リードは獲得できているのに商談につながらない。営業からは「もっと確度の高いリードが欲しい」と言われる。MAツールを導入したものの、一斉配信にとどまっている。
BtoB企業のマーケティング支援では、こうした相談が重なることがあります。
リードナーチャリングは、獲得したリードに継続的に情報を届けながら、検討状況に応じて接点をつくり、商談につなげていく取り組みです。特に検討期間が長いBtoBでは、獲得直後に商談化しなかったリードと継続して関係を持つうえで重要になります。
一方で、考え方を理解していても、「自社では何から始めるべきか」「他社はどのような施策で成果を出しているのか」「費用対効果をどう見ればよいのか」といった段階で迷うことがあります。
本記事では、BtoBマーケティングを100社以上支援してきたSells upが、リードナーチャリングの事例14件を施策別に紹介します。
各社の課題、実施した施策、得られた成果を整理したうえで、よくある失敗パターン、施策の選び方、費用対効果の見方、KPI設定、マーケティングと営業の連携まで解説します。
リードナーチャリングとは?BtoB企業における必要性とその課題
リードナーチャリングとは、獲得したリードに対して継続的に情報を届け、検討状況に応じて接点を持ちながら、商談につなげていく取り組みです。
BtoBでは、初回接点の時点ですぐに商談化するとは限りません。担当者が情報収集を続けたり、社内で比較検討したり、予算や導入時期を調整したりするため、検討期間が長くなることがあります。
そのため、獲得直後に商談化しなかったリードとも継続して接点を持ち、必要なタイミングで情報を届けられる状態をつくることが重要です。
ただし、ナーチャリングの目的は、単純にメールを送り続けて「購買意欲を高める」ことではありません。
たとえば、
-
課題に気づくための情報を届ける
-
比較検討に必要な情報を提供する
-
導入事例や活用方法を紹介する
-
行動の変化を営業が確認できるようにする
といった形で、検討を進めるための情報提供と営業連携を設計します。
一方で、実際の運用では次のような課題が起こります。
-
獲得したリードとの接点が途切れ、休眠状態になっている
-
MAを導入したものの、一斉メール配信が中心になっている
-
マーケティングと営業で、営業へ渡すリードの条件が揃っていない
-
配信数や開封率は見ているが、商談や受注への影響を確認できていない
こうした課題は、施策を増やすだけでは解決しません。
まずは、自社がどこで止まっているのかを整理し、その課題に合ったナーチャリング施策を選ぶ必要があります。
次のセクションでは、BtoBで使われる主な施策を整理したうえで、実際の企業事例を紹介します。
BtoBリードナーチャリングの主な施策分類
BtoBのリードナーチャリングでは、1つの施策だけで完結させるのではなく、リードの状況や社内体制に応じて複数の手法を組み合わせます。
主な施策は、次の6つです。
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メールマーケティング:属性や行動に応じて内容を分け、継続的に情報を届ける
-
コンテンツマーケティング:ホワイトペーパー、導入事例、記事などを通じて、検討に必要な情報を提供する
-
インサイドセールス:電話やメールで状況を確認し、営業が対応すべき対象を見極める
-
セミナー・ウェビナー:テーマを絞って情報を伝え、参加後のフォローにつなげる
-
MA・CRM/SFA連携:リード情報や行動履歴を管理し、配信・営業連携・効果測定の基盤をつくる
-
SNS・広告活用:既存リードとの再接点や、休眠リードへのアプローチに活用する
重要なのは、すべての施策を同時に始めることではありません。
たとえば、保有リードは多いものの接点が途切れている場合はメールやコンテンツから始める方法があります。一方、一定数のリードはいるものの営業へ渡す基準が曖昧な場合は、インサイドセールスやMA・CRM/SFA連携の設計を優先したほうがよいこともあります。
次のセクションから、施策ごとの具体的な事例を紹介します。
【施策別】BtoBリードナーチャリング成功事例14選
ここからは、リードナーチャリングの事例14件を施策別に紹介します。
各社が抱えていた課題、実施した施策、得られた成果を見ながら、自社で取り入れられる考え方を確認していきます。
メールマーケティング施策の事例(3選)
メールマーケティングでは、すべてのリードに同じ内容を送るのではなく、属性や行動、検討状況に応じて「誰に」「何を」「どのタイミングで」届けるかを設計することが重要です。
事例1:株式会社シンフィールド|メールの役割を分け、反応後の営業フォローにつなげる
課題:展示会やセミナーで獲得した名刺リストを十分に活用できず、営業につなげる基準も明確になっていなかった。
施策
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ノウハウを届ける「お役立ちメール」と、営業要素を含む「引き上げメール」に役割を分けて配信した。
-
「引き上げメール」内のURLクリックなどを確認し、反応があったリードをインサイドセールスが電話でフォローした。
成果:メールへの反応を起点に電話することで、無作為に架電するのではなく、確認対象を絞ってアプローチできるようになった。
出典:【リードナーチャリング事例】メールマーケティングに「ちょい足し」で成果をあげるシンフィールドの取り組み|メルラボ
事例2:CARTA COMMUNICATIONS|対象に合わせたメール設計で開封率50%超
課題:展示会などで獲得したリードが商談につながりにくく、同じようなアプローチになっていた。
施策
-
リードを業種や検討状況などで分け、それぞれに合わせて事例やノウハウ資料を配信した。
-
MAを活用し、メールの開封やクリックなどの反応を確認して、営業が確認する対象を抽出した。
成果:初めてのシナリオ配信で開封率50%を超えた。メールへの反応を営業連携の判断材料として使えるようになった。
出典:株式会社CARTA COMMUNICATIONS 導入事例|シナジーマーケティング株式会社
事例3:ユミルリンク株式会社|継続的な情報提供で既存リードとの接点を増やす
課題:セミナーへの集客が安定せず、既存リードとの接点も不足していた。
施策
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セミナー案内だけでなく、業界情報や調査レポートなどを継続的にメールで配信した。
-
過去のセミナー参加者にも情報提供を続け、次回の参加につなげた。
成果:セミナー参加やホワイトペーパーのダウンロードなど、既存リードとの新たな接点につながった。
参考:SNSより確実?メールマーケティングの今をユミルリンク大粒来氏が語る|LISKUL
メール施策では、内容だけでなく、誰に送っているかも重要です。
古い連絡先や対象外の企業が配信リストに含まれていると、開封率やクリック率だけを見ても施策の良し悪しを判断しにくくなります。
まずは保有リストを整理し、どの企業のどの担当者へ何を届けるのかを決めたうえで、配信内容やタイミングを設計します。
配信の順番や分岐の考え方は、リードナーチャリングのシナリオ設計で解説しています。
コンテンツマーケティング施策の事例(2選)
コンテンツマーケティングでは、リードが検討を進める際に必要となる情報を、記事、ホワイトペーパー、導入事例などの形で提供します。
製品の説明だけでなく、課題整理や比較検討に役立つ情報を用意しておくことで、メールやウェビナーなど他の施策でも活用できます。
事例4:株式会社日本テレビアート様|提供価値の言語化からコンテンツと集客施策を整備
課題:社員の8割以上がデザイナーという体制で、自社の提供価値を言葉にして伝える取り組みが十分に進んでいなかった。営業代行も試したものの、無形商材であるデザインサービスの内容を伝えきれず、商談化につながりにくい状態だった。
施策
-
最初の約10か月をかけて、サービスの方向性と提供価値を整理した。
-
その後、Meta広告、サービス資料・LP制作、サイト改修、コンテンツマーケティング、CRMへのリード情報移行を並行して進めた。
成果:広告予算は月10万円程度で、多い月には100件を超えるリードを獲得した。サービスの提供価値を整理したことで、広告やコンテンツで伝える内容も揃えやすくなった。

事例5:株式会社SmartHR様|メール文面を増やし、届ける情報を出し分ける
課題:MAの運用経験を持つ担当者がいない状態で、メール文面が1〜2パターンに限られ、相手に応じた出し分けができていなかった。
施策
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2023年7月に初期設定へ着手し、約1か月で最初のメール配信を開始した。
-
SmartHR Plusの40以上のアプリについて、タグ設定、要件定義、メール文面の作成を進め、メールを20〜30パターンに拡充した。
-
2024年1月にはトリガーメール、同年3月にはフォームを構築した。
成果:マーケティングチーム全体の取り組みとして、問い合わせ数が1年間で約10倍になった。メール文面を増やしたことで、同じリストに対しても状況に応じた情報を届けやすくなった。

コンテンツは、単発で増やすのではなく、検討のどの段階で何が必要になるのかを整理してから用意するほうが使いやすくなります。
たとえば、課題を整理するための記事、比較検討に使う資料、導入後をイメージするための事例など、役割を分けておけば、メールやウェビナーでも再利用できます。
インサイドセールス施策の事例(3選)
インサイドセールスは、電話やメールなどを通じてリードの状況を確認し、営業が対応すべき対象を見極める役割を担います。
MA上の行動データだけでは分からない課題や導入時期などを、対話によって確認できる点が特徴です。
事例6:日本電気株式会社(NEC)|部門間の連携フローを整備
課題:リード数が多く、営業部門だけではすべてを十分にフォローしきれない状態だった。
施策
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インサイドセールス部門を設け、MAに蓄積した行動データも確認しながらフォロー対象を整理した。
-
マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスの役割を分け、一定の基準を満たしたリードを営業へ連携する流れを整えた。
成果:リードへの対応を分担できるようになり、営業が対応する対象を絞りやすくなった。
参考:NECが挑戦する営業・マーケティングの融合とデジタルシフト 2年間の取り組みで実感する変化とは‐MarkeZine
事例7:株式会社マイナビ|引き渡し基準とリードリサイクルを整備
課題:マーケティングと営業でリードの評価基準が異なり、引き渡した後の対応にも認識差があった。また、一度失注したリードが十分に再活用されていなかった。
施策
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インサイドセールスを中心に、営業へ渡す対象の定義を部門間で整理した。
-
失注したリードや商談に至らなかったリードを、再びマーケティング側でフォローする「リードリサイクル」の仕組みを導入した。
成果:部門間の役割分担を整理し、新規獲得率は3.5倍になったと報告されている。既存リードを再度活用する仕組みも整えられた。
出典:インサイドセールス導入で新規獲得率は3.5倍!マイナビ流「急がば回れ」の営業改革事例|SalesZine
事例8:株式会社CLUE様|行動の変化を検知してインサイドセールスへ連携
課題:2019年の支援開始時点では社内にマーケティング経験者がおらず、どのリードをいつ営業へ渡すかを判断する仕組みも整っていなかった。
施策
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ツール選定より先にKPI設計から始め、追う指標を絞った。
-
セミナー後のアンケート結果をもとに、関心のあるテーマに応じてフォローアップメールを出し分けた。
-
3日連続でサービスページを訪問したユーザーを検知し、インサイドセールスへ自動連携する仕組みを構築した。
成果:約5年間の支援を通じて、営業担当者が個別に見込み顧客を探すだけでなく、マーケティング施策からリードを獲得し、営業へ連携する体制を整えていった。

セミナー・ウェビナー施策の事例(2選)
セミナーやウェビナーは、特定のテーマについてまとまった情報を届けられる施策です。
開催自体を目的にするのではなく、申し込み、参加、アンケート、その後のフォローまでを一つの流れとして設計します。
事例9:SATORI株式会社|ウェビナーとアーカイブ配信を組み合わせて運営を効率化
課題:対面セミナーでは開催回数や参加機会に制約があり、参加後のフォローも担当者ごとにばらつきがあった。
施策
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リアルタイム配信に加えてアーカイブ配信も用意し、参加機会を増やした。
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ウェビナーとMAを連携し、視聴状況などをフォロー時の参考情報として活用した。
成果:ウェビナー運営工数を80%削減し、月7〜8回開催できる体制を整えた。開催後のフォローも仕組み化された。
出典:疑似ライブ配信でウェビナーを効率化ネクプロ×「SATORI」で見込み顧客を育成|ネクプロ
事例10:株式会社東京商工リサーチ|セミナー運営と参加者情報を一元管理
課題:セミナー参加者の情報をExcelなどで管理しており、開催後のフォローにつなげにくい状態だった。
施策
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セミナー管理ツールとMAを連携し、申し込みから参加後までの情報をまとめて管理した。
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セミナー後のアンケート回答に応じて、その後のフォロー内容を分けた。
成果:セミナー運営と参加者管理を整理でき、参加後のフォローを行いやすくなった。
出典:MAツールの刷新でメルマガの開封率を23%向上ウェビナーの効率的な運用も実現|ソフトバンク
MA・CRM/SFA連携施策の事例(2選)
MAやCRM/SFAは、ナーチャリング施策そのものというより、リード情報や行動履歴、営業対応の結果をつなぐための基盤として使われます。
ツールを導入するだけでなく、どの情報を管理し、どの条件で営業へ連携するかを決めておくことが重要です。
事例11:株式会社ブリューアス様|MA移行時にも履歴を残し、休眠顧客を再活用
課題:MAを移行する際、方法によってはこれまで蓄積したアクティビティデータが失われる可能性があり、稼働中のステップメールも止めたくない状況だった。
施策
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Account Engagementへの移行時に、既存のアクティビティデータを残せる方法を選択した。
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稼働中のステップメールを継続できるようにし、過去の行動履歴を使って失注顧客への掘り起こしメールも実施した。
成果:ステップメール経由で継続的に受注が発生し、休眠顧客へのメールから大型案件の受注にもつながった。

事例12:株式会社ランドネット|顧客情報をまとめ、状況に応じたアプローチを実施
課題:Web広告やポータルサイトなど、媒体ごとにリード情報を管理しており、顧客単位で状況を把握しにくかった。
施策
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MAを導入し、複数の媒体から得たリード情報をまとめて管理した。
-
属性や行動に応じたセグメント配信やスコアリングを活用した。
成果:顧客ごとの情報を確認しながらコミュニケーションできるようになり、面談申し込みの増加につながった。
SNS・広告活用施策の事例(2選)
SNSや広告は、新規リード獲得だけでなく、一度接点を持った相手との再接触にも使えます。
特に、メールだけでは反応が得られない場合に、別のチャネルで接点をつくる方法として活用できます。
事例13:ランスタッド株式会社|LINEを使って求職者との連絡を効率化
課題:求職者との連絡がメールや電話中心で、返信率は約20%にとどまっていた。
施策
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求職者との連絡にLINEを活用し、やり取りしやすい環境を整えた。
-
LINE上のコミュニケーションを通じて状況を確認し、案件紹介につなげた。
成果:返信率は80%まで上昇したと報告されている。
事例14:Sansan株式会社|Facebook広告で休眠リードとの再接点をつくる
課題:過去に接点があったものの、長期間アプローチできていない休眠リードがあり、メールだけでは反応を得にくい状態だった。
施策
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MAに蓄積した既存リードの情報を活用し、Facebook広告のカスタムオーディエンスへ配信した。
-
ホワイトペーパーやセミナーなど、再度接点を持つためのコンテンツを広告で訴求した。
成果:メール以外のチャネルでも既存リードと接点を持ち、案件化につなげる取り組みとして活用された。
参考:休眠リードを案件化!Sansanが明かす、Facebook「リード獲得広告」成果を出す3つの秘訣|MarkeZine
リードナーチャリングでよくある3つの失敗パターン
リードナーチャリングに取り組んでも、期待した成果につながらないことがあります。
よくあるのは、ツールを入れることが目的になっている、届ける情報が製品紹介に偏っている、マーケティングと営業の連携条件が決まっていない、といったケースです。
失敗パターン1:MAを導入しただけで運用が止まる
MAを導入しても、配信する対象や内容、営業へ渡す条件が決まっていなければ、一斉メール配信だけで運用が止まりやすくなります。
高機能なツールを導入することよりも、まず「何を改善するために使うのか」を決めることが重要です。
対処法
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MA導入の目的と、確認するKPIを決める
-
現在どのようにリード情報を管理しているかを整理する
-
配信、データ管理、営業連携を誰が担当するかを決める
-
最初から多くの機能を使おうとせず、必要な施策から始める
たとえば、商談数を増やしたいのであれば、メール開封率だけではなく、メール経由で営業へ渡した件数や商談化した件数まで確認します。
失敗パターン2:届ける情報が製品紹介ばかりになる
ナーチャリングでは、自社製品の機能紹介やキャンペーン情報だけを送り続けても、すべてのリードに必要な情報になるとは限りません。
まだ課題を整理している段階のリードと、具体的に製品を比較しているリードでは、必要な情報が異なるためです。
対処法
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ターゲットが抱えている課題を整理する
-
検討の段階ごとに必要となる情報を洗い出す
-
ノウハウ、事例、比較情報、製品情報などを役割ごとに用意する
-
製品紹介は、検討状況に応じて届ける
たとえば、情報収集段階では課題整理に役立つ記事や資料、比較検討段階では導入事例や製品比較、具体的な検討が進んだ段階では料金や導入方法といった形で、情報の役割を分けます。
失敗パターン3:マーケティングと営業の引き渡し条件が決まっていない
マーケティング側でリードをフォローしていても、どの状態で営業へ渡すのかが決まっていなければ、部門間で認識がずれます。
営業側では「まだ連絡する段階ではない」と判断し、マーケティング側では「反応があったのにフォローされない」と感じる、といった状態です。
対処法
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どの条件を満たしたら営業へ渡すかを決める
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引き渡し後、誰がいつまでに対応するかを決める
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営業が対応した結果をマーケティングへ戻す
-
定期的に商談化率や失注理由を確認し、条件を見直す
SLAを設ける場合も、形式的な取り決めを作ることが目的ではありません。
たとえば、「引き渡し後1営業日以内に初回連絡する」「一定回数連絡しても接触できなければマーケティングへ戻す」といった、実際の運用で使えるルールにします。
また、マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールスが別々の場所で情報を管理していると、同じリードに対する認識もずれやすくなります。
MAとCRM/SFAを連携し、これまでの接点や営業対応の結果を確認できる状態にしておくと、次に誰が何をするのかを判断しやすくなります。
獲得から営業への引き渡しまでの管理方法は、リード管理の3つのプロセスで解説しています。
MAの運用そのものが止まっている場合は、MAツールを使いこなせない原因と立て直し方も参考にしてください。
リードナーチャリングの費用対効果をどう見るか
リードナーチャリングの費用対効果を、受注金額だけで短期間に判断するのは難しい場合があります。
BtoBでは、施策を実施してから商談・受注までに時間がかかることがあるためです。
株式会社PRIZMAが2026年4月16日〜17日に、月5本以上ホワイトペーパーを公開しているBtoBマーケティング担当者501名を対象に実施した調査では、ダウンロード数が増えたと回答した人が約6割いる一方、ホワイトペーパー経由の商談化率が5%未満と回答した人が約7割を占めています。
出典:【2026年版:BtoBホワイトペーパー実態調査】約6割がDL増加も、商談化率は5%未満が約7割|株式会社PRIZMA
ただし、この調査は継続的にホワイトペーパーを制作している担当者を対象としており、BtoB企業全体の平均値として扱うことはできません。
そのため、ナーチャリング施策では、最終的な受注だけでなく、
-
営業へ引き渡したリード数
-
商談化率
-
商談数
-
休眠リードからの再商談数
-
受注数・受注金額
といった指標をつなげて確認します。
メールの配信数や開封率、クリック率も改善には使えますが、それだけでは事業への貢献を判断できません。
「接点が増えたか」だけでなく、「その後に商談へ進んだか」まで確認することが重要です。
ナーチャリングを急がなくてよい場合
リードナーチャリングは、すべての企業が早い段階から仕組み化する必要があるわけではありません。
たとえば、次のような場合は、複雑なナーチャリング施策を増やす前に、営業が直接対応したほうがよいこともあります。
-
対象企業が限定されており、一社ずつ対応できる
-
保有リードが少なく、個別に状況を確認できる
-
検討期間が短く、継続的な情報提供の必要性が低い
-
継続して届けるコンテンツをまだ用意できていない
この段階では、まず個別対応を通じて、どのような企業が商談につながるのか、どの情報が求められているのかを把握します。
その後、リード数が増え、一件ずつ対応することが難しくなってきた段階で、メール配信やシナリオ、MAによる自動化を検討する方法があります。
獲得から育成、選別までを一連の流れで整理したい場合は、デマンドジェネレーションの全体の流れで解説しています。
自社に最適な施策を見つけるための比較と選定フロー
ここまで複数の施策と事例を紹介してきましたが、重要なのは、すべてを取り入れることではありません。
自社が現在どこでつまずいているのかを整理したうえで、その課題に合う施策を選ぶ必要があります。
主要なリードナーチャリング施策の比較
主な施策の特徴を整理すると、次のとおりです。
|
施策 |
メリット |
デメリット・注意点 |
必要なリソース |
適した状況の例 |
|---|---|---|---|---|
|
メールマーケティング |
継続的に接点を持ちやすい |
配信するだけでは成果につながりにくい |
低〜中 |
保有リードが一定数ある |
|
コンテンツマーケティング |
検討に必要な情報を蓄積できる |
企画・制作に工数がかかる |
中〜高 |
専門性の高い商材を扱っている |
|
インサイドセールス |
リードの状況を直接確認できる |
人員や運用体制が必要 |
高 |
個別確認が必要な商材 |
|
セミナー・ウェビナー |
まとまった情報を届けやすい |
企画・集客・運営に工数がかかる |
中〜高 |
説明が必要な商材 |
この表だけで施策を決めるのではなく、自社の課題と保有リードの状況を照らし合わせて判断します。
たとえば、リードは十分にあるものの接点が途切れている場合は、メールやコンテンツが候補になります。一方、リードはいるものの営業へ渡す基準が曖昧な場合は、インサイドセールスやMA・CRM/SFAの連携設計を優先したほうがよいこともあります。
自社に合った施策を選定するステップ
施策を選ぶ際は、次の4つの順番で整理すると判断しやすくなります。
Step.1:現在の課題を明確にする
最初に、どこでリードが止まっているのかを確認します。
たとえば、
-
リードそのものが不足している
-
リードはあるが接点が続いていない
-
営業へ渡す対象を絞れていない
-
営業へ渡しても商談につながらない
-
休眠リードが増えている
といった形で、課題を分けます。
リードナーチャリングで解決すべき課題なのか、新規獲得や営業プロセス側の課題なのかも、この段階で切り分けます。
Step.2:対象となる顧客と検討プロセスを整理する
次に、どのような企業・担当者を対象とし、どのような流れで検討が進むのかを整理します。
すべての顧客が同じ順番で検討するわけではありませんが、
-
どのような課題を持っているか
-
検討時に誰が関わるか
-
どのような情報が判断材料になるか
-
どのタイミングで営業との接点が必要になるか
を把握しておくと、必要な施策を選びやすくなります。
Step.3:実行できる体制とリソースを確認する
施策を選ぶ前に、予算だけでなく、運用を継続できるかを確認します。
主に見るのは、
-
担当できる人数と工数
-
コンテンツを制作できる体制
-
MAやCRM/SFAなど利用中のツール
-
営業がフォローできる件数
-
効果を確認するためのデータ
です。
実行できない施策を増やすより、継続できる範囲から始めたほうが改善につなげやすくなります。
Step.4:施策とKPIを決める
Step.1〜3を踏まえて施策を選び、何をもって改善したと判断するかを決めます。
たとえば、
-
メール施策:クリック後の営業確認数、商談数
-
コンテンツ:閲覧・ダウンロード後の商談化数
-
インサイドセールス:接続数、商談化数、再ナーチャリング数
-
ウェビナー:参加数、参加後の商談数
といった形です。
開封率や参加率といった中間指標だけで終わらせず、その後の営業活動や商談までつなげて確認することで、施策を続けるべきか、見直すべきかを判断しやすくなります。
成功事例から学ぶ、成果を出すための重要ポイント
ここまで紹介した事例を見ると、「誰に」「どのタイミングで」「何を届けるか」を整理し、その後の営業連携まで含めて設計している事例が多く見られます。
特に重要なのは、次の3点です。
ポイント1:リードの状況をデータで把握する
MAやCRMを活用すると、業種や役職などの属性情報と、Web閲覧、メールクリック、資料ダウンロードなどの行動情報をまとめて確認できます。
こうした情報は、営業が優先して確認する対象を整理する際に使えます。
その方法の一つがスコアリングです。属性や行動に点数を付け、一定の条件に該当したリードを抽出します。
ただし、スコアが高いことと購買意欲が高いことは同じではありません。
Webページを何度も閲覧していても情報収集段階の場合がありますし、閲覧履歴が少なくても具体的な課題を持って問い合わせる企業もあります。スコアは営業が確認する順番を決める材料として使い、実際の状況は営業との対話で確認します。
Sells upでは、支援先の受注データと行動履歴をロジスティック回帰で分析し、Engagement 0.45、Recency 0.385、Frequency 0.165という重みを置いたRFEスコアを使うことがあります。
また、案件によっては「属性スコア20点以上かつ行動スコア40点以上」をMQLの条件としたり、「RFEスコア0.75以上かつ直近7日以内に行動がある」といった条件で優先確認対象を絞ったりしています。
これらはSells upでの設計例であり、一般的な基準ではありません。実際の配点や閾値は、自社の商談・受注データを見ながら調整します。
配点の考え方は、スコアリングの配点設計と運用手順で解説しています。
ポイント2:マーケティングと営業の引き渡しルールを決める
リードナーチャリングでは、「マーケティングと営業の連携が重要」とするだけでは、実際の運用にはつながりません。
どの状態になったら営業へ渡すのか、営業はいつまでに対応するのか、その結果をどこへ戻すのかまで決めておく必要があります。
こうしたルールをSLAとして整理する方法があります。
SLAで決める項目の例
-
営業へ渡す条件:どの属性や行動、営業確認結果をもとに引き渡すか
-
対応期限:引き渡し後、いつまでに初回対応するか
-
未接触時の扱い:一定回数連絡しても接触できなかった場合、どの状態へ戻すか
-
結果の共有方法:商談化、保留、対象外、失注などの結果をどこへ記録するか
-
見直し方法:商談化率や失注理由をもとに、引き渡し条件をどう更新するか
たとえば、「特定ページを閲覧したら即営業へ渡す」と固定するのではなく、属性や過去の接点も含めて確認対象を決めます。
また、一度営業へ渡したリードも、時期が合わなければマーケティング側へ戻し、再度ナーチャリングする運用が考えられます。
重要なのは、引き渡しを一方向にしないことです。営業の対応結果をマーケティングへ戻すことで、次の配信対象や条件を見直せます。
ポイント3:接点の数字だけでなく、商談・受注まで確認する
リードナーチャリングでは、メールの開封率やクリック率、ウェビナーの参加率なども改善のために使います。
ただし、これらだけでは事業への貢献を判断できません。
最終的には、どの施策が営業への引き渡しや商談、受注につながったのかまで確認します。
指標の例は次のとおりです。
-
KGI:受注数、受注金額、LTV
-
KPI:営業へ引き渡したリード数、MQL数、SQL数、商談数・商談化率、受注数・受注率、休眠リードからの再商談数
なお、MQLやSQLの定義は企業によって異なります。
たとえば、MQLを「マーケティング側で営業が確認する対象と判断したリード」、SQLを「営業側で商談として追う対象と判断したリード」と定義する方法があります。
名称そのものよりも、各段階の条件を社内で揃えておくことが重要です。
また、KPIは多ければよいわけではありません。
メール施策であれば「クリック率を上げる」だけで終わらず、「クリック後に何件を営業が確認し、そのうち何件が商談になったか」まで追う、といった形で、施策と事業成果をつなげて確認します。
引き渡し条件や対応期限の決め方は、営業へ引き渡す基準とSLAの設計で解説しています。
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けていても商談が増えない、営業へ渡したリードが商談につながらない場合は、個別の施策だけでなく、KPI、引き渡し条件、営業対応後のフィードバックまで含めて見直す必要があります。Sells upでは、現在の数値や運用状況を整理し、どこから改善するかを決めるところから支援しています。
相談してみる →まとめ
リードナーチャリングは、獲得したリードと継続的に接点を持ち、検討状況に応じて必要な情報を届けながら、営業へつなげていく取り組みです。
本記事で紹介した14件の事例を見ると、共通しているのは、施策ありきで始めるのではなく、まず自社の課題を整理し、その課題に合った方法を選んでいる点です。
メール、コンテンツ、ウェビナー、インサイドセールス、MA・CRM/SFA連携など、使える施策は複数あります。ただし、重要なのは施策の数ではありません。
-
どのリードを対象にするのか
-
どのような情報を届けるのか
-
どの条件で営業へ渡すのか
-
営業対応後の結果をどう戻すのか
-
商談や受注までどの指標で確認するのか
をあらかじめ決めておくことで、施策を改善しやすくなります。
また、メールの開封率やクリック率、ウェビナーの参加率だけで評価するのではなく、その後に何件が営業へ渡り、何件が商談や受注につながったのかまで確認することが重要です。
一方で、保有リードが少なく一件ずつ対応できる場合や、対象企業が限定されている場合は、複雑なナーチャリング施策を急いで導入する必要はありません。まずは個別対応を通じて、どのような企業が商談につながるのか、どの情報が求められているのかを把握する方法もあります。
自社のリード数、営業体制、検討期間を確認したうえで、必要な施策から順に整えていくことが重要です。
用語の定義から具体的な進め方まで確認したい場合は、リードナーチャリングの進め方で解説しています。
よくある質問
リードナーチャリングを始める際、最初に取り組むべきことは何ですか?
まずは自社が保有しているリード情報を整理し、現状の課題を明確にすることが最初のステップです。MAツールやCRMを活用してリードの属性や過去の行動履歴を把握し、どの層のリードが休眠化しているのか、どのプロセスで離脱が多いのかを分析してください。その上で、ターゲットとなるペルソナやカスタマージャーニーを再設定し、効果測定可能なKPIを設計することが推奨されます。
MAツールを導入しても成果が出ない場合、何を見直すべきですか?
MAツールの導入自体が目的化している可能性があります。まずは運用体制、提供しているコンテンツの質、スコアリング基準の妥当性、そして営業部門との連携体制などを総合的に見直しましょう。特に、部門間でホットリードの定義や引き渡し後のルール(SLA)が明確になっているかを確認し、データに基づいてPDCAサイクルを回すことが成果向上のポイントです。
休眠リードを再活性化するための有効な施策は何ですか?
休眠リードに対しては、まずは相手の負担にならない形で有益な情報を提供することが有効です。例えば、最新の業界動向をまとめたレポート、導入事例、ウェビナーの案内などが挙げられます。また、Web広告(リターゲティング広告やカスタムオーディエンス広告)を活用し、休眠リードに的を絞ってアプローチする方法もあります。重要なのは、再度ホットリード化したタイミングを見逃さず、適切なアプローチができる体制を整えておくことです。
リードナーチャリングの成果が出るまでにはどれくらいの期間がかかりますか?
商材の単価や検討期間によって変わるため、一律の目安はありません。BtoBでは検討期間が長く、施策を始めてから受注として表れるまでに数か月かかることが多いため、受注だけで判断すると評価が間に合いません。商談化率やホットリードの創出数といった途中の指標を追いながら、改善を続ける形になります。
休眠リードの掘り起こしは、どのタイミングで判断しますか?
連絡が途絶えてからの期間だけで切るのではなく、直近の行動が再開しているかで判断します。しばらく反応がなかったリードが料金ページや導入事例を見直している場合は、検討が再開している可能性があります。一定期間ごとに一斉配信するのではなく、行動の変化を検知して連絡するほうが、営業の工数に対して見合う結果になりやすくなります。
具体的な進め方は 休眠顧客の掘り起こしの手順 で解説しています。
メールは何通くらい送ればよいですか?
通数の正解はありません。決めるべきは通数ではなく、どの行動があったときに何を送るかという条件です。資料をダウンロードした直後、セミナーに参加した翌日、料金ページを見たときというように、相手の行動を起点に送る内容を決めておくと、配信のたびに何を書くか考える必要がなくなり、受け取る側にとっても唐突な連絡になりません。
行動を起点にした配信の設計は 行動を起点にしたメールの設計 で解説しています。
