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目次

BtoB企業でマーケティングオートメーション(MA)が求められる背景

従来の営業・マーケティングが直面している課題

BtoB企業の営業・マーケティング活動は、近年大きな転換期を迎えています。かつてはテレアポや展示会、ダイレクトメールといったアウトバウンド型のアプローチが中心でしたが、インターネットの普及と顧客の購買行動の変化により、その効果は限定的になりつつあります。

特に、ITソリューションのような無形商材を扱う企業では、交換した大量の名刺が営業担当者のデスクに眠り、フォローされないまま機会損失につながるケースが後を絶ちません。メルマガも顧客の関心度に関わらず一斉配信に留まり、営業部門からは「最近のリードは質が低い」という声が上がるなど、部門間の連携不足も深刻な課題となっています。限られたリソースで質の高い商談を創出し、その投資対効果(ROI)を経営層に明確に説明できる仕組みの構築が、多くのマーケティング部門にとって急務となっているのです。

なぜ今、MAによるデータに基づいたアプローチが必要なのか

現代のBtoBの購買担当者は、営業担当者に接触する前に、Webサイトや比較サイト、SNSなどを通じて自ら情報収集を終えています。つまり、顧客接点のデジタル化が進み、購買プロセスの主導権が売り手から買い手に移っているのです。

このような状況下では、Webサイトの閲覧履歴やメールの開封、資料ダウンロードといった顧客一人ひとりのデジタル上の行動データを捉え、その興味・関心に合わせた最適な情報を提供する「データドリブン」なアプローチが不可欠です。MA(マーケティングオートメーション)は、これらのデータを活用したコミュニケーションを自動化し、見込み客の獲得から育成、選別までを一貫してサポートします。人手では不可能な規模の顧客との関係構築を、効率的かつ効果的に実現するために、MAは現代のBtoB企業にとって重要なツールとなっています。

マーケティングオートメーション(MA)とは? BtoBにおける基本的な役割

マーケティングオートメーション(MA)とは、見込み客の獲得から商談化に至るまでの一連のマーケティング活動を自動化・効率化するためのプラットフォームです。これまで手作業で行っていた煩雑な業務を自動化し、見込み客一人ひとりの興味や検討度合いに合わせたコミュニケーションを最適なタイミングで実現します。

MAで実現できる3つの主要なこと

見込み客の獲得(リードジェネレーション)

Webサイトのフォームやランディングページ、セミナー申込管理などを通じて、オンラインでの見込み客情報を効率的に収集・蓄積します。これにより、オフラインで獲得した名刺情報とオンラインでの行動データを一元管理し、リード獲得の機会を最大化します。

見込み客の育成(リードナーチャリング)

獲得した見込み客に対し、すぐにアプローチするのではなく、その興味・関心に合わせて段階的に有益な情報を提供し、購買意欲を醸成していくプロセスです。メールのステップ配信や関心事に応じたコンテンツの提供など、継続的なコミュニケーションを通じて、中長期的な関係構築を実現します。

見込み客の選別(リードクオリフィケーション)

MAでは、見込み客の行動履歴(Web閲覧、メール開封など)や属性情報(役職、業種など)を基にスコアリングを行い、「今、アプローチすべき有望な見込み客」を客観的なデータに基づいて自動で抽出できます。これにより、営業部門は確度の高いリードに集中でき、商談化率の向上に直結します。

SFAやCRMとの違いと連携の重要性

MA、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客管理システム)は、それぞれ役割が異なります。MAが「見込み客の育成・選別」に特化しているのに対し、SFAは「商談開始から受注までの営業活動管理」、CRMは「受注後の顧客との関係維持・向上」を主な目的としています。

これら3つのツールを連携させることで、マーケティング部門が創出したリードが、どのように商談化し、受注に至ったのか、その後の顧客関係はどうなっているのか、という一連のプロセスが可視化されます。このデータ連携こそが、部門間のサイロ化を防ぎ、全社的な売上拡大を実現する上で非常に重要です。

BtoB企業がMAを導入する3つの具体的なメリット

メリット1:マーケティング活動の生産性向上

これまで手作業で行っていたメール配信やリスト管理、施策ごとの効果測定などを自動化できます。これにより、担当者は煩雑な作業から解放され、戦略立案やコンテンツ企画といった、より創造的で本質的な業務にリソースを集中させることが可能になります。

メリット2:営業部門の商談化率と受注率の改善

MAのスコアリング機能を活用することで、購買意欲が高まった「ホットリード」を客観的なデータに基づいて特定し、営業部門へ引き渡すことができます。営業担当者は確度の高い見込み客に優先的にアプローチできるため、無駄なコールが減り、商談化率や受注率の向上が期待できます。また、見込み客の行動履歴を共有することで、顧客の課題に寄り添った質の高い提案が可能になります。

メリット3:データに基づいた投資対効果(ROI)の可視化

メールの開封率やWebサイトのアクセス状況、どのコンテンツが商談創出に貢献したのかなど、あらゆるマーケティング施策の成果を数値で正確に把握できます。これにより、感覚的な判断ではなく、データに基づいた施策の改善や予算配分の最適化が可能になります。経営層に対してマーケティング活動の貢献度を明確に報告できることは、非常に大きなメリットです。

導入が目的になっていないか? BtoB企業が陥りがちな失敗事例とその原因

失敗事例1:高機能ツールを導入したが、メール配信にしか使えていない

多機能で高価なMAツールを導入したものの、結局は従来の一斉メール配信ツールとしてしか活用できていないケースは後を絶ちません。導入前の目的設定が曖昧で、「どの業務課題を解決するために、どの機能を使うのか」という具体的な運用設計が欠けていたことが主な原因です。結果として、期待した効果は得られず、高いコストだけが重くのしかかります。

失敗事例2:コンテンツ不足で、見込み客の育成が機能しない

MAを活用するには、見込み客の関心や検討段階に合わせたコンテンツが不可欠です。しかし、導入後にコンテンツ制作のリソースが確保できず、見込み客へのアプローチが途切れてしまうケースも多発しています。
「資料請求後に送るコンテンツがない」「セミナーやホワイトペーパーが用意できない」といった事態は、MAの効果を大きく損ないます。

失敗事例3:営業部門との連携不足

MAをマーケティング部門だけのツールとして捉え、営業部門との連携をおろそかにすると、せっかく育成したリードが商談に結びつきません。営業部門から「マーケティングが渡すリードは質が低い」と不満が出る場合、その多くは「どのような状態のリードを『質の高いリード』とするか」という定義が、部門間で合意されていないことに起因します。

失敗事例4:目的やKPIが曖昧なまま導入し、効果を測定できない

「商談数を半年で30%増やす」「Webサイト経由のMQL(Marketing Qualified Lead)を月50件獲得する」といった具体的な目標設定がないまま導入してしまうと、施策の優先順位が定まらず、何をもって成功とするのかも判断できません。結果としてPDCAサイクルが回らず、導入効果を誰にも説明できない状況に陥ります。

【Sells upの視点】MA導入の成否は、ツール選定の前段階で決まっている

多くの企業がMA導入でつまずく最大の理由は、「どのツールが良いか」という機能比較から検討を始めてしまう点にあります。しかし、本当に重要なのはその前段階です。「自社のマーケティング・営業における最大の課題は何か」「その課題を解決するために、どのようなプロセスが必要か」「成功をどう定義し、測定するのか」。こうした戦略的な設計と、営業部門を巻き込んだ合意形成こそが、MA導入プロジェクトの成否を分けるのです。MAはあくまで課題解決の手段であり、目的ではありません。

失敗を回避し成果を出すためのMA導入「最初の90日」実践プラン

MA導入を成功に導くためには、導入初期の動きが非常に重要です。ここでは、成果を出すためのステップを3つのフェーズに分けて解説します。

フェーズ1(1〜30日):基盤構築と目的の明確化

解決すべき課題の特定と具体的な目標(KGI・KPI)設定

まず自社の現状を分析し、「名刺情報の活用が進んでいない」「Webからのリードの質が低い」といった最も解決すべき課題を特定します。その上で、「半年後の商談化率を5%向上させる」など、具体的で測定可能な目標(KGI・KPI)を設定します。

営業部門を巻き込んだプロジェクトチームの組成

MAは全社的な取り組みです。マーケティング部門だけでなく、営業部門、情報システム部門など、関連部署のメンバーを含めた横断的なプロジェクトチームを立ち上げ、共通の目標を持つことが成功のポイントです。

「質の高いリード」の定義を部門間で合意する

「どのような状態のリードを営業に引き渡すのか」という基準(MQLの定義)を、マーケティングと営業の双方で徹底的に議論し、合意します。例えば「過去30日以内に料金ページを閲覧し、導入事例をダウンロードしたリード」など、客観的な基準を設定することで、部門間の認識のズレを防ぎます。

フェーズ2(31〜60日):技術設定とコンテンツの準備

既存システム(CRM/SFA)との連携要件の確認

「どのような状態のリードを営業に引き渡すのか」という基準(MQLの定義)を、マーケティングと営業の双方で徹底的に議論し、合意します。例えば「過去30日以内に料金ページを閲覧し、導入事例をダウンロードしたリード」など、客観的な基準を設定することで、部門間の認識のズレを防ぎます。

最初のステップとして取り組むべきシンプルなシナリオの設計

最初から複雑なシナリオを作成する必要はありません。「資料請求後のサンクスメールと関連資料の送付」「ウェビナー申込者へのリマインドメール」など、成果が見えやすく、運用負荷の低いシンプルなシナリオから設計・実装しましょう。

既存コンテンツの棚卸しと制作計画

最初から複雑なシナリオを目指す必要はありません。「資料請求後のサンクスメールと関連資料の送付」「ウェビナー申込者へのリマインドメール」など、成果が見えやすく、運用負荷の低いシンプルなシナリオから設計・実装しましょう。

フェーズ3(61〜90日):小規模な開始と改善サイクルの定着

最初のキャンペーンを実行し、ベースラインを把握する

準備が整ったら、まずは限定的なターゲットでキャンペーンを実行します。ここで重要なのは、開封率やクリック率などの初期データを取得し、今後の改善の基準となるベースラインを把握することです。

定期的な効果測定と改善会議の仕組み作り

週次または月次でKPIの進捗を確認し、プロジェクトチームで結果を共有する定例会議を設定します。データに基づいて何がうまくいき、何が課題なのかを議論し、迅速に次のアクションにつなげるPDCAサイクルを定着させることが、継続的な成果創出につながります。

【Sells upの視点】成功している企業の共通項は「小さく始めて大きく育てる」意識

MA導入で成果を出す企業に共通しているのは、「小さく始めて大きく育てる」というアプローチです。最初から完璧な設計を目指すのではなく、まずは一つのシンプルな施策で成功体験を積むこと。そこで得た学びと社内の理解を基盤に、段階的に適用範囲を広げていくことが、形骸化を防ぎ、MAを自社の成長の原動力へと進化させる最も確実な方法です。

稟議にも役立つ。MA導入にかかる費用の全体像と投資対効果(ROI)の考え方

月額費用だけではない。MA導入の総所有コスト(TCO)の内訳

MA導入を検討する際、月額のライセンス費用に目が行きがちですが、実際にはそれ以外のコストも考慮する必要があります。稟議申請や予算確保のためには、総所有コスト(TCO)の視点が不可欠です。

ソフトウェア利用料(月額・年額)

ツールの機能や管理するリード数、メール配信数などに応じて変動します。BtoB向けツールの場合、月額数万円から数十万円が一般的な価格帯です。

初期導入・設定費用

ツールの初期設定や既存システムとの連携、担当者へのトレーニングなどにかかる費用です。無料の場合もあれば、数十万円程度かかる場合もあります。

忘れてはならない「人的リソース」と「コンテンツ制作」のコスト

MAを運用するためには、シナリオを設計し、コンテンツを企画・制作し、データを分析する担当者が必要です。この「人的リソース」こそが最も重要な投資です。また、継続的に見込み客を育成するためのホワイトペーパーやウェビナーなどの「コンテンツ制作」にも相応のコストがかかることを見込んでおく必要があります。

経営層を納得させるためのROI算出・報告の具体的手順

ROIの基本的な計算式

MA導入の投資対効果(ROI)は、以下の計算式で算出します。この数値を提示することで、経営層に対して投資の妥当性を客観的に示すことができます。

ROI (%) = (MA導入による利益増加額 - 投資総額) ÷ 投資総額 × 100

ここで言う「利益増加額」は売上から原価を引いた粗利で計算し、「投資総額」には上記TCOの各項目を含めます。

BtoBで測定すべき中間指標(商談化率、セールスサイクルなど)

BtoBビジネスは検討期間が長いため、最終的な売上への貢献をすぐに測定するのは困難です。そのため、ROIの根拠として、より短期的に測定可能な中間指標(KPI)を追跡することが重要です。具体的には、「MQLからSQL(営業が承認したリード)への転換率」「商談化率」「リード獲得から受注までの期間(セールスサイクル)の短縮率」などを定点観測し、改善を示すことで、MAが事業に貢献していることを具体的に説明できます。

MAの効果を最大化する、実践的なシナリオ設計の作り方

シナリオ設計とは、見込み客の行動を起点として、最適な情報を最適なタイミングで届けるためのコミュニケーションの設計図です。

シナリオ設計で押さえるべき4つの要素(誰に、いつ、何を、どのように)

  1. 誰に:ターゲットとなる見込み客の属性や検討段階(例:情報収集段階の担当者、比較検討中のマネージャー)

  2. いつ:アプローチのきっかけとなる行動やタイミング(例:資料ダウンロードの3日後、料金ページの閲覧直後)

  3. 何を:提供するコンテンツ(例:課題解決に役立つホワイトペーパー、導入事例、機能紹介動画)

  4. どのように:アプローチの手段(例:ステップメール、ポップアップ表示、営業担当からの個別連絡)

すぐに使えるBtoB向けシナリオテンプレート例

ここでは、多くのBtoB企業で応用可能な3つの基本的なシナリオ例を紹介します。

例1:資料ダウンロード後のフォローアップシナリオ

  • Step.1:資料ダウンロード直後にサンクスメールを自動配信
  • Step.2:2日後、関連する導入事例のメールを配信
  • Step.3:5日後、ウェビナーや個別相談会への招待メールを配信
  • Step.4:10日後、営業担当から個別フォローのメールまたは電話

例2:ウェビナー参加・未参加者へのアプローチシナリオ

  • Step.1:ウェビナー終了直後に参加者へ資料とアンケートを送付
  • Step.2:3日後、アンケート未回答者へリマインドメール
  • Step.3:1週間後、参加者にはより詳細な活用事例を、未参加者には録画視聴案内メールを配信
  • Step.4:2週間後、営業担当から個別フォロー

例3:長期間動きのない「休眠顧客」を掘り起こすシナリオ

  • Step.1:最終接触から90日経過したリードに再アプローチメールを配信
  • Step.2:反応があった場合は、興味関心に合わせた最新コンテンツを案内
  • Step.3:一定期間反応がなければ、再度パーソナライズドメールや特別オファーを送信
  • Step.4:それでも反応がなければ、リードのステータスを見直し、今後のアプローチ方針を再検討

【Sells upの視点】最初から複雑なシナリオは不要。顧客の行動起点で考える

BtoBのMA運用でありがちなのが、最初から複雑なシナリオを設計しすぎて運用が回らなくなるパターンです。
まずは顧客の典型的な行動パターン(資料請求、ウェビナー参加、休眠など)ごとにシンプルなシナリオから始め、運用しながら改善していくことが成功へのポイントです。

自社に最適なMAツールを選定するための3つの比較ポイント

MAツールは多種多様ですが、自社にとって最適なツールを選ぶためには、機能の多さや価格だけで判断するべきではありません。

ポイント1:解決したい課題に必要な機能は揃っているか

自社が直面している課題(例:リード管理、メール自動化、SFA/CRM連携など)を明確にし、必要な機能が過不足なく備わっているかを確認しましょう。
不要な機能が多すぎると、運用が複雑になりコストも増大するため、シンプルかつ実用的なツール選定がポイントです。

ポイント2:事業規模や予算に見合った料金体系か

MAツールの料金体系は、管理するリード数やメール配信数に応じた従量課金制、機能に応じた固定制など様々です。現在の事業規模だけでなく、将来的な事業拡大も見据え、自社の成長に合わせて柔軟にプランを変更できるかどうかも重要な選定ポイントです。

ポイント3:導入後の運用を見据えたサポート体制は充実しているか

MAは導入してからが本当のスタートです。ツールの操作方法だけでなく、シナリオ設計の相談や効果的な活用方法のアドバイスなど、ベンダーによる導入後のサポート体制が充実しているかは非常に重要です。特に初めてMAを導入する企業にとっては、伴走してくれるパートナーとなり得るかという視点でベンダーを選びましょう。

まとめ:MA導入は、営業とマーケティングが一体となる変革の最初のステップ

MA導入は、単なるツールの導入ではなく、これまで分断されがちだった営業とマーケティングが、データという共通言語のもとで連携し、顧客創出という一つの目標に向かって一体となるための、組織変革の「最初のステップ」です。
目的やKPIを明確にし、部門間で共通認識を持ち、シンプルな施策から着実に成果を積み上げていくことが成功への近道です。
「小さく始めて大きく育てる」という意識を持ち、継続的なデータ分析と改善を繰り返し、MAを自社の成長ドライバーへと進化させていきましょう。

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株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。