ナレッジ 2026.09.17

営業連携が機能している企業の共通点 ─ 80社超のMA支援で見えたこと

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

MA(マーケティングオートメーション)を導入しても、獲得したリードが商談につながらない。その原因の多くは、ツールそのものではなく、マーケティングと営業の連携にあります。

株式会社Sells upが実施したBtoB企業480名へのMA活用実態調査でも、商談・売上に貢献できている企業とそうでない企業の間で、最も大きな差が出たのは営業連携でした。

本記事では、その調査結果を出発点に、80社以上のBtoBマーケティング・MA導入支援で見えてきた「営業連携が機能している企業に共通すること」を解説します。

調査でわかった、成果が出ている企業との差

MA活用実態調査では、MAを導入して商談・売上に貢献できている企業(貢献群)と、導入しても十分に活用できていない企業(非貢献群)を比較しました。

最も差が大きかったのは、マーケティングと営業の連携です。スムーズに連携できていると回答した企業は、貢献群で約8割、非貢献群では1割未満でした。ROIを定量的に測定できている企業も、貢献群で5割超、非貢献群で2割弱と、大きな開きがあります。

一方で、営業への通知・トスアップを運用している割合は、貢献群・非貢献群ともに6割前後で、ほとんど差がありませんでした。

つまり、リードを営業に渡す仕組みがあるかどうかは、成果の差にはなっていません。差が出ているのは、渡したリードを営業がどう扱い、成果をどう測るかという運用の側です。

調査結果の詳細は、BtoB企業のMA活用実態調査(第0回)にまとめています。

営業連携が機能している企業に共通する4つのこと

営業連携が機能している企業に共通する4つのこと
営業連携が機能している企業に共通する4つのこと

80社以上のMA支援を通じて、営業連携が機能している企業には、いくつかの共通点があると考えています。

リードの受け渡し基準が言語化されている

連携が機能している企業では、どのような状態のリードを、いつ、どのように営業へ渡すのかが、担当者の感覚ではなくルールとして決まっています。

弊社が支援した株式会社CLUE様では、サービスページに3日連続で訪問しているユーザーを検知し、インサイドセールスへ自動で連携される仕組みを構築しました。「関心が高まっている」という状態を、行動データで定義し、自動で受け渡しにつなげた例です。

受け渡しの基準を決める際に有効なのが、リードスコアリングです。マーケティング活動により創出された確度の高いリード(MQL)を、どの条件で営業へ引き渡すのか。その閾値の設計方法は、リードスコアリングの設計で解説しています。

ROIの指標が事前に決まっている

営業連携が機能している企業は、何をもって成果とするのかを、施策を始める前に決めています。

調査でも、ROIを定量的に測定できている企業は貢献群で5割超、非貢献群で2割弱と差がありました。成果の定義が先にあるからこそ、マーケティングと営業が同じ目標を見て動けます。

商談化率や受注率をKPIとして設計し、営業と合意する方法は、MAのKPI設計で扱っています。

営業側が設計に巻き込まれている

リードの受け渡し基準もROIの指標も、マーケティング部門だけで決めると、営業の実感と噛み合わなくなります。

連携が機能している企業では、どのリードを有望とみなすか、どの条件で渡すかを、営業と合意したうえで決めています。マーケティングが「有望」と判断したリードを、営業が「まだ商談段階ではない」と感じる。この認識のずれをなくすには、基準を決める段階から営業を巻き込むことが欠かせません。

引き渡し後の対応期限やフィードバックの流れをSLA(部門間の合意事項)として明文化する方法は、トスアップとSLAの設計で解説しています。

運用を振り返る場が続いている

連携は、一度設計して終わりではありません。機能している企業では、リードの状況や商談化の結果を定期的に振り返り、基準やシナリオを見直し続けています。

弊社が支援した株式会社日本テレビアート様では、マーケティングの基礎やHubSpotの操作を学ぶ勉強会を毎週開き、組織内にノウハウを蓄積していきました。学ぶ場が定例として続いたことが、運用の定着につながっています。

渡したリードがどうなったかを営業からマーケティングへ戻し、その結果を次の基準に反映する。この循環があるかどうかが、連携の質を左右します。

連携が機能していない企業で起きていること

仕組みはあるのに、成果が出ない企業で起きていること
仕組みはあるのに、成果が出ない企業で起きていること

調査では、MA導入企業のつまずきとして「営業との連携が取れていない」が約3割、「費用対効果が見えない」が約3割と、上位に挙がりました。

支援の現場でも、同じ状況をよく目にします。トスアップの仕組みは入っているのに、営業が渡されたリードを追わない。マーケティングが有望と判断する基準が、営業に共有されていない。そもそも、何をもって成果とするかの定義が、両部門でずれている。

先の調査で、トスアップの運用率に貢献群・非貢献群で差がなかったことも、これを裏づけています。仕組みを入れること自体は、成果の条件ではありません。渡したリードを営業が扱える状態になっているか、成果を測る指標が揃っているかが、連携が機能するかどうかを分けています。

自社で整える場合と、外部支援を使う場合の見極め

営業連携の設計は、必ずしも外部支援が必要なわけではありません。

社内にMAとマーケティングの知見を持つ担当者がいて、営業部門との調整を主導できる人がいれば、自社で受け渡し基準やSLAを設計し、運用を回していくことは可能です。

一方で、次のような状態であれば、外部支援を検討する余地があります。MAを導入したものの運用が止まっている。スコアリングを設定したが営業に使われていない。マーケティングと営業のあいだで、リードの定義や対応ルールを決められないまま時間が経っている。

ここで注意したいのは、外部にすべてを任せきりにしても、連携は機能しないという点です。調査でトスアップの仕組みの有無が成果の差にならなかったのと同じで、外部が仕組みを作るだけでは足りません。自社の営業プロセスや判断基準を、支援を通じて社内に残していくことが、連携を定着させる前提になります。

Sells upの営業連携・MA活用支援

株式会社Sells upは、BtoB企業のマーケティング支援・MA導入支援を行う会社です。HubSpot・Account Engagement・Marketoの導入や活用を、80社以上支援してきました。

MAの導入や運用だけでなく、マーケティングと営業のあいだのリードの受け渡し基準やSLAの設計、スコアリングの設計、運用の定着まで、企業の状況に応じて支援しています。

MAで集めたリードが商談につながらない、営業とマーケティングの連携がうまくいかないといった課題がある場合は、現在の状況を整理するところからご相談いただけます。

なお、MAに蓄積されたデータをAIが継続的に解析し、毎日のトスアップを自動で生成する自社開発ツール「LisCore」も提供しています。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず80社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善