ナレッジ 2026.04.13 最終更新 2026.09.06

Marketo(マルケト)の使い方|初期設定からシナリオ設計まで

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

「Marketoを導入したものの、メール配信しかできていない」
「基本的な操作は覚えたが、商談を増やせない」

Marketo担当者から、こうした悩みをよく伺います。

操作を覚えることと成果を出すことがごっちゃになっており、Marketo活用が停滞してしまう一因になっているケースが少なくありません。

Marketoの「使い方」は、単に画面操作を覚えることではありません。

本記事では、設計→実装→運用の3段階を通じて、マーケティングと営業が連動する仕組みをつくること、と定義します。初期設定の進め方から、スコアリングの設計、シナリオ構築、営業連携まで、成果につなげるための全体像を整理して解説します。

Marketo(マルケト)の使い方とは?1分でわかる定義と全体像

Marketo(Adobe Marketo Engage)の使い方とは、リードの獲得から育成・選別、営業へのトスアップまでを一元管理し、マーケティング活動を商談・受注につなげる仕組みを設計・運用することです。

画面操作を覚えるのはあくまでスタート地点です。同じツールでも、どの機能をどう組み合わせ、どんな設計で運用するかによって、成果には大きな差が生まれます。

Marketo全体の機能や料金、他のMAツールとの違いについては、Marketoの機能・料金・他ツールとの比較で詳しく解説しています。

Marketoでできること7つ

  1. One to Oneメールマーケティング:顧客の行動履歴にあわせて、内容や配信タイミングを自動で最適化できます。
  2. リードスコアリング:属性情報と行動データを組み合わせて、見込み度をスコアとして可視化できます。
  3. ナーチャリングシナリオ:エンゲージメントプログラムを使い、複数通のメールで段階的にリードを育成できます。
  4. LP・フォーム作成:コードを書かなくても、ランディングページとフォームを作成・更新できます。
  5. Salesforce連携:CRMとリアルタイムに近い形でデータを同期し、マーケと営業の情報を一元化できます。
  6. 分析・レポーティング:施策ごとの成果とROIをレポートとして確認できます。
  7. ABM(アカウントベースドマーケティング):一部の上位プランでは、ターゲットアカウントに絞った施策の設計・実行が可能です。

「使い方を覚えた」だけでは成果が出ない理由

多くの担当者がMarketoの操作をひと通り覚えたあとにぶつかるのが、「どんな打ち手をどう回せば商談が増えるのか」という点です。

スコアリングの閾値をどこに置くか、どのタイミングで営業に渡すか、メールを何通・どの順番で送るかといった判断基準が決まらないまま運用を始めてしまい、結果として「高機能なメール配信ツール」としての利用にとどまってしまうケースがよくあります。

操作手順を覚える前に、まずは次の3つの前提条件を整えておくことが重要です。

Marketoを学ぶ前に整えるべき3つの前提条件

前提①:KGI・KPIとスコアリング基準を先に決める

Marketoを立ち上げる前に、「何のために使うのか」を数字で言語化しておく必要があります。

KGI(最終的に達成したいゴール)から逆算してKPIを設計し、それをMarketoの設定に落とし込んでいく流れが自然です。

たとえば、弊社の支援でよくあるケースとして、KGIを「月間新規商談10件」と置いた場合、KPIを「月間MQL20件・MQL→SQL転換率50%」といった形で設計することがあります。実際の数字は、自社の商材や営業サイクルを踏まえて設定してください。

こうした数値設計がないままスコアリングの閾値を決めると、根拠のない設定になりやすく、営業からの信頼も得にくくなります。

前提②:営業と「ホットリードの定義」を合意する

弊社が支援している企業で、Marketo活用が止まりがちになる大きな理由の一つが、マーケティングと営業の間で「ホットリード」の定義が共有されていないことです。

「スコアが一定点を超えたら営業に渡す」とルール化しても、営業側が「そのレベルのリードには今は電話したくない」と感じていれば、運用はうまく回りません。

スコアリングの設計に入る前に、営業担当者数名と、「どんな属性・行動を持つリードに今すぐ電話したいのか」をすり合わせる場を一度持っておくことをお勧めします。

前提③:Salesforce(CRM)との連携設計を最初に計画する

Marketoは、SalesforceなどのCRMと組み合わせて使うことで効果を発揮するツールです。

連携設計を後回しにすると、リードオブジェクトのフィールド設計を後から大きく作り直す必要が出てくることが少なくありません。

弊社にはSalesforce認定資格を保有するコンサルタントが在籍しており、「導入後しばらくしてから連携を足そうとして、想定以上の工数がかかった」という状況を複数の支援で見てきました。最初の設計段階からSalesforce連携を前提にしておくことが、後の運用負荷を抑えるうえで大きなポイントになります。

Marketoの学び方:公式リソースの活用と優先順位

Adobe Experience League:公式学習の中心

現在、Marketoの公式ドキュメントやチュートリアルは、Adobe Experience League(experienceleague.adobe.com)に集約されています。かつて「Marketo University」と呼ばれていた教材群も、このExperience Leagueの中に再編されており、ビデオチュートリアル・製品ドキュメント・コミュニティフォーラムなどがまとまっています。

使い方としては、「最初の概念理解」と「設定で詰まったときのリファレンス」の2つが中心です。まずはビデオチュートリアルで全体像を押さえ、具体的な操作が必要になった段階でドキュメントを辞書的に引く、という流れが日々の運用には合っています。日本語版は機械翻訳が混ざっている箇所もあるので、重要な部分は英語版と見比べると安心です。

有償の研修コース(Adobe Digital Learning Services)で学べること

Adobeの有償の研修はAdobe Digital Learning Services(ADLS)として提供されています。区分は「初級・中級」ではなく、Digital Marketer・Marketing Manager・System Administrator・Data Analystという担う役割ごとのラーニングパスで整理されているのが特徴です。

日本向けには、Marketo Overview Training(Japanese)、Marketo Core Concepts I/II(Japanese)、Adoption Training(Analytics & Reporting/Web Personalization、いずれもJapanese)、Adobe Certified Expert – Marketo Engage Business Practitioner Preparation Workshop(Japanese)といった日本語コースがオンラインで開講されています。複数コースをまとめて受講する「トレーニング年間パスポート」も用意されています。

価格や日程、カリキュラムの詳細は変更されることがあるため、受講前には必ずAdobe公式サイトで最新情報を確認してください。研修で得られるのは「操作の型」が中心であり、自社に合った設計思想は別途、自社側で組み立てていく必要があります。

Marketoの初期設定でやるべきこと:Step.1〜Step.4

Step.1:ドメイン認証(DKIM・SPF)とトラッキング設定

メールの到達率を確保するため、まずはドメイン認証を済ませます。DKIM(DomainKeys Identified Mail)とSPF(Sender Policy Framework)の設定は、DNSに必要なレコードを追加する作業です。

あわせて、自社Webサイト全体にトラッキングスクリプトを設置します。具体的には、全ページの<head>タグ内にMarketoのMunchkinコードを追加します。このスクリプトが動くことで、既知リードのWeb行動がMarketo側に蓄積されていきます。

初期段階で見落とされやすいのが、バニティURL(トラッキングドメイン)の設定です。デフォルトのMarketoドメインのままだとドメイン名に違和感が出やすく、開封率やクリック率に影響する場合があります。可能であれば、自社ドメイン配下のサブドメイン(例:go.company.com)の設定を検討してください。

Step.2:リードデータベースの設計と項目定義

Marketoのリードフィールドは、一度運用に乗せてから削除・大幅変更すると、連携やシナリオに影響が出やすい部分です。そのため、最初の設計がとても重要になります。

弊社がBtoBマーケティング支援で最初に定義することが多い項目例としては、「氏名」「メールアドレス」「企業名」「役職」「企業規模」「業種」「リードソース(流入経路)」の7項目があります。

ただし必要な項目は商材や営業プロセスによって変わるため、あくまで検討のたたき台として参照してください。加えて、スコアリングに使う行動フラグ(特定ページの訪問、資料ダウンロード、ウェビナー参加など)をカスタムフィールドとして用意しておくと、後の設計がしやすくなります。

Salesforceと連携する場合は、SalesforceのリードオブジェクトとMarketoのフィールドのマッピング設計を、同期開始前に終えておくことが重要です。後からマッピングを変えると、既存データの同期に不整合が出るリスクがあります。

Step.3:スコアリングルールの初期設定

スコアリングは「属性スコア(Fit)」と「行動スコア(Engagement)」の2軸で考えると整理しやすくなります。次の点数例は、弊社の支援でよく採用するパターンの一つです。商材や営業プロセスによって適切な値は変わるため、そのままコピーするのではなく、自社向けに調整してください。

属性スコア例(BtoB向け):

  • 対象業種:+10点
  • 従業員数50〜300名:+10点
  • 役職が部長以上:+15点
  • 対象外業種:−20点

行動スコア例:

  • フォーム送信(問い合わせ):+50点(その時点で営業トスアップの候補)
  • 料金ページ閲覧:+15点
  • 資料ダウンロード:+20点
  • ウェビナー参加:+15点
  • メール開封:+2点
  • 長期間の無反応(弊社では目安として半年程度):スコアを段階的に減点

スコアリングの閾値(ホットリードとみなす基準値)は、マーケ側だけで決めず、営業と合意したうえで設定します。弊社の支援では、初期段階では50〜70点前後からスタートし、実際の商談転換率を見ながら、3ヶ月程度のサイクルで見直すことが多いですが、最適な値は企業ごとに異なります。

Step.4:Salesforceとの連携設定

MarketoとSalesforceを接続すると、Marketoで蓄積した行動データをSalesforce側から確認できるようになり、営業担当者が「どのような接点があったか」を把握しやすくなります。

連携の主なステップは、

  • Salesforce側でMarketo連携専用ユーザーを作成する
  • Marketoの管理画面でSalesforce接続を設定する
  • フィールドマッピングを確認する
  • 同期ルールを設定する

の4つです。

連携後に起きがちなトラブルとして、重複リードの増加があります。メールアドレスなどの名寄せルールを事前に決めておくことで、後々のデータクレンジングにかかる負荷を抑えられます。

Marketoのアセット作成:LP・フォーム・メールの基本操作

ランディングページの作成手順とテンプレート活用

ランディングページは、「マーケティング活動」フォルダ内の「ランディングページ」から作成します。テンプレートは、ガイド型(Guided Landing Page)と自由編集型の2種類があり、初めて扱う場合はガイド型をお勧めします。編集できるエリアがあらかじめ決まっているためレイアウトが崩れにくく、HTMLに詳しくない担当者でも安心して使えます。

支援の現場でよくあるミスが、「フォームをLPに埋め込んだものの、完了後の確認ページ(サンクスページ)の設定を忘れる」というパターンです。サンクスページへの遷移は、フォームの完了アクションで設定します。

フォームの作成とEFO(フォーム最適化)の考え方

フォームはMarketoの「デザインスタジオ」内で作成します。項目の追加やラベルの編集、入力補助テキストの設定、必須項目の指定などは、画面上の操作だけで行えます。

EFO(フォーム最適化)の観点で特に押さえておきたいのが、プログレッシブプロファイリングです。

既存リードに対しては、すでに取得済みの情報は質問せず、まだ持っていない情報の項目を優先的に表示できます。これにより、1回あたりの入力負荷を抑えつつ、時間をかけてリード情報を充実させていくことができます。

また、既知のリードに対してはフォーム事前入力(Form Pre-fill)で過去に入力した値を自動でセットできます。再訪問した人は内容を確認して送信するだけで済むため、離脱を減らせます。プログレッシブプロファイリングとは別の機能で、併用する場合は「表示するフィールドの事前入力を有効、非表示フィールドは無効」に設定するのがAdobeの推奨です。

もう一つ使えるのが表示ルール(Visibility Rules)です。フォーム内の別項目の値に応じて、特定の項目を表示・非表示に切り替えられます。たとえば「電話相談を希望」を選んだ人にだけ電話番号欄を出し、資料ダウンロードだけの人には出さない、といった出し分けができます。

項目数はコンバージョン率に直結します。一般的な調査では、入力項目が1〜3個のフォームに対して、5個を超えると完了率が目立って下がり、8個以上では一桁台まで落ちる傾向が示されています。BtoBのリード獲得フォームでは初回の必須項目を3〜5個に抑えるのが目安です。電話番号・予算・導入時期といった項目は特に離脱を招きやすいため、任意にするか、表示ルールで必要な人にだけ出すか、プログレッシブプロファイリングで再訪問時に回します。

なお、フォームの途中離脱そのものを記録する機能はMarketoの標準にはありません。ランディングページの訪問数とフォーム送信数の差分で完了率を見るか、Web解析ツール側で入力開始のイベントを取得して補完します。

メールテンプレートの作成と件名・差し込み設定

メールテンプレートもデザインスタジオから作成します。Marketoのメールエディタには「ドラッグ&ドロップ型」と「HTML直接編集型」があり、チームのスキルセットに合わせて使い分けることができます。

HTMLメールの表示崩れを防ぐため、配信前にリトマス(Litmus)などのメールテストツールで主要なメーラーでの見え方を確認しておくと安心です。

特にOutlookは崩れやすいので、ここだけは手を抜かないようにしてください。

差し込みトークン(例:{{lead.FirstName}})を使えば、宛先ごとに名前や会社名を自動で差し込めます。差し込み先の情報が空だった場合のデフォルト値(例:{{lead.FirstName:default=お客様}})も、忘れずに設定しておきましょう。

Marketoの4つのプログラムと使い分けの判断基準

Marketoには4種類のプログラムがあります。どの施策にどのプログラムを使うかを最初に押さえておくと、設計ミスを減らせます。

メールプログラム:一斉配信と結果確認に使う

特定のリストに対して単一のメールを配信し、開封率・クリック率・配信停止率などの結果を1画面で確認できるプログラムです。メルマガの定期配信、イベント案内、キャンペーンのお知らせなど、一回完結型の施策に向いています。A/Bテスト機能も備えており、件名や送信時間の検証に利用できます。

一方、複数通のシナリオ配信には向きません。育成系のメールシナリオは、エンゲージメントプログラム側で組み立てます。

イベントプログラム:ウェビナー・展示会の参加管理に使う

セミナーやウェビナー、展示会など、イベントの申込・出欠管理に特化したプログラムです。カレンダー表示で日程管理ができ、Zoom や ON24 といったウェビナーツールとの連携にも対応しています。申込フォームの作成から当日の参加状況管理、参加後フォローのトリガーまでを一つの枠組みで扱えます。

Zoom連携はLaunchPointから設定しますが、設定後に必ずテストを行ってください。ウェビナー当日に同期エラーが発生すると、開催までの復旧が難しいケースがあります。

エンゲージメントプログラム:ナーチャリングシナリオに使う

複数のコンテンツを「ストリーム」と呼ばれる単位で管理し、リードの状態に応じて配信内容を自動で切り替えることができるプログラムです。Marketoでナーチャリングを行う際の中核となるプログラムと言えます。

ホワイトペーパーDL後のフォロー、展示会後の継続アプローチ、休眠リードの再活性化など、複数通のメールで段階的にコミュニケーションする施策は、基本的にこのエンゲージメントプログラムで設計します。

ストリームごとにスケジュールを設定することで、「毎週火曜の10時」など、決まったタイミングでメールを自動配信できます。

デフォルトプログラム:柔軟な施策設計に使う

上記3つのどれにも当てはまらない施策に使う汎用的なプログラムです。リードリストの整理、データクレンジング、特定条件のリードに対する一時的なアプローチなど、柔軟性を優先したい場面でよく使われます。

プログラムは複製して再利用できますが、複製後にスマートリストやスマートキャンペーンの参照先アセットが元プログラムのままになっていることがよくあります。複製したあとは、必ず参照先を一度洗い直してください。

Marketoで成果を出すシナリオ設計:3つの実践例

ここからは、弊社の支援で実際に機能したシナリオを3つ取り上げます。

通数や配信間隔はあくまで一例なので、自社の商材の検討期間やターゲットの行動パターンに合わせて調整してください。より詳しい事例は、Marketo活用事例と成功した設計ポイントでも紹介しています。

シナリオ例1:ウェビナー後のフォローアップシナリオ

ウェビナー参加者の商談化率を高めるための、基本的なフォローシナリオです。参加者と不参加者で配信内容を変えるのがポイントになります。

参加者向け(エンゲージメントプログラム・4通構成の一例):

  • 1通目(翌日):参加御礼+当日資料のURL+関連ブログへの導線
  • 2通目(3日後):セミナー内容の補足コンテンツ+関連事例資料の案内
  • 3通目(7日後):課題を掘り下げるホワイトペーパー+スコア加点のトリガー
  • 4通目(14日後):個別相談の案内(スコアが閾値を超えたら営業へ即トスアップ)

弊社が支援した複数の企業では、「参加直後の1通目送信」と「3通目の資料DLをスコアトリガーにする」設計を取り入れたことで、ウェビナー参加者の商談転換率がそれ以前と比べて向上したケースが見られました。

シナリオ例2:資料ダウンロード後の段階的ナーチャリング

ホワイトペーパーやお役立ち資料をダウンロードしたリードを育成していく、基本的なシナリオです。以下は弊社支援で使うことが多い構成の一例ですが、検討期間が長い商材であれば、配信間隔を広げることも選択肢です。

構成の一例(5通・約3週間):

  • 1通目(即時):DL御礼+PDFのURL
  • 2通目(3日後):資料の補足説明コンテンツ(ブログ記事や動画など)
  • 3通目(7日後):類似課題を持つ企業の事例紹介
  • 4通目(14日後):比較検討フェーズ向けのサービス比較コンテンツ
  • 5通目(21日後):個別相談・デモの案内

料金ページや事例ページの閲覧をスコアリングに組み込み、「スコアが閾値を超えたタイミングでシナリオを中断し、インサイドセールスに通知を飛ばす」という設計も有効です。

シナリオを最後まで配信しきることより、ホットリードを早く見つけることを優先するイメージです。

シナリオ例3:休眠顧客の掘り起こしシナリオ

過去に接点はあったものの、しばらく反応がないリードを再度動かすためのシナリオです。

弊社では、半年以上アクションがないリードを対象に設計するケースが多いですが、自社の商材や営業サイクルに合わせて基準を決めてください。

構成の一例(3通・約2週間):

  • 1通目(Day1):業界動向レポート+最新の事例紹介(売り込みは控えめに)
  • 2通目(Day7):無料診断ツールやテンプレートなど、使ってもらいやすいコンテンツの提供
  • 3通目(Day14):個別に連絡しているようなトーンで「近況を伺う」メール

弊社の支援事例の中には、このような段階的アプローチを設計した結果、問い合わせ数が大きく増加したケースもあります(詳細は事例ページをご覧ください)。

このシナリオでは「1通目からいきなり売り込まないこと」と「3通目で個別対応に見えるように工夫すること」が、とくに重要なポイントです。

Marketoのスコアリング設定:初心者が陥りがちな失敗と対処法

弊社が伴走している企業で、Marketo活用が伸び悩む場面の多くは、スコアリング設計に原因があります。より詳しい考え方は、リードスコアリングの設計6ステップと運用の進め方もあわせてご参照ください。

行動スコアと属性スコアの設計方法

スコアリングは「属性スコア(Fit)」と「行動スコア(Engagement)」を別フィールドに分けて管理する設計をおすすめします。Marketoでは、属性スコアを「Person Score」フィールド、行動スコアを「Behavior Score」といったカスタムフィールドに分ける設計がよく使われます。

感覚ではなくデータにもとづいてスコアリングを組み立てたい場合は、過去の受注データを使ってロジスティック回帰分析などの統計的手法で「どの行動が受注にどれくらい効いているか」を推定し、重み付けに反映していく方法が有効です。このような考え方でスコアを設計すると、営業の納得感も得やすくなります。

弊社のスコアリング設計|受注データから重みを決める

配点を経験則だけで決めると、営業から「このリードは商談にならない」と差し戻されます。弊社では、複数クライアント×6ヶ月のデータをロジスティック回帰で分析したRFEスコアモデル(Engagement 0.45/Recency 0.385/Frequency 0.165)を基準にしています。MQLは「属性スコア20点以上かつ行動スコア40点以上」の二軸で定義し、ホット判定は「RFEスコア0.75以上かつ直近7日以内に質の高い行動がある」という二重条件です。80社以上のBtoBマーケティング支援を通じて、この二軸で定義しておくと営業がスコアの根拠を数値で確認でき、渡したリードが使われる状態をつくりやすいことがわかっています。

閾値(しきい値)の決め方と営業との合意形成

スコアの閾値は、「受注した顧客がどれくらい点数を積み上げていたか」を見たうえで決めていくのが基本です。過去の受注案件を振り返り、「接点開始から受注までに何ポイントくらいのスコアを獲得していたのか」を集計し、その中央値あたりを候補として検討します。

まだデータが少ない初期段階では、営業担当者数名に「今すぐアプローチしたいと感じるリードの行動パターン」をヒアリングし、その行動に点数を置いて仮のモデルを作るところから始められます。最初から完璧を目指すのではなく、数ヶ月ごとに見直す前提で設計しておくと、運用に乗せやすくなります。

スコアリングが形骸化する3つの原因

原因①:営業がスコアを見ていない
Salesforceのリード画面にMarketoスコアを表示し、営業の日常業務の中で自然にスコアが目に入るようにしておくことが必要です。スコアが一定以上になったリードに対しては、Salesforce側でアラートを飛ばすなど、見に行かなくても気づける仕組みを組み込むと効果的です。

原因②:スコアが膨らみすぎて全員が高得点になる
加点だけの設計で減点ルールがない場合、時間とともにほとんどのリードが高スコアになり、優先度付けに使えなくなります。長期間の無反応や配信停止フラグなどをきっかけにスコアを減点するルールを用意し、「最近の動きがあるリードほどスコアが高い」状態を維持できるようにします。

原因③:一度設定したまま見直していない
市場環境、プロダクト、営業プロセスは時間とともに変化します。スコアリングルールも固定ではなく、定期的にアップデートが必要です。月次の定例などで「高スコアなのに失注した案件」「低スコアだったが受注した案件」を取り上げ、設計にフィードバックする場をつくると、モデルの精度が徐々に上がっていきます。

業種によって変わるMarketoの設定と運用

Marketoに「金融向け」「不動産向け」といった業種専用の機能があるわけではありません。機能そのものは業種を問わず共通で、変わるのはどの項目をデータとして持つか、どの条件で配信するか、誰にいつ渡すかという設定と運用のルールです。ここを自社の業種に合わせて決めないまま操作を覚えても、成果にはつながりません。

金融・保険:同意の取得状況を項目として持つ

配信できる相手が同意の有無で決まるため、同意の状態・取得元・取得日・同意の範囲をリードの項目として設計します。そのうえで、配信するスマートキャンペーンの条件に「同意あり」を必ず入れます。契約に関する通知とマーケティングメールはプログラムを分け、同意のロジックも別にしておきます。同意を変更した履歴も項目に書き戻し、いつ誰の同意状態が変わったかを後から追える状態にしておきます。

製造業:長い検討期間と代理店経由の販売を前提に組む

検討が半年から1年に及ぶため、ナーチャリングも同じ長さで設計します。単発のメール開封は低く、仕様書のダウンロードや製品詳細ページの閲覧、セミナー参加は高く配点し、「直近90日で一定点以上」のように継続した関与を見る条件にします。代理店経由で売る場合は、担当チャネルと代理店コードを項目として持ち、地域や製品ラインで自動的に割り当てます。直販と代理店が同じ相手に重ねてアプローチしないよう、担当中のフラグを立てて配信対象から除外します。

不動産:問い合わせから初回対応までの時間を設計する

問い合わせへの反応速度がそのまま成果を左右するため、フォーム送信をトリガーに担当者へ即時通知を飛ばします。物件IDや店舗IDをフォームに持たせておけば、どの担当に渡すかを条件で自動判定できます。問い合わせを受けた時刻を項目に保存し、CRM側の初回対応日時と突き合わせれば、対応までの時間を数字で確認できます。一定時間を過ぎても対応済みのフラグが立たない案件には、店舗責任者へ再通知を送る設定を入れておきます。

いずれの業種でも、変えているのは項目設計・配信条件・引き渡しのルールであって、Marketoの機能そのものではありません。自社の業種で「何をデータとして持ち、どの条件で動かすか」を先に決めておくと、操作の習得が成果に直結します。

Marketoを使いこなせない企業に共通する3つの問題

スコアリング以外にも、弊社の支援で何度も見られるつまずきポイントがあります。

問題①:目的があいまいなままツールを導入している

「競合も使っているから」「DXの一環として」などの理由だけでMarketoを入れると、「何をどこまでやれば成功と言えるのか」が定まりません。この状態では、シナリオ設計もスコアリング設計も判断基準が決まらず、担当者だけが疲弊してしまいがちです。

まずは「Marketoを使って月間の商談数をどれくらい増やしたいのか」といったKGIを先に決め、そこから逆算してKPIと設定内容を設計する流れに切り替えることが重要です。

問題②:コンテンツが足りずシナリオが動かない

エンゲージメントプログラムを組んでも、配信できる記事や事例、ホワイトペーパーが1〜2本しかないと、あっという間にネタ切れになります。

シナリオ設計と並行して、既存の提案資料やセミナー資料、ブログ記事などを棚卸しし、再編集(リパーパス)することで、ゼロからコンテンツを作らなくてもシナリオを回せるケースは多くあります。

問題③:営業との連携ルール(SLA)がない

マーケティング側は「良いリードを渡しているつもり」でも、営業側が価値を感じていなければ、Marketoからのトスアップはスルーされてしまいます。

「スコア〇点以上かつ〇の行動をしたリードを営業に渡す」「渡されたリードには〇時間以内に初回アクションを行う」「フィードバックは毎月の定例で共有する」といったSLA(Service Level Agreement)を合意・文書化しておくことで、両部門の期待値を揃えやすくなります。

外部支援を検討する際は、Marketoコンサル会社の選び方と比較をご覧ください。自社だけでの運用が難しい段階では、Marketo運用代行の業務範囲と選び方も検討の余地があります。

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

相談してみる →

まとめ

Marketoの使い方は、「画面操作を覚えること」から始めるのではなく、KGI・KPIの設計→スコアリング基準の合意→シナリオ設計→アセット準備→初期設定→運用開始という順番で土台を固めるところから始まります。とくに、スコアリングと営業との合意形成ができていないと、どれだけ凝ったシナリオを作っても、本質的には「高機能なメール配信ツール」で終わってしまいます。

Sells upでは、Marketoの設計・実装・運用まで一貫した支援を行っています。これから導入する段階で設計から相談したい場合や、すでに運用しているが成果が頭打ちになっている場合など、状況に応じてご相談いただけます。

よくある質問

MarketoとHubSpotの使い方はどう違いますか?

Marketoは、複雑なシナリオ設計や高度なスコアリング、Salesforceとの連携などに強みがあり、中〜大規模のBtoB環境で使われることが多いツールです。一方、HubSpotはCRM・MA・営業管理が一体型で、小〜中規模の企業や社内に専任の技術担当者が多くない企業でも扱いやすい設計になっています。操作のとっつきやすさはHubSpotの方が上ですが、その分Marketoは自由度が高く、設計力が求められるツールと言えます。

Marketoの初期設定で最初にやるべきことは何ですか?

まずはドメイン認証(DKIM・SPF)とトラッキングスクリプト(Munchkinコード)の設置を終えることを優先してください。この2つができていないと、メールが届きにくい、Web行動データが溜まらない、といった問題が起こります。そのうえで、Salesforce連携のフィールドマッピングと、スコアリングルールの初期設計に進む流れが無理なく回ります。

Marketoのスコアリングはどう設定すればよいですか?

属性スコアと行動スコアを別々のフィールドで管理し、「自社にとって魅力的な相手か」「現在どれくらい検討が進んでいそうか」の2軸で評価する設計が基本です。初期の閾値は、過去の受注案件の行動履歴をもとに決め、3ヶ月程度運用したのちに実際の商談化データを見ながら調整していくサイクルを組むと、精度が上げやすくなります。

Marketoを使いこなせないのはなぜですか?

多くの場合、「そもそも何を達成したいのか(KGI)が曖昧である」「スコアリングと営業側の期待値が揃っていない」という2点に行き着きます。操作だけ覚えても、「どのシナリオを、どの指標を目標に動かすのか」が決まっていなければ、成果にはつながりません。KGIから逆算した設計と、営業とのSLA合意をセットで進めることが欠かせません。

Marketo導入後に成果が出るまでどのくらいかかりますか?

弊社の支援では、初期設定が完了してから最初のシナリオが動き始めるまでに1〜2ヶ月、シナリオ改善のサイクルが回り出すまでに3〜4ヶ月、商談数への貢献がはっきり見えてくるまでに6ヶ月前後かかるケースが多いです。ただしこれはあくまで弊社の事例に基づく目安であり、既存リードの量やコンテンツ資産、社内の体制によって大きく変わります。短期の即効性だけを期待して判断すると、ツールの評価を誤る可能性があります。

また、Marketoは誰にでも向くツールではありません。月あたり一定数以上の新規リードが継続的に発生していること、MAを見られる担当者が社内にいること、最低限のコンテンツ資産があることなどが、費用対効果を出すうえでの目安になります。これらがまだ揃っていない場合は、導入タイミングや代替手段も含めて一度立ち止まって検討することをお勧めします。

MarketoとSalesforceはどう連携させますか?

Marketoの管理画面にある「Salesforce.com」設定から接続します。まずSalesforce側でMarketo連携専用ユーザー(APIアクセス権限付き)を作成し、そのユーザー情報を使ってMarketo側で接続設定を行います。その後、フィールドマッピングの確認と同期ルールの設定を行うことで、連携がスタートします。連携が完了すると、Marketoで取得した行動データがSalesforceのリードレコードに反映され、営業担当者がMarketo側の動きを直接確認できるようになります。連携設計の考え方については、MAシナリオ設計の全手順とBtoB事例も参考になります。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず80社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善