ナレッジ 2026.10.25

顧客が検索しない業界のBtoBリード獲得|プッシュ型広告と季節の波への備え方

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

顧客があまり検索をしない業界でBtoBのリードを集めるときは、検索で見つけてもらうのを待つより、相手が日ごろ見ている場所に広告を出すプッシュ型の施策を入口にします。そのうえで、繁忙期と閑散期の波を前提に年間の目標を立て、集めたリードをどの条件で営業へ渡すかまで決めておきます。

検索広告やSEOは、課題に気づいた人が、その課題を言葉にして探してくれることが前提です。ところが業界によっては、担当者が日々の業務に追われ、情報収集の手段として検索をあまり使わないことがあります。その場合、検索広告やSEOだけに頼っても、獲得できるリードの数は限られます。

本記事では、スタートアップからプライム上場企業まで100社以上のBtoBマーケティングを支援してきたSells upが、建築業界の企業を主な顧客とする株式会社CLUE様の取り組みを例に、検索行動が少ない業界でリードを集める方法と、季節の波がある中で年間計画をどう立てるかを取り上げます。リード獲得施策の一覧は、BtoBのリード獲得施策の一覧と選び方で扱っています。

検索行動が少ない業界で、検索中心の集客が伸びない理由

検索中心の集客が伸びないのは、施策のやり方以前に、見込み客が情報を探す方法が検索ではないことが多いためです。まずは、自社の顧客がどう情報を得ているかを確かめます。

検索される言葉そのものが少ない

事務所の外での作業が業務の中心になる業界では、担当者が課題を感じても、解決方法を検索で調べる習慣がないことがあります。検索されるとしても、すでに知っている製品名や会社名が中心で、課題を表す言葉ではほとんど探されません。この状態で検索広告やSEOに予算を寄せても、表示される回数そのものが増えません。

CLUE様が主な顧客とする建築業界も、情報収集で検索があまり使われない業界でした。担当者は、広告を運用する中で、検索広告よりも相手が日ごろ見ている場所に出す広告のほうがリードを集めやすいことが分かってきたと話しています。

繁忙期と閑散期で反応が大きく変わる

工事や点検のように仕事量に季節の波がある業界では、広告への反応も月ごとに変わります。CLUE様の担当者も、建築関係の顧客が中心のため、繁忙期と閑散期で広告の反応に波があり、年間の出稿計画を立てるのが難しいと話しています。

反応の波を知らないまま月ごとの数字だけを見ると、閑散期に施策を止めてしまったり、繁忙期の結果だけで施策を評価したりして、判断を誤りやすくなります。

見込み客が検索しないときのリードの集め方

見込み客が検索しない場合は、相手が日ごろ見ている場所に広告を出して接点を作り、関心を持った人をLPで受け止めます。手順は次の3つです。

相手が日ごろ見ている場所に広告を出す

Meta広告(FacebookやInstagram)や、Webサイト・アプリの広告枠に表示するディスプレイ広告は、相手が検索していなくても表示されます。課題を言葉にして探していない人にも、課題を思い出してもらう形で接点を作れます。

Googleのデマンド ジェネレーション キャンペーンも、YouTube、Discover、Gmail、Googleマップ、Googleディスプレイ ネットワークに配信される広告です(出典:Google 広告ヘルプ「デマンド ジェネレーション キャンペーンについて」)。検索広告とは違い、検索した言葉に合わせて表示されるわけではないため、広告の画像や動画、伝える課題の選び方で結果が変わります。

CLUE様では、Google広告やYahoo!広告に加え、Meta広告とディスプレイ広告を運用しました。建築業界の情報収集では検索が活発でないため、Meta広告やディスプレイ広告のようなプッシュ型の広告のほうが、リードを集める効率がよかったといいます。

始めるときは、伝える課題と受け皿を分けて試します。資料のダウンロードのように、業務の困りごとを切り口にした申し込みは、まだ検索していない相手にも反応を得やすい入口です。入力の手間を減らしたい場合は、Meta広告のリード獲得広告のように広告の中で入力を終えられる形式、内容を読んでから問い合わせてほしい場合はLPへ送る形が合います。どちらの場合も会社名、業種、課題の内容を聞き、対象でない反応をあとから分けられるようにします。

業種や役職だけで相手を絞りきれない前提で設定する

プッシュ型の広告では、業種や役職だけで配信先を正確に絞れるとは限りません。Meta広告の詳細ターゲット設定には、本人が登録した役職や勤務先、業種の項目がありますが、こうした項目は国によって使えない場合があります(出典:Meta for Developers「Targeting Search」)。Advantage+ オーディエンスを有効にすると、地域、最低年齢、言語、カスタムオーディエンスの除外以外では、配信対象が指定した条件より広がることがあります(出典:Meta for Developers「Advantage+ Audience」)。また、詳細ターゲット設定の項目による除外は廃止され、配信先から外したい相手は、顧客リストやサイト訪問者などのカスタムオーディエンスで除外します(出典:Meta for Developers ブログ「Removal of Detailed Targeting Exclusions」)。設定できる範囲や仕様は変わることがあるため、配信を始める前に公式ヘルプで最新の内容を確かめます。

そのため、配信の設定だけで相手を選ぼうとせず、次の2つで相手を選びます。

1つ目は、広告の画像や文章で、対象の業界の課題をはっきり書くことです。関係のない人が反応しにくくなります。

2つ目は、フォームで会社名や業種、検討している内容を聞き、対象の企業かどうかを自社で確かめることです。狙う企業の条件の決め方は、BtoBのターゲティングとICP設計の手順で解説しています。

サイトを訪れた人に再び広告を出すリターゲティングも、ブラウザの設定やCookieの同意の状況によって届く範囲が限られます。訪問者の全員に届く仕組みとは考えず、ほかの入口と組み合わせます。

LPは製品の機能ではなく、相手の課題から書く

プッシュ型の広告で集まるのは、まだ製品を比べる段階にない人が中心です。LPで製品の機能を並べても、自分に関係がある話かどうかが伝わりません。課題から書き始め、その課題にどう応えるのかを書きます。

同じ会社の中でも、経営者と、実際に業務を担う部門の責任者、事務の担当者では、反応する課題が違います。広告では1つの課題に絞り、LPの冒頭で、誰のどの業務の負担を減らす話かをそろえます。複数の課題を1つの広告に入れると、相手が自分に関係のある話かどうかを判断しにくくなります。

CLUE様では、以前のLPはサービスの機能や特徴を伝える内容が中心でした。インサイドセールスや営業が顧客との会話で得た課題をLPの構成に反映し、顧客の課題の解決に焦点を当てたLPに作り直したところ、安定してリードを集められるようになりました。フォームとMAの連携まで含めたLPの作り方は、MAと連携するLPとフォームの作り方で解説しています。

繁忙期と閑散期の波がある業界で年間の目標を置く方法

季節の波がある業界では、月ごとに同じ目標を置くのではなく、過去の反応をもとに月ごとの目標を変え、商談の手前までの数字で見ます。

過去のデータから施策ごとの目標を置く

年間の計画は、過去に獲得したリードの月ごとの推移や、サービスサイトへのアクセスの記録をもとに立てます。繁忙期と閑散期でどれくらい反応が変わるかを先に把握しておくと、閑散期に数字が下がったときも、想定の範囲かどうかを判断しやすくなります。

計画は、月ごとの目標をまとめた表を1つ作ると扱いやすくなります。月ごとに、広告費、ターゲットの属性に合うリードの数、商談の獲得数、リードが商談になるまでの期間、営業が対応できる件数を並べます。過去の実績が少ない場合は、繁忙期の前、繁忙期、閑散期の3つに分けて仮の目標を置き、四半期ごとに見直します。

CLUE様では、過去に蓄積していた顧客のデータやサービスサイトへのアクセスの記録を参考に、施策ごとの目標数値を立てました。現在マーケティングとインサイドセールスのマネージャーを務める下田様によると、取り組みを始めた当初は、リードの定義と施策ごとの目標の設定から入り、その目標に合わせて、商談や受注の見込みをほかのチームとともに予算へ落とし込んでいったそうです(下田様の入社前の取り組みとして聞いている内容です)。

月ごとのリード数や獲得単価だけで判断しない

季節の波があると、月ごとのリード数や獲得単価は、施策の良し悪しよりも、顧客側の発注時期を強く反映します。閑散期に集めたリードが数か月後の繁忙期に商談になることもあるため、獲得した月だけで評価すると、閑散期の施策を必要以上に減らしてしまいます。

比べるときは、前の月ではなく前年の同じ月と比べ、リードを獲得した月ごとに、その後どれだけ商談になったかを追います。繁忙期の直前は同業の出稿も増えやすく、営業の対応も手いっぱいになりやすいため、直前に予算を寄せれば効率が上がるとは限りません。

見る数字を商談の手前までの2つに絞る

リード数だけを追うと、対象ではない企業からの反応まで成果に数えてしまいます。CLUE様では、マーケティングの指標を、ターゲットの属性に合うリードの数と商談の獲得数の2つに絞りました。この2つを達成する手段として、特に力を入れたのが広告を中心にしたデジタルマーケティングとセミナーです。指標の決め方は、KGIから逆算するKPIの決め方で解説しています。

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

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集めたリードを商談につなげる仕組み

プッシュ型の広告で集めたリードは、すぐに商談を希望している人ばかりではありません。関心が高まったときに連絡できる仕組みと、その後も接点を持ち続ける施策を用意します。

行動の変化を拾って営業へ渡す

CLUE様では、3日連続でサービスページを訪問しているユーザーを検知し、インサイドセールスに自動で連携する仕組みを作りました。メールを一斉に送るだけでなく、関心が高まっていそうな相手を見つけて、インサイドセールスが連絡します。ただし、サイトの閲覧が増えただけで購買意欲が高いとは言い切れないため、連絡して状況を確かめる前提で使います。営業へ渡す条件の決め方は、営業へ引き継ぐ基準と手順で解説しています。

獲得したリードをセミナーとメールで育てる

CLUE様では、広告などで獲得したハウスリストのリードを商談につなげる施策として、セミナーを重視しました。自社で開くセミナーでは、終了後のアンケートから参加者ごとの関心を分析し、内容に合わせたフォローのメールを送っています。他社との共催セミナーは、ハウスリストを増やす目的で開いています。セミナーの組み立て方は、商談を生むナーチャリングセミナーの進め方で解説しています。

CLUE様の事例|検索されにくい建築業界でのリード獲得

CLUE様は、ドローンを使った屋根点検サービス「DroneRoofer」など、建設業界の企業向けソフトウェアを提供しています。Sells upは2019年ごろから支援しています。

項目 内容
取り組みを始めた当時の状況 2019年ごろは、マーケティングの経験者が社内にいなかった(下田様の入社前の状況として語られている)
顧客の特徴 建築業界の企業が中心。情報収集で検索があまり使われず、繁忙期と閑散期で広告の反応に波がある
リードの集め方 Meta広告とディスプレイ広告を中心にしたプッシュ型広告。課題を軸に作り直したLPで受ける
目標と指標 過去のデータとアクセスの記録をもとに施策ごとの目標を置き、ターゲットの属性に合うリード数と商談獲得数の2つで見る
商談へのつなぎ方 3日連続のサービスページ訪問の検知とインサイドセールスへの自動連携、セミナーとフォローのメール

下田様は、もし支援がなかったら、広告からのコンバージョンは落ちていき、ハウスリストへの施策を計画的に進めるのにも時間がかかっていただろうと推測しています。あくまで本人の仮定ですが、施策を決める基準を持たないまま広告を続けることの難しさを表しています。


スタートアップのマーケ立ち上げ。商談・受注を創出するリードが安定獲得できる仕組みを構築

顧客データで目標設定し、運用型広告を媒体選定から刷新。営業インサイトを反映したLP改修とセミナー・オウンドメディア改善により、商談・受注を創出するリードの安定獲得を実現。

sellsup.co.jp

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プッシュ型の広告を急がなくてよい場合

検索行動が少ない業界でも、次のような場合は、プッシュ型の広告を増やす前にほかの方法を優先します。

1つ目は、狙う企業が数十社程度に限られ、営業が会社名と担当者を把握できている場合です。広く配信するより、営業が直接連絡し、紹介や展示会で接点を作るほうが無駄が少なくなります。展示会でのリード獲得は、展示会のリード獲得の準備と事後の手順で解説しています。

2つ目は、配信できる相手の数が少なすぎる場合です。対象が少ないと、同じ人に何度も表示されて費用がかさみ、配信の調整に必要な反応も集まりません。

3つ目は、受注単価が低く、広告と営業にかかる費用を受注の利益で回収できない場合です。

4つ目は、集めたリードに連絡する人がいない場合です。インサイドセールスや営業の体制が整う前に広告を増やしても、商談にはつながりません。

どの施策から始めるかの考え方は、デマンドジェネレーションの3つのプロセスで解説しています。

まとめ

顧客があまり検索しない業界では、検索で見つけてもらうことを前提にせず、Meta広告やディスプレイ広告のように、相手が日ごろ見ている場所に広告を出して接点を作ります。配信の設定だけでは相手を絞りきれないため、広告とLPで対象業界の課題をはっきり書き、フォームで対象の企業かどうかを確かめます。

繁忙期と閑散期の波がある場合は、過去のデータから月ごとの目標を置き、前年の同じ月と比べながら、獲得したリードがその後どれだけ商談になったかで判断します。集めたリードは、行動の変化を拾ってインサイドセールスへ渡し、セミナーとメールで接点を続けます。

一方で、狙う企業が限られる場合や、連絡する体制がない場合は、広告を増やす前に、営業から直接接点を作ることや体制づくりを優先します。まだ課題に気づいていない層へ接点を広げる考え方は、潜在顧客を掘り起こす手順で解説しています。

よくある質問

検索されない業界では、SEOや検索広告はやらなくてよいのですか?

やめる必要はありません。会社名や製品名で検索する人や、ほかの接点で関心を持った人が、あとから検索して調べることがあります。検索広告やSEOは、関心を持った人を受け止める役割として残し、新しい接点づくりはプッシュ型の広告や営業で担います。

プッシュ型の広告で集めたリードは、質が低くなりませんか?

検索で探している人に比べると、まだ検討を始めていない人が多くなります。そのため、フォームで対象の企業かどうかを確かめ、リードの数だけでなく、ターゲットの属性に合うリードの数と商談の数で評価します。関心が高まった相手を見つけてから連絡する仕組みも、あわせて用意します。

Meta広告で業種や役職を指定すれば、BtoBの相手だけに配信できますか?

指定した条件だけに配信されるとは限りません。業種や役職などの項目は国によって使えない場合があり、Advantage+ オーディエンスを有効にすると、地域や最低年齢などの一部の条件を除いて、配信対象が指定した条件より広がることがあります。広告とLPで対象の業界の課題を書き、フォームで対象の企業かどうかを確かめる運用もあわせて行います。

繁忙期と閑散期で、広告の予算をどう分ければよいですか?

一律の正解はありません。検討の期間が短く、発注の時期がはっきりしている商材は、繁忙期の前に予算を寄せる考え方があります。検討に時間がかかる商材は、閑散期から接点を作っておくほうが、繁忙期の商談につながりやすくなります。過去のデータで、リードを獲得してから商談になるまでの期間を確かめてから決めます。

閑散期に広告の成果が落ちたら、止めたほうがよいですか?

前年の同じ時期と比べて、想定の範囲の下がり方であれば、止める前に、閑散期に獲得したリードがその後の繁忙期に商談になっているかを確かめます。獲得した月だけで判断すると、次の繁忙期の商談候補を減らしてしまうことがあります。

リードを集める施策は、ほかにどのような種類がありますか?

展示会、セミナー、資料ダウンロード、紹介、営業の直接の連絡などがあります。施策ごとの特徴と選び方は、リードジェネレーションの手法と選び方で解説しています。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善