MAを使いこなせない7つの原因とは?明日から始める立て直しプランを専門家が解説

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「高額なマーケティングオートメーション(MA)を導入したのに、結局メルマガ配信ツールとしてしか使えていない」
「ライセンス費用に見合う成果(ROI)を示せず、経営層からのプレッシャーが強い」
「営業部門からは『リードの質が低い』と不満を言われ、関係性が悪化している」
もし貴社がこのような状況に直面しているとしても、それは決して珍しいことではありません。特にBtoBビジネスの現場において、MAツールを導入したものの、期待した成果が出ずに運用が形骸化してしまうケースは非常に多く見られます。
MAは導入すれば自動的に成果が出るツールではありません。複雑な機能、リソース不足、部門間の壁といった様々な要因が絡み合い、多くの担当者が「何から手をつければ良いのか分からない」と行き詰まりを感じています。
本記事では、MA運用がなぜうまくいかないのか、その原因を構造的に解き明かします。そして、貴社の現状を客観的に診断し、膠着状態を打開するための立て直しプランを体系的に解説します。
なぜMA運用は失敗するのか?「使いこなせない」状態を生む構造的要因
MAツールは、「導入すれば自動的に商談が増える」と期待されがちですが、実際には容易に成果が出るものではありません。多くの企業がMA運用でつまずく背景には、単なる機能の理解不足や人手不足といった表面的な問題だけでなく、構造的な要因が潜んでいます。
失敗の根本にある「3つの要素」とその相互関係
MA運用が機能しない原因は、以下の3つの要素に分類され、これらが相互に影響し合っています。
戦略・目的の欠如:「何のためにMAを使うのか」という上流の戦略や目的が曖昧な状態。
運用プロセスの不備:戦略に基づいた具体的な計画(誰に、何を、いつ届けるか)や、効果検証の仕組みが整っていない状態。
リソース・体制の不足:運用に必要なコンテンツや人員、そして部門間の連携体制が不足している状態。
「戦略の欠如」が引き起こす負の連鎖
MA運用がうまくいかない原因の多くは、「戦略や目的が明確でないこと」にあります。目的が曖昧なまま導入が進むと、適切な「運用プロセス」を設計できません。その結果、場当たり的な施策しか打てず、成果が出ないため「リソース・体制」も確保されない(あるいは、リソースを投下しても効果が出ない)という負の連鎖に陥ってしまうのです。
たとえば、「コンテンツが足りない」という問題は、表面的には「リソースの不足」に見えます。しかし、その根本的な原因は、「誰に、どのようなコンテンツが必要か」を定義する「戦略」や「プロセス(カスタマージャーニー設計)」が欠如していることにあるかもしれません。
このように、問題の構造を理解し、表層的な課題に囚われずに根本原因を見極めることが、MA運用を立て直すために一番最初に行うべきステップとなります。
【チェックリスト】貴社のMAが機能しない7つの根本原因
貴社のMA運用は、どこでつまずいていますか?ここでは、先ほどの3つの分類に基づき、MAが機能しない7つの根本原因をチェックリスト形式で解説します。自社の状況に当てはまるものがないか、客観的に評価してみてください。
分類1:戦略・目的の欠如
MA運用の土台となる戦略レイヤーでの設計が不十分だと、その上に積み上げる施策はすべて不安定になります。
原因1:導入目的が「効率化」や「自動化」で止まっている
MAの導入目的が「メルマガ配信の効率化」や「手作業の自動化」といった業務効率化に留まっているケースです。MAは本来、見込み顧客(リード)を育成し、質の高い商談を創出することで事業成長に貢献するためのツールです。目的が戦術レベルに留まっていると、成果につながる戦略的な運用には発展しません。
【チェック項目】
[ ] MA導入の目的を問われた際、「商談創出」や「売上向上」ではなく、「作業効率化」が真っ先に挙がる。
[ ] MAを通じて、どのような顧客を、どのような状態に引き上げたいのかが定義されていない。
原因2:KGI・KPIが設定されていない、または形骸化している
MA運用の成否を評価するための具体的な指標(KGI・KPI)が設定されていない、あるいは設定はされているものの、日々の運用で意識されていない状態です。指標がなければ、施策の効果測定ができず、何を改善すべきかも判断できません。
【チェック項目】
[ ] MA運用における最終目標(KGI)や中間指標(KPI)が明確に定められていない。
[ ] 設定したKPIが「メール開封率」などに偏っており、「商談化数」や「受注貢献度」といった事業成果に結びついていない。
分類2:運用プロセスの不備
戦略が定まっていても、それを実行するためのプロセスが整備されていなければ、MAは期待通りに機能しません。
原因3:顧客解像度が低く、シナリオが独りよがりになっている
ターゲット顧客の理解や、購買に至るまでのプロセス(カスタマージャーニー)の解像度が低いまま、企業側の視点だけでシナリオやコンテンツを設計している状態です。顧客が抱える課題や情報収集のタイミングを無視したアプローチは、たとえ自動化されていても成果にはつながりません。
【チェック項目】
[ ] ペルソナやカスタマージャーニーが作成されておらず、担当者の経験則で施策が進められている。
[ ] 提供しているコンテンツが、顧客の検討段階(認知・興味関心・比較検討など)に合っていない。
原因4:リード(見込み顧客)の質と量が不足している
MAを動かすためには、アプローチ対象となるリードが一定数以上必要です。リードの総量が少ない場合、どれほど精緻なシナリオを組んでも、創出できる商談の数は限られてしまいます。また、リードの質(確度)が低すぎる場合、営業部門に引き渡しても商談獲得にはつながりません。
【チェック項目】
[ ] MAに登録されているリード数が少なく、常に枯渇している。
[ ] 新規リードを獲得するための施策(Web広告、SEO、展示会など)が計画的に実行されていない。
[ ] リードの定義が曖昧で、質の低いリードが大量に混入している。
原因5:効果検証と改善のサイクル(PDCA)が回っていない
施策を実行したものの、その結果を振り返り、改善につなげる仕組みがない状態です。MA運用は一度設定したら終わりではなく、継続的な改善が不可欠です。効果検証を怠ると、成果が出ない施策を延々と続けることになります。
【チェック項目】
[ ] 施策の結果を定期的に分析・報告する場が設けられていない。
[ ] 過去の失敗や成功の要因が分析されず、次の施策に活かされていない。
分類3:リソース・体制の不足
戦略とプロセスが整っていても、それを実行するためのリソースや、組織としての体制が不足していれば、運用は形骸化します。
原因6:MAを動かすためのコンテンツが絶対的に不足している
MAによるリード育成(ナーチャリング)には、顧客の検討段階に応じた多様なコンテンツ(ホワイトペーパー、導入事例、セミナー動画など)が必要です。しかし、コンテンツ制作のリソースが不足し、常に同じようなメルマガしか配信できていない企業は少なくありません。
【チェック項目】
[ ] MAで活用できるコンテンツの種類が少なく、施策の幅が広がらない。
[ ] コンテンツ制作の体制やスケジュールが整っておらず、場当たり的に作成している。
原因7:マーケティング部門と営業部門の連携が取れていない
MA運用における最も深刻な課題の一つが、マーケティング部門と営業部門の分断です。マーケティング部門がMAを駆使してリードを育成しても、その情報が営業部門に適切に共有されなかったり、営業部門が求めるリードの質と乖離があったりすると、最終的な成果にはつながりません。
【チェック項目】
[ ] 「ホットリード」の定義について、マーケティング部門と営業部門で認識が揃っていない。
[ ] 営業部門から「マーケティングが渡してくるリードは質が低い」という不満が出ている。
[ ] マーケティング部門から渡したリードが、その後どのようにフォローされているか把握できていない。
【Sellsupの視点】MA運用を成功させる重要ポイントは「セールス・マーケティング一体運用」
上記の7つの原因の中でも、特に「原因7:部門間の連携」は、MA運用の成否を分ける非常に重要なポイントです。
MAはマーケティング部門だけのものではない
MAツールは、その名称からマーケティング部門の専任ツールと思われがちです。しかし、MAの目的が「事業成長への貢献」である以上、最終的な成果を生み出す営業部門との連携は不可欠です。
マーケティング部門が独断でMA運用を進めてしまうと、以下のような問題が発生します。
営業現場が本当に必要としているリードの条件が反映されない。
マーケティング部門が「ホット」と判断したリードが、営業部門にとっては「コールド」である。
MAで得られた顧客情報が営業活動に活かされず、分断されてしまう。
こうした状況は、両部門の間に不信感を生み、結果として「MAは使えない」という評価につながってしまいます。
事業成長を実現する「運用の仕組み」を構築する
MA活用を成功させるためには、MAを「マーケティング部門と営業部門が共有する、事業成長のためのプラットフォーム」として再定義する必要があります。
そして、両部門が共通の目標(KGI/KPI)と共通の言語(リードの定義や評価基準)を持ち、一連のプロセスとして機能する「セールス・マーケティング一体運用」の仕組みを構築することが求められます。
具体的には、以下のような取り組みが必要です。
目標の共有:売上目標から逆算し、必要な商談数、リード数を両部門で合意する。
リード定義のすり合わせ:どのようなリードを育成し、どのタイミングで営業に引き渡すかを共同で定義する(スコアリング設計など)。
フィードバックループの構築:営業活動の結果(商談化・受注・失注理由)をマーケティング側にフィードバックし、施策の改善に活かす。
Sells upでは、この「セールス・マーケティングでの一体運用」が、MA活用の効果を最大化するための本質的な施策であると考えています。
MA運用を再設計する、具体的な立て直しプラン(4フェーズ)
現状の課題を特定できたら、次はいよいよMA運用の立て直しに着手します。しかし、理想的な運用を一気に目指す必要はありません。限られたリソースの中で着実に成果を出すためには、実行可能なフェーズに分け、段階的に改善を進めることが重要です。
ここでは、MA運用を再起動するための具体的なプランを4つのフェーズに分けて解説します。
フェーズ0:現状把握と課題の特定
立て直しの最初のステップは、現状を正しく把握し、根本的な課題を特定することです。思い込みや感覚ではなく、客観的な事実に基づいて判断しましょう。
Step.1 自社の状況を客観的に診断する
前述の「【チェックリスト】MAが機能しない7つの根本原因」を活用し、自社のMA運用がどの分類(戦略・プロセス・体制)で、どのようにつまずいているのかを詳細に分析します。関係者間で認識を共有し、優先的に解決すべき課題を絞り込みましょう。
Step.2 関係者(特に営業部門)へのヒアリングを実施する
マーケティング部門の視点だけでなく、営業部門やカスタマーサクセス部門など、顧客接点を持つ関係者へのヒアリングを実施します。
【ヒアリング項目例】
営業部門が求めるリードの質や量はどのようなものか?
現状のマーケティング施策に対してどのような不満や要望があるか?
商談化しやすい顧客にはどのような特徴があるか?
営業活動の中で、MAでサポートしてほしいことは何か?
こうした現場の生の声から、MA運用改善の具体的なヒントが得られます。
フェーズ1:基盤の再構築
現状把握ができたら、MA運用の土台となる「戦略・目的」を再構築します。
Step.3 事業目標から逆算したKGI・KPIを再定義する
MAの目的を「事業成長への貢献」と再定義し、事業目標(売上目標など)から逆算して、MAで達成すべきKGI・KPIを設定します。
KGI例:四半期の新規商談数を〇件創出する、MA経由の受注金額を〇円達成する。
KPI例:月間のMQL(Marketing Qualified Lead:マーケティングが認定した質の高いリード)数を〇件創出する。
Step.4 ターゲット顧客とカスタマージャーニーを具体化する
営業部門へのヒアリング内容も参考にしながら、ターゲットとなる顧客像(ペルソナ)と、購買に至るまでのプロセス(カスタマージャーニー)を具体的に描き直します。「誰に、どのような情報を提供すれば、次の検討段階に進むのか」を明確にすることで、施策の精度を高めます。
Step.5 社内(営業部門)での合意形成を得る(非常に重要)
このフェーズで非常に重要なのは、再定義した目的や指標について、上層部や営業部門との合意形成を図ることです。立て直しには関係部門の協力が不可欠だからです。
【合意形成のポイント】
現状の課題と、それを放置した場合のリスク(投資対効果の悪化など)を客観的なデータで示す。
立て直しによって期待できる事業上のメリット(商談数の増加見込みなど)を具体的に提示する。
営業部門の意見を反映した計画であることを強調し、協力を依頼する。
フェーズ2:運用の正常化(スモールスタート)
基盤が固まったら、次は運用を正常化させ、小さな成功体験を積むフェーズです。最初から完璧を目指さず、スモールスタートで始めましょう。
Step.6 最も成果に近いセグメントに絞ってシナリオを設計する
全ての顧客セグメントを対象にするのではなく、最も事業インパクトが大きい、あるいは成果が出しやすいセグメントに絞って、シンプルなシナリオを設計します。
例:特定の製品に関心が高いリードへの集中アプローチ、過去に失注したリードの掘り起こしなど。
Step.7 既存コンテンツの棚卸しと再活用から着手する
新規コンテンツの制作には時間とコストがかかります。まずは、社内に眠っている既存のコンテンツ(営業資料、過去のホワイトペーパー、導入事例、FAQなど)を棚卸しし、MA施策に再活用できないか検討します。最小限のリソースで施策を開始することを優先しましょう。
Step.8 シンプルなPDCAサイクルを確立する
施策を実行したら、必ず効果検証を行い、改善につなげます。最初は複雑な分析は必要ありません。設定したKPIに対して実績はどうだったか、なぜ成功(失敗)したのかを定期的に振り返る仕組みを作ります。この小さな成功体験の積み重ねが、チームの自信と運用の好循環を生み出します。
フェーズ3:高度化と連携強化
運用が軌道に乗り始めたら、いよいよMA活用の高度化と、営業部門との連携強化に取り組みます。
Step.9 リード評価基準(スコアリング)を営業と共同で策定する
営業部門が「本当に商談したい」と思えるリードを効率的に抽出するために、スコアリング(リードの評価基準)を設計します。
スコアリングは形骸化しやすい施策ですが、以下の点に注意して進めることで成功率が高まります。
【失敗しないスコアリング設計の進め方】
マーケティング単独で決めない:必ず営業部門と共同でワークショップなどを開催し、合意を得ながら設計する。
シンプルに始める:「資料ダウンロード」「料金ページ閲覧」など、分かりやすい行動履歴を中心に、まずは少数の基準からスタートする。
定期的に見直す:運用開始後、実際の商談化状況と照らし合わせながら、基準の妥当性を検証し、定期的に調整する。
Step.10 定期的な情報共有会を設け、フィードバックの仕組みを構築する
マーケティングと営業が一体となって運用を進めるために、月次や週次で定期的な情報共有会(定例ミーティング)を設けます。
マーケティング側からの報告:施策の成果、創出したリードの状況など。
営業側からのフィードバック:引き渡されたリードのその後の状況(商談化・受注・失注理由)、現場で感じる顧客の動向など。
このフィードバックループが、MA運用の精度を継続的に高めるポイントとなります。
Step.11 SFA/CRMとのデータ連携を強化し、顧客情報を一元化する
MAツールだけでなく、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)とのデータ連携を進めます。MAで得られたリード情報をSFA/CRMに連携し、さらに営業活動の履歴や受注情報をMA側にフィードバックすることで、顧客情報が一元化されます。これにより、「どの施策が最終的な売上につながったのか」というROIの可視化が可能になり、より高度な分析と意思決定が実現します。
まとめ:MAを「使いこなす」とは、部門を超えて事業成長の仕組みを作ること
MAツールを導入したものの使いこなせないという課題は、多くの企業が直面している悩みです。その原因は、ツールの機能的な問題よりも、「戦略・目的の欠如」「運用プロセスの不備」「リソース・体制(特に営業連携)の不足」といった構造的な問題にあります。
現状を打破し、MAを「使いこなす」ためには、以下の視点が不可欠です。
MAを単なるツールではなく、「事業成長のための仕組み」として位置づけること。
「セールス・マーケティング一体運用」の視点を持ち、部門間の壁を取り払うこと。
理想を一気に目指すのではなく、現実的で段階的な改善プランを実行すること。
まずは現状を客観的に診断し、できるところから一つずつ改善を積み重ねていきましょう。本記事で紹介した立て直しプランを参考に、貴社のMA運用を再構築し、事業成長につなげてください。
MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。
MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。
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