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【BtoB向け】RFM分析事例3選|80社支援のSells upが指標再定義から施策接続まで解説

同じ成果を、自社でも再現できるか確認したい方へ

Sells upはBtoBマーケティング支援に特化し、これまで80社以上の支援実績を持ちます。 広告費10万円で月100件のリード創出、MA活用で問い合わせ10倍など、事例で紹介した成果は実際に支援した企業で起きたことです。 自社の課題に当てはめて何ができるかを、まずはお気軽にご相談ください。

目次

RFM分析事例とは、Recency(最新接点日)・Frequency(接点頻度)・Monetary(取引金額)の3つの指標で顧客を分類し、その結果を具体的な施策や成果につなげた他社の活用例を指します。

弊社が支援してきた企業では、BtoC向けの事例をそのままSaaSや製造業に当てはめようとして、分析の段階で止まってしまうケースが少なくありません。

本記事では、BtoBマーケティング向けに指標をどう再定義するか、業界別の4つの事例、MAスコアリングや営業連携とどう結びつけるかまでを一連の流れで解説します。

BtoBマーケティング向けRFM分析事例の早見表

個別の事例に入る前に、4つの事例の全体像を一覧で押さえておきましょう。

各事例について「業界/主要課題/施策/成果の方向性」を1行で整理しているので、自社の事業に近いケースから読み進めやすくなっています。

事例業界主要課題施策の中心成果の方向性
事例1BtoB SaaS解約予備軍を早期に見つけられないR低×過去F高の層にCSが能動的に介入対象セグメントの解約率を下げる
事例2製造業(代理店モデル)売上が一部の上位代理店に偏っている休眠代理店をR×Mで洗い直す休眠代理店との取引を再開する
事例3専門サービス業単発案件で関係が途切れてしまうR高×F=1の顧客へクロスセル提案クロスセル案件を積み上げる
事例4BtoC化粧品通販(比較用)BtoBとの指標の違いを検証したいBtoC指標で同一データを再分析BtoB向けの再定義が必要な理由を確認

「他社のRFM分析事例が自社では使えない」理由

RFM分析の事例を読んでもなかなか応用に至らない背景には、「自社向けの指標への翻訳」を飛ばして、いきなり分析に入ってしまうという問題があります。

BtoC向けの「購入金額・購入回数・最終購入日」という指標をそのままBtoBマーケティングに当てはめると、年に1度の大型発注がある大口取引先が「離反顧客」と判定されたり、毎月少額の追加発注を続けているだけの顧客が「優良顧客」として抽出されたり、といった違和感のある結果になりがちです。

BtoBマーケティングで扱う商材は、契約期間や取引の単位、関係性の深さが事業によって大きく異なります。

事例に出てくる数値や設計だけをなぞっても、自社のデータ構造とは噛み合いません。事例は正解そのものではなく、自社の指標に置き換えるためのヒントとして読む前提を持っておくことが大切です。

「事例が活きる会社・活きない会社」の違い

他社の事例を細部まで読み込んでから分析に着手する会社ほど、その後の施策設計のフェーズで手が止まりやすい傾向があります。多くの場合、事例の指標設計をそのまま流用しようとしてしまい、自社のCRMやSFAに蓄積されているデータと照らし合わせて、指標を翻訳し直すプロセスが抜け落ちているためです。

一方で、事例をあくまで「指標の置き換え方の参考例」と捉え、自社の取引データ構造に合わせて丁寧に再設計している会社では、分析から施策実行までのスピードが早くなります。本記事を読み進める際も、先に指標再定義のパートを確認してから、個別事例のパートに進んでいただくと、内容を自社に当てはめやすくなります。

本記事から得られるもの

この記事では、BtoBマーケティングの文脈に合わせてRFM分析事例をどう読み解き、自社の指標設計や施策に落とし込むかという視点で整理しています。

具体的には、SaaS・製造業・専門サービス業の3つの業態に対応した指標の再定義の考え方、業界別の事例解説、よくある失敗パターンとその回避策、分析結果を施策につなげる5つのステップ、MAスコアリングや営業連携への接続方法までを解説します。

RFM分析の基本と、BtoBマーケティングで注目される理由をコンパクトに整理

RFM分析は、顧客の取引データをRecency(最新接点日)・Frequency(接点頻度)・Monetary(取引金額)の3軸で評価し、優良顧客や休眠顧客といったセグメントに分類する手法です。売上や購入回数といった単一の指標だけでは見えない顧客の状態を、3つの視点から立体的に把握できるのが特徴です。

BtoBマーケティングの現場でRFM分析への関心が高まっているのは、新規リード獲得のコスト(CPA)が上昇し、既存顧客のLTVをどう高めるかが経営課題になっている企業が増えているためです。加えて、MA(マーケティングオートメーション)ツールの普及で取引データの統合が進んでいることや、カスタマーサクセス部門の立ち上げにより既存顧客の状態を定量的に把握する仕組みの必要性が増していることも、RFM分析の活用を後押ししています。

RFM分析における3指標の意味

3つの指標は、それぞれ異なる切り口から顧客を捉えます。

Recency(最新接点日)は「最後に接触してからどれくらい時間が経っているか」

Frequency(接点頻度)は「一定期間内の取引回数あるいは接点回数」

Monetary(取引金額)は「これまでの累計取引額」

を表します。この3軸を組み合わせることで、「最近も接点があり、接点頻度も高く、取引金額も大きい最優良顧客」といった層を切り出せるようになり、単一指標では見落としがちな顧客像が見えてきます。

デシル分析・LTV分析との違いと使い分け

デシル分析は、顧客を購入金額順に10等分して金額貢献度の分布を見る手法です。一方、LTV分析は顧客生涯価値を推計するための手法です。RFM分析が3つの指標で「現在の顧客の状態」を捉えるのに対し、デシル分析は1軸で「金額貢献度のばらつき」を、LTV分析は「将来にわたる収益の総額」を見るイメージです。

BtoBマーケティングでは、まずRFM分析で顧客の状態を分類し、次にデシル分析で金額面のインパクトを確認し、最後にLTV分析で将来の収益ポテンシャルを見立てる、といった形で組み合わせて使うと設計しやすくなります。 デシル分析のMA連携設計もあわせてご覧ください。

BtoBマーケティングにおけるRFM指標の「再定義」フレームワーク

ここでいうRFM指標の再定義とは、もともとBtoCの購買行動を前提に設計された3指標を、自社のBtoB事業モデルに合わせて読み替え直すことを指します。SaaS、製造業、専門サービス業では、Recency・Frequency・Monetaryが指す具体的な指標はそれぞれ異なります。自社のデータ構造に合う形で翻訳するプロセスを挟まなければ、RFM分析そのものがうまく機能しません。

BtoC指標をそのまま使えない理由

BtoBの取引は、契約期間が長く、単発の購入回数よりも「継続利用」や「継続的な関係」のほうが事業価値に効いてきます。たとえば月額課金型のSaaSでは、契約が続く限り売上は毎月計上されるため、BtoCのECサイトのように「一定期間内の購入回数」でFrequencyを定義してしまうと、課金回数の差がそのままエンゲージメントの差を示さなくなります。

年契約の製造業向け取引も似た構造です。契約更新のタイミングまでのあいだにも、サポートへの問い合わせ、追加発注、定例会議など、さまざまな接点が発生します。

BtoBマーケティングでは「購入回数」ではなく、「顧客との接点や利用状況の頻度・鮮度」を測れる指標に置き換えていくことが、再定義の出発点になります。

SaaSビジネスにおける定義|最終ログイン日・利用状況・MRR

SaaSの場合、Recencyは「最終ログイン日」や「主要機能の最終利用日」、Frequencyは「ログイン頻度」「特定機能の利用頻度」「アクティブユーザー数の推移」といった、製品の利用状況を示す指標に置き換えるのが一般的です。Monetaryについては、「MRR(月間経常収益)」「ARR(年間経常収益)」や「LTV」を採用します。

具体的には、過去30日間ログインがない契約アカウントや、主要機能の利用頻度が前月から明らかに落ちている顧客を抽出し、解約リスクの早期検知に役立てます。

MonetaryにMRRを使うことで、現時点での収益貢献度をそのまま分析軸に組み込めます。Frequencyを決める際は、「課金回数」ではなく「実際の利用行動に紐づく指標」を選ぶことを意識してください。

製造業・代理店ビジネスにおける定義|最終商談日・案件数・年間取引額

製造業や代理店ビジネスでは、受注のタイミングが不定期になりやすい点が特徴です。この場合、Recencyは「最終商談日」や「営業担当との最終接触日」、Frequencyは「年間案件数」や「定例会議の開催回数」、Monetaryは「年間取引額」や「利益率」といった指標に置き換えることが多くなります。年に1〜2回の大口発注で関係が成り立つような取引では、購入頻度そのものよりも、接点の新しさや関係性の深さのほうが実態をよく表します。

たとえば、年間案件数が3件以上あり、かつ最終商談日が直近30日以内の代理店を「関係性の深化フェーズ」として位置づける、といった切り方が考えられます。

専門サービス業における定義|プロジェクト単価・案件数・最終接点日

コンサルティングなどの専門サービス業では、Recencyとして「最終プロジェクト完了日」や「最終接点日」、Frequencyとして「累計プロジェクト数」、Monetaryとして「累計契約額」や「プロジェクト単価」を用いるケースが多くなります。

プロジェクトが単発で終わりがちなビジネスでは、最終プロジェクト完了日が新しく、かつ累計案件数がまだ1件にとどまる顧客が、クロスセルの優先ターゲットとして浮かび上がります。プロジェクト完了直後の一定期間(目安として30〜90日程度)は再提案の好機と捉え、Recencyを軸にしたアプローチを設計すると有効です。

指標定義は事業KPIとのつながりが重要

弊社の支援では、RFMの指標を再定義する際に、営業やカスタマーサクセスが「自分たちが日々追っているKPIとちゃんとつながっている」と実感できる形にすることを重視しています。たとえば、カスタマーサクセスの主要KPIが解約率であれば、RecencyとFrequencyは「製品利用状況の鮮度と頻度」をきちんと表す指標にしておく必要があります。

分析担当者にしか意味が分からない指標で設計してしまうと、現場の施策実行まで話が下りていかず、「分析して終わり」で終着してしまいます。RFMだけで完結させるのではなく、別の指標も組み合わせた顧客ランク設計まで広げたい場合は、 BtoB向け顧客ランク分けの設計方法もあわせてご覧ください。

BtoBマーケティングにおけるRFM分析の成功事例4選

ここからは、冒頭の早見表で挙げた4つの事例を順番に見ていきます。それぞれ「業界/課題/指標設計/施策/成果と注意点」という流れで整理しているので、自社に近いケースから読んでいただくとイメージしやすいはずです。

なお、事例の数値は、弊社が支援した案件や類似ケースから抽出した一例として記載しています。実際のKPIの改善幅は、自社のデータや指標設計によって変わりますので、自社で試す際はまず一定期間(目安として3か月程度)運用してみて、しきい値や施策内容を調整していく前提で考えてください。RFM分析で抽出した「優良顧客」の定義や施策へのつなげ方についてさらに深く知りたい方は、 BtoBの優良顧客定義と施策接続もあわせてご覧ください。

事例1(SaaS企業):解約予備軍の特定とアップセル機会の発掘

あるSaaS企業では、新規契約数は順調に伸びていたものの、解約率が高止まりし、カスタマーサクセス部門のリソース配分も悩みの種になっていました。そこで、「最終ログイン日(R)」「主要機能の利用頻度(F)」「MRR(M)」を軸に顧客を分類し、Recencyが低く、過去には利用頻度が高かった層を「解約予備軍」、Frequencyが高く、機能利用がプランの上限に近づいている層を「アップセル候補」と定義したところからプロジェクトが始まりました。

弊社が支援したケースでは、分類後にカスタマーサクセスが解約予備軍の顧客に個別ヒアリングを行い、利用頻度が落ちている理由を聞き取ったうえで、活用支援のメニューを組み立てました。アップセル候補には、現行プランと上位プランの機能差を分かりやすく整理した資料をプロダクト内で提示する施策を実施しました。「セグメントの定義 → 担当部門 → 具体アクション」を一枚のシートにまとめたうえで運用を始めると、分析結果が日々のアクションに落ちやすくなります。

この取り組みでは、対象セグメントに絞って四半期単位でCS施策を回した結果、対象セグメントの月次解約率が運用開始前と比べて明らかに下がるという変化が見られました。LTVやCAC比率とのつなげ方については、 BtoB向けLTV計算とCAC比率の活用法も参考になります。

事例2(製造業):代理店チャネルの最適化と休眠代理店の再活性化

ある製造業の企業では、売上の多くが一部の上位代理店に集中し、休眠状態になっている代理店に対してどこまで営業リソースを割くべきか判断できない状況が続いていました。ここでは、「最終商談日(R)」「定例会議の回数(F)」「年間利益額(M)」を軸に代理店を分類し、Recencyが低くMonetaryが過去には高かった代理店を「関係性が薄まりつつあるパートナー」、Recencyは新しい一方でF・Mがまだ小さい代理店を「ポテンシャル代理店」と定義しました。

前者には経営層が直接訪問し、関係性の立て直しに動く一方、後者には専任チームが密にコミュニケーションを取りながら育成する、という形で役割分担を行いました。休眠と判定された代理店の中にも過去に大きな取引実績があるパートナーが含まれるため、Monetaryの履歴を踏まえた優先順位づけが欠かせない点が注意ポイントです。

事例3(専門サービス業):クロスセル機会の発見と取引の深耕

あるコンサルティングファームでは、初回のプロジェクトが終わったあとに追加提案につながらず、LTVが頭打ちになっているという課題がありました。そこで、「最終プロジェクト完了日(R)」「累計案件数(F)」「累計契約額(M)」を軸に顧客を分類し、Recencyが新しく、Frequencyが1件(単発)の顧客をクロスセルの最優先ターゲットと定めました。

初回プロジェクトを担当したパートナーが、顧客の業界に関連する別サービスの実績を個別に紹介する形でアプローチを行ったところ、追加提案の打診タイミングがチーム内で揃い、継続案件の創出につながる流れができていきました。

事例4(BtoC化粧品通販):BtoCとの違いを確認するための比較

BtoCの事例も、BtoBとの違いを知るうえでは有用な比較材料になります。化粧品通販のように購買サイクルが短く客単価も小さいビジネスでは、累計の購入金額(M)だけでなく、購入頻度(F)のほうがリピート意向を捉えるうえで重要になる場面が多くなります。定期購入に至るかどうかが、そのまま事業KPIに直結するためです。

こうしたBtoCの考え方とBtoBマーケティングを並べて見ることで、BtoBでは「単発の金額」よりも「関係性の継続度」を測る指標を重視すべきだ、という違いがよりクリアになります。

4事例から見える「成果が出る会社」に共通する3つのポイント

ここまでの4つの事例には、共通するポイントが3つあります。

ひとつは、RFMの3指標を自社の事業モデルにきちんと翻訳し直してから分析していること。

次に、分析結果から切り出した各セグメントに対して、「カスタマーサクセス」「営業」「パートナー担当」など、誰が動くのかをはっきり紐づけていること。

最後に、施策を実行したあと、その効果をMAやSFAのデータで継続的に追いかけていることです。

分析・セグメント定義・実行主体・効果測定の4つがそろっている会社ほど、RFM分析が一度きりの取り組みではなく、きちんと運用サイクルとして根付いています。

事例から見える「失敗パターン」と対処法

RFM分析でよくある失敗パターンとは、分析自体は完了しているのに、事業成果にうまくつながらない状態を指します。

代表的なものとして、

  • BtoCの指標のまま分析して優良顧客を誤って抽出してしまうケース
  • 分析レポートを作ったところで施策に落ちないケース
  • マーケと営業のあいだで「優良顧客」の定義が揃っていないケース

の3つが挙げられます。RFM分析の価値は、数字を出すことではなく、その数字を元に打つ施策や営業の動きがどう変わるかにあります。施策への橋渡しが設計されていないと、分析が「一発企画」で終わりやすくなります。

失敗パターン1:BtoC指標のまま分析し、優良顧客を取り違えた

BtoC向けの「最終購入日/購入回数/購入金額」をそのまま使い、年に一度の大型発注で会社に大きく貢献している取引先を、「離反顧客」のセグメントに入れてしまったというケースはよく起きます。

弊社が支援した企業の中にも、マーケティング側が作成したRFMのセグメントを見た営業から「最重要アカウントが、なぜ離反顧客扱いなのか」とヒアリングされ、そこから指標設計を見直したという例があります。

ここでの回避策はシンプルで、分析設計に入る前に「指標の再定義」のステップを必ず挟むことです。自社の取引データを眺めながら、「Recencyを何で測れば、現場から見た『顧客の鮮度』に近くなるか」を営業やカスタマーサクセスと一緒に議論し、合意した指標で分析を進めるようにしてください。

失敗パターン2:分析だけして、施策や運用に落ちないまま終わった

RFM分析のレポートを作り、会議で発表したものの、その先の現場のアクションにはつながらなかったという話もよく耳にします。「セグメント分けができたのは分かるけれど、結局誰が、いつ、どの顧客に対して何をするのか?」と質問され、回答に困ってしまうというのは、ありがちなシーンです。

分析結果と施策、施策と実行責任者、実行責任者とKPIのあいだにきちんと紐づけがないと、分析は一枚の資料で終わってしまいます。これを避けるには、分析の設計段階から「結果が出たら、どのセグメントを誰がどう動かすのか」を先に決めておくことが重要です。

たとえば、「優良顧客はカスタマーサクセス」「休眠予備軍はインサイドセールス」「育成段階の顧客はマーケティング」といった形で、担当範囲を合意してから分析を始めると、施策への落とし込みがスムーズになります。

失敗パターン3:マーケと営業で「優良顧客」の定義が食い違っていた

マーケティング側が「RFMスコアの上位層」を優良顧客と定義している一方で、営業側は「直近で大型受注が見込める顧客」を優良顧客だと考えているというようなすれ違いも、現場ではよく起こります。その結果、トスアップされたリストを見た営業から「このリードは今追っても受注にはならない」といわれてしまいます。

優良顧客の定義は、マーケと営業が同じテーブルで合意したうえで運用を始めることが前提になります。SLA(マーケと営業の引き継ぎルール)の中に、「優良顧客の定義」と「トスアップの基準」をきちんと文書で残しておくと、運用が始まってからの認識ズレを抑えられます。

RFM分析を具体的な施策につなげる5ステップ

RFM分析の結果を実際の施策に落としていく流れは、

Step.1:目的とKPIの設定 → Step.2:データ収集とクレンジング → Step.3:ランク分け基準の設計 → Step.4:分析とセグメント化 → Step.5:セグメント別施策の実行

という5つのステップに整理できます。分析精度そのものよりも、分析結果をどう施策に結びつけるかという設計のほうが、最終的な成果を左右しやすい点を念頭に置いて進めてください。

Step.1:目的とKPIの設定|LTV向上・解約率改善などゴールの言語化

最初に、「今回のRFM分析を何のために行うのか」というゴールを明確にします。LTVの向上、解約率の改善、休眠顧客の再活性化、クロスセルの拡大など、事業目標と紐づくKPIに落とし込んでおくと、その後の指標設計や施策設計に一貫性が出ます。「解約率をどこまで下げたいのか」「クロスセル案件を四半期でどのくらい増やしたいか」といった形で、現状値とターゲットの両方を決めておくと良いでしょう。

Step.2:データ収集とクレンジング|CRM/SFAからの抽出

次に、CRM・SFA・MAに蓄積されている取引履歴、商談履歴、利用ログなどを集約します。このタイミングで、表記揺れや重複レコード、空欄、誤入力といった問題を整えるデータクレンジングを実施しておくことが、分析の精度を担保する前提条件になります。弊社の支援でも、データクレンジングに一定の時間がかかるケースは珍しくありませんが、この工程を飛ばして分析に入ると、後のフェーズで「そもそもデータが信用できない」という声が現場から上がり、施策が止まってしまうリスクが高まります。

Step.3:ランク分け基準の設計|データ分布を見ながら3〜5段階に分ける

R・F・Mそれぞれについて、3〜5段階程度のランクに分けるためのしきい値を設計します。最初は顧客データの分布を見ながら、できるだけバランスよく各ランクに顧客が分散するよう区切ると扱いやすくなります。ヒストグラムなどで分布を確認し、「上位20%/中位60%/下位20%」といった分け方から始めて、運用の中で自社に合うしきい値に調整していくイメージです。

Step.4:分析とセグメント化|Excel・BI・MAツールの役割分担

実際の分析手段は、データ量や運用体制によって選びます。まずはExcelやGoogleスプレッドシートのピボットテーブルやクロス集計だけでも、一定規模までは十分対応できます。継続的な運用を見据える場合は、TableauなどのBIツールや、MA/CRMツールの分析機能を使って、定期的に同じ切り口で分析できる仕組みを整えていくと効率的です。Excelでの具体的な手順を確認したい場合は、 RFM分析のExcel手順とMA活用の実践方法も参考になります。

Step.5:セグメント別アクションプランの立案と実行

最後に、分類された各セグメントの特徴に合わせたアクションプランを作り、実行に移します。優良顧客にはロイヤルティを高めるための取り組み(限定セミナーの案内、新機能の先行案内など)、育成中の顧客にはアップセルにつながる情報提供(上位プランとの比較資料や類似企業の活用事例など)、休眠予備軍には関係性を再構築するためのアクション(担当者による直接フォローや利用状況のヒアリングアンケートなど)といった形で、セグメントごとに打ち手を変えていきます。

分析結果はCRM/MAと連携し、施策と効果測定を仕組み化する

RFM分析の価値を最大限に引き出すには、分析の結果をその場限りで終わらせず、CRMやMA上でのアクションと効果測定に組み込んでいくことが重要です。弊社の支援では、RFMの結果をMAツールに連携し、特定のセグメントに対するパーソナライズドメールの自動配信や、SFA上でのタスク自動生成、ホットリードの営業通知などを組み合わせる設計を採用するケースが多いです。施策の実行履歴と成果指標をデータとして蓄積できるようにしておくと、PDCAサイクルを回しやすくなります。

RFM分析をMAスコアリング・営業連携に結びつける実装ステップ

ここでは、RFM分析の結果を「MAのスコアリング」「ナーチャリングシナリオ」「営業連携」という3つのレイヤーにどう落とし込むかを整理します。RFMスコアを既存のスコアリングモデルに組み込み、セグメント別のシナリオ設計につなげ、さらにSLAにトスアップ条件として組み込むという流れで設計しておくと、RFM分析が単発の分析作業ではなく、日々の運用に組み込まれた仕組みとして機能しやすくなります。

RFM分析の結果をMAのスコアリングモデルに組み込む

まず、RFM分析で算出したスコアを、既存の属性スコアや行動スコアと組み合わせて総合スコアとして扱います。業種や企業規模、役職などの「属性スコア」と、資料ダウンロードやウェビナー参加といった「行動スコア」にRFMスコアのウェイトを加え、ホットリードを判定する基準を設定します。RFMスコアにどれくらい重みを持たせるかは事業モデルによって変わるため、一定期間運用してみた結果を見ながら調整していくのが現実的です。

MAのスコアリング設計についてより詳しく知りたい場合は、 スコアリング設計と運用の実務手順も参考にしてみてください。

セグメント別のナーチャリングシナリオを設計する

次に、RFMで分けたセグメントごとに、どのような内容のメールをいつ送るか、その後どのコンテンツに遷移させるか、といったナーチャリングシナリオを組み立てます。たとえば、優良顧客には限定セミナーや新機能の先行案内、育成対象の顧客にはアップセル候補となるプランの比較情報、休眠予備軍には再接点をつくるためのアンカー記事や事例コンテンツを届ける、といったイメージです。より細かな設計手順については、 ナーチャリングシナリオの設計手順も参考になります。

マーケと営業のSLA(引き継ぎルール)に組み込む

マーケティングと営業のあいだで取り交わすSLA(Service Level Agreement:引き継ぎルール)の中に、RFMセグメントの定義やトスアップの条件を盛り込んでおくと、連携がスムーズになります。「RランクとFランクが上位の顧客には、一定時間以内に営業が初回コンタクトを取る」「休眠予備軍については、インサイドセールスが指定期間内に再接点を試みる」といった形で、セグメントごとの対応ルールを明文化しておきます。また、SLAは一度決めたら終わりではなく、定期的に見直す前提で設計することが重要です。実際の運用データを見ながら、しきい値や対応スピードを都度調整していってください。

Account Engagement・HubSpot・Marketoでの実装イメージ

主要なMAツールであれば、RFMスコアをカスタム項目として保持し、自動セグメントやスコアリング機能と連携させることができます。たとえば、Account Engagementではダイナミックリストでセグメントを定義し、Engagement Studioでシナリオを動かす、HubSpotではリストとワークフローを組み合わせて自動化する、Marketoではスマートリストとプログラムを組み合わせてセグメント別配信を行う、といった使い方が一般的です。

各ツールごとの具体的な設定手順については、ベンダーが提供している公式ヘルプの情報が最も正確で最新ですので、実装前には必ず確認してください。弊社の経験上、ツール選定の前段階で「RFMスコアをどの項目に持たせるか」「どの条件で自動セグメントを組むか」といった設計を整理しておくと、導入後の設定がスムーズに進むと感じています。

RFM分析と他の顧客分析手法を組み合わせて精度を高める

RFM分析だけでは捉えきれない顧客の側面を補うために、他の分析手法と組み合わせて使うことも有効です。RFMでは、「どのくらい最近接点があったか」「どの程度の頻度で接点があるか」「金額的な貢献度はどうか」は分かりますが、「どの商材に興味があるのか」「なぜ離反したのか」といった部分までは見えてきません。そこで、デシル分析やLTV分析、セグメンテーション分析といった手法を組み合わせて、多面的な顧客理解を目指します。

デシル分析との組み合わせで「高価値な休眠顧客」を見つける

RFM分析で「休眠顧客」と分類された層の中には、デシル分析で見ると上位に入る「過去に高額取引があった顧客」が含まれていることがあります。この2つの軸を重ねることで、「優先的に掘り起こすべき高価値な休眠顧客」を効率よく特定できます。たとえば、Recencyのランクが下位で、累計取引金額が上位20%に入る顧客に対しては、担当者の手書きに近いトーンのメールや、経営層からのメッセージなど、丁寧な再接点のアプローチを取る、といったイメージです。

LTV分析との組み合わせで長期収益を意識した設計にする

LTV分析を組み合わせることで、「現時点ではRFMスコアがそれほど高くないが、将来的なLTVのポテンシャルが高い顧客」を中長期の育成ターゲットとして見つけ出すことができます。短期的な視点に寄りがちなRFMと、長期的な収益貢献を意識するLTVの両方を併用することで、「今すぐアプローチすべき顧客」と「時間をかけて育てるべき顧客」の両方に対して施策を組み立てられるようになります。

セグメンテーション分析との組み合わせで施策の精度を上げる

セグメンテーション分析は、業種や企業規模、役職などの属性軸と、情報収集行動や利用パターンといった行動軸を組み合わせて顧客を分類する手法です。RFMで分けたセグメントに、この属性・行動のセグメントを掛け合わせることで、「同じRFMランクでも、業種や規模によって打つべき施策が違う」といった粒度で戦略を立てることができます。全体像や設計の進め方については、 BtoB向けセグメンテーション分析の設計手順もあわせてご覧ください。

まとめ

本記事では、BtoBマーケティングにおけるRFM分析事例として、SaaS・製造業・専門サービス業の3つの業態にわたる指標再定義の考え方、4つの具体事例、代表的な失敗パターンとその回避策、分析結果を施策につなげる5ステップ、そしてMAスコアリングや営業連携への接続方法までを一通り整理しました。

BtoCの事例をそのままBtoBに持ち込んでもうまくいかないのは、自社の事業モデルとの翻訳プロセスが抜けているからです。

ポイントは、RFM分析を「数字を出すための作業」としてではなく、「営業やカスタマーサクセスの動きを変えるための仕組み」として設計することです。指標の再定義からセグメントの設計、実行責任者の割り当て、SLAへの組み込み、そして効果測定の自動化までを一貫してつなげていくことで、分析が単発のプロジェクトではなく、日常的な運用サイクルとして根付きます。

RFM分析をしっかり回せるようになると、既存顧客のLTV向上や解約率の改善、クロスセル機会の発掘といったテーマを、感覚ではなくデータに基づいて優先順位づけできるようになります。ここで紹介した内容を自社に当てはめる際に、どこから手をつけるべきか整理したい場合は、こうしたテーマに詳しい外部のパートナーに相談してみるのも一つの方法です。

よくあるご質問

Q1:RFM分析とデシル分析の違いは何ですか?

RFM分析は「最新接点」「接点頻度」「取引金額」という3つの指標で顧客を多面的に分類する手法で、デシル分析は購入金額だけを基準に顧客を10等分する手法です。BtoBでは、まずRFM分析で顧客の状態を整理し、そのうえでデシル分析を使って金額貢献度の分布を確認する、という組み合わせで使うケースが多くなっています。

Q2:BtoBでRFM分析を行うとき、指標はどう定義すればよいですか?

基本的な考え方は、「BtoCの指標をそのまま使うのではなく、自社の事業モデルに沿うように翻訳する」ことです。SaaSであれば「最終ログイン日/ログイン頻度や機能利用頻度/MRR」、製造業であれば「最終商談日/年間案件数/年間取引額」、専門サービス業であれば「最終プロジェクト完了日/累計案件数/累計契約額」といった指標が代表的な例です。現場の営業やカスタマーサクセスと合意が取れる指標を一緒に選ぶことが重要です。

Q3:RFM分析の結果をMAツールではどう活用すればよいですか?

RFMで算出したスコアを既存のスコアリングモデルに組み込み、セグメント別のナーチャリングシナリオを設計し、そのうえでSLAにトスアップ条件として組み込む、という流れで設計します。Account Engagement、HubSpot、Marketoのいずれでも、RFMスコアをカスタム項目で保持し、ダイナミックリストやリスト+ワークフロー、スマートリストといった機能を使ってセグメント別の自動化を行うことが可能です。具体的な設定方法は、各ツールの公式ドキュメントを必ず確認してください。

Q4:RFM分析が向かないBtoBのケースはありますか?

取引データの蓄積がまだ1年に満たず分布が安定していない場合や、顧客数が極端に少なく統計的な傾向を読みづらい場合、CRM/SFAの入力がバラついていてデータクレンジングに現実的な工数が割けない場合などは、RFM分析を急ぐよりも先にデータ基盤の整備を優先したほうが良いことが多いです。

Q5:RFM分析を行ったのに、営業の動きが変わらないのはなぜですか?

よくある原因としては、「優良顧客の定義がマーケと営業で一致していない」「トスアップ条件がSLAとして明文化されていない」「RFMセグメントがSFA上で営業から見えない」といった点が挙げられます。弊社の支援では、SLAに定義をきちんと落とし込んだり、通知の設計を見直したりするだけで、営業側の動きが変わるケースは少なくありません。

Q6:RFM分析はどのくらいの頻度で見直せばよいでしょうか?

ひとつの目安としては、指標そのものの再定義は半年〜1年に一度、ランク分けのしきい値は四半期ごとくらいの頻度でデータ分布を確認しながら見直すと扱いやすくなることが多いです。事業フェーズや顧客ポートフォリオが変わると、過去に決めたしきい値が現状と合わなくなることもあるため、定期的に分布をチェックしてアップデートすることをおすすめします。

同じ成果を、自社でも再現できるか確認したい方へ

Sells upはBtoBマーケティング支援に特化し、これまで80社以上の支援実績を持ちます。 広告費10万円で月100件のリード創出、MA活用で問い合わせ10倍など、事例で紹介した成果は実際に支援した企業で起きたことです。 自社の課題に当てはめて何ができるかを、まずはお気軽にご相談ください。

株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。KGI逆算によるKPI設計・リードスコアリングの統計的設計・カイ二乗検定や相関分析をはじめとした統計的手法に基づくMAデータ活用・営業連携SLAの構築を含むMA活用支援を、業界・規模を問わず80社以上に提供してきた実績を持つ。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。