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SaaSマーケティング入門ガイド|顧客が長期継続したくなる戦略

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目次

「SaaS業界のマーケティングを体系的に理解したい」
「“なんとなく”のマーケティングから脱却し、自社に最適な戦略をゼロから構築したい」

SaaS業界でマーケティングを担当されている方の中には、このような悩みや願望をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

結論から申し上げると、SaaSマーケティングで最も重要なのは「継続利用されること」であり、そのためには

  • ストック売上を前提とした定量計画の策定
  • 認知→購買→継続利用へとつながる流れの作り込み

が必須です。

本記事では、マーケティングで成果を出したいSaaS業界の担当者に向けて、

  • SaaSマーケティングとはどのようなものか(他業種との違い)
  • SaaSビジネスに効果的なマーケティング施策
  • SaaSマーケティングの成功事例
  • 成果につながるSaaSマーケティングの進め方5ステップ

といった情報をわかりやすくお伝えします。

この記事を読むことで、SaaS特有のマーケティングを体系的に理解し、どの順番で何を進めれば成果につながるのかが明確になるはずです。

ぜひ最後までご覧ください。

1.SaaSマーケティングとはどのようなもの?他業種との違いを解説

SaaSビジネスは、一般的な買い切り型の商品・サービスとはビジネスの性質が異なるため、SaaS特有のマーケティング戦略というものが必要です。

本章では、SaaSマーケティングの特徴について、他業種との違いを踏まえながら以下の5つの観点で解説します。

  • 「売って終わり」ではなく購入後の価値提供まで含めて戦略設計する
  • 解約率(継続率)を踏まえてターゲットを設計する
  • 利用データ+ユーザーの生の声を集める必要がある
  • 「無料→有料化」という特殊ファネルがある
  • コスト回収に時間がかかる

1-1.「売って終わり」ではなく購入後の価値提供まで含めて戦略設計する

SaaSマーケティングの最大の特徴は、「売って終わりではない」という点にあります。

この特徴が何を意味しているかというと、SaaSは他業種と比べて「マーケティングで目指すゴール」が根本的に異なる、という点です。

マーケティングで目指すゴールの違い

SaaS

他業種

カスタマーサクセス

→サービスを購入したユーザーが利用を継続し、課題が解決されて初めて価値提供ができる

商品・サービスが売れること

→ユーザーが商品を手に入れた時点で価値提供できたと言える

一般的な買い切り型の商品・サービスでは、「商品・サービスが売れた時点」で価値提供が完了したと捉えられるケースがほとんどです。

一方で、SaaSビジネスの顧客は一般的に

  • 煩雑な事務作業を効率化したい
  • コミュニケーションコストを削減したい
  • ヒューマンエラーによるトラブルをなくしたい

などの明確な「解決したい課題(達成したい目的)」があってサービスを購入します。

そのため、サービスを利用しても課題が十分に解決しなければ

「より品質の高いサービスにリプレイスしたい」
「この程度であれば、他の安価なサービスに乗り換えよう」

と判断され、解約につながる可能性が高くなります。

このような特徴を持つSaaSビジネスにおいて、マーケティング担当者に求められるのは、単に契約を取るだけではなく「顧客が成果を実感し、継続利用に至るまでを見据えたマーケティング活動」です。

SaaSビジネスにおけるマーケティング活動の一例

・何をもって「カスタマーサクセス」と言えるのかを定義する

・顧客が成功体験を得るまでの導線を設計し、伴走する

・顧客の成功を最大化するためのアップセル・クロスセルを設計する

このように、購入後の価値提供まで含めて戦略設計をすることが、SaaSマーケティングにおいては最も重要だと言えます。

1-2.解約率(継続率)を踏まえてターゲットを設計する

解約率(継続率)を踏まえてターゲットを設計するというのも、SaaSマーケティングの大きな特徴です。

サービスを「誰に売るか」を考える際、SaaSと他業種では、前提として次のような違いがあります。

前提となるターゲットの違い

SaaS

他業種

サービスを必要としている人

継続利用してくれる人

継続利用を前提とした購買意欲の有無が重要

・商品・サービスを必要としている人
・商品・サービスに興味を持ってくれる人

購買意欲の有無が重要

買い切り型の商品・サービスの場合は一度売れれば売上は確定するため、リピート購入も必要ではあるものの、事業の根幹を左右するほどの重要性はありません。

一方でSaaSはMRR(月額課金)で成長するビジネスモデルであるため、既存顧客の契約維持が何よりも重要です。

解約率が数%変わるだけで事業が大きく傾く危険もあることから、「サービスを買ってくれそうか」だけではなく「継続利用してくれそうか」を踏まえてターゲットを設計する必要があります。

例えば、

  • 価格が安いから、無料キャンペーンをやっているから導入してみたい
  • どんな効果があるかはよくわかっていないが、とりあえず試しに使ってみたい

といった理由で流入するユーザーはサービスの内容や価値を十分に理解しないまま契約するケースが多く、短期間で解約してしまう可能性が高いです。

一方で、「現在〇〇の業務に問題を抱えており、その解決手段としてこのツールを使いたい」といった明確な課題意識を持ったユーザーは、価値を感じてくれれば長期継続してくれます。

このように、集めるユーザーの質は契約後の解約率・継続率を大きく左右するため、解約率(継続率)を意識したターゲット設計は、SaaSマーケティングにおいて欠かせない視点です。

1-3.利用データ+ユーザーの生の声を集める必要がある

「利用データ」と「ユーザーの生の声」を集める必要があるというのも、SaaSマーケティングならではの特徴だと言えるでしょう。

マーケティングでは、商品の売れない原因や売れる法則をデータドリブンで解析するための「顧客のデータ収集」が欠かせませんが、SaaSビジネスでは集めるデータの種類や深さが他業種とは少し異なります。

集める顧客データの種類・深さの違い

SaaS

他業種

利用データ
サービスの利用歴・ログイン頻度・機能の使用頻度など

ユーザーの生の声
サービスを購入しようと思った経緯・解約の理由・機能やサポートへの不満など

→購入~継続利用~解約フェーズのデータが重要

広告データ・購買データ
流入チャネル・クリック率・コンバージョン率など

→認知~購入フェーズのデータが重要

他業種が主に「認知から購入まで」のデータを収集するのに対し、SaaSでは「サービス利用時・解約時」まで含めて、より深い顧客データを収集します。

これは、SaaSがストック型ビジネスである以上「なぜサービスが売れた(売れない)のか」だけではなく「購入者はなぜ継続利用(解約)するのか」にまで目を向けなければならないためです。

例えば、長期利用してくれる顧客を増やすためには、「5~10年継続して利用してくれるユーザー」と「1~2年で解約してしまうユーザー」とでは何が違うのか、という視点が極めて重要になります。

しかし、こうした数値化できないデータをツールで収集・解析するのは難しく、ユーザーへの丁寧なヒアリングを重ねなければなりません

顧客一人一人の解像度をここまで高める取り組みは、他業種ではあまり行われない傾向にありますが、SaaSにおいては不可欠なマーケティング活動だと言えるでしょう。

1-4.「無料→有料化」という特殊ファネルがある

「無料→有料化」という特殊ファネルがあるというのも、SaaSマーケティングの大きな特徴です。

【SaaSとその他買い切り型サービスのファネル比較(一例)】 

継続利用によって価値を提供するSaaSビジネスでは、無料トライアルやフリープランを提供してサービス導入のハードルを下げ、「まず使ってもらい、価値を理解したユーザーだけが有料に進む」というプロセスをファネルに組み込むのが王道です。

無料→有料化の施策の一例としては、次のようなものがあります。

無料→有料化の施策例

・デモ用のアカウントを発行し、基本機能のみ無料で提供
→一定期間が過ぎたユーザーは有料化

・サービスの料金プランを「トライアル」「ベーシック」「プロ」の三段階に分け、ランクが上がるほど制限解除・高度機能が利用できるようにする
→より多くの機能が使いたいユーザーには有料プランを提案

このように、SaaSでは「無料体験を通してどれだけ多くのユーザーに価値を感じてもらえるか」といったファネル設計が必要であり、これは他業種では見られないマーケティングの特徴と言えます。

1-5.コスト回収に時間がかかる

SaaSマーケティングの特徴として最後に押さえておきたいのが、「コスト回収に時間がかかる」という点です。

マーケティングには広告費や人件費など、さまざまなコストが発生します。

長期的な利用を前提に収益を積み上げていくSaaSは、1回の購入で大きな利益を得られる買い切り型商品と比べて、黒字化までに時間がかかる傾向にあります。

コスト(マーケティング費用)を回収するまでの時間の長さの違い

SaaS

他業種

長い

サービスが購入された後も一定期間の継続利用がなければ、黒字にならない

比較的短い

商品が購入された時点でCAC(顧客獲得単価)は回収できる

SaaSの場合、たとえ短期間で新規顧客を獲得できたとしても、すぐに解約されてしまった場合、マーケティング投資は赤字のままです。

つまり、SaaSビジネスにおいてCAC(顧客獲得単価)は投資の成否を判断する指標にはならず、LTV(顧客生涯価値)に注目すべきだと言えます。

【LTVとは?】

Life Time Value(顧客生涯価値)の略称。

SaaS業界においては、「1人の顧客がサービスを使い始めてから解約するまでに、どれだけの利益をもたらしたのか」を判断する指標として用いられる。

このように、SaaSマーケティングでは、目先の顧客獲得よりも中長期的な視点でコスト回収できるかどうかを見据えた投資判断が重要だと言えるでしょう。

2.SaaSビジネスに効果的なマーケティング施策一覧【サービスの成熟度別】

ここからは、SaaSビジネスに効果的なマーケティング施策をサービスの成熟度別(初期・中期・成熟期)に一覧でご紹介します。

初期(ローンチ後2~3年までが目安)
認知形成フェーズ:ブランディングと外部への露出

施策

内容

外部メディアへの記事寄稿

外部の業界メディアに調査レポートなどを寄稿し、ブランディング・認知拡大を図る

オウンドメディア

自社のWebサイトからユーザーが知りたい良質な情報(ブログ記事等が一般的)を発信し、検索エンジンからの流入を狙う

ウェビナー

特定のテーマを用いてオンラインのセミナーを開催し、サービスの認知や参加登録を通じたリード獲得につなげる

※自社に知名度や集客力がない場合は、他社主催の合同ウェビナーへの参加が有効

 
中期(リード件数50~100件が目安)
拡張フェーズ:顧客との接点を増やす

施策

内容

外部メディアへの記事寄稿

外部の業界メディアに調査レポートなどを寄稿し、ブランディング・認知拡大を図る

※比較サイトやポータルサイトに自社情報の掲載を依頼するのも効果的

オウンドメディア

コンテンツを増やしていく

※リソースが割けない場合は他社に記事制作代行を依頼する

ホワイトペーパーの拡充

サービスの詳細な説明や過去の事例集など、ユーザーにとって検討材料になる情報をまとめて自社サイトからダウンロードできるようにしておく

Web広告(比較広告)

Web上に広告を表示して自社サービスを認知させ、興味を持ったユーザーをLP等へ誘導し、フォーム入力などを通じてリード化を促す

ウェビナー

自社サービスの強みや導入後のメリットを伝えるセミナーを実施し、初期フェーズで獲得したリードの購買意欲を高める

無料トライアルへの誘導

メール・LP・ホワイトペーパーなどを通じて、関心の高いリードに無料トライアルへの申し込みを促す導線を設計する

 
成熟期(リード件数400~500件が目安)
継続・改善フェーズ:効果のある施策を選別しブラッシュアップする

施策

内容

施策の継続

中期に実施した施策を網羅的にやり続ける

継続的な効果測定

施策ごとのKPIを設定し、効果が不十分な施策は停止する

トレンドの把握

季節変動・社会情勢などを考慮し、広告媒体等が適切であるかを都度検討する

このように、サービスの成熟度によって効果的な施策は変化していきます。

そのため、まずは自社サービスが現在どのフェーズにいるかを把握し、フェーズに合った適切な施策を選定・実行しましょう。

なお、マーケティング戦略全体の流れについては、記事の終盤「4.本気で成果を出すSaaSマーケティングの進め方5ステップ」で詳しく解説します。

3.SaaSマーケティングの成功事例

ここからは、SaaSマーケティングの成功事例として、弊社 「Sells up」がご支援したSaaS事業者様における、マーケティング運用改善の取り組みをご紹介します。

SaaSマーケティングの成功事例
株式会社CLUEさま

事業内容

ドローンを活用した建設業界向けソフトウェアの開発・提供

主要サービス:ドローンによる屋根外装点検をワンタップで実現する「DroneRoofer」など

マーケティング
における課題

2017年からドローン活用の建設業向けSaaS事業を立ち上げ、営業活動は進められていたもののマーケティング経験者が社内におらず、施策の選定・予算・進め方・全体の戦略設計などの判断がつかない状況にあった

マーケティング
運用改善の目的

・マーケティング全体の戦略設計(施策の提案・予算配分・効果検証)

・自走するマーケティング運用の仕組み化

→これらを実現するには高い専門性と経験値を要すると判断し、マーケティングの協力パートナーとしてSellsupに依頼

改善期間

2019年~約5年間

実践した施策

Sellsup主導のもと、以下の施策を実行

マーケティング全体の戦略とKPIの設計過去の顧客データ・自社Webサイトへのアクセスログを元に、施策ごとの目標数値を設定

Web広告の再設計
Google・Yahoo・Meta広告の運用
→効果測定の結果、建築業界における情報収集では検索行動が活発ではなく、Meta広告やディスプレイ広告といったプッシュ型の広告のほうが獲得効率が良いことがわかる

LP改善
機能や特徴を主張する内容から、課題訴求(サービス導入によってどのような課題を解決できるのか)の内容に変更

セミナーコンテンツの改善
本当に顧客の課題解決になる情報・顧客の知りたかったことがわかる内容にブラッシュアップ

オウンドメディアの運営・他施策との連携
セミナーのアンケート結果やメルマガの配信タイミングを考慮して記事内容を企画

MA(Account Engagement)とSFA(Salesforce)の導入
ウェビナー集客にメルマガを配信、3日連続でサービスページを訪問しているユーザーにインサイドセールスへ自動連携させるなどのシナリオ設計

インサイドセールスチームの立ち上げ
リード獲得~商談までの導線を整理・強化

成果

マーケ不在の状態から「マーケ起点でリード獲得できる体制」に成長
→組織的なマーケティング施策に取り組むことで、以前は営業が地道に集めてきたリードをマーケティングだけで獲得できるようになった

オウンドメディアからの安定的なCVの獲得

マーケティング~営業の連携を強化

→結果として、スタートアップとしての非連続な事業成長を実現

成功のポイント

・マーケティングの「目的」から考える

・「顧客視点」をすべての施策に反映させる

・外部支援を受けながら、自走できる仕組みを構築した

※本事例のより詳しい内容は、以下の記事をご参照ください。


戦略立案、施策の実行、そして人材育成。非連続な成長を続けるスタートアップのマーケ立ち上げとその裏側

取り組みがスタートした2019年当時、株式会社CLUEでは営業活動は進められていたものの、社内にマーケターが不在だったことからマーケティング施策に取り組めないという課題を抱えていました。そこでマーケティング戦略の立案から施策の実行、インサイドセールスチームの立ち上げまで幅広い支援サービスをご提供させていただきました。

sellsup.co.jp

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これからマーケティングに力を入れようと考えているSaaS事業者にとって、本事例から得られる成功のヒントは、以下の2点です。

  • マーケティングの運用改善は全体の戦略設計から取り組まなければならず、成果が出るまでには数年単位の時間を要する(施策を部分的に改善しただけでは効果が薄い)
  • マーケティング全体の改善を社内だけで完結させるのは限界があり、専門家の支援がなければ難しい

SaaSマーケティングで成果を出すためには、企業の5年後、10年後を見据え、必要に応じて外部の知見を取り入れながらマーケティング体制を構築していくことが重要だと言えるでしょう。

4.本気で成果を出すSaaSマーケティングの進め方5ステップ

最後は、本気で成果を出すSaaSマーケティングの進め方を、5つのステップで解説します。

  • 【STEP1】定量計画を策定する※最重要
  • 【STEP2】サービスの売れる流れを設計する
  • 【STEP3】サービスが継続利用される仕組みを設計する
  • 【STEP4】施策を実践する
  • 【STEP5】効果測定をし、修正と改善を重ねていく

具体的なアクションや失敗しないためのポイントなど、各ステップごとに見ていきましょう。

4-1.【STEP1】定量計画を策定する※最重要

SaaSマーケティングで成果を出すために、まずはじめに行うべきなのが、定量計画の策定です。

マーケティングを通じて「最終的に何を目指すのか」というゴールを定め、そのゴールを達成するためには何がどのくらい必要なのかを、明確な数値で定義しましょう。

具体的には、以下のような項目を設定して計画を立てていきます。

定量計画で設定する項目の一例

項目

目指すゴール
(ストック売上を勘案した目標金額)

2030年までにMRR(月次経常収益)〇〇円を達成

目標金額の達成に必要な継続顧客の数

300社

・目標とするMRRを顧客単価で割って算出

・現状顧客数が50社の場合、新たに250社の継続顧客獲得が必要

目標継続率

98.5%(月次解約率1.5%)

目標リード数

2027年:100件/月

2029年:250件/月

2030年:300件/月(解約補填として月4社の安定した受注を目指す)

目標達成に向けて実施する施策

2026年

・外部メディアへの寄稿

・オウンドメディア強化

・ウェビナー開催

※ブランディングと認知拡大が目標であるため、リード数や売上の目標値は設定しない

2027年~

・ディスプレイ広告・リスティング広告運用

・オウンドメディアへのコンテンツ追加

・ホワイトペーパー・LP修正

・セミナー開催

・MAを活用したインサイドセールス連携

施策ごとの予算

広告費:〇円

コンテンツ制作費:〇円

デザイン費:〇円

MA導入費:〇円

セミナー運営費:〇円

※実際には、事業内容や成長フェーズによって設定すべき項目・目標値が異なります。上記は定量計画の考え方を理解するための簡易サンプルとしてご覧いただき、自社に適した項目・数値を設定してください。

このように、まずは「最終的に何を目指すのか」を決め、そこからゴール達成に必要な目標値を算出し具体的な施策に落とし込んでいくことで、必要な予算・期間・優先順位が明確になります。

また、SaaSマーケティングの特徴であり定量計画において最も重要なポイントと言えるのが、「ストック売上の勘案」です。

サービスを継続利用してもらうことで売上を積み立てるSaaSビジネスは、

  • 年間売上〇円
  • 新規顧客数〇件

といった目標を立てても、計画の進行中に事業の持続性や成長性を正しく見極められません。

解約率や継続率を前提に

  • どれだけ顧客が積み上がるのか
  • 獲得した顧客を維持できるのか

を見据えた目標を設定すべきであり、この「ストック売上を勘案した定量計画」こそが、SaaSマーケティング成功の最重要ステップです。

4-2.【STEP2】サービスの売れる流れを設計する

続いて、サービスの売れる流れを設計します。

以下の例を参考に、リード獲得から受注に至るまでの必要なステップと、ステップごとの目的・役割分担を決めましょう。

サービスの売れる流れの設計例
ステップ目的担当部署
1.リードの獲得

自社サービスに関心を持つ可能性のある見込み顧客との接点を創出する

例)
広告運用・オウンドメディア運営・セミナーなど

マーケティング
2.リード育成

サービスの価値を訴求し、リードの温度を上げる(営業へトスアップ)

例)
ステップメール・セミナーなど

マーケティング
3.インサイドセールス

顧客の課題・導入条件をヒアリングし、商談・トライアルに進むべきリードを選別する

例)
Zoomによる個別相談など

営業
4.無料トライアル

実際の利用体験を通じて、サービスの価値と導入後のイメージを具体化させる

※必要に応じて利用のサポートを行う

営業+CS(カスタマーサクセス)
5.フィールドセールス
→有料版の契約へ

トライアル結果を踏まえて導入判断を後押しし、有料契約へとつなげる

営業

※上記の流れはあくまで一例です。商談後に無料版を提供するなど、自社のサービス内容や組織体制に合わせてステップの一部を割愛・入れ替えてご活用ください。

このように、サービスの売れる流れを設計すると、マーケティング・営業・CSの三部署間の連携が必要になることがわかります。

どの部署がどの作業を担当するのかが曖昧にならないよう、このタイミングで話し合いの場を設けて役割分担を決めておくと良いでしょう。

【SaaSマーケティング成功のためのポイント:CSと営業は兼任するのが理想】

無料トライアルからの有料化や、サービス購入後のアフターフォローといった特有のプロセスが必要なSaaSビジネスでは、

・顧客がどのような課題を抱えているか
・サービスのどこに満足している(不満を抱いている)か

といった詳細な情報を部署間で共有・引き継ぎすることが重要です。

商談を通して顧客のことを深く理解した営業担当者がそのままCS業務を担当することで、より顧客一人一人に合わせた手厚いフォローが可能になり、結果として継続利用(解約率の低下)にもつながります。

社内でマーケ・営業・CSの明確な分業体制が存在していない場合は、CSと営業を一体化した新たなチームを立ち上げることをおすすめします。

4-3.【STEP3】サービスが継続利用される仕組みを設計する

続いては、サービスが継続利用される仕組みを設計します。

STEP2ではリード獲得~受注までの流れを設計しましたが、SaaSビジネスのゴールは受注ではなく、「自社サービスを使って成功(課題解決)した顧客」を作り出さなければなりません。

そのため、本ステップでは

  • 顧客がサービスを十分に利用できているかの調査
  • 不満や困っていることのヒアリング
  • 課題解決(成果創出)につながる使い方の提案

といった、購入後の価値提供の流れを設計・仕組み化しましょう。

具体的には、以下のような施策をCS担当者とすり合わせながら打ち出します。

サービスが継続利用される仕組みの設計例

パターン1.定期ミーティングによる伴走

・導入初期:解決したい課題・目標・成功指標の設定、製品の基本操作のレクチャー

・定着期:利用データを元に、困っていることがないかのヒアリングや活用方法の提案

・成果創出期:効果測定・運用改善の提案・必要に応じて上位プランの提案

→定期的にヒアリングの場を設け、成果が出るまで伴走する

パターン2.メール配信(MA)によるフォロー

・導入直後:使い方ガイドを配信

・定着期:過去の成功事例・機能の活用提案・FAQの配信

・成果創出期:活用レベルに応じた応用事例、上位機能の紹介、活用度を診断できるコンテンツの配信

※各メールには個別相談フォームを設置し、顧客がつまずいたタイミングでフォローできるようにする

このような購入後のアフターフォローの設計は、一般的にはマーケティングというよりCSの担当範囲にあたりますが、「売って終わり」ではないSaaSビジネスにおいては、ここまで含めてマーケティング戦略だと言えます。

※この考え方については「1-1.『売って終わり』ではなく購入後の価値提供まで含めて戦略設計する」を改めて参照すると、理解が深まります。

マーケティング担当者は本ステップの設計をCS部門へ任せきりにせず、上の例のようなフローを提案し、必要に応じて設計段階から共同で取り組むと良いでしょう。

ここまでで、

リード獲得→受注→利用の定着→継続利用

といったSaaSマーケティング全体の戦略設計が完了した状態となります。

4-4.【STEP4】施策を実践する

戦略設計が完了したら、いよいよ施策の実践に移ります。

本記事の前半「2.SaaSビジネスに効果的なマーケティング施策一覧【サービスの成熟度別】」の内容を参考に、事業フェーズに適した施策を順次実践していきましょう。

【おさらい】事業フェーズ別・SaaSマーケティングに有効な施策

事業フェーズ

施策

初期(認知形成フェーズ)
ブランディングと外部への露出

・外部メディアへの記事寄稿

・オウンドメディアの立ち上げ

・ウェビナー(認知拡大・リード獲得)

中期(拡張フェーズ)
顧客との接点を増やす

・外部メディアへの記事寄稿

・オウンドメディアのコンテンツ拡充

・ホワイトペーパーの拡充

・Web広告(比較広告)運用

・ウェビナー(リード獲得・育成)

・無料トライアルへの誘導

成熟期(継続・改善フェーズ)
効果のある施策を選別しブラッシュアップする

中期に実施した施策を網羅的にやり続ける

予算や社内リソースの都合で全ての施策を実践できない場合は、自社のマーケティングのボトルネックを特定し、その改善策として適した施策を優先的に実践するのがおすすめです。

ボトルネックから施策を選定する例

リード数が少ない
→Web広告・オウンドメディアによって流入チャネルを増やす

リードは十分にあるが商談に繋がらない
→ホワイトペーパー・LPを改善し訴求力を高める

4-5.【STEP5】効果測定をし、修正と改善を重ねていく

最後は、効果測定をして修正と改善を重ねていきます。

以下の例を参考に、実行したマーケティング施策ごとのKPIを設定し、安定したリードを獲得できるようブラッシュアップしていきましょう。

効果測定の流れ(一例)

1.施策ごとのKPIを設定

Web広告であればCPA・オウンドメディアであればCVR・セミナーであれば参加率や商談化率など、施策の特性に応じた指標を設定

2.目標値に届かなかった施策の改善

広告の出稿先を変える・配信コンテンツの見直しなど

3.成果が見込めない施策は撤退する

目標値に達していないが改善の余地がない、他施策と比較して明らかに投資対効果が低いなど

4.上の1~3を繰り返す

これらの施策の効果測定と並行して、STEP1で策定した定量計画についても、定期的に目標の達成度を確認します。

定量計画の達成度チェック例

項目

目標リード数

チャネル別のリード数を集計して算出

→未達成の場合は、マーケティング施策の修正・改善が必要

目標継続率

期間内に解約した顧客数÷期間開始時の顧客数×100(%)で解約率を算出

→未達成の場合は、「【STEP3】サービスが継続利用される仕組みを設計する」の見直し・改善が必要

目指すゴール
(ストック売上を勘案した目標金額)

月額利用料×ユーザー数でMRRを算出

→未達成の場合は、「【STEP2】サービスの売れる流れを設計する」の見直し・改善が必要。アップセルの強化も検討

このように、施策単位の改善と定量計画全体の進捗管理を並行して行うことで、マーケティング活動が徐々に最適化されていきます。

単発の成果に一喜一憂するのではなく、データドリブンで効果測定し改善を積み重ねていくことが、SaaSビジネスの成長には非常に重要です。

5.SaaSマーケティングの戦略設計に「Sells up」にご相談ください

SaaSマーケティングは、継続利用を考慮した戦略設計や営業部門・CS部門との連携など、他業種とは異なる考え方や運用が求められます。

そのため、

  • どの施策を、どのタイミングで実施すべきか
  • 予算配分はどうするか
  • どこまでをマーケティングで担い、どこからを営業につなぐべきか

といった判断に迷いやすいのも、SaaSマーケティングの難しさです。

ここまで記事を読んで

「SaaSマーケティングの考え方は理解できたが、いざ実践するとなると判断に迷う」

と感じた場合は、データ分析でBtoBマーケティングの支援を行う「Sells up」にご相談ください。

Sells up社の強みは、マーケティングのあらゆる課題を解決できる「客観的なデータに基づいた戦略立案」と「多角的なマーケティング施策」です。

顧客の事業ステージや課題に合わせて、広告運用、コンテンツマーケティング、MA活用などを組み合わせ、リード獲得から顧客化までを一気通貫で支援します。

Sells upが解決できる課題(一例)

・どの顧客に、どのコンテンツが、どのタイミングで響くのかが不明確で、施策や予算配分が手探り状態になっている
→眠っている顧客データや商談履歴を分析し、「勝てる」戦略のロードマップを策定

・施策を試しては成果が出ず別の施策を試す、といった「手あたり次第の改善」に効果が出ない
→マーケティング組織の立ち上げをゼロベースから支援。型にはまらない「自社にとって最適なオリジナルのマーケティング体制」を構築できる

・外部に依存せず、マーケティングを自走できる体制を作りたい
→顧客視点に立ったセミナーやLPの作り方・MAの使い方・オウンドメディアの企画など、立ち上げ期の支援を通して「プロのマーケティングノウハウ」をレクチャー

※SaaS事業者を支援した過去の成功事例は、記事内の「3.SaaSマーケティングの成功事例」にて詳しく紹介しています。併せてご覧ください。

このように、Sells upのマーケティング支援は、多くのBtoB企業が陥っている「勘や感覚に頼った成果の出ないマーケティング活動」を「勝てる仕組み」へと変革します。

SaaSマーケティングは、短期的な成果だけでなく数年単位での成長を見据えた設計と運用が欠かせません。

戦略設計や施策の選定に悩んでいる場合や、客観的な視点からマーケティングを見直したいとお考えであれば、まずはお気軽にお問い合わせください。

6.まとめ

最後に、本記事の重要ポイントをおさらいします。

▼SaaSマーケティングとはどのようなものか(他業種との違い)

・「売って終わり」ではなく購入後の価値提供まで含めて戦略設計する

・解約率(継続率)を踏まえてターゲットを設計する

・利用データ+ユーザーの生の声を集める必要がある

・「無料→有料化」という特殊ファネルがある

・コスト回収に時間がかかる

→「継続利用される仕組み」を作ることが重要

▼SaaSビジネスに効果的なマーケティング施策

【サービス開発初期】

・外部メディアへの記事寄稿

・オウンドメディア

・ウェビナー

【中期】

・外部メディアへの記事寄稿

・コンテンツSEO(オウンドメディア)

・ホワイトペーパーの拡充

・Web広告

・ウェビナー

【成熟期】

全ての施策を網羅的に継続しつつ、

・継続的な効果測定

・トレンドの把握

を行う

▼本気で成果を出すSaaSマーケティングの進め方5ステップ

1.定量計画を策定する※最重要

2.サービスの売れる流れを設計する

3.サービスが継続利用される仕組みを設計する

4.施策を実践する

5.効果測定をし、修正と改善を重ねていく

→ストック売上を考慮した定量計画が、SaaSマーケティングにおいては重要

本記事の内容が、貴社のマーケティング活動の参考になりましたら幸いです。

BtoBマーケティングのご相談はSells upへ

Sells upはデータに裏打ちされたマーケティング活動を通じて売上成長を実現するBtoBマーケティング専門のエージェンシーです。 まずはお気軽にご連絡ください。

株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。