ナーチャリングのコンテンツが刺さらない理由|カスタマージャーニーで「フェーズごとの心理」を整理する
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ナーチャリングのコンテンツは、なぜ反応が薄いのか
セグメントを切って、シナリオを組んで、フェーズごとにコンテンツを割り当てた。それでも、開封はされるけれどクリックされない、クリックはされるけれど次のアクションにつながらない。
このような状況に心当たりはありませんか。
原因のひとつとして考えられるのが、「フェーズの定義が行動ベースだけになっていて、そのフェーズにいる人が何を考え、何を気にしているかが整理できていない」ということです。
「資料をダウンロードしたら検討段階」という行動の分類はできていても、その人が今どんな気持ちで情報を集めているのか、何を不安に思っているのかが抜けていると、届けるコンテンツの選び方がズレてしまいます。
この記事では、カスタマージャーニーをナーチャリングのコンテンツ設計に使う方法、とくに「フェーズごとの顧客心理」をどう整理して、コンテンツ選定に活かすかを順番に整理していきます。
ナーチャリングにおけるカスタマージャーニーの使い方
カスタマージャーニーというと、「認知→興味→比較→購買」という行動の流れを可視化するものとして語られることが多いです。それ自体は間違いではありませんが、ナーチャリングにおいては少し違う使い方をします。
ナーチャリングにおけるカスタマージャーニーの役割は、「行動の流れを把握する地図」ではなく、「フェーズごとに届けるべきコンテンツの設計図」です。
設計図として使うには、行動の流れだけでなく、「そのフェーズにいる人がどんな心理状態にあるか」を合わせて整理することが必要になります。行動と心理の両方が揃ってはじめて、「だからこのコンテンツが刺さる」という根拠を持ってコンテンツを選べるようになります。
カスタマージャーニーを「設計図」として使うとは 行動の分類だけのジャーニー:「資料DL → 検討段階」 心理まで整理したジャーニー:「資料DL → 検討段階 → この段階では選択肢を広げながら、自分たちの判断が正しいか確認したい心理がある → だから他社事例や専門家の視点が刺さる」 |
フェーズごとの「顧客心理」を整理する
BtoBにおける購買担当者は、論理だけで動いているわけではありません。担当者は組織の一員である前に人間であり、「失敗したくない」「他社と同じ選択で安心したい」「信頼できる情報に従いたい」といった本能的な動機が意思決定に大きく影響しています。
この心理の動き方は、フェーズによって異なります。各フェーズにいる人が「今、何を考えていて、何を気にしているか」を整理すると、以下のようになります。
認知段階:「自分たちは本当に動く必要があるのか」
このフェーズにいる人は、まだ解決策を探していません。「現状のままでいいか、それとも何か変えた方がいいのか」という段階で、課題の存在に気づき始めているか、あるいはまだ気づいていない状態です。
ここで働きやすいのが「現状維持バイアス」です。今の状態を変えることへの抵抗感があり、「動く理由」がないと自ら情報を取りにいきません。裏を返すと、「このままだと困ることになる」「他社はすでに動き始めている」という情報が、行動のきっかけになりやすいと考えられます。
コンテンツに求められるのは、売り込みではなく「課題に気づかせること」です。まだ何かを買おうとしていない段階なので、製品説明を届けても刺さりません。
検討段階:「どんな選択肢があって、他社はどうしているのか」
課題の存在を認識し、解決策を探し始めているフェーズです。「どんな方法があるのか」「自分たちと似た状況の会社はどうしているのか」を知りたいという状態にある。
ここで強く働くのが「社会的証明」への欲求です。自分たちだけで判断するよりも、「同じような課題を持つ他社がどう解決したか」という情報が判断の拠り所になります。また、「この分野に詳しい人は何と言っているか」という権威への信頼も働きやすいです。
選択肢を広げながらも、「どれが自分たちに合いそうか」を絞り込もうとしている段階なので、比較の材料になる情報や、第三者の視点が届くと反応しやすいと考えられます。
比較・選定段階:「失敗しない選択ができるか」
いくつかの選択肢に絞り込み、どれにするかを判断しようとしているフェーズです。このフェーズでとくに強く働くのが「損失回避」の心理です。
「選んで失敗したら自分の評価が下がる」
「導入してうまくいかなかったときに責任を問われる」
こうした不安が意思決定の足を引っ張ることがあります。決め手になるのは「これを選べば失敗しない理由」であり、機能の優秀さよりも安心感が求められる段階でもあります。
また、決断が近づくにつれて「いま動く理由」も必要になってきます。このままにしていることのコスト、あるいは今動くことのメリットが明確になると、最後の一歩が出やすくなります。
フェーズ×心理でコンテンツを選ぶ
フェーズごとの心理が整理できると、「なぜそのコンテンツを届けるのか」という根拠を持てるようになります。以下に、各フェーズの心理に対応するコンテンツの考え方を整理しました。
| フェーズ | 顧客心理のポイント | 刺さりやすいコンテンツの方向性 |
|---|---|---|
| 認知段階 | 【現状維持バイアス】 「動く理由」がないと動かない |
|
| 検討段階 | 他社事例・専門家の意見を判断の拠り所にしたい |
|
| 比較・選定段階 | 失敗しない選択をしたい。安心できる根拠を求めている |
|
上記の「コンテンツの方向性」はあくまで考え方の軸であって、これ以外を届けてはいけないということではありません。重要なのは、「このフェーズにいる人が今何を気にしているか」を出発点にしてコンテンツを選ぶ、という順番です。
よくある“ズレ”のパターン
フェーズと心理を整理せずにコンテンツを選ぶと、以下のようなズレが起きやすくなります。
| よくあるズレ | 何が問題か |
|---|---|
| 認知段階に製品説明を届ける | まだ解決策を探していない段階なので、「自分には関係ない」と感じてスルーされる |
| 検討段階にいきなりデモ案内を送る | 選択肢を比較している段階で商談を求めても、時期が早すぎて引かれてしまう |
| 比較・選定段階に入門コンテンツを送る | すでに一定の知識がある状態なので、「また同じような話か」と感じてしまう |
| 全フェーズで同じトーンのコンテンツを届ける | フェーズが進んでも届くものが変わらないため、関係が深まらない |
実際にカスタマージャーニーを描いてみる
具体的なイメージをつかむために、あるペルソナを例に各フェーズの心理とコンテンツの流れを追ってみます。
ペルソナの設定 氏名:山田さん(仮) |
認知段階:「自分たちのやり方に問題があるとは気づいていない」
山田さんは毎週メールを配信しているので、「ナーチャリングはやっている」という認識があります。ただ、「メール配信=ナーチャリング」になっている可能性には気づいていません。
この段階で届けるべきコンテンツは、「自分たちのやり方を疑うきっかけ」です。「開封率が高いのに商談につながらない場合、こういう問題が潜んでいることがある」というコラムや、「ナーチャリングの設計チェックリスト」のような、自分ごと化しやすい切り口が刺さりやすいと考えられます。
製品やサービスの説明をこの段階で送っても、「今は関係ない」とスルーされてしまいます。まず「自分たちに課題がある」という認識を持ってもらうことが先です。
検討段階:「他のチームはどうやっているのか知りたい」
課題の存在に気づいた山田さんは、「うまくいっているチームはどうしているのか」を調べ始めます。この段階では、事例や比較情報への関心が高まります。
- 同じような状況から改善したチームの事例
- ナーチャリングの設計方法の解説
- よくある失敗パターンの整理
といったコンテンツが、判断の材料として機能しやすいと考えられます。「他社も同じ課題を持っていて、こうやって解決した」という社会的証明が、「自分たちも変えてみよう」という気持ちを後押しします。
比較・選定段階:「失敗しないために、信頼できる相手と進めたい」
具体的に動き始めようとしている山田さんは、「どこに相談すれば安心か」「サポートはしっかりしているか」「導入してうまくいかなかったときにどうなるか」を気にし始めます。
ROI事例や費用対効果の情報、具体的な導入ステップの説明、サポート体制の詳細といったコンテンツが、「この選択は安全だ」という安心感を与えます。また、デモや個別相談の案内は、このフェーズで初めて有効になります。認知段階や検討段階でデモを勧めても早すぎますが、ここでは「一度話を聞いてみよう」という気持ちになりやすいと考えられます。
カスタマージャーニーをナーチャリングのシナリオに落とし込む
カスタマージャーニーで「フェーズ×心理×コンテンツ」の対応が整理できたら、それをナーチャリングのシナリオに組み込みます。
「ナーチャリングを『設計する』とはどういうことか」の記事で紹介したシナリオの「入口・中盤・出口」の構成と対応させると、以下のようになります。
| シナリオの段階 | 対応するフェーズと心理 |
|---|---|
| 入口 | 認知段階:課題に気づかせ、「もう少し知りたい」という状態を作る |
| 中盤 | 検討段階:選択肢を整理しながら、「この方向性が合いそう」という判断を後押しする |
| 出口 | 比較・選定段階:「この選択は安全だ」という安心感を与え、次のアクション(相談・デモなど)に誘導する |
シナリオを設計するときに「この段階のコンテンツは何を達成すればいいか」という目的を心理ベースで持っておくと、コンテンツ選定の判断がしやすくなります。「このコンテンツは、今のフェーズにいる人が気にしていることに答えているか」という問いが、コンテンツの適切さを確認するシンプルな基準になります。
既存コンテンツをジャーニーにマッピングする
手元にあるコンテンツをカスタマージャーニーに当てはめてみると、「特定のフェーズのコンテンツが薄い」「認知段階のものばかり揃っている」といった偏りが見えてくることが多いです。
以下のような形で既存コンテンツを整理してみると、どこを補強すべきかが分かりやすくなります。
| コンテンツ名 | 対応フェーズ | 届けたい心理への対応 |
|---|---|---|
| ナーチャリング設計チェックリスト | 認知段階 | 「自分たちに課題があるかも」と気づかせる |
| 他社事例インタビュー記事 | 検討段階 | 「同じ状況の会社がうまくいった」という社会的証明 |
| ROI計算シート・費用対効果の事例 | 比較・選定段階 | 「失敗しない選択だ」という安心感を与える |
| デモ・個別相談の案内 | 比較・選定段階 | 「信頼できる相手と具体的に話したい」という気持ちに応える |
このマッピングをやってみて穴が多いフェーズが見つかったら、コンテンツの棚卸しと転用を参考に、素材を補っていきます。
まとめ
ナーチャリングのコンテンツが刺さらない原因の多くは、フェーズの行動定義はできていても、そのフェーズにいる人の「心理」が整理できていないことにあります。
カスタマージャーニーを「行動の地図」ではなく「フェーズごとの心理とコンテンツの設計図」として使うことで、「なぜそのコンテンツを届けるのか」という根拠を持てるようになります。そしてその根拠が、刺さるコンテンツと刺さらないコンテンツの差につながっていきます。
BtoBの購買担当者も、担当者である前に人間です。「失敗したくない」「他社と同じ選択で安心したい」「信頼できる情報に従いたい」という心理は、論理的な判断の裏側で常に働いています。その心理を無視したコンテンツは、どれだけ情報量が多くても「自分には関係ない話」として流れてしまいます。
本記事を参考に、フェーズと心理を合わせて整理するとともに、ナーチャリングのコンテンツ設計を見直してみてほしいと思います。
すぐにできること
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