MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。

MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。

目次

リードスコアリングとは?営業とマーケティングの連携を加速させる仕組み

リードスコアリングは、見込み客(リード)ごとの「購買確度」を数値化し、営業・マーケティング双方の連携を加速させる仕組みです。

MA(マーケティングオートメーション)ツールを導入し、リード獲得数は増えたものの、営業部門から「リードの質がばらばらで、どこからアプローチすればいいか分からない」
「電話しても温度感が低いことが多い」
といった声が上がっていないでしょうか。

リードスコアリングは、こうした課題に対する有効な解決策です。日々のマーケティング活動を通じて集まるリードの中から、今アプローチすべき相手を明確にし、営業リソースを最適化するために欠かせません。

リードスコアリングの基本:見込み客の「確度」を可視化する

リードスコアリングの基本は、見込み客の属性や行動履歴をもとに点数を付与し、「確度」を可視化することにあります。主に以下の2種類のスコアを組み合わせて評価します。

1. 属性スコア(静的データ)

企業情報や個人情報に基づき、自社のターゲット像にどれだけ合致しているかを評価します。特にBtoBでは、決裁権の有無が重要です。

  • 役職(例:決裁権のある部長クラス +20点、担当者クラス +5点)

  • 企業規模(例:ターゲットとなる従業員数規模 +15点)

  • 業種(例:ターゲット業種 +10点)

2. 行動スコア(動的データ)

Webサイトの閲覧履歴やコンテンツの利用状況に基づき、購買意欲や関心度がどれだけ高まっているかを評価します。

  • 料金ページの閲覧(+15点)

  • 導入事例資料のダウンロード(+10点)

  • セミナー参加(+8点)

  • メール開封(+1点)

これらのスコアを合算し、一定の基準(閾値:しきいち)を超えたリードを「ホットリード」として営業部門にパスすることで、成果につながる可能性の高いリードを見極めやすくなります。

なぜ、BtoBマーケティングでリードスコアリングが重要なのか

営業リソースの最適化と生産性向上

営業リソースは有限です。全てのリードに手当たり次第アプローチするのではなく、スコアが高い「ホットリード」に優先してアプローチすることで、営業効率が大幅に向上します。限られた時間と人員で最大の成果を出すために、優先順位付けは非常に重要です。

機会損失の防止と最適なタイミングでのアプローチ

スコアリングにより、今まさに検討段階にあるリードを見逃さず、最適なタイミングでアプローチできます。顧客の関心度が高まった瞬間を捉えることは、競合に対する優位性確保につながります。逆に、スコアが高いのに放置してしまうと、競合他社にリードを奪われるなどの機会損失が発生しやすくなります。

部門間連携の強化とデータに基づいた顧客理解

スコアリングを導入する過程で、「どのようなリードが質が高いのか」について、営業とマーケティングが共通認識を持つ必要があります。スコアという客観的な指標(共通言語)を用いることで、部門間の連携が強化されます。

【Sells upの視点】スコアリングの本質は「序列付け」ではなく「顧客理解」にある
リードスコアリングを単なる「見込み客の序列付け」ツールとして捉えると、本質を見誤ります。Sells upでは、スコアリングを「顧客理解を深めるための戦略的な仕組み」として位置づけています。

重要なのは点数そのものではなく、「なぜこのリードは高スコアになったのか(=今、何に関心を持っているのか)」という背景を理解することです。その理解があって初めて、適切なナーチャリング活動や、営業による的確な提案が可能になります。

リードスコアリングの成功事例5選【BtoB企業の具体的な取り組み】

ここからは、BtoB企業が実際にリードスコアリングをどのように活用し、成果を上げているのか、具体的な事例を紹介します。それぞれの事例の「スコア設計の工夫」に注目し、貴社への応用可能性を探ってみてください。

【SaaS業界】事例1:キラーコンテンツ活用で商談化率8.5倍を実現したSATORI株式会社

課題:リード獲得数は順調だったが、どのリードを優先すべきか判断基準が曖昧。営業との連携もスムーズではなく、複雑なスコアリング設定に対する不安があった。

施策とスコア設計の工夫:複雑なスコアリング設計をあえて排除し、「比較検討」段階を示す特定の行動にスコアを集中させるシンプルな設計を採用。特に「他社比較ページの閲覧」を、購買意欲が高まった決定的な瞬間(キラーコンテンツ)と定義し、この行動を取ったリードに高い点数を付与した。

成果:キラーコンテンツを閲覧したリードの商談化率は、通常のリードに比べ約8.5倍に向上。営業部門も優先順位が明確になり、連携が円滑化した。

成功のポイント:「商談化に直結する行動は何か」を徹底的に分析し、そこに絞り込んだこと。複雑さを排除し、営業現場が理解しやすく、運用しやすい設計を優先した。

引用元:SATORI

【Sells upの視点】複雑さを排除する「商談化シグナル」特定フレームワーク
多くの企業がリードスコアリング導入時に直面するのが、「設定が複雑すぎて運用できない」という問題です。Sells upでは、この問題を解決するために、単一の行動(キラーコンテンツ)だけでなく、複数の行動の組み合わせを「商談化シグナル」として捉える独自のフレームワークを推奨しています。

例えば、「導入事例Aを閲覧後、24時間以内に料金シミュレーターを利用した」といった組み合わせです。このような行動パターンは、単独の行動よりも高い購買意欲を示唆します。このシグナルを特定し、そこに高いスコアを付与することで、スコアリングをシンプルかつ効果的なものにできます。

【製造業】事例2:属性と行動の複合評価で成約率20%向上

課題:検討期間が長く、顧客の検討状況が把握しづらい。営業リソースの最適配分が難しく、感覚的な判断に頼っていた。

施策とスコア設計の工夫:属性データ(ターゲット業種、企業規模、技術部門の役職者など)と行動データ(製品仕様書のダウンロード、技術セミナー参加など)を組み合わせた複合的なスコアリングシステムを採用。CRM/SFAと連携し、過去の受注データに基づきスコアモデルの精度を継続的に改善した。

成果:リードのコンバージョン率が30%向上し、営業チームの成約率も20%増加。リソース配分の最適化が実現した。

成功のポイント:BtoB製造業特有の購買プロセスを理解し、属性と行動の両面から評価したこと。CRM・SFAとのデータ連携と、営業現場からのフィードバックを反映した継続的な見直しが成果につながった。

引用元:株式会社ジーシー

【ITサービス】事例3:インサイドセールスとの連携で休眠リスト活用(リストファインダー事例)

課題:展示会や過去のイベントで獲得した大量の名刺リスト(休眠リスト)が活用しきれていなかった。

施策とスコア設計の工夫:休眠リストに対し、定期的なお役立ちメールを配信。メールの開封・クリックや、その後のWeb閲覧履歴に対してスコアを付与した。スコアが一定の閾値を超えたリード(関心度が再燃したリード)に対し、インサイドセールスがタイミング良く架電する連携フローを構築。

成果:休眠リストからのフォローコールによるアポイント成功率が10〜15%に向上。放置されていたリストの有効活用が実現した。

成功のポイント:ナーチャリングとスコアリングを組み合わせ、リードの関心度に合わせてアプローチを最適化したこと。インサイドセールスとの明確な連携フローが機能した。

引用元:List Finder

【人材サービス】事例4:セグメント別の最適化でマーケティングROIが40%改善

課題:画一的なアプローチでは顧客からの反応が鈍化し、リードの質が伸び悩んでいた。顧客の属性やニーズに応じたきめ細やかな対応が求められていた。

施策とスコア設計の工夫:顧客を属性や課題でセグメント化。セグメントごとにスコアリング基準(重視する行動)を微調整した。さらに、スコアに応じて配信するコンテンツをパーソナライズし、アプローチを強化。

成果:マーケティングROIが40%改善し、顧客リテンション率も25%向上。より深い顧客理解と、継続的な関係構築につながった。

成功のポイント:顧客理解に基づいた緻密なセグメンテーションと、スコアに応じたアプローチの最適化。リードスコアリングを単なる序列付けではなく、ナーチャリングの仕組みとして活用した。

引用元:株式会社ジーシー

【Sells up支援実績】事例5:「低スコア」リードの再活性化に成功したWeb制作会社

課題:過去の失注顧客や、一度は検討が進んだもののスコアが低下し、長期未接触となったリードが放置されていた。新規案件の獲得機会を逃していた。

施策とスコア設計の工夫:「低スコア」または「時間経過でスコアが下がった」リードに対する再活性化(リナーチャリング)シナリオを設計。直近のWebサイト再訪や、特定のテーマに関する資料閲覧を「再検討シグナル」としてスコアリング。営業部門と連携し、シグナルが見られたリードに優先的にアプローチした。

成果:放置されていた休眠リストから3ヶ月で5件の新規受注を獲得。営業とマーケティングの連携が強化され、リード資産全体の有効活用につながった。

成功のポイント:「忘れた頃の再検討」という顧客心理を捉えたスコア設計とリナーチャリング施策。過去の履歴と最新のアクションを組み合わせ、再アプローチのタイミングを見極めたことが成果に直結した。

リードスコアリングで陥りがちな3つの失敗事例と【組織的・技術的】な原因

リードスコアリングは営業・マーケティングの効率化に重要ですが、設計や運用を誤ると形骸化や現場の不信感につながりかねません。ここでは、よくある失敗パターンを深掘りし、その原因と具体的な解決策を解説します。

失敗事例1:「完璧」を目指しすぎた複雑な設計で、運用が形骸化

課題スコアリング項目が数十個にも及び、誰も全体像を把握できない。メンテナンスも困難になり、「結局、何点ならホットなのか分からない」と営業現場が混乱。せっかくの仕組みが使われなくなってしまう。

原因:

  • 技術的要因:初期設定で全ての可能性を網羅しようとしてしまう。「複雑な設計=高精度」という誤解。

  • 組織的要因:「スモールスタート」の意識がなく、最初から完璧なシステムを構築しようとすること(完璧主義)。メンテナンス工数を軽視していること。

解決策:まずは商談化に直結する重要な5〜10項目に絞り、シンプルな設計からスタートしましょう。最初から完璧を目指すのではなく、運用しながら必要な項目を追加・修正するアプローチが重要です。

失敗事例2:マーケティング部門の独断で進め、営業からの信頼を失う

課題:マーケティング主導でスコア基準が決まり、営業側が「このスコアは現場感覚とずれている」「当てにならない」と感じてしまう。その結果、スコアリングは形だけのものになり、部門間の溝が深まる。

原因:

  • 組織的要因:導入前の「期待値調整」や「合意形成」のプロセスが欠如していること。「高スコア=即受注」といった過度な期待を営業側に持たせてしまい、実際の商談結果とのギャップからスコアへの信頼性が失墜するケース。

解決策:設計段階から営業のエースや現場責任者を必ず巻き込み、「どのようなリードをホットリードと定義するか」について徹底的に議論し、共通認識を作り上げることが不可欠です。

【Sells upの視点】失敗回避のポイントは「合意形成ワークショップ」の実施
スコアリング導入の失敗は、技術的な問題よりも組織的な合意形成の失敗に起因することがほとんどです。Sells upでは、導入初期段階で営業とマーケティング合同の「合意形成ワークショップ」の開催を推奨しています。

過去の成約案件を分析し、共通する特徴を洗い出したり、営業担当者が「今すぐ電話したい」と感じるリードの条件を言語化したりするプロセスを経ることで、営業部門はスコアリングを「自分たちのために作られた仕組み」として捉えるようになり、導入後の積極的な活用が期待できます。

失敗事例3:データ分断・精度不足によりスコアが機能しなくなる

課題: 行動スコアに偏り、決裁権のない担当者や競合リサーチ目的のアクセスまで高スコアになってしまう。あるいは、MAツールとSFA/CRMのデータが連携(統合)されておらず、顧客の全体像(過去の商談履歴など)を捉えきれずにスコアが機能しない。

原因:

  • 技術的要因:属性スコアと行動スコアのバランスが不適切。MAとSFA/CRM間のデータ連携が不十分で、最新の顧客情報がスコアに反映されない。データクレンジング(名寄せ、最新化)が不十分なこと(データ基盤の不備)。

  • 組織的要因:データ整備やメンテナンスの体制・リソースが不足していること。

解決策: 属性スコアと行動スコアのバランスを適切に設定し、特にBtoBでは「決裁権」に直結する属性情報を重視します。また、MAとSFA/CRMのデータ連携を確実に行い、常に最新のデータに基づいてスコアリングが行われる環境を整備することが重要です。

失敗しないリードスコアリングの具体的な導入手順【6つのステップ】

リードスコアリングは「導入して終わり」ではなく、目的の明確化から設計、運用、改善までの一連のサイクルが重要です。ここでは、Sells upが推奨する6つのステップで、失敗しないリードスコアリングの進め方を解説します。

Step.1:目的とゴールの設定(KGI/KPIの合意形成)

まずは、「何のためにリードスコアリングを行うのか」を明確にすることです。例えば「商談化率の向上」「営業リソースの最適化」など、KGI(最終目標)とKPI(中間指標)を具体的に設定します。この際、必ず営業部門とマーケティング部門が合同で目標を設定し、合意形成を図ることが重要です。

Step.2:ペルソナとカスタマージャーニーの再確認

理想の顧客像(ペルソナ)や、その購買プロセス(カスタマージャーニー)を可視化します。顧客がどのようなタイミングで、どのような情報に触れ、どのような行動を取ったときに商談化するのかを把握することで、スコアリング項目の精度が高まります。過去の成功事例や失注事例を分析し、具体的な顧客行動を洗い出しましょう。

Step.3:スコアリング項目の洗い出しと点数設定

属性項目と行動項目をリストアップし、各項目に点数を設定します。まずはシンプルに始めることがポイントです。

属性スコアの設定例(ターゲット企業像を100点満点とした場合)

  • 業種(ターゲット業種:+30点、非ターゲット業種:0点)

  • 企業規模(従業員100名以上:+30点、50名未満:+10点)

  • 役職(決裁者クラス:+40点、担当者クラス:+10点)

行動スコアの設定例

  • 料金ページの閲覧:+15点

  • 導入事例(特定の業界)の閲覧:+10点

  • 資料ダウンロード(サービス概要):+5点

  • ウェビナー参加(製品紹介):+20点

  • メールのクリック:+2点

【参考】業界・ビジネスモデル別のスコアリング設計の考え方

スコアリング設計は、業界やビジネスモデルによって最適解が異なります。貴社に合わせて最適化するための視点として参考にしてください。

  • BtoB SaaS(継続収益モデル):検討期間が比較的短いため、直近の行動スコアの重みを高くする傾向があります。「無料トライアル申込」や「料金シミュレーター利用」などが重要な指標となります。

  • 製造業(高単価・長期検討モデル):検討期間が長いため、属性スコアと累積的な行動スコアを重視します。「技術仕様書のダウンロード」や「専門家による技術セミナー参加」などが有効な指標です。

  • コンサルティング(専門性・信頼性重視モデル):企業としての信頼性や専門性が重視されるため、「特定の課題に関するレポート閲覧」や「キーパーソンによる講演参加」、役職などが重視されます。

Step.4:ホットリードの閾値(しきいち)設定と連携フローの設計

「何点になったら営業にパスするのか」という具体的な基準(閾値)を定義します。この基準は、営業のリソース状況も考慮し、現場が納得感を持って対応できる水準に設定することが重要です。

閾値到達後の具体的なアクションプラン(連携フロー)

スコアが閾値に到達した後、単に「営業に渡す」だけでは不十分です。機会損失を防ぎ、商談化率を最大化するために、具体的な連携フローを設計することが成功のポイントです。

  • いつ(タイミング):スコア到達後、遅くとも24時間以内にファーストアプローチを行う。(MAツールで自動通知設定)

  • 誰が(担当者):インサイドセールス担当者、または担当営業。(MAツールで自動割り振り)

  • どのような情報を持って(提供情報・文脈):リードが高スコアになった理由(どのコンテンツを見たか、どのような行動を取ったか)を明確に伝える。

  • どのようなトークで(アプローチ方法):顧客の関心事に基づいた仮説を立て、パーソナライズされたトーク(例:「〇〇の資料にご関心があるようですが、現在どのような課題をお持ちですか?」)でアプローチする。

この連携フローを明確に定義することで、マーケティングからセールスへのスムーズな引き渡しが実現します。

Step.5:MAツールへの実装とテスト運用

設計したスコアリングモデルをMAツールやCRMに実装し、実際に意図通りにスコアが加算・減算されるかテストします。テスト段階では、少人数の営業担当者に協力してもらい、実際のリードに対してアプローチしてもらうことが有効です。現場からのフィードバックを得て、必要に応じて閾値や点数を修正しましょう。

Step.6:運用開始と定期的なレビュー・改善(メンテナンス)

運用を開始したら、定期的にスコアリングモデルを改善するサイクル(PDCA)を構築します。市場や製品、顧客行動は常に変化するため、一度設定したスコアが陳腐化しないよう、継続的なメンテナンスが不可欠です。

スコアリングモデルの陳腐化を防ぐメンテナンス手法

継続的なメンテナンスがスコアリングの成否を分けます。

  • 定期的なレビュー会議の開催:四半期に一度など、定期的に営業とマーケティングが集まり、スコアリングの妥当性を検証する会議を開催します。

  • レビュー会議のアジェンダ例

    • 高スコアリードの商談化率・成約率の確認

    • 営業からのフィードバック共有(スコアと現場感覚のズレはないか)

    • 例外の分析(「スコアが高いのに商談化しなかったリード」「スコアは低いが成約したリード」の要因分析)

    • スコアリング項目・点数の見直し検討

    • 新たな「商談化シグナル」の発見と追加

スコアリング運用の質を高めるためのポイント

ここでは、スコアリングの運用を形骸化させず、成果を最大化するためのポイントを解説します。

【Sells upの視点】成功のポイントは「完璧なスコア」より「対話のきっかけ」を作ること

リードスコアリングは、あくまで営業・マーケティング活動を「データドリブン」にするための道具です。多くの企業が「完璧なスコアリングモデル」を追い求めてしまいがちですが、Sells upは異なる視点を重要視しています。

スコアはあくまで仮説。絶対的な指標ではない

スコアリングは、顧客の購買意欲や検討段階を「見える化」する有効な指標ですが、数字そのものがゴールではありません。実際には“スコア=仮説”であり、絶対的な正解ではないのです。

重要なのは「なぜこのリードは高スコアなのか」「どの行動が商談につながったのか」を営業・マーケティングの現場で対話し、仮説を検証し続ける姿勢です。

スコアを基にした営業とマーケティングの「定例会議」が成果を分ける

Sells upでは、スコアを“対話のきっかけ”として活用することを強く推奨しています。Step.6で触れたレビュー会議のように、定期的に営業とマーケティングが集まり、「このホットリードはなぜ商談に進んだのか(あるいは進まなかったのか)」「スコアの基準は現場感覚に合っているか」を検証・改善する会議体を持つことで、運用の質が大きく向上します。この対話を通じて、部門間の信頼関係が構築されます。

「低スコア」リードを放置しない再活性化(リナーチャリング)

スコアが低いまま、あるいは時間経過でスコアが下がったリードも重要な資産です。これらを放置するのではなく、適切にナーチャリング(育成)し、再び関心度を高めていく視点が重要です。

  • リナーチャリングの例:関心度や属性に応じてセグメント分けし、それぞれに最適なお役立ち資料や無料ウェビナー案内を定期的に提供する。

スコアリングは、顧客理解を深め、より適切なナーチャリング活動につなげるための戦略的な仕組みとしても活用しましょう。

リードスコアリング導入準備チェックリスト

リードスコアリングをスムーズに導入し、失敗のリスクを最小限に抑えるために、事前に確認しておくべき項目をまとめました。導入前の準備状況の把握にご活用ください。

【組織・体制面】 
□ 営業部門とマーケティング部門の協力体制は構築できているか?
□ リードスコアリング導入の目的と目標(KGI/KPI)について、関係者間で合意形成ができているか? □ 運用開始後の定期的なレビュー会議の開催について合意できているか?
□ データ管理・メンテナンスの担当者は決まっているか?

【データ・ツール面】
□ MAツールは導入済みか?(未導入の場合は選定が必要)
□ SFA/CRMとのデータ連携は可能か?
□ リードデータのクレンジング(重複排除、最新化)は完了しているか?
□ Webサイトのトラッキング設定(どのページを誰が見たか把握する仕組み)はできているか?

【設計面】
□ 理想の顧客像(ペルソナ)とカスタマージャーニーは可視化されているか?
□ スコアリングの対象となるコンテンツ(資料、ウェビナーなど)は十分に用意されているか?
□ ホットリードの定義と、その後のアクションフローについて合意できているか?

スコアリング成果の可視化と報告(ダッシュボード例)

リードスコアリングの成果を経営層や営業部門に分かりやすく報告し、取り組みの価値(ROI)を証明することも重要です。BIツールやスプレッドシートで作成できる、成果可視化ダッシュボードの項目例を紹介します。

【成果指標(KGI/KPI)】

  • 高スコアリードからの商談化率・成約率(月次推移)

  • マーケティング経由の売上貢献額

  • リードタイム(リード獲得から成約までの期間)の短縮度

【プロセス指標(改善のための指標)】

  • 高スコアリード(MQL)の発生数(月次推移)

  • スコア分布(全リードのうち、高スコア・中スコア・低スコアの割合)

  • 営業部門による高スコアリードへのフォロー率・フォロー速度

  • コンテンツ別貢献度(どのコンテンツが商談化に貢献したか)

これらの指標を可視化することで、リードスコアリングの効果を客観的に評価し、改善活動に繋げることができます。

リードスコアリングに活用できる代表的なMAツール

リードスコアリングを効率的かつ精度高く運用するには、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が不可欠です。代表的なツールを紹介します。

  • HubSpot:グローバルで高いシェアを誇る。直感的なUIと柔軟なスコアリング設計が可能。CRM機能も統合されている。

  • Marketo Engage:大規模組織や複雑なシナリオにも対応できる高機能MAツール。スコアリングの自動化・分析機能も充実。

  • SATORI:日本市場向けに最適化されており、匿名リードへのアプローチや「キラーコンテンツ」活用の設計がしやすい。

  • List Finder:中小企業にも導入しやすい価格帯とシンプルな操作性が特長。名刺管理やインサイドセールスとの連携にも強み。

ツール選定の際は、自社の営業・マーケティング体制やリード数、必要な連携機能(特にSFA/CRMとの連携)を踏まえて比較検討しましょう。

まとめ:リードスコアリングでデータドリブンな営業・マーケティング組織へ

リードスコアリングは、BtoB企業の営業・マーケティング活動を「感覚」から「データドリブン」へと移行させる仕組みです。

成功事例から学べる共通点は、最初から完璧なシステムを目指すのではなく、「現場で使えるシンプルな設計」と「営業・マーケティングの継続的な対話・連携」を重視していることです。

本記事で解説した成功のポイントは以下の通りです。

  • 商談化に直結する「商談化シグナル」を見極め、重要な5〜10項目に絞ったスモールスタート

  • 営業とマーケティングの共通言語として、双方が納得するスコア設計(合意形成)

  • 閾値到達後の具体的なアクションプラン(連携フロー)を明確に定義する

  • スコアを仮説と捉え、定期的なレビュー会議を通じて見直し・改善サイクルを回す

貴社でもリードスコアリングを活用し、データに裏打ちされた営業・マーケティング組織を目指しましょう。

具体的な設計や運用、営業部門との合意形成にお悩みの場合は、Sells upまでお気軽にご相談ください。貴社のリードの質向上と売上成長の成功体験を、共に実現していきましょう。

MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。

MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。

株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。