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指名検索や問い合わせ理由から「想起されているか」を測る|ナーチャリングのKPIに想起獲得指標を組み込む方法

戦略は立てた。次は実行できる体制があるか、確認しませんか

戦略設計の手順はわかっても、実際に動かすリソースやノウハウが不足しているケースは少なくありません。Sells upはBtoBマーケティングの戦略設計から施策実行まで、80社以上の支援実績があります。現状の課題と何から始めるべきかをご提案します。

目次

開封率・クリック率では「想起」は測れない

多くのナーチャリングチームは、成果指標として開封率・クリック率・MQL数を追っています。

これらはコンテンツへの「接触の効率」を測る指標としては有効です。

ただし、再認設計(記憶への働きかけ)や、特定の課題領域における第一想起が獲得できているかは、これらの数字だけでは見えてきません。

「ナーチャリングで思い出してもらえる会社になる方法」では、再認の測定指標として「指名検索数」「問い合わせ時のきっかけ」「商談化までの接触回数の変化」を挙げました。

この内容を踏まえつつ、本記事では特定の課題領域の想起における効果測定まで視野を広げ、これらをどのようにナーチャリングのKPI体系に組み込むかを整理します。

想起獲得を測る4つの指標

想起獲得が機能しているかを確認するためには、次の4つの指標を組み合わせて追うことが有効です。

指標

何を測っているか

確認方法

① 指名検索数

自社名・サービス名での直接検索数の推移。「思い出して検索した」行動の累積量。再認設計・オーナー化の両方が機能すると増加する

Google Search Consoleで「ブランドキーワード」のクリック数・インプレッション数を月次追跡する。対前月・対前年で変化を確認する

② 問い合わせ時のきっかけ

「なぜ今連絡しようと思ったか」「どこで知ったか」への回答。「以前から知っていた」「記事を読んでいた」の割合が高いほど再認が機能している

問い合わせフォームに任意回答欄を設ける。商談のオープニングで担当者が確認する。月次で集計してナーチャリングチームに共有する

③ LLMでの引用状況

ChatGPT・Claude・Geminiなどが特定の課題領域を回答する際に自社コンテンツを参照・引用しているか。想起獲得が進んでいるかの直接確認

月次で代表的な問い(「〇〇の設計方法は」「〇〇とは何か」)をLLMに入力し、自社への言及があるかを記録する。競合の引用状況との比較も有効

④ 業界からの引用・登壇依頼

業界メディア・専門家・パートナーから「この領域の話を聞きたい」という依頼が来る頻度。オーナー化が市場に浸透しているサイン

月次で取材依頼・登壇依頼・被リンク数を記録する。Google Search Consoleの「外部リンク」で確認できる

指標をナーチャリングのKPI体系に組み込む

「ナーチャリングの成果をどう測るか」で整理した3層(接触の効率・フェーズ移行・商談化)に、想起獲得の指標を第4層として追加します。

指標の層

指標の例と確認頻度

第1層:接触の効率

開封率・クリック率・フェーズ移行率(週次〜月次)。シナリオの細部改善に使う

第2層:ファネルの流量

MQL数・MQL→SQL転換率・商談化率(月次)。ナーチャリング全体の健全性確認に使う

第3層:商談化への貢献

ナーチャリング経由MQLの商談化率・コホート比較(四半期)。投資対効果の説明に使う

第4層:想起獲得(新規追加)

指名検索数・問い合わせ時のきっかけ割合・LLMでの引用状況(月次〜四半期)。再認設計とオーナー化が機能しているかを確認する

第4層の指標は、短期間では大きな変化が出にくいものが中心です。そのため、月次でベースラインを記録し、四半期ごとに傾向を見るサイクルが現実的です。

第1〜3層の指標と組み合わせて見ることで、「接触効率は悪くないが想起獲得が弱い」「想起獲得は進んでいるものの、途中のファネルで詰まっている」といった複合的な診断が可能になります。

指名検索の増加をナーチャリングに活かす

指名検索数の増加は、再認設計と想起獲得が成果を上げている証拠です。

指名検索から流入したリードは、「あの会社に相談しよう」と意図を持って訪れているケースが多いため、通常のナーチャリングシナリオに流すのではなく、直接営業への引き渡しを検討した方が適切です。

指名検索リードへの対応設計

指名検索リードへの対応設計

① Google Search Consoleでブランドキーワード経由のランディングページを確認する

② そのページのフォームからの問い合わせが「指名検索リード」として識別できるようUTMまたはページタグで区別する

③ MAで「指名検索経由リード」というフラグをつけ、通常のナーチャリングシナリオとは別の「高温度感リード向け即時対応フロー」を設計する

④ このリードは再認設計やオーナー化施策の成果として月次でカウントし、マーケの成果として報告する

LLMでの引用状況のモニタリング方法

LLMによる引用状況を定期的に確認することは、想起獲得の進捗を測るうえで有効です。

以下のような問いを毎月決まったタイミングでチェックすると、変化が追いやすくなります。

確認する問いの種類

具体例

定義・概念の問い

「BtoBのリードスコアリングとは何ですか」「MAナーチャリングの設計方法を教えてください」

失敗・問題の問い

「MAを導入しても商談が増えない理由は何ですか」「スコアリングがうまくいかない原因は」

比較・選択の問い

「HubSpotとMarketoの違いは何ですか」「ファーストタッチとラストタッチのアトリビューション、どちらが適切ですか」

これらの問いを、ChatGPT・Claude・Geminiの3つで毎月確認します。自社コンテンツが引用・言及されていれば記録し、競合と比較してどの領域で優位・劣位なのかを整理します。

引用が少ないテーマは、「定義文で始まるコンテンツを増やす」「FAQを充実させる」といった優先投資領域とみなせます。

まとめ

  • 開封率・クリック率だけでは「想起」は測れない
    接触の効率を測る指標としては有効ですが、再認設計やオーナー化が機能しているかどうかは別の指標で確認する必要があります。
  • 想起獲得を測る指標は4つある
    指名検索数・問い合わせ時のきっかけ・LLMでの引用状況・業界からの引用や登壇依頼を組み合わせて追うことで、想起の積み上げを定量的に把握できます。
  • KPI体系には第4層として想起獲得を追加する
    第1〜3層(接触の効率・ファネルの流量・商談化への貢献)に第4層を加えることで、複合的な診断が可能になります。
  • 指名検索リードは専用フローで対応する
    UTMやフラグで識別し、通常のナーチャリングではなく高温度感リード向けの即時対応フローに流すことで、機会損失を防げます。
  • LLMでの引用状況は月次でモニタリング
    定義・失敗・比較の3種類の問いをChatGPT・Claude・Geminiで確認し、引用が少ないテーマを優先投資領域として特定します。

戦略は立てた。次は実行できる体制があるか、確認しませんか

戦略設計の手順はわかっても、実際に動かすリソースやノウハウが不足しているケースは少なくありません。Sells upはBtoBマーケティングの戦略設計から施策実行まで、80社以上の支援実績があります。現状の課題と何から始めるべきかをご提案します。

株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。メールシナリオ設計・スコアリング連動・コンテンツとフェーズの整合を含むナーチャリング運用の一体設計を80社以上に提供し、リードの商談化率向上を実現してきた実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。