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BtoB向けステップメールで商談化率UP!自動でリード育成する設計術

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目次

「リードを獲得しても、その後のフォローが手薄で、商談につながらない」
「フォロー施策を導入したいけれど、設計が難しくて手が止まっている」

これは、BtoBマーケティングの現場でよく聞かれる、切実な悩みではないでしょうか。

検討期間が長いBtoBの取引では、見込み顧客との関係をじっくり育てるプロセスが欠かせません。しかし、限られた人員ですべてのリードに、適切なタイミングで情報を届け続けるのは、至難の業です。

この壁を打ち破るのが、顧客の行動に合わせて自動でメールを届ける、ステップメールという手法です。

ステップメールは、まるで優秀な営業担当者が寄り添うように、顧客一人ひとりの関心を育て、商談へと導いてくれます。

この記事では、BtoBに特化したステップメールについて、わかりやすく解説します。

【この記事を読むと得られるメリット】

・ステップメールの基本から学べる

・具体的な作成手順がわかり、実務ですぐ活用できる設計力が身につく

・目的別シナリオ事例を参考にして、自社のリード育成施策を構築できる

効率的に見込み顧客を育て、商談へつなげる確率を高めるために、本記事をぜひお役立てください。

1.BtoBにおけるステップメールとは?基本の知識

まずは、BtoBにおけるステップメールについて、基本的な事項から確認していきましょう。以下のポイントを解説します。

1. ステップメールは段階的に複数のメールを自動配信する仕組み

2. 配信トリガーの例

3. メルマガは一斉配信でステップメールは個別最適化

4. ステップメールは段階的なシナリオで育成するのが特徴

5. ステップメールの配信に使うツール

1-1.ステップメールは段階的に複数のメールを自動配信する仕組み

ステップメールは、見込み顧客の特定の行動をきっかけとして、あらかじめ設定したシナリオに基づき、段階的に複数のメールを自動送信する仕組みです。

たとえば、「ホワイトペーパーをダウンロードした直後に感謝メールが届き、3日後には関連する成功事例、1週間後にはウェビナー案内が送られる」といった流れを自動で実行します。

ステップメールを活用すると、担当者の工数を削減しながら、見込み顧客一人ひとりに最適なタイミングで情報を届けられます。人的リソースに制約があっても、多数のリードを漏れなくフォローし続けられるメリットがあります。

1-2.配信トリガーの例

BtoBのステップメールでよく使われるトリガーとしては、以下が挙げられます。

【配信トリガーの例】

資料ダウンロード:Webサイトから特定の資料を入手した見込み顧客に対し、関連情報を段階的に提供します。ダウンロード直後の関心が高い時期を逃さず、適切な情報提供で育成を開始できます。

セミナー参加:自社イベントへ参加した顧客には、参加御礼と追加情報を配信します。イベント後の熱量が高いタイミングで、次のアクションへ誘導しやすくなります。

トライアル登録:無料試用を開始した見込み顧客に、活用方法や成功事例を提供し、本契約へ導きます。試用期間中に製品価値を最大限理解してもらい、契約率を高めます。

こういったトリガーを設定しておき、関心が高まった瞬間から自動でフォローをスタートすることが、ステップメールの重要なポイントとなります。適切なタイミングで情報を届けるからこそ、商談化までの歩留まりを大きく改善できるのです。

1-3.メルマガは一斉配信でステップメールは個別最適化

ステップメールをしっかり理解するためには、メルマガとの違いを意識することが役立ちます。

【メルマガとステップメールの違い】

配信タイミング:メルマガは決まった曜日や時刻に全員へ一斉送信しますが、ステップメールは各顧客の行動起点から個別にカウントして配信します。同じシナリオでも、Aさんは今日1通目、Bさんは来週2通目というように進行度が異なります。

コンテンツの関連性:メルマガは汎用的な情報を幅広く届けますが、ステップメールは受信者の直近の行動に紐づく内容を配信します。受信者にとって「まさに今必要な情報」として認識されやすく、開封率やクリック率も高まる傾向にあります。

シナリオの連続性:メルマガは各号が独立した読み切り型ですが、ステップメールはストーリー性を持った連続配信です。前回のメール内容を踏まえて次のメールが展開されるため、段階的な理解促進や信頼構築を図るために有益です。

このような違いから、メルマガは幅広い情報提供による認知維持に、ステップメールは個別リードの育成と商談化に適しています。両者を使い分ければ、マーケティング施策全体の効果を最大化できるでしょう。

1-4.ステップメールは段階的なシナリオで育成するのが特徴

ここまで見てきたとおり、ステップメールの最大の特徴は、複数回のメール配信を通じて段階的にリードを育成していく点にあります。

単発のメールでは伝えきれない情報や醸成できない信頼関係を、連続するメールの流れによって少しずつ構築していく設計です。

【典型的な育成ステップの構成の例】

認知・関心喚起:最初の接点となる1通目では感謝を伝えつつ、業界動向や課題に気づくきっかけとなる情報を提供します。押し売り感を排除し、まずは有益な情報源として認知してもらうことが目的です。

課題の明確化:2〜3通目で、見込み顧客が抱えやすい具体的な課題を提示し、共感を得ます。「多くの企業が同様の悩みを持っています」という形で、自分事として捉えてもらう工夫が重要です。

解決策の提示:4〜5通目で、自社製品やサービスがどのように課題解決に貢献できるかを示します。導入事例や具体的な効果を数値で示せば、説得力を高められます。

行動への誘導:最終段階で、無料相談や個別デモといった次のアクションを提案します。ここまでの信頼構築により、ハードルを感じずに問い合わせしてもらえる関係性が築けています。

営業担当者が本来行うべき丁寧なフォローアップを、自動化されたメールで再現するのがステップメールです。一度設定すれば、多数の見込み顧客に対して同時並行で育成プロセスを実行でき、効率と効果を両立できます。

1-5.ステップメールの配信に使うツール

ステップメールを効果的に運用するためには、自動配信機能を備えた専用ツールの活用が不可欠です。ツールを利用すれば、「誰に」「いつ」「どのメールを送るか」を正確に管理でき、人的リソースをかけずに継続的なリード育成を実現できます。

BtoBの現場でよく使われる代表的なツールは、以下のとおりです。

ツール名
特徴・強み
向いている企業
HubSpot

世界的に利用されるマーケティングオートメーション(MA)ツール。ステップメール配信だけでなく、リードスコアリングや営業連携までを一元管理できる。

MAをこれから本格導入したい中小〜中堅BtoB企業
Salesforce Account Engagement

Salesforceとの連携を前提としたMAツール。商談管理やSFA(営業支援システム)とのデータ連携がスムーズで、エンタープライズ企業に人気。

営業部門との連携を重視する大企業
Adobe Marketo Engage

高度なシナリオ設計が可能で、複数の条件分岐やパーソナライズ配信に対応。複雑なナーチャリング設計に最適。

大規模組織・グローバル展開企業

これらのツールはいずれも、単なるメール配信システムではなくリード管理・スコアリング・営業連携を含めた「育成プラットフォーム」として機能します。

ステップメールを導入する際は、単に「メールを送る仕組み」ではなく、「リードをどのように商談化まで導くか?」という全体設計を意識することが重要です。

「どのようなツールを選ぶべきかわからない」という場合には、ぜひSells upにご相談ください。貴社のステップメールの効果を最大化する最適なツールの導入から戦略設計までサポートします。

また、以下の記事も、あわせて参考にしてみてください。


【実践的】MAツールの10つの選び方と失敗しないためのコツ

sellsup.co.jp

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2.BtoBでステップメールが効果的な3つの理由

ステップメールがBtoB領域でとくに注目される背景には、BtoB特有のビジネス構造との相性の良さがあります。BtoBビジネスでステップメールが高い効果を発揮する3つの理由を見ていきましょう。

1. リードの関心度に合わせた情報提供で商談化率が向上する

2. 自動配信により継続的なフォローを実現できる

3. 長期検討が必要なBtoB商材との相性が良い

2-1.リードの関心度に合わせた情報提供で商談化率が向上する

すべてのリードに同じメッセージを送る従来の手法では、関心が薄い層には刺さらない一方、検討が進んだ層には物足りない内容になりがちでした。

ステップメールでは、見込み顧客の検討段階に応じて配信内容を最適化できるため、商談への転換率が大幅に高まります。

たとえば、まだニーズが顕在化していない層には、教育的コンテンツで課題に気づいてもらいます。興味を示した層には解決策や事例を提示し、比較検討の段階にある層には、詳細な製品情報や個別相談を提案します。

ステップメールによる段階的なアプローチは、リードナーチャリング(見込み客の育成)の中核を担う存在です。

2-2.自動配信により継続的なフォローを実現できる

BtoB営業では、見込み顧客と長期にわたり接点を維持することが重要です。しかし、人手だけで全リードを継続的に追うのは、現実的に困難です。

そこでステップメールの自動配信の機能を活用すれば、設定したシナリオ通りにフォローが実行され、機会損失を大幅に削減できます。

手動フォローでは放置されていたリードにも確実にアプローチでき、担当者の経験やスキルにも左右されません。

見込み顧客側にとっても、継続的な情報提供を受けられる利点があります。シナリオに沿った定期的なフォローにより、関心が冷めにくく、購買検討の対象に残り続けやすくなるのです。

2-3.長期検討が必要なBtoB商材との相性が良い

高額で導入ハードルが高いBtoB商材の場合、購入決定までに数カ月から1年以上を要することも珍しくありません。この長期の検討期間中に、自社への興味を維持し、稟議が通ったタイミングで真っ先に声をかけてもらえるかが勝負となります。

見込み顧客が社内で協議を重ねる間、継続的に有益な情報を提供し続けることが、信頼関係を深めるために不可欠です。ステップメールなら、認知段階から最終決定に至るまでの長いジャーニー全体をカバーする設計が可能です。

たとえば、半年〜1年に及ぶ大型案件でも、ステップメールを配信し続ければ、関係性を維持できます。時間をかけてアプローチできるステップメールは、BtoB商材に最適な手法といえます。

3.ステップメール作成の具体的な進め方 6つのステップ

ステップメールは非常に有益な手法ですが、やみくもに始めても期待した成果は得られません。ここではBtoB向けステップメールの作成を、6つのステップに分解して解説します。

1. ステップ1:誰に送るか対象を明確化しセグメント分類する

2. ステップ2:ゴール設定で資料請求や商談などの最終目標を決める

3. ステップ3:カスタマージャーニーを意識したシナリオを設計する

4. ステップ4:各段階で配信するメールを作成する

5. ステップ5:配信タイミングと頻度を設定し自動化する

6. ステップ6:開封率やクリック率を分析し継続的に改善する

3-1.ステップ1:誰に送るか対象を明確化しセグメント分類する

ステップメール成功の第一歩は、配信対象の明確な定義です。まず自社のリード獲得経路を洗い出しましょう。

【効果的なセグメント分類の軸】

行動トリガー別に分ける:資料請求者・セミナー参加者・名刺交換者など、最初の接点の種類で分類します。各トリガーに応じた文脈でメールを始められるため、受信者の記憶に残りやすく初回開封率が高まります。

検討のフェーズ別に分ける:認知段階・興味や関心の段階・比較や検討の段階といった購買ステージで分けます。それぞれのフェーズに適した情報提供ができるため、押し付け感なく段階的に育成できます。

企業属性別に分ける:業種・企業規模・役職などの属性情報でセグメントします。より具体的な課題に踏み込んだメッセージができるようになり、「自社のことを理解してくれている」という信頼感を醸成できます。

かけられるリソースが限られている場合は、まず影響の大きいセグメントから着手するのが賢明です。

たとえば商談転換率の高い「製品詳細ページ閲覧後の資料請求者」向けシナリオを優先的に構築し、徐々に対象を広げていく、といった段階的なアプローチを考えましょう。

セグメント分類については、以下の記事もあわせてご覧ください。


BtoBセグメンテーションとは?切り口で悩まない実践方法まで解説

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3-2.ステップ2:ゴール設定で資料請求や商談などの最終目標を決める

次に、「ステップメールを通じて、見込み顧客に最終的に取ってもらいたいアクション」を明確に定めます。

重要なのは、リードの検討段階に見合った現実的なゴール設定です。いきなり「成約」を目標にすると、メール内容が強引になってしまうため、逆効果です。

【検討段階別の適切なゴール設定】

認知フェーズのリード:ホワイトペーパーのダウンロードやウェビナーへの参加申込をゴールにします。まだ自社への理解が浅い段階では、教育的コンテンツへの誘導で、関係を深めることを優先してください。

関心フェーズのリード:製品の詳しい資料請求や事例集の閲覧をゴールに設定します。ある程度興味を持ち始めた層には、より具体的な情報提供で検討を前進させましょう。

検討フェーズのリード:個別デモ依頼や見積もり請求といった、商談に近いアクションをゴールとします。購買意欲が高まった層には、具体的な提案機会を創出することを目指します。

ゴールが明確になれば、そこへ至る道筋が逆算で設計できます。

たとえば、「最終的にデモ申込をしてもらうには、その前にどんな情報や不安解消が必要か?」のような視点で、メール全体の流れを組み立てられるようになります。

3-3.ステップ3:カスタマージャーニーを意識したシナリオを設計する

ターゲットとゴールが定まったら、見込み顧客がゴールに到達するまでの心理的な変化を想定しながら、メールの流れを組み立てます。

各メールに明確な役割を与え、全体として一貫したストーリーを描くことが重要です。

【効果的なシナリオ構成の要素(一例)】

信頼を構築するフェーズ:初回メールでは感謝を伝えつつ、押し売りせず有益な情報提供に徹します。「この会社からのメールは読む価値がある」という第一印象を形成すれば、以降の開封率を高められます。

課題を喚起するフェーズ:2〜3通目で、見込み顧客が気づいていない・言語化できていない課題を明示します。「多くの企業が同様の悩みを抱えています」という共感から入り、自分事として捉えてもらうことが狙いです。

解決策を提示するフェーズ:4〜5通目で、自社製品やサービスがどう課題解決に貢献するかを具体的に示します。ただし、売り込み色を強めすぎず、あくまで選択肢のひとつとして提示する姿勢を保ちます。

行動を促進するフェーズ:最終メールで、ゴールアクションへの明確な誘導を行います。「無料」「限定」「簡単」といったキーワードでハードルを下げつつ、行動を促す工夫をします。

さらに高度な設計としては、分岐シナリオも検討しましょう。たとえば「2通目のリンクをクリックした人には詳細事例を、クリックしなかった人には別角度の課題提起を送る」といった、反応に応じた出し分けを考えます。

3-4.ステップ4:各段階で配信するメールを作成する

シナリオの骨格が決まったら、各通のメール本文を具体的に作り込みます。

【メール作成の重要ポイント】

件名を工夫する:件名は開封率を左右する最重要の要素です。受信トレイで埋もれないよう、一目で内容の価値が伝わる具体性を持たせましょう。

1通1テーマの原則を守る:各メールではひとつのトピックに絞り込みます。複数の話題を詰め込むと焦点がぼやけ、最後まで読まれません。

価値提供を優先する:とくに序盤のメールでは、自社商品の宣伝より見込み顧客にとって役立つ情報の提供を優先します。業界トレンドや課題解決のヒントなど、「読んで良かった」と思ってもらえる内容にすれば、継続的な開封率を維持できます。

明確なCTA(行動喚起)を設置する:メール末尾には、次に取ってほしいアクションを明示します。「今すぐ無料で資料をダウンロード」のようなボタン形式が効果的です。

本文の文体も工夫が必要です。BtoBだからといって堅苦しすぎる表現は避け、適度に親しみやすさを持たせましょう。

すべてのメールが完成したら、通しで読み返し整合性を確認します。

3-5.ステップ5:配信タイミングと頻度を設定し自動化する

メール内容がそろったら、配信スケジュールの設定に移ります。

1通目の配信タイミングは、トリガー発生からできるだけ早く設定するのが鉄則です。資料請求への御礼なら24時間以内、セミナー参加後のフォローなら終了直後から翌日以内が望ましいでしょう。

【配信間隔の設計原則】

前半は短く後半は長くする:初期の数通は毎日〜数日おきの短い間隔で集中的に送り、後半は徐々に間隔を空けていく設計が一般的です。たとえば5通シリーズなら「初日→3日後→1週間後→2週間後→1カ月後」といった具合に、徐々に頻度を落とします。

読者の受信負荷を考慮する:たとえば、全10通を毎日送ると、しつこく感じられる恐れがあります。とくに後半のメールは「忘れた頃に思い出してもらう」程度の頻度が適切です。

曜日・時間帯を最適化する:BtoBの場合、平日の業務時間帯(火〜木の午前中など)が比較的開封されやすいとされます。ただしターゲットによって異なるため、自社の過去データを参考に決定します。

さらに条件分岐や停止条件の設定も忘れずに行います。「3通目を開封しなかった人にはリマインドを送る」「途中で商談化したら配信を自動停止する」など、柔軟な制御で無駄な配信を減らしましょう。

3-6.ステップ6:開封率やクリック率を分析し継続的に改善する

ステップメール配信後は、効果検証と改善のサイクルを回し続けることが成功の鍵です。

主要な分析指標として、開封率・クリック率・コンバージョン率があります。開封率は件名や送信タイミングの良し悪しを示し、クリック率・コンバージョン率はメール本文の訴求力を示します。

【継続的な改善のための分析ポイント】

シナリオ完走率を追跡する:全何通のうち何通目まで読まれたか(配信停止されたか)を確認します。特定の通数で大量に離脱している場合、その内容に問題がある可能性が高まります。

A/Bテストを実施する:件名やCTAボタンの文言を複数パターン用意し、どちらが高い反応を得られるか検証します。小さな改善の積み重ねが、全体の成果を大きく左右します。

市場環境へ適応する:顧客ニーズや市場環境は常に変化するため、3〜6カ月に一度は内容を点検し、陳腐化した情報がないか確認します。

さらに営業部門との情報共有も欠かせません。どのリードがどのメールで反応したかというデータは、営業活動と直結する貴重な情報です。

また、法令遵守も忘れてはならないポイントです。特定電子メール法により、広告・宣伝を目的とするメールは、配信の停止希望への対応が義務付けられています。

参考:総務省・消費者庁「特定電子メールの送信等に関するガイドライン」

4.【目的別】BtoBで即使えるステップメールシナリオの具体例

理論を理解しても、実際にどのようなメールを送ればよいか具体的にイメージできなければ、実践は難しいものです。ここでは、BtoBマーケティングで頻繁に遭遇する5つのシチュエーション別に、すぐに活用できるステップメールシナリオを紹介します。

1. 【資料DL後】お役立ち情報で信頼関係を構築するシナリオ

2. 【セミナー参加後】参加のお礼と関連情報で熱量を維持するシナリオ

3. 【名刺交換後】自己紹介から課題を喚起するシナリオ

4. 【トライアル後】活用促進と導入事例で本契約を後押しするシナリオ

5. 【休眠顧客向け】最新情報で再び関心を引く掘り起こしシナリオ

4-1.【資料DL後】お役立ち情報で信頼関係を構築するシナリオ

Webサイトから自社資料をダウンロードした見込み客は、何らかの課題や関心を持って接触してきた貴重なリードです。

資料ダウンロード直後から約3週間にわたり、合計5通程度のメールを配信する流れを設計してみましょう。

【資料DL後シナリオの具体的な流れ】

1通目(即時)にダウンロード御礼を送る:資料入手への感謝を伝えつつ再確認用リンクを案内します。件名例は「導入ガイドのご提供ありがとうございます」、本文では「とくに○○のセクションが、○○様の参考になるはずです」のように付加価値を添えます。

2通目(3日後)に補足情報を提供する:件名例は「導入時に見落としがちな3つのポイント」、資料では触れきれなかった実践的なヒントを紹介します。CTAは関連ブログ記事への誘導です。

3通目(7日後)に成功事例を紹介する:件名例は「年間コスト30%削減を実現した企業の事例」、数値や具体的な取り組み内容で説得力を持たせます。CTAは事例詳細ページへのリンクです。

4通目(14日後)にウェビナーへ招待する:件名例は「最新活用術を徹底解説するオンラインセミナーのご案内」、より深い情報提供の場を提示します。CTAはセミナー申込フォームです。

5通目(21日後)に個別相談へ誘導する:件名例は「貴社の課題に合わせた無料相談のご提案」、ハードルの低い無料相談で商談へ近づけます。CTAは相談予約フォームへのリンクです。

このシナリオでは、資料提供→補足情報→事例→イベント→相談という段階的な流れで、自然に商談手前まで誘導しています。各段階で価値提供を続ければ、「売り込まれている」という抵抗感を与えずに関係を深められます。

4-2.【セミナー参加後】参加のお礼と関連情報で熱量を維持するシナリオ

自社主催のウェビナーやセミナーに参加したリードは、能動的に時間を割いてくれた高関心層です。

セミナー申込から開催後までの一連の体験として設計し、約1週間強の間に合計5通程度のメールを送る流れが効果的です。

【セミナー後フォローシナリオの設計】

1通目(申込直後)に参加情報を確認する:セミナー申込への感謝を伝え、開催日時と視聴URLを案内しつつ、当日の内容予告で期待感を高めます。CTAはカレンダー追加リンクです。

2通目(開催前日)にリマインドする:件名例は「明日開催・接続テストのお願い」、スムーズな参加のための準備事項を案内します。CTAは視聴URLの確認です。

3通目(開催直後)に資料を提供する:セミナー参加への御礼とともに、使用資料を提供します。件名例「本日はご参加ありがとうございました・資料送付」、アンケート協力も依頼します。

4通目(3日後)に内容を深掘りする:件名例は「セミナーでご紹介した機能の詳細活用法」、追加の事例や実践的なTipsを提供します。CTAは関連資料への誘導です。

5通目(7日後)に個別相談を提示する:件名例は「セミナー内容に関するご質問・ご相談を承ります」、疑問点の解消や自社ケースでの活用相談を受け付けます。CTAは問い合わせフォームです。

セミナー参加者は知識欲が高まっている状態なので、熱が冷めない1週間以内に個別コンタクトの機会を提示することが重要です。

4-3.【名刺交換後】自己紹介から課題を喚起するシナリオ

展示会やカンファレンスで名刺交換をした見込み客は、多数の企業と接触する中で自社にも興味を示してくれた貴重なリードです。

展示会が終了した後から約1カ月程度をかけて、全4通ほどのステップメールを送る設計を組みましょう。

【名刺交換後フォローシナリオの構成】

1通目(イベント後1〜2日)に自社を再紹介する:来訪への感謝と自社の再紹介を行います。件名例は「○○展示会でのご来場ありがとうございました」、ブースで話せなかった自社の強みを簡潔に補足します。

2通目(1週間後)に課題を提起する:件名例は「業務効率化における3つの課題と解決のヒント」、見込み客が抱えやすい問題を提示して共感を得ます。CTAは関連記事やレポートへのリンクです。

3通目(2週間後)に活用事例を紹介する:件名例は「導入企業が実感した5つの改善効果」、具体的なメリットを数値で示します。CTAは製品デモ動画の視聴や詳細資料のダウンロードです。

4通目(1カ月後)に特別提案をする:件名例は「○○展示会に来場した方に限定・無料トライアルのご案内」、特別感を演出して次のステップへの移行を後押しします。CTAはトライアル申込フォームです。

このシナリオでは、感謝→課題提起→解決策提示→具体提案という段階を踏んでいます。段階的に価値を提供しながら関係を深め、「あの展示会で名刺交換した会社の製品、試してみようか」という気持ちを引き出しましょう。

4-4.【トライアル後】活用促進と導入事例で本契約を後押しするシナリオ

無料トライアルを開始した見込み顧客は、すでに一定の購買意欲を持つ重要なリードです。トライアル開始から終了直後までをカバーし、計5通程度のメールを送る設計が効果的です。

【トライアル期間中のフォローシナリオ】

1通目(登録直後)に初期設定を支援する:トライアル開始への歓迎と初期設定ガイドを提供します。件名例は「○○トライアルへようこそ・スタートガイド」とし、ログイン手順や基本操作を案内します。

2通目(2〜3日後)に人気機能を紹介する:件名例は「試してほしい便利機能ベスト3」、トライアル期間中に体験すべき重要な機能にフォーカスします。CTAは機能紹介ページや操作動画へのリンクです。

3通目(5日後)にサポート体制を案内する:件名例は「お困りごとはありませんか・サポート窓口のご案内」、FAQやヘルプデスクへの導線を明示します。CTAはサポートページへのリンクです。

4通目(終了4日前)に成功事例を紹介する:導入に成功した他社の事例を紹介し、本契約への心理的後押しをします。件名例は「導入企業が達成した成果のご紹介」、具体的な数値や改善効果を示します。

5通目(終了当日)に本契約へ誘導する:トライアル終了の案内と本契約への誘導を行います。件名例は「トライアル終了・継続利用のご案内」、本契約へのスムーズな移行手続きを促します。

序盤で使い方を支援し、中盤でサポートを提示し、後半で成功事例を見せる設計です。「せっかくなら本契約して使い続けたい」という気持ちを醸成していきましょう。

4-5.【休眠顧客向け】最新情報で再び関心を引く掘り起こしシナリオ

過去に名刺交換や問い合わせがあったものの、その後長期間の反応がなくなった休眠リードに対し、再度興味を喚起して関係を再構築するシナリオです。

約1カ月にわたり合計4通程度のメールを送る設計を考えてみましょう。

【休眠顧客掘り起こしシナリオの流れ】

1通目(開始日)に最新情報を提供する:最新の業界レポートや有益情報を提供します。件名例は「業界動向レポート2025年版のご提供」、「ご無沙汰しております」とあいさつしつつ、有益な情報をお届けする姿勢を示します。

2通目(10日後・未開封者へ再送)に件名を変えて再送する:件名例は「お見逃しなく・業界レポートのご案内」、前回メールを見逃した方への再通知である旨を明示します。CTAは同じくレポートダウンロードです。

3通目(20日後)に別の切り口で問いかける:件名例は「業務効率化でお悩みではありませんか」、よくある課題を提示して別の関心フックで興味を引きます。CTAは課題解決ガイドへのリンクです。

4通目(30日後)に限定オファーを提示する:件名例は「特別ご招待・無料個別相談のご案内」、休眠顧客限定の特別な機会として無料相談や限定ウェビナーへ招待します。CTAは予約フォームや申込ページへのリンクです。

このシナリオの狙いは、まず有益情報で再エンゲージを試み、複数回アプローチしても反応がなければ特別なオファーで最後のひと押しをすることです。

少しでも反応があれば再度ナーチャリングの軌道に乗せ、それでも反応がなければ別のタイミングで再度アプローチを検討しましょう。

5.BtoBのステップメールを成功させる重要ポイント

ここまで、ステップメールの基本から具体的な作成手順、実践的なシナリオ例まで見てきました。しかし、これらの知識や手法を学んでも、実際の運用で期待した成果が出ないケースは少なくありません。

その原因の多くは、施策の「やり方」から入ってしまい、本来最初に固めるべき「戦略」が曖昧なままスタートしてしまうことにあります。以下のポイントを確認しましょう。

1. ツールや手法より先に戦略を固めることが大切

2. Why・What・Whoを明確にしてから実行しよう

5-1.ツールや手法より先に戦略を固めることが大切

ステップメールの成功を左右するのは、シナリオの巧拙やツールの機能ではなく、「なぜこの施策を行うのか?」という戦略(Why)から設計する「戦略ファースト」のアプローチです。目的が明確でなければ、どれだけ優れた手法を使っても、活動が目的を見失い成果に結びつきません。

多くの企業が「ツールを導入したが成果が出ない」「施策が場当たり的になる」と悩む原因は、戦略設計の欠如にあります。

「ステップメール機能があるから使ってみよう」とツールありきで始めたり、「開封率を上げる」といった個別指標に注力するあまり、最終ゴールである「商談数の増加」や「受注額の向上」から目が離れてしまうのです。

具体的な施策やツールの操作方法(How)は、あくまで戦略(Why/What/Who)を実現するための「手段」に過ぎません。土台となる戦略が曖昧なまま施策を先行させると、活動が事業成果に結びつかず、成果が出ないときも原因を特定できなくなります。

5-2.Why・What・Whoを明確にしてから実行しよう

ステップメール施策を戦略的に設計するには、Why(なぜ実施するのか)・What(何を達成するのか)・Who(誰をターゲットにするのか)という3つの要素を明確にすることが不可欠です。

これらが定まって初めて、配信するメールの内容や順序、測定指標といった具体論が意味を持ちます。

Whyでは「新規リードの放置率が高く商談化に至らない」といった具体的なビジネス課題を特定します。Whatでは「6カ月以内に商談化率を15%から25%に向上させる」など測定可能な目標を設定します。Whoでは「製造業の情報システム部門責任者」といった具体的なペルソナを定義すれば、どんな情報を届けるべきかが明確になります。

この3要素を整理し、チーム全員が同じ認識を持って動けるようにしましょう。

戦略が定まれば、シナリオ設計も配信タイミングの判断も迷わなくなり、成果が出ないときも戦略に立ち返って冷静に原因を分析できます。本記事で紹介した知識や手法を、自社の戦略に基づいてカスタマイズし、実践に活かしてください。

「戦略をどう立てればいいのかわからない」というときには、ぜひSells upにご相談ください。Why・What・Whoを明確にするところから伴走し、効果的なステップメールの構築をサポートします。

6.まとめ

本記事では「BtoBのステップメール」をテーマに解説しました。要点をまとめておきましょう。

最初にステップメールの基礎知識として以下を解説しました。

1. ステップメールは段階的に複数のメールを自動配信する仕組み

2. 資料ダウンロード・セミナー参加・トライアル登録などがトリガーとなる

3. メルマガは一斉配信だがステップメールは各顧客の行動起点から個別に配信

BtoBでステップメールが効果的な理由は、以下のとおりです。

1. リードの関心度に合わせた情報提供で商談化率が向上する

2. 自動配信により継続的なフォローを実現できる

3. 長期検討が必要なBtoB商材との相性が良い

ステップメール作成の具体的な進め方を6つのステップに分けて解説しました。

1. 誰に送るか対象を明確化しセグメント分類する

2. ゴール設定で資料請求や商談などの最終目標を決める

3. カスタマージャーニーを意識したシナリオを設計する

4. 各段階で配信するメールを作成する

5. 配信タイミングと頻度を設定し自動化する

6. 開封率やクリック率を分析し継続的に改善する

BtoBで使えるステップメールシナリオの具体例として、以下を解説しました。

1. 【資料DL後】お役立ち情報で信頼関係を構築するシナリオ

2. 【セミナー参加後】参加のお礼と関連情報で熱量を維持するシナリオ

3. 【名刺交換後】自己紹介から課題を喚起するシナリオ

4. 【トライアル後】活用促進と導入事例で本契約を後押しするシナリオ

5. 【休眠顧客向け】最新情報で再び関心を引く掘り起こしシナリオ

本記事を参考に、ぜひステップメールのシナリオを設計してみてください。一通一通のメールで顧客との関係を育み、ビジネス成長を加速させていきましょう。

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株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。