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複数サービスがある会社のナーチャリング設計の基本|リードの振り分け・ハウスリスト共有・シナリオ管理の考え方

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

目次

「スコアが高いが、どのサービスに対する興味があるのかわからない」
「シナリオが増えすぎて管理できない」

複数サービスを持つ企業で、MAを運用しているチームからこういった声をよく聞きます。

スコアが高くなったリードを営業に渡したら「そのサービスは担当外」と言われた。
サービスを追加するたびにシナリオが増え、どれが動いているか把握できなくなってきた。
サービスAのリストにサービスBのメールを誤配信してしまった。

これらは、「複数サービスを前提としたナーチャリングの設計ルール」が整っていないことに起因します。

この記事では、複数サービスのナーチャリングを整理するための設計の考え方を整理します。

「サービスのターゲットが全く異なる場合」と「同じターゲット向けの補完的なサービスの場合」の2つのパターンに分けて解説します。

まず「サービスの関係性」を整理する

複数サービスのナーチャリング設計は、サービス間の関係性によって大きく設計が変わります。

サービスの関係性

ナーチャリング設計の基本方針

ターゲットが異なる別サービス (例:HubSpot支援 / Marketo支援)

原則として独立したシナリオ・スコアリング・MQL定義を持つ。ハウスリストは共有しない。リードの振り分けを最初に行う

同じターゲット向けの補完サービス (例:MA導入支援 + スコアリング設計支援)

シナリオ・ハウスリストは一部共有できます。一方のサービスを導入後に別サービスを提案するクロスセル設計が有効

段階的に使うサービス (例:スモールプラン → エンタープライズプラン)

フェーズが変わるタイミングでアップセルのシグナルを検知し、上位サービスへの誘導シナリオに切り替える

パターン①:ターゲットが異なる別サービスの場合

リードの振り分けが最初の設計

ターゲットが異なるサービスを持つ場合、リードが流入した段階でどのサービスに関心があるかを特定する仕組みが必要です。

振り分けの方法

内容と実装のポイント

フォームで選択させる

「ご興味のあるサービスをお選びください」という選択肢をフォームに設ける。最も確実な方法だが、フォームの離脱率が上がるリスクがある

流入元のコンテンツで推定する

サービスAのページから来た → サービスA向け・サービスBのウェビナーに参加した → サービスB向けと推定する。UTMパラメータと着地ページで判断する

初回メールで確認する

全員共通の最初のメールで「あなたは〇〇でお悩みですか、それとも△△でお悩みですか?」という選択肢リンクを設ける。クリックしたリンクでセグメントを更新する

サービス別にシナリオ・スコアリングを独立させる

ターゲットが異なるサービスは、シナリオとスコアリングを完全に独立させます。同じMAで管理する場合、サービスごとにフォルダ・タグ・ワークフロー(シナリオ)を分けることで混在を防げます。

MAでの分離管理の設定例(HubSpotの場合)

・リストをサービス別に命名:「ServiceA_nurturing_consideration」「ServiceB_nurturing_awareness」
・スコアリングプロパティをサービス別に作成:「ServiceA_score」「ServiceB_score」
・ワークフローをサービス別フォルダで管理:「/ServiceA/」「/ServiceB/」
・MQL条件:ServiceA_score≥50 かつ ServiceAタグあり → ServiceA営業に通知

パターン②:同じターゲット向けの補完サービスの場合

シナリオの共通部分と専用部分を分ける

同じターゲット向けの補完サービスの場合、「全サービス共通のナーチャリング」と「サービス別の専用ナーチャリング」を組み合わせる設計が効率的です。

シナリオの種類

内容

対象サービス

共通シナリオ(上流)

業界課題・BtoBマーケの全体論など、どのサービスにも関連するコンテンツを届ける。リードの関心が固まっていない段階で使う

全サービス共通

サービス別シナリオ(下流)

関心サービスが特定できた段階で、そのサービスに特化したシナリオに切り替える。コンテンツ・CTA・スコアリングをサービスに合わせて設計

サービスごとに独立

リストの共有ルールを決める

補完サービスであれば、一方のサービスのリードに別サービスの情報を届けることも選択肢になります。ただし、リードが明示的に同意していない場合の配信には注意が必要です。

共有の可否

判断基準

共有してよい場合

フォームで「関連サービスの情報提供に同意する」にチェックがある・オプトイン型のメルマガ登録リスト・自社の既存顧客(関係性がある)

共有に注意が必要な場合

特定サービスの資料DLで獲得したリード・展示会でそのサービスのブースで名刺交換したリード。別サービスの情報を送る前に、興味確認のメールを挟む

シナリオが増えすぎないための管理設計

複数サービスを展開していくとシナリオが増え続け、管理コストが高くなります。以下のようにシナリオを整理します。

シナリオ増殖を防ぐ設計原則

① 共通部分は1つのシナリオで運用し、分岐は条件分岐ルールで対応する
② サービス別の専用シナリオは「入口1本・出口1本」の最小構成から始める
③ 四半期ごとに「動いていないシナリオ」を棚卸しして停止または統合する
④ 命名規則を統一する:「[サービス名]_[フェーズ]_[シナリオ番号]」例:ServiceA_consideration_001

まとめ

複数サービスのナーチャリング設計は、まず「サービスの関係性(ターゲットが異なるか・補完的か・段階的か)」を整理することから始まります。

ターゲットが異なる場合はリードの振り分けを最初に設計し、シナリオとスコアリングを完全に独立させます。

補完サービスの場合は共通シナリオと専用シナリオを組み合わせ、ハウスリスト共有のルールを明確にします。

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。HubSpot・Account Engagement・Marketoの3ツールにわたるMA選定・導入・活用支援を、企業規模や業界を問わず80社以上に提供。ツール選定フェーズから要件定義・初期設定・SFA/CRM連携設計・シナリオ・スコアリング設計まで一貫して担い、導入後に成果を出すための設計を重視した支援を行ってきた実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。