ナレッジ 2026.04.14 最終更新 2026.09.13

BtoBマーケティングのターゲティングとは?ICP設計と営業連携の手順

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

BtoBマーケティングにおけるターゲティングとは、自社の商品・サービスを届けるべき顧客層を、市場の中から絞り込むプロセスを指します。

弊社が支援してきた企業でも、ターゲットの定義があいまいなままMA(マーケティングオートメーション)ツールを導入し、スコアリングが機能しないまま施策だけが増えていくケースを何度も見てきました。

本記事では、ターゲティングの定義、STP分析との関係、6Rの判断基準、ICP(理想顧客プロファイル)を起点にした実践手順、さらには営業との連携まで、順を追って整理していきます。

ターゲティングとは?1分でわかるBtoBマーケティングにおける定義

ターゲティングとは、セグメンテーションによって細分化した市場の中から、自社が注力する顧客層を選び出すことです。押さえておきたいポイントは次の3つです。

  1. セグメンテーション(市場の細分化)→ターゲティング(注力市場の選択)→ポジショニング(自社の立ち位置の決定)の順で進める
  2. ターゲティングは「誰に届けるか」を決める工程であり、具体的な施策の検討よりも先に行う
  3. ターゲットの定義が曖昧なままだと、その後のスコアリング設計・シナリオ設計・チャネル選定の精度が総じて落ちやすい

この3つの工程をまとめたフレームワークが、マーケティング戦略の基本であるSTP分析です。ターゲティングはその真ん中に位置し、前段のセグメンテーションと後段のポジショニングをつなぐ役割を担っています。

ターゲティングは、BtoBマーケティング全体のプロセス設計のスタート地点でもあります。全体像については、BtoBマーケティングプロセスの全体設計で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。

セグメンテーションとターゲティングの違い

セグメンテーションとターゲティングは混同されがちですが、担っている役割は異なります。

項目 セグメンテーション ターゲティング
目的 市場を複数のグループに分ける 注力するグループを1つ(または複数)選ぶ
問いの形 「市場はどう分けられるか?」 「どの市場に集中するか?」
アウトプット 市場分類の一覧 注力セグメントの選定と優先順位

セグメンテーションの切り口や進め方については、BtoBセグメンテーションの実践方法で詳しく取り上げています。

ペルソナとターゲットの違い

ターゲットとペルソナは、似ているようで指している対象が異なります。ターゲットは「注力すべき企業のグループ」を指し、ペルソナはその企業群の中にいる「具体的な担当者像」を指します。

BtoBマーケティングでは、この二重構造を切り分けて考えることが有効です。設計のステップとしては、次の2段階で捉えると整理しやすくなります。

  1. 企業ペルソナ:業種・企業規模・売上高・導入ツール・抱えている課題などで構成する企業像
  2. 個人ペルソナ:担当者の役職・部署・決裁権・情報収集手段・業務上の課題で構成する人物像

この2層を切り分けずに設計してしまうと、「企業としては合っているのに、肝心の担当者に届かない」といったズレが生じやすくなります。

BtoBマーケティングでターゲティングが重視される理由

BtoBマーケティングでターゲティングが重要視されるのは、顧客の母数が少ないこと、意思決定に関わる人が複数いること、検討期間が長くなりやすいこと、という3つの特性があるからです。

先にポイントを整理しておきます。

  1. BtoBマーケティングの対象は個人ではなく企業であり、そもそも母数が限られているため、ターゲットを具体化しやすい
  2. 意思決定に複数の関与者が存在するため、「誰に・何を届けるか」の前提がないと施策が散りやすい
  3. 特に高額商材や基幹システムなどでは検討期間が数ヶ月以上に及ぶことも多く、継続的なナーチャリングを設計するうえでターゲット定義が欠かせない

ターゲットが曖昧なままMAツールを動かしても成果が出にくい理由

ターゲットを定義しないままMAツールを動かすと、スコアリングに設定すべき属性の基準が決まりません。その結果、スコアリングそのものがうまく機能しづらくなります。

弊社の支援でも、このような状況はたびたび目にします。

たとえば弊社がご支援した株式会社ブリューアス様では、BtoC向けのマーケティング手法を、そのままBtoB向けに転用してしまっていたことが課題でした。BtoCの発想では候補に上がりにくいMicrosoft広告を活用し、法人向けPCユーザーへ訴求するなど、ターゲット設計の見直しを起点にチャネル戦略を組み替えた結果、広告運用のCPAを取り組み前と比べて約3分の1まで抑えることができました。

ターゲットの定義は、MAツールの設定や広告施策よりも前に行うべき設計です。この順番が逆になると、施策を積み重ねるほど効果が分散してしまう傾向があります。

BtoBターゲット設定の判断基準「6R」とは

6Rとは、選び出した市場セグメントが、本当に注力する価値があるかどうかを判断するための6つの視点をまとめたフレームワークです。

6Rの要素は次の6つです。

  1. Realistic Scale(有効な市場規模):十分な規模の顧客が実在するか
  2. Rate of Growth(成長性):市場が今後拡大していきそうか
  3. Rank(顧客の優先順位):顧客にとって自社の商品・サービスの優先度がどれくらい高いか
  4. Reach(到達可能性):実際にアプローチできるチャネルが存在するか
  5. Rival(競合の状況):競合が少ないか、自社が優位に立てる余地があるか
  6. Response(効果測定可能性):施策の効果を測定し、PDCAを回せるか

BtoBで特に重視したい6Rの項目

6Rはすべて大事ですが、どれを優先するかはフェーズによって変わります。

立ち上げ期や予算に限りがある段階では、まずRealistic Scale(市場規模が十分あるか)とRival(競合が少ないか・勝ち筋があるか)から見ていくと判断しやすくなります。

市場規模が小さすぎると母数不足でそもそも施策が成り立たず、競合優位性がなければ参入後の消耗戦になりやすいためです。

たとえばSaaSで考えると、SMB(中小企業)向けとエンタープライズ向けでは、Rival(競合状況)とReach(到達可能性)の見え方がまったく変わります。

SMB向けはプレイヤーが多い一方でオンライン広告でのリーチは取りやすく、エンタープライズ向けは競合が絞られる代わりに、到達チャネルが限られる傾向があります。

こうした違いを6Rで整理しておくと、チャネル選定の根拠を社内で共有しやすくなります。

Rate of Growth(成長性)は、中長期の投資判断に効いてくる指標ですが、まずは「今、戦える市場かどうか」をRealistic ScaleとRivalで押さえたうえで検討する方が、実際に進めるうえでは着手しやすくなります。

Response(効果測定可能性)については、MAツールやSFA(営業支援システム)を導入している企業であれば、最初から測定設計まで含めて考えておくことをおすすめします。

計測できない施策は、長期的に見ると機能しなくなりがちです。

BtoBターゲティングの実施手順

BtoBマーケティングにおけるターゲティングは、受注データの分析から始まり、MAツールへの反映まで、5つのステップで整理すると進めやすくなります。ステップごとに順番に取り組むことで、「なんとなくのターゲット」ではなく、データと社内の合意に基づいた設計に落とし込めます。

Step.1:既存受注データから「ICP(理想顧客プロファイル)」を定義する

ICP(理想顧客プロファイル)とは、自社の商品・サービスが価値を提供しやすく、長期的な取引にもつながりやすい顧客像を、属性データで定義したものです。

重要なのは、感覚ではなく受注実績から逆算していくことです。たとえば次のような手順で進めます。

  1. 過去の受注企業を「受注金額・継続期間・利益率」の観点でA〜Cランクに分類する
  2. Aランク企業に共通する属性(業種・従業員規模・役職・抱えていた課題)を洗い出す
  3. 抽出した共通属性をICP定義書として文書化し、マーケティングと営業の双方で共有する

弊社がこれまで支援してきた企業を振り返ると、ICPの定義が曖昧なままリード獲得施策を走らせてしまっているケースは少なくありません。手間のかかる工程ではありますが、ここを飛ばして先の施策に進むことはあまりおすすめできません。

Step.2:企業属性(ファームグラフィック)でターゲットを絞り込む

ファームグラフィックとは、企業の属性情報のことです。BtoBマーケティングでは、この企業属性がターゲットを絞り込むうえでの基本軸になります。

代表的な項目としては、次のようなものが挙げられます。

  • 業種・業界(例:SaaS、製造業、建設業)
  • 従業員規模(例:50〜300名)
  • 売上高・資本金
  • 所在地・エリア
  • 導入済みのツール・システム(テクノグラフィック)
  • 現在抱えている経営課題・マーケティング課題

ここで決めた属性定義は、このあと登場するMAツールのリスト条件や、スコアリングの属性スコア設計にそのまま使います。定義が曖昧なまま次のステップに進まないことが大切です。詳しくは、後述のStep.5も合わせて確認してみてください。

Step.3:個人属性(役職・部署・決裁権)でペルソナを設計する

企業ターゲットが定まったら、次に「その企業の中の誰にアプローチするのか」を設計していきます。BtoBでは、情報収集を担当する人と最終的な決裁者が別であることも多く、それぞれに合わせたアプローチを考える必要があります。

設定しておきたい個人属性の例は次の通りです。

  • 役職・職位(例:マーケティング部長、IT推進担当)
  • 所属部署
  • 決裁権の有無・稟議の流れ
  • 情報収集の手段(検索・SNS・展示会・紹介など)
  • 業務上の課題・達成したいゴール

担当者と決裁者では、情報を調べるチャネルも、気にしているポイントも違うことが多いです。同じコンテンツ・同じメッセージで両方を狙うと、結果的にどちらにも刺さらない施策になりがちなので注意が必要です。

Step.4:営業部門と「ターゲットの定義」を合意する

ターゲット定義は、マーケティング部門だけで完結させず、必ず営業部門とすり合わせたうえで合意を取ることが現場では重要になります。

この工程を飛ばすと、マーケティングが送客したリードを、営業が「うち向きではない」と判断して追いかけない、といった状況が起こりがちです。

たとえば弊社が支援した株式会社CLUE様では、社内にマーケティング経験者がいない状態からのスタートでした。まずKPIの設計から始め、ターゲット属性に合致するリード数と商談獲得数の2つの指標を、営業と一緒に決めていきました。その結果、施策全体の方向性が営業側と揃いやすくなりました。

合意の形としては、SLAにターゲット定義を書き起こしておく方法が有効です。「このターゲット属性に当てはまるリードは〇〇日以内に対応する」といった合意があると、マーケティングと営業の連携が仕組みとして回りやすくなります。

Step.5:MAツールに実装してスコアリングと接続する

Step.1〜Step.4で決めてきたターゲット情報は、最終的にMAツール上で、リスト条件・属性スコア・シナリオのトリガー条件として実装していきます。

実装の流れは、たとえば次のように進められます。

  1. Step.2で定義したファームグラフィック属性を、MAのリスト絞り込み条件として設定する
  2. 業種・従業員規模・役職などの属性項目ごとに、プラスのスコアを付与する(属性スコア設計)
  3. ICPに当てはまる企業・人物には高めの属性スコアを割り振り、スコアリングの精度を高める
  4. 属性スコアと行動スコアを組み合わせて、MQL(マーケティングクオリファイドリード)の基準を決める

属性スコアの配分や、行動スコアとの組み合わせ方については、リードスコアリングの設計手順で詳しく解説していますので、ターゲティング設計と併せて確認してみてください。

ターゲティング設定でよくある3つの失敗パターン

BtoBマーケティングの現場で見られるターゲティングの失敗には、大きく3つのパターンがあります。どのパターンにも共通しているのは、「設計のステップを飛ばして、いきなり施策に入ってしまう」点です。

失敗パターン1:BtoC手法をそのままBtoBに転用してしまう

BtoCマーケティングでは、リーチの広さやクリック率、CVRといった指標が重視されます。一方でBtoBマーケティングでは、意思決定に関わる人に確実に届くことと、検討期間を通じた関係構築の方が重要になります。

この違いを踏まえずに、BtoCのターゲット設計をそのままBtoBに持ち込んでしまうと、施策全体の方向性が少しずつズレていきがちです。

先ほど触れた株式会社ブリューアス様のケースでも、当初はBtoCのプログラミングスクール向けの手法を、そのままBtoB向けに使っていました。

そこで、BtoB向けに合うターゲット定義に切り替え、BtoCの発想では候補に上がりにくいMicrosoft広告での法人向けPCユーザーへの訴求など、多媒体での戦略に再設計しました。その結果、CPAを取り組み前と比べて約3分の1に抑えることができました。

失敗パターン2:ターゲットを設定したが営業に共有されていない

マーケティング部門がターゲット像をきちんと定義していても、その内容が営業に共有されていなければ、送客したリードの扱いにばらつきが出てしまいます。「いいリードが来ない」といった営業側からの声は、ターゲット定義の認識が揃っていないことが一因になっているケースも少なくありません。

ターゲット定義をSLAとして文書に落とし込み、マーケティングと営業が同じ基準でリードの優先度を判断できる状態をつくることが有効です。このステップを踏まずにMAツールを活用しても、ホットリードが放置されてしまう、という問題が繰り返されやすくなります。

失敗パターン3:ターゲットが広すぎてスコアリングが機能しない

「全業種・全規模」をターゲットとするような設定にしてしまうと、属性スコアを設計するための基準がなくなってしまいます。スコアリングは本来、「ターゲットに近いほど高スコアになる」ように設計するものなので、ターゲットが広すぎると、すべてのリードが似たようなスコアとなり、優先順位がつけにくくなってしまいます。

まずはICPを定義して、「最初に注力すべき顧客像」を1つに絞り込むことが、スコアリングの精度を上げる第一歩です。ターゲットの範囲を広げるのは、そのあとでも十分間に合います。

ターゲティングをMAツール・デマンドジェネレーションに接続する

デマンドジェネレーション(需要創出)とは、リードジェネレーション、リードナーチャリング、リードクオリフィケーションを、一連のプロセスとして設計する考え方です。ターゲティングはその入口にあたるため、ここでの設計が後続の施策全体の精度に大きく影響します。

ターゲット定義がデマンドジェネレーションに与える主な影響は、次の3点です。

  1. リードジェネレーション:ターゲット属性に合致した層にリーチできるチャネル・コンテンツを選びやすくなる
  2. リードナーチャリング:ターゲットの検討フェーズや関心トピックに合わせて、シナリオを組み立てられる
  3. リードクオリフィケーション:ICPに合う属性を属性スコアとして設定し、MQLの基準を数字で定義できる

ターゲティングとリードスコアリングの接続設計

属性スコアとは、リードの企業属性・個人属性がICP定義にどの程度フィットしているかを数値化したものです。Step.2・Step.3で決めたファームグラフィックと個人属性の項目を、そのまま属性スコアの評価軸として使うことができます。

実際の運用では、たとえば次のように実装していきます。

  1. ICPに合う企業属性(業種・規模など)に一致する場合は、高めのスコア(例:+20点)を付与する
  2. 対象外の業種や、規模が小さすぎる企業など、ICPから外れる属性には、マイナスまたはゼロのスコアを設定する
  3. 属性スコアと行動スコアの合計がMQLの閾値を超えたタイミングで、MAが自動的に営業へトスアップするように設定する

弊社の支援先では、Salesforce 認定資格を持つ担当者が、統計的なアプローチでスコアの重み付けを設計しています。感覚的に点数を振るのではなく、受注データとの相関を根拠に設計することで、スコアリングの精度が上がり、営業がスコアを見て動きやすくなります。

ターゲット定義をチャネル・広告のターゲティング設定に落とす

ICPと6Rで絞り込んだターゲットは、そのままでは施策になりません。チャネルごとに用意されているターゲティングの設定項目へ変換して、はじめて配信条件や獲得条件になります。

変換先は、主に次の4つです。

  • 広告配信:業種・従業員規模・役職などのファームグラフィック属性を、配信面ごとの絞り込み条件に置き換える。ICPから外れる業種は除外設定に回す
  • フォーム項目:ICPの判定に使う属性をフォームの入力項目として持ち、リードを獲得した時点で判別できる状態にする
  • コンテンツ・チャネル選定:個人ペルソナの情報収集手段に合わせて、ホワイトペーパー・ウェビナー・展示会などの配分を決める
  • リスト精査:展示会や名刺交換で獲得したリードを、ICP属性に照らして優先度を振り分ける

ここでポイントになるのは、チャネルごとに設定できる項目が異なる点です。広告側で細かい役職指定ができない場合は、フォーム項目やスコアリングで補うなど、どの工程でICPを判定するかを決めておくと、獲得したあとの選別が滞りません。

獲得から育成、選別までを一連のプロセスとして組み立てる手順は、デマンドジェネレーションの全体像で整理しています。

事例:ターゲティング再設計が成果につながったケース

ここからは、Sells upが支援した2社の事例を、ターゲティング設計という切り口でご紹介します。

事例1:株式会社ブリューアス様

項目 内容
ターゲティング上の課題 BtoCのプログラミングスクール向け手法をBtoBにそのまま転用していた。BtoBマーケティング経験者が社内にいない状態で、ゼロから立ち上げを進めていた
再設計の内容 BtoBに適したターゲット定義から着手。BtoCの発想では選択肢に入りにくいMicrosoft広告での法人向けPCユーザーへの訴求を含む多媒体戦略へ切り替え、LPの構成もコミュニケーションの観点から再設計した
成果 CPAを取り組み前と比べて約3分の1に削減。MA運用も見直し、一度失注した休眠顧客に対する掘り起こしメールから、大型案件の受注につながった

BtoCマーケの”コピー&ペースト”から脱却。全方位施策で広告CPAを支援前の約3分の1に削減

中長期のマーケティング戦略を策定し、広告の多角化とLPOを実施。Account Engagementのデータ移行とステップメール施策により、広告CPAを約3分の1に削減し、月間リード数・商談数の増加を通じた売上向上を実現。

sellsup.co.jp

本棚のある打ち合わせスペースで、2人が木製テーブルの脇に立って笑顔で並んでいる写真

事例2:株式会社CLUE様

項目 内容
ターゲティング上の課題 社内にマーケティング経験者が一人もいない状態からのスタートで、どのターゲット層にどの程度投資すべきか判断できていなかった
再設計の内容 まずKPI設計から着手し、ターゲット属性に合致するリード数と商談獲得数の2つの指標を、営業と一緒に設定。建設業界では検索行動がそれほど活発ではないという前提を踏まえ、Meta広告やディスプレイ広告などプッシュ型チャネルを優先する到達戦略を組み立てた
成果 複数年にわたる継続支援の結果、「営業が自分の足でリードを獲得する状態」から、「マーケティング施策でリードを安定的に獲得できる状態」へと変化。インサイドセールスチームの立ち上げも実現した

いずれの事例にも共通しているのは、ターゲット定義を「なんとなくの感覚」ではなく、「データと営業との合意」に基づいて再設計した点です。このステップを踏んで初めて、MAツールや広告施策が本来の力を発揮しやすくなります。

ターゲティングを含むSTP分析全体の進め方については、BtoBのSTP分析の実践手順も参考にしてみてください。


スタートアップのマーケ立ち上げ。商談・受注を創出するリードが安定獲得できる仕組みを構築

顧客データで目標設定し、運用型広告を媒体選定から刷新。営業インサイトを反映したLP改修とセミナー・オウンドメディア改善により、商談・受注を創出するリードの安定獲得を実現。

sellsup.co.jp

打ち合わせスペースの木製テーブルを挟んで、2人が向かい合って笑顔で話している写真

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

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まとめ

弊社では、これまで多くのBtoBマーケティングに携わる中で、ターゲティングの設計が施策の成果を左右する場面を数多く見てきました。広告やコンテンツ、メール、インサイドセールスなど個別の施策を改善することも重要ですが、その前提となる「誰にアプローチするのか」が曖昧なままでは、施策ごとの成果を安定させることは難しくなります。

最後に、本記事のポイントを整理します。

ターゲティングは、セグメンテーションによって分けた市場の中から、自社が注力すべき顧客層を選ぶ工程です。STP分析ではセグメンテーションとポジショニングの間に位置し、具体的なマーケティング施策を設計する前に、「どの市場・顧客を狙うのか」を明確にします。

BtoBでは、ターゲットを具体化する方法としてICP(理想顧客プロファイル)の設計が有効です。業種や従業員規模といった条件を感覚的に決めるのではなく、既存の受注企業や継続率、売上などのデータを分析し、成果につながっている企業の共通点をもとに定義します。

市場を評価する際は、6Rのフレームワークも活用できます。特に新規事業や新しい市場への参入を検討する段階では、Realistic Scale(有効な市場規模)やRival(競合状況)などを確認し、自社が実際に獲得できる市場なのかを見極めることが重要です。

また、BtoBのターゲティングはマーケティング部門だけで完結させるものではありません。どのような企業・担当者を有望なリードとみなすのか、どの条件を満たしたら営業へ引き渡すのかを営業部門とすり合わせ、SLAとして共通認識を持つことで、マーケティングと営業の評価基準のズレを抑えられます。

さらに、定義したターゲットは資料上にまとめて終わりではなく、実際のマーケティング活動に反映する必要があります。企業規模や業種、役職などのターゲット属性をMAツールのリスト抽出条件や属性スコアに反映すれば、ターゲットに合致するリードを判別し、スコアリングやナーチャリング、営業へのトスアップまで一連のデマンドジェネレーションに組み込むことができます。

ターゲティングで重要なのは、一度定義して固定することではありません。商談・受注・失注などのデータを蓄積し、「実際に成果につながっている顧客は誰なのか」を定期的に検証しながら、ICPやターゲット条件を見直していくことが、施策の精度を高めることにつながります。

よくある質問

ターゲティングとはどういう意味ですか?

ターゲティングとは、細分化した市場の中から、自社が注力する顧客層を選び出すことです。「誰に届けるか」を決める工程であり、施策選定・チャネル設計・スコアリング設計といった後続の設計は、この定義を前提に組み立てていきます。詳しくは本編の冒頭セクションをご覧ください。

BtoBとBtoCのターゲティングはどう違いますか?

BtoBマーケティングでは顧客が企業であるため、意思決定に複数の関係者が関わり、検討期間も長くなりがちです。BtoCのようなリーチ重視の発想をそのまま当てはめると、施策がズレることがあります。企業属性と個人属性の2層でターゲットを定義する設計が有効で、詳細は本編のStep.2〜Step.3で触れています。

ペルソナとターゲットの違いは何ですか?

ターゲットは「注力したい企業のグループ」を指し、ペルソナはその中の「具体的な担当者像」を指します。BtoBマーケティングでは、企業ペルソナと個人ペルソナを分けて設計することで、コンテンツやメッセージの精度を高めやすくなります。

BtoBとBtoCはどちらのマーケティングが難しいですか?

一概にどちらが難しいとは言えませんが、求められる設計の複雑さは異なります。BtoBマーケティングでは、複数の関与者が存在することや検討期間の長さから、ターゲット定義の精度やナーチャリングの設計がより重要になります。BtoCとは前提が違うため、別のアプローチが必要になります。

BtoBtoC(BtoBtoC)ビジネスモデルとはどのようなものですか?

BtoBtoCとは、企業が別の企業を介して、最終的な個人消費者に商品・サービスを届けるビジネスモデルです。この場合は、中間の企業(B)と最終消費者(C)の両方を意識してターゲットを設計する必要があり、一般的なBtoBビジネスとは意思決定の流れが異なります。

ターゲットを定義してMAツールを導入したのに商談が増えない場合、何を見直すべきですか?

まず確認したいのは、そのターゲット定義が営業部門ときちんと合意できているかどうかです。SLAがない状態だと、送客されたリードを営業が優先しづらくなります。次に、属性スコアの閾値が現状に合っているかを見直してみてください。ICPに合致するリードが、実際に高スコアとして判定されているかどうかをチェックすることが先決です。詳しくは本編のStep.4〜Step.5が参考になります。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善