ナレッジ 2026.05.24 最終更新 2026.10.02

ハウスリストが溜まってきたら、まず何をするか|リストの棚卸しからナーチャリングを始めるための最初のステップ

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

リストは増えているのに、使えていない

展示会に出展し、問い合わせフォームを整備し、ウェビナーも開催した。気づけばMAやCRMにリードが数千件、多い会社では数万件溜まっています。

でも、そのリストに対して何もできていないという状況は珍しくありません。

「そろそろナーチャリングを始めたい」「MAを導入しようか検討している」という段階で向き合うべきなのが、このハウスリストをどう扱うかという問題です。

この記事では、溜まったハウスリストを棚卸しして、ナーチャリングを動かし始めるための最初のステップを整理します。MAをすでに導入している方にも、これから検討している方にも、共通して使える考え方です。

まず「今のリストが何者か」を把握する

棚卸しの3つの軸

溜まったリストに対して「とりあえず全員にメールを送る」という判断をしてしまうと、無関係な相手に一斉配信することになり、配信停止や迷惑メール報告が増えます。まずリストを整理することが先です。

棚卸しに使う軸は以下の3つで十分です。

軸 確認する内容 なぜ重要か
獲得経路 展示会・フォーム・ウェビナー・紹介・名刺など、どこで接点を持ったか 獲得経路によって温度感と期待値が大きく異なる。展示会リードとフォーム経由リードでは最初のアプローチが変わる
最終接触日 最後にいつ接触があったか(メール開封・サイト訪問・商談など) 1年以上接触がないリードはナーチャリングより再エンゲージメントの設計が必要になる
属性の完全性 社名・役職・業種・電話番号などが揃っているか セグメントを切るために必要なデータが欠けていると、ターゲティングができない

棚卸しシートのシンプルなフォーマット

Excelでもスプレッドシートでも構いません。以下の列を用意してリストを整理します。

棚卸しシートの列構成(最小版)

リードID / 会社名 / 氏名 / 役職 / 業種 / 獲得経路 / 獲得日 / 最終接触日 / 属性の完全性(○△×) / 暫定フェーズ(認知・検討・不明)

完璧に埋める必要はありません。「分からない」欄は分からないまま残して、全体像を把握することを優先してください。

リストを4つのグループに分ける

棚卸しが終わったら、リードを以下の4グループに分類します。この分類がナーチャリングの設計の出発点になります。

グループ 定義と対応方針
① アクティブリード 直近6ヶ月以内に何らかの接触があります。ナーチャリングをすぐに始められる対象。まずここから設計する
② スリーピングリード 6ヶ月〜2年程度接触がありません。再エンゲージメント施策(「ご無沙汰しています」メールなど)を先に実施してから、反応があった相手をナーチャリングに移す
③ デッドリード 2年以上接触なし、または配信停止・無効メール。無理にナーチャリングに含めず、別リストに分離する。配信停止リードの扱いは法的要件の確認が必要
④ データ不完全リード 属性情報が極端に少なく、セグメントが切れない。データ補完(フォームや電話確認など)を経てから活用するか、一斉配信の対象として当面保持する

多くの場合、棚卸しをしてみると「アクティブリードは全体の2〜3割しかない」という事実が見えてきます。これは失望すべきことではなく、「まず動かすべき対象が絞れた」というポジティブな発見です。

アクティブリードからナーチャリングを始める

最初のセグメントは「2つ」で十分

アクティブリードが絞れたら、ナーチャリングを動かし始めます。最初からフェーズを細かく分ける必要はありません。このシリーズの「少人数チームでナーチャリングを回すための考え方」でも整理しているとおり、最初は2セグメントから始めるのがおすすめです。

セグメント 対象の目安
温度感が高いグループ 直近3ヶ月以内に接触があり、料金ページ・事例ページなどを閲覧しているリード。営業への引き渡しを意識した内容を届ける
温度感が低いグループ 接触はあるが反応が薄いリード。まず課題に気づかせるコンテンツを届け、関心を引き出すことを優先する

最初に届けるメールの設計

ハウスリストへの最初のメールは、「久しぶりにご連絡します」的な印象にならないよう注意が必要です。相手にとって価値のある情報を主役にして、「なぜ今このメールが来たのか」が自然に伝わる書き方にします。

最初のメールで避けること・やること

【避ける】「〇〇株式会社の△△です。先日はご来場ありがとうございました(2年前のイベント)」 【避ける】製品・サービスの紹介を冒頭に持ってくる
【やる】「御社のような〇〇業の担当者の方によくある課題について」という切り口で始める
【やる】相手のフェーズに合ったコンテンツ(課題解決の記事・事例など)を主役にする
【やる】配信停止リンクを必ず含める

スリーピングリードへの再エンゲージメント

アクティブリードへのナーチャリングが動き始めたら、次にスリーピングリードの再活性化に着手します。ただし、これをアクティブリードと同じシナリオで動かすのは効果的ではありません。

スリーピングリードには専用の「再エンゲージメントシナリオ」を用意します。目的は商談化ではなく、「まず反応があるかどうかを確認すること」です。

タイミング 内容 判断基準
1通目(接触再開) 「しばらくご連絡できていませんでした」という素直な切り出しと、今の相手にとって役立ちそうな情報1点 開封・クリックがあればアクティブリードに移動
2通目(1週間後) 別の切り口のコンテンツ。1通目と異なるテーマで試す 反応があればアクティブリードに移動
反応なし 2通以上送って反応がなければ、デッドリードに分類して配信を停止する 無反応リードへの配信継続は指標を歪める原因になる

再エンゲージメントで反応があったリードは、ナーチャリングの観点では「新規獲得と同等の価値がある」と考えてよいです。コストをかけずに商談化候補を増やせる施策として、ハウスリストがある会社にとっては取り組む価値が高いです。

棚卸ししたリストへセミナーを告知しても申込が集まりにくくなってきた場合は、ハウスリスト経由のセミナー申込が鈍ったときの立て直し方で、原因の切り分けと打ち手を整理しています。

データの整備と並行して進める

棚卸しをすると「属性情報が足りないリードが多い」という問題が出てきます。これを全部補完してからナーチャリングを始めようとすると、永遠に動き出せません。

データ整備とナーチャリングの立ち上げは並行して進めます。データが揃っているリードからナーチャリングを始めながら、不完全なリードのデータは徐々に補完していくというアプローチが現実的です。

データ整備の優先度 理由
① メールアドレスの有効性確認 バウンスが多いと送信ドメインの評価が下がり、他のメールの到達率にも影響する。まず無効アドレスを除外する
② 配信停止フラグの確認 法的要件の観点から最優先。停止申請があったリードへの配信は即時停止が必要
③ 会社名・役職の基本情報 セグメントを切るために最低限必要。不明な場合はWebサイトや名刺情報で補完する
④ 行動データの紐づけ MAを導入している場合、既存のWebサイト閲覧データとリードIDを紐づける作業。精度が上がるが優先度は③より低い

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

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まとめ

ハウスリストが溜まったら、まず棚卸しをして「今のリストが何者か」を把握することから始めます。獲得経路・最終接触日・属性の完全性の3軸で整理し、アクティブ・スリーピング・デッド・データ不完全の4グループに分けます。

ナーチャリングはアクティブリードから始め、スリーピングリードには別途再エンゲージメントシナリオを用意します。データの整備と並行して進めることで、準備が完璧になるのを待たずに動き出せます。

「リストはあるけれど何もできていない」という状態から抜け出す最初の一歩は、棚卸しシートを作ることです。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善