AI検索で自社が引用されているかは、AIに相談されそうな質問をあらかじめ決め、同じ条件で何度か尋ねて、回答の出典に自社のURLが入るかを数えて測ります。回答は質問するたびに変わるため、1回の結果だけで判断せず、質問ごとに複数回記録し、毎月同じ設定で比べます。
LLMO(大規模言語モデルの回答に自社の情報を使ってもらうための取り組み)やAI Overview(AIO)への対策が話題になる一方で、自社がいまどのくらい引用されているのかを数字で把握している会社は、まだ多くありません。測っていないと、記事を直しても何が変わったのかが分かりません。
本記事では、100社以上のBtoBマーケティングを支援してきたSells upが、2026年10月に自社サイトで行った50問の計測を例に、AI検索での引用の測り方、結果の読み方、計測結果を見て直したこと、費用の目安を解説します。ここで扱うのは測り方であり、対策をすれば引用されると約束するものではありません。
なぜ検索順位やアクセス数だけでは、AI検索での見え方が分からないのか?
検索順位やアクセス数だけでは、AIの回答の中で自社がどう扱われたかまでは見えないためです。主な理由は次の3つです。
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GoogleのAI OverviewとAIモードの表示は、Search Consoleでは通常の「ウェブ」検索の数字に含まれます。生成AIの表示を分けて見るレポートもありますが、見られるのは主に表示回数の内訳で、どの質問のどの回答で自社の記事が参照元に選ばれたかまでは分かりません。
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ChatGPTの検索からの訪問は、リンクに自動で付く「utm_source=chatgpt.com」をもとに、Googleアナリティクス4(GA4)で拾えます。ただし、回答の出典として名前やリンクが出ても、読者がクリックしなければ訪問の数字には表れません。
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AIの回答は、同じ質問でも尋ねるたびに内容と出典が変わります。たまたま1回目に引用されたかどうかだけでは、引用されやすい状態かどうかは判断できません。
そのため、AI検索での見え方を知りたい場合は、回答そのものを取得し、出典に自社が入っているかを数える方法が必要になります。
AI検索で自社が引用されているかは、どう測ればよいか?
質問を用意し、同じ条件で複数回尋ねます。回答ごとに記録する項目を決め、毎月同じ設定で比べます。Sells upでは、次の4つの手順で測りました。
手順1:根拠のある質問を作る
思いついた質問を並べるのではなく、日ごろ相談されている内容から質問を作ります。Sells upでは、Search Consoleで人が検索した語句、商談でよく受ける相談、自社の記事が答えるべき問いをもとに、5つのテーマで10問ずつ、計50問を用意しました。質問ごとに、答えになるはずの自社の記事を1本ずつ割り当てておくと、AIが想定と別の記事を選んでいないかも見られます。
手順2:同じ条件で複数回尋ねる
ChatGPTはWeb検索を使う設定にし、地域は日本、言語は日本語にして、各質問を3回尋ねました。AI Overviewは、質問を検索語句に置き換えて各1回取得しました。回答のぶれも見るため、ChatGPTは1回で済ませませんでした。AI Overviewは1回ずつの取得のため、結果は参考値として扱いました。
手順3:回答から数える項目を決める
回答ごとに次の項目を記録すると、引用の有無だけでなく、どう引用されたかまで比べられます。
| 記録する項目 | 分かること |
|---|---|
| 出典に自社のURLがあるか | 引用されたかどうか(テーマ別の引用率) |
| 割り当てた記事が引用されたか | 想定した記事が答えとして使われているか |
| 社名が回答の本文に出たか | リンクだけでなく、名前で紹介されたか |
| 代わりに引用された出典 | そのテーマで比べられている相手 |
| 回答に含まれる自社の数値 | 料金や調査の数値が自社の記事どおりか |
| 案内された自社のURL | 存在しないページを案内されていないか |
引用率は、数え方の単位を分けておくと読み違えません。回答単位では「自社のURLを含む回答÷取得した回答」で引用率を出し、質問単位では「一度でも自社が出典に入った質問」と「複数回入った質問」の数を数えます。あわせて、割り当てた記事が引用された回数、社名が出た回数、誤ったURLや数値の件数を並べると、見え方の増減と直すべき箇所を分けて見られます。
手順4:同じ設定で毎月測る
質問・回数・地域・言語を変えずに月1回測り、前回と比べます。記事を直した場合は、その記事のテーマの質問を4週間後に同じ設定で測り直します。設定を変えると、引用の増減が記事の変化によるものか、測り方の違いによるものかが区別できなくなります。
測ってみると、何が分かるのか?
テーマによって引用されやすさに差があること、AIがこちらの想定とは別の記事を選んでいることが分かりました。Sells upが2026年10月17〜18日に行った計測の結果は次のとおりです。
| テーマ | ChatGPTで自社が引用された回答 | 引用率 |
|---|---|---|
| MA導入の判断・費用 | 13/30 | 43% |
| MAの運用・成果 | 12/30 | 40% |
| リードナーチャリング | 4/30 | 13% |
| スコアリング・営業への引き渡し | 5/30 | 17% |
| 支援会社・費用の選び方 | 13/30 | 43% |
| 合計 | 47/150 | 31% |
出典:Sells upによる計測(2026年10月17〜18日、50問、ChatGPTはWeb検索あり・日本・日本語で各3回)。自社サイトの結果であり、業界の平均を示すものではありません。
結果からは、次のことが読み取れました。
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3回のうち2回以上引用された質問は50問中17問で、1回だけ引用された質問も多くありました。1回の結果で判断しない理由はここにあります。
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ナーチャリングと営業への引き渡しのテーマでは、代わりにMAツールの公式ヘルプやブログが引用されていました。ChatGPTはツールの公式資料を、AI Overviewは国内のMAツール会社の解説記事を参照する傾向がありました。
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割り当てた記事ではなく、別の自社記事が引用された質問が複数ありました。AIがその質問の答えとして選ぶ記事は、こちらの想定と同じとは限りません。
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AI Overviewで自社が参照された質問は50問中7問でした。1回ずつ取得した結果なので、参考値です。
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自社の記事が出典とされた数値に、明らかな誤りは0件でした。ただし、他社の記事の数値に自社のURLが出典として付けられた回答が1回ありました。数値の照合は、出典の付け方の誤りに気づくためにも必要です。
測った結果から、何を直したのか?
引用されにくいテーマの記事は、質問に冒頭で答える形に直し、書き直しの前後で同じ質問を測るようにしました。主に次の3つです。
見出しの直後に答えの1文を置く
引用が少なかった記事は、見出しの後に前置きが続き、問いへの答えが段落の奥にありました。見出しの直後に答えを1〜2文で書き、よくある質問の問いは実際の相談に近い言い方にそろえ、専門用語には初出で意味を添えました。2026年10月に、この形で6本の記事を直し、4週間後に同じ質問で測り直す予定です。効果はまだ分かっていません。
書き直す前に、その記事が引用されている論点を調べる
記事を書き直す前に、その記事のテーマで3〜5問を用意し、ChatGPTには各3回、AI Overviewには各1回尋ねています。すでに引用されている記事を書き直すと、引用されていた論点が消え、引用されなくなるおそれがあるためです。引用されていた論点は、新しい本文にも残します。
存在しないURLを案内されたときは転送を設定する
計測前の試験では、ChatGPTがSells upのサービスページとして、実際には存在しない「/service/marketing-automation」というURLを案内していました。WordPressの機能でこのURLが無関係の記事へ自動で転送されていたため、AIが案内しそうなURL13件に転送を設定し、正しいサービスページへ届くようにしました。本計測では、案内された自社のURL32本はすべて実在していました。
なお、AI向けに記事の一覧を置くllms.txtは公開していますが、Googleの担当者は使う予定がないと述べており、ChatGPTの検索でも判断材料として使われるとは公表されていません。そのため、引用が増えた理由の根拠にはしていません。AIの検索が自社サイトを読めるように、robots.txtでGooglebotやChatGPTの検索用クローラー(OAI-SearchBot)を止めていないかは見ておきます。
引用されやすい記事の書き方そのものは、LLMに引用される記事の条件で整理しています。
計測には、どのくらいの費用と手間がかかるのか?
費用は質問の数と回数で変わります。Sells upの50問の計測では、外部のAPIで回答を取得し、実費は約0.78ドルでした。手間がかかるのは、取得よりも集計です。
初めて測るときは、少ない質問で手作業の表を作り、数え方が固まってから取得と集計を自動にすると扱いやすいです。測る対象は、自社の顧客がAIを使う場面から選びます。検索に近い場面ならGoogleのAI Overview、対話しながら比べる場面ならChatGPTが候補になり、ほかのAI検索も対象に入れられます。対象を増やすほど取得の条件と数える項目が増えるため、初めは主な接点に絞ります。
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50問をChatGPTで各3回、AI Overviewで各1回、計200回取得して約0.78ドルでした(2026年10月)。1回あたりはChatGPTが約0.004ドル、AI Overviewが約0.002〜0.004ドルです。
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記事1本の事前の測定(3〜5問)なら、0.1ドル未満が目安です。50問を月1回測る場合は、年に約9ドルです。料金は提供元の改定で変わります。
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回答から出典のURLを抜き出し、自社かどうかを判定し、自社の数値を記事と照合する作業は、手作業だと時間がかかります。集計の手順を決めて、毎回同じやり方で数えられるようにします。
AI検索の見え方を確かめるツールも提供されていますが、どのツールを使う場合も、質問・回数・地域・言語を固定して比べるという考え方は同じです。
AI検索の計測を急がなくてよいのは、どんな場合か?
検索経由で読まれる記事がまだ少ない段階では、計測より先に記事を整えるほうが成果につながりやすい場合があります。次のような場合は、計測を急がなくてかまいません。
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検索からの訪問がまだ少なく、答えるべき問いに対応する記事がそろっていない
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質問を作るもとになる検索語句や商談での相談内容が、まだ集まっていない
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1回の結果で対策を決めてしまい、毎月同じ条件で比べる体制が取れない
また、AIの回答はモデルや検索の仕組みが変わることでも変化します。引用率は自社の記事以外の理由でも上下するため、1か月の増減だけで記事の良し悪しを決めず、数か月の推移で見ます。
記事の数値を成果として報告する考え方はBtoBマーケティングの報告を成果で説明する手順で、デジタルの施策全体の選び方はBtoBデジタルマーケティングの施策の選び方で解説しています。
Sells upでは、BtoBマーケティングの支援の一部として、AI検索での見え方の計測と記事の見直しも扱っています。詳しくはBtoBマーケティング支援をご覧ください。
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。
相談してみる →まとめ
AI検索で自社が引用されているかは、根拠のある質問を決め、同じ条件で複数回尋ね、回答の出典に自社のURLが入るかを数えて測ります。Search Consoleやアクセス解析の数字だけでは、どの質問でどの記事が選ばれたかまでは分かりません。
Sells upの50問の計測では、テーマによって引用率が13〜43%と差があり、AIが想定と別の記事を選ぶ質問も多くありました。測った結果をもとに、見出しの直後に答えを置く形へ記事を直し、書き直しの前後で同じ質問を測り直しています。
費用は50問の計測で約0.78ドルと小さく、手間がかかるのは主に集計です。測り方を固定して毎月比べることで、記事の変化とAI検索での見え方の変化を結びつけて見やすくなります。
よくある質問
LLMOとAIO対策は何が違いますか?
LLMOは、ChatGPTのような大規模言語モデルの回答で自社の情報が使われ、引用や言及につながる取り組みを指すことが多い言葉です。AIO対策は、GoogleのAI Overviewで参照元に選ばれるための取り組みとして使われます。測り方は少し違います。ChatGPTは同じ質問を複数回尋ねて出典を数え、AI Overviewは検索語句ごとに表示を取得して参照元を見ます。
引用率はどのくらいあれば十分ですか?
すべての会社に共通する目安はありません。質問の作り方やテーマで大きく変わるため、他社の数字と比べるより、自社の過去の計測と比べて推移を見ます。テーマごとに分けて見ると、どの分野の記事を直すべきかが分かります。
Search Consoleだけで測れますか?
AI OverviewやAIモードの表示回数の傾向はSearch Consoleで見られますが、どの質問のどの回答で自社の記事が参照元に選ばれたかまでは分かりません。ChatGPTでの引用は、Search Consoleでは測れません。回答そのものを取得して数える方法と組み合わせます。
llms.txtを置けば、引用されやすくなりますか?
引用されやすくなるという根拠は示されていません。Googleの担当者は、llms.txtを使う予定はないと述べています。置くこと自体は害になりませんが、効果を期待して優先する施策ではありません。AI検索が自社サイトを読めるよう、robots.txtで検索用のクローラーを止めていないかを先に見ます。
