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マーケティングオートメーション SaaS型ツールの選び方と比較【2026年版・BtoB向け】

BtoB向けSaaS型MAツール選定の5軸と主要製品比較・導入後の運用設計

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

目次

マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み顧客の獲得から育成、そして営業への引き継ぎまでを一括して自動化するためのITシステムです。

弊社にご相談いただく企業の中には、SaaS型のMAツールを導入したものの、「自社に合うツールがわからない」「導入したがうまく活用できていない」といった状況に陥っているケースが少なくありません。

本記事では、SaaS型MAツールの基本的な考え方、選定時に見るべき5つの軸、主要ツールの比較、導入後の運用設計までを、弊社の支援経験を踏まえて整理します。

マーケティングオートメーション(MA)とは?SaaS型ツールの定義と役割

マーケティングオートメーション(MA)は、見込み顧客の獲得・育成・営業への引き継ぎといった一連のマーケティング活動を自動化するためのITシステムです。SaaS型のMAツールはクラウド上で提供されるため、初期費用を抑えて小さく始められる点が特徴です。BtoBマーケティングでは、リードスコアリングや営業との連携設計が成果を大きく左右し、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)と連携することで、リード獲得から受注後の顧客維持までを一貫したデータで追えるようになります。

MAツールの定義|マーケティングオートメーションとは何か

MAツール(マーケティングオートメーションツール)とは、Webサイトのアクセス解析、メール配信、スコアリング、シナリオ設計などのマーケティング施策を自動化し、見込み顧客の育成から営業への引き渡しまでを効率的に進めるためのソフトウェアです。

BtoBマーケティングでは、多くの場合、複数の担当者が関わり、検討期間が長いセールスサイクルを管理する必要があります。そのなかで、リードの行動履歴を見える化し、「いつ・誰に・どのように」アプローチするかを仕組みとして回す役割を、MAツールが担います。

SaaS型MAの特徴|オンプレミス型との違い

SaaS(Software as a Service)型のMAツールは、クラウド上で提供されるMAサービスです。オンプレミス型と比べた際の主な特徴は次の4点です。

  • 初期費用を抑えやすい:自社でサーバーを用意したりソフトウェアをインストールしたりする必要がないため、導入コストを抑えてスタートできます。
  • アップデートが自動反映される:機能追加やセキュリティ対応はベンダー側で行われるため、ユーザー側で更新作業を行う必要がほとんどありません。
  • 小さく始めて段階的に拡張できる:月額課金型のプランが多く、リード数や利用機能に合わせてプランを見直しながら拡張していけます。
  • 場所を問わず運用できる:インターネット環境さえあればどこからでもアクセスできるため、拠点が分かれている組織でも共通の基盤として利用できます。

現在、BtoBマーケティングで検討される主要なMAツールの多くは、こうしたSaaS型で提供されています。

MA導入全体の戦略設計については、BtoBにおけるMA導入の全体設計でより詳しく解説しています。

MA・SFA・CRMの役割の違い|BtoBのツール全体像

MAツール、SFA、CRMは、それぞれ役割が異なります。ざっくり言えば、MAはリードを育てるためのツール、SFAは営業担当が商談を管理するためのツール、CRMは受注後の顧客との関係を継続的に深めるためのツールです。

  • MAツール:見込み顧客の獲得・育成・スコアリング・営業への引き渡しを担う、マーケティング領域向けのツール。
  • SFA(Sales Force Automation):営業担当者が引き継いだ後の商談プロセスや案件管理、クロージング支援を担う、営業領域向けのツール。
  • CRM(Customer Relationship Management):受注後の顧客との継続的なコミュニケーションやアップセル・クロスセルを含めた関係維持、LTV(顧客生涯価値)の最大化を支援するツール。

これら3つのツールは、単体でも使えますが、データを連携させることで「リード獲得から受注・その後のフォローまで」を一連の流れとして管理できるようになります。MAツールを選ぶ際は、すでに使っているSFAやCRMとどこまで連携できるかを、必ず事前に確認しておくことが大切です。

実際、弊社にご相談いただくご担当者の多くが、「どこまでがMAの役割で、どこからがSFAやCRMなのか」という線引きをはっきりさせないままツール選定に進んでしまっています。選定を始める前に、社内であらかじめ役割分担を整理しておくと、その後の議論がスムーズになります。

SaaS型MAツールを導入すべき企業・すべきでない企業

SaaS型MAツールを導入すべきかどうかは、「自社のリード数や体制、セールスサイクルの長さが、MAの仕組みを活かせる状態にあるか」で判断します。導入して成果が出やすい企業にはある程度共通した特徴があり、逆に、現時点ではMAを入れても力を発揮しにくいケースも存在します。どちらに近いかを先に見極めておくことが、ツール選定の失敗を防ぐ第一歩です。

MAツールの導入効果が出やすい企業の特徴

これまで多数のMA導入を支援してきた中で、導入効果が出やすいと感じる企業には、次のような傾向があります。いずれも弊社の支援経験に基づく目安であり、業種や商材によって変わる点はあるものの、ひとつの参考軸としてご覧ください。

  1. 月間のリード獲得数がある程度ある(弊社経験上の目安:数十件前後以上):スコアリングやシナリオ設計を機能させるには、一定量のリードデータが必要です。リード数がまだ少ない段階では、MAの自動化よりも、まずリード獲得施策を強化する方が優先順位は高いと考えています。
  2. セールスサイクルがある程度長い(弊社経験上の目安:数週間〜数ヶ月程度):BtoBの商材は検討期間が長くなりがちなため、その期間に合わせて継続的なナーチャリングを行う仕組みがあると効果が出やすくなります。即日〜数日で受注が決まるような商材では、MAの育成シナリオはオーバースペックになりやすいです。
  3. インサイドセールスや専任のマーケターがいる:MAツールは、導入して終わりではなく、設定やコンテンツ、シナリオを継続的に見直していく必要があります。専任で運用を担える人材がいないと、「導入したものの手を付けられず止まってしまう」という事態になりがちです。

MA導入後に成果を上げている企業とそうでない企業の違いについては、MAツール活用で成果を出す方法でも整理しています。

MAツールが機能しにくいケース|導入前に確認すべき3つの注意点

一方で、次のような状態で高額なMAツールを導入することは、あまりおすすめしていません。ツールの前に取り組むべき組織的な課題が残っているケースが多いからです。

  1. リードデータがまだ少ない段階:スコアリングもシナリオも、データがほとんどない状態では検証が難しく、設定を変えても成果の違いが見えづらくなります。まずはリードを増やすための施策に投資した方が、結果としてMAも活きやすくなります。
  2. 営業とマーケティングの役割が整理されていない:「どのような状態のリードを営業に引き渡すのか」という合意がないままMAを入れてしまうと、スコアやシグナルが活かされず、結局は「リストの上から順に電話する」という従来のやり方に戻ってしまいます。実際に、こうした理由で最初のMA導入が停滞してしまった企業も少なくありません。
  3. スコアリング設計を担える人材がいない:MAのスコアリング機能は、デフォルト設定のままでは十分に機能しません。どの行動に何点を付けるか、どのような条件で営業に引き渡すかを考え、継続的に調整していける人が必要になります。

SaaS型MAツールの主要機能と選定で見るべき5つの軸

SaaS型MAツールを選ぶときは、自社の課題や規模、すでに使っているツール環境を踏まえて、「どのツールが自分たちに合うか」を判断していく必要があります。機能が多いかどうかではなく、「自社の課題をどこまで解決してくれるか」という視点で見ていくことが、導入後の成果に直結します。

実際にご相談いただいた企業では、高機能なツールを選んだものの、導入から数ヶ月で設定が止まってしまったケースもあります。その企業の担当者からは、「説明を聞いているときはどの機能も魅力的に感じたのですが、いざ自分たちで触ってみると設定項目が多すぎて、どこから手を付ければいいのか分からなくなってしまって」という声もありました。根本的な原因は、ツール側の機能の豊富さと、自社の運用体制のギャップでした。

SaaS型MAが備える主要機能の一覧

代表的なMAツールには、おおむね次のような機能が備わっています。

機能名内容BtoBでの主な用途
リード管理見込み顧客の属性情報や行動履歴を一元管理する機能展示会・Webサイト・名刺交換など、さまざまな経路で獲得したリードの情報をまとめて管理する
スコアリング行動や属性に応じて購買意欲を数値化する機能MQL(マーケティングが営業に渡すべきリード)の自動判定などに活用する
メール配信一斉配信やステップメール、行動トリガーに応じたメールの配信を行う機能継続的なナーチャリングや、特定アクション後のフォローメール配信に活用する
シナリオ設計リードの行動に応じて、次に行う施策を自動で分岐・実行する機能資料ダウンロードや料金ページ閲覧後のフォローなど、段階的なコミュニケーション設計に活用する
フォーム作成問い合わせ・資料ダウンロード・セミナー申し込みなどのフォームを作成・管理する機能リード獲得の入口となるフォームを自社で柔軟に設計・改善していくために活用する
分析レポートメール開封率やクリック率、MQL転換率、商談化率などを集計・可視化する機能施策の振り返りや、経営層へのレポーティング、ROIの説明に活用する

選定で見るべき5つの軸|目的・規模・連携・操作性・サポート

ここからは、弊社がツール選定を支援する際に必ず確認している5つの観点をご紹介します。この5つをもとに自社の状況を整理してから製品比較に進むことで、「導入してみたら必要な機能が使えなかった」「想定していた連携ができなかった」といったミスマッチをかなり避けられます。

  1. SFAとの連携可否:現状使っているSFA(Salesforce、HubSpot、kintoneなど)と、どの程度リアルタイムかつ双方向にデータ連携できるかを確認します。連携が片方向のみだったり、手作業に頼らざるを得ない場合、営業側での活用余地が大きく制限されます。
  2. リード数に応じた料金体系:現在の月間リード数と、1年後に想定されるリード数を見積もり、その規模での料金を事前に確認します。リード数課金型のツールは、導入時は安価に見えても、リードが増えてきたタイミングで想定以上にコストが増えることがあります。
  3. ノーコードで運用できるか:シナリオやフォームの設定に、エンジニアの手を借りずにマーケターが操作できるかどうかを確認します。マーケ担当1〜2名程度の体制であれば、ノーコードで扱えることが、継続運用の大きな条件になります。
  4. BtoB向けスコアリング機能の有無:役職・業種・会社規模などの属性スコアと、ページ閲覧やメールクリック、資料ダウンロードなどの行動スコアを組み合わせた二軸のスコアリングができるかどうかを確認します。行動スコアだけの設計だと、BtoBでは見込み度合いをうまく判別できないケースが出てきます。
  5. 日本語サポートと導入支援の質:初期設定のサポートがあるか、定例ミーティングや日本語のドキュメントがどれくらい整っているかを事前に確認します。初めてMAを導入する組織にとっては、この立ち上げフェーズの伴走が成果を左右することが多いです。

この5つの軸で自社の優先順位を整理しておくと、このあと紹介する7つのツールの中から、どれを候補にすべきかが見えやすくなります。例えば「SFAとしてSalesforceを使っており、営業との連携を最優先したい」という企業であれば、自然とAccount Engagementが有力な選択肢に上がってきます。

BtoB向けとBtoC向けMAの違い|SaaS企業が注意すべき選定ポイント

BtoB向けのMAとBtoC向けのMAの違いは、端的に言うと「意思決定プロセスの複雑さ」にどこまで対応できるかです。BtoBでは、ひとつの案件に複数の担当者や決裁者が関わることが一般的で、個人単位だけでなく、企業や部門単位でのコミュニケーション設計やスコアリング(いわゆるABM:アカウントベースドマーケティング)が求められます。

検討期間も数ヶ月に及ぶことが珍しくなく、そのあいだ継続的にナーチャリングシナリオを走らせる必要があります。BtoC向けのMAをBtoBで流用しようとすると、複数の担当者に対して適切に情報を届けたり、アカウント単位でスコアリングしたりする機能が不足しているケースがありますので、この点は選定時に注意して見ておきたいポイントです。

【2026年版】SaaS型MAツール主要製品の比較

ここからは、BtoBマーケティングに取り組む企業向けに、弊社が選定や導入を支援してきた製品を中心に、7つのSaaS型MAツールをご紹介します。自社の規模、SFAの環境、運用体制の3つの観点から候補を絞り込んだうえで詳細比較に進むと、ツール選びがスムーズになります。

なお、各ツールの料金やプランは変更されることがあります。最新情報は必ず各社の公式サイトでご確認ください(本比較は2026年5月時点の公開情報をもとにしています)。

HubSpot Marketing Hub|中小〜中堅のBtoBマーケティングに取り組む企業向け定番

HubSpot Marketing Hubは、MA・SFA・CRMをひとつのプラットフォームとして提供する、オールインワン型のSaaS型MAツールです。無料プランからスタートでき、その後の成長に合わせて有料プランへ段階的に移行していくことができます。

向いている企業:社員数50〜300名程度で、MA・SFA・CRMをまとめて管理したい企業。すでにHubSpot CRMを利用している場合は、追加開発なしでスムーズに連携できる点もメリットです。

注意点:スコアリングを細かくチューニングしたい場合には、上位プランへのアップグレードが必要になるケースがあります。また、複雑なシナリオ分岐の設計については、MarketoやAccount Engagementと比べると柔軟性に制約を感じる場面もあります。

HubSpotの機能や初期設定の進め方については、HubSpotの使い方と初期設定で詳しく紹介しています。

HubSpot公式サイトはこちら

Adobe Marketo Engage|中堅〜大手・複雑なシナリオを扱う企業向け

Adobe Marketo Engageは、グローバルで多くの導入実績を持つ、企業向けのMAツールです。複雑なシナリオ設計や、細かいスコアリング、複数チャネルにまたがった分析機能などが評価されており、大規模なBtoBマーケティングを行う企業でよく選ばれています。

向いている企業:複数のマーケティングチャネルを同時に運用し、それぞれのチャネルごとのROIを細かく見ていきたい中堅〜大手企業。Marketo特有のAPI連携を活かして、自社システムと連携した高度なカスタマイズを行いたい企業にも向いています。

注意点:高度な機能を使いこなすには、一定の専門知識や経験が必要です。社内に経験者がいない場合や外部パートナーがいない場合は、立ち上げに時間がかかる傾向があります。料金は公開されておらず、個別見積もりとなるため、小規模企業にとってはコスト面でハードルになる可能性があります。

Marketo公式サイトはこちら

Account Engagement(旧Pardot)|Salesforceユーザーで営業連携を強化したい企業向け

Account Engagement(旧Pardot)は、Salesforceとの連携を強みとする、BtoBマーケティング向けのMAツールです。リードのスコアリングやグレーディング、Salesforce上での行動履歴の共有を通じて、マーケティングと営業が同じ情報を見ながらコミュニケーションできるようになります。

向いている企業:Salesforce Sales CloudをSFAとして利用しており、マーケティングと営業のデータ統合を進めたい企業。料金は個別見積もりとなるため、最新情報はSalesforce公式の料金ページでご確認ください。

注意点:Salesforceとのセット利用を前提として設計されているため、SFAが別製品の場合は、特長である連携面のメリットを十分に活かしきれないケースがあります。また、画面構成や概念に慣れるまでに多少時間がかかるため、導入時には設定や運用の支援体制を用意しておくことをおすすめします。

Account Engagementの機能や、どのような企業に向いているかについては、Account Engagementの機能と価格で詳しく解説しています。

国産シンプルMA 4選|中小企業・スタートアップ向け

初めてMAを導入する中小企業やスタートアップでは、操作性がシンプルで、月額費用も比較的抑えられる国産ツールが選ばれることが多くなっています。ここでは、それぞれ違った強みを持つ4つのツールをご紹介します。料金は2026年5月時点の公開情報をもとにしていますので、最新の情報は各社の公式サイトでご確認ください。

  • SATORI:匿名ユーザーにもアプローチできる「アンノウンマーケティング」機能が特徴のツールです。まずはWebからのリード獲得を強化したい企業に向いています。料金は月額148,000円〜(年間契約、2026年5月時点)です。最新の情報は公式サイトを参照してください。
  • Kairos3 Marketing:リード数に応じた従量課金型の料金体系で、小さく始めて段階的に拡張したい企業に適しています。ホットリード通知機能など、営業の初動を早めるための仕組みも備えています。料金の詳細はKairos3公式サイトをご確認ください。
  • BowNow:無料プランから利用を始められる国産のMAツールです。まずはMAツールがどのようなものかを試してみたい企業に向いています。具体的な料金プランはBowNow公式の料金ページで確認できます。
  • List Finder:BtoBマーケティングに特化した実績を持ち、月額39,800円〜で利用できます(2026年5月時点)。マーケティング経験がまだ浅い担当者でも扱いやすいUIや、無料のコンサルティングサービスが評価されています。最新の情報は公式サイトを参照してください。

ツール選定比較表(機能・料金・規模感・BtoB適合度)

ツール名対象規模SFA連携スコアリング精度月額費用目安BtoB適合度
HubSpot中小〜中堅◎(HubSpot CRMとネイティブ連携)無料〜数十万円
Adobe Marketo Engage中堅〜大手◎(Salesforceなどと連携可能)要問い合わせ
Account Engagement中堅〜大手◎(Salesforce専用)要問い合わせ
SATORI中小148,000円〜
Kairos3中小〜中堅要公式確認
BowNow中小要公式確認
List Finder中小39,800円〜

※料金は各社公式サイトの公開情報をもとに、2026年5月時点で作成しています。詳細や最新情報については、必ず各社にご確認ください。

SaaS型MAツール導入後に成果を出すための運用設計3ステップ

MAツール導入後の運用設計とは、ツールを「導入しただけ」で終わらせず、しっかりと使いこなせる状態にしていくための初期設定・シナリオ設計・PDCAの回し方を整えることです。弊社の支援経験から言えば、「まずはシンプルな形で動かして小さな成功体験を作り、その後に少しずつ拡張していく」進め方が、結果的にうまくいくケースが多いと感じています。

一方で、最初から複雑なシナリオを作ろうとして設定作業が止まってしまうケースもよく見かけます。理想の設計を追い求めるあまり、最初の一歩が踏み出せない状態になってしまうためです。ここでは、具体的な3つのステップに分けて進める方法をご紹介します。

Step.1:スコアリング設計|MQL条件の設定とSLA(マーケと営業の引き継ぎルール)の策定

スコアリング設計は、リードの行動や属性に点数を付けて、営業に渡すべきリード(MQL:マーケティング適格リード)の基準を決める取り組みです。弊社では多くの場合、属性スコアと行動スコアを組み合わせてMQL条件を設計しています。具体的なスコアの水準は、商材・業種・商談プロセスによって変わるため、営業側とすり合わせながら決めていくことが重要です。

また、スコアリングを機能させるには、SLA(マーケと営業の引き継ぎルール)の整備が欠かせません。「MQLに達したら、何時間以内に誰がどのように対応するのか」という点が曖昧なまま設定だけ行っても、スコアは活用されません。実際、「SLAを決める前にツールだけ先に入れてしまった」ことが、MAを導入しても営業行動が変わらない大きな要因になっているケースは少なくありません。

スコアリングの考え方や具体的な設計手順については、リードスコアリングの設計手順で詳しく解説しています。

Step.2:シナリオ設計|最初の1本で成果を出すシンプルなフロー

シナリオ設計とは、リードの行動に応じて自動でメールやアラートを送る仕組みを組み立てることです。最初のシナリオでは、トリガーメールを1本、ステップメールを3通、スコア通知の設定、この3つで構成された、シンプルなフローから始めることをおすすめしています。

たとえば、弊社が支援したSmartHR様のケースでは、Account Engagementの初期設定を2023年7月に開始し、約1ヶ月で最初のメルマガ配信まで漕ぎつけました。初回の打ち合わせでは、「毎週、性質の異なるアプリごとにターゲットの要件定義とメール文面を一気に作らなければならない」という課題が挙がり、まずはタグ設計と文面テンプレートの整備から着手しました。

最初は1〜2種類のメール文面からスタートし、その後は週1本程度のペースで新しいパターンを追加していった結果、現在では20〜30パターンのメール文面まで増えています。2024年1月からはSmartHRユーザーの行動データをもとにしたトリガーメールの配信を始め、2024年3月には、多数のアプリすべてに対応した問い合わせフォームをAccount Engagement上に構築しました。こうした積み上げによって、マーケティングチーム全体の目標だった問い合わせ数も、この1年間で大きく伸びています。

シナリオ設計の具体的な進め方や、ステップメールの作り方については、MAのシナリオ設計とステップメールも参考になります。


1年間で約10倍の問い合わせ数を獲得!急成長のマーケチームを支えたMA活用支援の裏側に迫る

SmartHR Plusのプラットフォーム事業部が、Account Engagement導入初期にSells upのMA活用支援を活用した事例。社内知見ゼロの状態からトリガーメール・スコアリング設計・40超のフォーム構築まで一貫支援し、1年で問い合わせ数約10倍を達成。マーケチーム立ち上げ期にMA成果を最速で出す支援の全貌を公開。

sellsup.co.jp

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Step.3:PDCAの回し方(KPIの設定とデータ分析の仕組み)

MAツールにおけるPDCAとは、設定したシナリオの結果を定期的に確認し、改善を繰り返していくサイクルのことです。弊社では、支援企業との月次定例ミーティングで、主に次の4つの指標を確認しています。

  1. メール開封率:件名の良し悪しや配信タイミングの適切さを判断する指標です。業種や商材、リストの状態によって適正値は変わりますが、開封率が極端に低い場合は、件名や配信先の見直しから手を付けることが多いです。
  2. CTR(クリック率):メール本文やCTAの設計が適切かどうかを見る指標です。開封率は問題ないのにクリック率が低い場合は、本文の内容やリンク先のコンテンツとのズレがないか確認します。
  3. MQL転換率:スコアリング設計が現状に合っているかをチェックする指標です。MQLとして営業に渡したリードのうち、どれくらいが商談化しているかを見て、必要に応じてスコアの付け方を見直していきます。
  4. 商談化率:マーケティングと営業の連携がうまく機能しているかどうかを測る、最終的な指標です。SLAの内容をアップデートする際の根拠にもなります。

まとめ

ここまで、SaaS型MAツール(マーケティングオートメーション)の基本的な考え方から、導入すべきかどうかの判断基準、ツール選定の5つの軸、主要7製品の比較、そして導入後の運用設計を3つのステップで整理してきました。

MAツールを選ぶ際に大事なのは、「機能が多いかどうか」ではなく、「自社の課題や規模、既存のSFA環境と噛み合っているか」を起点に考えることです。SFAとの連携可否、スコアリングを二軸で設計できるか、日本語でのサポート体制が整っているか、この3点は導入後の運用のしやすさを左右するポイントになります。

導入後の成果を見据えるなら、まずはスコアリング設計とSLA(マーケと営業の引き継ぎルール)の整理から着手し、そのうえでシンプルなシナリオを1本動かしてみるところから始めるのがおすすめです。SmartHR Plus様の事例のように、Account Engagementで1ヶ月ほどで初回配信まで立ち上げ、その後シナリオやコンテンツを積み上げていく中で問い合わせ数が大きく伸びたケースもあり、このような段階的なアプローチが有効だと感じています。

まずは「自社がMAを活かせる状態にあるかどうか」を確認し、そのうえでツール選定と運用設計を順番に進めていくことが、導入後の成果につながる近道です。

よくある質問

マーケティングオートメーションとは何ですか?

マーケティングオートメーション(MA)は、見込み顧客の獲得・育成・営業への引き継ぎといったマーケティングプロセスを自動化するためのITシステムです。Webサイトのアクセス解析、メール配信、スコアリング、シナリオ設計などの機能を備え、BtoBマーケティングにおける商談化率の向上や業務効率化を支援します。

SaaSのマーケティングとは何ですか?

SaaSのマーケティングとは、クラウド型のソフトウェアサービスを提供する企業が行うBtoBマーケティング活動全般を指します。SaaSビジネスでは、トライアルから有料契約、継続利用、アップセル・クロスセルまで、長期にわたるカスタマージャーニーを管理する必要があり、その中でMAツールを活用したナーチャリングや解約防止施策が重要な役割を果たします。

代表的なSaaS型MAツールにはどんなものがありますか?

BtoB向けの代表的なSaaS型MAツールとしては、HubSpot Marketing Hub、Adobe Marketo Engage、Account Engagement(旧Pardot)、SATORI、Kairos3 Marketing、BowNow、List Finderなどが挙げられます。企業規模やSFAとの連携要件、予算などによって、適したツールは変わってきます。

MAツールの費用相場はどのくらいですか?

SaaS型MAツールの月額費用は幅があり、BowNowやList Finderのような国産シンプル系では無料〜数万円台から、Account EngagementやSATORIといった中堅向けでは月額10〜50万円程度、Adobe Marketo Engageのような大企業向けでは個別見積もりとなるケースが多いです。自社のリード数や必要な機能、SFAとの連携条件などを整理したうえで候補を絞り込み、各社の最新料金を確認することをおすすめします。

MAツールを導入したが成果が出ない場合はどうすればよいですか?

MAを導入しても成果が出ない場合、よく見られる原因として、スコアリング設計が不十分なまま運用していることや、マーケと営業の間でSLA(引き継ぎルール)が決まっていないことが挙げられます。まずは「どのような状態のリードを営業に渡すのか」を営業部門と改めて確認し、MQL条件とSLAを再設計したうえで、スコアやシナリオの見直しを進めるとよいでしょう。

リード数が少ない段階でもMAツールを導入すべきですか?

リード数がまだ少ない段階では、MAツールのスコアリングやシナリオの効果を十分に検証しづらい場合があります。弊社としては、まずSEOや広告、展示会などを通じてリード獲得を強化し、一定のリードが安定して獲得できる状態になってからMA導入を検討する進め方をおすすめしています。ただし、将来を見据えた情報収集やツールの比較検討は、早めに始めておくとスムーズです。

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。HubSpot・Account Engagement・Marketoの3ツールにわたるMA選定・導入・活用支援を、企業規模や業界を問わず80社以上に提供。ツール選定フェーズから要件定義・初期設定・SFA/CRM連携設計・シナリオ・スコアリング設計まで一貫して担い、導入後に成果を出すための設計を重視した支援を行ってきた実績を持つ。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。