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MA運用とは?業務内容・よくある失敗・成果を出す設計の全体像を解説

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

目次

MA(マーケティングオートメーション)運用とは、MAツールの設定・配信・データ分析・シナリオ改善を継続的に回すことで、商談数の増加や営業効率の改善につなげる活動のことです。

ポイントは

  1. 業務内容の全体像を把握すること
  2. スコアリングと営業連携を設計すること
  3. PDCAを止めないこと

の3点です。

本記事では、MA運用の業務内容・よくある失敗・成果を出す5ステップ・主要KPIを、Sells upの支援実績をもとに解説します。

MA運用とは?1分でわかる定義と「導入して終わり」との違い

MA運用とは、MAツールの機能(メール配信・スコアリング・シナリオ設計・データ分析)を継続的に設計・改善することで、見込み客の育成から商談化までを仕組みとして機能させる活動のことです。

要点は次の3点です。①「ツールを動かす」だけでは成果は出ません。②設計・改善のサイクルを回すことが運用の本質です。③MAの価値は、商談数と受注数が変わって初めて実現されます。

なぜなら、MAツールはあくまで「仕組みを動かすための道具」だからです。ツールをどう設定し、誰にどのコンテンツをいつ届けるかという設計がなければ、ログが溜まるだけの状態になります。弊社がこれまで支援した80社以上の企業でも、MA導入直後に最も多い課題は「何から動かせばいいかわからない」というものでした。

MA運用と「MAツール導入」の違いはどこにあるのか?

MAツールの導入とMA運用は、まったく別の工程です。導入は「ツールを使える状態にすること」であり、運用は「ツールを使って商談数を増やす仕組みを回し続けること」です。

具体的には、導入フェーズで行うのはアカウント設定・トラッキングコード設置・CRM連携などの技術的な準備です。一方、運用フェーズで行うのはシナリオ設計・コンテンツ制作・スコアリング設定・営業との引き継ぎルール(SLA)の策定・月次レビューです。この2つを混同していると、「導入したのに成果が出ない」という状態が続きます。

MAの導入フェーズと初期設計の全体像については、MAツール導入から設計全体の進め方で詳しく解説しています。

なぜBtoBでMA運用が必要とされているのか?

BtoBのMA運用が重要視される理由は、購買プロセスの複雑化と長期化にあります。

BtoBの購買は、複数の意思決定者が関与し、検討期間が数ヶ月から1年以上になるケースも珍しくありません。紹介やテレアポだけで商談を創出し続けるモデルは、企業が成長フェーズに入るほど頭打ちになります。その背景には、購買前の情報収集の大半がWebで完結するようになったという構造的な変化があります。

MA運用は、この「営業が接触する前に始まっている購買プロセス」に対して、継続的な接点を設計・自動化することで、商談化のタイミングを逃さない仕組みを作るものです。

MA運用担当者が行う5つの主要業務

MA運用の主要業務とは、①リードジェネレーション、②リードナーチャリング、③スコアリング設計と運用、④営業連携とトスアップ設計、⑤効果測定とPDCAの5つです。

要点は「5つの業務は独立していません」という点です。リード獲得から商談化まで、一連のプロセスとして設計されていることが成果につながります。それぞれの業務が分断されていると、スコアが高いリードが営業に渡らない、コンテンツは充実しているのに商談化しないという状態が起きます。

①リードジェネレーション(見込み客の獲得)

リードジェネレーションとは、自社の商品・サービスに関心を持つ見込み客の情報を取得する活動のことです。MA運用の起点となる業務です。

具体的には、Webサイトへのトラッキングコードの設置・フォーム設計・コンバージョン経路の整備が主な実務です。フォームに入力された情報がMAツールに自動で取り込まれる導線を整えることで、展示会・ウェビナー・広告・オウンドメディアなど複数チャネルから取得したリード情報を一元管理できます。

注意が必要なのは、「リード数を追うだけでは不十分」という点です。自社の商材に転換しやすいターゲット層を定義し、その層に向けた導線設計を行うことが、後続のナーチャリング・スコアリングの精度を左右します。

②リードナーチャリング(育成シナリオの設計と配信)

リードナーチャリングとは、獲得した見込み客の購買意欲を継続的に高め、商談化へとつなげる育成活動のことです。

MA運用における実務としては、シナリオ設計・メール文面の作成・配信タイミングの設定が中心です。シナリオとは、「誰が・どのアクションをしたときに・どのコンテンツを届けるか」を設計した一連の自動配信フローです。たとえば、ホワイトペーパーをダウンロードした翌日にお礼メールを送り、3日後に関連コンテンツを配信し、7日後に商談打診メールを送るというフローが代表的な構成です。

シナリオの具体的な設計手順については、シナリオ設計の全手順と具体例で詳しく解説しています。

③スコアリング設計と運用(リードの優先度可視化)

スコアリングとは、見込み客の属性情報や行動履歴に点数を付けることで、受注確度の高いリードを数値で可視化する仕組みのことです。

設計の実務は、属性スコア(役職・企業規模・業種など)と行動スコア(メールクリック・ウェビナー参加・資料DL・価格ページ閲覧など)の2軸で行います。各行動に点数を配分し、合計スコアが一定の閾値(しきいち)を超えたリードを「ホットリード」として営業に渡す仕組みを構築します。

弊社が推奨しないのは、スコアの重み付けを感覚値だけで決める方法です。なぜなら、感覚値ベースのスコアリングは「スコアが高いのに商談につながらない」という状態を生み出し、営業担当者がスコアを信頼しなくなるからです。受注データと行動履歴の相関を分析し、統計的に重み付けを設定することを弊社では標準的なアプローチとして採用しています。

スコアリングの詳細な設計手順については、スコアリング設計の手順と運用方法で解説しています。

④営業連携とトスアップ(SLA設計)

トスアップとは、マーケティングが育成したホットリードを営業部門に引き渡すプロセスのことです。SLA(Service Level Agreement)とは、マーケと営業の間で「どの状態のリードをいつまでに対応するか」を合意した取り決めです。

具体的なSLAの項目例としては、「スコアが80点以上になったリードは24時間以内にインサイドセールスが架電する」「架電後のフィードバック(有効/無効)をMAのフィールドに入力する」などが挙げられます。この合意がないまま運用すると、ホットリードがMAに溜まったまま誰もフォローしない状態になります。

⑤効果測定とPDCA(改善サイクル)

効果測定とは、設計したシナリオとスコアリングが実際に機能しているかを数値で検証し、改善につなげる継続的な活動のことです。

実務では、メール開封率・クリック率・MQL転換率・商談化率・ROIを月次で定点観測します。単に数値を追うだけでなく、「なぜその数値になったのか」を説明できることが運用品質の分かれ目です。開封率が下がった理由を件名・配信時間・セグメント設計の観点から仮説を立て、次の配信で検証する。このサイクルを月次で回し続けることが、MA運用を「成果が出る状態」に育てます。

MA運用に必要な5つのスキルと社内体制の考え方

MA運用に必要なスキルとは、①MAツールの操作スキル、②戦略設計スキル、③コンテンツ企画・制作スキル、④データマネジメントスキル、⑤データ分析スキルの5つです。

要点は「一人がすべてを担う必要はない」という点です。5つのスキルを1人のMA担当者が完全に習得するのは現実的ではありません。社内で補完できる体制をつくるか、習熟に時間がかかる領域を外部支援でカバーするかを判断することが、運用を止めないための現実的なアプローチです。

①MAツールの操作スキル(ツール別の習得ポイント)

MAツールの操作スキルとは、フォーム設定・メール配信・シナリオ構築・スコアリング設定・レポート出力の各機能を実務レベルで使いこなす能力のことです。

ツールによって習得難易度は異なります。HubSpotは直感的なUIで学習コストが低く、初めてMAを使う担当者にも比較的取り組みやすい設計です。Account Engagement(旧Pardot)はSalesforceとの連携設計が必要なため、データ構造の理解が求められます。Adobe Marketo Engageは機能が豊富な分、設定の自由度が高く、深い知識が必要です。SATORIは匿名顧客へのアプローチに強みがあり、国産ツールならではの日本語サポートも充実しています。

②戦略設計スキル(ペルソナ・カスタマージャーニー・KPI逆算)

戦略設計スキルとは、「誰に・何を・いつ・どう届けるか」を設計し、KPIに逆算してシナリオの骨格をつくる能力のことです。

施策を決める前に、まずペルソナとカスタマージャーニーを設計します。「この役職の担当者が・このフェーズで・どんな課題を抱えているか」を言語化することで、配信するコンテンツとタイミングが明確になります。KPIは商談数・受注数から逆算して設計し、そこからシナリオに必要なコンテンツ数・配信頻度を割り出します。

③コンテンツ企画・制作スキル(フェーズ別コンテンツの設計)

コンテンツ企画・制作スキルとは、見込み客の検討フェーズに合わせて、反応率と商談化率を高めるコンテンツを設計・制作する能力のことです。

検討初期のリードには課題認識を促す教育系コンテンツ(業界調査レポート・ノウハウ記事)、比較検討フェーズのリードには自社の優位性を示す比較コンテンツや事例、導入前のリードには不安を解消するFAQや導入支援の案内が有効です。コンテンツがこのフェーズ設計と連動していないと、シナリオを稼働させても反応率が上がりません。

④データマネジメントスキル(リスト管理・データクレンジング)

データマネジメントスキルとは、MAに格納されているリード情報の入力ルールを統一し、データの品質を維持する管理能力のことです。

弊社ではSalesforce認定資格(Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist)を持つ担当者がMA設計支援を行っていますが、設計品質より先に「データが使える状態かどうか」が成果に直結すると感じることが多いです。具体的には、企業名・役職・業種のフォーマット統一・重複リードの名寄せ・オプトアウト管理・スコア減衰設計(長期間反応のないリードのスコアをリセットする仕組み)が主な作業です。

⑤データ分析スキル(KPIと改善仮説の立て方)

データ分析スキルとは、MAのレポートデータから改善仮説を立て、次の施策に反映させるPDCAを回す能力のことです。

「数字が動いた理由を説明できるか」が運用品質の分かれ目です。開封率が下がったとき、「件名のせいか」「配信時間のせいか」「リストの鮮度が落ちたのか」を切り分けて考えられる担当者と、数字を見るだけの担当者とでは、半年後の成果に大きな差が生まれます。

MA運用でよくある5つの失敗パターン

MA運用でよくある失敗パターンとは、①導入目的が曖昧なまま運用を始める、②メール配信しか使えていない、③コンテンツが枯渇してシナリオが止まる、④スコアリングが感覚値で設計されていて営業に信頼されない、⑤マーケと営業の間にSLAがなくホットリードが放置される、の5つです。

実際に弊社が80社以上を支援する中で、これら5つのパターンは業種・企業規模を問わず繰り返し見られます。特に②と⑤は同時に起きていることが多く、「MAは動いているのに商談が増えない」という状態の主な原因になっています。

失敗① 導入目的が曖昧なまま運用を始める

「何のためにMAを動かすのか」が設定されていないと、改善の軸がなくなります。その結果、誰も見ないレポートだけが溜まり、施策の優先順位が決められなくなります。

具体的には、導入時に「月間MQL数〇件を達成する」「商談化率を〇%に引き上げる」というKGI・KPIを設定することから始めます。この数値がないと、MAが「動いているか」は確認できても「成果が出ているか」を判断できません。

失敗② メール配信しか使えていない(高機能なメルマガツール化)

MAツールが「高機能なメルマガ配信ツール」になっている状態は、スコアリング・シナリオ分岐・ホットリード通知という中核機能が使われていない状態です。

この状態が起きる主な原因は2つです。1つ目は、初期設定の難易度が高く、メール配信以外の機能に手をつけられていないこと。2つ目は、スコアリングや営業連携の設計に必要な「営業との合意形成」が後回しになっていることです。

実際に弊社が支援した株式会社SmartHRさまでは、Account Engagement(旧Pardot)を導入したものの、社内に運用経験を持つマーケターがおらず初期設定に悩んでいる状態からスタートしました。弊社が初期設定を支援し、2023年7月から始めて約1ヶ月で最初のメルマガ配信を実現。その後、メール文面を週1パターンのペースで積み上げ、2024年1月からSmartHRユーザーの行動データをベースにしたトリガーメールの配信を開始しました。結果として、マーケティングチーム全体の成果として目標に掲げていた問い合わせ数がこの1年間で約10倍に成長しています。「最初の1本を動かすこと」から始めることが、この状態を抜け出す最短経路です。

失敗③ コンテンツが枯渇してシナリオが止まる

シナリオを設計しても、配信するコンテンツがなければ途中でシナリオが止まります。「コンテンツは運用しながら作る」という計画は、多くの場合機能しません。

推奨するのは、シナリオを稼働させる前に最低3ヶ月分のコンテンツを準備しておくことです。ゼロから制作する必要はなく、既存のブログ記事・ウェビナー資料・営業提案書をメール向けに再編集して活用できます。既存コンテンツの棚卸しから始めることで、制作工数を抑えながら一定量のコンテンツを確保できます。

失敗④ スコアリングが感覚値で設計されていて営業に信頼されない

「スコアが高いのに商談につながらない」という状態は、スコアの重み付けが受注データと連動していないことが原因である場合がほとんどです。

スコアを感覚値で設定したまま運用し続けることは推奨しません。なぜなら、営業担当者がスコアを信用しなくなると、スコアリング自体が形骸化するからです。弊社では、受注顧客の行動履歴を過去データから抽出し、「どの行動が商談化と統計的に相関しているか」を分析したうえで重み付けを設定するアプローチを標準的に採用しています。最初から完璧な設計でなくてよいですが、「なぜこの点数にしたか」を説明できる根拠を持つことが、営業との信頼関係構築につながります。

失敗⑤ マーケと営業の間にSLAがなく、ホットリードが放置される

SLA(マーケと営業の引き継ぎルール)がない状態では、スコアが高いリードをMAが検知しても、営業が動かないという状況が生まれます。

実際に弊社が支援した株式会社ブリューアス様では、MA運用の改善によりステップメールからの継続的な受注を獲得し、一度失注した休眠顧客への掘り起こしメール配信で大型案件の受注につながっています。この成果が生まれた背景には、「どのスコアのリードをいつ・どのルートで営業に渡すか」という運用ルールが明文化されていたことがあります。SLAは複雑に作る必要はなく、「スコア〇点以上になったら24時間以内にインサイドセールスが架電し、結果をMAに入力する」という最低限の合意から始めることを推奨します。

MA運用を成果につなげる設計の全体像(5ステップ)

MA運用を成果につなげるための設計は、Step.1:KGI・KPIの逆算設計、Step.2:ペルソナとカスタマージャーニーの設計、Step.3:スコアリングとSLA締結、Step.4:スモールスタートでシナリオを稼働、Step.5:月次レビューで継続改善、という5つのステップで進めます。

要点は「ステップの順序が重要」という点です。多くの企業でシナリオ設計(Step.4)から着手してしまい、KPIや営業連携の合意がないまま施策だけが走る状態になっています。Step.1とStep.3を先に行うことが、後から「何のためにやっているかわからない」という状態を防ぎます。

Step.1:KGI・KPIを逆算して「何のために動かすか」を言語化する

KGIとは最終的なビジネス目標(例:月間受注件数5件)、KPIはその達成を測る中間指標(例:月間商談数15件・MQL数45件)のことです。

具体的には、目標受注件数から逆算して、必要な商談数・MQL数・リード獲得数・コンテンツ数を算出します。この逆算があることで、「どのシナリオを優先するか」「コンテンツをいくつ用意すべきか」の判断基準が生まれます。KPIが設計されていないMA運用は、改善の方向性が決まりません。

Step.2:ペルソナとカスタマージャーニーを設計してシナリオの骨格を作る

ペルソナとは、自社が最も成約させたい顧客の具体的な人物像のことです。カスタマージャーニーとは、そのペルソナが課題を認識してから契約に至るまでの行動と心理の流れのことです。

「誰の・どのフェーズの・どんな課題を解決するコンテンツを届けるか」が定義されて初めて、シナリオの配信順序と内容が決まります。ペルソナ設計なしに「とりあえずステップメールを3通作る」という進め方では、コンテンツと受け取る相手のニーズがずれ、反応率が上がりません。

Step.3:スコアリングの設計と営業とのMQL合意(SLA締結)

スコアリング設計とSLAの締結は、セットで進めます。どちらか片方だけでは機能しないからです。

SLAに盛り込むべき最低限の項目は、①ホットリードの定義(スコア閾値と行動条件)、②営業が対応するまでの時間(24時間以内など)、③フィードバックの入力ルール(有効・無効の区分と理由)、④MQLが有効でなかった場合の戻し先(ナーチャリングに戻すか・リサイクルするかのルール)です。この4点を文書で合意することで、マーケと営業の「ホットリード」定義の齟齬がなくなります。

Step.4:スモールスタートで1本シナリオを動かしてPDCAを回す

スモールスタートとは、最小構成のシナリオを1本だけ稼働させ、データが溜まったら改善するというアプローチのことです。

最初から複数のシナリオを設計しようとすると、コンテンツ準備と設定作業の工数がかさみ、稼働までに数ヶ月かかるケースが多いです。推奨するのは、最も優先度の高いリード(例:ホワイトペーパーダウンロード後のフォロー)に絞り、まず3〜5通のシナリオを動かすことです。データが蓄積したら開封率・クリック率・コンバージョン率を確認し、改善仮説を立てて次のサイクルに入ります。

Step.5:月次レビューで数値を確認しシナリオを継続改善する

月次レビューとは、設定したKPIに対して実績数値を確認し、翌月の改善アクションを決める定例会議のことです。

月次レビューで確認すべき4指標は、①メール開封率、②メールクリック率(CTR)、③MQL転換率(ナーチャリング対象リードのうちMQLになった割合)、④商談化率(MQLのうち商談に至った割合)です。この4つをマーケと営業の担当者が一緒に確認することが、SLAの実効性を高め、スコアリング設計の継続的な精度向上につながります。

MA運用でチェックすべき主要KPI一覧

MA運用で追うべきKPIとは、リードジェネレーション・リードナーチャリング・クオリフィケーション・商談化という3つのフェーズに分類された指標群のことです。

要点は「フェーズを分けて測定すること」です。全体の商談数だけを見ていると、どこがボトルネックになっているかが見えません。フェーズ別に数値を把握することで、「リードは増えているが育成できていない」「育成はできているが営業連携で止まっている」という課題の場所を特定できます。

KPIツリーの設計方法と目標値の設定については、KGIから逆算するKPI設計の方法で詳しく解説しています。

リードジェネレーション段階のKPI(獲得・接点の量と質)

リードジェネレーション段階で追うべき主なKPIは、新規リード獲得数・フォームCVR(コンバージョン率)・フォーム離脱率・チャネル別獲得コスト(CPA)です。

フォームCVRが1%を下回っている場合、フォームの項目数・ページの訴求・CTAの設計を見直す必要があります。チャネル別CPAを比較することで、どの流入経路が質の高いリードを効率的に獲得しているかが把握でき、予算配分の最適化に使えます。

リードナーチャリング段階のKPI(育成の質)

リードナーチャリング段階で追うべき主なKPIは、メール開封率・クリック率(CTR)・スコア上昇率・配信停止率(オプトアウト率)です。

BtoBのメール開封率は一般的に20〜30%程度が目安とされますが、業種・リストの質・送信タイミングによって異なります。重要なのは絶対値よりも「前回比での変化」です。スコア上昇率が低い場合は、コンテンツとターゲットのフェーズが合っていないことが多く、コンテンツマッピングの見直しが必要です。

クオリフィケーション・商談化段階のKPI(営業連携の質)

クオリフィケーション・商談化段階で追うべき主なKPIは、MQL数・MQL→SQL転換率・商談化率・ROIです。

MQL→SQL転換率とは、マーケが「ホットリード」と判定したリードのうち、営業が「商談に値する」と受理した割合のことです。この数値が低い場合、スコアリングの精度かSLAの合意内容に課題があります。ROIはMAへの投資対効果を示す指標で、MA関連コスト(ツール費・人件費)に対してMAが貢献した受注金額を比較して算出します。

社内体制が整わない場合の選択肢(外部支援・代行の活用)

社内リソースが限られている場合、MA運用を外部支援や代行サービスで補うことは有効な選択肢の1つです。ただし、すべての企業が外部支援を必要とするわけではありません。

要点は「内製化できる条件が揃っているかどうかで判断する」ことです。外部支援を使うべき状況と、内製化から始めるべき状況は異なります。状況を正しく判断することで、コストと成果のバランスが最適になります。

MA運用を内製化するための最低限の体制とは

内製化できる最低限の体制は、MA運用の専任担当者1名と、営業側の連携窓口担当者1名の2名体制です。

専任担当者に求められる最低限のスキルは、①使用するMAツールの基本操作、②メール文面の作成、③レポートの読み方の3点です。これ以外のスコアリング設計・シナリオ設計・データ分析は、外部支援や社内の他部門との協力で補いながら段階的に習得することが現実的です。

外部支援・MA運用代行を活用すべき判断基準

外部支援の活用を検討すべき状況として、①社内にMAツールの操作経験者がいない、②シナリオ設計・スコアリング設計の経験がない、③成果を出すまでの時間的な余裕がない、という3つが揃っている場合が挙げられます。

逆に、社内にマーケティング担当者がおり、MAツールの基本操作は習得できている状態であれば、シナリオ設計の部分だけをスポット支援として依頼する選択肢もあります。丸ごと代行に出してしまうとノウハウが社内に蓄積されないリスクがあるため、内製化を視野に入れた伴走型の支援を選ぶことを推奨します。

代行会社の選定基準と費用相場については、MA運用代行会社の選び方と比較で詳しく解説しています。

まとめ

  • MA運用とは、MAツールを使って見込み客の育成から商談化までを仕組みとして機能させる継続的な活動のことです。「導入して終わり」ではなく、設計・改善のサイクルを回すことが本質です。
  • MA運用の主要業務は、①リードジェネレーション、②リードナーチャリング、③スコアリング設計と運用、④営業連携とトスアップ、⑤効果測定とPDCAの5つです。5つは独立した作業ではなく、一連のプロセスとして設計することが成果につながります。
  • よくある失敗パターンは、「高機能なメルマガツール化」「スコアリングの感覚値設計」「SLAがないためホットリードが放置される」の3つが特に多く、弊社の支援現場でも業種・規模を問わず繰り返し見られます。
  • 成果を出す設計は、KGI・KPIの逆算設計→ペルソナとカスタマージャーニー設計→スコアリング設計とSLA締結→スモールスタート→月次レビューという5つのステップを順番に進めることが重要です。
  • 社内体制が整わない場合は外部支援の活用も有効ですが、ノウハウが社内に蓄積される伴走型の支援を選ぶことを推奨します。

FAQ:MA運用に関するよくある質問

Q. MAとは何の略ですか?

MAはMarketing Automation(マーケティングオートメーション)の略です。見込み客の獲得から育成・選別・営業連携までを自動化・効率化するツールおよびその運用方法を指します。

Q. MA活用とは何ですか?

MA活用とは、MAツールのメール配信・スコアリング・シナリオ設計などの機能を使って、商談数の増加や営業効率の改善につなげる一連の運用活動のことです。単にツールを動かすことではなく、設計・改善サイクルを回すことが活用の本質です。

Q. 業界用語のMAとは何ですか?

BtoBマーケティング文脈でのMAはマーケティングオートメーションを指し、見込み客の行動データを収集・分析して最適なアプローチを自動化するツールおよびその運用方法のことです。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)と連携して使われるケースが一般的です。

Q. 有名なMAツールには何がありますか?

BtoB向けに広く使われているのはHubSpot・Account Engagement(旧Pardot)・Adobe Marketo Engage・SATORIなどです。自社の規模・SFAとの連携要件・運用体制・予算によって適切な選択肢が変わります。弊社ではこれら主要ツールの支援実績があり、自社の状況に合った選定の相談も承っています。

Q. MA運用は一人でできますか?

可能ですが、「MAツール操作」「コンテンツ制作」「データ分析」「営業連携」という4領域が必要なため、一人で全部を担うのは負荷が高いです。役割を絞り、スモールスタートで始めることを推奨します。社内リソースが限られている場合は、外部支援との組み合わせも有効です。

Q. MAを導入したのに商談が増えない場合、何が問題ですか?

最も多い原因は、①スコアリングが感覚値で設計されていて営業がスコアを信頼していない、②SLAがなくホットリードが渡った後に放置されている、③シナリオはあるがコンテンツと受け取り手のフェーズがずれているの3点です。MAが「動いている」と「成果が出ている」は別の状態です。どのフェーズで止まっているかをフェーズ別KPIで確認することが最初のステップです。

Q. MA運用の効果が出るまでどのくらいかかりますか?

設計の完成度とリスト規模によりますが、最初のシナリオ稼働から商談化の結果が出始めるまでに3〜6ヶ月が一般的な目安です。弊社が支援したSmartHR Plus様では、初期設定から約1ヶ月で最初のメルマガ配信を実現し、1年間で問い合わせ数が約10倍に成長しています。スモールスタートで早期に1本のシナリオを稼働させ、データを積み上げながら改善することが、成果を最短で出す進め方です。

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。