SATORIシナリオ設計の教科書|成果を出す設定方法と営業連携のポイント

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SATORIのシナリオ機能は、リードナーチャリング(顧客育成)の質と効率を大きく左右するMA運用の中核です。しかし、実際に運用を始めると、多くのマーケティング担当者が壁に直面します。
「見よう見まねで設定してみたが、成果に繋がっているのかわからない」 「機能が多すぎて、何から手をつければ良いかわからない」 「営業部門から『マーケティング部門からのリードは温度感が低い』と言われてしまう」
こうした悩みは、SATORIの機能理解が不足していることだけが原因ではありません。むしろ、シナリオを動かす前段階の「戦略設計」に課題が潜んでいるケースが大半です。誰に、何を、どのタイミングで届けるかが曖昧なままでは、せっかくのMAツールも十分な効果を発揮できません。
本記事では、SATORIのシナリオ機能を最大限に活用し、貴社のMQL(Marketing Qualified Lead)創出と営業成果に直結させるための設計戦略、具体的な設定手順、すぐに使えるシナリオ事例、そして効果測定・改善のポイントまでを網羅的に解説します。
なぜSATORIのシナリオは失敗するのか?多くのマーケターが陥る3つの落とし穴
SATORIのシナリオ機能を導入したものの「期待した成果が出ない」「運用が形骸化している」と感じている場合、以下の3つの落とし穴に陥っていないか確認が必要です。
落とし穴1:ツール操作が目的化し、戦略設計が欠如している
最も多い失敗は、MAツールを「動かすこと」自体が目的化してしまうことです。「資料請求があったからとりあえずステップメールを送る」といった機能起点の発想では、リードの状況や関心事を無視したコミュニケーションになってしまいます。
「このシナリオで何を達成したいのか(KGI・KPI)」という目的が曖昧なまま運用を始めると、シナリオの設計が場当たり的になり、成果を創出することも困難になります。
落とし穴2:ペルソナ不在の「全員一斉配信」になっている
シナリオの配信対象が「全リード」や「フォーム登録者全員」など、ターゲットが広すぎると、メッセージの訴求力が弱まり、ナーチャリングの効果は著しく低下します。
ペルソナ設計やセグメントの活用が不十分な場合、検討初期段階のリードと商談直前のリードが混在し、リードの温度感に合わせた適切なコミュニケーションができません。結果として、Opt out率の上昇や機会損失を招きます。
落とし穴3:効果測定をせず、作りっぱなしになっている
シナリオは一度設定したら終わりではありません。配信したメールの開封率やクリック率、その後の商談化率などを継続的に測定し、改善を繰り返すことが重要です。
効果測定を行わないと、「なぜ成果が出ないのか」「どこにボトルネックがあるのか」が特定できず、次の改善アクションに繋がりません。感覚や思い込みで運用を続けることは、貴重なマーケティングリソースの浪費に繋がります。
【Sells upの視点】MA運用が「作業」になっていませんか?成果から逆算する思考の重要性
MA運用担当者は、日々の設定作業に追われると、つい「シナリオを動かすこと」に達成感を覚えてしまいがちです。しかし、MAツールの本来の目的は業務効率化だけではなく、「マーケティング活動を通じて事業成果に貢献すること」です。
Sells upでは、シナリオ設計において常に「このシナリオは、最終的な営業成果(商談数・受注数)にどう貢献するのか?」という視点を持つことを重視しています。ツールを動かすことは手段であり、目的ではありません。常にKGI(最終目標)から逆算する思考を持つことで、形骸化した運用から脱却し、事業インパクトを生み出すシナリオ構築が可能になります。
【戦略が9割】シナリオ設計の前に固めるべき3つの重要事項
シナリオの成功は、シナリオ設定をする前の「戦略設計」で9割決まると言っても過言ではありません。成果を出すための最初のステップは、設定することではなく、戦略を深く検討することです。
Step.1:シナリオの「目的」を明確にする(KGI/KPI設定)
まず、シナリオを通じて達成したい最終成果(KGI:Key Goal Indicator)と、その進捗を測るための指標(KPI:Key Performance Indicator)を設定します。
KGIの例:営業部門に引き渡すMQLの質と量を、前四半期比で20%向上させる、資料請求後の商談化率を15%から25%に向上させる
KPIの例:シナリオ完了率、特定コンテンツのクリック率、ホットリード(一定スコア以上)への転換率
「なんとなくリードの関心を高める」ではなく、具体的な数値目標を定めることが肝要です。この際、必ず「営業成果」に繋がる指標を含めるようにしましょう。
Step.2:ターゲット顧客を定義する(ペルソナ設計)
「誰に」届けるシナリオなのか、ターゲットとなる顧客像=ペルソナを明確にします。業種、企業規模、役職、抱えている課題、情報収集の手段、購買プロセスの特徴などを洗い出します。
ターゲットごとのシナリオを設計することで、メッセージの精度と反応率が大きく向上します。特にBtoBにおいては、担当者レベルと決裁者レベルで関心事が異なるため、役職に応じたペルソナ設計が重要です。
Step.3:顧客の購買プロセスを可視化する(カスタマージャーニーマップ)
ターゲットがどのような情報収集・意思決定プロセスを経て購買に至るのか、「カスタマージャーニーマップ」として可視化します。「認知」「興味・関心」「比較・検討」「意思決定」といった各フェーズにおいて、顧客がどのような疑問を持ち、どのような情報を求めているかを洗い出します。
これにより、各フェーズで提供すべきコンテンツやコミュニケーションの最適なタイミングが明確になり、シナリオ全体の設計指針となります。
【Sells upの視点】マーケティングと営業成果を直結させる「MQL定義」の重要性
MA運用において、多くの企業が見落としがちなのが「MQLの定義」です。マーケティング部門と営業部門の間で「質の高いリード」の認識にズレがあると、「リードを渡したのにフォローされない」「確度の低いリードばかり渡される」といった対立構造が生まれがちです。Sells upでは、シナリオ設計の最初の段階で、必ず営業部門と「どのような状態のリードであれば、営業がアプローチするのか」を言語化し、合意形成することを推奨しています。
MQL定義の合意形成:属性(企業規模、業種など)と行動(料金ページの閲覧、導入事例のダウンロードなど)の両面から具体的に定義します。
シナリオゴールの明確化:各シナリオのゴールを「MQLの定義を満たすこと」と設定します。
営業への連携ルールの策定:MQLをどのタイミングで、どのような情報と共に営業担当者へ通知するかを決めます。
この「MQL定義の合意形成」こそが、シナリオによって創出されたリードの質を担保し、SATORI導入のROI(投資対効果)を最大化するための重要なポイントです。
SATORIシナリオ機能の全体像と特徴を理解する
ここでは、SATORIのシナリオ機能の基本的な仕組みと、SATORIならではの特徴について解説します。
シナリオ機能の基本的な仕組み
SATORIのシナリオ機能は、事前に設定した条件(トリガー)をもとに、メール配信やタグ付与、営業通知など一連のアクションを自動で実行する仕組みです。リードの行動や属性に応じて適切なフォローをタイムリーに実施できるため、ナーチャリングの質と効率を飛躍的に高めることが可能です。
シナリオを構成する主要な要素:「トリガー」「アクション」「分岐」
SATORIのシナリオは、主に以下の3つの要素の組み合わせで構成されます。
トリガー(開始条件):シナリオが開始されるきっかけとなる条件です。
例:フォーム送信、セグメント該当、ファイルダウンロード、特定ページ閲覧、タグ付与など。
アクション(実行処理):トリガーを満たした場合に自動で実行される処理です。
例:メール送信、社内通知(アラートメール)、タグ付与、ポップアップ表示、スコア加算など。
分岐(条件分岐):シナリオの途中で、リードの反応に応じて次のアクションを変化させる設定です。
例:メールを開封したか/しなかったか、特定のリンクをクリックしたかなど。
これらを適切に組み合わせることで、ターゲットごとに最適なタイミングで最適なアプローチを実現できます。
SATORIならではの強み:「匿名客」へのアプローチ機能
SATORIの大きな強みは、まだ個人情報を取得できていない「匿名客)」に対しても、シナリオ機能を使ってアプローチできる点です。
多くのMAツールは、メールアドレスを取得した「実名リード」に対するアプローチが中心ですが、Webサイト訪問者の9割以上は匿名客であると言われています。
SATORIでは、匿名客のWebサイト上の行動履歴(閲覧ページ、滞在時間、流入経路など)を分析し、以下のようなシナリオを実行できます。
ポップアップ/プッシュ通知の表示:特定のページを閲覧している匿名客に対し、関連するホワイトペーパーのダウンロードやセミナー参加を促すポップアップを表示し、実名化(リード獲得)を狙います。
コンテンツの出し分け:匿名客の興味関心に合わせて、Webサイト上に表示するバナーやレコメンドコンテンツを動的に変更します。
この匿名客へのアプローチ機能を活用することで、リード獲得の間口を広げ、将来の顧客候補を早期から育成することが可能になります。
成果に直結するシナリオ設計の考え方と3つの「型」
戦略(目的、ペルソナ、ジャーニー)が決まったら、それを具体的なシナリオに落とし込みます。ここでは、効果的なシナリオを設計するための基本的な考え方と、代表的な3つの「型」を紹介します。
リードの温度感(検討確度)に応じたシナリオ設計
全てのリードに同じシナリオを適用するのではなく、リードの温度感(検討確度)に応じてシナリオを設計することが重要です。一般的に、リードは「潜在層」「準顕在層」「顕在層」に分類できます。
潜在層:課題認識はあるが、情報収集段階。ノウハウ提供などで関心を高める。
準顕在層:解決策を探し、競合比較を行っている段階。導入事例や比較資料で検討を深める。
顕在層:導入を具体的に検討している商談直前の段階。個別相談会などで購買を後押しし、営業へ通知。
これらの温度感を見極めるために、SATORIの「スコアリング」や「タグ付け」機能を活用します。
代表的なシナリオの3つの「型」
シナリオにはいくつかの代表的な「型」があります。目的に応じてこれらを使い分け、組み合わせます。
型1:直線型(ステップメール)
最も基本的な型で、トリガー発生後、一定の間隔で順番にアクション(主にメール配信)を実行します。
用途:資料請求後のフォロー、セミナー後のナーチャリングなど。
ポイント:段階的に情報を提供し、徐々にリードの温度感を高めていく設計が求められます。
型2:分岐型
リードの反応(メールの開封/未開封、リンクのクリックなど)や属性に応じて、次のアクションを分岐させる型です。
用途:リードの関心事に合わせたコンテンツの出し分け、反応が薄いリードへの再アプローチなど。
ポイント:よりパーソナライズされたコミュニケーションが可能になり、エンゲージメントを高めます。
型3:行動トリガー型
リードが特定の行動(例:料金ページの閲覧、特定キーワードでの再訪問)をとったタイミングで、即座にアクションを実行する型です。
用途:ホットリードの検知と営業通知、離脱防止のポップアップ表示など。
ポイント:リードの関心が高まった瞬間を逃さず、タイムリーなアプローチが可能です。
具体的な設定手順を解説!SATORIシナリオ作成の5ステップ
SATORIで成果に直結するシナリオを設計・運用するための基本的な流れを5つのステップで解説します。
Step.1:シナリオの全体像を設計する
KGI/KPI、ペルソナ、カスタマージャーニーマップをもとに、シナリオの全体像を設計します。「どの行動をトリガーに、どんなアクションを、どのタイミングで、何回実施するか」を明確にします。
この際、いきなり管理画面で設定を始めるのではなく、まずはフローチャートなどでシナリオの流れを可視化することをおすすめします。分岐条件や待機時間などを整理することで、設計ミスや漏れを防ぐことができます。
Step.2:トリガー(開始条件)を設定する
SATORIの管理画面で新規シナリオを作成し、トリガーとなる条件を設定します。
例:フォーム送信(資料請求など)、セグメント該当(スコアが50点以上になったなど)、特定ページ閲覧(料金ページ閲覧など)。
トリガーはシナリオの起点となるため、目的に合わせて適切なものを選択してください。
Step.3:アクションと分岐を組み立てる
トリガー発生後に実行するアクション(メール送信、タグ付与、営業通知など)を設定します。
また、リードの反応に応じた「分岐」を設定することも重要です。例えば、「メールを開封したら次のメールを送信し、開封しなかったら件名を変えて再送する」といった設定が可能です。さらに、「待機時間」(例:1日待機)を設定し、アクション実行のタイミングを調整します。
Step.4:コンテンツ(メール・通知文)を設定する
シナリオで使用するメール文面やポップアップ、営業への通知文などのコンテンツを準備し、設定します。
メール:ペルソナに合わせて件名、本文、差出人名を最適化します。ナーチャリング目的の場合、段階ごとに内容を変化させ、リードの温度感に応じた情報提供を心がけます。
通知文:営業担当者への通知メールには、「誰が」「何を」したのかがひと目でわかるように、リード情報や直近の行動履歴を自動挿入する設定が有効です。
Step.5:テスト実行と公開・運用開始
設定したシナリオは、公開前に必ずテスト実行を実施し、意図した通りに動作するかを確認します。
トリガーや分岐条件は正しく機能しているか?
メールや通知は適切なタイミングで届くか?
メールの文面やリンクに誤りはないか?
テスト用のリードデータを使用し、実際にシナリオを動かしてチェックしましょう。問題がなければ本番公開し、運用開始となります。
【目的別】SATORIシナリオ鉄板事例5選と設計のポイント
ここでは、マーケティングの目的に合わせた具体的なSATORIシナリオの事例を5つ紹介します。自社の状況に合わせてカスタマイズして活用してください。
シナリオ名 | 対象顧客 | 目的 | シナリオの型・主な機能 |
---|---|---|---|
1. 匿名訪問者を実名化するポップアップシナリオ | 匿名訪問者 | リード獲得 | 行動トリガー型、ポップアップ |
2. WP DL直後の自動フォロー&ナーチャリングシナリオ | 新規リード | 新規フォロー、育成 | 直線型、ステップメール |
3. ウェビナー参加者へのフォローアップシナリオ | 既存リード | 関心度向上、商談化誘導 | 分岐型、ステップメール |
4. ホットリード検知と営業への即時通知シナリオ | 既存リード(高確度) | 商談創出 | 行動トリガー型、スコアリング、通知 |
5. 休眠顧客掘り起こしシナリオ | 休眠リード | 再活性化 | 直線型/分岐型、セグメント |
事例1(リード獲得):匿名訪問者を実名化するポップアップシナリオ
SATORIの強みである匿名客アプローチを活用したシナリオです。
【概要】:自社サイトに訪問した匿名ユーザーに対し、興味・関心が高そうなページ(例:サービス詳細ページ、事例ページ)を一定時間閲覧した場合や、複数回訪問した場合に、ポップアップでホワイトペーパーDLやメルマガ登録を促します(行動トリガー型)。
【設計のポイント】:
ポップアップの表示条件(ページ、滞在時間、スクロール率など)は精緻に設定し、ユーザー体験を損なわないよう注意します。
ポップアップ経由で登録されたリードには専用タグ(例:「ポップアップA経由」)を付与し、後続のナーチャリングシナリオへ自動連携します。
事例2(新規フォロー):ホワイトペーパーDL直後の自動フォロー&ナーチャリングシナリオ
新規リード獲得後の初動対応を自動化する基本的なシナリオです。
【概要】:ホワイトペーパーや資料のダウンロード完了をトリガーに、即時サンクスメールを自動配信。その後、数日間にわたって関連情報を提供するナーチャリングメールを段階的に送信します(直線型)。
【設計のポイント】:
ダウンロード直後の熱量が高いタイミングで即時フォローすることが重要です。
シリーズ化したメールで、ダウンロードした資料の補足情報や、次のステップ(例:セミナー案内)を提示します。
各メールの反応(開封・クリック)に応じて、スコアリングやタグ付与を行います。
事例3(関心度向上):ウェビナー参加者へのフォローアップシナリオ
ウェビナー参加者を対象に、参加後のフォローアップを自動化し、次のアクションへ繋げるシナリオです。ペルソナがウェビナー企画も担当している場合、特に有効です。
【概要】:ウェビナー開催終了をトリガーに、参加者・欠席者で分岐。さらにアンケート回答状況などで分岐させ、それぞれに最適なお礼メールやフォローメールを送信します(分岐型)。
【設計のポイント】:
参加状況やアンケート回答内容に応じてフォロー内容を細かく分岐させることで、個別の関心度に合わせた最適なアプローチが可能になります。
アンケートで高い関心を示したリードには、即座に営業通知を飛ばす設計も有効です。
事例4(商談創出):ホットリードを検知し営業へ即時通知するシナリオ
マーケティング活動を商談創出に直結させるための重要なシナリオです。
【概要】:リードのスコアが一定値(MQLの定義で定めた基準)を超えた、あるいは特定のWeb行動(例:料金ページの閲覧)を行ったなど、商談化の可能性が高まったタイミングで、営業担当者に自動で通知メール(アラート)を送信します(行動トリガー型)。
【設計のポイント】:
どのような状態をホットリードとするか(MQL定義)を営業部門と事前にすり合わせ、トリガー条件に反映させることが非常に重要です。
通知内容にリードの最新行動履歴や関心分野を明記し、営業の初動をサポートします。
【Sells upの視点】営業が即行動できる「通知」の設計が商談化率を変える
シナリオによるホットリードの通知は、単に「リードが発生した」ことを知らせるだけでは不十分です。「通知したのに営業が動いてくれない」という場合、通知の内容に問題があるケースがほとんどです。営業担当者が通知を受け取った直後に、最適なアプローチができるような情報を提供することが、商談化率を大きく左右します。
Sells upでは、通知メールに以下の要素を含めることを推奨しています。
リードの基本情報(氏名、会社名、役職など)
ホット化した理由(トリガーとなった行動)(例:「料金ページを3分以上閲覧」「スコアが80点を超過」)
直近の行動履歴(閲覧したページ、ダウンロードした資料など)
過去の接触履歴(過去の商談履歴や担当者とのやり取りなど)
これらの情報があることで、営業担当者は事前準備の時間を大幅に短縮でき、リードの関心事に合わせた的確なヒアリングや提案が可能になります。マーケティング部門は、営業の「初動の質」を高めるための通知設計を意識することが重要です。
事例5(休眠顧客掘り起こし):長期間動きのないリードへの再アプローチシナリオ
過去に接点があったものの、長期間アクションがない休眠リードを再活性化させるシナリオです。
【概要】:一定期間(例:過去6ヶ月間)Webアクセスやメール反応がなかった休眠リードをセグメントで抽出し、再アプローチ用のステップメールを自動配信します。最新のサービス情報やキャンペーン案内などで、再度の興味喚起を狙います。
【設計のポイント】:
休眠リードを自動検知し、再アプローチを仕組み化します。
過去の関心分野や属性に応じて内容を出し分ける(分岐型を活用する)ことで、復活率を向上させます。
反応があった場合は、通常のナーチャリングシナリオや営業通知へ自動連携します。
【PDCA】シナリオの効果測定と継続的な改善サイクル
SATORIのシナリオは「作って終わり」ではなく、運用開始後の分析と改善を繰り返すことで成果を最大化できます。定期的な効果測定とPDCAサイクルの徹底が不可欠です。
見るべき重要指標(KPI)の設定例
シナリオごとに設定した目的に応じて、適切なKPIを設定し、継続的にモニタリングしましょう。
シナリオ単体の評価指標(リード獲得・育成フェーズ)
メール開封率・クリック率:シナリオメールの件名や本文、配信タイミングの妥当性を評価します。
シナリオ完了率(離脱率):設定したシナリオのゴールまで到達したリードの割合。低い場合はシナリオの長さやコンテンツ内容の見直しが必要です。
コンバージョン率(CTA反応率):シナリオ内で設定したCTA(資料DL、セミナー申込など)に対する反応率。
事業成果への貢献度を測る指標(商談化・受注フェーズ)
MQL創出数・転換率:シナリオを経由してMQL(ホットリード)に転換したリードの数や割合。
商談化率・商談化数:MQLが実際に商談に繋がった割合や数。
受注率・受注金額:シナリオ経由のリードが最終的に受注に至った割合や金額。MA導入のROIを測る上で最も重要な指標です。
SATORIレポート機能を活用した分析方法
SATORIには、シナリオごとのパフォーマンスを可視化するレポート機能が備わっています。
シナリオレポート:各シナリオの開始数、完了数、アクションごとの反応率などを確認できます。ボトルネックとなっている箇所(例:メールの反応が極端に低いなど)を特定し、改善策を検討します。
メールレポート:メールごとの詳細な反応率を分析します。
これらのレポートを活用し、定期的に現状を把握しましょう。
A/Bテストでシナリオを改善する方法
シナリオの成果を着実に高めるには、A/Bテストを積極的に活用しましょう。仮説を立て、一部の要素を変更して効果を比較検証します。
テスト項目例:
メール件名や本文のファーストビュー
配信タイミング(曜日や時間帯)や配信間隔(中1日か中3日か)
CTAボタンのデザインや文言
(匿名客向け)ポップアップの表示条件やデザイン
テスト結果は必ず数値で評価し、感覚や思い込みによる判断を避け、データに基づいた改善を繰り返すことが重要です。
【Sells upの視点】数値データと営業フィードバック(定性情報)を組み合わせた改善
シナリオの改善には、数値データに基づく分析(定量情報)だけでなく、実際にリードと接点を持った営業担当者からのフィードバック(定性情報)が重要です。
「このシナリオからの商談化率が低いのはなぜか?」(定量情報)
「営業がフォローした際、リードはどのような反応だったか?」(定性情報)
Sells upでは、マーケティング部門と営業部門が合同でレポートを確認する定例会議を設けることを推奨しています。現場の声を収集し、シナリオ設計やコンテンツ内容に反映させる仕組みを構築することが、部門間の連携を強化し、成果を最大化するポイントとなります。レポート分析の場を、部門を超えて「次のアクション」を議論する場として活用しましょう。
まとめ:SATORIシナリオは「戦略設計」と「運用改善」の両輪で成果を出す
本記事で解説してきたように、SATORIのシナリオ機能で成果を出すためには、ツール操作の知識だけでは不十分です。成功のポイントは、以下の3点に集約されます。
戦略設計の徹底:KGI/KPI、ペルソナ、カスタマージャーニーに基づいた、目的志向のシナリオ設計を行うこと。成功の9割はここで決まります。
営業部門との連携強化:MQL定義のすり合わせや、営業が即行動できる通知設計など、部門間の連携を密にすること。
継続的な分析と改善:効果測定とA/Bテストを繰り返し、データと営業現場からのフィードバックに基づいたPDCAサイクルを回し続けること。
SATORIは、匿名客へのアプローチからリードナーチャリング、商談創出までを一気通貫で実現できる優れたMAツールです。本記事で紹介した設計手順や事例を参考に、貴社のマーケティング活動に最適なシナリオを構築し、SATORI導入のROIを明確に証明してください。
よくある質問(FAQ)
Q1. SATORIのシナリオ機能はどのような業種に向いていますか?
A. SaaSやITサービス、製造業、専門コンサルティングなど、比較検討期間が長いBtoB商材を扱う企業で特に効果を発揮します。見込み顧客との継続的なコミュニケーションが求められる業種で活用が進んでいます。
Q2. シナリオ作成に必要なリソースはどれくらいですか?
A. 設計段階では戦略レイヤーでの検討に時間をかける必要があります(数日〜数週間)。SATORIの管理画面での設定作業自体は直感的なため、慣れれば1シナリオあたり数時間~1日程度で構築可能です。ただし、シナリオ内で使用するコンテンツ(メール文面、ホワイトペーパーなど)の作成には別途リソースが必要です。
Q3. シナリオの効果が出ない場合はどうすればよいですか?
A. まずはボトルネックの特定が必要です。メールの開封率が低いのか、クリック率が低いのか、あるいは商談化率が低いのかによって対策は異なります。KGI/KPIやターゲット設定を見直し、A/Bテストを実施して改善を図りましょう。また、営業部門からのフィードバックをもらい、MQLの定義が適切かを確認することも重要です。
Q4. 営業部門との連携はどのように進めるべきですか?
A. 最初のステップとして、MQLの定義(どのような状態をホットリードとするか)と、リード連携のタイミング・方法について、部門間で明確な合意形成を図ることがポイントです。その上で、定例会議やレポート共有を通じて、相互理解を深めることが重要です。
Q5. SATORIの強みである「匿名客」へのアプローチは、どのように始めればよいですか?
A. まずは、自社サイトのどのページに匿名客が多く訪問しているかを分析します。その上で、訪問者が多いページ(例:コラム記事やサービス紹介ページ)に関連する資料ダウンロードを促すポップアップ表示シナリオを設定してみるのがおすすめです。
MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。
MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。
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