MAのステップメールで成果を出す。シナリオ設計からROI測定・改善まで徹底解説

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MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。
MAツールを導入したものの、「期待したほどの成果が出ていない」「営業部門からリードの質について不満が出ている」「投資対効果(ROI)をどう証明すれば良いか分からない」といった課題に直面していないでしょうか。
BtoBマーケティングにおいて、MAツールを最大限に活用し、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)を成功させるための中核的な施策が「ステップメール」です。しかし、単にメールを自動配信するだけでは、商談化や受注といった事業成果には繋がりません。
高価なMAツールへの投資効果を証明し、営業部門が納得する質の高いリードを安定的に供給するためには、顧客心理に基づいた戦略的なシナリオ設計と、データに基づいた運用改善が不可欠です。
本記事では、MAツールを活用したステップメールで成果を出すために必要な、シナリオ設計の考え方から、具体的な作成手順、BtoBで使えるシナリオ例、そしてROIの測定方法までを体系的に解説します。貴社のMA運用を成果に直結させるための指針としてご活用ください。
MAにおけるステップメールとは?BtoBでの役割と仕組み
ステップメールの定義:リードの関心度に合わせて自動で育成する仕組み
ステップメールとは、あらかじめ設定したシナリオ(誰に、いつ、どんな内容を、どの順番で送るか)に沿って、見込み顧客(リード)に対して自動的に複数回のメールを配信する仕組みです。
たとえば、資料請求やセミナー参加といった特定のアクションを起点(トリガー)として、数日おきに段階的な情報提供を行います。その目的は、リードの関心度や製品理解度に合わせて情報を届けることで、購買意欲を段階的に高め、最終的に商談化や受注に繋げることです。
メルマガ・自動返信メールとの決定的な違い
ステップメールと混同されやすいのが、メルマガや自動返信メールです。それぞれの違いを明確に理解しておくことが重要です。
メルマガ:同じ内容をリスト全体に一斉配信する「単発型」のメールです。新製品情報などリアルタイムな情報提供に適していますが、個別の検討状況に合わせた育成には不向きです。
自動返信メール(サンクスメール):問い合わせや申込直後に、受付完了を通知するために1通だけ送るものです。
ステップメール:受信者ごとの起点(例:資料請求日)から配信がスタートし、個別のタイミングで複数回のメールがシナリオに沿って送られます。段階的な情報提供により、リードを育成することを目的とします。
なぜBtoBマーケティングでステップメールが重要なのか(部門間連携の課題)
BtoBマーケティングにおいて、リードナーチャリングは成果を左右する非常に重要な要素です。しかし、マーケティング部門が獲得したリードを営業部門に渡しても、「まだ温度感が低い」「情報収集段階で、すぐには提案できない」と指摘されるケースは少なくありません。
その背景には、検討期間が長く、複数の意思決定者が関与するBtoB特有の複雑な購買プロセスがあります。
ステップメールは、こうした課題に対し、リードの興味・検討度合いに合わせて最適な情報をタイミングよく提供することで、リードの温度感を着実に高めます。これにより、営業部門が納得する質の高いリード(Sales Qualified Lead:SQL)を安定的に供給する仕組みを構築でき、商談化率の向上に貢献します。
さらに、MAツールを活用することで、この一連のコミュニケーションを自動化できます。少人数で多くのリードに対応しなければならないマーケティング部門のリソース不足に対しても、有効な解決策となります。
ステップメールが事業成果にもたらす4つのメリット
MAツールを活用したステップメールの導入は、マーケティング部門だけでなく、営業部門や事業全体に多くのメリットをもたらします。
メリット1:リードナーチャリングの自動化・効率化と品質標準化
従来、リードの育成は営業担当者が個別に対応することが多く、工数負担や対応品質の属人化が課題でした。ステップメールを活用することで、リードごとに最適なタイミングと内容で自動的に情報を届けられるため、効率的なナーチャリングが実現します。また、誰が担当しても一定の品質を担保できるため、育成プロセスの標準化にも繋がります。
メリット2:顧客との中長期的な関係構築とロイヤリティ向上
BtoB商材は検討期間が長いため、情報提供が途切れると競合他社に流れてしまうリスクがあります。ステップメールにより、定期的かつ計画的に接点を持ち続けることで、リードは「自社の課題を理解し、有益な情報を提供してくれる存在」として認識するようになります。これは、商談化前の信頼関係構築において非常に重要です。
メリット3:営業部門の生産性向上とSQLの質の向上
ステップメールによって十分に育成され、温度感が高まったリード(SQL)を営業部門に引き渡すことで、商談化率や受注率の向上が期待できます。営業担当者は、確度の低いリードへのアプローチ工数を削減し、優先度の高いリードに集中できるため、部門全体の生産性が向上します。また、MAツール上でリードの行動履歴が可視化されるため、営業担当者は過去のコミュニケーションを踏まえた的確な提案が可能になります。
メリット4:データに基づいたマーケティング施策の実現
MAツールでは、ステップメールの開封率、クリック率、コンバージョン率といったデータを詳細に蓄積・分析できます。これにより、「どのシナリオが効果的か」「どのコンテンツが反応を得やすいか」といった改善ポイントの特定が容易になります。感覚ではなく、データに基づいた意思決定を行うことで、マーケティング活動全体の精度向上に繋がります。
成果を出すためのステップメール作成・運用 6つの手順
ステップメールで成果を出すためには、体系的な手順に沿って設計・運用を進めることが重要です。ここでは、企画から実行、改善までの6つのStepを解説します。
Step.1:目的(KGI)と評価指標(KPI)の明確化
最初のStepとして、ステップメール施策の最終的な目的(KGI:Key Goal Indicator)を定めます。KGIは、売上や利益に直結する指標を設定することが望ましいです。
例:「資料請求後30日以内の商談化件数をXX件創出する」「ステップメール経由の受注金額をXX円達成する」
あわせて、KGI達成に向けた中間指標(KPI:Key Performance Indicator)も明確にします。これにより、施策の進捗状況や課題を客観的に把握できます。
例:開封率、クリック率、コンバージョン率(次のアクションへの遷移率)、配信停止率
Step.2:ターゲットとペルソナの設定
次に、誰にメッセージを届けるのか、配信対象となるターゲット像やペルソナを明確にします。BtoBの場合、企業属性(業種、規模)と個人属性(部署、役職、抱えている課題、情報収集の傾向)の両面から具体的に設定することが重要です。
ペルソナが明確であればあるほど、受け手のニーズや興味に合致した、響くメッセージ設計が可能になります。
Step.3:カスタマージャーニーに基づいたシナリオ設計
ペルソナが製品・サービスを認知し、比較検討を経て導入に至るまでのプロセス(カスタマージャーニー)を想定し、それに沿ったシナリオを設計します。
H4:起点(トリガー)とゴールの設定
まず、ステップメールの配信を開始する「起点(トリガー)」と、そのシナリオで達成したい「ゴール」を設定します。
起点の例:ホワイトペーパーダウンロード、セミナー参加、無料トライアル申込など。
ゴールの例:サービス資料請求、個別相談申込、見積依頼など。
起点ごとにリードの関心事や検討フェーズは異なるため、シナリオは起点ごとに分けて作成するのが基本です。
H4:ゴールまでの道筋(ストーリー)を描く
起点からゴールまで、どのような情報をどの順番で届けるべきかを設計します。各メールの役割を明確にし、段階的にリードの関心を高めていくストーリーを描きます。
例:【起点】ノウハウ資料請求 → 1通目:お礼と補足情報 → 2通目:関連する課題解決事例 → 3通目:製品での実現方法 → 4通目:無料相談案内 →【ゴール】商談化
H4:配信回数とタイミングの最適な考え方(BtoBの目安)
配信回数やタイミングに絶対的な正解はありませんが、BtoBの場合、以下の数値が一つの目安となります。
配信回数:3~7通程度
配信タイミング:1通目は起点直後(即日)、以降は2~5日おき(平日)
配信間隔が短すぎると「しつこい」と感じられ配信停止のリスクが高まり、逆に間隔が空きすぎると存在を忘れられ、温度感が下がってしまいます。顧客の検討サイクルや自社商材の特性(単価、検討期間の長さ)を踏まえて、最適な配信スケジュールを設計することが重要です。
Step.4:各メールのコンテンツ(文面・件名)作成
シナリオに基づき、各メールのコンテンツを作成します。BtoBのステップメールでは、以下の点に留意する必要があります。
文面:結論ファーストで分かりやすく記述します。営業色が強すぎると忌避されるため、まずは価値ある情報提供(課題解決のヒント、ノウハウなど)を意識し、信頼関係の構築を優先します。
CTA(Call To Action):受け手に取ってほしい次のアクション(例:資料ダウンロード、詳細ページへのリンク)を明確に提示します。
そして、最も重要なのが「件名」です。
【コラム】開封率を高める件名作成のポイント(4U原則) ステップメールは、まず開封されなければ始まりません。件名は、受信者が最初に目にする要素であり、開封率を大きく左右します。件名を作成する際は、「4Uの原則」を意識することをお勧めします。
Useful(有益性):読むメリットが明確か(例:【事例公開】〇〇のコストを30%削減した方法)
Urgent(緊急性):今すぐ読むべき理由があるか(例:【本日まで】〇〇ウェビナーのご案内)
Unique(独自性・新規性):他とは違う新しい情報か(例:【独自調査】BtoBマーケター100人の本音)
Ultra-Specific(超具体性):内容が具体的にイメージできるか(例:〇〇導入後のよくある3つの失敗と解決策)
これらの要素を組み合わせることで、受信者の注意を引き、開封率の向上が期待できます。
Step.5:MAツールでの実装とテスト配信
作成したシナリオとコンテンツを、MAツールに設定します。配信タイミング、セグメント条件、シナリオ分岐(後述)など、ツールの機能を活用して設計通りに動作するように実装します。
実装後は、必ずテスト配信を行い、PCとスマートフォンの両方で表示崩れやリンク切れ、シナリオの動作不良がないかを確認します。エラーや配信ミスを防ぐため、複数人でのダブルチェック体制を構築することが望ましいです。
Step.6:効果測定と改善サイクルの確立(PDCA)
配信後は、Step.1で設定したKPIをもとに効果測定を行い、課題を特定します。
開封率が低い → 件名、配信タイミングの見直し
クリック率が低い → 文面、コンテンツ内容、CTAの見直し
コンバージョン率が低い → シナリオ全体、ゴールの設定の見直し
分析結果を踏まえて仮説を立て、改善施策を実行します。このPDCAサイクルを継続的に回すことが、成果に繋がる重要なポイントです。
【Sells upの視点】リソース不足を解消する「コンテンツリパーパス戦略」
ステップメールの運用において、「シナリオは設計できたが、各メールのコンテンツを作る時間がない」というリソース不足は、多くのマーケティング担当者が直面する深刻な課題です。この課題を解決するのが、「コンテンツリパーパス(再利用・転用)」という考え方です。
Sells upでは、ゼロから新しいコンテンツを作るのではなく、既存のコンテンツ資産を効率的に活用することを推奨しています。
既存コンテンツの棚卸しと転用アイデア
まずは、社内にどのようなコンテンツが存在するかを棚卸しします。視点や切り口を変えて再利用することで、最小限の労力で最大限の効果を上げることが可能になります。
ブログ記事・コラム:ノウハウ系の記事は、要点をまとめてメール文面に転用できます。
導入事例:事例記事の一部を抜粋し、メールで紹介します。リードの業種や課題に合わせて出し分けることで、高い効果が期待できます。
ウェビナー動画・資料:ウェビナーの録画や投影資料は情報の宝庫です。重要なポイントを切り出してテキスト化したり、資料をダウンロード形式で提供したりできます。
営業資料・提案書:営業担当者が普段使っている資料の中にも、顧客の疑問に答えるFAQや製品の強みなど、転用できる要素が多く含まれています。
ホワイトペーパー:長文のホワイトペーパーを分割し、各章を1通のメールコンテンツとして再構成することも可能です。
最小工数でステップメールを開始する手順(スモールスタート)
最初から完璧な7通のシナリオを目指す必要はありません。まずは3通程度の最小限のシナリオで開始し(スモールスタート)、運用しながら徐々に拡充していく方法が有効です。
Step.1:シナリオ全体のテーマと各メールの役割を決定する。 Step.2:各メールの役割に合わせて、利用できそうな既存コンテンツをリストアップする。 Step.3:既存コンテンツをメール配信用に再編集(要約、抜粋、追記)する。 Step.4:メールの件名とCTA(次のアクションへの誘導)を作成する。
このように、既存コンテンツを最大限に活用することで、コンテンツ作成にかかる工数を大幅に削減し、効率的なステップメール運用を実現できます。
【Sells upの視点】競合と差がつく、高度なシナリオ設計の3つのポイント
基本的なステップメールの設計・運用に慣れてきたら、MAツールならではの機能を活用し、より高度なシナリオ設計に挑戦しましょう。これにより、画一的なアプローチから脱却し、One to Oneに近いコミュニケーションが実現できます。
ポイント1:MAならではの「シナリオ分岐」活用法と具体例
BtoBの購買プロセスは複雑であり、すべてのリードが同じ道筋をたどるとは限りません。そのため、一本道のシナリオだけでなく、リードの反応に応じてその後の配信内容を動的に変更する「シナリオ分岐」の設計が重要です。これはMAツールを導入しているからこそ実現できる、高度な設計思想です。
たとえば、以下のような分岐が考えられます。
メール開封の有無による分岐:重要なメールを開封しなかったリードに対し、件名を変えてリマインドメールを送る。
リンククリックによる分岐:メール内で「A製品の事例」をクリックしたリードにはA製品関連の情報を、「B製品の事例」をクリックしたリードにはB製品関連の情報を送るシナリオへ分岐させる。
Webアクセスによる分岐:ステップメール配信期間中に「価格ページ」を訪れたリードには、ROIに関する情報や無料見積もりの案内を追加で配信するシナリオへ移行させる。
このように、個々の興味や検討フェーズに合わせた柔軟なシナリオ設計が成果に繋がります。
ポイント2:行動データに基づいた高度なパーソナライゼーション
ステップメールの効果を最大化するためには、属性データ(業種、役職など)だけでなく、受信者の「行動データ」を活用したセグメント分けが不可欠です。
たとえば、「料金ページを閲覧した」「特定の導入事例ページを3回以上閲覧した」など、さまざまな接点をもとにリードを動的に分類します。その上で、各セグメントごとに最適なコンテンツや配信タイミングを設計することで、受信者の関心を的確に捉えたパーソナライズを実現できます。
ポイント3:営業連携を前提とした設計(スコアリングとSLA)
ステップメール施策が成功するかどうかは、マーケティング部門と営業部門の連携にかかっています。「マーケティングが育成したリードを、営業が確実にフォローする」という体制を構築しなければ、最終的な受注には繋がりません。部門間の連携不全を解消するためには、以下の2つの仕組みを導入することが非常に重要です。
H4:リードスコアリングとの連携
リードの行動に応じて点数を付与する「スコアリング」とステップメールを連携させます。たとえば、「ステップメール内の特定のリンクをクリックしたら5点加算」といったルールを設定します。そして、「スコアがXX点に達したら、自動で営業担当に通知する(またはSFAにタスクを割り当てる)」といった仕組みを構築することで、営業は最も温度感の高いタイミングでアプローチできます。
H4:部門間連携を成功させる「SLA(合意形成)」の重要性
スコアリングや自動通知の仕組みを構築しても、マーケティングと営業の認識がずれていては成果に繋がりません。 この問題を解決するためには、「どのような条件を満たしたリードを営業に渡すか(SQLの定義)」、そして「渡されたリードに対して、営業はいつまでにどのような対応をするか」について、両部門間でSLA(Service Level Agreement:サービス品質保証)を締結することが非常に重要です。
たとえば、「スコアが50点以上のリードに対し、24時間以内に電話でヒアリングを実施する」といった具体的なルールを定めます。これにより、連携のボトルネックを解消し、部門間の信頼関係を築くことができます。また、営業部門からのフィードバック(商談化の結果、失注理由など)を定期的に受け取り、シナリオやスコアリング基準を見直す場を設けることも不可欠です。
これで迷わない!BtoBで使えるステップメールシナリオ具体例7選
ここでは、BtoBビジネスですぐに活用できる、具体的なステップメールのシナリオ例を紹介します。自社の状況に合わせてカスタマイズしてご活用ください。
シナリオ例1:【王道】資料請求・ホワイトペーパーダウンロード後のフォロー
リードの関心度が比較的高い状態からのスタートです。ダウンロードした資料の内容を補足し、段階的に信頼を高めながら商談化へ誘導します。
1通目(即時):お礼、資料の再送、補足情報
2通目(2日後):関連する導入事例、活用ノウハウ
3通目(5日後):よくある質問(FAQ)、他社比較情報
4通目(8日後):無料相談、デモの案内
シナリオ例2:セミナー・ウェビナー参加後の熱量を維持するフォロー
セミナー参加直後は情報収集意欲が高まっています。参加後のタイミングを逃さず、熱量が冷めないうちに次のアクションを促します。
1通目(当日):参加のお礼、当日の投影資料送付、アンケート依頼
2通目(翌日以降):セミナー内容の要約、関連サービスの紹介
3通目(3日後):導入事例の共有、個別相談の案内
シナリオ例3:無料トライアル・デモ申込者へのオンボーディング支援
無料トライアル期間中に製品の価値を実感してもらうことが目的です。利用定着と満足度向上を目指し、活用をサポートするコンテンツを提供します。
1通目:申込お礼、初期設定ガイド
2通目:基本的な使い方、活用ノウハウ(初級編)
3通目:活用ノウハウ(応用編)、よくある質問
4通目:活用事例紹介、有償版への移行案内
シナリオ例4:展示会・イベントでの名刺交換後の関係構築
展示会で接点を持った大量のリードに対して、効率的に関係構築を進めるためのシナリオです。相手の関心度を見極めながら、徐々に情報提供の深度を深めます。
シナリオ例5:休眠顧客の掘り起こし(リードのリサイクル)
過去に接点があったものの、しばらくアクションがない休眠リードを再活性化させるシナリオです。再度興味を喚起するきっかけを提供します。
シナリオ例6:特定Webページ(料金ページなど)を閲覧した見込み顧客へのアプローチ
料金ページや製品詳細ページなど、購買意欲の高い行動を示したリードに対するシナリオです。タイミングを逃さず、検討を後押しする情報を提供します。
シナリオ例7:失注顧客への再アプローチ
一度失注した顧客も、状況が変われば再検討の可能性があります。中長期的な関係維持を目的とし、定期的な情報提供を行います。
ステップメール運用で陥りがちな失敗とトラブルシューティング
ステップメールは自動化できる反面、一度設定すると問題点に気づきにくい側面もあります。ここでは、多くの企業が陥りがちな失敗例と、その具体的な解決策(トラブルシューティング)を紹介します。
失敗例1:売り込み感が強く、配信停止率が高い
BtoBのリードは、営業色の強いメールに対して敏感です。特にシナリオの初期段階から製品紹介や商談の打診を繰り返すと、「売り込まれている」と感じ、すぐに配信停止されてしまいます。
解決策: シナリオ全体を通して、情報提供や課題解決に役立つコンテンツ(お役立ち情報)を中心に据えます。目安として、お役立ち情報が8割、製品情報が2割程度のバランスを意識すると良いでしょう。まずは価値提供を通じて信頼関係を築くことを優先します。
失敗例2:2通目以降の開封率・クリック率が急落する
1通目(お礼メール)は開封されるものの、2通目以降の反応率が急激に低下するケースです。原因としては、コンテンツの質が期待値を下回っている、配信頻度が高すぎる、などが考えられます。
解決策:
各メールの件名を見直し、受信者の興味を引く具体的な内容に変更する(「4Uの原則」を参照)。
1通目で、今後どのような情報が何回にわたって届くのかを明示し、期待値を調整する。
配信間隔を見直し、リードが情報を消化できる適切な頻度に調整する(例:2日おきから4日おきに変更)。
失敗例3:コンテンツが枯渇し、運用が続かない
必要なコンテンツが不足し、運用が途中で止まってしまうケースです。
解決策: 前述の「コンテンツリパーパス戦略」を活用し、既存コンテンツの再利用を徹底します。また、スモールスタートを心がけ、運用しながら徐々にシナリオを拡充していくアプローチが有効です。
失敗例4:効果測定が不十分で、改善点が見えない
配信設定をしただけで満足してしまい、その後の効果測定を行わないケースです。
解決策: MAツールのレポート機能を活用し、KPIデータを定期的に(最低でも月1回)確認・分析する体制を構築します。定期的なレビュー会議を設け、データに基づいた議論を行い、継続的な改善サイクルを回す文化を醸成することが重要です。
【Sells upの視点】施策の投資対効果(ROI)を測定し、経営層に報告する方法
高価なMAツールへの投資対効果(ROI)を証明し、経営層や他部門からの評価を得ることは、マーケティング担当者にとって重要なミッションです。ステップメール施策が最終的にどれだけの売上に貢献したのかを可視化する方法を解説します。
ROI測定に必要なデータ基盤(MAとSFA/CRM連携)
ステップメールのROIを正確に測定するためには、MAツール単体での分析(開封率やクリック率)だけでは不十分です。SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)と連携させ、マーケティングから営業、受注までのプロセス全体をトラッキングするデータ基盤を構築する必要があります。
これらのデータを紐付けることで、特定のステップメール施策がどれだけの売上に貢献したかを金額ベースで可視化できます。
具体的なROI計算方法とレポーティング例
ROIは一般的に「(利益 - 投資コスト) ÷ 投資コスト × 100(%)」で計算されます。ステップメール施策に当てはめると、以下のようになります。
利益:ステップメール経由で発生した受注金額の合計 × 粗利率
投資コスト:MAツールの利用料(施策に関わる部分)、コンテンツ制作費、運用人件費など
計算例: あるステップメール施策(投資コスト10万円)から、10件の商談が発生し、そのうち2件が受注(受注金額合計200万円、粗利率50%)に至った場合。 利益 = 200万円 × 50% = 100万円 ROI = (100万円 - 10万円) ÷ 10万円 × 100 = 900%
ROIを証明し、経営層からの信頼を勝ち取る重要性
経営層は、「その施策が事業にどれだけ貢献したか」という結果を求めています。数値で貢献度を示すことで、マーケティング部門の取り組みが経営層に認知され、「コストセンター」から「プロフィットセンター」へと位置づけが変わります。これにより、追加投資やリソース確保の交渉もスムーズになります。データ基盤の構築は、そのための重要な投資です。
高度なステップメールを実現するためのMAツール選定基準
ステップメール施策の成果を最大化するためには、自社の目的や運用体制、将来的な拡張性を見据えたMAツールの選定が非常に重要です。ここでは、特にステップメール機能の観点から、MAツール選定で着目すべきポイントを解説します。
シナリオ設計の自由度と操作性
MAツールごとに、シナリオ設計の柔軟性や分岐設定の細かさには大きな違いがあります。BtoBで求められる複雑なカスタマージャーニーに対応するためには、以下の点を確認する必要があります。
ユーザーの行動(クリック、ページ閲覧など)に応じた複雑なシナリオ分岐が可能か。
GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)で直感的にシナリオを設計・変更できるか。
将来的な施策拡張も見据え、柔軟かつ容易にシナリオ設計ができるツールを選定しましょう。
レポート・分析機能の深度
効果測定と改善サイクルを回すためには、詳細なレポート・分析機能が不可欠です。
開封率、クリック率、商談化率などの指標を、シナリオごと、あるいはメールごとに可視化できるか。
A/Bテスト機能(件名やコンテンツの効果比較)が備わっているか。
分析機能が充実していれば、施策のボトルネック特定と、成果の定量的な証明が容易になります。
外部ツール(SFA/CRM)との連携性
営業連携やROI測定を実現するためには、SFAやCRMとの連携性が重要です。
自社で利用しているSFA/CRMとの標準連携機能があるか、API連携が可能か。
リード情報や商談状況をシームレス(リアルタイムまたは高頻度)に連携できるか。
システム間の連携がスムーズであれば、マーケティングから営業への引き渡しや、施策全体の一元管理が効率化されます。
まとめ:成果創出に向けた最初のステップ
BtoBマーケティングにおいて、MAを活用したステップメールは、リードナーチャリングを自動化・効率化し、商談化率を向上させるための基盤となる施策です。本記事では、基本的な手順から、シナリオ分岐、営業連携(スコアリング、SLA)、ROI測定といった高度な活用方法までを解説しました。
しかし、いきなり全ての施策を実施し、完璧な運用体制を構築するのは容易ではありません。成果創出に向けた最初のステップとして、まずは以下の3点に取り組むことが重要です。
明確な目的設定とKPI設計:何のためにステップメールを行い、その成果をどう測定するのかを定義する。
営業部門との連携強化:SQLの定義について営業部門と議論を開始し、連携の土台を作る。
スモールスタートと継続的な改善:まずは最小限のシナリオと既存コンテンツ(リパーパス)で運用を開始し、データを分析しながら改善サイクルを回す。
一つひとつの施策を着実に積み重ねることで、貴社のマーケティング活動はより洗練されたものになります。ぜひ、今回ご紹介したポイントや具体的なシナリオ例を参考に、貴社ならではのステップメール施策を構築してください。
MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。
MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。
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