RFM分析のやり方とは?BtoBマーケティング担当者が設計すべきスコア基準・MA連携・手順を解説
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。 こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。 Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。
RFM分析とは、顧客の最終接触日(Recency)・接触頻度(Frequency)・取引金額(Monetary)という3つの指標をもとに顧客をランク分けし、優先度の高いアプローチ対象を特定する顧客分析手法です。
弊社がBtoBマーケティングを支援する企業では、MAツールにデータが蓄積されているにもかかわらず「誰に・いつ・何を届けるか」が設計できていないために商談化率が低迷しているケースが多く見られます。
本記事では、BtoBマーケティング担当者が活用できるRFM分析のやり方として、指標の再定義・スコア閾値の決め方・HubSpotやAccount EngagementへのMA連携手順まで、80社以上のBtoBマーケティング支援を通じて得た知見をもとに紹介します。
RFM分析とは?3つの指標と基本的な仕組み
RFM分析とは、顧客の購買・活動データを「最終接触日(Recency)」「接触頻度(Frequency)」「取引金額(Monetary)」の3軸で評価し、顧客をセグメント分けする分析手法のことです。
多くのBtoBマーケティング担当者に選ばれる理由として、
- 3つの数値だけで顧客の現在の状態を定量的に把握できる
- 優先度の高い顧客と早急にフォローが必要な顧客を同時に可視化できる
- 分析結果をMAツールのリスト条件に直接変換できるため施策との接続がしやすい
という点が挙げられます。特別な統計ソフトが不要でExcelだけで始められることも、現場への普及を後押ししています。
購買行動の多くが「いつ買ったか(R)・何回買ったか(F)・いくら使ったか(M)」の3変数で大部分が説明できるという考え方は、1990年代のアメリカのデータベースマーケティングで体系化されました。現在ではBtoBマーケティング領域でも広く応用されています。
Recency・Frequency・Monetaryの意味
Recency(最終接触日)は、顧客が最後に取引や活動を行った日からの経過日数を示します。経過日数が短いほど顧客のエンゲージメントが高いと評価し、高いスコアを付与します。Frequency(接触頻度)は、一定期間内に顧客が何回取引・活動を行ったかを示します。頻度が高いほどロイヤルティが高いと判断します。
Monetary(取引金額)は、顧客が一定期間内に支払った金額の合計を示します。金額が大きいほど事業への貢献度が高いと評価します。
RFM分析は顧客分析手法の中でも取り組みやすい部類に属します。顧客分析の全体的な体系や他の手法との使い分けを知りたい場合は、セグメンテーション分析の全体像を先にご確認ください。
RFM分析が顧客分析に使われる理由
多くの企業が直面している課題は「データはあるのに使えていない」という状況です。CRMやMAツールに数千件のリストがあっても、「優良顧客」「休眠予備軍」「すでに離脱した顧客」に分類できていなければ、全員に同じメール施策を打ち続けることになります。
RFM分析は、この状況を変えるために導入しやすいフレームワークです。分析結果をMAツールのセグメント条件にそのまま転用できる点が、現場での普及を支えています。
デシル分析との違い:RFMとデシルをいつ使い分けるか
デシル分析は顧客を購入金額順に10等分してランク付けする手法です。RFM分析との大きな違いは「時間軸」の有無にあります。デシル分析は「これまでにいくら使ったか」という累計金額のみで評価するため、過去に高額購入があった休眠顧客も上位ランクに入ってしまうケースがあります。一方、RFM分析は「いつ・何回・いくら」という3軸を組み合わせるため、顧客の現在の状態をより正確に捉えられます。
BtoBマーケティングで短期の施策優先度を付けたい場合はRFM分析、長期的な売上貢献分析にはデシル分析が向いています。
BtoBマーケティングでRFM分析を使う場合の「指標の読み替え」
BtoBマーケティングでRFM分析を活用する際に押さえたいポイントは、3指標の定義をBtoBの商取引モデルに合わせて読み替えることです。
BtoCの「購入日・購入回数・購入金額」をそのまま使うと、BtoBの購買サイクルに合わない結果になりやすいです。BtoBでは商談・提案・契約更新などの接触活動を指標に置き換える必要があり、読み替えた指標でCRM/SFAのデータを活用することで、実際の商談化行動に直結する分析が可能になります。
BtoBマーケティング特有の「購買サイクルの長さ」と「複数の意思決定者の存在」がその理由です。年1〜2回しか商談が発生しない商材に「最終購入日から30日以内でスコア5」という基準を適用しても、ほぼ全顧客がスコア1になってしまい分析として機能しません。BtoBの商取引に即した指標設計が必要です。
RFM以外の顧客ランク分け手法との比較や使い分けについては、BtoBの顧客ランク分け手法の比較も参考にしてください。
BtoCとBtoBでRFM指標が変わる理由
BtoCのRFM分析は「購買履歴データ」を前提にしています。小売・ECでは購入日・購入回数・購入金額がシステムに記録されており、そのままExcelに貼り付けて分析できます。しかしBtoBマーケティング領域では、一度の商談成立に複数回の接触が必要で、購買サイクルが半年から2年程度になるケースも珍しくありません。
「購入」という単一イベントではなく、「商談・提案・ウェビナー参加・資料ダウンロード・メール開封」といった複数の接触活動の累積で関係が構築されるのがBtoBの特徴です。そのため、RFM分析の3指標を「最終商談日・接触回数・受注金額」に置き換えることが、BtoBマーケティングでの活用の前提となります。
BtoBマーケティング向けRFM指標の再定義
以下の読み替えを参考にしてください。
| 指標 | BtoCの定義 | BtoBマーケティング向けの読み替え |
|---|---|---|
| R:Recency | 最終購入日からの経過日数 | 最終商談日・最終接触日(メール開封・ページ訪問・資料DL含む)からの経過日数 |
| F:Frequency | 一定期間内の購入回数 | 過去12ヶ月の商談回数・提案回数・メール開封回数など接触頻度の合計 |
| M:Monetary | 累計購入金額 | 受注金額・パイプライン金額・契約継続金額(MRRまたは年間契約額) |
例えば、SaaS系の人材テック企業(ハウスリスト約2,000件・平均商談サイクル4ヶ月程度)への支援では、HubSpot上のコンタクトデータを使い、RecencyをSFA上の最終商談日、FrequencyをMAツールのメール開封・ウェビナー参加・キーページ訪問の合計接触回数、Monetaryを直近12ヶ月の受注金額に置き換えてRFM分析を設計しました。
分析の結果、一部の顧客層が商談の大半を生んでいることが可視化され(一例として、上位の顧客グループに商談の集中が確認されました)、インサイドセールスのアプローチ優先順位の整理に活用できました。
BtoBマーケティングでRFM分析が機能しやすい企業の条件とは?
RFM分析が効果を発揮しやすい企業には、共通した条件があります。
- CRM/SFAに商談履歴が記録されており、顧客ごとの接触ログが追跡できる
- ハウスリストが500件前後以上あり、セグメント分類をしても各グループにある程度の母数が確保できる
- インサイドセールスまたはMA担当者が存在し、分析結果を施策に落とせる体制がある
の3つです。逆に、商談履歴がExcelで管理されていてデータが属人化している段階では、まずデータ基盤の整備を優先することを弊社では案内しています。
RFM分析のやり方|Step.1〜5の全手順
RFM分析のやり方とは、課題設定・データ収集・分布確認・スコア設定・施策設計という5つのステップで構成される顧客分析プロセスのことです。
各ステップで特に気をつけたいのは次の点です。最初の「課題設定」を省略すると分析が目的化し成果につながりません。データ品質がスコアの精度を直接左右するためクレンジングは欠かせません。そして、スコアは算出して終わりではなくMAツールの条件設定に転用することで初めて価値を発揮します。この3点を意識しながら進めると、途中で手が止まりにくくなります。
Step.1:課題の設定と仮説立案
分析で最初に決めるべきは「何のためにRFM分析を行うか」という目的です。目的が曖昧なまま分析を始めると、データを眺めて終わるという状態に陥ります。目的は「休眠リードを掘り起こし、インサイドセールスへのトスアップ数を月10件増やす」「新規リードの2回目以降の接触率を30%改善する」など、解決したいビジネス課題と数値目標をセットで言語化してください。
次に、その課題に対する仮説を立てます。「初回ウェビナー参加後の追客が薄いため、参加者の多くが2回目の接触前に離脱しているのではないか」といった仮説が、スコア設計の方向性を決める軸になります。
Step.2:顧客データの収集とクレンジング
分析に必要なデータは、SFAまたはCRMからCSV形式でエクスポートします。最低限必要なデータ項目は次の4つです。
- 顧客を一意に識別するID(企業IDまたはメールアドレス)
- 最終接触日(商談日・最終ログイン日・最終メール開封日など)
- 接触回数(過去12ヶ月の商談回数・メール開封回数など)
- 取引金額(受注金額・契約金額・パイプライン金額)
です。
データ抽出後は必ずクレンジングを行います。具体的には「株式会社」と「(株)」の表記ゆれの統一、テスト用アカウントの除外、取引金額が0円のデータの扱い定義などです。
弊社の支援において、クレンジングを省略したためにスコア上位30件のうち10件がテストアカウントだったことがあります。データ品質は分析精度に直結するため、この工程を飛ばすことはお勧めしません。
Step.3:3指標の分布確認
データの準備が整ったら、R・F・Mそれぞれの数値分布をヒストグラムで確認します。この工程の目的は「自社の顧客データがどのような分布をしているか」を把握することです。たとえばRecencyの分布を確認したとき、最終接触日から90日以内の顧客が全体の20%しかいない場合と60%いる場合では、その後のスコア閾値の設定方法が大きく変わります。
分布の偏りやピークを先に確認しておくことで、自社データに即した閾値設計が可能になります。この工程を省略してスコア例をそのまま適用すると、ほぼ全顧客が同じランクに集中するという事態が起きます。
Step.4:スコアの設定と顧客分類
分布を確認したうえで、R・F・Mそれぞれを3〜5段階にランク分けするスコア基準を設定します。基準の設定方法には「固定閾値法」と「分位数法」の2種類があります。固定閾値法は「90日以内でスコア5」など自社の購買サイクルに基づいて手動で設定する方法です。
分位数法は全顧客を均等に5等分し、上位20%を自動的にスコア5とする方法で、主観を排した客観的な評価が可能です。BtoBマーケティング担当者が初めてRFM分析を実施する場合は、固定閾値法で「自社にとって意味のある数値基準」を設定し、運用を重ねながら調整していくアプローチを弊社では案内しています。
Step.5:グループ別施策の立案とPDCAサイクルの設計
スコアが付与された顧客を「優良顧客(RFMすべて高)」「育成候補顧客(R・Fは高いがMが低い)」「休眠予備軍(FとMは高いがRが低下中)」「低関与顧客(RFMすべて低)」などのグループに分類し、各グループへの施策を設計します。
重要なのは、施策の設計と同時に「次の分析サイクル」を決めることです。月次または四半期ごとにスコアを更新し、各グループの顧客数の変化を追跡することで、施策の効果検証と改善が可能になります。RFM分析はスナップショットであり、一度実施すれば完了という性質のものではありません。
スコア閾値の「決め方」|自社商材に合わせた数値設定の基準
RFM分析のスコア閾値とは、各指標において何点を付与するかの境界値のことです。
閾値設計で押さえたいコツがあります。閾値は自社の平均購買サイクルを基準に設定するのが実際の商談データに合いやすく、3指標の重み付けは商材の特性によって変える必要があります。また、初回から精緻な閾値を追うより、まず設定して運用しながら調整していく姿勢の方が長続きします。特に初回設定時は「正解を探す」より「自社データで検証する」という感覚が、現場に根付く運用につながります。
購買サイクルが長い商材での閾値設定の考え方
BtoBマーケティングで扱う商材の多くは、購買サイクルが半年から2年程度と長期にわたります。この場合、「最終接触日から30日以内でスコア5」という短期間の閾値を設定すると、ほぼ全顧客がスコア1に集中してしまい、ランク分けの意味がなくなります。閾値設定の基本的な考え方は「自社の平均商談サイクルを基点に設定する」ことです。平均商談サイクルが6ヶ月程度の企業であれば、Recencyの最高スコア(5点)の閾値は「180日以内」を一つの目安に設定し、そこから3ヶ月ごとに1ランク下げる設計が商談実態に合いやすいです。
スコアの重み付け設計はリードスコアリングの設計思想と共通する部分があります。重み付けの考え方については、リードスコアリングの重み付け設計も合わせてご参照ください。
Recency・Frequency・Monetaryの重み付けをどう決めるか
3指標すべてを均等に扱う必要はありません。弊社がBtoBマーケティング支援を通じて得た知見では、Recencyが商談創出との相関が高く、次いでFrequency、Monetaryの順になるケースが多いです。
BtoBマーケティングでは「直近に接触した顧客ほど商談化率が高い」という傾向が支援先データからも確認されており、最終接触日からの経過日数が営業優先度の判断において特に有効な指標となっています。重み付けを導入する場合は、まずRecencyを重視し、FrequencyとMonetaryを補助指標として設計することから始めることをお勧めします。
BtoBマーケティング向けスコア設定のスターター案
以下は弊社がBtoB SaaS企業(従業員150名規模・ハウスリスト約2,400件)への支援で試行したスコア設定の一例です。あくまでも「まず使ってみるための初期案」として位置付けてください。なお、スターター案のRecencyは90日以内を5点としていますが、後述のFAQで説明している「平均商談サイクルが6ヶ月程度の企業では180日以内を目安にする」という考え方とは、前提にする商材・商談サイクルが異なります。平均商談サイクルが3〜4ヶ月程度のSaaS企業向けに設定した例のため、自社の商談サイクルに合わせて読み替えて使用してください。
| スコア | R:最終商談日からの経過日数 | F:過去12ヶ月の接触回数 | M:受注・パイプライン金額 |
|---|---|---|---|
| 5点 | 90日以内 | 8回以上 | 500万円以上 |
| 4点 | 91〜180日 | 5〜7回 | 200〜499万円 |
| 3点 | 181〜270日 | 3〜4回 | 50〜199万円 |
| 2点 | 271〜365日 | 1〜2回 | 10〜49万円 |
| 1点 | 366日以上 | 0回 | 10万円未満 |
この支援先では、Recencyが商談化率との相関が高く、FrequencyとMonetaryがそれに続くという傾向が確認されました。いずれも弊社支援先の限定的なデータであり、業種・商材・ハウスリストの質によって変わります。この数値をそのまま適用するのではなく、Step.3の分布確認を踏まえたうえで自社データに合わせて調整することが前提です。
Excelを使ったRFM分析の実装手順
ExcelによるRFM分析の実装とは、SFA/CRMからエクスポートしたデータにIF関数を使ってスコアを付与し、バブルチャートで顧客分布を可視化するプロセスのことです。
実装の流れはシンプルです。DATEDIF関数でRecencyの日数を算出してIF関数でスコア化し、F値・M値も同様にランク変換して3指標の合計スコアを出します。最後にバブルチャートでRとFを軸に顧客分布を可視化すると、施策優先度が一目で把握できるようになります。
必要なデータ項目と準備
SFA(Sales Force Automation:営業支援ツール)またはCRMからエクスポートするデータは、以下の列構成で準備します。A列:顧客ID、B列:企業名、C列:最終商談日、D列:過去12ヶ月の接触回数、E列:受注・パイプライン金額。データはCSV形式でエクスポートし、ExcelまたはGoogleスプレッドシートに貼り付けます。クレンジング後、F列以降にR値・F値・M値のスコアを計算する列を追加していきます。
IF関数・DATEDIF関数を使ったR値・F値・M値の計算手順
R値(Recency)の計算:まず基準日(分析実施日)をセルH1に入力します。次にF2セルに以下の関数を入力し、最終商談日から基準日までの経過日数を算出します。
=DATEDIF(C2,$H$1,"d")
算出した経過日数をもとに、G2セルで以下のIF関数を使ってスコアを付与します。
=IF(F2<=90,5,IF(F2<=180,4,IF(F2<=270,3,IF(F2<=365,2,1))))
F値(Frequency)のスコア化:D列の接触回数に対して、H2セルに以下の関数を入力します。
=IF(D2>=8,5,IF(D2>=5,4,IF(D2>=3,3,IF(D2>=1,2,1))))
M値(Monetary)のスコア化:E列の金額に対して、I2セルに以下の関数を入力します。
=IF(E2>=5000000,5,IF(E2>=2000000,4,IF(E2>=500000,3,IF(E2>=100000,2,1))))
総合スコアの算出:J2セルにG2・H2・I2の合計を入力します。
=G2+H2+I2
オートフィルで全顧客行に関数をコピーすれば、すべての顧客にR・F・M各スコアと総合スコアが付与されます。総合スコアが11点以上を優良顧客、7〜10点を育成候補、6点以下をフォロー優先顧客として分類するところから始めることをお勧めします。この分類ラインはあくまでスターター案です。自社のハウスリスト規模に合わせて各グループの件数が目安として20件程度以上確保できるよう調整してください。
バブルチャートによるセグメント可視化
スコアが付与されたデータをもとに、ExcelのバブルチャートでRとFを軸に顧客分布を可視化します。横軸をF値(接触頻度スコア)、縦軸をR値(最終接触日スコア)、バブルのサイズをM値(取引金額スコア)に設定することで、「頻繁に接触していて最近の接触もある高金額顧客」が右上に大きなバブルとして表れます。この可視化によって「どのセグメントに顧客が集中しているか」「どのセグメントが手薄か」が直感的に把握でき、施策の優先順位付けがしやすくなります。
RFM分析の結果をMAツールに連携する方法
MA(マーケティングオートメーション)ツールへのRFM連携とは、Excelで算出したセグメント分類をMAツールのリスト条件に変換し、各グループへのナーチャリングシナリオを自動実行する仕組みを構築することです。
連携設計で意識したいのは、①MAツールのカスタムプロパティにRFMスコアを書き込む、②スコア条件を使ったアクティブリストを作成してセグメントを自動更新する、③各セグメントのリストをトリガーにしたシナリオを設定してナーチャリングを自動化する、という3段階の流れです。この流れが整って初めて「分析→施策実行→商談化」のサイクルが回り始めます。
MAツールでのスコア設計の基礎的な考え方については、MAスコアリング設計の基本も合わせてご参照ください。
HubSpotでのセグメントリスト作成とスコア連動の設定方法
HubSpotでRFMセグメントを運用する場合、以下の手順で設定します。まず、コンタクトプロパティに「RFM_R_Score」「RFM_F_Score」「RFM_M_Score」「RFM_Total_Score」の4つのカスタムプロパティ(数値型)を作成します。
次に、ExcelのスコアデータをCSVインポートまたはHubSpotのAPI連携でプロパティに書き込みます。
書き込み後、「アクティブリスト」の条件に「RFM_Total_Score が 11 以上」などの条件を設定することで、スコアが更新されるたびに自動でリストの対象者が変わる動的なセグメントが完成します。
このリストをトリガーにしたワークフローを設定すれば、優良顧客へのアップセル提案メール・休眠予備軍への掘り起こしメールが自動配信されます。
Account Engagement(旧Pardot)でのRFMグループへのシナリオ割り当て
Account Engagement(旧Pardot)を使用している場合は、Salesforceのカスタム項目にRFMスコアを格納し、Account EngagementのダイナミックリストをSalesforce項目の値条件で設定します。具体的には、Salesforceのコンタクトオブジェクトに「RFMスコア合計」というカスタム項目(数値型)を追加し、Salesforce Flow(旧フロービルダー)でExcelのスコアデータをバッチ更新する仕組みを構築します。
Account Engagement側では「Salesforce項目:RFMスコア合計 が 11 以上」という条件のダイナミックリストを作成し、このリストをEngagement Studioのトリガーに設定することで、各セグメントへのシナリオが自動的に割り当てられます。
MA連携後の「インサイドセールスへのトスアップ基準」の設計
MA連携の最終目的は、商談創出につなげることです。RFMスコアが一定水準を超えた顧客をインサイドセールス(IS)に引き渡すSLA(マーケと営業の引き継ぎルール)を事前に設計しておく必要があります。
弊社の支援では「RFM総合スコアが12点以上、かつ直近30日以内に料金ページまたは事例ページを訪問した顧客」という条件でISへの自動通知を設定したことで、IS担当者が架電優先度を判断する工数が減り、架電の質が向上したという例があります。
重要なのは、RFMスコアと行動データを組み合わせた「ダブルゲート」で引き渡し条件を設計することです。RFMスコアだけでトスアップすると、スコアは高いが現時点では購買意欲が低い顧客に無駄な架電が発生するリスクがあります。
MA連携後に実際にどのような成果が生まれたかの具体例については、BtoB企業のRFM分析活用事例をご覧ください。
RFM分析の注意点と限界|使いこなすための3つのポイント
RFM分析の注意点とは、測定タイミングの影響・商材特性との相性・継続運用設計の3点に集約されます。
弊社では、RFM分析はまずExcelで小さく始め、運用が定着してからMAツールへの自動化を検討するという段階的な進め方を案内しています。
いきなり高度なBIツールを導入して設定が複雑になり属人化するより、担当者全員が仕組みを理解できるシンプルな設計の方が、長期的に続けやすいです。この手法は特定のケースで有効な分析手法であり、すべての課題に対応できるわけではありません。下記の注意点を把握したうえで活用することをお勧めします。
測定タイミングによって結果が変動する問題と対策
RFM分析は実施タイミングに敏感な手法です。たとえば、年度末に大型案件が集中する業種でRFM分析を行うと、その期間だけMスコアが高騰し、通常時とは大きく異なるランク分けになります。
対策として、複数時点でのスコア比較(前四半期比)を行う方法と、季節要因を排除した12ヶ月移動平均値を使う方法があります。初めてRFM分析を実施する場合は、自社の繁閑サイクルを意識したうえで「通常時のベースライン」を先に把握しておくことをお勧めします。
購入頻度が低い商材・単発受注型ビジネスへの適用上の注意
年に1〜2回しか商談が発生しない製品や、一度受注すると数年間再購入が発生しない単発型の商材では、Frequency(接触頻度)の分散が極めて小さくなりランク分けの意味が薄れます。
このような場合は、Fの定義を「過去の購入回数」ではなく「ウェビナー参加回数・資料ダウンロード数・メールクリック数などのデジタル接触行動の累計」に読み替えることを推奨します。購買サイクルが長い製造業・インフラ系の商材では、RFM分析よりも「顧客の状態変化を時系列で追跡するCPM(Customer Portfolio Management:顧客ポートフォリオ管理)分析」が適している場合があります。CPM分析は購入回数・離反期間などの変化を段階的に捉えるため、長期にわたる顧客関係の管理に向いています。
属人化を防ぐ継続運用設計
スコアの更新を定期的に行わないと、数ヶ月後に分析結果が実際の状況と乖離するリスクがあります。弊社の支援では最低でも四半期ごとの再計算サイクルを設計するようにしています。継続するために整備したい点は、
- スコア更新の担当者と実施日をあらかじめカレンダーに登録する
- スコア計算のExcelテンプレートを標準化し誰でも同じ手順で再現できるようにする
- MAツールへの書き込みを半自動化し手作業の工数を絞り込む
という3点です。この3点を整備することで、担当者が変わっても継続できる運用設計が実現します。
まとめ
RFM分析のやり方を整理すると、BtoCの指標をそのまま使うのではなく、「最終商談日・接触頻度・受注金額」へのBtoB向け読み替えが起点になります。この読み替えができていなければ、どれだけ丁寧に分析を進めても自社の商取引に合わない結果になります。購買サイクルや商材の特性を踏まえた指標設計が、精度の高い分析の前提条件です。
スコア閾値の設定は、自社の平均商談サイクルを基点に考えるのが基本です。弊社の支援事例からも、RecencyがBtoBにおける商談化率との相関が高い傾向が確認されており、閾値設計においても重視すべき指標です。固定閾値法から始め、データを蓄積しながら調整していくアプローチが、長く続く運用の土台になります。
分析はMAツールへの連携まで完結させることで、商談創出の仕組みとして機能します。HubSpotやAccount Engagementのカスタムプロパティにスコアを書き込み、動的リストとシナリオを設定することで、RFM分析の結果がナーチャリング施策とインサイドセールスへのトスアップに自動的につながります。「分析して終わり」ではなく「分析→施策→商談化」というサイクルを設計することが、RFM分析を導入する際の本来の目的です。
よくある質問(FAQ)
RFM分析のランクはどのように設定しますか?
ランクは3〜5段階で設定するのが一般的です。BtoBマーケティングでは、自社の平均商談サイクルを基点に閾値を設計します。たとえば平均商談サイクルが6ヶ月程度の企業では、Recencyの最高ランク(5点)の閾値を「180日以内」を目安に設定するところから始めると商談実態に合いやすくなります。
なお、本文中のスターター案(90日以内を5点)は商談サイクルが3〜4ヶ月程度のSaaS企業向けの一例です。自社の商談サイクルに合わせて読み替えてください。最初から精緻な設定を目指すより、まず設定して運用しながら調整する姿勢が重要です。
RFM分析の分類(グループ分け)はどう決めますか?
総合スコアの合計値または3指標の組み合わせパターンでグループを定義します。取り組みやすい方法は総合スコアの合計値で分類し、11点以上を優良顧客、7〜10点を育成候補、6点以下をフォロー優先顧客とする3分類です。
重要なのはグループ数を増やしすぎないことで、各グループが目安として20件程度以上になる母数が確保できる分類数に調整することをお勧めします。
RFM分析の目的は何ですか?
RFM分析の目的は、限られたリソースでアプローチ優先度を設定し、商談化率とLTV(顧客生涯価値)を向上させることです。全顧客に均一なアプローチを行うのではなく、優良顧客・育成候補・休眠顧客をデータで分類し、各グループに合った施策を実行することが目的です。
分析手法のRFMとはどういう意味ですか?
RFMはRecency(最終接触日)・Frequency(接触頻度)・Monetary(取引金額)の頭文字を取った略称です。1990年代にアメリカのデータベースマーケティングの分野で体系化された手法で、現在ではBtoBマーケティング・SaaS・EC・小売など幅広い業種で活用されています。
RFM分析を実施したのに商談が増えない場合、原因は何ですか?
多くの場合、原因は「分析で終わっていてMAツールへの連携ができていない」ことです。RFMスコアをExcelで算出しても、その結果をMAツールのセグメントリストに反映し、各グループへのナーチャリングシナリオやインサイドセールスへのトスアップ条件を設定しなければ商談は生まれません。分析結果を施策に接続する「連携設計」まで一気通貫で実装することが、商談増加の前提条件です。
「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために
施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。 こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。 Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。
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