MA分析で成果を出す方法|よくある失敗と営業連携を成功させる5つのステップ

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MA分析が「レポート作成」で終わっていませんか?
マーケティングオートメーション(MA)を導入し、日々の業務効率化やリード獲得に手応えを感じている企業は少なくありません。しかし、「せっかく導入したのに、メルマガ配信やレポート作成で止まっている」「分析結果を活かしたアクションに結びつかない」「そもそも、なにを分析すればよいかわからない」といった悩みを抱える担当者は少なくありません。
特に、SaaSをはじめとしたBtoBビジネスにおいては、営業部から「リードの質が低い」と指摘されたり、上司から「投資対効果を数字で示してほしい」と求められたりする場面は珍しくありません。MAの多機能さに圧倒され、どこから手を付けていいかわからないまま、ツールが「高機能なメール配信システム」に留まってしまうケースも多いのが現実です。
本記事では、MA分析を単なる「レポート作成」という作業で終わらせず、具体的な成果につなげるための考え方と実行ステップを具体的に解説します。多くの担当者が陥りがちな失敗例や営業部門との連携を成功させるポイントも交えながら、明日からの施策にすぐに生かせるMA分析の手法を解説します。
まずは基本|MA分析で可視化できる5つの重要データ
MAツールの分析機能は多岐にわたりますが、全てのデータを見る必要はありません。成果につなげるために押さえておきたい「5つの重要データ」を整理します。
① 見込み顧客の行動履歴:Webサイト上の「足跡」を追う
MAツールは、個々の見込み顧客が「どのチャネル・フォームから流入し、どのページを、どれくらいの時間閲覧したか」といったWebサイト上の行動履歴を詳細に追跡できます。これにより、単なるアクセス数だけでなく、個々のリードが「どのコンテンツに関心を持っているか」「どの段階にいるか」といった、顧客一人ひとりの興味・関心の「質」を可視化できるのがポイントです。
例えば、料金ページを何度も訪れているリードは、導入を具体的に検討している可能性が高いと判断できます。一方で、特定の課題解決に関するブログ記事を熱心に読んでいるリードは、まだ情報収集の段階にいると推測できるでしょう。このように行動履歴を分析することで、顧客の検討フェーズに合わせた最適なアプローチが見えてきます。
② メール施策の効果測定:開封率の先にある貢献度を知る
メールマーケティングはMA活用の王道ですが、「開封率」「クリック率」だけを追いかけていては本質的な成果には結びつきません。重要なのは、配信したメールが「どのくらい商談や売上に貢献したか」を分析することです。MAツールでは、特定のメールをきっかけに、その後のWebサイト訪問、資料請求、そして最終的な商談化や受注に至ったかまでを一気通貫で分析できます。
例えば、特定のメールを受け取ったリードが、その後どのページを訪れ、資料請求や問い合わせに至ったかまでを分析することで、メール施策の価値が見えてきます。表面的な数値だけでなく、商談や受注などの最終的なコンバージョンまでの因果関係を意識しましょう。
③ 顧客の属性情報:ターゲット像を明確にする
MAツールは、フォームなどを通じてリードの属性情報(企業名、業種、役職、従業員規模など)を蓄積できます。これらのデータを活用し、「どのセグメントからの商談化率が最も高いか」「自社の優良顧客となりやすいのは、どの業種の、どの役職者か」を分析することで、ターゲットとすべき理想の顧客像(ペルソナ)の解像度を高めることができます。
データに基づいてターゲット像を明確にできれば、その後のコンテンツ制作や広告配信の精度も向上し、限られたリソースを効果的に投下できるようになります。
④ 訪問企業の特定:まだ見ぬ優良顧客を発見する
一部のMAツールでは、Webサイトの訪問者がどの企業からアクセスしているかをIPアドレスなどから特定できます。これにより、「まだ問い合わせはないが、自社サービスに関心を持っている企業」を発見し、営業部門が先回りしてアプローチすることが可能です。
例えば、競合比較ページや導入事例ページ、料金ページを繰り返し閲覧している企業があれば、ホットリードとして重点的にフォローする価値があります。この情報を営業部門と共有することで、戦略的なアプローチを仕掛けることが可能になります。
⑤ 商談化の履歴:マーケティング活動の成果を追跡する
MAをSFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)と連携させることで、その後どのように商談化し、受注に至ったのか、その全プロセスをデータで追跡できます。
これにより、「どのキャンペーン経由のリードが最も受注額が高いか」「受注に至ったリードは、平均していくつのコンテンツに接触しているか」といった分析が可能になります。結果、単なるリード獲得数だけでなく、最終的な商談化・受注までの流れを可視化できるようになり、マーケティング活動のROIを明確に示すことができます。
なぜMA分析は成果に繋がらないのか?担当者が陥る4つの典型的な失敗
MA分析を進める中で、担当者が陥りやすい失敗パターンを整理します。現場でよく見られる「あるある」な課題を知り、自社の運用を見直すヒントにしてください。
失敗例1:導入目的が曖昧で、高機能なメール配信ツールになっている
「MAを導入すれば何かが変わるはず」と漠然とした目的でツールを入れた結果、実際にはメルマガ配信や一斉メール送信だけに使われているケースが多々あります。分析機能も「なんとなくレポートを眺めるだけ」で終わってしまっては、成果につながるアクションが生まれません。
目的やKPIが不明確なままでは、どんなに高性能なツールも十分な価値を引き出せません。
失敗例2:完璧なスコアリングを目指し、複雑化しすぎて機能しない
「商談数を増加させるために、精緻なスコアリングモデルを作りたい」と考え、細かすぎるスコアリングルールを設定してしまうのも、よくある失敗です。例えば、「〇〇を閲覧したら+5点、△△をダウンロードしたら+10点…」と数十もの項目を設定した結果、運用が複雑になりすぎて担当者も全体像を把握できなくなる。さらには、スコアの根拠を営業担当者にうまく説明できず、かえって不信感を生んでしまうこともあります。
失敗例3:分析のための分析に陥り、次のアクションが見えない
「分析レポートを作ること」が目的化し、数字やグラフを並べただけの資料作りに時間を費やしてしまうパターンです。肝心なのは、分析結果から「何をすべきか」「どの施策を、どう改善するのか」という具体的なアクションプランを導き出すことです。アクションにつながらない分析は、現場のモチベーション低下にもつながります。
失敗例4:配信するコンテンツが不足し、顧客育成が始まらない
MAで構築できるのは、あくまで顧客を育成するための「仕組み」です。その中で提供する「コンテンツ」が用意できていないケースも少なくありません。分析によって「このリードは育成(ナーチャリング)が必要だ」と分かっても、その顧客の課題や関心に応えるホワイトペーパーや導入事例がなければ、関係性を深めることはできず、商談機会を逃し続けることになり、商談数は増えません。
【Sells upの視点】ツールの機能ではなく、貴社の運用体制や仕組みに課題が潜んでいる
MAツールを導入しても成果が出ない理由の多くは、「ツールそのもの」ではなく、運用体制や業務フローにあります。例えば、マーケティング部門と営業部門とで「ホットリード」の定義が共有されていなかったり、MAとSFAのデータ連携ルールが曖昧だったりすると、どんなに優れた分析や設定を行っても成果はでません。
Sells upでは、ツール導入はあくまでスタートラインであり、そのツールを使いこなすための「組織の型」を設計することこそが、成果を出すためのポイントだと考えています。
「分析」を「成果」に変えるための具体的な5ステップ
MA分析を成果につなげるには、場当たり的な施策ではなく、体系立てられたプロセスが必要です。ここでは、実際に成果を出すための5つのステップを解説します。
Step.1:目的と目標の明確化(KGI/KPI設定)
まずは、「何のためにMA分析を行うのか」を明確にしましょう。そして、その目的を具体的な数値目標(KGI/KPI)に落とし込みます。例えば「商談化率を20%向上させる」「MQL(マーケティング有効リード)を毎月30件創出する」といった形です。
目標が曖昧なままでは、分析も施策もブレが生じます。経営層や営業部門とも合意を取り、「何をもって成功とするのか」を全員で共有することが重要です。
Step.2:シンプルなシナリオから始める
複雑なシナリオは運用負荷が高まり、効果検証や改善が難しくなります。MA運用の初期段階では、シンプルな設計から始めましょう。たとえば、「資料請求後に3回のフォローメールを送る」「料金ページを2回以上閲覧したリードを営業に通知する」といった、分かりやすいアクションに絞ります。
シンプルなシナリオは効果検証がしやすく、改善のサイクルを速く回せます。小さな成功体験を積み重ねながら、徐々に拡張していくことがポイントです。
Step.3:データから施策仮説を立てる思考法
分析で得たデータから、具体的な施策仮説を立てることが重要です。例えば、「(データ事実)特定業種のリードは、導入事例コンテンツの閲覧後に商談化する確率が高い」→「(仮説)ならば、その業種のリードに対して、Webサイト訪問の翌日に導入事例メールを送れば、商談化率がさらに向上するのではないか?」といった思考プロセスです。
この際、必ず「なぜこのアクションが有効か」という根拠をデータで示すことが大切です。仮説と検証を繰り返すことで、施策の精度が高まります。
Step.4:効果検証と改善サイクルを回す
施策を実行したら、必ず効果検証を行いましょう。開封率やクリック率だけでなく、「商談化率」「受注率」など、Step.1で設定したKPIを基に、施策が目標達成に貢献したかを評価することがポイントです。もし期待した成果が得られなかった場合は、「なぜか?」を深掘りし、改善策を考えます。
このPDCAサイクルを継続的に回すことで、MA分析の成果が積み上がっていきます。分析だけで終わらず、「施策→検証→改善」の流れを意識し、実行することが重要です。
Step.5:関係者を巻き込む「伝わる」レポーティング術
分析結果を社内に共有する際は、単なるデータの羅列ではなく、「施策と結果の因果関係」をストーリーで伝えることがポイントです。単にMAのダッシュボードを見せるのではなく、「誰に、何を、どう伝えるか」を設計しましょう。
たとえば、「料金ページを2回以上閲覧したリードに導入事例を送った結果、商談化率が15%向上した」というように、施策の意図と成果を明確に伝えます。営業部門や経営層にも納得感を持ってもらうためには、「なぜこの施策が成果につながったのか」を分かりやすく説明することが不可欠です。
また、レポートは関係者全員が見やすいフォーマットで、定期的に共有するのが効果的です。数字の裏付けとストーリー性を両立させることで、組織全体の納得感と実行力が高まります。
営業部門との連携を成功させ、組織の原動力にする方法
MA分析による成果を最大限に活かすには、マーケティング部門と営業部門の連携が不可欠です。しかし、現実には部門間で認識のズレやデータ連携の課題が発生しやすいのが実情です。
なぜマーケティングと営業の連携はうまくいかないのか
多くの企業で見られるのが、「マーケティングはリードを創出して終わり」「営業はリードの質が低いと不満を持つ」といった、部門間の分断です。この背景には、「ホットリード」の定義や評価基準が部門ごとに異なる、MAとSFA/CRMのデータ連携が不十分、といった構造的な問題があります。
最初のステップ:ホットリードの定義を両部門で合意形成する
連携強化の最初のステップは、「どのような状態のリードを、営業に引き渡すのか」という基準、すなわち「ホットリードの定義」を両部門で明確に定義することです。
たとえば、「料金ページを3回以上閲覧し、資料請求済みのリードをホットリードとする」など、具体的な条件を両部門で取り決めましょう。
この定義がないままでは、マーケティングがどれだけリードを創出しても、営業部門の納得感は得られません。双方が納得できる基準を設けることが、連携強化の出発点となります。
そしてこの定義は、一度決めたら終わりではなく、営業からのフィードバック(実際に商談化・受注したか)を基に、定期的に見直し、精度を高めていくことが重要です。
MAとSFA/CRMを連携させる際の技術的・組織的な注意点
データ連携をスムーズに進めるためには、技術的な設定だけでなく、組織的なルール作りも同時に行う必要があります。
データの二重登録リスクとその解決策
MAとSFA/CRMが連携していない場合、同じリード情報を二重に登録してしまうリスクがあります。これを防ぐためには、システム連携の設計段階で、「どちらをマスターとするか」「どのタイミングで同期するか」を明確にし、データ管理のルールを厳密に定めておく必要があります。
運用ルールを事前に定めておく重要性
リードの引き渡し手順、営業担当者が入力すべき活動履歴の内容、失注理由の登録方法など、具体的な運用ルールを文書化し、関係者全員で共有しましょう。ルールが曖昧なままでは、結局データが活用されず、連携が形骸化してしまいます。
【Sells upの視点】MAのデータは、部門間の溝を埋める「共通言語」になる
マーケティングと営業の間にある溝を埋めるためには、MAが生み出す客観的な「データ」が有効な共通言語となります。感覚や経験則ではなく、客観的な数値をもとに議論できることで、部門間のコミュニケーションが格段にスムーズになります。
たとえば、「料金ページを3回以上閲覧し、資料請求を行ったリードは、商談化率が平均の2倍に跳ね上がる」というデータがあれば、営業部門も納得して優先的にアプローチできるでしょう。また、施策の成果や課題も数値で可視化されるため、改善ポイントが明確になり、建設的なフィードバックが生まれやすくなります。
MA分析の先にあるもの:データドリブンな組織への進化
MA分析の本当の価値は、単なるツール活用やレポート作成にとどまりません。データを起点とした意思決定の文化を組織に根付かせることで、継続的な成長と競争優位性を実現できます。
ツール活用から、データに基づいた意思決定文化の醸成へ
MAツールの導入は「ゴール」ではなく、データドリブンな組織への進化の「スタート」です。日々のマーケティング・営業活動をデータで可視化し、その結果をもとに施策を改善するサイクルを回し続けることで、組織の意思決定力が高まります。
現場レベルだけでなく、マネジメント層や経営層もデータをもとに議論・判断する習慣が根付けば、組織全体のパフォーマンスが飛躍的に向上します。
経営層に響く、LTV(顧客生涯価値)向上への貢献を示す
MA分析で得られたデータは、単なるリード数や開封率といった短期指標だけでなく、「LTV(顧客生涯価値)」といった長期的な経営指標にもつなげることができます。
たとえば、「特定のナーチャリング施策を実施したリードは、受注後のアップセル率が高く、LTVが平均より30%高い」といった分析結果を経営層に示せれば、マーケティング活動の戦略的価値を強く訴求できます。
ROIやLTVなど経営視点の指標を意識し、マーケティング部門の貢献を定量的に伝えることが、組織内での信頼獲得と予算確保にも直結します。
まとめ
MA分析は、正しく活用すれば、単なるレポート作成ツールから、営業との連携を強化し、組織全体の意思決定を成長を加速させる推進力になります。
成果を出すためのポイントは、
目的と数値目標(KGI/KPI)を明確に定めること
シンプルな設計から始め、改善を繰り返すこと
データから仮説を立て、アクションに繋げる思考を持つこと
関係者を巻き込み、「伝わる」コミュニケーションを設計すること
部門間の壁を越えるための「共通言語」としてデータを活用すること
の5点で、これらを着実に積み重ねることが、MA活用の成功に繋がります。
ツールに「使われる」のではなく、データを「使いこなす」ことで、貴社のマーケティングをより高いレベルへと進めていきましょう。
MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。
MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。
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