潜在顧客とは、自社の製品やサービスをまだ利用しておらず、課題やその解決方法を明確に認識していない将来の顧客候補です。
すでに解決策を探している層は、複数の企業を比較検討していることも多く、競合との比較になりやすい傾向があります。そのため、新規顧客の獲得を広げていくうえでは、まだ課題を明確に認識していない層と、どのように接点をつくるかも重要になります。

一方で、潜在顧客はまだ具体的な検討を始めていないため、接点を持ってから商談や受注につながるまでに時間がかかります。短期的な成果だけを求めるのではなく、継続的な情報提供や関係づくりを前提に取り組む必要があります。
本記事では、BtoBマーケティングを80社以上支援してきたSells upが、潜在顧客の定義から顧客化までの進め方、具体的なアプローチ手法を解説します。
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【この記事で解説すること】 ・潜在顧客と顕在顧客、見込み客の違い ・潜在顧客を掘り起こし、顧客化するまでの進め方 ・オウンドメディアや広告、ウェビナーなどを使った具体的なアプローチ方法 |
接点のない層をこれから開拓する場合の進め方は、
デマンドジェネレーションの考え方と3つのプロセスでも解説しています。
すでに接点のある休眠顧客や失注リードへのアプローチは、対象や施策が異なります。詳しくは、
休眠顧客の掘り起こし方で解説しています。
「潜在顧客」とは何か?
潜在顧客へのアプローチを考える前に、まず「潜在顧客」「見込み客」「顕在顧客」の違いを整理しておきます。
潜在顧客の定義
潜在顧客とは、将来的に自社の顧客となる可能性はあるものの、現時点では課題や解決策を明確に認識していない層のことです。
たとえば、業務に手間がかかっていても「改善すべき課題」とまでは捉えておらず、具体的な製品やサービスを探していない状態が該当します。
潜在顧客の特徴
潜在顧客には、主に次のような特徴があります。

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【潜在顧客の特徴】 ・課題を明確に認識していない:日々の業務で不便さや非効率を感じていても、それを解決すべき課題として捉えていない状態です。 ・具体的な解決策を探していない:製品名やサービス名を検索したり、複数のサービスを比較したりする段階には進んでいません。 ・購買を検討していない:まだ課題や解決策を整理できていないため、価格比較や問い合わせといった具体的な購買行動には至っていません。 |
企業側から見ると、潜在顧客はまだ具体的な検討行動が少なく、ニーズや検討状況を把握しにくい層です。一方で、適切な情報提供によって課題に気づくきっかけをつくり、将来的な見込み客へつなげられる可能性があります。
見込み客との違いは「接点と検討段階」
マーケティングでは、「潜在顧客」と「見込み客(リード)」が混同されることがあります。
見込み客は、一般的には自社の商品・サービスの対象となり得る顧客候補を指します。企業によっては、資料ダウンロードやセミナー参加などを通じて接点を持ち、マーケティングや営業の対象として管理している相手を指す場合もあります。

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【潜在顧客と見込み客の違い】 ・潜在顧客:課題や解決策を明確に認識しておらず、具体的な検討行動もまだ少ない層 ・見込み客:資料ダウンロードやセミナー参加、問い合わせなどを通じて接点があり、マーケティングや営業の対象として管理している層 |
たとえば、セミナーの存在をまだ知らない人は潜在顧客ですが、そのセミナーに申し込み、企業側で情報を取得できる状態になれば見込み客として扱えます。
ただし、「見込み客」の定義は企業によって異なります。ニーズの強さだけでなく、自社との接点や管理対象になっているかという観点で区別すると整理しやすくなります。
顕在顧客との違いは「課題と解決策の認識度」
顕在顧客は、自身の課題を認識し、その解決に向けて情報収集や比較検討を進めている層です。
潜在顧客との大きな違いは、課題や解決策についてどこまで認識しているかにあります。
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【顕在顧客と潜在顧客の違い】 ・課題の認識:顕在顧客は解決したい課題を認識しています。潜在顧客は、不便さや問題を感じていても、それを明確な課題として捉えていない場合があります。 ・情報収集の状況:顕在顧客は解決方法や製品・サービスについて調べ始めています。潜在顧客は、まだ具体的な解決策を探していない段階です。 ・適したアプローチ:顕在顧客には製品情報や事例、料金、デモなど比較検討に必要な情報を提供します。一方、潜在顧客には、まず課題に気づくきっかけとなる情報や、業務改善の考え方などを提供します。 |
たとえば業務効率化ツールであれば、すでに製品を比較している顕在顧客には導入事例やデモが適しています。一方、潜在顧客には「手作業が発生しやすい業務」や「業務効率を見直すポイント」といったテーマから接点をつくる方法があります。
この違いを整理しておくことで、潜在顧客と顕在顧客に同じ施策を当てるのではなく、それぞれの段階に合った情報を届けやすくなります。
潜在顧客の掘り起こしで得られる4つの価値
潜在顧客の掘り起こしとは、まだ課題や解決策を明確に認識していない層と接点をつくり、継続的な情報提供を通じて見込み客へつなげていく取り組みです。
主な価値は、次の4つです。
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1. 新規顧客の獲得機会を広げられる 2. 新たな需要や市場を開拓できる 3. ニーズが顕在化する前から接点を持てる 4. 中長期的な関係構築につなげられる |
新規顧客の獲得機会を広げられる
潜在顧客を掘り起こすことで、すでに解決策を探している層だけでなく、その手前にいる層までアプローチの対象を広げられます。
BtoBマーケティングでは、「今すぐ客はごく一部で、その外側に将来顧客となり得る大きな母集団がある」と整理されることがあります。
具体的な割合を示す「1:9:90」などの考え方もありますが、これらは出典が明確な調査結果ではありません。重要なのは比率そのものではなく、いま比較検討している層以外にも、将来的な顧客候補が存在していると捉えることです。

すでに顕在層への施策を十分に行っている企業では、潜在層まで対象を広げることで、新たな接点を増やせる可能性があります。
一方で、潜在顧客はすぐに商談や受注につながるとは限りません。短期的な獲得効率だけで評価するのではなく、中長期で育成する前提が必要です。
新たな需要や市場を開拓できる
潜在顧客への働きかけは、既存市場の中で顧客を取り合うだけでなく、新たな需要を生み出すきっかけにもなります。
潜在顧客は、自社の商品やサービスを知らないだけでなく、そもそも課題の解決方法自体を認識していない場合があります。
そのため、
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これまで見過ごされていた課題を提示する
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新しい解決方法を知ってもらう
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これまでとは異なる使い方を提案する
といった情報提供によって、新たな需要が生まれることがあります。

たとえば、カーシェアリングのように、従来の「自動車を所有する」という選択肢とは異なる利用方法が広がることで、新たな市場が形成された例もあります。
すべての潜在顧客施策が新市場の創出につながるわけではありませんが、既存の顕在需要だけでは成長余地が限られる場合には、検討する価値があります。
ニーズが顕在化する前から接点を持てる
潜在顧客と早い段階から接点を持つことで、相手が本格的に情報収集や比較検討を始める前から、自社の存在や専門性を知ってもらうことができます。

たとえば、業界動向や業務改善に関する情報を継続して発信していれば、相手が実際に課題を認識したときに、「以前から情報を見ていた会社」として思い出してもらえる可能性があります。
比較検討が始まってから初めて接点を持つ場合と比べ、事前に認知されていることは一つの強みになります。
ただし、早く接点を持てば必ず選ばれるわけではありません。継続的に役立つ情報を届け、信頼を損なわないコミュニケーションを続けることが前提です。
中長期的な関係構築につなげられる
潜在顧客へのアプローチは、すぐに売ることではなく、相手が課題を認識し、情報収集を始めたときにも接点を持ち続けられる状態をつくることに意味があります。

たとえば、記事やウェビナー、メールなどを通じて継続的に情報を届けていれば、
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潜在顧客
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見込み客
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商談
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顧客
と段階が変わった後も、同じテーマでコミュニケーションを継続しやすくなります。
また、契約後も有益な情報提供を続けることで、追加利用や別サービスの検討、紹介などにつながる場合もあります。
ただし、潜在段階から接点を持っていたこと自体がLTVの向上を保証するわけではありません。重要なのは、それぞれの段階に応じた情報を継続して届け、関係を維持できる仕組みを整えることです。
潜在顧客を掘り起こし顧客化するまでの流れ 7ステップ
潜在顧客を顧客化するには、いきなり施策を実行するのではなく、対象となる市場や顧客像を定め、接点をつくり、継続的に関係を築いていく必要があります。
ここでは、その流れを7つのステップに分けて解説します。
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1. Step.1:STP分析で市場とターゲットを絞り込む 2. Step.2:自社における潜在顧客を明確に定義する 3. Step.3:ペルソナを設定する 4. Step.4:カスタマージャーニーマップで接点を整理する 5. Step.5:アプローチ手法を選定する 6. Step.6:継続的なコミュニケーションを行う 7. Step.7:効果を測定して改善する |
Step.1:STP分析で市場とターゲットを絞り込む
まずは、どの市場・顧客層を狙うのかを整理します。その際に使える考え方の一つがSTP分析です。
STPは、Segmentation(市場細分化)・Targeting(標的市場の選定)・Positioning(自社の立ち位置の決定)の頭文字を取ったものです。

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【STP分析の進め方】 ・Segmentation(セグメンテーション):市場を属性やニーズの違いによっていくつかのグループに分けます。BtoBであれば、業種、企業規模、地域、利用しているツールなどが代表的な切り口です。 ・Targeting(ターゲティング):分けたセグメントの中から、自社が優先してアプローチする市場を決めます。市場規模や成長性だけでなく、自社が提供できる価値や営業・マーケティングとの相性も確認します。 ・Positioning(ポジショニング):選んだ市場に対して、自社をどのような存在として認識してもらうかを整理します。競合との違いや、自社が提供できる価値を明確にします。 |
すべての市場へ同じようにアプローチするのではなく、どのセグメントを優先するかを決めることで、その後の施策も設計しやすくなります。
BtoBでのSTP分析の進め方は、
BtoBにおけるSTP分析の手順で解説しています。
Step.2:自社における潜在顧客を明確に定義する
次に、「自社にとって誰が潜在顧客なのか」を具体的に定義します。
単に「まだ購入していない人」と広く捉えると対象が大きくなりすぎるため、市場、属性、課題の状態などを組み合わせて整理します。

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【潜在顧客を定義する際の観点】 ・ターゲット市場:どの業界や市場に潜在的な需要があるのかを整理します。 ・顧客属性:BtoBであれば、業種、企業規模、部署、役職、地域など、自社の顧客になり得る条件を設定します。 ・課題の認識段階:課題にまったく気づいていないのか、漠然とした問題意識を持っているのかなど、現在の状態を整理します。 |
たとえば、「従業員100〜500名の製造業で、営業管理をExcelで行っているが、まだSFA導入を検討していない企業」のように定義すると、その後の施策へ落とし込みやすくなります。
Step.3:ペルソナを設定する
ターゲットを決めたら、その中で実際に情報収集や意思決定に関わる人物を整理します。
ペルソナは、施策を検討する際に「誰に向けた情報なのか」を具体化するための仮想的な人物像です。

BtoBの場合は、年齢や趣味などを細かく設定するよりも、
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所属部署・役職
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担当業務
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抱えている課題
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評価される指標
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情報収集の方法
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購買や導入における役割
といった、業務に関係する情報を整理するほうが施策に活かしやすくなります。
また、既存顧客や過去の商談、営業担当者へのヒアリングなど、実際のデータをもとに設定することも重要です。
市場や事業戦略が変われば、想定する顧客像も変わります。定期的に見直しながら更新します。
狙う企業像をICPとして定義し、広告や営業の条件に落とす方法は、
BtoBマーケティングのターゲティング手順で解説しています。
Step.4:カスタマージャーニーマップで接点を整理する
次に、潜在顧客が課題に気づき、情報収集や比較検討を経て顧客になるまでの流れを整理します。
カスタマージャーニーマップでは、各段階における行動、考えていること、接触するチャネル、必要な情報などを整理します。

たとえば、
「業務上の違和感に気づく → 解決方法を調べる → 記事やウェビナーに接触する → 資料をダウンロードする → 製品を比較する → 問い合わせる」
といった流れを仮説として整理します。
ただし、実際の購買行動が必ずこの順番で進むわけではありません。途中の段階を飛ばしたり、前の段階へ戻ったりすることもあります。
そのため、カスタマージャーニーマップは固定的な購買プロセスとしてではなく、「どの段階で、どのような接点や情報を用意するか」を整理するために利用します。
Step.5:アプローチ手法を選定する
ターゲットや顧客の行動を整理したら、実際にどのチャネルで接点をつくるかを決めます。
潜在顧客へのアプローチには、オウンドメディア、SNS、Web広告、ウェビナー、ホワイトペーパーなど、さまざまな方法があります。
選定する際は、次のような観点で整理します。
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・ターゲットが利用しているチャネル:普段どこから情報を得ているのかを確認する ・顧客の段階との相性:まだ課題を認識していない層なのか、情報収集を始めた層なのかによって施策を変える ・届ける情報との相性:短い情報で伝わる内容なのか、記事やウェビナーのように一定量の説明が必要なのかを考える |
たとえば、まだ課題を認識していない層には広告やSNS、業界メディアなどで接点をつくり、情報収集を始めた層には記事やウェビナー、ホワイトペーパーを届けるといった組み合わせが考えられます。
ただし、チャネルの有効性はターゲットによって異なります。一般論で決めるのではなく、自社の顧客がどこで情報収集しているかを確認して選びます。
顕在層まで含めた施策の一覧と選び方は、
BtoBのリード獲得施策の選び方で整理しています。
Step.6:継続的なコミュニケーションを行う
潜在顧客は、一度コンテンツに接触しただけで商談や受注につながるとは限りません。
接点を持った後も、相手の属性やこれまでの行動などを参考にしながら情報を届け、関係を継続します。
たとえば、
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オウンドメディアの記事から資料へ誘導する
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資料ダウンロード後に関連する記事を案内する
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ウェビナー参加者に関連資料を送る
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メールで定期的に業界情報や事例を届ける
といった施策が考えられます。
重要なのは、接触回数を増やすこと自体ではありません。
必要以上の連絡を避けながら、次に役立つ情報を届けることが重要です。
どの順番で何を届けるかというシナリオの設計方法は、
リードナーチャリングの全体設計で解説しています。
Step.7:効果を測定して改善する
潜在顧客への施策は、接点をつくってから商談や受注につながるまで時間がかかるため、短期的なコンバージョンだけで評価しないことが重要です。
施策ごとに、段階に応じた指標を確認します。
たとえば、
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広告やSNS:表示数、クリック数、サイト流入数
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Webサイト:記事閲覧数、資料ダウンロード数
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メール:クリック率、サイトへの再訪
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ウェビナー:申込数、参加数、その後の行動
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営業連携後:商談化数、受注数
といった指標です。
最終的には、「どの施策で接点を持ったリードが商談や受注につながったのか」まで追跡します。
ただし、「ウェビナー経由だから商談化した」と単純に判断するのではなく、複数の施策への接触履歴も含めて確認します。
MA(マーケティングオートメーション)ツールを利用すると、リード情報やメールへの反応、Webサイト上の行動などをまとめて管理しやすくなります。
MAツールの導入をこれから検討する場合は、
MAツールの導入手順もあわせてご覧ください。
潜在顧客の掘り起こしを実践する4つの具体的アプローチ手法
潜在顧客との接点をつくる方法は一つではありません。ここでは、代表的な4つのアプローチ手法を紹介します。
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1. オウンドメディア運用:課題に関する情報から接点をつくる 2. SNS活用:継続的な情報発信で認知を広げる 3. Web広告配信:条件を絞って潜在層へ届ける 4. ウェビナー・セミナー開催:専門的な情報を提供する |
オウンドメディア運用:課題に関する情報から接点をつくる
自社が運営するWebサイトやブログなどのオウンドメディアは、潜在顧客との接点をつくる方法の一つです。
潜在顧客は、まだ具体的な製品名やサービス名を探していない場合があります。そのため、商品そのものではなく、業務上の悩みや課題に関連するテーマで情報を発信することで接点を持ちやすくなります。

たとえば、人事管理システムを提供する企業であれば、「勤怠管理の方法」や「労務管理で起こりやすい課題」といったテーマの記事を公開することで、まだシステム導入を具体的に検討していない層にも情報を届けられます。
オウンドメディアは、記事を公開して終わりではありません。検索流入や資料ダウンロード、問い合わせなどを確認しながら、潜在顧客が関心を持つテーマを継続して増やしていくことが重要です。
SNS活用:継続的な情報発信で認知を広げる
X、Facebook、Instagram、LinkedInなどのSNSも、潜在顧客との接点をつくるために利用できます。
業界ニュースや市場動向、業務に役立つTips、記事やウェビナーの案内などを継続して発信することで、自社をまだ知らない層に情報が届く可能性があります。
重要なのは、すべてのSNSを運用することではありません。
自社のターゲットがどのSNSを利用しているのかを確認し、そのチャネルに合わせて発信内容を決めます。
BtoBであれば、企業や担当者によって利用するSNSが大きく異なるため、フォロワー数だけではなく、
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Webサイトへの流入
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資料ダウンロード
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ウェビナー申込
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SNS経由で獲得したリードの商談化状況
なども確認しながら運用します。
Web広告配信:条件を絞って潜在層へ届ける
Web広告は、検索行動がまだ発生していない層にも情報を届けられる方法です。
たとえばSNS広告では、媒体によって企業属性や興味関心などをもとに配信対象を設定できます。検索広告だけでは接点を持ちにくい層へ、課題を知るきっかけとなる情報を届ける用途にも使えます。
広告では、いきなり製品の購入や問い合わせを求めるのではなく、
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課題に関する記事
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ホワイトペーパー
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調査レポート
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ウェビナー
など、潜在顧客が情報を受け取りやすいコンテンツへ誘導する方法もあります。
弊社が支援した日本テレビアート様では、営業・マーケティングのノウハウがない状態から、フェーズ1の約10か月でサービス内容の言語化に取り組み、その後Meta広告によるリード獲得を開始しました。広告予算は月10万円程度で、初年度から多い月には100件以上のリードを獲得しています。

また、ブリューアス様では、Google検索広告に加えてMeta広告とMicrosoft広告へ配信先を広げ、あわせてLPの構成を見直したことで、CPAが以前の約3分の1になりました。
このように、単一の広告媒体に絞るのではなく、ターゲットや目的に応じて複数の接点を用意する方法もあります。
ウェビナー・セミナー開催:専門的な情報を提供する
ウェビナーやセミナーは、潜在顧客にまとまった情報を届けられる手法です。
製品説明を中心にするのではなく、業界動向や業務上の課題、改善方法などをテーマにすることで、まだ具体的な製品を探していない層にも参加してもらいやすくなります。
たとえば税理士事務所であれば、「インボイス制度への対応」や「経理業務を見直すポイント」といったテーマを扱うことで、まだ顧問税理士の変更を検討していない事業者とも接点を持てます。
開催後は、参加者へのフォローだけでなく、録画をオンデマンド配信して継続的に活用する方法もあります。
株式会社ネクプロとOTSUANGI株式会社が2026年2月10日から3月10日に実施した調査では、ウェビナーを実施または検討している企業102名のうち、64%がオンデマンド配信を活用していると回答しています。
一度開催したコンテンツを録画や記事、資料などに展開することで、当日参加できなかった潜在顧客との接点にも活用できます。
潜在顧客の掘り起こしを成功させる3つのポイント
潜在顧客の掘り起こしは、施策を始めることよりも、継続して運用できる状態をつくることが重要です。
ここでは、特に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
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1. インバウンドマーケティングを軸にする 2. 成約まで時間がかかる前提で取り組む 3. MAツールを使って運用を効率化する |
インバウンドマーケティングを軸にする
潜在顧客へのアプローチでは、いきなり製品を売り込むよりも、相手が課題に気づくきっかけとなる情報を届けることが重要です。
インバウンドマーケティングは、記事やホワイトペーパー、ウェビナーなどを通じて有益な情報を発信し、顧客側から自社との接点を持ってもらう考え方です。
潜在顧客は、まだ具体的な解決策を探していない場合があります。そのため、電話営業や製品訴求だけでは関心を持ってもらいにくいことがあります。
一方で、
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業務上の課題を整理する記事
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業界動向をまとめた資料
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実務に役立つウェビナー
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調査データや事例
などを提供することで、課題を認識するきっかけをつくれます。

ただし、潜在顧客へのアプローチをすべてインバウンドに限定する必要はありません。
ターゲットが明確であれば、広告や営業活動を組み合わせる方法もあります。重要なのは、相手の検討段階に合わない強い売り込みを避け、まず接点をつくることです。
成約まで時間がかかる前提で取り組む
潜在顧客への施策は、短期的な商談数や受注数だけで評価すると継続しにくくなります。
まだ課題を明確に認識していない層の場合、最初の接点から情報収集、比較検討、商談まで一定の期間がかかることがあります。
そのため、
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新たに接点を持てた企業数
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記事や資料への反応
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ウェビナーへの参加
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メールやサイトへの再訪
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見込み客化した件数
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その後の商談化数
など、段階に応じた指標を確認します。
「半年で成果が出なければ失敗」「数年続ければ成果が出る」と一律に判断するのではなく、自社の商談までの期間や施策ごとの反応をもとに評価することが重要です。
短期の売上だけではなく、中長期で見込み客の母集団を増やす施策として運用します。
MAツールを使って運用を効率化する
潜在顧客との接点が増えると、誰にどの情報を届けたのか、その後どのような行動があったのかを手作業だけで管理することが難しくなります。
その際に活用できるのが、MA(マーケティングオートメーション)ツールです。

MAツールでは、メール配信、Webサイト上の行動記録、リスト管理、スコアリング、営業への通知などを一つの仕組みとして管理できます。
弊社が支援したCLUE様では、3日連続でサービスページを訪問したユーザーを検知し、インサイドセールスへ自動で連携する仕組みを構築しました。
行動があった相手を自動で商談対象と判断するのではなく、営業担当者が優先して確認できる状態をつくるための運用です。

スコアリングを利用する場合も、感覚だけで配点を決める必要はありません。
弊社では、受注したリードとそうでないリードの行動を比較し、ロジスティック回帰を用いて配点を検討することがあります。
RFE(Recency・Frequency・Engagement)の設計例では、
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Engagement:0.45
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Recency:0.385
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Frequency:0.165
という重みを使用しています。
これはSells upの支援で使用している設計例であり、一般的な基準ではありません。
また、スコアが高いことと購買意欲が高いことは同じではありません。スコアは営業担当者が確認する対象を絞るための材料として使い、実際の検討状況は対話で確認します。
配点の決め方と運用は、
リードスコアリングの設計6ステップで解説しています。
潜在層の掘り起こしを急がなくてよい場合
潜在顧客への施策は、すべての企業がすぐに始めるべきものではありません。
次のような状態であれば、潜在層へ広げる前に、既存の営業・マーケティングプロセスを見直す選択肢があります。
顕在層への対応が追いついていない
問い合わせや資料請求が発生しているにもかかわらず、営業からの初回連絡が遅れている場合は、まずその対応を見直します。
既存のリードに十分対応できていない状態で母集団だけを増やしても、フォローできないリードが増える可能性があります。
商談化率や受注率に改善余地がある
すでに検討している顕在層でも商談や受注につながっていない場合は、営業プロセスや訴求内容を先に確認します。
潜在層から新たなリードを増やす前に、現在獲得できているリードが、どの段階で商談や受注につながっていないのかを把握することが重要です。
継続的にコンテンツを用意できない
潜在顧客へのアプローチでは、記事、資料、ウェビナー、メールなどを継続して用意する必要があります。
担当者や制作体制が決まっていない状態では、最初の数回だけ実施して止まってしまうことがあります。
いずれも潜在顧客への施策が不要という意味ではありません。
まず顕在層への対応や既存施策の改善を行い、そのうえで潜在層まで対象を広げることで、運用しやすくなります。
「どの施策から始めればよいか分からない」「現在の営業・マーケティング施策を見直したい」という場合は、Sells upにご相談ください。
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けていても商談につながらない場合は、個別の施策だけでなく、ターゲット、接点のつくり方、営業への引き渡しまで含めて確認する必要があります。Sells upでは、現在の施策やデータを確認しながら、改善する箇所と優先順位を整理して支援します。
相談してみる →まとめ
潜在顧客の掘り起こしとは、まだ課題や解決策を明確に認識していない層と接点をつくり、将来の見込み客や顧客へつなげていく取り組みです。
潜在顧客へアプローチすることで、すでに比較検討している層だけでなく、その手前にいる層まで対象を広げられます。一方で、接点を持ってから商談や受注につながるまでには時間がかかるため、短期的な成果だけで判断しないことが重要です。
進める際は、まずSTP分析で市場とターゲットを整理し、自社にとっての潜在顧客を定義します。そのうえで、ペルソナやカスタマージャーニーをもとに接点を設計し、オウンドメディア、SNS、Web広告、ウェビナーなどの手法を選びます。
一度接点を持った後も、相手の関心や行動に応じて情報提供を続け、商談や受注までの結果を確認しながら施策を見直していきます。
ただし、問い合わせや資料請求への対応が追いついていない、商談化率や受注率に改善余地がある、継続的にコンテンツを用意できないといった場合は、潜在層へ広げる前に、既存の営業・マーケティングプロセスを見直す選択肢があります。
潜在顧客の掘り起こしは、対象を広げること自体が目的ではありません。自社にとって優先すべき顧客層を見極め、適切な接点と情報提供を継続しながら、将来の商談や受注につながる母集団を育てていくことが重要です。
よくある質問
潜在顧客の掘り起こしとは何ですか?
潜在顧客の掘り起こしとは、現時点では自社の製品やサービスを利用しておらず、自身の課題にもまだ気づいていない「潜在顧客」を発掘し、継続的なコミュニケーションを通じて購買意欲を育み、見込み客へと引き上げていくプロセスのことです。
潜在顧客は「課題の種」を抱えているものの購買行動には移っておらず、企業側から見ると市場に現れていない「隠れた需要層」です。いま解決策を探している層よりも母集団が大きいという見方は広く共有されていますが、倍率を示した調査があるわけではありません。
| 掘り起こしで得られる価値 | 内容 |
|---|---|
| 顧客獲得機会の拡大 | 顕在層だけを狙うより広い母集団にアプローチできる |
| 先行優位性の確保 | 競合他社より先に関係を築くことで、ニーズ顕在化時に第一想起される |
| LTVの向上 | 潜在段階から育成した顧客はロイヤルティが高く、長期的な収益貢献が大きい |
掘り起こしを成功させるには、STP分析によるターゲット定義→ペルソナ設定→カスタマージャーニーマップの作成→手法選定→継続的なコミュニケーションという体系的なプロセスが必要です。オウンドメディア・SNS・Web広告・ウェビナーなど複数の手法を組み合わせ、インバウンドマーケティングを軸に長期的に取り組むことが重要です。
ビジネスにおける掘り起こしとは何ですか?
ビジネスにおける掘り起こしとは、まだ顕在化していない需要や顧客候補を積極的に発見・育成し、将来の売上につなげていく活動のことです。マーケティング文脈では特に「潜在顧客の掘り起こし」として使われ、自身の課題に気づいていない層や購買意欲が生まれていない層に対して、課題認識を促すアプローチを行うことを指します。
ビジネスにおいて掘り起こしが重視される理由は、以下のとおりです。
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 市場の成熟化 | 顕在需要が頭打ちになった市場では、潜在ニーズの掘り起こしが事業成長のブレイクスルーとなる |
| 購買プロセスの長期化 | BtoBでは検討から購入まで数か月〜1年以上かかるため、早期から関係を築く必要がある |
| 顕在層の獲得競争激化 | すでに購買意欲のある層の奪い合いを避け、独自の顧客基盤を構築できる |
掘り起こしの具体的な手法には、オウンドメディアによるコンテンツ提供、SNSでの継続的な情報発信、Web広告によるピンポイントリーチ、ウェビナー・セミナーによる専門知識の提供などがあります。いずれも、まだニーズを自覚していない層に対して「課題に気づかせ、解決策として自社を想起させる」ことが目的です。強引な売り込みよりも、インバウンドマーケティングを軸に据えた継続的なアプローチが有効です。
潜在顧客の掘り起こしは成果が出るまでどれくらいかかりますか?
商材や検討期間によって変わるため、一律の目安はありません。潜在層は解決策を探し始めていない段階にあるため、接触してから見込み客になるまで数か月から1年以上かかることもあります。
判断を早めるには、売上だけで評価せず、記事やウェビナーへの接触者数、そのうち資料請求やフォーム送信に進んだ人数、さらにそこから商談になった件数を段階ごとに記録します。どの段階で止まっているかが分かれば、打ち切るか続けるかを数字で判断できます。
休眠顧客の掘り起こしとはどう違いますか?
対象が違います。潜在顧客は自社とまだ接点がなく、課題も自覚していない層です。休眠顧客は過去に問い合わせや取引があり、その後動きが止まっている層で、連絡先も過去のやり取りも残っています。
そのため打ち手も分かれます。潜在層には課題に気づいてもらうためのコンテンツが中心になり、休眠層には過去の接点を起点にした再アプローチが中心になります。休眠層への進め方は
休眠顧客の掘り起こし方で解説しています。
オウンドメディアとWeb広告はどちらから始めるべきですか?
早く反応を見たい場合はWeb広告から、費用を抑えて接点を積み上げたい場合はオウンドメディアから着手する、という分け方ができます。広告は配信を止めると流入も止まりますが、狙う条件を絞って数週間で結果を確かめられます。
オウンドメディアは記事が蓄積するほど流入が積み上がる一方、検索から安定して流入するまでに数か月かかります。どちらか一方に絞るより、広告で反応の良いテーマを見つけ、その内容を記事として残していく進め方が無駄になりにくい形です。
潜在的な顧客とは何ですか?
潜在的な顧客(潜在顧客)とは、現時点では自社の製品やサービスを利用しておらず、自分自身の課題を明確に認識していない状態にありながら、将来的に顧客となる可能性を秘めた層のことです。何らかの課題や不満の「種」を抱えているものの、それが解決すべき問題だとは気づいておらず、具体的な解決策を探す購買行動にも移っていません。
類似する概念との違いを整理すると以下のとおりです。
| 顧客の種類 | ニーズの状態 | 購買行動 | 必要なアプローチ |
|---|---|---|---|
| 潜在顧客 | 課題を自覚していない(ニーズ未顕在) | 購買行動なし・情報収集もしていない | 課題を認識させニーズを引き出す働きかけ |
| 見込み客(リード) | 課題を認識している(ニーズ自覚あり) | 情報収集・製品比較などの検討行動あり | 自社を選ぶ理由を訴求する育成アプローチ |
| 顕在顧客 | 明確なニーズがあり解決策も把握している | 競合比較・価格検討など具体的な購買行動あり | 競合を意識した直接的な提案 |
潜在顧客に共通する特徴は、「課題の種は持っているが商品名ではなく自分の悩みに関連したキーワードで情報収集する」点にあります。そのため、有益なオウンドメディアコンテンツやSNS・ウェビナーなどインバウンド型のアプローチが効果的です。いま解決策を探している層よりも母集団が大きいと考えられており、この層を育成して顧客化することが、中長期的な売上基盤につながります。
