BtoBマーケティングの報告が、配信数や記事本数といった活動量に寄りやすいのは、担当者の怠慢ではありません。活動はすぐに数えられる一方で、商談や受注とのつながりは、MAとSFAの記録をつなげなければ見えにくいからです。活動量だけで報告できる状態が続くと、効いていない施策もやめる判断がしにくくなり、いつの間にか報告のために数をこなすことが目的になっていきます。
そこから抜け出すには、報告を「活動・反応・商談・受注」の段階に分けて一続きで示し、施策ごとに続けるか見直すかの基準と期間を、始める前に決めておきます。活動量を報告すること自体が悪いわけではありません。活動量だけで終わらせないことがポイントです。
本記事では、100社以上のBtoBマーケティングを支援してきたSells upが、報告が活動量になってしまう理由と、成果で説明できる報告に変える5つの手順を解説します。
マーケティングの報告が「活動量」になっている状態とは?
報告が活動量になっている状態とは、何をどれだけ実施したかは示せていても、それが商談や受注にどうつながったかまでは示せていない状態です。月次の報告が次のような項目で終わっている場合、この状態に当てはまる可能性があります。
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メールの配信数、記事の本数、セミナーの開催回数
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開封率やクリック率、獲得したリードの件数
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施策ごとに、そのあと商談になった件数や金額が分からない
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経営層から「その投資は回収できているのか」と聞かれても答えられない
活動量の数字は事実であり、担当者の努力を表す記録でもあります。問題は、報告がそこで止まってしまい、施策の良し悪しを判断する材料になっていないことです。
なぜBtoBマーケティングの報告は活動量になるのか?
主な理由は次の4つです。いずれも担当者の姿勢ではなく、記録の仕組みや時間差によって起きるものです。
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活動はすぐ数えられるが、成果とのつながりは記録をつなげないと見えない
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受注までに時間がかかり、報告の時期と成果が出る時期がずれる
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1件の商談に複数の施策が関わり、どの施策の成果かを割り当てにくい
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報告する側と受ける側で、見ている数字が違う
活動はすぐに数えられ、成果とのつながりは記録をつながないと示せないから
配信数や記事の本数は、数えればすぐに出ます。一方で、ある施策のあとに商談が生まれたかを示すには、MAの行動記録とSFAの商談記録を、同じ会社・同じ担当者として結びつける必要があります。この結びつきが用意されていないと、報告できる数字は活動量に限られます。
受注までに時間がかかり、報告する時期と成果が出る時期がずれるから
BtoBでは、施策を実施した月と、商談や受注が生まれる月が一致しないことがよくあります。月次の報告では、施策の効果がまだ商談に表れておらず、伸びて見えるのは活動の数字だけ、ということが起きます。
1件の商談に複数の施策が関わり、成果を割り当てにくいから
1件の商談の前には、広告、記事、セミナー、メール、営業の連絡など、複数の接点があることが一般的です。どの施策の成果とするかのルールがないと、施策ごとの成果を出しにくくなり、はっきり数えられる活動量に頼ることになります。
報告する側と受ける側で、見ている数字が違うから
経営層が知りたいのは、かけた費用と時間が商談や売上として戻っているかです。成果とのつながりを示せない担当者は、代わりに実施した量を見せることになります。経営層は成果を聞いているのに答えが返ってこないと感じ、担当者はこれだけやっているのに評価されないと感じる。このすれ違いが続くと、互いに不満がたまっていきます。
弊社調査で見える傾向
弊社がBtoB企業480名を対象に実施した調査では、MAが商談・売上に貢献していると答えた企業(貢献群・42名)のうち、ROIを定量的に測定している割合は54.8%でした。貢献していない企業(非貢献群・92名)では17.4%でした。MAの導入者134名に聞いたつまずきでは、「費用対効果が見えない」が33.6%、効果測定の方法が分からないという回答が24.6%ありました。いずれも回答者の認識を集計したもので、成果と測定の関連を示しています。測定すれば成果が上がる、という因果関係を示すものではありません。
出典:弊社「MA活用実態調査(第0回)」。調査主体:株式会社Sells up/調査ツール:Surveroid(2026年9月、n=480)。詳細は調査レポートをご覧ください。
活動量で報告し続けると、何が起きるのか?
活動量を中心に報告し続けると、成果につながっていない施策を見直す理由が弱くなり、限られた予算と工数がそのまま使われ続けます。結果として、次のようなことが起きやすくなります。
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効果が見えない施策でも「今月もこれだけ実施した」と報告できるため、そのまま続きやすい
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配信数や本数を増やすことが目的になり、一つひとつが商談につながっているかが問われにくくなる
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経営層からの信頼を得にくくなり、マーケティングへの投資を増やす判断も遅れやすい
報告しやすい数字に寄っていくと、ナーチャリングがメール配信だけになりがちです。この流れについてはナーチャリングがメール配信だけになる理由で解説しています。
成果で説明する報告に変えるには、何から始めればよいか?
成果で説明する報告に変えるには、活動量の報告をやめるのではなく、活動から受注までのつながりを一続きで見せられるように、報告の形と記録の仕組みを整えます。次の5つのステップで進めます。
Step.1:報告を4つの段階に分ける
報告する数字を、次の4つの段階に分けて並べます。活動の数字は残し、その先の段階の数字を足していく考え方です。
| 段階 | 数字の例 | 分かること |
|---|---|---|
| 活動 | 配信数、記事の本数、セミナーの開催回数 | 何をどれだけ実施したか |
| 反応 | クリック、資料のダウンロード、セミナーへの参加、問い合わせ | 狙った相手に届いたか |
| 商談 | 営業へ渡したリードの数、そこから商談になった数と金額 | 営業の活動につながったか |
| 受注 | 受注の件数と金額、受注までの期間 | 売上につながったか |
各段階の指標の決め方はMAのKPIを受注から割り戻して決める方法で解説しています。
Step.2:MAとSFAの記録をつなぐ
MAの行動の記録とSFAの商談の記録を、同じ会社・同じ担当者として結びつけます。会社名の表記や担当者のメールアドレスをそろえ、商談を作るときに、どの施策から来たリードかを残す項目を用意します。ここまで整うと、施策ごとに商談の件数と金額を出しやすくなります。
残しておく項目は、MA側では施策名・接点のあった日・獲得経路、SFA側では商談の作成日・金額・段階・受注か失注かの結果です。すべてを一度に整えなくても、商談になったリードについて、それまでの接点を追えるようにするだけで、どの施策が商談に近い反応を生んだかを説明しやすくなります。
Step.3:マーケティングが起点の商談と、接点があった商談を分けて数える
商談の数え方は、次の2つに分けます。
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マーケティングが起点となって生まれた商談(最初の接点がマーケティングの施策だったもの)
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マーケティングの接点があった商談(営業や紹介が起点でも、途中で記事やセミナーなどに触れていたもの)
前者は「商談を生み出したか」、後者は「商談を前に進めたか」を表します。後者は前者を含むことが多いため、2つを足し合わせて報告すると、同じ商談を二重に数えてしまいます。分けたまま並べて見せます。
Step.4:施策ごとに、続けるか見直すかの基準と期間を先に決める
施策を始める前に、どの条件なら続けるか、どの時点で見直すかを決めておきます。始めたあとで基準を決めると、都合のよい数字で続ける理由を作れてしまうためです。
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目的(認知・リード獲得・商談・受注のどれをねらうか)
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見る数字と、見直しの目安
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評価する期間(受注までにかかる期間を踏まえて決める)
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改善を試す回数と、それでも届かない場合の扱い
見直すときは、成果が出ていないのか、成果を測れていないのかを先に分けます。そのうえで、次のように扱いを分けます。
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測れていて、期間内に商談や反応が増えている:続ける
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測れていて数字は弱いが、対象や訴求を変える余地がある:変える点を1つに絞って、もう一度評価する
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測れていて、改善を試しても動かない:予算や工数をほかの施策へ移す候補にする
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測れていない:やめる前に、記録の仕組みを整える
Step.5:報告の時期で、見せる数字を分ける
月次の報告では活動と反応を中心に、四半期ごとの報告では商談と受注を中心に見せます。受注までに時間がかかる場合は、施策を実施した時期ごとに、その後の商談と受注を追って見せると、報告の時期と成果の時期のずれを説明しやすくなります。
経営層への報告では、活動の内訳から始めず、次の順に並べると判断につながりやすくなります。
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商談と受注への影響(今月の数字と、過去の施策から生まれた商談の進み具合)
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前の月から増減した数字と、その理由
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続ける施策と、見直す施策
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経営層に判断してほしいこと(予算・人員・施策を続けるか)
報告の相手ごとのレポートの作り方はMAの効果測定とレポートの作り方で解説しています。
弊社が支援した株式会社SmartHR様では、マーケティングチームのこの1年の成果が評価され、2024年7月から3人体制が5人体制になりました(2024年9月のインタビュー)。成果を見せられると、次の投資や体制づくりの判断にもつながります。

活動量を報告してよいのはどんな場合か?
次のような場合は、活動量を先に見る数字として報告する意味があります。ただし、活動量だけで終わらせず、商談や受注へのつながりもあわせて見せます。
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施策を始めたばかりで、商談や受注の件数がまだ少なく、数字が安定しない
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受注までの期間が長く、施策の効果が商談に表れるまでに時間がかかる
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新しい市場や手法を試していて、まず狙った相手に届いているかを確かめる段階にある
商談や売上だけで評価すると、成果が見えるまで時間がかかる施策を、早く止めすぎてしまうことがあります。活動の数字は、後の段階の数字とつなげて読むことで、判断材料になります。
導入から間もない時期の報告の考え方はMA導入後3か月の進め方と報告の段階で解説しています。
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。
相談してみる →まとめ
BtoBマーケティングの報告が活動量に寄りやすいのは、活動はすぐに数えられる一方で、商談や受注とのつながりは記録をつなげないと見えにくく、受注までの時間差や成果の割り当ての難しさもあるためです。活動量だけで報告する状態が続くと、効いていない施策でも、やめる判断がしにくくなります。
成果で説明する報告に変えるには、報告を活動・反応・商談・受注の4つの段階に分け、MAとSFAの記録をつなぎます。そのうえで、マーケティングが起点の商談と、接点があった商談を分けて数え、施策ごとの基準と期間を先に決め、報告する時期に応じて見せる数字を分けます。立ち上げ期や受注までの期間が長い場合は、活動量も先に追う数字として報告します。
よくある質問
経営層にマーケティングの成果をどう説明すればよいですか?
活動・反応・商談・受注の4段階を一続きで示し、かけた費用に対してどれだけ商談や受注が生まれたかを説明します。受注までに時間がかかる場合は、施策を実施した時期ごとにその後の商談と受注を追い、成果が出るまで時間がかかっている施策と、成果が出ていない施策を分けて見せます。
効果があるか分からない施策は、どう判断すればよいですか?
まず、成果が出ていないのか、成果を測れていないのかを分けます。測れていない場合は、MAとSFAの記録をつなぐことを先に進めます。測れている場合は、始める前に決めた基準と期間に照らして、続ける・改善して続ける・規模を縮める・やめるのいずれかを決めます。これまでにかけた費用は、続けるかどうかの判断材料から外して考えます。
マーケティングが起点の商談と、接点があった商談は何が違いますか?
マーケティングが起点の商談は、最初の接点がマーケティングの施策だった商談で、商談を生み出したかを表します。接点があった商談は、営業や紹介が起点でも、途中でマーケティングの施策に触れていた商談で、商談を前に進めたかを表します。足し合わせると二重に数えるため、分けて報告します。
MAとSFAがつながっていない場合は、何から始めればよいですか?
会社名や担当者のメールアドレスの表記をそろえ、商談を作るときにどの施策から来たリードかを残す項目を用意するところから始めます。すべてを自動でつなぐ前でも、商談になったリードについて、それまでの接点を手作業で記録するだけで、施策ごとの傾向は見え始めます。
