を混乱させてしまうこともあります。ここでは、弊社が実際に見てきた「やってしまいがちなパターン」とその対処法をご紹介します。

失敗パターン1:誰もが高スコアで、優先順位がつかない

加点条件ばかりを積み上げてネガティブスコアを設定しないままにしていると、ほとんどのリードが高スコアになってしまいます。この状態では、「誰から行くのが正解なのか」が見えず、スコアリングがない状態とあまり変わりません。採用ページや競合ドメインのアクセスなど、そもそも対象外とみなすべきリードには大きめの減点を入れるなど、思い切った線引きをすることが有効です。

失敗パターン2:スコアが古いままで、「今」優先すべき相手が分からない

スコア減衰を入れていないと、半年前に少しだけ動きがあったリードが、いつまでも高スコアのまま残ってしまいます。90〜180日間アクティビティがないリードには、自動的に減点を入れるルールをワークフローで設定しておくことで、「今アクティブな層」が上位に出てくるようになります。

失敗パターン3:スコアを絶対視し、営業の感覚を軽視してしまう

スコアはあくまで「判断材料のひとつ」であり、現場の感覚を置き換えるものではありません。実際の営業シーンでは、スコアが高くても「担当者との相性」や「社内事情」などの理由で商談にならないケースも多々あります。定例のレビュー会の中で、スコアと現場の感覚のズレをきちんと言語化し、それをモデルの改善に反映していくサイクルを回すことが大切です。

失敗パターン4:一度決めたモデルを放置し、環境変化に追いつかない

市場環境や自社のターゲット、提供価値が変わっているのに、スコアリングモデルだけが数年前のまま、というケースも少なくありません。この状態では、実態から乖離した基準でリードを判定し続けることになります。月次〜四半期のタイミングで、SLAとあわせてスコアリングの条件や配点を見直すことをルール化しておくと、モデルの陳腐化を防げます。

スコアリングとナーチャリング施策をどう連携させればよいかについては、ナーチャリングの効果測定と改善サイクルの設計も参考になるはずです。

まとめ

HubSpotスコアリングは、属性情報と行動情報の2軸を組み合わせて、「今どのリードからアプローチすべきか」を可視化するための仕組みです。ツール上の設定自体は、HubSpotの管理画面から数ステップで完了しますが、本当に成果につなげるには、その前段階として営業との合意形成やSLAの設計をしっかり行っておくことが欠かせません。

スコアの配点を決める際には、受注データをもとに各行動と結果の関係性を分析する統計的なアプローチを取り入れると、納得感の高いモデルをつくりやすくなります。料金・サービスページの閲覧や資料ダウンロードは受注と強い関係があり、メール開封はほとんど関係がない、という傾向は、弊社が支援している複数の企業のデータにおいて共通しています。変数の選定、標準化、係数からスコアレンジを決める、というプロセスを踏むことで、「なんとなくの感覚」から「データに基づいた設計」へと一段ステップアップできます。

スコアリングで成果を出している企業に共通しているのは、最初から完璧なモデルを目指すのではなく、シンプルなルールで運用を始め、営業からのフィードバックと実データをもとに少しずつ磨き込んでいる、という点です。HubSpotのワークフローなど自動化機能も活用しながら、月次や四半期ごとのレビューでモデルを育てていく姿勢が、長期的な成功につながります。

よくある質問

HubSpotスコアリングとは何ですか?

HubSpotスコアリングは、リードの属性情報(企業規模、役職、業種など)と行動情報(ページ閲覧、資料ダウンロード、フォーム送信など)に点数をつけ、営業の優先度を数値で見えるようにする機能です。これにより、マーケティングと営業が「誰から攻めるか」を共通の物差しで話せるようになります。

HubSpotスコアリングの設定はどこから行いますか?

HubSpotの管理画面右上の歯車アイコンから「設定」→「プロパティ」を開き、スコア関連のプロパティを検索して設定したいプロパティを選択します。「スコア条件」セクションの「条件を追加」から加点・減点したい条件と点数を設定し、「保存」をクリックすれば基本的な設定は完了です。UI上の名称や場所はアップデートで変わることもあるため、実際の操作時にはHubSpot公式のナレッジベースもあわせて確認してください。

予測リードスコアリング(AI)はどのプランで使えますか?

予測リードスコアリング(Predictive Lead Scoring)は、現時点ではMarketing Hub Enterpriseプランで提供されています。「Likelihood to close(成約可能性)」などの指標として、リードの優先度付けに活用できます。対象プランや仕様はアップデートされる可能性があるため、最新情報はHubSpot公式サイトをご確認ください。

スコアリングを設定したのに、営業が使ってくれません。何が問題でしょうか?

多くの場合、ツール自体の問題というより、設定前の段階で営業と十分な合意形成ができていないことが原因です。「なぜこのスコアになるのか」「スコアが何点を超えたら何をすべきか」をあらかじめ一緒に決めていないと、現場では使われません。SLAとしてマーケと営業の役割と約束事を文書に落とし、フォローの期限や回数、レビューの場を仕組みとして設けることで、徐々に浸透していきます。

ネガティブスコアは本当に必要ですか?

実務上は、ネガティブスコアを設定することを強くおすすめします。加点だけを積み上げていくと、時間の経過とともにスコアが膨らみ続け、休眠リードや対象外リードがいつまでも上位に残ってしまいます。採用ページの閲覧や競合ドメインのメールアドレス、一定期間アクティビティがないリードなどには、しっかり減点を入れていくことで、スコアの信頼性が大きく高まります。

製品ラインが複数ある場合、スコアリングはどう設計すればいいですか?

製品ラインやペルソナ、地域などの単位でスコアプロパティを分けて設計するのがおすすめです。1つのスコアで全製品を見ようとすると、条件が増えすぎて設計も運用も複雑になりがちです。まずは主力製品や最重要ターゲットに絞ってシンプルなモデルを作り、そこから徐々に拡張していくのが現実的です。利用できるスコアプロパティの上限はプランや環境によって異なるため、事前にHubSpotの公式情報で確認しておくと安心です。

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。KGI逆算によるKPI設計・リードスコアリングの統計的設計・営業連携SLAの構築を含むMA活用支援を、業界・規模を問わず80社以上に提供してきた実績を持つ。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。