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ステップメール作り方完全ガイド|BtoBで商談を生む設計手順と営業連携の仕組み

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目次

ステップメールとは、見込み客の特定の行動を起点に、複数のメールを段階的に自動配信する仕組みです。

「ステップメールに取り組んでいるものの、商談が増えない」という状況に陥っているBtoBマーケティング担当者は少なくありません。

多くの場合、取り組みの内容よりも「出口設計(営業連携)」が抜けていることが原因です。シナリオを動かしても、ホットリードの基準が決まっていなければ営業に渡せません。

本記事では、BtoBマーケティング担当者がゼロから取り組むための作成6ステップ、目的別シナリオテンプレート、「商談につながる出口設計」まで紹介します。

この記事でわかること

  • ステップメールを作っても商談が増えない理由
  • BtoB特有の6ステップ設計手順(ゴール設定〜PDCA)
  • 資料DL後・展示会後・ウェビナー後・休眠掘り起こし別のシナリオテンプレート
  • 出口設計(SLA・スコアリング・トスアップ自動化)の全手順
  • よくある失敗パターンと対処法

「ステップメールを作ったのに商談が増えない」はなぜ起きるか

「3通送り終えたのに、営業からは何もフィードバックがない」
「開封率は悪くないのに商談に繋がらない」

こういった状況は、シナリオを配信完了させることを目標にしてしまっているときに起きやすいです。

ステップメールの本来のゴールは配信完了ではなく商談創出です。この前提がズレたまま設計に入ると、どれほど丁寧にシナリオを組んでも成果には直結しません。

ステップメールはリードナーチャリングの中核手法の1つです。全体像を先に理解しておくと、施策の位置づけが明確になります。リードナーチャリングの全体像と5つの手法もあわせてご参照ください。

BtoBで「送って終わり」になりやすい理由とは?

BtoC向けのシナリオをそのままBtoBに転用してしまっていることが、原因のひとつとして挙がりやすいです。

BtoCでは「認知→関心→購入」という短い検討期間を前提にシナリオを設計しますが、BtoBでは意思決定に複数の関係者が関わり、検討期間が数か月から1年以上に及ぶことも珍しくありません。

弊社が支援した株式会社ブリューアス様でも、この問題が起きており、BtoCのマーケティング手法をそのままBtoBに転用していたことが、シナリオが動いているのに商談化率が上がらない一因になっていました。

BtoBで意識しておきたい3点は以下のとおりです。

  • 検討期間が長く、1通目と2通目の間に検討フェーズが変わっていることがある
  • 担当者だけでなく決裁者・IT部門など複数の関与者にアプローチが必要
  • 購買プロセスが非線形で、「興味→比較→決定」という順序通りに進まない

ステップメールとは?メルマガとの違い

ステップメールは、資料ダウンロードやセミナー参加といった見込み客の行動を起点に、あらかじめ設計した複数のメールを段階的に自動配信する仕組みです。

起点(トリガー)が個人の行動であること、配信順序と内容が事前設計されていること、自動化によって継続接触できること。この3点がメルマガとの根本的な違いです。

BtoBの購買プロセスが長期化している現在、営業担当者が全リードを個別に追い続けることは難しく、ステップメールによる自動育成の仕組みが必要になります。

メルマガとの違いは「起点」と「目的」にある

項目メルマガステップメール
配信起点企業側のタイミング受信者の行動
配信対象全リストに一斉特定の行動をとった個人
主な目的情報提供・認知維持購買意欲の醸成・商談創出
コンテンツ最新情報・お知らせ段階的な課題解決情報
自動化手動またはスケジュール配信行動起点の完全自動配信

メルマガは「企業から届く情報誌」、ステップメールは「顧客の行動に反応する個別のコミュニケーション設計」と捉えると整理しやすいです。商談創出を目的とするなら、ステップメールのシナリオ設計に優先してリソースを使うことをおすすめします。

BtoBでステップメールが重要視される3つの状況

Webでの情報収集が主流になったこと、検討期間が長期化していること、営業リソースの最適化が課題になっていること。この3つが重なってステップメールへの関心が高まっています。

BtoBの買い手の多くが、営業担当者に初めて接触する前に独自の情報収集をある程度終えているとされています。購買プロセスの初期段階から接点を持ち、段階的に関係を深める仕組みがなければ、営業が関与できる段階にはすでに検討がかなり進んでいます。ステップメールはこのギャップを埋める手段として機能します。

ステップメールを作る前に整えるべき3つの前提

メール本文の作成に入る前に整備しておくべき基盤が3つあります。

  1. ホットリード基準の合意
  2. ペルソナとカスタマージャーニーの可視化
  3. コンテンツ資産の棚卸し

です。

この前提を飛ばしてシナリオ設計から始めることが、「作ったのに商談が増えない」という状況を引き起こしやすいです。

前提1:「誰がホットリードか」を営業と合意する

「スコア60点以上をトスアップしたのに、営業が動いてくれない」という話はよくあります。掘り下げると、ホットリードの定義をマーケティング部門だけで決めていたケースがほとんどです。

営業側は「デジタル行動スコアで温度感は測れない」と感じていることも多く、「渡されても会話にならない人ばかりで……」という反応が返ってくることがあります。渡したリードが放置されるのは、スコアの閾値の問題より「定義の合意ができていない」ことに起因しやすいです。

MQL(Marketing Qualified Lead:マーケティング部門が認定した見込み客)の基準を定義しないまま設計したシナリオには「出口」がありません。どれだけ丁寧なメールを送り続けても、「何をもって営業に渡すか」が決まっていなければ、シナリオはただのメール配信で終わります。

MQLとSQLの定義設計は出口設計と直結します。MQLとSQLの定義と営業連携の設計方法で詳しく解説しています。

営業部門と事前に合意しておく項目は次の3つです。

  • 属性スコアの基準:業種・役職・企業規模などの属性が自社ターゲットに合致しているか
  • 行動スコアの基準:料金ページ閲覧・事例閲覧・セミナー参加など、何をしたら高スコアか
  • 閾値(しきいち)の設定:何点になったら営業に通知するか

前提2:ペルソナとカスタマージャーニーを可視化する

「誰の」「どのフェーズの課題」に対してメールを送るかを言語化・図解する工程です。これを省くと、シナリオが「誰にも刺さらない一斉配信」になります。検討フェーズによって受け取り手の課題意識が大きく違うからです。MAツールを初めて知った段階の担当者と、導入の稟議を通す直前の担当者では、求めている情報が異なります。

カスタマージャーニーは最低限、次の4フェーズで設計することをおすすめします。

  • 認知フェーズ:課題は感じているが解決策を知らない
  • 関心フェーズ:解決策を調べ始めている
  • 比較検討フェーズ:複数の選択肢を評価している
  • 意思決定フェーズ:稟議・予算承認の段階にある

前提3:配信するコンテンツ資産を棚卸しする

シナリオを3通まで設計したところで「送るものがない」という問題に直面するケースがあります。設計段階で手持ちのコンテンツを確認せずに理想のシナリオを描いてしまうことが一因です。

まず保有するホワイトペーパー・事例・動画・ブログ記事を一覧化し、カスタマージャーニーの各フェーズに対応するコンテンツがあるかを確認します。棚卸しの形式は次のとおりです。

  • コンテンツ名
  • 形式(ホワイトペーパー・事例・ブログ・動画)
  • 対応する検討フェーズ(認知・関心・比較・意思決定)
  • ステップメールへの組み込み可否

コンテンツが足りないフェーズが見えたら、その部分を新規作成してからシナリオ設計に進むことが、途中で止まらないためのポイントです。

ステップメールの作り方 6つのステップ

ゴール設定からMAツールへの実装・改善まで、商談創出を目的とした6つの工程を順に解説します。

  1. KGI/KPIから逆算した設計
  2. トリガー設定
  3. フェーズ別コンテンツ設計
  4. 配信間隔とCTA
  5. スコアリング連動
  6. PDCA

という流れです。

Step.1:ゴール(KGI/KPI)と配信対象を決める

「何のために、誰に送るか」を最初に固めます。開封率ではなく商談数から逆算してKPIを設定することが出発点です。

  • KGI(最終目標):月間商談創出数・受注数など
  • KPI(プロセス指標):メール経由のMQL数・商談化率・開封率・クリック率
  • 配信対象の定義:どのトリガーで入った誰に、何通送るか

例えば「月間5商談を本シナリオ経由で創出する」というKGIを設定した場合、商談化率が20%であれば25件のMQLが必要になります。そこから逆算して、どれだけのリードにシナリオを回す必要があるかが見えてきます。

Step.2:起点(トリガー)を設定する

シナリオが起動する条件、つまり「見込み客のどの行動を起点にするか」を決めます。トリガーの選択によって見込み客の温度感と最適な訴求軸が変わります。

トリガー温度感最初のメールの訴求軸
資料・WPダウンロード中〜高ダウンロード資料の活用方法
ウェビナー参加講演内容の補足と次のステップ
展示会・名刺交換低〜中課題共感からの自社サービス紹介
料金ページ閲覧導入事例・費用対効果の提示
休眠リードへの再アプローチ近況確認・新情報の提供

Step.3:顧客フェーズごとに届けるメッセージを設計する

見込み客の検討フェーズに応じて、提供するコンテンツの種類と訴求軸を変える工程です。フェーズが違えば読み手が必要とする情報が根本的に異なります。認知フェーズの担当者に導入事例を送っても「自分ごとではない」と感じられ、意思決定フェーズの担当者に基礎解説を送っても「知っている」と判断されます。

フェーズ提供すべきコンテンツの種類
認知課題定義の記事・市場データ・業界トレンド
関心解決策の概要・ホワイトペーパー・比較記事
比較検討導入事例・ROI計算シート・FAQ
意思決定無料相談案内・稟議サポート資料・成功事例

Step.4:通数・配信間隔・CTA(行動喚起)を決める

売り込み感を出さずに段階的に関係を深めながら、次の行動を明確に促す設計が求められます。通数・間隔については以下を一つの参考例として活用してください。リードの温度感や保有コンテンツ数に応じて調整します。

  • 総通数:3〜7通程度。コンテンツが十分あれば増やせますが、まず3〜4通から始めるケースが多いです
  • 配信間隔:1通目は即時〜24時間以内、2通目以降は3〜7日程度が一つの目安です
  • 1日の配信数:1通に留めます

CTAは「今すぐ購入」ではなく、次の検討フェーズへの橋渡しになる行動を促します。「事例集をダウンロードする」「無料相談を予約する」「ウェビナーに申し込む」という形で、ハードルを段階的に上げていく設計をおすすめします。

Step.5:MAツールに実装し、スコアリングと連動させる

設計したシナリオをMA(マーケティングオートメーション)ツールに実装し、メールの反応データをスコアリングと接続する工程です。ここまで整えることで、シナリオを通過した見込み客の中から「今すぐ営業が動くべき相手」を自動的に検出できるようになります。

スコアリング設計の詳細はスコアリングモデルの設計と評価軸の全体像で解説しています。

以下はスコア加算の設計例です(あくまで参考値です。自社のリードデータや営業との合意をもとに調整してください)。

  • メールを開封した:+3点
  • リンクをクリックした:+5点
  • 事例ページを閲覧した:+10点
  • 料金ページを閲覧した:+15点
  • ウェビナーに申し込んだ:+20点

これらのスコアが設定した閾値を超えたタイミングで営業に自動通知し、SFA(営業支援システム)にリードが自動登録される仕組みを構築します。

Step.6:PDCAサイクルで改善し続ける

配信データを分析し、継続的にシナリオを改善していくプロセスです。改善の優先順位は①商談化率、②MQL転換率、③メール開封率・クリック率の順です。開封率を先に改善しようとしがちですが、開封率が高くても商談が生まれなければ、シナリオまたは出口設計に見直しが必要なサインです。

  • 開封率が低い場合:件名の見直し・配信時間帯の変更
  • クリック率が低い場合:コンテンツの関連性・CTAのテキストと配置の見直し
  • 商談化率が低い場合:ホットリード基準・スコアリング閾値の見直し・営業連携の改善

目的別・すぐ使えるシナリオテンプレート

BtoBの代表的な4つのトリガー別に設計された標準シナリオ構成を紹介します。

  1. ダウンロード後フォロー
  2. 展示会後フォロー
  3. ウェビナー後フォロー
  4. 休眠掘り起こし

の4パターンです。

各シナリオで配信するメールの文例については、ナーチャリングメールの種類と文例の設計手順も併せてご参照ください。

資料・ホワイトペーパーダウンロード後のフォロー(4通構成)

BtoBで活用されることの多いシナリオです。ダウンロード直後の関心が高い状態を活かし、4通で商談設定を目指します。

  • 1通目(即時〜24時間以内):ダウンロードへのお礼+資料の活用方法の案内。件名に資料名を含めると開封されやすくなります
  • 2通目(3〜4日後):資料に関連する導入事例の案内。「〇〇業種の企業様がこの課題をどう解決したか」という切り口で関心を高めます
  • 3通目(7〜8日後):課題解決のための補足情報(比較表・チェックリストなど)。具体性を持たせることでクリック率が上がりやすいです
  • 4通目(12〜14日後):無料相談・デモのご案内。「30分のオンライン相談をご用意しています」という低ハードルのCTAを設置します

1通目から自社サービスの宣伝を行うと配信停止率が上がりやすいです。まず「役立つ情報を届ける送り手」として信頼を積んでから、サービスの話に移行することが大切です。

展示会・名刺交換後のフォロー(5通構成)

名刺交換の「塩漬け」を防ぐために、温度感の低いリードを段階的に育てる5通構成です。

展示会後リードは「温度感がバラバラ」なことが特徴です。ブースで5分話した相手と、具体的な課題を相談してきた相手では、同じシナリオは機能しません。理想的には展示会当日の接触内容に基づいてセグメントを分けるのが望ましいですが、まずは以下の5通構成から始めることをおすすめします。

  • 1通目(24時間以内):ご来場のお礼+自社サービスの概要資料の送付
  • 2通目(3〜4日後):展示会で話題になった課題に関連する情報の提供
  • 3通目(7〜8日後):同業他社の活用事例の案内
  • 4通目(14日後):よくあるご質問と回答のコンテンツ案内
  • 5通目(21日後):無料相談またはウェビナーへの招待

展示会後のリード管理全体については展示会後のリードを商談につなげる15のポイントで詳しく解説しています。

ウェビナー参加後のフォロー(4通構成)

参加直後の熱量が高いタイミングを逃さず、アンケート回答を起点にした分岐設計を組み込んだ4通構成です。

ウェビナー参加者は「課題意識が明確」な傾向があり、資料DL後よりも温度感が高いケースが多いです。参加直後の24時間以内にアプローチできるかどうかが成否を左右します。

  • 1通目(即時〜当日):参加のお礼+アーカイブ動画または資料のプレゼント。アンケートで課題を確認した場合は「〇〇にお困りとのことで、こちらの事例が参考になるかもしれません」と個別感を出します
  • 2通目(2〜3日後):ウェビナーで取り上げた内容の深掘りコンテンツ案内
  • 3通目(6〜7日後):アンケートの課題に対応した事例・比較情報の提供
  • 4通目(10〜12日後):個別相談・デモのご案内

休眠顧客・失注後の掘り起こしシナリオ(3通構成)

過去に接触があったが長期間反応がなかったリードを再活性化させる3通構成です。

弊社が支援した株式会社ブリューアス様では、MA(Account Engagement)の運用改善を行い、ステップメールからの継続的な受注を実現しました。さらに、一度失注した休眠顧客への掘り起こしメール配信で大型案件を受注した実績があります。

休眠リードへのアプローチで失敗しやすいのが、1通目から売り込みを始めてしまうことです。「また営業メールが来た」と感じさせないコンテンツ設計が大切です。

  • 1通目(無期限トリガー):近況確認。売り込みを一切せず「最近こんな情報があります」という形で役立つ情報を1つだけ届けます
  • 2通目(3〜5日後):市場の変化・新機能・新事例の案内。「以前ご検討いただいていた頃から状況が変わりました」という切り口で再興味を喚起します
  • 3通目(7〜10日後):個別相談の案内。「もし改めてご検討のタイミングがあれば、ぜひ一度お話しさせてください」という控えめなCTAが効果的です

ステップメールを商談につなげる「出口設計」の仕組み

出口設計は、ステップメールを通過した見込み客をホットリードとして営業に引き渡すための仕組みです。①ホットリード基準の言語化、②SLAの締結、③MAとSFAの自動連携が揃うことで、シナリオが商談創出の仕組みとして機能します。

なぜシナリオが機能しても商談が生まれないのか?

「マーケが高スコアのリードをトスアップしたのに、営業が動いてくれない」という状況はよく起きます。原因のひとつは、スコアが閾値を超えたリードに対して「誰が・いつ・どのように・何の情報を持ってアプローチするか」が決まっていないことです。ホットリードが生まれても営業が動けず、「質の低いリードばかり渡される」「渡してもフォローしてもらえない」という対立に発展しがちです。

SLA(サービスレベル合意)でトスアップ基準を言語化する

SLAとは、マーケティング部門と営業部門が「どのリードをどのタイミングで渡し、営業はいつまでに対応するか」を文書で合意したものです。SLAがなければ、どれだけシナリオを磨いても引き渡し後の対応が人によってバラバラになります。

SLAの設計方法についてはトスアップのSLA設計と引き渡し基準の全手順で解説しています。

SLAに盛り込む項目の目安は以下の6点です。

  • MQLの定義(どのスコアに達した、どの属性のリードを渡すか)
  • 引き渡しのタイミング(スコアが閾値を超えたら即時通知など)
  • 営業の対応期限(通知から一定時間以内に初回接触するなど、自社の状況に合わせて設定)
  • 引き継ぎ情報の範囲(どのページを何回見たか・どのメールを開封したかなど)
  • 否認時のフィードバック方法(MQLを否認した場合に理由を記録するルール)
  • 定期レビューの頻度(スコアリング精度を確認する会議体を設定する)

MAのスコアリングと連動した自動トスアップの設計

見込み客のスコアが閾値を超えたタイミングで、MAツールが自動的に営業担当者に通知し、SFA(営業支援システム)にリードを登録する仕組みです。この仕組みがあると、「ホットになった瞬間の相手」にタイムリーにアプローチできます。逆にこの仕組みがないと、熱量が冷めてから渡されることになりやすいです。

実装フローの一例は以下のとおりです。

  1. MAツールでスコアが設定した閾値を超えたリードを検知
  2. 担当営業のメールアドレスに自動通知が届く(メール本文にリードの行動履歴が含まれる)
  3. SFAにリードが自動登録され、「アプローチ待ち」のタスクが生成される
  4. SLAで定めた期限内に営業が初回接触

ステップメールでよくある失敗パターンと対処法

競合記事の多くは「開封率が低い」「配信停止率が上がる」という現象面の記述に留まっています。しかし実際の失敗は、部門間の連携がとりにくい状況・戦略の欠如・ペルソナの未設定といった設計段階の問題から来ることが多いです。

MAツール活用全般の失敗パターンと回避策についてはMAツール導入後の失敗7パターンと回避策も参考にしてください。

失敗1:通数を増やしすぎてコンテンツが枯渇する

「前提3:コンテンツ資産の棚卸し」を省いてシナリオを設計すると、3通目あたりで「送るものがない」という状態になりやすいです。

まず手持ちのコンテンツを棚卸しし、不足しているフェーズを特定してから通数を決めます。理想は7通でも、コンテンツが3通分しかないなら3通で始めることが現実的な選択です。「作りながら増やす」というスモールスタートをおすすめします。

失敗2:売り込み感が強く、配信停止率が上がる

ペルソナ設計が不十分で、「読み手が今何を必要としているか」を無視した内容になっていることが一因です。全通に「個別相談はこちら」のCTAを入れてしまうことでも起きやすいです。

各通において「この情報は読み手にとって役立つか?」を問い直します。7通のシナリオであれば、少なくとも最初の4〜5通は純粋に有益な情報提供に徹し、サービスの案内は後半に留めることが大切です。

失敗3:BtoC発想のシナリオをBtoBにそのまま転用する

BtoCで成功した手法をBtoBにそのまま持ち込むことで起きる失敗です。

「担当者には刺さっているはずなのに、商談にならない」という声が出ていて、整理してみると稟議を通す決裁者層向けのコンテンツが一切なかったことが原因だった、というケースはよくあります。

BtoCでは「個人の感情的な購買意欲」に訴えるコピーが有効ですが、BtoBでは「課題解決の具体性」「ROIの根拠」という論理的な訴求が求められます。

BtoB向けシナリオで意識しておきたい3点です。

  • 意思決定者が複数いることを前提に、役割別の訴求軸を用意する
  • 「お得感」や「限定オファー」よりも「課題解決の具体性」を優先する
  • 1通のメールで1つのCTAに絞り、読み手を迷わせない

失敗4:設定したままシナリオを放置して陳腐化する

「一度設定すれば自動で動く」という安心感から、半年〜1年間まったく見直されず、事例や数値が古くなっているケースがあります。誰がいつ見直すかが決まっていないことが原因です。

定期的に次の3点を確認する体制を作ります(頻度は自社の運用リソースに合わせて設定してください)。

  • コンテンツの鮮度(リンク先の情報が古くなっていないか)
  • スコアリングの精度(実際に商談化したリードのスコア分布を確認する)
  • 配信停止率の推移(上昇しているシナリオを特定し、内容を改善する)

事例から学ぶ:ステップメールが商談を生む仕組みになるまで

改めて、弊社が支援した株式会社ブリューアス様の事例を紹介します。ステップメールの設計と出口設計が揃ったとき、何が変わったかを示しています。

支援開始時の課題は次のとおりでした。

  • BtoC(プログラミングスクール)のマーケ手法をそのままBtoBに転用していた
  • BtoBマーケティングの経験者が社内におらず、ゼロからの立ち上げだった
  • Account Engagement(旧Pardot)のアカウント移行時に重要なアクティビティデータの消去リスクがあった

Account Engagementのアカウント移行時にアクティビティデータの消去リスクを回避し、ステップメールが継続配信できる状態を守りました。この対応がなければ、蓄積されたリードの行動履歴とスコアリングデータが失われ、シナリオが初期化されていました。

MA運用の改善によりステップメールからの継続的な受注を実現し、一度失注した休眠顧客への掘り起こしメール配信では大型案件を受注しました。また、広告運用の改善により、取り組み前と比べてCPAを大幅に削減しています(弊社の特定事例における実績であり、すべての企業で同様の成果を保証するものではありません)。

この事例から得られる示唆は3点です。

  • シナリオの「内容」だけでなく「データ基盤の保全」がステップメールの継続性を左右する
  • 休眠リードへのアプローチは、BtoB特有の長期検討サイクルを活かした施策になり得る
  • BtoCのノウハウをBtoBにそのまま転用しないことが、成果改善の出発点になる

まとめ:ステップメールの作り方は「出口設計」から逆算する

  • ステップメールとは、見込み客の行動を起点に複数のメールを段階的に自動配信する仕組みです。ゴールはメール配信の完了ではなく商談創出にあります
  • 作成前の前提整備は、①ホットリード基準の営業との合意、②ペルソナとカスタマージャーニーの可視化、③コンテンツ資産の棚卸しの3点が必須です
  • 6つの作成ステップは、KGI/KPI設定→トリガー設定→フェーズ別メッセージ設計→配信間隔・CTA設計→MAツール実装・スコアリング連動→PDCAの順で進めます
  • 出口設計(SLA・スコアリング・自動トスアップ)が揃わないと、シナリオが動いても商談につながりにくいです
  • BtoB固有の注意点は、BtoC発想のシナリオを転用しないこと、検討期間の長さを前提にコンテンツを設計すること、複数の意思決定者への訴求軸を用意することです

FAQ:ステップメールの作り方に関するよくある質問

Q1. ステップメールの作成手順を教えてください。

①ゴール(KGI/KPI)と配信対象を決める→②起点(トリガー)を設定する→③顧客フェーズごとのメッセージを設計する→④通数・配信間隔・CTAを決める→⑤MAツールに実装してスコアリングと連動させる→⑥PDCAで改善し続ける、という6ステップが基本です。設計に入る前に「営業とホットリードの定義を合意すること」と「コンテンツ資産の棚卸し」を済ませておくと、途中で止まりにくくなります。弊社の支援では、まず3〜4通からスタートするケースが多いです。

Q2. ステップメールの料金はどのくらいかかりますか?

ステップメール単体に料金が発生するわけではなく、配信に使うMAツールやメール配信ツールの費用が主なコストです。メール配信ツールは月額数千円〜数万円程度のものが多く、MAツールはHubSpotやAccount Engagement(旧Pardot)など製品によって大きく異なります。スコアリングや行動トリガー機能が必要な場合はMAツールの導入が前提になるため、自社のリード数・必要機能と費用感を照らし合わせて選定することをおすすめします。

Q3. ステップメールとは何ですか?

資料ダウンロードや展示会名刺交換といった特定の行動を起点に、あらかじめ設計した複数のメールを時系列で自動配信する仕組みです。メルマガが「企業側のタイミングで全リストに一斉配信する情報誌」であるのに対し、ステップメールは「受信者の行動に反応して個別に届く設計」という点が大きく異なります。BtoBでは購買プロセスが長期化しているため、段階的な育成の仕組みとして活用されることが多いです。

Q4. ステップメールは自動化できますか?

MAツールやメール配信ツールを使えば、トリガー(起点となる行動)が発生したタイミングから自動的に配信が始まります。HubSpot・Account Engagement・Marketoなどのツールでは、スコアリングとの連動や営業への自動通知まで含めて設定できます。完全に自動化できる一方、シナリオの陳腐化を防ぐための定期的な見直しは必要です。設定して終わりではなく、PDCAを回すことが成果に直結します。

Q5. ステップメールで商談化率を高めるためのポイントは何ですか?

商談化率を高める上で見落とされやすいのが「出口設計」です。どれほど丁寧なシナリオを設計しても、「何点になったら誰がいつ動くか」が決まっていないと商談にはつながりにくいです。シナリオ設計と並行して、スコアリングの閾値と営業の対応期限をSLA(サービスレベル合意)として営業部門と文書で合意することが、商談化率改善の出発点になります。

MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。

MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。80社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。

株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。