SATORIステップメールの仕組みと設計例|80社支援の知見
ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります
HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。
SATORIステップメールとは、SATORIのシナリオ機能を使い、あらかじめ用意した複数のメールを順番に自動配信していく仕組みのことです。
弊社にご相談いただく企業でも、SATORIを導入したものの管理画面上に「ステップメール」という項目が見当たらず設定に踏み出せないケースや、ひとまず動かしてはいるものの商談化に結びついていないケースが少なくありません。
本記事では、シナリオ機能を構成する4つの要素、BtoBで商談化につながりやすい設計例3パターン、現場で起こりがちな失敗とその防ぎ方について整理していきます。
SATORIに「ステップメール」という機能名はない|最初に押さえておきたい前提
SATORIでいうステップメールとは、シナリオ機能を使って段階的に自動配信するメール群を指します。SATORIの管理画面上には「ステップメール」という名前のメニューはなく、機能名として表示されるのは「シナリオ」です。シナリオ機能はメール配信だけでなく、社内通知やタグ付与、分岐処理などもまとめて扱える、より広い概念にあたります。
用語が混乱しやすいのは、SATORIの製品サイト側では「ステップメール」という言葉で機能紹介をしている一方で、実際の管理画面や公式マニュアルでは「シナリオ」という名称で説明されているためです。
SATORIサポートセンターの公式マニュアルでは、「シナリオとは、事前に設定した条件やタイミングに沿ってステップメールや社内通知メールの送信、タグの追加を自動で実施する機能」と定義されています。公式サイト内でも表現が揺れていることから、まずはこの整理をしておくことが出発点になります。
「ステップメール」と「シナリオ機能」はどういう関係か
整理すると、ステップメールはシナリオ機能の中で実現できる用途のひとつに過ぎません。シナリオ機能自体は、メール配信に加えてタグ付与や社内通知、Webhook送信といった処理も含めて自動化できる土台であり、その中で「複数のメールを順番に届けていく使い方」を一般的な用語で呼ぶと「ステップメールになる」、というイメージです。
SATORI以外のツールも視野に入れた汎用的な設計の考え方は、ツール非依存のステップメール設計をご覧ください。
メルマガとの違い:「点の配信」と「線の配信」
メルマガとシナリオ機能の大きな違いは、配信の起点と顧客への寄り添い方にあります。メルマガは「今伝えたい情報」を全員に同じタイミングで届ける「点」のアプローチなのに対し、シナリオ機能は、顧客一人ひとりの行動や属性を起点にした「線」のコミュニケーションを組み立てる手法です。
BtoBマーケティングでは検討期間が長く、関わる意思決定者も複数にわたることが一般的です。1回の配信だけで結論が出る商材は多くなく、ホワイトペーパーをダウンロードした方に対して「お礼 → 事例 → 課題の整理 → 個別相談」といった流れで情報を重ねていく設計が、商談化率を左右します。
メルマガは新製品の案内やセミナー告知など「全員に一斉に届けたいお知らせ」に向いており、シナリオ機能は「一人ひとりの検討段階に合わせて育成したいリード」に向いている、と使い分けて考えると実務上扱いやすくなります。
SATORIのシナリオ機能でできること|4つの基本要素で考える
SATORIのシナリオ機能は、4つの基本要素を組み合わせて自動化を設計する仕組みです。トリガーで「いつ動かすか」を決め、リアクションで「何をするか」を指定し、条件で「どう分岐させるか」を決め、タイミングで「どのタイミングで実行するか」を制御します。
この4つの要素を押さえておくことが、シナリオ設計を始めるうえでの土台になります。SATORIの公式マニュアルでも、シナリオはこれら4要素の組み合わせで構成されると説明されており、どれか一つでも解釈を誤ると、実際に動かしたときに想定とは違う挙動になってしまいます。
シナリオ設計の全体像や運用設計のフレームワークについては、SATORIシナリオ設計の全体像で詳しく解説しています。
トリガー:シナリオを動かし始める7つの開始条件
トリガーは、シナリオを開始させる「きっかけ」として設定する条件です。SATORIで指定できるトリガーは、次の7種類が用意されています。
| トリガー種別 | 主な用途 |
|---|---|
| APIまたはフォーム登録 | 資料請求・セミナー申込などのフォーム送信を起点にする |
| ファイルダウンロード | ホワイトペーパーや調査レポートのダウンロードを起点にする |
| メール内リンククリック | 配信メール内の特定リンクがクリックされたことを起点にする |
| セグメント該当 | 指定したセグメントに該当したタイミングを起点にする |
| メール開封 | 特定のメールテンプレートが開封されたことを起点にする |
| メール送信 | 特定のメールを送信し終えたことを起点にする |
| タグが追加された時 | カスタマーに特定のタグが付与されたことを起点にする |
BtoBマーケティングで出番が多いのは、フォーム登録・ファイルダウンロード・セグメント該当・タグ付与の4つです。たとえば、ホワイトペーパーのダウンロードを起点にした段階配信、料金ページの閲覧ログにもとづいて作ったセグメントをトリガーにしたホットアプローチ、スコアが一定値を超えたタイミングで追加されるタグを起点にした営業通知などは、そのまま商談創出につながりやすい設計です。
リアクション・条件・タイミング:3つの動きを組み合わせる
リアクションでは、「カスタマーメール送信」「社内通知メール」「タグ付与」「Webhook送信」の4種類の動きが指定できます。条件は「タグスイッチ」「カスタマー属性スイッチ」の2種類があり、判定期間を設定することで、一定期間条件を満たすのを待ってから分岐させることもできます。タイミングは「日時指定」「固定日指定」「曜日指定」「タグ付与」「メール開封」の5パターンから選べます。
これらを組み合わせることで、例えば「ホワイトペーパーをダウンロードしてから3日後に事例メールを送り、開封した人にはクリック判定をはさんで個別相談の案内を送り、開封しなかった人には別の切り口のメールを送る」といった流れを作れます。
Webhook送信を使えば、CRMやSFAといった外部システムにリアルタイムでデータを渡すこともできますが、その分だけ運用設計のハードルは上がります。
Webhookを使ったSATORIと外部システムの連携については、別の記事で具体的な設定手順や注意点を紹介しています。
BtoBで商談化につながったシナリオ設計の具体例3パターン
SATORIで商談化につなげるシナリオ設計とは、BtoB商材の検討プロセスに沿って、情報提供と分岐を組み合わせていくことです。弊社の支援の中でも特に成果に直結しやすかったのは、「ホワイトペーパーDL後の段階配信」「休眠リードの掘り起こし」「ホットリード検知と営業への即時通知」の3つを、この順番で整えていくやり方でした。
この順序をおすすめしているのは、BtoBマーケティングのファネルが「新規リード獲得 → ナーチャリング → ホットリード化 → 営業引き渡し」という流れで成り立っており、この3つのシナリオがそれぞれのフェーズに対応しているからです。「リードは取れているのに商談に結びつかない」という状況から抜け出すには、各フェーズに対応するシナリオを一つずつ整えていくのが現実的な進め方になります。
パターンA:ホワイトペーパーDL後の段階配信シナリオ
パターンAは、ホワイトペーパーをダウンロードしたリードに対して、約2週間で商談に向けた導線を作るシナリオです。イメージとしては、「ダウンロード直後にお礼メール」「3日後に関連事例のメール」「7日目にクリック有無で分岐」「14日目に個別相談の案内」という流れになります。
具体的には、Day.0でファイルダウンロードをトリガーに即時のお礼メール(リアクション:カスタマーメール送信)を送り、タイミングノードで3日待ってから事例紹介メールを配信します。さらに4日後、クリック判定用のタグスイッチ(条件:判定期間4日)を挟み、クリックした層にはより詳細な資料を案内し、クリックしなかった層には別の切り口のコンテンツを届けます。Day.14に個別相談のオファーメールを送り、商談に進むためのCTAにつなげます。
ここで挙げている「14日」や「3日後・4日後」といった間隔は、SATORIの仕様で固定されているものではなく、弊社の支援事例で扱いやすかった一つの目安です。BtoB商材の検討期間や、担当者が情報を消化できるペースによって適切な間隔は変わるため、自社の配信実績と照らし合わせながら調整してください。
パターンB:休眠リードの掘り起こしシナリオ
休眠リードの掘り起こしシナリオは、過去に接点はあったものの直近では動きが止まっているリードに対して、もう一度興味を喚起するための設計です。ポイントになるのは、「どの状態を休眠とみなすかを決めてセグメント該当をトリガーにすること」「休眠の定義を明文化しておくこと」「内容をこれまでとは違う切り口にすること」の3点です。
例えば、弊社が支援した株式会社ブリューアス様では、Account Engagement(旧Pardot)のアカウント移行の際に、重要なアクティビティデータを消さずに済むよう注意しながら、ステップメールが継続して配信される最低限のラインを守る設計を行いました。
MA運用を見直した結果、ステップメール経由で継続的な受注が生まれ、一度失注して休眠していた顧客への掘り起こしメールから大型案件につながったケースです。SATORIでも考え方は同じで、休眠状態のリードを再び動かすかどうかは、シナリオの組み方次第で十分に変えられます。
避けたいのは、休眠リードにいきなり「新商品の案内」や「セミナーの案内」だけを送ってしまうことです。すでに何度か案内して反応がなかった相手に同じ打ち手を続けても響きにくいため、業界レポートやベンチマークデータ、他社事例など、これまでとは別の切り口で関心をもう一度引き出す設計の方が現実的です。

パターンC:ホットリード検知と営業への即時通知シナリオ
ホットリード検知シナリオは、複数の高い関心を示す行動を組み合わせた条件で「商談が近そうなリード」を自動で判定し、営業にすぐ知らせるためのシナリオです。単一の行動だけをトリガーにすると、「たまたま見ただけ」のリードまで通知対象になりやすく、営業側の信頼を損ねかねません。
複数条件の組み合わせで精度を担保すること、社内通知メールの中に行動の背景情報を含めること、スコア閾値と併用することの3点を意識しておくと、実務に乗せやすくなります。
たとえば、「料金ページを見た」「特定の資料をダウンロードした」「スコアが一定値を超えた」という3つの条件をセグメントで定義し、そのセグメント該当をトリガーにして、営業担当者へ社内通知メールを送るようにします。通知メールには、「どのページを何回見ているか」「直近でどのような行動を取っているか」といった履歴も含めておくと、営業は状況をつかんだうえでアプローチできます。
スコア閾値の具体的な決め方や、属性スコア・行動スコアの重みづけについては、SATORIスコアリングの設計方法で詳しく取り上げています。
シナリオ設計でよくある5つの失敗とその防ぎ方
SATORIのシナリオ設計で起こりがちな失敗の多くは、仕様の理解不足と、運用面の設計が抜けていることから生じます。代表的なものとして、「トリガーの発火タイミングの勘違い」「未開封再送によるループ配信」「ON後は編集できない仕様の見落とし」「判定期間の設定ミス」「営業への通知が多すぎること」の5つが挙げられます。
弊社にご相談いただく企業でも、これら5つのうち、2つ以上が同時に起きているケースがよく見られました。背景として、SATORIのシナリオ機能に関する仕様が複数のヘルプ記事に分散しており、まとめて全体像をつかみにくいことが影響していると考えています。こうした失敗を防ぐには、設計の段階で仕様を体系立てて理解しておくことが大切です。
失敗1:トリガーの発火条件を正しく理解していない
SATORIのシナリオは、ONにする前から条件を満たしていたカスタマーには発火しません。例えば、トリガーに「セグメント該当」や「タグが追加された時」を指定した場合でも、シナリオをONにする以前からそのセグメントに入っていたり、タグが付いていたりしたカスタマーは対象外になります。この点はSATORIの公式マニュアルにもはっきり書かれている仕様です。
これを避けるには、本番ONの前にテスト用のカスタマーで動作を確認したうえで、ONにした後に対象セグメントの条件を更新する、あるいは初期スコープに含めたいリードについては別のタグ運用で拾い上げる、といった設計をしておくことが有効です。
失敗2:未開封再送オプションでループ配信が起きてしまう
未開封再送のオプションを使う際に注意したいのは、トリガーで指定したメールテンプレートと、リアクション側で未開封再送を設定したメールテンプレートが同じだった場合です。この場合、メールが開封されない限り、再送するたびにシナリオが再度発火し、結果としてほぼ無限にメールを送り続けてしまう構造になりかねません。この点もSATORIの公式マニュアルで注意喚起されています。
そのため、トリガー用のメールとリアクション用のメールは別のテンプレートとして管理することをおすすめします。未開封再送の回数についても、メールが届きすぎることで嫌がられないよう、弊社では2回程度を上限の目安とするケースが多いです。この回数はSATORIの仕様上の制限ではなく、運用上扱いやすかった目安として理解してください。
失敗3:シナリオをONにした後は編集できない仕様を知らずに本番投入する
SATORIのシナリオは、一度ONにすると、OFFに戻しても設定内容を編集できない仕様になっています。さらに、一度OFFにしてしまうと、各ノードで待機していたカスタマーはリセットされ、再度ONにしてもそこで止まっていた処理が再開されることはありません。
この失敗を避けるためには、本番環境でONにする前に、必ずテスト用カスタマーで挙動を確認しておくことが必要です。修正が必要になった場合は、既存のシナリオを複製し、新しいシナリオとして作り直したうえで、旧シナリオをOFFにする手順を取ります。設計を本番適用する前に、レビューのステップを一つ挟んでおくだけで防げるトラブルです。
失敗4:分岐条件の判定期間を適切に設定できていない
条件ノード(タグスイッチ・カスタマー属性スイッチ)には「判定期間」を設定でき、その期間中に条件を満たすのを待つ動きをさせることができます。判定期間を0日にするとその場で即時に判定し、日数を長めに取ると、条件を満たすまでそのノードで待機することになります。この使い分けを誤ると、本来早く営業につなげたいリードを長期間待機させてしまったり、逆に判定に必要な猶予を持たせられなかったりします。
弊社の支援で扱いやすかった目安としては、「すぐに分岐させたい場合は0日」「メールの開封やクリックを判定したい場合は3〜7日」といった設定です。これはSATORI側の推奨値ではなく、商材や配信頻度によっても変わるため、自社のメール開封の傾向を見ながら調整してください。なお、判定期間中に条件を満たした場合は、その時点で「条件に一致」のノードに進むため、待機による機会損失は最小限に抑えられます。
失敗5:営業への通知が多すぎて現場が回らなくなる
ホットリード検知シナリオを設計する際によくある落とし穴が、通知の条件を緩くしすぎることです。通知が多すぎると、営業側で優先順位付けや精査をする余裕がなくなり、「マーケからの通知は使えない」という印象が定着してしまい、結果として仕組みが機能しなくなります。
これを避けるには、停止条件タグの設計とスコア閾値の見直しが重要になります。例えば、営業が接触したタイミングで付与する「接触済みタグ」を停止条件として設定し、そのタグが付いた時点で通知シナリオを止めるようにすれば、二重の通知を防げます。スコア閾値については、通知件数が営業のキャパシティ(週単位・月単位で対応できる件数)を超えないように調整する必要があります。スコアリングやSLAの考え方は、リードスコアリングの基本記事も参考になります。
スコア閾値やSLAの設計については、リードスコアリングの基本設計でも詳しく整理しています。
SATORIのシナリオ機能と他のMAツールとの違い
SATORIのシナリオ機能と他のMAツールの違いは、「どの段階のリードを対象にできるか」と「どの程度の運用負荷を想定しているか」という組み合わせから生まれるポジションの違いだと捉えると整理しやすくなります。SATORIは匿名リードへのアプローチがしやすく、HubSpotは実名リードを育成しつつ幅広い機能をバランスよく備えている点が特長です。Account EngagementやMarketoは、エンタープライズ向けの高度なカスタマイズに強みがあります。
こうした違いが生じているのは、各ツールが想定している顧客の検討プロセスや、組織の体制が異なるからです。SATORIは「Webサイトに訪れた匿名の段階から育成を始める」ことを前提に作られており、フォーム送信前のリードに対してもシナリオを発火させやすい構造になっています。一方、HubSpot・Account Engagement・Marketoは、「一度フォームなどで実名化されたリードを育成していく」という想定が強く、匿名リードの扱いは相対的に限定的です。
匿名リードへのアプローチができるSATORIの強み
SATORIは、Cookie情報をもとに匿名カスタマーの行動履歴を追跡し、例えば「料金ページを見たあと導入事例ページも見た」といった特定の行動パターンに当てはまった匿名カスタマーを自動でセグメント化できます。ここにポップアップ機能を組み合わせることで、関心が高まったタイミングでフォームへの誘導を行い、実名リード化を促す導線も設計できます。これは、他のMAツールと比べたときに、SATORIの大きな特徴の一つといえるポイントです。
この強みが効いてくるのは、BtoBサイトを訪れる人の多くが、フォーム送信まで進まずに離脱してしまうからです。実名化前の段階でどこまでアプローチできるかが、リード獲得の効率を左右することが少なくありません。
同じホットリード検知シナリオをSATORIとHubSpotで組むと何が違うか
たとえば、「料金ページを2回以上見たリードを営業に通知する」というシナリオを組むとします。SATORIの場合、Cookieベースで匿名カスタマーの段階から閲覧履歴を記録しておけるため、その後フォーム送信などで実名化されたタイミングで過去の匿名時代の行動も紐付け、まとめて通知シナリオに載せることができます。
HubSpotでも、トラッキングコードで取得した訪問データを使って似たような検知はできますが、基本的にはコンタクト(実名)情報との紐付けが前提になるため、匿名段階での細かな行動蓄積はSATORIの方が扱いやすい傾向があります。
一方で、検知した後の営業ワークフロー(タスクの自動作成、SFAとの連携、Slack通知など)を細かく組みたい場合には、HubSpotのワークフロー機能の柔軟さが活きてきます。どちらが優れているかという話ではなく、「実名化前のリードをどこまで捕捉したいのか」「実名化後の営業プロセスをどこまで自動化したいのか」といった軸で、自社に合うツールを選び分けると良いでしょう。
SATORIが向いている企業フェーズ・向いていない企業フェーズ
SATORIが向いているのは、Webサイト経由のリード獲得を強化したい中堅規模の企業や、匿名リードにアプローチすることで母集団を広げたい企業です。例えば、これまで紹介やテレアポ中心でやってきたものの伸び悩みを感じており、Webからのリード獲得を本格的に立ち上げたいという0→1フェーズや、第二創業期に差し掛かっている企業との相性が良い傾向があります。
逆に、最初から複雑な多段階分岐や高度なカスタムオブジェクト連携、グローバル展開における多言語シナリオなどを強く求めている場合は、MarketoやAccount Engagementの方が要件に合いやすいケースもあります。その場合、SATORIならではの強みを活かし切れない可能性があります。大事なのは、自社の事業フェーズやマーケティング組織の成熟度に合ったツールを選ぶことです。
ここまでは、ツール選定の視点から補足してきました。ただ、本記事の主なテーマはSATORIのシナリオ機能を使ったステップメール設計ですので、ここから再びSATORIでの運用設計の話に戻ります。
シナリオ設計を始める前に整えておきたいこと
シナリオ設計の前にやっておきたい準備は、あとからの手戻りを防ぐために、シナリオを作る前段階で必要な項目を整理しておくことです。具体的には、「ペルソナと購買プロセスの可視化」「メールテンプレート・タグ・キャンペーンの事前設計」「配信許可状況とリスト品質の確認」の3点が柱になります。
事前準備が重要なのは、SATORIのシナリオは一度ONにすると編集できない仕様だからです。ペルソナが固まっていない状態でシナリオを組んでしまうと、配信内容と受け手のニーズが噛み合わず、開封率やクリック率が伸びません。また、テンプレートやタグの名前の付け方を決めないまま走り出すと、運用が進むほど重複や混乱が起きやすくなります。
ペルソナ設計と購買プロセスの見える化
BtoBの購買プロセスでは、決裁者・実務担当・情報収集担当など、複数の立場の人が関わるのが一般的です。そのため、ペルソナ設計ではこの3層で整理しておくと話を進めやすくなります。それぞれの立場の人が、どのタイミングでどのような情報を必要とするのかを購買プロセスマップとして可視化しておくと、シナリオの各ステップで「誰に」「どんな内容を」届けるべきかが明確になります。
弊社の支援でも、ペルソナ整理を後回しにしたままシナリオ設計を始めた企業ほど、運用開始後に「想定していたリード層に届いていない」という課題に直面しがちです。最初の30分をペルソナと購買プロセスの整理に充てておくことで、その後数か月分の手戻りを減らせることが少なくありません。
メールテンプレート・タグ・キャンペーンの事前設計
あらかじめ準備しておきたいものとしては、シナリオで使うメールテンプレート一式、送信元メールアドレスの登録、各ステップの配信状況を把握するためのタグ(配信対象・配信済み・配信中止など)、シナリオに紐づけるキャンペーンの作成が挙げられます。SATORIでは、シナリオにキャンペーンを必ずひも付ける仕様になっているため、たとえ詳細な計測を行わない場合でも、ダミーのキャンペーンを作成しておく必要があります。
弊社がこれまで80社ほど支援してきた中で、事前準備で漏れがちなポイントとして特に多かったのが、タグの命名ルールと運用ルールです。「テスト用」「本番用」「停止条件用」などの区別をせずにタグを増やしていくと、シナリオの本数が増えるたびに運用が複雑になっていきます。最初の段階で命名ルールを決めておくことが、長期的な運用のしやすさを大きく左右します。
運用開始後の改善サイクルと営業との連携
運用を始めてからの改善サイクル(PDCA)は、シナリオレポートのKPIを見ながら、配信タイミングや分岐条件、コンテンツを継続的に見直していくこと、そして営業との連携状態を整えていくことを指します。どの指標を見るか、どの水準で見直すかの目安を持ち、営業との合意形成の仕組みを用意することで、シナリオが商談化に貢献しやすくなります。
シナリオは一度ONにして終わりではなく、レポートをもとに仮説と検証を繰り返すことで、少しずつ商談化率が上がっていきます。例えば、配信日を1日ずらしただけで開封率が変わることもあれば、クリック判定の期間を3日から5日に延ばしただけで通過率が良くなるケースも、支援現場ではしばしば見られます。
見るべきKPIと改善の目安
SATORIのシナリオを改善する際に見ておきたいKPIは、「各メールの開封率・クリック率」「各ノードの通過率」「最終ノード到達率」「シナリオ経由のコンバージョン数」の4つです。SATORIにはシナリオレポート機能があり、各ノードを通過したカスタマー数や、最終ノードまで辿り着いたカスタマー数を確認できます。
弊社の支援で扱いやすかった目安は、「開封率が10%を切っている場合は件名や配信タイミングを見直す」「クリック率が1%を切っている場合は本文の訴求やCTAを見直す」「最終ノード到達率が10%を切っている場合はシナリオの長さや分岐条件を見直す」といったラインです。とはいえ、これらは業界や商材、リストの状態によっても変わるため、自社のこれまでの配信実績と比較しながら判断していくのが現実的です。
営業との合意形成:SLA設計とタグ運用
SLA(マーケと営業のリード引き継ぎルール)の設計は、マーケ側が渡すリードに対して、営業がどのようにフォローするかを事前に取り決めておくことです。SATORIでは、停止条件タグとSFAとの連携を組み合わせることで、二重フォローを避けつつ、引き継ぎ漏れも防ぐことができます。
例えば、ホットリード通知用のシナリオには「営業接触済み」タグを停止条件として設定し、営業が一度でも接触したリードについては通知を止める設計にします。また、Webhookを使ってSFA側に「マーケ起点で渡したリード」であることを示すフラグを立てておくことで、営業側のフォローの責任範囲を可視化できます。SLAをうまく機能させるうえで大事なのは、マーケと営業の双方が内容に納得したうえで運用をスタートすることです。
まとめ
SATORIでステップメールを組むというのは、シナリオ機能を使って、事前に設計した複数のメールを段階的に自動配信していくことを意味します。本記事では、シナリオ機能を構成する4つの要素(トリガー・リアクション・条件・タイミング)、BtoBで商談化につながりやすい3つのシナリオ例、ありがちな5つの失敗とその防ぎ方、他のMAツールとの違い、設計前に整えておきたい事項、運用開始後の改善サイクルと営業連携の考え方について紹介しました。
大事なのは、シナリオ機能は「ONにさえすれば自動的に成果が出る」ものではなく、ペルソナと購買プロセスに沿った設計、仕様の理解、営業との連携という3つが揃って初めて商談化に貢献する、という視点です。例えば、シナリオON以前に条件を満たしていたリードにはトリガーが発火しないこと、一度ONにしたシナリオは編集できないこと、未開封再送の設定によってはループ配信が起こりうることなど、SATORI固有の仕様を設計の段階で押さえておくことが、運用の行き詰まりを防ぐうえで欠かせません。
弊社が支援したブリューアス様のように、MA運用を見直してステップメール経由で継続的な受注を獲得し、休眠顧客への掘り起こしメールから大型案件につながったケースもあります。シナリオ機能を、単発のメール配信ではなく「商談までの導線をつなぐ線」として設計することで、限られた人数のマーケティングチームであっても、事業成長にしっかりと寄与していくことが可能になります。
本記事はステップメール(段階配信)に焦点を当てました。シナリオ機能全体の設計方針については、SATORIシナリオ設計の全体像もあわせてご参照ください。
よくある質問
ステップメールとは何ですか?
ステップメールとは、あらかじめ組んでおいたシナリオに沿って、複数のメールを順番に自動配信していく仕組みです。資料請求や会員登録など特定のアクションをきっかけに、ユーザー一人ひとりのタイミングに合わせてメールを送れる点が特長です。SATORIでは、管理画面の「シナリオ」メニューから、トリガー(開始条件)、リアクション(メール送信)、タイミング(待機期間)を組み合わせることで実現します。
ステップメールの料金はいくらですか?
ステップメールの利用料金は、どのツールを使うかによって大きく異なります。一般的なメール配信ツールでステップ機能を使う場合は、月額数千円〜数万円程度のことが多く、SATORIのようなMA(マーケティングオートメーション)ツールでは、シナリオ機能がツール全体の月額料金の中に含まれているケースが一般的です。SATORIの最新の料金体系については、SATORIの公式サイトでの確認をおすすめします。
SATORIの月額料金はいくらですか?
「導入前におおよその料金感を知りたい」というご相談を、弊社でもよくいただきます。ただ、SATORIの料金は契約プランや管理するカスタマー数によって変わるため、具体的な金額は公式サイトで確認いただくのが確実です。一般的には、シナリオ機能・スコアリング・ポップアップ・匿名カスタマーのセグメント機能など、主要な機能一式が含まれる構成になっています。
ステップメールツールとは?
ステップメールツールとは、シナリオに沿って段階的にメールを自動配信するためのツール全般を指します。SATORIの場合は、左側のグローバルメニューから「シナリオ」を選び、シナリオ一覧画面で「+」ボタンから新規シナリオを作成し、トリガー・リアクション・条件・タイミングを画面上で組み合わせて設定します。シンプルなメール配信ツールに簡易ステップ機能が付いているタイプもあれば、MAツールとしてタグ付与・分岐・社内通知まで含めて設計できるタイプもあります。BtoBで商談化をしっかり狙うなら、後者のMA型ツールを選んだ方が運用の自由度は高くなります。
SATORIのシナリオ機能は本当に商談化につながりますか?
「シナリオ機能をONにするだけで成果が出るのか」というご質問をいただくことがあります。シナリオ機能は、ONにしただけでは商談化まではなかなかつながりません。ポイントは、ペルソナと購買プロセスに沿った設計ができているか、ホットリード判定の閾値をどう設定しているか、営業との連携ルールをどう決めているか、運用開始後にきちんと改善サイクルを回せているか、という4点です。これらを整えた企業では、休眠リードから大型案件を受注したり、継続的に商談が生まれ続けるケースが実際に出ています。
シナリオをONにした後で内容を変えたい場合はどうすればよいですか?
SATORIのシナリオは、一度ONにすると再度OFFにしても中身を編集できない仕様です。内容を変えたい場合は、既存のシナリオを複製し、新しいシナリオとして修正したうえで、旧シナリオをOFFにする、という手順になります。既存シナリオの複製機能と、新規シナリオ作成時に既存シナリオをひな型として読み込む機能の両方が用意されています。
ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります
HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。
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