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マーケが温めたリードが、営業で止まる|ナーチャリングと営業の連携をどう設計するか

戦略は立てた。次は実行できる体制があるか、確認しませんか

戦略設計の手順はわかっても、実際に動かすリソースやノウハウが不足しているケースは少なくありません。Sells upはBtoBマーケティングの戦略設計から施策実行まで、80社以上の支援実績があります。現状の課題と何から始めるべきかをご提案します。

目次

「渡したのに、フォローされていない」

マーケティングチームがリードを育て、「そろそろ営業に渡せる状態だ」と判断して連携した。でも、しばらくしてSFAを確認すると、何も動いた形跡がない。営業に聞くと「優先度が低かった」「どう話しかければいいか分からなかった」という返答が返ってくる。

こういう経験をしたことがあるナーチャリング担当者は少なくないはずです。

これは営業側の問題というより、「渡し方」「渡すタイミング」「渡した後の動き方」の設計が曖昧なまま運用しているために起きることがほとんどです。

この記事では、ナーチャリングと営業をどうつなぐか、連携の設計の考え方を整理します。

なぜ連携がうまくいかないのか

マーケと営業の連携がかみ合わない原因は、大きく3つのパターンに分かれることが多いです。

よくある断絶のパターン

実際に何が起きているか

温度感の基準が共有されていない

マーケが「温まった」と判断しても、営業からすると「まだ早い」と感じるズレが生じる

渡した後の動き方が決まっていない

リードを受け取っても「何をすればいいか」が明確でないため、対応が後回しになってしまう

リードの背景情報が伝わっていない

「このリードを渡します」だけでは、営業がどう話しかければいいか分からず、動けない

3つ目の「背景情報が伝わっていない」は、特に見落とされやすい点です。マーケからすると「リードを渡した」で完結しているつもりでも、営業からすると「この人が何に興味を持っているのか分からない状態でいきなり電話しろということか」と感じていることがあります。

仕組みとして整えることで、どちらにとっても動きやすい状態が生まれます。

渡すタイミングをどう決めるか

MQLという考え方

「いつ営業に渡すか」を曖昧にしたままにしておくと、判断が担当者個人の感覚に依存してしまいます。これを仕組みで解決するのがMQL(Marketing Qualified Lead)という考え方です。

MQLとは、「営業が接触する価値があると判断できる状態のリード」のことです。スコアや行動条件をあらかじめ決めておくことで、「このリードはもう渡していいタイミング」という判断を一定のルールに基づいて行えるようになります。

MQLの定義の仕方

難しく考える必要はありません。まずはシンプルな条件から始めるのが現実的です。たとえばこのような形です。

MQL定義の例

以下のいずれかに該当するリードを営業に渡す
・料金ページを閲覧した
・ホワイトペーパーを2点以上ダウンロードした
・ウェビナーに参加した上で、その後もコンテンツを閲覧している
・スコアが50点以上に達した(スコアリングを導入している場合)

最初から完璧な定義を作ろうとしなくて構いません。「まずこの条件で渡してみる」→「営業からのフィードバックをもとに調整する」というサイクルで、少しずつ精度を上げていく方が現実的です。

大切なのは、この条件を営業チームと一緒に決めることです。マーケが一方的に設定すると「この基準は実態に合っていない」という不満が生まれやすくなります。営業が「このくらいの温度感なら動ける」と感じる条件をすり合わせることで、渡した後に動いてもらいやすくなります。

渡し方をどう設計するか

文脈情報をセットで渡す

リードを渡すときに「〇〇さんをアサインしました」だけでは、営業はなかなか動けません。そのリードがどんな行動をしてきたか、何に興味を示しているかという文脈情報をセットで共有することが重要です。

渡す情報の例

営業にとっての意味

閲覧したページの履歴

何に関心があるかの手がかりになる

ダウンロードした資料の名称

どんな課題感を持っているかの推測材料になる

ウェビナーの参加履歴

参加したテーマから興味領域が分かる

これまでのメール開封・クリック履歴

どのコンテンツに反応したかが分かる

スコアの推移

最近急に関心が高まったかどうかが分かる

こうした情報をCRMのメモ欄に記載する、Slackで通知する際にまとめて共有するなど、営業が受け取りやすい形で渡す方法をあらかじめ決めておきます。

初回接触までのSLAを決める

リードを渡した後、営業が何日以内に初回接触するかをSLA(対応期限の目安)として設けておくと、放置が減ります。「渡された翌営業日中に連絡する」くらいが現実的な目安になることが多いですが、商材や組織の状況に合わせて設定してください。

SLAを設けることで、マーケ側も「渡したリードがどうなっているか」をフォローしやすくなります。

営業はそのリードにどうアプローチすればいいか

ナーチャリング経由のリードは、普通のリードとは違う

展示会やフォームから来たリードと、ナーチャリングを経たリードでは、接触の前提が異なります。ナーチャリング経由のリードはすでに複数のコンテンツに触れており、ある程度の情報収集を自分で行ってきた状態です。

そのため、「はじめまして、弊社のサービスについてご説明させてください」という入り方は合わないことが多いです。「すでに〇〇に興味を持っていただいている前提で、状況を確認しながら話を深める」というスタンスで入る方が、相手にとって自然なコミュニケーションになります。

渡された情報から「話のきっかけ」を作る

引き継いだ文脈情報は、初回接触のトークにそのまま使えます。たとえばこういった切り口です。

渡された情報の使い方(例)

「先日、〇〇に関するホワイトペーパーをご覧いただいていたかと思いまして」
「ウェビナーにご参加いただいた際、△△についてご質問いただいていましたね」
「料金ページをご覧いただいたタイミングで一度ご連絡しようと思いました」

相手からすると「自分の行動を把握した上で連絡してきた」という印象になるため、唐突感が薄れ、会話に入りやすくなります。ただし、細かすぎる行動(「〇月〇日に△△ページを見ていましたね」)に言及しすぎると不自然になるので、大まかな切り口で活用するのがコツです。

フェーズ別に初回接触のトーンを変える

渡されたリードがどのフェーズにいるかによって、初回接触のアプローチも変わります。

フェーズ

相手の状態

初回接触のトーン

認知〜検討段階

情報収集中で、まだ具体的な検討には入っていない

「何かお役に立てることがあれば」という低圧力の確認から入る。売り込みはまだ早い

検討〜比較段階

複数の選択肢を比べ始めている

「比較の際に気になる点はありますか」と課題や懸念を聞き出すことを優先する

比較・選定段階

具体的な導入を検討しており、意思決定が近い

「一度詳しくお話しできますか」とデモや個別相談に誘導してよいタイミング

反応がなかったときの判断基準

初回接触後に反応がなかった場合、追いかけ続けるのか、一度マーケに戻すのかの基準をあらかじめ決めておくと、現場が動きやすくなります。

目安として「2〜3回アプローチして反応がなければ、一度ナーチャリングに戻す」というルールを設けておくと、営業側の心理的な負担も軽減されます。追いかけすぎてリードを冷やしてしまうよりも、マーケ側で再度コンテンツを届けながら温め直す方が、長期的には成果につながりやすいです。

営業からのフィードバックをナーチャリングに活かす

連携はマーケから営業への一方通行ではなく、営業からの情報をナーチャリングの設計に戻す双方向の流れが必要です。

営業が現場で得ている情報は、ナーチャリングの精度を上げる上で非常に役立ちます。たとえばこういった情報です。

営業からの情報

ナーチャリングへの活用

失注した理由

その不安や懸念に対応するコンテンツが中盤に必要かどうかを確認できる

商談でよく聞かれる質問

FAQや説明コンテンツとして整備し、シナリオに組み込める

刺さったコンテンツ・刺さらなかったコンテンツ

シナリオの素材を入れ替える判断材料になる

リードの温度感のズレ

MQLの条件を調整するきっかけになる

月に一度でいいので、マーケと営業が15〜30分ほど情報を共有する場を設けると、こういったフィードバックが自然に回り始めます。議事録が残る形であれば十分で、オンライン会議でも問題ありません。

まとめ

ナーチャリングと営業の連携がうまくいかない原因は、「渡すタイミング」「渡し方」「渡した後の動き方」のどこかが設計されていないことにあります。それぞれを仕組みとして整えることで、マーケも営業も動きやすくなります。

また、営業が「どう話しかければいいか分からない」という問題は、文脈情報をセットで渡すことと、フェーズ別のアプローチの目安を共有することで大きく改善します。リードの背景を踏まえた上で接触できるようになると、営業の初回接触の質も変わってきます。

まずは「MQLの条件を営業と一緒に決める」ところから始めてみてください。その話し合いの中で、お互いの認識のズレが見えてくることが多いです。

戦略は立てた。次は実行できる体制があるか、確認しませんか

戦略設計の手順はわかっても、実際に動かすリソースやノウハウが不足しているケースは少なくありません。Sells upはBtoBマーケティングの戦略設計から施策実行まで、80社以上の支援実績があります。現状の課題と何から始めるべきかをご提案します。

株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。メールシナリオ設計・スコアリング連動・コンテンツとフェーズの整合を含むナーチャリング運用の一体設計を80社以上に提供し、リードの商談化率向上を実現してきた実績を持つ。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。