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Account Engagementのメール配信設定を徹底解説!リストメールの送り方から効果測定、自動化のステップまで

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目次

Account Engagement(旧Pardot)を導入したものの、「メール配信の設定方法が複雑でわからない」「まずは基本的なメルマガ配信から始めたいが、設定ミスによる誤配信が怖い」といったお悩みを抱えていないでしょうか。

Account Engagementは多機能な反面、初期段階では操作や用語に戸惑うことも少なくありません。しかし、メール配信の基本を正しく理解すれば、見込み顧客との関係構築や商談創出といった成果につながります。

本記事では、Account Engagementを使ったメール配信の全体像から、基本的な「リストメール」の具体的な送信手順、そして配信後の自動化や効果測定まで、一連の流れを丁寧に解説します。これからメール配信を始める担当者の方が、タスクを実行し、成果につなげるためのポイントをまとめました。

Account Engagement(旧Pardot)におけるメール配信の全体像

Account Engagementにおけるメール配信は、単に情報を一斉に届けるだけではありません。見込み顧客(プロスペクト)の属性や行動に合わせて内容を最適化し、長期的な関係性を構築するための重要な手段です。まずは、メール配信で実現できることや、主な配信方法の種類について整理します。

Account Engagementで実現できることと、その目的

Account Engagementによるメール配信の目的は、「リードナーチャリング(見込み顧客の育成)を通じた商談化」です。

具体的には、以下のような活動を実現します。

  • セグメントされたメール配信:見込み顧客を属性(業種や役職など)や行動(Webサイト閲覧履歴など)で分類し、それぞれの関心に合わせた情報を提供する。

  • 段階的な情報提供:シナリオに基づき、最適なタイミングで自動的にメールを配信し、製品・サービスへの理解を深める。

  • 効果測定と分析:誰がメールを開封し、どのリンクをクリックしたかを可視化し、施策の改善に繋げる。

  • 営業部門との連携強化:メールへの反応が良い(関心度が高い)見込み顧客を自動で抽出し、営業担当者にタイムリーに引き渡す。

これらの機能を活用することで、マーケティング活動の効率化と精度の向上が可能になります。

メール配信の主な種類:「リストメール」と「Engagement Studio」の使い分け

Account Engagementには、主に2つのメール配信方法があります。目的や状況に応じて使い分けることが重要です。

  1. リストメール(List Email) 特定のリスト(グループ)に対して、指定した日時に一斉送信するメールです。

    • 用途例:定期的なメールマガジン、新製品の告知、セミナーやイベントの案内など。

    • 特徴:設定が比較的シンプルで、すぐに配信を開始できる。

  2. Engagement Studio(エンゲージメントスタジオ) 見込み顧客の行動や属性に応じて、あらかじめ設計したシナリオに沿って自動で分岐・配信するメールです。

    • 用途例:資料請求後のStepメール、休眠顧客の掘り起こしシナリオなど。

    • 特徴:複雑な条件分岐が可能で、一人ひとりに最適化されたナーチャリングを実現できる。

まずはリストメールで基本的な操作を習得し、Account Engagementの扱いに慣れてきた段階でEngagement Studioに挑戦するのがスムーズな流れです。本記事では、リストメールの配信方法を中心に解説します。

【Sells upの視点】段階的な活用で目指す、マーケティング活動の成熟度モデル

Account Engagementを導入しても、全ての機能を一度に使いこなす必要はありません。Sells upでは、Account Engagementの活用度合いを段階的に高めていく「成熟度モデル」という考え方を推奨しています。

  • Level.1:基本的な配信(リストメールの活用) まずは配信リストとテンプレートを作成し、定期的なメールマガジンを確実に配信できる状態。これが全ての基本となります。

  • Level.2:限定的な自動化(完了アクションの活用) メールの開封やクリックといった反応に応じて、スコア加算や営業担当への通知を自動化できる状態。マーケティングと営業の連携が始まります。

  • Level.3:シナリオベースのナーチャリング(Engagement Studioの活用) 顧客の行動に基づいた複雑なシナリオを設計・運用し、個別のニーズに合わせたアプローチが自動化されている状態。

この記事を通じて、まずはLevel.1を達成し、次のLevel.2(完了アクションの活用)への道筋を理解することを目指しましょう。現在の立ち位置を把握し、次に目指すべき段階を明確にすることが、ツール活用の成功には重要です。

【準備編】メール配信を始める前に確認すべき3つの設定

リストメールを送信する前に、いくつか準備しておくべき重要な設定があります。これらはメールの到達率や効果測定に大きく影響するため、運用開始前に必ず確認しましょう。

Step.1:送信ドメイン認証(DKIM/SPF)- 到達率を高めるために不可欠な設定

メールの到達率を高め、迷惑メールフォルダに振り分けられるリスクを低減するためには、「送信ドメイン認証」の設定が不可欠です。これは、送信元メールアドレスのドメインが正当なものであることを証明し、「なりすまし」ではないことを示す技術的な設定です。

特に重要なのが「DKIM」と「SPF」の設定です。設定にはDNSレコードの編集が必要となるため、貴社のIT部門やシステム管理者と連携して進めましょう。管理画面の「ドメイン管理」から設定状況を確認できます。この設定が不十分な場合、メールがブロックされたり、スパム判定されたりする可能性が高まります。

Step.2:トラッカードメインの設定 - 独自ドメインで信頼性を高める

初期設定では、メール内のリンクURLやAccount Engagementで作成したランディングページのURLは、Account Engagementのデフォルトドメイン(go.pardot.comなど)になります。これを貴社独自のドメイン(例:go.yourcompany.co.jpなど)に変更するのが「トラッカードメイン」の設定です。

トラッカードメインを設定することで、受信者に対して一貫したブランド体験を提供し、不信感なくリンクをクリックしてもらうことができます。こちらも「ドメイン管理」から設定が可能で、DNSの設定変更が必要です。

Step.3:キャンペーンの設定 - 施策を管理する「箱」を用意する

Account Engagementでは、あらゆるマーケティング活動を「キャンペーン」に紐づけて管理することが推奨されています。メール配信を行う際も、どの施策の一環として送るのかを明確にするために、事前にキャンペーンを作成しておく必要があります。

キャンペーンは、施策の成果(メール経由でのアクセスやコンバージョンなど)を追跡・集計するための「箱」のような役割を果たします。「Account Engagement キャンペーン」タブから、施策の目的に合わせた名称(例:「2025年10月度メールマガジン」「新製品A 発表告知」など)で新規作成しましょう。

【手順編】リストメール配信の4ステップ

準備が整ったら、いよいよリストメールの配信設定を進めます。基本的な流れは以下の4つのステップです。

Step.1:配信リストの作成 - 「誰に送るか」を定義する

まずは、「誰に送るか」を定義します。Account Engagementでは、配信対象となる見込み顧客(プロスペクト)を「リスト」として管理します。「見込み客」>「セグメンテーションリスト」から新規作成が可能です。

リストには「スタティックリスト(静的リスト)」と「ダイナミックリスト(動的リスト)」の2種類があります。

手動で管理する「スタティックリスト(静的リスト)」

スタティックリストは、手動でプロスペクトを追加・削除する固定的なリストです。

  • 用途例:特定のセミナー参加者、イベントで名刺交換した顧客リストなど。

  • メリット:意図しないプロスペクトが紛れ込むことがなく、配信対象を厳密に管理できる。

  • デメリット:リストの更新に手作業が必要で、常に最新の状態を保つには工数がかかる。

条件で自動更新される「ダイナミックリスト(動的リスト)」の重要性

ダイナミックリストは、設定した条件(ルール)に合致するプロスペクトが自動的に追加・除外されるリストです。

  • 用途例:「業種が製造業のプロスペクト」「直近1ヶ月以内に資料請求したプロスペクト」など。

  • メリット:一度条件を設定すれば、常に最新の対象者が自動でリストアップされるため、運用負荷を大幅に軽減できる。

  • デメリット:条件設定を誤ると、意図しない対象者に配信されるリスクがあるため、ルールの設定には注意が必要。

定期的なメールマガジン配信など、継続的な運用においては、ダイナミックリストの活用が効率化のポイントとなります。

【Sells upの視点】ダイナミックリストは「継続的なセグメンテーション戦略の基盤」

ダイナミックリストは、単なるリスト作成の効率化機能ではありません。これは、貴社の「セグメンテーション戦略」をシステムに落とし込み、継続的に実行するための基盤となる機能です。

見込み顧客の状態は日々変化します。その変化を捉え、常に最適なセグメントに対してアプローチし続けることがマーケティングの成果を最大化します。例えば、「資料請求直後の関心が高い状態」と「請求から3ヶ月経過した状態」では、送るべきメッセージは異なります。こうした状態変化を自動で捉えるダイナミックリストを活用することで、常に的確なアプローチが可能になります。リスト作成の際は、常に「このセグメンテーションはビジネス成果にどう貢献するのか」を意識して設計しましょう。

Step.2:メールテンプレートの作成 - 効率とブランドイメージを両立

次に、メールの本文を作成します。継続的なメール配信においては、「メールテンプレート」の活用が欠かせません。テンプレートを利用することで、メール作成工数を削減し、デザインや文言のばらつきを防ぎ、ブランドイメージの統一を図ることができます。テンプレートは「Account Engagement メール」>「テンプレート」から作成します。

パーソナライズを高める「変数タグ(HMLタグ)」の使い方

Account Engagementでは、「変数タグ(HMLタグ、旧:差し込み項目)」を使用して、プロスペクトの氏名や会社名などをメール本文や件名に自動で挿入できます。これにより、一斉配信でありながらも、一人ひとりに合わせたパーソナライズされた印象を与えることができ、開封率や反応率の向上が期待できます。

  • 使用例

    • {{Recipient.Company}} 御中

    • {{Recipient.FirstName}}様、こんにちは。

テンプレート作成時に、件名や本文の適切な位置に変数タグを配置しましょう。

失敗しないためのテンプレート作成時の注意点(HTML/テキストメール)

テンプレート作成時には、以下の点に注意が必要です。

  1. HTMLメールとテキストメールの両方を用意する: 受信者の環境によってはHTMLメールが表示できない場合があります。必ずテキスト形式のメールも併せて用意し(マルチパート配信)、情報が正しく伝わるようにしましょう。

  2. レスポンシブデザインに対応する: スマートフォンやタブレットでの閲覧を考慮し、表示崩れが起きにくいレスポンシブデザインを採用することが推奨されます。

  3. 配信停止(オプトアウト)リンクの設置: 法令遵守の観点からも、配信停止リンク({{Unsubscribe}}タグなど)の設置は必須です。フッター部分に必ず含めましょう。

Step.3:リストメールの作成とテスト送信

配信リストとメールテンプレートが準備できたら、それらを組み合わせて「リストメール」を作成します。「Account Engagement メール」>「新規リストメール」を選択し、準備編で作成したキャンペーンと、Step.2で作成したテンプレートを選択します。

リストメールの作成画面では、最終的な送信内容を確認し、必ずテスト送信を行って表示や動作を確認します。

送信者・件名設定の基本

リストメールの「送信」タブでは、送信者名と件名を指定します。

  • 送信者:誰からのメールなのかが一目でわかるように設定します。「特定のユーザー(担当者名)」や「一般ユーザー(部署名や会社名)」を選択できます。信頼感を損なわない設定を心掛けましょう。

    • 例:「株式会社Sells up マーケティング担当」「営業部 山田太郎」

  • 件名:開封率を左右する重要な要素です。具体的でメリットが伝わる、シンプルで短い件名を意識しましょう。変数タグを件名に使うことも可能です。

テストリストを使った確実な事前確認

設定ミスによる誤配信は絶対に避けなければなりません。配信設定を完了する前に、必ず「テスト」タブからテスト送信を行います。

事前に社内の確認メンバーだけを含んだ「テスト用リスト」を作成しておき、そのリストに対してテストメールを送信します。実際の受信環境(PC、スマートフォン、各種メールソフト)で、以下の点を確認しましょう。

  • デザインの表示崩れはないか

  • 変数タグは正しく反映されているか(氏名などが正しく表示されるか)

  • リンク切れやリンク先の誤りはないか

  • 誤字脱字はないか

Step.4:配信設定と送信 - ミスを防ぐ最終確認

テスト送信で問題がなければ、最終的な配信設定を行います。「送信」タブで、配信対象リストと除外リスト(配信したくない対象者のリスト)を指定します。

予約送信と即時送信の使い分け

配信タイミングは以下の2つから選択できます。

  • 今すぐ送信:設定完了後、すぐに配信を開始します。速報性の高い情報などに適しています。

  • スケジュール設定(予約送信):指定した日時に配信を開始します。ターゲットの行動時間(例:平日の午前中など)に合わせて配信タイミングを最適化できるため、通常はこちらを利用します。

誤配信を防ぐ最終チェックリスト

設定ミスがないか、以下のチェックリストを用いて最終確認を行いましょう。特に初回配信時や重要な案内を送る際は、複数人でのダブルチェック体制を構築することを推奨します。

  •  配信対象リストは正しいか?(リストの人数も確認)

  •  除外リストは正しく設定されているか?(商談中顧客などが含まれていないか)

  •  送信者名、返信先アドレスは適切か?

  •  件名は最適化されているか?

  •  テスト送信で表示・動作確認は完了したか?

  •  配信日時は正しいか?(AM/PM、曜日、年などを間違えていないか)

全ての確認が完了したら、「スケジュール」または「送信」ボタンをクリックします。

【自動化編】成果を高める「完了アクション」活用術

Account Engagementの大きな強みの一つは、メール配信後の「自動化」機能にあります。「完了アクション(Completion Action)」を活用することで、マーケティング活動の効率と精度は飛躍的に高まります。これは、前述のマーケティング成熟度モデルにおける「Level.2:限定的な自動化」にあたります。

完了アクションとは?見込み客の反応を自動で捉える仕組み

完了アクションは、リストメールに対する受信者の行動をトリガー(きっかけ)にして、あらかじめ指定した処理を自動で実行する機能です。リストメールの作成画面で設定できます。

トリガーとして設定できる行動は以下の通りです。

  • メールを開封

  • メール内のリンクをクリック(特定のリンク指定も可能)

  • 登録解除(配信停止)

これにより、手作業では追いきれない細かなフォローアップや、見込み顧客の状態変化に応じた対応を、タイムリーかつ自動的に行うことが可能になります。

設定すべき代表的な完了アクション例

完了アクションで実行できる処理は多岐にわたりますが、ここでは代表的な設定例を紹介します。

リード育成を加速させる設定(スコア加算、リスト追加)

見込み顧客の関心度合いに応じて、育成プロセスを加速させます。

  • スコアを加算

    • トリガー:メールを開封 / リンクをクリック

    • アクション:プロスペクトのスコアを「1点」加算する。

    • 目的:メールへの反応をスコア化し、関心度の高いリード(MQL:Marketing Qualified Lead)を可視化する。

  • リストへ追加

    • トリガー:特定のリンク(例:製品詳細ページへのリンク)をクリック

    • アクション:「製品A関心層リスト」に追加する。

    • 目的:次の施策(製品Aに関する詳細な案内など)の対象者として分類する。

営業連携を強化する設定(担当者への通知、Salesforceタスク作成)

関心度が高まったタイミングを逃さず、営業部門へスムーズに引き渡します。

  • ユーザーに通知(営業担当への通知)

    • トリガー:重要なリンク(例:料金ページや問い合わせページへのリンク)をクリック

    • アクション:担当営業ユーザーに自動で通知メールを送る。

    • 目的:ホットな状態のリードに対して、営業担当が迅速にアプローチできるようにする。

  • Salesforceタスクを作成(※Salesforce連携時):

    • トリガー:リンクをクリック

    • アクション:Salesforce上に「フォローコール依頼」のToDo(タスク)を自動作成する。

    • 目的:営業担当の具体的なアクションを促し、フォロー漏れを防ぐ。

【Sells upの視点】完了アクションは「マーケティングとセールスを繋ぐ仕組み」

完了アクションの設定は、単なる作業の自動化ではありません。これは、「マーケティング部門が捉えた見込み客の関心の高まり」を、リアルタイムで「セールス部門のアクション」に繋げるための重要な仕組みです。

多くの企業で、マーケティングが送客したリードに営業が適切にアプローチできていないという課題があります。完了アクションによる自動通知やタスク作成は、この部門間の連携を仕組み化する最初のステップとなります。

運用設計時には、「どのような反応があったら、営業に動いてほしいか」を営業部門とすり合わせ、合意形成を図ることが成功のポイントです。完了アクションが適切に機能しているかどうかは、マーケティングとセールスの連携度合いを示す指標となります。運用開始後は、設定したアクションが現場の実態に合致しているか、定期的に見直すことが重要です。

【分析編】配信結果を次に繋げる効果測定とPDCA

メール配信は、送って終わりではありません。配信結果を分析し、次回以降の施策改善に繋げるPDCAサイクルを回すことが、継続的な成果創出には重要です。

メール配信レポートで確認すべき主要指標

Account Engagementでは、配信したメールごとに詳細なレポートが自動生成されます。「Account Engagement レポート」>「リストメール」から確認できます。主に確認すべき主要な指標は以下の通りです。

  • 配信済み総数 / 到達率:送信したメールがどれだけ受信ボックスに届いたか。

  • ユニーク開封数 / 開封率:メールを開封した人数とその割合。

  • ユニーククリック数 / クリック率(CTR):メール内のリンクをクリックした人数とその割合。

  • クリックスルー率(CTOR):開封者のうち、リンクをクリックした人の割合。コンテンツの質を測る指標。

  • 登録解除数 / 登録解除率:配信停止を希望した人数とその割合。

数値の裏側を読む:指標別・改善アクションの具体例

レポートの数値は、単に結果を確認するだけでなく、見込み顧客の関心度や配信内容の適切さを測るヒントとなります。数値の背景を考察し、具体的な改善アクションに繋げましょう。

開封率が低い場合の改善策

開封率は、主に「件名」「送信者名」「配信タイミング」に影響されます。

  • 件名の見直し:より具体的でメリットが伝わる表現になっているか?緊急性や限定感はあるか?

  • 送信者名の見直し:受信者にとって馴染みのある、信頼できる送信者名になっているか?

  • 配信タイミングの見直し:ターゲット層がメールを確認しやすい曜日や時間帯に配信できているか?

クリック率(CTR/CTOR)が低い場合の改善策

クリック率は、主に「メール本文のコンテンツ」や「CTA(行動喚起)」に影響されます。

  • ファーストビューの見直し:メール冒頭で続きを読むメリットを提示できているか?

  • コンテンツの見直し:ターゲットの関心や課題に合致した内容になっているか?情報量は適切か?

  • CTAの見直し:クリックを促すボタンやテキストリンクは明確か?位置やデザインは適切か?

もし登録解除率が高い場合は、配信頻度が高すぎないか、あるいは配信リストのセグメンテーションが適切でない(関心のない層に送っていないか)可能性を疑う必要があります。

A/Bテストを活用したメールの最適化

どちらの件名が良いか、どのCTAが効果的か迷った場合は、「A/Bテスト」機能を活用しましょう。Account Engagementのリストメールでは、メールの一部を変更した2つのパターン(AパターンとBパターン)を用意し、一部の受信者にテスト配信することができます。

一定時間経過後の開封率やクリック率の結果に基づき、成果の良かったパターン(勝者)を自動的に残りの受信者に配信する機能です。

  • テスト例

    • 件名の表現を変えて開封率を比較する。

    • CTAボタンの色や文言を変えてクリック率を比較する。

A/Bテストを繰り返すことで、データに基づいた最適なメール配信パターンを見つけることができます。

【Sells upの視点】指標は「診断」ではなく「次の打ち手」を考える材料

メール配信レポートの各指標は、マーケティング活動の現状を把握するための材料ですが、数値を眺めるだけでは意味がありません。重要なのは、その数値を「診断結果」として捉えるのではなく、「次の打ち手を導き出すための材料」として活用することです。

例えば、開封率が目標を下回った場合、「なぜ低かったのか?」という原因を深掘りし、「次回は件名に具体的な数字を入れてみよう」といった具体的な改善アクションを設計し、実行してください。この小さな改善の積み重ねが、中長期的な成果向上に直結します。

Account Engagement メール配信に関するよくある質問(FAQ)

ここでは、Account Engagementでメール配信を行う際によくある疑問とその解決策をまとめます。

Q. ファイルを添付してメールを送れますか?

A. いいえ、Account Engagementのメールには、一般的なメールソフトのようにファイルを直接添付する機能はありません。

資料やPDFなどを送付したい場合は、Account Engagementの「コンテンツ」機能を使ってファイルをアップロードし、生成されたダウンロードリンクをメール本文に記載する方法が一般的です。この方法であれば、誰がファイルをクリック(ダウンロード)したかを追跡できるため、見込み顧客の関心度を測る上でも有効です。

Q. 商談中の顧客への誤配信を防ぐには?(除外リストの活用)

A. 「除外リスト(Suppression List)」を活用することで、特定のプロスペクトを配信対象から外すことができます。

商談中や契約済みの顧客に対して、新規リード向けのメルマガなどを送ってしまうと、信頼低下やクレームの原因になります。Salesforceと連携している場合は、商談ステージ(フェーズ)や取引先区分などを条件にしたダイナミックリストを作成し、それを除外リストとして設定するのが効果的です。営業部門と連携し、除外対象の定義と運用ルールを明確にしておきましょう。

Q. 開封率やクリック率の目安はどれくらいですか?

A. 業界や配信内容、ターゲットによって大きく異なりますが、一般的なBtoB領域においては、開封率20〜30%、クリック率2〜5%が一つの目安となります。

ただし、他社の平均値よりも、貴社の過去実績と比較し、数値が改善傾向にあるかどうかを重視することが重要です。

Q. HTMLメールが崩れてしまう場合の対策は?

A. メールの表示は受信側の環境(メールクライアントやバージョン)に依存します。テンプレート作成時に、様々なメールクライアント(Outlook、Gmailなど)での表示を考慮したコーディングを行う必要があります。

複雑なレイアウトは避け、テスト送信時には複数の環境で表示確認を行うことを徹底しましょう。また、必ずテキストメールも併せて用意することも重要です。

まとめ:基本のメール配信を起点に、Account Engagement活用を加速させる

本記事では、Account Engagement(旧Pardot)を使ったメール配信の基本的な手順から、自動化、効果測定までの一連の流れを解説しました。

メール配信は、BtoBマーケティングにおけるリードナーチャリングの核となる活動です。まずはリストメールの基本操作を確実に身につけ、見込み顧客との定期的なコミュニケーションを開始することから始めましょう。

そして、運用に慣れてきたら、完了アクションによる自動化(Level.2)や、Engagement Studioによるシナリオ配信(Level.3)へと、段階的に活用範囲を広げていきましょう。

Sells upでは、Account Engagementの導入支援だけでなく、データに基づく運用改善や、営業部門との連携強化に関するご相談も承っております。貴社のBtoBマーケティングの成果最大化に向けて、ぜひAccount Engagementを最大限に活用してください。

MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。

MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。

株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。