ナレッジ 2026.10.26

兼務の担当者が支援会社との定例で決めること|任せきりにしない進め方

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

兼務の担当者が外部の支援会社と定例を進めるときは、毎回「数字の振り返り」「次の1〜2週間にやることと担当」「判断が必要なことと判断する人」「言いづらい課題」の4つを決めておきます。使える時間が限られる兼務の担当者にとって、定例は報告を聞くだけの場ではなく、次の動きを決める場にしておくと進めやすくなります。

マーケティングを兼務で任された担当者が支援会社と組むと、準備の時間を取れないまま、支援会社が用意した報告を聞いて終わる定例になりがちです。その状態が続くと、施策は進んでいるように見えても、社内には判断の基準も知見も残りません。

本記事では、100社以上のBtoBマーケティングを支援してきたSells upが、株式会社ブリューアス様の取り組みを例に、兼務の担当者が支援会社との定例で決めること、方向性と個々の施策の扱い方、社内に残すものを解説します。社内に知見がない中で立ち上げる順番はBtoBマーケティングを立ち上げる順番で扱っています。

なぜ兼務の担当者と支援会社の定例は、報告を聞くだけになりやすいのか?

兼務の担当者には定例の前に考える時間がなく、何を決める場なのかもあいまいなためです。よくある原因は次の4つです。

  • 本業の合間に参加するため、報告を事前に読めず、その場で初めて数字を見る

  • 予算や優先順位を判断する人が定例にいないため、決めたいことが持ち越される

  • 毎回の議題があいまいなまま、支援会社の報告の順番で時間が過ぎる

  • 社内に持ち帰る作業がなく、施策の考え方や設定の理由が支援会社の側にだけ残る

ブリューアス様でも、法人向けの専任の担当者はおらず、営業が業務の合間にウェビナーを企画していました。2022年4月に新しくできた法人向けマーケティング部門には、藤田様が手を挙げて兼務で加わり、手探りで始めたと話しています。インタビューの時点でも、新たに加わったメンバーは営業8、マーケティング2ほどの割合の兼務でした。

定例では毎回、何を決めればよいか?

数字の振り返り、次にやることと担当、判断が要ること、言いづらい課題。この4つは、毎回の定例で決めておきます。議題を固定しておくと、準備の時間が少なくても、何を考えて参加すればよいかが分かります。

議題 決めること 主に用意する側
数字の振り返り 前回の施策で何が起きたか、前提とずれた点はどこか 支援会社(読み方は一緒に考える)
次にやることと担当 次の1〜2週間の作業と、社内と支援会社の担当の分け方 両方
判断が要ること 予算・優先順位・止める施策と、それを決める人 社内
言いづらい課題 うまくいっていない原因と、社内で変える必要があること 支援会社

定例の前に、社内の担当者が長い資料を作る必要はありません。前回から変わった数字、止まっている作業、判断してほしいこと、社内で聞いた顧客や営業の情報を1枚のメモにまとめます。支援会社には、数字の変化と次にとる案を先に出してもらいます。当日はそのメモの順に、決める話から扱い、作業ごとの担当と期限をその場で書き足します。

数字の振り返りは、結果より前提とのずれを見る

リード数や広告費を並べるだけでは、次に何をするかが見えてきません。「どの施策で、想定と何が違ったか」を1つか2つに絞って話します。数字の表は支援会社が用意しても、読み方は担当者も一緒に考え、自分でも説明できるようにしておきます。報告を成果で説明する考え方はBtoBマーケティングの報告を成果で説明する手順で解説しています。

宿題は、兼務の時間で終えられる量にする

次にやることは、社内と支援会社のどちらが担当するかを分けて決めます。顧客の声を集める、営業から情報を聞く、社内の承認を取るといった作業は、社内でしかできません。担当者が持ち帰る作業は、本業と並行して次の定例までに終えられる量に絞ります。終わらない宿題が積み重なると、定例のたびに同じ話に戻ってしまうためです。

判断が要ることは、判断する人と場を決めておく

予算の配分や、止める施策の判断は、担当者だけでは決められないことがあります。判断する人が定例に出られない場合は、どの場で、いつまでに決めるかを定例で決めておきます。

持ち帰る論点は1枚にまとめます。書くのは、選択肢、それぞれの案の利点と気になる点、期限、決めない場合に遅れる作業です。予算や優先順位の話は、支援会社の意見だけで進めず、社内の責任者が判断する材料としてまとめます。社内で説明する人も決めておくと、支援会社から聞いた話をそのまま伝えるだけにならずに済みます。次の定例では、どの案になったかに加えて、その理由も記録します。

ブリューアス様では、次の年度のマーケティングの計画を代表に説明する必要があった時期に藤田様から相談があり、その場でSells upと進めることを決めて、予算を確保しました。判断に必要な材料をそろえて話す場があると、定例で決めたことが止まらずに進みます。

言いづらい課題を話せる時間を取る

施策がうまくいかない原因が、社内の体制や営業との連携にあることもあります。支援会社がそうした課題を言いにくいままだと、定例は表面の数字の話で終わります。藤田様は、支援会社を評価する点として「言いづらいことを言ってくれる」ことを挙げています。定例の議題に課題を話す時間を入れておくと、言いにくい話も出しやすくなります。


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中長期のマーケティング戦略を策定し、広告の多角化とLPOを実施。Account Engagementのデータ移行とステップメール施策により、広告CPAを約3分の1に削減し、月間リード数・商談数の増加を通じた売上向上を実現。

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全体の方向と個々の施策は、定例でどう扱えばよいか?

個々の施策の話だけを重ねていると、施策どうしがつながらず、どこへ向かっているのかが見えにくくなります。全体の方向を話す回と、個々の施策を細かく話す回を分けておくと、どちらも扱いやすくなります。

藤田様は、支援会社を選ぶとき、施策ごとの専門性よりも、全体としてどの方向へ進めばよいかを一緒に相談できる相手を求めていたと話しています。自分で施策を進めても前後の施策がつながらず、一つの流れにならなかった経験があったためです。

Sells upでは、一つの施策を深く掘り下げるより、複数の施策を並べて効果を見て、伸びるものに力を入れる進め方をとることが多くあります。また、目新しい手法より先に、当たり前にやるべきことの水準を上げていきます。全体の方向を話す回では、施策の配分と、止めるもの・伸ばすものを決めます。

支援会社に任せきりにしないために、社内に何を残せばよいか?

設定した理由と判断の基準は、社内の担当者が説明できる状態にしておきます。定例では、支援会社がそう判断した理由を聞き、記録に残します。

  • 営業へ渡す条件や配信条件を、その形にした理由

  • 止めた施策と、止めた理由

  • 数字のどこを見て、次の行動を決めたのか

ブリューアス様では、社内だけで運用していた時期、ステップメールの効果を見て通数や内容、間隔を直したくても手が回りませんでした。いまはデータを見て直す運用ができており、藤田様は毎週の定例で全体の考え方を教わる中で「自分の血肉になってきているな」と感じていると話しています。支援会社がほかの会社で見てきた一般的な進め方を聞けることも、目指す水準を決めるのに役立ったそうです。

社内に知見を残す進め方はMA運用のノウハウを社内に残す進め方で、少人数での運営の考え方は少人数のマーケティングチームの運営手順で扱っています。

定例の頻度と時間は、どう決めればよいか?

兼務の担当者が、準備や宿題にどれくらい時間を使えるかから逆算して決めます。施策の立ち上げ時は決めることが多いので間隔を短くし、運用が落ち着いたら間隔を広げる進め方もあります。ブリューアス様では、毎週の定例で進めています。

  • 頻度:施策の立ち上げ期は週1回、運用が落ち着いた後は隔週に広げるなど、調整できる

  • 時間:4つの議題に収まる長さにし、報告内容は事前に資料で共有して、説明は短くする

  • 参加者:判断が要る議題がある回だけ、判断する人に出てもらう

外部の支援会社との定例を急がなくてよいのは、どんな場合か?

支援会社と組む前に、社内で決めておいたほうがよいこともあります。次のような場合は、定例の形を整える前に、社内の準備を進めます。

  • マーケティングの担当者や、予算を判断する人がまだはっきりしていない

  • 扱う施策が1つで、担当者に十分な時間があり、社内だけで回せる

  • 支援会社に何を任せ、社内に何を残すかがはっきりしていない

外注する業務の範囲や費用を先に整理したい場合はマーケティングを外注する範囲と費用で、支援会社の選び方はBtoBマーケティング支援会社の選び方で解説しています。任せる作業と社内に残す判断を先に分けておくと、定例で扱う議題も絞りやすくなります。

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施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

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まとめ

兼務の担当者が支援会社と定例を回すときは、数字の振り返り、次にやることと担当、判断が要ることと判断する人、言いづらい課題の4つを毎回決めます。議題を固定しておくと、準備の時間が少なくても、何を考えて参加すればよいかが分かります。

宿題は兼務の時間で終えられる量に絞り、判断が要ることは判断する人と場を決めておきます。全体の方向を話す回と個々の施策を具体的に話す回を分けると、施策どうしのつながりも見失いません。

任せきりにしないためには、設定した理由と判断の基準を社内の担当者が説明できる状態にしておきます。定例は、支援会社の報告を聞く場ではなく、社内に知見を残しながら決める場として使います。

よくある質問

定例の議事録は、誰が作ればよいですか?

作業の負担を考えると、支援会社が作る形で始めてもかまいません。ただし、決めたことと担当、判断の理由は、社内の担当者が読み返して自分の言葉で説明できるかも見ておきます。社内で共有するときは、担当者が要点を書き直すと、知見が社内に残りやすくなります。

定例で支援会社に何を準備してもらえばよいですか?

前回の施策の数字と、前提とずれた点、次にやることの案、判断が要る事項の一覧を、定例の前に共有してもらいます。事前に目を通せない場合でも、議題の順番が決まっていれば、その場で考えることを絞れます。

兼務で時間が取れないときは、定例の回数を減らしてもよいですか?

減らしてもかまいませんが、その場合は判断が要る事項をまとめて持ち込み、定例と定例の間は作業の進み具合だけを文章で共有するなど、決める機会が減らないようにします。施策を立ち上げる時期は決めることが多いため、間隔を空けすぎないほうが進めやすくなります。

支援会社との契約が終わった後も運用を続けるには、何が要りますか?

設定の理由と判断の基準の記録、アカウントや顧客のデータが社内にあること、そして社内の担当者が数字を見て次の行動を決められることです。契約の途中から、担当者が判断する場面を少しずつ増やしておきます。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善