「展示会もやっている、広告も出している。なのに見込み客が増えない」
そんな状況について、弊社が支援してきた企業からの相談も多くあります。その要因には多くの場合、施策の前段にある「戦略が整っていない」という点が挙げられます。
本記事では、見込み客を増やすためのオンライン6施策・オフライン4施策の計10施策について、選定基準から、増やした後に商談へつなげる全体像まで、実際の業務で使える手順を一気通貫で解説します。
見込み客が増えない本当の理由
広告やSEO、ウェビナー、展示会など、見込み客を獲得する方法は数多くあります。しかし、施策を増やせば、その分だけ見込み客が増えるとは限りません。
施策を増やしても成果につながらない企業では、「何をやるか」を考える前に、「なぜ現在の施策で見込み客を獲得できていないのか」を十分に整理できていないケースがあります。
特にBtoBマーケティングでは、次の3つを確認する必要があります。
- 施策を選ぶ前提となる戦略が定まっていない
- どのような企業・担当者を見込み客とするのか定義できていない
- 獲得した見込み客を商談まで育成する仕組みがない
単純にリードの母数が不足しているとは限らず、「ターゲットと異なるリードを集めている」「獲得したリードを十分にフォローできていない」といったケースもあります。
そのため、見込み客を増やす際は新しい施策を追加する前に、どの段階に問題があるのかを整理することが重要です。
施策の「バラ打ち」が招く消耗戦
「複数の施策を並行しているものの、どれも十分な成果が出ていない」という状況は、BtoBマーケティングで起こりやすい問題の一つです。
たとえば、SEO記事を制作しながらWeb広告を出稿し、ウェビナーを開催して展示会にも出展する。施策単体で見れば、いずれも見込み客の獲得に利用できる方法です。
問題になるのは、それぞれの施策が「誰を獲得するためのものなのか」「どのように商談へつなげるのか」まで設計されないまま、個別に進んでいる状態です。
この状態では、広告では資料請求、SEOでは問い合わせ、展示会では名刺、ウェビナーでは参加者リストというように、施策ごとにリードが蓄積されていきます。管理方法やフォロー方法が統一されていなければ、同じ企業の担当者が複数の施策に接触していても気づけなかったり、獲得後のフォローが遅れたりする可能性があります。
さらに、限られたマーケティング予算や担当者の工数が複数の施策に分散すると、一つひとつの施策を改善するための時間も不足します。「施策は増えているのに、成果が伸びない」という状態に陥る要因の一つです。
弊社の支援でも、施策を追加するのではなく、成果につながる可能性の高い施策に絞った結果、リード獲得数が増えたケースがあります。
対象を絞ることで、ターゲットに合わせた訴求やコンテンツを改善しやすくなり、施策ごとの検証にも十分なリソースを割けるようになるためです。
特にマーケティング予算や人員が限られている中小〜中堅企業では、「何を新しく始めるか」と同じくらい、「何をやらないか」を決めることが重要です。
「定義していない」ことが見込み客獲得を阻む理由
見込み客の獲得を考えるうえでは、そもそも自社にとって「誰が見込み客なのか」を明確にしておく必要があります。
たとえば、「問い合わせ件数を月100件に増やす」という目標を達成しても、その大半が自社のターゲットから外れていれば、営業が対応できる商談候補はほとんど増えていないことになります。
反対に、問い合わせ件数自体は少なくても、自社が狙っている業種や企業規模、役職などに該当するリードの割合が高ければ、商談につながる可能性は高まります。
そのため、見込み客の獲得では単純な件数だけでなく、「どのような企業・担当者を獲得するのか」まで定義することが重要です。
BtoBであれば、たとえば次のような条件が考えられます。
- 業種・業界
- 売上高・従業員数などの企業規模
- 部署・役職
- 抱えている課題
- 導入時期
- 予算
- 自社サービスとの適合度
こうした条件をもとにICP(理想顧客プロファイル)などを定義しておけば、広告のターゲティングやSEOのキーワード選定、ホワイトペーパーのテーマ、ウェビナーの企画などにも一貫して反映できます。
また、見込み客の定義はマーケティング部門だけで決めるのではなく、営業部門とのすり合わせも必要です。
マーケティング側では有望なリードだと判断していても、営業側から見れば「企業規模が合わない」「決裁に関与しない担当者である」「導入時期が遠い」と評価されることがあります。この認識が揃っていないと、マーケティングはリードを獲得しているにもかかわらず、営業からは「リードの質が低い」と評価される状態が生まれます。
リード件数だけを共通目標にするのではなく、「どの条件を満たしたリードを営業へ引き渡すのか」までマーケティングと営業で合意しておくことが重要です。
見込み客・潜在顧客・リードの違い
見込み客の獲得を設計する前に、関連する用語の違いも整理しておきましょう。企業によって定義は異なりますが、本記事では次のように整理します。
- 潜在顧客:自社の商品・サービスの対象になり得るものの、まだ自社との明確な接点を持っていない企業・個人。自社や商品を認知していない層だけでなく、課題そのものを明確に認識していない層も含みます。
- 見込み客(リード):自社と何らかの接点を持ち、将来的に商品・サービスを購入する可能性がある企業・個人。資料請求や問い合わせ、ホワイトペーパーのダウンロード、ウェビナーへの申し込み、展示会での名刺交換などによって、企業名や氏名、メールアドレスなどを取得できた状態が代表的です。
- MQL(Marketing Qualified Lead):獲得したリードのうち、属性や行動など一定の条件を満たし、マーケティング部門が営業への引き渡し対象として評価したリードです。企業規模や役職などの属性に加え、Webサイトの閲覧、メールへの反応、資料ダウンロードなどの行動をもとに判断します。
BtoBマーケティングにおける「見込み客を増やす」とは、単にメールアドレスや名刺の件数を増やすことではありません。
潜在顧客との接点をつくってリードへ転換し、獲得したリードに対して継続的に情報を提供しながら関心や検討度を高め、営業が対応すべきMQLへと引き上げていく。この一連の流れを設計することが重要です。
たとえば、SEOや広告、SNSなどで潜在顧客との接点を増やし、ホワイトペーパーやウェビナーによってリードを獲得します。その後、メール配信やコンテンツ提供によるナーチャリングを行い、属性や行動データをもとに有望なリードを抽出して営業へ引き渡します。
このように、見込み客獲得は単独の施策ではなく、潜在顧客の獲得からリードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションまでを一つの流れとして設計することが重要です。
潜在顧客からリードを獲得し、商談につなげるまでの全体像については、デマンドジェネレーションの全体設計でも詳しく解説しています。
見込み客を増やす前に整えるべき3つの土台
見込み客を増やすために、すぐに広告を出稿したり、SEO記事を増やしたり、ウェビナーを開催したりする必要はありません。施策を始める前に、「誰を狙うのか」「どの段階で接点をつくるのか」「何をもって有望な見込み客と判断するのか」を決めておくことが重要です。
弊社では、これまで多くのBtoBマーケティングに携わる中で、施策そのものよりも、その前段階の設計が成果を左右するケースを数多く見てきました。
特に、次の3つは見込み客獲得を始める前に整理しておきたい要素です。
- ターゲットとペルソナを具体化する
- カスタマージャーニーを整理し、顧客との接点を設計する
- 見込み客の「質」を定義し、MQLの仮基準を設定する
この3つが決まっていれば、どの施策に予算や人員を配分すべきかを判断しやすくなります。反対に、土台がないまま施策を増やすと、リードは獲得できても商談につながらず、結果として施策の追加と停止を繰り返すことになりかねません。
土台1|ターゲットとペルソナの解像度を上げる
最初に決めるのは、「誰を見込み客として獲得したいのか」です。
BtoBマーケティングでは、担当者個人のペルソナだけでなく、「どのような企業を狙うのか」という企業軸と、「その企業の誰にアプローチするのか」という担当者軸の両方から整理します。
BtoCと異なり、BtoBの購買では、実際にサービスを利用する担当者、情報収集や比較を行う担当者、上司、決裁者など、複数の人物が意思決定に関与することがあります。そのため、一人のペルソナだけを想定すると、実際の購買プロセスと訴求が合わなくなる可能性があります。
企業軸(ファーモグラフィック)
企業軸では、自社の商品・サービスを導入する可能性が高い企業の特徴を整理します。
- 業界・業種
- 売上高・従業員数などの企業規模
- ビジネスモデル
- 事業フェーズ
- 利用しているシステムやツール
- 現在抱えている課題
- 過去の受注・失注傾向
たとえば、「従業員50〜300名のBtoBサービス企業」「新規事業を立ち上げている企業」「紹介やテレアポだけでは新規商談の創出が難しくなっている企業」といった形で具体化します。
すでに一定の顧客数がある場合は、担当者の感覚だけで決めるのではなく、既存顧客や受注企業を分析することも重要です。受注率や継続率、売上などが高い企業にどのような共通点があるのかを確認すると、ICP(理想顧客プロファイル)の設計にもつなげられます。
担当者軸(デモグラフィック・行動特性)
次に、ターゲット企業の中で誰にアプローチするのかを整理します。
- 部署・役職
- 決裁権や稟議起案への関与
- 担当している業務
- 抱えている課題
- 評価されるKPI
- 情報収集に利用するチャネル
- 商品・サービスを比較する際の判断基準
たとえば、同じマーケティング支援サービスでも、担当者は「日々の施策を実行できる人が足りない」、部長は「商談数が計画に届いていない」、経営層は「マーケティング投資が売上にどの程度貢献しているのか分からない」と、それぞれ異なる課題を抱えている可能性があります。
ターゲット企業と担当者の両方を具体化すると、「どのチャネルで接点をつくるのか」「どのような課題を訴求するのか」「どのコンテンツを用意するのか」を判断しやすくなります。
ターゲットリストの作り方については、見込み客の探し方とリスト設計で詳しく解説しています。
土台2|カスタマージャーニーで「どこで接点をつくるか」を決める
ターゲットを決めたら、次に考えるのが「その顧客と、どの段階で接点をつくるのか」です。
BtoBでは、顧客が商品やサービスを知ってすぐに問い合わせるとは限りません。課題に気づき、情報を集め、複数の選択肢を比較し、社内で検討したうえで問い合わせや商談に進むケースが一般的です。
そのため、顧客が課題を認識してから購買に至るまでの行動や心理をカスタマージャーニーとして整理し、それぞれの段階に必要な施策やコンテンツを配置します。
たとえば、次の4つのフェーズに分けて考えられます。
| フェーズ | 顧客の状態 | 施策・コンテンツの例 |
|---|---|---|
| 課題認識 | 課題を感じ始めている | SEO記事、SNS、調査レポート |
| 情報収集 | 解決方法を探している | ホワイトペーパー、ウェビナー、ノウハウ記事 |
| 比較・評価 | 複数のサービスを比較している | 導入事例、比較資料、機能・料金ページ |
| 導入検討 | 社内で具体的な導入を検討している | ROI資料、個別相談、デモ、見積もり |
BtoBマーケティングで注意したいのが、見込み客を「集める施策」に偏ってしまうことです。
たとえば、SEO記事を大量に制作して検索流入を増やし、ホワイトペーパーによってリードを獲得できたとしても、その後に読むべき導入事例や比較資料、料金情報などがなければ、見込み客は具体的な検討へ進みにくくなります。
反対に、導入事例やサービス資料だけを用意しても、まだ課題を認識したばかりの潜在顧客との接点をつくることは難しくなります。
重要なのは、一つの施策だけで商談まで進めようとするのではなく、各フェーズで顧客が必要とする情報を用意し、次の行動へ進める流れを設計することです。
カスタマージャーニーを整理すると、「SEOをやるべきか」「ウェビナーをやるべきか」と施策単位で考えるのではなく、「現在どのフェーズの接点やコンテンツが不足しているのか」という視点で優先順位を判断できるようになります。
土台3|見込み客の「質」を数値・条件で定義する
3つ目は、獲得した見込み客の中から、どのような状態になったら営業へ引き渡すのかを決めることです。
ここで必要になるのがMQL(Marketing Qualified Lead)の基準です。
MQLとは、マーケティング活動によって獲得・育成したリードのうち、企業属性や担当者属性、行動など一定の条件を満たし、営業への引き渡し対象として判断されたリードを指します。
MQLの基準がないと、マーケティング側は「リードを100件獲得した」と成果を評価している一方、営業側は「対応したいリードがほとんどない」と評価するといったズレが生じます。
最初から精緻なスコアリングモデルを作る必要はありません。まずは仮説として、「自社にとって有望な企業・担当者か」と「どの程度検討が進んでいるか」の2つの観点から基準を設定します。
属性・適合度を確認する
まずは、自社が狙っているターゲットに合致しているかを確認します。
- 対象業種に該当する
- 従業員数・売上高などが対象範囲に入っている
- 対象部署・役職に該当する
- 自社サービスで解決できる課題を抱えている
- 決裁または稟議起案に関与している
さらに商談に近い段階では、BANTの観点から検討状況を確認する方法もあります。
- Budget(予算):予算が確保されている、または確保できる見込みがあるか
- Authority(決裁権):決裁者または意思決定に関与する人物と接点を持てているか
- Need(必要性):自社の商品・サービスで解決できる課題が明確になっているか
- Timeline(導入時期):具体的な導入・検討時期が決まっているか
ただし、リード獲得直後からBANTのすべてを把握できるとは限りません。そのため、MQLの初期基準では取得できる企業・担当者属性を中心に評価し、その後のインサイドセールスや商談でBANTを確認する方法もあります。
行動から検討度を評価する
属性だけでなく、見込み客がどのような行動を取っているかも評価します。
たとえば、仮のスコアとして次のように設定します。
- ホワイトペーパーのダウンロード:5点
- ウェビナーへの参加:10点
- 導入事例の閲覧:10点
- 料金ページの閲覧:15点
- 問い合わせ:30点
一定のスコアに達したリードをMQLとして営業へ引き渡すことで、「どのリードを優先して追うのか」という共通の基準を持てるようになります。
ただし、「30点以上なら必ず有望」といった絶対的な基準があるわけではありません。たとえば、ホワイトペーパーを6本ダウンロードして30点になったリードと、料金ページを閲覧したうえで問い合わせたリードでは、同じ30点でも検討状況が異なります。
そのため、実際の運用では単純な合計点だけでなく、「ターゲット企業に該当する」「料金ページを閲覧した」「問い合わせを行った」といった条件を組み合わせてMQLを判定することも重要です。
まずは仮の基準を設定し、営業へ引き渡した後の商談化率や受注率を確認しながら、配点や条件を調整していきます。
こうしてターゲット、カスタマージャーニー、MQLの基準まで整理しておけば、見込み客獲得を単純な「リード件数」で評価するのではなく、「狙った顧客をどれだけ獲得し、そのうち何件を商談候補まで育成できたのか」という一連の流れで評価できるようになります。
MQL基準の本格的な作り方については、MQL判定基準とSLA設計の全手順で詳しく解説しています。
見込み客を増やすオンライン施策6選|選定基準と優先順位
BtoBマーケティングで有効なオンライン施策6つを「どの段階のどんな企業に向くか」という判断軸と合わせて整理します。
オンライン施策は「即効性」と「資産性」のどちらを優先するかで選び方が変わります。各施策の詳細解説はBtoBリード獲得の有効施策9選も参照してください。
コンテンツマーケティング・SEO
向いている企業:中長期でリードを積み上げたい・社内にライティングリソースがある企業
特に刺さるフェーズ:認知〜検討フェーズ(課題を言語化しはじめた顧客)
一度作成したコンテンツが継続的にリードを生み続ける「資産型施策」です。
検索エンジン経由の流入は広告費をかけなくても継続するため、長期的なコスト効率が高い点が強みです。
ターゲットが「課題解決のために検索するキーワード」を選定し、そのキーワードで上位表示される記事を作成します。記事末尾にホワイトペーパーやセミナーへの誘導を設置することで、リード情報を獲得する仕組みが完成します。
KPIの目安:記事公開から上位表示まで3〜6ヶ月。弊社が支援した場合の実績を踏まえた初期仮説として、月間100セッション以上の記事で月1〜5件のリード獲得が目安になりますが、業種や商材単価により大きく変動します。
Web広告(リスティング・ディスプレイ・SNS広告)
向いている企業:即効性が必要・特定のキャンペーン期間にリードを集中させたい企業
特に刺さるフェーズ:認知〜検討フェーズ(顕在層にはリスティング、潜在層にはディスプレイ・SNS広告)
予算を投下したタイミングからリードが流入し始める「即効型施策」です。
リスティング広告は「今すぐ解決策を探している」顕在層に、ディスプレイ・SNS広告は「まだ課題に気づいていない」潜在層へのアプローチに向いています。
ポイントはランディングページ(LP)との連携で、広告でクリックした後のLPが訴求と一致していないと、コンバージョン率が大幅に下がります。
KPIの目安:BtoBマーケティングにおけるリスティング広告のCPA(顧客獲得単価)は業種によりますが、1万〜5万円が目安となります。月次でクリック率・コンバージョン率・CPAを検証し、改善を継続することが前提です。
ウェビナー・オンラインセミナー
向いている企業:専門性・信頼構築を重視する・ナーチャリングにも活用したい企業
特に刺さるフェーズ:検討〜評価フェーズ(解決策を絞り込んでいる顧客)
参加者がテーマに関心を持って登録してくる施策のため、リードの質が高い傾向があります。
弊社の支援では、ウェビナー後のフォローアップを整えた企業で、参加者からの商談化率が展示会名刺と比べて高くなるケースが多く見られます。
参加者のアンケート回答・滞在時間・チャット発言をスコアリングに組み込み、熱量の高い参加者から優先的にインサイドセールスがアプローチする流れが有効です。
ホワイトペーパー・資料ダウンロード
向いている企業:検討フェーズのリードを獲得したい・リード情報(社名・役職)が必要な企業
特に刺さるフェーズ:検討フェーズ(比較・情報収集中の顧客)
フォームへの入力を通じて、氏名・会社名・役職といった詳細情報を取得できます。
資料の内容が「ターゲットの課題に直接刺さる」ものであることが条件です。
「業界別の事例集」「失敗パターンと対処法」「比較検討に使える選定チェックリスト」といった実用性の高いコンテンツが、ダウンロード率と後続のMQL転換率を高めます。
SNSアカウント運用
向いている企業:ブランド認知を中長期で積み上げたい・担当者個人の発信力を活用できる企業
特に刺さるフェーズ:認知フェーズ(まだ課題に気づいていない潜在顧客)
BtoBマーケティングにおいては、XやLinkedIn(リンクトイン)での情報発信が「担当者の信頼構築」につながります。ただし、SNS単体でのリード獲得は難しく、他の施策との組み合わせが前提です。
プレスリリース・外部メディア掲載
向いている企業:新製品・新サービスの認知拡大・ニュース性のある情報を持つ企業
特に刺さるフェーズ:認知フェーズ(自社をまだ知らない層へのリーチ)
比較的少ない予算で幅広い層へリーチできます。
ただし、プレスリリース単体でリードを獲得しようとするのは無理があり、セミナー集客やLP誘導との組み合わせで初めて効果が生まれます。
【判断軸】フェーズ別・リソース別の施策選定マトリクス
どの施策を選ぶかは、「フェーズ(今すぐ結果が必要か・中長期で積み上げるか)」と「リソース(予算・人員)」の2軸で考えると整理しやすいです。
| 即効性重視 | 中長期重視 | |
|---|---|---|
| 低予算・少人数 | テレアポ・プレスリリース | コンテンツマーケティング(SEO) |
| 中予算・チームあり | リスティング広告・ウェビナー | ホワイトペーパー・SNS運用 |
| 高予算・専門チームあり | 複数広告チャネル組み合わせ | コンテンツ×MAによる自動化 |
見込み客を増やすオフライン施策4選
デジタル化が進む中でも、オフライン施策は「信頼構築の速度」と「特定層へのリーチ」という点でオンラインが補えない価値を持っています。
展示会・セミナー
特に刺さるフェーズ:認知〜検討フェーズ(業界の情報を一度に収集したい顧客)
展示会は、普段オンラインで情報収集をしない層や、業界の最新情報を一度に収集したいビジネスパーソンが集まる場です。
短期間で多くのリードと接触できる点が大きな強みです。ただし、展示会後の「フォロー体制」で商談化率が決まります。
名刺交換したリードをそのまま放置している企業が多い中、展示会翌日以降の自動フォローシナリオをMA(マーケティングオートメーション)で組むことで、商談化率が大幅に改善します。展示会後のMA活用については、展示会リード獲得と商談化の全手順で詳しく解説しています。
テレアポ・インサイドセールス
特に刺さるフェーズ:検討〜評価フェーズ(購買意欲が一定程度高まっているリード)
「テレアポは古い施策だ」という認識は誤解です。現代のテレアポは、「Webサイトを閲覧した企業」「資料をダウンロードした担当者」に対して行うインサイドセールス(非対面型営業)と組み合わせることで、精度の高いアプローチが可能になります。
MAツールの行動ログ(Webサイト閲覧・資料ダウンロード・メール開封)を活用し、熱量が高いリードにタイミングよく電話をかけることでアポ率が向上します。
弊社支援先の一部では、資料ダウンロード直後10分以内の架電で接続率が大きく改善した例もあります。アクションのタイミングと優先順位の整理が成否を分けます。
DM(郵送・FAX)
特に刺さるフェーズ:認知〜検討フェーズ(デジタル接点が取りにくい経営層・現場責任者)
DM(ダイレクトメール)は、メールが届きにくい経営層・現場責任者へのアプローチとして依然として有効です。特にターゲットが「デジタルの情報過多の中で埋もれやすい」業種では、物理的な郵便物が際立ちます。
QRコードをDMに印刷してLPへ誘導し、その後のアクセス解析で関心度を測る活用パターンが、弊社支援先でもよく使われています。
パートナー連携・共催マーケティング
特に刺さるフェーズ:認知〜検討フェーズ(パートナー企業の顧客基盤を通じた新規リーチ)
補完関係にある企業とのパートナー連携は、「互いの顧客基盤を活用して新規リードにアプローチする」施策です。共催ウェビナー・クロスプロモーション・紹介プログラムなどが代表的な形式です。
パートナー企業の信頼を借りた紹介は、最初の接触からすでに一定の信頼関係が前提となっているため、商談化率が通常のリードよりも高くなる傾向があります。
増やした見込み客を「商談」につなげる全体像
見込み客を増やすことと、商談を増やすことは別の取り組みです。増やした先のフローがなければ、リストが積み上がるだけで売上は変わりません。獲得と育成のフローについては、リードジェネレーションとナーチャリングの違いも参考にしてください。
Step.1:リードナーチャリングのシナリオを組む
リードナーチャリング(見込み客を継続的に育成し購買意欲を高めるプロセス)は、BtoBマーケティングで特に後回しにされやすい取り組みです。BtoBの検討期間は商材や業種にもよりますが、数ヶ月から1年程度に及ぶケースが少なくありません。獲得直後にアプローチをやめると、そのリードは競合に流れてしまいます。
基本的なシナリオの組み方は以下の通りです。
Step.1:リードをフェーズ別に分類する(認知・検討・評価)
Step.2:フェーズごとに届けるコンテンツを決める(認知→ノウハウ記事、検討→事例・比較資料、評価→デモ・相談会)
Step.3:配信チャネルと頻度を設定する(メール・ステップメール・リターゲティング広告)
Step.4:フェーズ移行のトリガーを決める(特定コンテンツ閲覧・スコア到達など)
シナリオの詳細については、リードナーチャリングの手法と設計で解説しています。
Step.2:スコアリングで「今すぐ客」を見極める
スコアリングとは、リードの属性(役職・企業規模など)と行動(サイト閲覧・メール開封など)に点数を付け、営業対応の優先順位を数値化する仕組みのことです。
MAツールの普及によって多くの企業がスコアリングを導入できる環境にありますが、「スコアの仕組みが機能せず、スコア上位のリードでも商談化しない」という課題を抱える企業も少なくありません。
弊社の支援事例では、「属性スコア」と「行動スコア」を分けて管理し、両方が一定水準に達したリードのみをMQLとして引き渡す方法が効果的でした。行動スコアだけが高くても、意思決定権を持たない担当者では商談につながらないからです。
スコアリングの詳細については、スコアリング設計と運用の実践手順を参照してください。
Step.3:MQL基準を営業と合意してトスアップの流れを作る
トスアップとは、マーケティングが育成したリードを営業に引き渡すプロセスのことです。このプロセスが曖昧だと、「マーケティングが渡したリードを営業がフォローしない」「営業が引き取ったリードのその後が見えない」という状況が生まれます。
SLA(サービスレベルアグリーメント)を締結することで、この問題を構造的に解決できます。SLAに盛り込むべき項目は以下の5点です。
- MQLの定義:どのスコア・条件を満たしたリードをMQLとするか
- 引き渡しのタイミング:MQL到達後、何時間以内に営業がアクションするか
- フォロー期限:何日以内にアポ打診まで完了させるか
- フィードバックの方法:営業がMQLを「否認」した場合の理由記録と通知方法
- レビュー頻度:月次でMQL基準を見直すミーティングを設定するか
弊社の支援においても、SLAの締結は「営業とマーケティングの認識のズレを解消する」うえで効果的な取り組みの一つです。
MAツールで獲得から育成までを一元管理する
MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用することで、見込み客の獲得・スコアリング・ナーチャリング・営業引き渡しを一元管理できます。
ただし、MAツールは「戦略と事前準備が整っていて初めて機能する」ツールです。整わないままMAを導入した場合、ログが溜まるだけで活用されないという結果になります。
MAツールの選定については、BtoB向けMAツール比較12選も参考にしてください。獲得後のリスト管理については、見込み客管理の仕組みと実践ステップで解説しています。
見込み客獲得でよくある失敗3パターンと対処法
施策を動かしても成果につながらない代表的な失敗が3つあります。いずれも「施策選定の問題」ではなく「事前準備と部門連携の問題」に起因しています。
失敗1|「量を追って質が下がる」施策の問題
「月のリード獲得数を増やせ」というKPIを設定した結果、獲得数は増えたものの商談化率が極端に下がるというケースがあります。量を追うことでターゲットとズレた層まで獲得してしまうからです。
有効な対処法は、KPIを「リード獲得数」から「MQL獲得数」または「商談化率」に変更することです。獲得したリードの全数ではなく、MQLに転換したリードの比率を追うことで、施策の「質」が自然と向上します。
失敗2|「獲得したが育成できない」ナーチャリングがない状態の問題
BtoBマーケティングでは、獲得したリードのうち今すぐ購入を検討している層はごく一部とされています。「95:5ルール」として知られるこの考え方では、約5%だけが今すぐ市場にいるという趣旨の知見が紹介されています(※正確な比率は商材や業種により異なります)。
残りの大多数は「将来的に購入する可能性があるが、今すぐではない」層です。この層を育てないまま放置すれば、購買検討が具体化したとき、競合から購入されてしまいます。
定期的なメルマガ配信・ウェビナーへの再招待・コンテンツ配信などで接点を維持し、スコアが上昇したタイミングで営業アクションに移行するフローを設けることが対処法です。
失敗3|「営業との認識ズレ」MQL定義が決まっていない状態
マーケティングで「見込み客を獲得した」と思っていても、営業が「質が低いリードばかり」と感じている場合、原因は「MQLの定義が共有されていない」ことにあります。
SLA締結が解決策ですが、その前に「営業が商談したいリードとはどんな企業・人物か」を双方で言語化するミーティングを設けることが先決です。この対話なくしてMQL基準は機能しません。リードクオリフィケーションの具体的な進め方については、リードクオリフィケーションの実践方法で解説しています。
KPIと費用対効果の整理|稟議に使える数字の出し方
見込み客獲得施策を社内で承認を取るには、KGI(最終目標)から逆算した数字の組み立てが必要です。施策と売上の接続を数値で示すことで、稟議の通りやすさが大きく変わります。
施策別CPA・ROIの目安
以下は弊社支援先の実績を踏まえた初期仮説です。業種・商材の単価・営業サイクルによって大きく変動するため、自社の状況に合わせて検証を重ねながら活用してください。
| 施策 | CPA目安 | 立ち上がりまでの期間 | 特記事項 |
|---|---|---|---|
| コンテンツ・SEO | 1,000〜5,000円/リード | 3〜6ヶ月 | 継続的な資産として積み上がる |
| リスティング広告 | 5,000〜30,000円/リード | 1〜4週間 | LP最適化が成否を左右する |
| ウェビナー | 3,000〜20,000円/リード | 2〜6週間 | リードの質が高い傾向あり |
| 展示会 | 5,000〜50,000円/リード | 出展当日〜 | フォロー体制で商談化率が変わる |
| ホワイトペーパー | 2,000〜10,000円/リード | 公開直後〜 | 属性情報が取得できる点が強み |
KGIからKPIを逆算するフレームワーク
KPIは「最終的な売上目標(KGI)」から逆算するのが基本です。以下のフレームで整理してください。
例:年間売上目標(KGI):5,000万円の場合
- 平均受注単価:100万円 → 必要受注件数:50件
- 受注率(商談→受注):30% → 必要商談数:167件
- MQL→商談化率:30% → 必要MQL数:556件
- リード→MQL転換率:20% → 必要リード数:2,780件
- 月次目標リード数:232件/月
この逆算を持つことで、「月232件のリードを獲得するために、どの施策にいくらの予算を投じるか」という具体的な稟議資料が作成できます。また、前述の「95:5ルール」のような市場前提(市場の大多数は今すぐ客ではない)と組み合わせると、「なぜこれだけのリード数が必要か」の説明に説得力が増します。KPI設計の詳細フレームワークは、リードジェネレーションのKPI設計法で解説しています。
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。
相談してみる →まとめ
見込み客を増やすうえで押さえるべき3点は、
- 土台(ペルソナ・カスタマージャーニー・MQL基準)を先に整える
- 施策を「フェーズとリソース」の判断軸で選ぶ
- 獲得後の育成・スコアリング・トスアップまで一気通貫で作る
という3点です。
施策を増やすことより、「今ある施策を土台に基づいて機能させること」のほうが成果への近道です。多くの担当者が陥るのは、「次の施策を探す」ことで本来取り組むべき「事前準備の見直し」を後回しにしてしまうパターンです。
まずペルソナの2軸と MQL仮基準の設定から着手してください。この2つが揃うだけで、施策の効果を測れる状態が生まれます。
Sells upでは、BtoBマーケティング支援・MA(マーケティングオートメーション)活用支援・インサイドセールス立ち上げ支援を通じて、「土台整備から実装まで」の一気通貫サポートを行っています。「何から手をつければよいかわからない」という段階からご相談もお待ちしています。
よくある質問
見込み客を増やすには何から始めればよいですか?
まず取り組むべきは施策の前段にある「土台整備」です。獲得したいターゲットのペルソナ(企業軸・担当者軸の2軸)を明確にし、MQLの仮基準を設定することから始めてください。この土台があることで、どの施策を選べばよいかが明確になり、施策の効果も正しく測れるようになります。
見込み客獲得において、オンラインとオフラインはどう使い分ければよいですか?
使い分けのポイントは「即効性が必要か」と「どの層にリーチしたいか」の2軸です。オンライン施策は中長期での資産積み上げや顕在層へのアプローチに向いており、オフライン施策は信頼構築の速度やデジタルに馴染みのない層へのリーチに強みがあります。両方を組み合わせることで、獲得できる見込み客の幅が広がります。
見込み客を増やしても商談につながらない場合、原因はどこにありますか?
原因の多くは「獲得後の育成(リードナーチャリング)」と「MQL基準が決まっていないこと」にあります。BtoBでは検討期間が長いため、獲得直後にアプローチをやめると見込み客が競合に流れてしまいます。また、営業とマーケティングのMQL定義が揃っていないと、渡したリードがフォローされないという問題も起きます。
見込み客獲得のKPIはどう設定すればよいですか?
「リード獲得数」だけをKPIにするのは避けてください。年間売上目標(KGI)から受注件数・商談数・MQL数・リード数を逆算し、月次のリード目標を算出することをおすすめします。さらに、KPIを「MQL獲得数」または「商談化率」に設定することで、施策の質も自然と向上します。
見込み客の獲得にMAツールは必要ですか?
MAツールは「あると効率が大きく上がる」ツールですが、導入が先決ではありません。重要なのは、ペルソナ・カスタマージャーニー・MQL基準の準備が先にあることです。整わないままMAを導入した場合、ログが溜まるだけで活用されないという結果になります。準備が整った段階でMAツールを導入することで、獲得から育成・営業引き渡しまでを一元管理できます。
