MQL判定基準の完全ガイド|営業との対立を解消し、売上貢献を証明するフレームワーク

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そのMQL、営業から「質が低い」と突き返されていませんか?
マーケティング担当者が直面する「リードの質」という名の壁
日々データと向き合い、試行錯誤を重ねてリード獲得に奔走するマーケティング担当者であれば、一度はこんな言葉に頭を抱えた経験があるのではないでしょうか。
「マーケ部門から来るリストは、数は多くても全然ホットじゃない」
「また資料請求だけの人?結局、自分たちでアポを取った方が早い」
MAツールでスコアリングし、丹精込めて育成したはずのMQL(Marketing Qualified Lead)が、営業部門からは「質が低い」と一蹴されてしまう。この「リードの質」問題は、単なる部門間のすれ違いでは済みません。マーケティング活動のROI(投資対効果)が曖昧になり、部門の信頼性が揺らぎ、ひいてはマーケター自身の評価にも直結する深刻な課題です。
部門間の対立を終わらせ、成果を証明する「共通言語」の作り方
この記事では、マーケティングと営業の対立を終わらせるための「共通言語=MQL判定基準」の作り方を解説します。
単なる用語解説に留まらず、明日からあなたのチームで実践できる具体的なフレームワークから部門連携の要となるSLA(サービスレベル合意)の策定方法まで、「成果を出すマーケティング部門」を構築するための道筋を、ステップバイステップで解説します。
MQLとは?今さら聞けない定義と、営業と「同じ言語」で話すための基礎知識
MQL(Marketing Qualified Lead)の本質的な役割
MQLとは「Marketing Qualified Lead」の略です。
マーケティング活動を通じて獲得したリードのうち、「自社の理想顧客像(ICP)に近く、購買意欲が一定水準以上に高まった」と客観的に判断できる見込み顧客を指します。
単なるリード(情報収集段階)と違い、MQLは「営業に引き渡すに値するホットリード」であり、営業部門が“今すぐアプローチしたい”と思える状態に仕上げることが、マーケティング部門の最大のミッションです。
SQL(Sales Qualified Lead)との決定的な違いとは?
MQLとしばしば混同されるのが、SQL(Sales Qualified Lead)です。両者の違いを明確に理解することが、連携の第一歩となります。
MQL(マーケティングが認めたリード):マーケティングの基準で「ホット」だと判断されたリード。まだニーズが漠然としている場合も多く、育成の余地があります。
SQL(営業が認めたリード):MQLの中から、営業担当者が直接ヒアリングなどを行い、「具体的な商談に進める」と認定したリード。BANT条件(予算、決裁権、ニーズ、導入時期)などが明確になっているリードです。
つまり、マーケティングが育て上げたMQLを、営業がさらに精査し、選び抜いたものがSQLになるという流れです。このバトンパスをいかにスムーズに行えるかが、部門連携の鍵を握ります。
なぜ、MQLの判定基準がマーケティングROIの鍵を握るのか
MQLの判定基準が曖昧なままだと、「とりあえず数を稼ぐ」だけの施策になりがちです。
結果、営業部門は“質の低いリード”に振り回され、成約率も下がり、部門間の溝は深まる一方です。
逆に、両部門が完全に合意したMQL基準を設けることで、
営業が最優先でフォローしたくなる、質の高いリードだけを供給できる
MQL→SQL→受注というパイプラインが可視化され、マーケティングのROIが明確になる
経営層に対し、「マーケティング部門が売上に直接貢献している」と数字で証明できる
という好循環が生まれます。
営業が納得するMQL判定基準の作り方|属性と行動の2軸で設計する
では、具体的にどのようにMQLの判定基準を設計すればよいのでしょうか。重要なのは、「属性」と「行動」という2つの軸で、リードの質を多角的に評価することです。
判定基準の柱①:属性(デモグラフィック・ファームグラフィック)
理想の顧客像(ICP)に合致しているかを見極める
まず営業部門と一緒に考えるべきは、「どんな企業」の「どんな役職の人」であれば、営業が「本気でアプローチしたい」と思うか、という点です。これが理想の顧客像(ICP: Ideal Customer Profile)となります。過去の成功事例を分析し、業種、企業規模、所在地、担当者の役職といった共通項を洗い出しましょう。
スコアリング項目例:役職、業種、企業規模
ICPに基づいて、各属性に点数を設定します。これは、リードが自社にとってどれだけ「有望な素質」を持っているかを測る指標です。
役職が部長職以上(決裁権者層):+20点
ターゲット業種(例:製造業):+15点
従業員数100名以上:+10点
所在地が首都圏:+5点
このように、属性ごとに点数を設定し、合計スコアで「理想顧客度」を可視化します。
判定基準の柱②:行動(インテント)
顧客の「アクティビティ」から購買意欲を読み解く
リードがWebサイト上でどのような行動を取ったかは、その購買意欲を測る極めて重要な“物差し”です。私たちはこれを、「アクティビティ」と呼んでいます。資料請求、セミナー参加、価格ページの閲覧など、具体的なアクションをリストアップしましょう。
行動のレベル分け:低関心〜高関心アクションの具体例
行動には、購買意欲の高さに応じてレベルがあります。より購買に近いアクションほど、高いスコアを付与します。
【低関心】メルマガ登録:+5点
【中関心】製品ページの複数回閲覧:+10点
【高関心】ホワイトペーパー/導入事例のダウンロード:+15点
【高関心】セミナー/ウェビナーへの参加:+20点
【最重要】価格ページの閲覧、または問い合わせフォーム送信:+30点
リードスコアリングの実践:点数化で「質」を客観的に可視化する
リードスコアリング設計テンプレート
属性と行動のスコアを組み合わせ、リードの「質」を客観的な数値で評価する仕組みがリードスコアリングです。以下のテンプレートを参考に、自社独自のスコアリングモデルを構築してみてください。
見落としがちな「ネガティブスコアリング」の重要性
質の高いリードを選別すると同時に、営業が追うべきではないリードを効率的に除外することも重要です。そのために「ネガティブスコアリング」を設定しましょう。
競合他社のドメイン:-50点
フリーメールアドレス:-10点
長期間(例:90日)アクションなし:スコアを減衰
これにより、営業リソースを真に価値あるリードに集中させることができます。
MQLと判定するスコア(閾値)の最適な設定方法
「合計スコアが何点以上になったらMQLとするか」という基準点(閾値)は、必ず営業部門と協議して決定してください。最も効果的なのは、過去の受注顧客が商談化する直前にどの程度のスコアだったかを分析し、その数値を参考にすることです。「このスコアなら、営業も納得して動いてくれる」という合意点を見つけることが成功の鍵です。
MQL創出から引き渡しまで|MAツールを活用した実践プロセス
MQLは、体系的なプロセスを経て創出されます。ここでは、MA(マーケティングオートメーション)ツールを活用した実践的な流れを3つのステップで解説します。
MQL創出の3ステップ:獲得・育成・選別
Step1:リードジェネレーション(見込み客の獲得)
Web広告、SEO、展示会など、多様なチャネルを通じて、将来MQLになりうる潜在顧客の情報を獲得します。重要なのは、単に数を集めるのではなく、ICPに合致する層をターゲットにすることです。
Step2:リードナーチャリング(見込み客の育成)
獲得したリードの多くは、まだ情報収集段階です。メルマガやセミナー、お役立ち資料などを通じて継続的に価値を提供し、関係性を構築しながら購買意欲を高めていきます。この過程で、リードスコアは徐々に加算されていきます。
Step3:リードクオリフィケーション(見込み客の選別)
スコアが設定した閾値を超えたリードをMQLとして特定し、営業部門へ引き渡します。この「選別」と「引き渡し」の精度を高めることが、マーケティング部門の腕の見せ所です。
MAツール別|MQL判定と引き渡しを自動化する設定例
このプロセスは、MAツールを活用することで大幅に効率化・自動化できます。
Account Engagement(旧Pardot)での実装方法
スコアリングルールで各属性・行動に点数を設定。
オートメーションルールを作成し、「プロスペクトのスコアが(設定した閾値)以上」になったら、自動でSalesforceの特定のキューに割り当て、営業担当者にToDoを作成するよう設定します。
HubSpotでの実装方法
リードスコアリング機能で属性・行動を点数化。
ワークフローを作成し、「リードスコアが(設定した閾値)以上」をトリガーとして、コンタクトのライフサイクルステージを「MQL」に自動変更し、所有者である営業担当者にタスクを割り当て、通知を送信します。
MQL成功の最重要ポイント:営業部門との強固な連携を築くSLA(サービスレベル合意)
なぜSLAがなければMQLは形骸化するのか?
どれだけ精緻なMQL基準を作っても、それがマーケティング部門だけのルールであれば意味がありません。SLA(Service Level Agreement)は、マーケと営業の「約束事」を明文化するものです。
SLAがなければ、「MQLを渡したのに営業がフォローしない」「営業がMQLの質に文句を言う」といった問題が高確率で再発します。SLAによって両部門が同じ目標に向かって具体的な責任を負うことで、初めてMQLが組織の資産として機能します。
SLAに必ず盛り込むべき6つの必須項目
SLAを策定する際は、以下の6つの項目を含めます。
1. 両部門がコミットする共通の目標(MQL数、商談化率、パイプライン金額)
「マーケは月間50件のMQLを創出する」「営業はそのうち20%をSQL化する」など、具体的な数値目標を共有します。
2. 共同で定義した「MQLの定義」の明文化
スコアリングモデルや閾値など、両部門で合意したMQLの定義を文書として残します。
3. リード引き渡しの具体的なプロセスとルール
MAからCRMへ、どのタイミングで、どのような情報(行動履歴など)を連携するのかを明確にします。
4. 営業担当者のフォローアップ義務(対応時間、回数)
「MQL受領後、24時間以内に初回コンタクトを行う」「最低3回はアプローチする」といったルールを定め、リードの放置を防ぎます。
5. リード評価とフィードバックの仕組み
営業がMQLを評価(SQL化、ナーチャリングに戻す、失格など)し、その理由をマーケティングにフィードバックするプロセスをCRM上で構築します。
6. 定期的なレビュー会議と改善プロセス
週次や月次で定例会を開き、KPIの進捗を確認し、MQL基準やプロセスの見直しを継続的に行います。
SLA策定を円滑に進めるための社内調整術
トップダウンとボトムアップの両方で合意形成を図る:部門長同士の合意だけでなく、現場の営業担当者の意見も必ずヒアリングしましょう。
完璧を目指さず、スモールスタートで始める:まずはシンプルなルールで運用を開始し、定期的なレビュー会議で改善を重ねていく姿勢が重要です。
Win-Winの関係を強調する:SLAはマーケティングのためだけでなく、「質の高いリードに集中できる」という営業側のメリットを丁寧に説明しましょう。
成果を測定し改善する|MQLパフォーマンスを測るKPIと業界ベンチマーク
MQL施策は設定して終わりではありません。成果を客観的に測定し、改善し続けるプロセスが不可欠です。
最重要指標「MQL→SQL転換率」で連携の質を測る
計算方法と、この指標が示すもの
MQL→SQL転換率 (%) = (SQL化した件数 ÷ MQLの総数) × 100
この数値は、マーケティングが創出したMQLの「質」と、営業との「連携の質」を同時に映し出す、最も重要な指標です。
【業界別】BtoBファネル転換率ベンチマーク一覧
自社の数値を客観的に評価するために、以下の業界ベンチマークを参考にしてください。
BtoB全体平均:約13%
IT/SaaS業界:20%~40%
製造業:10%~20%
ウェビナー経由:約17.8%
自社の転換率が平均を下回る場合は、MQLの基準やナーチャリング施策に改善の余地があると考えられます。
マーケティングの費用対効果を示す補完的KPI
リードソース別パフォーマンス分析
リードソース別パフォーマンス分析:Web広告、SEO、展示会など、どのチャネルが最も質の高いMQLを生み出しているかを分析します。
セールスサイクル期間とMQL由来の受注率:質の高いMQLは、受注までの期間を短縮し、受注率を高める効果が期待できます。
CPL(リード獲得単価)とCAC(顧客獲得単価):これらの数値をモニタリングし、マーケティング予算のROIを最大化します。
そのMQL施策、大丈夫?よくある3つの失敗パターンとその回避策
失敗例1:「マーケの独りよがり」で定義がズレている
マーケティング部門だけでMQL基準を決め、営業に押し付けてしまう。結果、営業は「この基準は現場と合わない」と判断し、MQLを信頼しなくなります。
回避策
MQL基準の設計からSLA策定まで、全てのプロセスに営業部門を巻き込むこと。ワークショップなどを開催し、両部門が「自分たちのルールだ」と納得できる基準を共創することが唯一の解決策です。
失敗例2:「質より量」を追いかけ、営業リソースを疲弊させる
MQLの「数」だけをKPIに設定した結果、基準を下げてでも目標を達成しようとし、質の低いリードが営業に溢れかえってしまう。
回避策
マーケティングのKPIを、MQLの「数」だけでなく、「MQL→SQL転換率」や「MQL経由のパイプライン金額」といった「質」を測る指標と連動させましょう。これにより、マーケティングの目標が営業の目標と一致します。
失敗例3:「投げっぱなし」でフィードバックがなく、改善が進まない
MQLを営業に引き渡した後、そのリードがどうなったかを追跡せず、改善のサイクルが回らない。
回避策
SLAにフィードバックの仕組みを明確に組み込み、定期的なレビュー会議を義務化すること。営業からの「失格」理由(例:予算が合わない、時期尚早など)は、MQL基準を改善するための貴重なデータとなります。
競合に差をつける|MQLの先にある次世代のリード戦略
MQLの最適化は不可欠ですが、市場はさらにその先へと進んでいます。ここでは、競合の一歩先を行くための先進的なリード戦略をご紹介します。
PQL(Product-Qualified Lead):プロダクト利用状況で判断するSaaS時代の基準
無料トライアルやフリーミアムプランにおいて、「特定の重要機能を複数回利用した」など、製品の価値を実体験したユーザーをPQLとして認定する考え方です 。コンテンツの閲覧(MQL)よりも遥かに強い購買意欲のシグナルであり、特にSaaSビジネスでは重要です。
インテントデータ活用:顧客が貴社を見つける前に、購買意欲を察知する
自社サイト外で、特定の企業がどのような情報を検索・閲覧しているか(例:「CRM 比較」)を分析するデータです 。これにより、まだ自社と接点のない潜在顧客の購買意欲を早期に察知し、競合より先にアプローチする「攻め」のマーケティングが実現します。
デマンドユニット・ウォーターフォール:個から「購買チーム」へ視点を変える
BtoBの購買、特に大企業向けの取引は、一人の担当者ではなく、複数の関係者からなる「購買チーム(デマンドユニット)」で行われます 。このモデルは、個々のリードではなく、アカウント内の購買チーム全体のエンゲージメントを評価する考え方であり、ABM(アカウントベースドマーケティング)を成功させる上で不可欠な視点です。
まとめ:MQL判定基準は、部門の壁を壊し、事業を成長させるための設計図
MQL判定基準の構築は、単なるマーケティング施策の一つではありません。それは、部門間の壁という根深い組織課題を解決し、データに基づいた持続的な事業成長を実現するための「共通の設計図」を作るプロセスです。
失敗パターンを避け、営業部門と真のパートナーシップを築きながら基準を磨き続けることで、貴社のマーケティングチームは「コストセンター」から脱却し、事業の成長を牽引する「プロフィットセンター」へと進化するはずです。
本記事でご紹介したMQL判定基準を「部門の壁を壊し、事業を成長させるための設計図」と捉え、ぜひ貴社の戦略に活かしてください。
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