SATORI連携の最適解|API・CRM連携の設定手順から失敗しないプロジェクトの進め方まで解説

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国産MAツール「SATORI」は、単体でも優れたマーケティング機能を提供しますが、自社で利用しているCRM/SFAやチャットツールと連携することで、その価値は飛躍的に高まります。
しかし、いざ連携を進めようとすると、「どのような方法があるのか」「自社に最適な方法はどれか」「具体的にどう進めれば失敗しないか」といった疑問が生じるのではないでしょうか。
本記事では、「SATORI連携」を検討しているBtoB企業のマーケティング担当者に向けて、連携の全体像から具体的な設定手順、そしてプロジェクトを成功に導くための重要なポイントまでを体系的に解説します。
SATORI連携の全体像|連携可能な主要外部サービス
SATORIは、マーケティング活動と営業活動のデータをシームレスに接続するため、多様な外部サービスとの連携に対応しています。主に以下のカテゴリのツールと連携が可能です。
CRM(顧客管理システム)/ SFA(営業支援システム)
マーケティングと営業の連携において最も重要な領域です。リード情報や商談情報を連携します。
Salesforce:世界的なCRM/SFA。SATORIとの公式連携オプションが提供されています。
kintone:サイボウズ社の業務アプリ構築クラウド。こちらも公式連携オプションがあります。
HubSpot CRM:APIやiPaaS経由での連携が可能です。
その他、各種国産CRM/SFAともAPI連携が可能です。
チャットツール・コミュニケーションツール
SATORI上での特定のアクション(例:ホットリード発生)をリアルタイムで通知し、迅速な対応を可能にします。
Slack
Microsoft Teams
Chatwork
Webサイト構築・CMS
Webサイトからのフォーム入力情報や、来訪者の行動データをSATORIに連携します。
ferret One:BtoBマーケティング特化型CMS。SATORIとの連携機能があります。
WordPress:タグ設置やプラグイン連携、API連携などが可能です。
STUDIO
その他(名刺管理、広告、ウェビナーなど)
名刺管理ツール(Sansanなど):展示会などで獲得した名刺情報を連携します。
広告プラットフォーム:広告データと連携し、効果測定やターゲティング精度を向上させます。
ウェビナーツール:申込情報や参加状況を連携し、その後のナーチャリングに活用します。
SATORI連携で何が変わる?目的と得られる4つの大きなメリット
BtoBマーケティングにおける「SATORI連携」は、単なるシステム間のデータ同期ではありません。マーケティングと営業の間に存在する「見えない壁」を解消し、全社的な業務効率化と売上向上を目指すための基盤構築と言えます。
目的:マーケティングと営業の分断をなくし、一貫した顧客体験を創出する
多くの企業では、マーケティング部門がMAツール(SATORI)で獲得・育成したリード情報と、営業部門がCRM(Salesforce、kintoneなど)で管理する商談情報が分断されています。
この分断は、以下のような課題を引き起こします。
SATORIで温度感が高まったリード情報を、手動でCRMに登録する際のタイムラグや入力ミス
ホットリードへの対応遅れによる機会損失
マーケティング施策が最終的にどれだけの受注に繋がったのか(ROI)が測定できない
SATORIと外部ツールを連携する最大の目的は、これらの分断を解消し、部門を横断して一貫した顧客体験を実現すること、そしてデータに基づいた的確な意思決定を可能にすることにあります。
メリット1:リード情報の自動同期による機会損失の削減
SATORIで獲得・育成したリード情報を、営業部門が利用するCRMへ自動的に連携することで、ホットリードの取りこぼしを劇的に削減できます。手作業による転記ミスやタイムラグがなくなり、最も温度感が高いタイミングでのスピーディな営業アプローチが可能となり、商談化率の向上に直結します。
メリット2:顧客データの統合によるマーケティング施策の高度化
MAとCRM双方のデータを統合管理することで、顧客理解が飛躍的に深まります。例えば、SATORIが持つ「Webサイト上の行動履歴」と、CRMが持つ「過去の商談履歴や失注理由」を掛け合わせることで、より精度の高いセグメントやナーチャリングシナリオの設計が可能になります。これにより、顧客一人ひとりに最適化されたアプローチが実現します。
メリット3:部門間連携の円滑化と生産性の向上
マーケティング部門と営業部門が共通のデータ基盤を持つことで、情報共有や業務フローが円滑になります。「あのリードはどうなった?」「この顧客は過去にどんな接触があった?」といった確認作業や、手動によるデータ転記、重複登録といった非生産的な業務から解放され、担当者は本来注力すべきコア業務に集中できます。
メリット4:正確なデータに基づいた効果測定と迅速な意思決定
SATORI連携により、マーケティング施策(例:ウェビナーやホワイトペーパーなど)から商談、受注に至るまでの一連のプロセスがデータで可視化されます。どの施策が売上に貢献したのか、ROIを正確に測定できるようになるため、データに基づいた予算配分や施策の改善といった迅速な意思決定が可能になります。
SATORIの主な連携方法4選|特徴とメリット・デメリット
SATORIは多様な外部ツールと連携可能ですが、連携方法にはいくつかの選択肢があります。貴社の目的、技術リソース、予算に応じて最適な方法を選択することが重要です。ここでは代表的な4つの方法を解説します。
方法1:公式データ連携オプション(標準連携)
SATORIが公式に提供している「データ連携オプション」は、Salesforceやkintoneといった主要なCRM/SFAと、個別のプログラム開発なしで連携できるサービスです。
メリット:SATORI社による安定したサポートとアップデートが受けられるため、安心して利用できます。設定も比較的容易で、運用保守の負荷が低いです。
注意点:初期費用と月額費用が発生します(例:kintone連携は初期費用50万円、月額5万円など、費用は要確認)。連携できる項目やタイミングはオプションの仕様に依存するため、複雑な要件には対応できない場合があります。
方法2:APIを利用したカスタム連携(個別開発)
SATORIが提供する「REST API」を利用し、自社の要件に合わせて柔軟に連携プログラムを開発する方法です。
メリット:カスタマイズ性が非常に高く、独自の複雑な業務フローにも対応可能です。双方向でのデータ同期や、細かい条件設定も実現できます。
注意点:APIに関する専門知識を持つ開発リソース(社内エンジニアまたは外部ベンダー)が必要です。開発コストと期間がかかり、保守・メンテナンスも必要になります。
方法3:Webhookによるリアルタイム通知
Webhookは、SATORI上で特定のアクション(例:特定のフォームへの登録、スコアが一定値を超えるなど)が発生した際に、リアルタイムで外部サービスに情報を通知する仕組みです。
メリット:即時性が高く、ホットリード発生時のアラート通知などに最適です。比較的低コストで実現可能です。
注意点:基本的にはSATORIから外部への一方向の通知です。通知を受け取る側のサービス(例:Slack、CRM等)で、データを受け入れる設定や開発が必要な場合があります。
方法4:iPaaS(連携ツール)を利用した連携
Zapierや各種国産iPaaSといったデータ連携サービスを活用する方法です。iPaaSを経由することで、SATORIと多種多様なクラウドサービスをノーコード、またはローコードで連携できます。
メリット:プログラミング不要で、様々なツールと簡単に連携設定が可能です。スピーディに導入できます。
注意点:iPaaSツールの利用料が発生します。複雑な連携ロジックや大量のデータ処理には対応しきれない場合もあります。
最適なSATORI連携方法の選び方
SATORI連携の方法を選ぶ際、「何となく簡単そうだから」「コストが安いから」といった理由で決めてしまうと、後々「やりたいことが実現できない」「運用が回らない」といった問題に直面しがちです。
貴社にとって最適な連携方法を見極めるためには、「目的」「自社のリソース(特に技術力と予算)」「将来の拡張性」の3つの軸で総合的に判断する必要があります。
連携方法選定フレームワーク(比較表)
まずは、4つの方法を客観的に比較してみましょう。
連携方法 | コスト感 | 実装難易度 | 柔軟性・拡張性 | リアルタイム性 | 運用保守負荷 |
---|---|---|---|---|---|
公式データ連携 | 中〜高 | 低 | 中 | 中〜高 | 低(公式サポート有) |
APIカスタム連携 | 高 | 高 | 高 | 高(設計次第) | 高(要開発リソース) |
Webhook連携 | 低〜中 | 中 | 中〜高 | 高(即時通知) | 中 |
iPaaS連携 | 低〜中 | 低〜中 | 中(ツール依存) | 中〜高 | 中(プラットフォーム依存) |
シナリオ別・最適な連携方法の推奨ガイド
上記の比較表を踏まえ、具体的なシナリオごとに推奨される連携方法を提案します。
H4) シナリオ1:Salesforceやkintoneとのデータ同期が主目的で、社内にエンジニアが不在の場合
推奨:公式データ連携オプション
理由:最も確実かつ安全な方法です。開発不要で導入でき、運用保守の負荷も最小限に抑えられます。安定運用を優先すべきです。
(H4) シナリオ2:独自の業務フローに合わせて複雑な連携を実現したい。開発リソースは確保できる場合
推奨:APIカスタム連携
理由:柔軟性が最も高く、どのような要件にも対応可能です。初期の開発コストはかかりますが、自社のビジネスプロセスに完全に適合したシステムを構築できます。
(H4) シナリオ3:ホットリード発生を即座にSlackで営業担当者に通知したい場合
推奨:Webhook連携 (またはiPaaS連携)
理由:リアルタイム性が高く、比較的容易に実装可能です。まずは通知の仕組みを構築し、その後CRM連携を進めるという段階的なアプローチも有効です。
(H4) シナリオ4:複数のクラウドツールと手軽に連携し、まずはスモールスタートしたい場合
推奨:iPaaS連携
理由:ノーコードでスピーディに導入でき、様々なツールとの連携を試すことができます。マーケティング部門主導で進めやすい点もメリットです。
【Sells upの視点】連携方法選定で陥りがちな罠と「技術的負債」のリスク
連携方法を選ぶ際、目先のコストや実装の容易さだけで判断してしまうケースが少なくありません。しかし、これは将来的な「技術的負債」を生むリスクを伴います。
例えば、エンジニアリソース不足を理由に、本来APIで実装すべき複雑な要件を無理にiPaaSで実現しようとすると、処理が煩雑になりすぎ、エラーの原因特定が困難になったり、データ量増加に伴うパフォーマンス劣化に対応できなくなったりします。
Sells upでは、以下の視点を重要視します。
中長期的な視点:1年後、3年後のデータ量や利用ツールの変化を見据えているか?
データ整合性:エラー発生時のリカバリーや、データの正確性を担保できる設計か?
保守運用性:担当者が変わっても安定して運用できる仕組みか?
初期段階で適切な技術選定を行うことが、結果的にコストパフォーマンスを高め、持続可能なマーケティング基盤を構築するポイントとなります。
【ツール別】SATORI連携の具体的な手順と活用シナリオ
ここからは、SATORIと主要な外部ツールとの連携方法と、実際の業務でどのように活用できるのか、具体的なシナリオを交えて解説します。
CRM/SFAとの連携(Salesforce, kintoneなど)
連携の概要
SATORIとCRM/SFA(Salesforceやkintoneなど)の連携は、最も重要度が高い連携と言えます。リード獲得から商談、受注までの一連のプロセスを一元管理し、マーケティング部門から営業部門への情報引き渡しをリアルタイムかつ正確に行うことが目的です。
具体的な連携手順の例
Salesforceとの連携(公式オプション利用時)
SATORI管理画面からSalesforce連携の申込・契約手続きを行います。
Salesforce側で、SATORIとの連携に必要なAPIユーザー権限やセキュリティ設定を確認します。
SATORIの連携設定画面で、Salesforceの認証情報(ID、パスワード、セキュリティトークンなど)を入力し、接続を確立します。
連携するデータ項目(SATORIのリード情報とSalesforceのリード・取引先責任者など)のマッピング(紐付け)を設定します。
データ同期のルール(上書き、追加、重複時の処理など)を設計し、運用を開始します。
kintoneとの連携(公式オプション利用時)
SATORI管理画面からkintone連携の申込・契約手続きを行います。
kintone側で連携対象となるアプリ(リード管理、案件管理など)を準備し、APIトークンを発行します。
SATORIの連携設定画面で、kintoneのドメイン情報やAPIトークンを登録します。
連携対象アプリとのデータマッピングを設定します。
同期のタイミング(日次バッチ処理またはリアルタイム同期)を設定し、運用を開始します。
※APIを利用したカスタム連携の場合は、SATORIのREST API仕様に基づき、連携プログラムを個別に開発する必要があります。
活用シナリオ:商談化率を高めるデータ連携術
リード情報の自動付与:SATORIで計測したWeb行動データ(閲覧ページ、滞在時間など)やスコアリング情報を、CRMのリード情報に自動的に付与します。
優先順位付けされたアプローチ:営業担当者は、顧客の興味関心や過去の接触履歴を把握した上でアプローチできるため、商談化率が向上します。
施策の精度向上:営業活動の結果(商談化、受注、失注理由など)をSATORI側にフィードバックすることで、マーケティング部門は施策の評価やMQL(Marketing Qualified Lead)の基準見直しに活用できます。
【Sells upの視点】CRM連携で実現する「攻めの連携」具体例
SATORIとCRMの連携は、単にリード情報を渡す「守りの連携(業務効率化)」だけではありません。統合されたデータを活用し、新たな施策を生み出す「攻めの連携」こそが重要です。
例えば、以下のような活用が考えられます。
失注理由に応じた自動再ナーチャリング
CRM側で「失注」となった顧客の「失注理由データ(例:予算不足、時期尚早)」をSATORIに自動連携します。
SATORI側で失注理由に応じたセグメントを作成し、最適な再ナーチャリングシナリオ(例:導入事例の送付、次年度予算策定時期のリマインド)を自動で起動させます。
ABM(アカウントベースドマーケティング)の高度化
SATORIで特定したターゲット企業(アカウント)のWeb行動データをCRMに連携します。
営業担当者がその企業の興味関心に基づいた戦略的なアプローチを行うための情報基盤となります。
このように、営業活動の結果をマーケティングにフィードバックする仕組みを構築することで、組織全体の成果最大化に繋がります。
チャットツールとの連携(Slack, Microsoft Teamsなど)
連携の概要
SATORIのWebhook機能を活用し、SlackやMicrosoft Teamsなどのビジネスチャットツールと連携します。特定の条件を満たしたリードの発生やアクションを即時通知することで、迅速な初期対応を実現します。
具体的な連携手順(Webhook利用時)
チャットツール側の準備:
Slackの場合:「Incoming Webhook」アプリを追加し、通知用のチャンネルとWebhook URLを発行します。
Teamsの場合:「Incoming Webhook」コネクタを追加し、Webhook URLを発行します。
SATORI側の設定:
SATORI管理画面で「外部通知(Webhook)」を設定します。
通知のトリガーとなる条件(例:資料請求フォームへの登録、スコアが100点を超えたなど)を指定します。
Step.1で発行したWebhook URLを登録します。
テストと運用開始:テスト送信を行い、正しく通知されることを確認してから運用を開始します。
活用シナリオ:ホットリードを即時共有し営業を加速
即時通知:SATORIで「商談確度が高い」と判定されたリード情報を、担当営業チームのSlackチャンネルに即時通知します。
タイムリーなフォロー:通知を受けた営業担当者が、時間を置かずにフォローコールやメールを実施することで、競合他社に先んじたアプローチが可能になります。
Webサイト構築・CMSツールとの連携(ferret One, WordPressなど)
連携の概要
Webサイト構築ツールやCMSとSATORIを連携することで、サイト上でのフォーム入力情報や来訪者の行動データをSATORIに自動的に蓄積できます。
具体的な連携手順の例
ferret Oneとの連携
SATORI管理画面でアクセスキーとシークレットキーを取得します。
ferret Oneの「外部サービス設定」から、SATORIのキー情報を入力します。
Googleタグマネージャーなどを利用し、SATORIの計測タグ等を設定します。
ferret Oneで作成したフォームからの送信情報が、SATORIにも自動的にリードとして登録されます。
WordPressとの連携
SATORIの計測タグを設置(プラグイン利用またはテーマファイル編集)することで、行動追跡が可能です。
フォーム連携については、利用しているフォームプラグイン(例:Contact Form 7)の仕様に応じて、SATORIへデータを送信する仕組み(WebhookやAPI連携など)を構築する必要があります。
活用シナリオ:コンテンツ改善サイクルを高速化する
サイト来訪者の行動データをSATORIで分析し、どのようなコンテンツに興味関心が高いのかを把握します。
分析結果をもとに、CMSでランディングページ(LP)の訴求内容やフォームの入力項目を最適化し、データに基づいたPDCAサイクルを構築します。
失敗しないSATORI連携プロジェクトの進め方【5つのステップ】
SATORI連携は、単なるツールの設定作業ではなく、組織の業務プロセスやデータ管理のあり方を見直す重要なプロジェクトです。導入の失敗を防ぐためには、技術的な設定以前の「上流工程」を丁寧に進めることが成功のポイントとなります。
ここでは、プロジェクトを円滑に進めるための体系的な進め方を5つのステップで解説します。
Step.1:目的とゴールの設定(KGI/KPIの明確化)
最も重要なのは、「何のために連携するのか」「連携によって何を実現したいのか」という目的とゴールを明確に定義することです。
目的の具体化:単に「業務効率化」ではなく、「リード発生から営業アプローチまでの時間を〇時間以内に短縮する」「マーケティング施策のROIを可視化し、予算配分を最適化する」といった具体的なレベルまで落とし込みます。
関係者間の合意形成:マーケティング部門、営業部門、情報システム部門など、関係者全員で目的とゴールについて共通認識を持つことが不可欠です。
Step.2:要件定義とデータ設計
目的が定まったら、具体的に「どのデータを」「どのタイミングで」「どのように連携するか」を設計します。このデータ設計の精度が、連携の成否を分けます。
データ項目の洗い出し:リードの基本情報、アクション履歴、スコア、タグなど、連携が必要な項目を漏れなく洗い出します。
マッピング定義:SATORIの項目と連携先システムの項目をどのように紐付けるかを定義します。(例:SATORIの「会社名」はSalesforceの「取引先名」に対応させるなど)
データ更新ルールの設計:重複データが発生した場合の処理や、データの上書きルールを明確に定めます。
【Sells upの視点】データ連携でつまずかないための「マスターデータ管理」の考え方
SATORIとCRMを連携する際、多くの企業が直面するのが「データの不整合」です。例えば、SATORIとCRMで同じ顧客の情報が異なっていた場合、どちらが最新・正確な情報か分からなくなり、現場が混乱することがあります。
これを防ぐためには、「マスターデータ管理(MDM)」の考え方が不可欠です。どの情報(例:顧客の基本情報、商談ステータス)は、どのシステムを「マスター(原本)」とするかを明確にルール化し、それに従ってデータフローを設計する必要があります。
一般的には、顧客の基本情報や商談情報はCRMをマスターとし、Web行動履歴やスコアはMAをマスターとすることが多いですが、貴社の業務フローに合わせて最適な設計を行うことが重要です。この設計を怠ると、データの信頼性が損なわれ、活用が進まない原因となります。
Step.3:連携方法の選定と実装・テスト
要件定義とデータ設計に基づき、最適な連携方法(公式オプション、API、Webhook、iPaaS)を選定し、実装を進めます。
実装/設定:選定した方法に基づき、設定作業または開発作業を行います。
テストの実施:実装後は、必ずテストデータを用いて意図した通りにデータが連携されるか、エラーが発生しないかを確認します。例外的なシナリオ(例:データ重複時)のテストも重要です。
Step.4:運用フローの構築と社内調整
システム連携が完了しても、それが現場で活用されなければ意味がありません。連携後の新しい業務フローを設計し、社内に浸透させることが重要です。
運用フローの設計:新しい業務プロセス(例:連携されたリードへのアプローチ手順)を明確にします。また、エラー発生時の対応フローや、定期的なデータチェック体制も構築します。
責任範囲の明確化:データ管理やシステム運用の責任者を定め、部門間の役割分担を明確にします。
社内教育と協力体制:関係者への説明会やマニュアル整備を行い、全社的な理解と協力を得る体制を構築します。
Step.5:効果測定と改善サイクルの確立
連携は継続的に改善していく必要があります。Step.1で設定したKGI/KPIに基づき、定期的に効果を測定します。
効果測定:連携によって業務効率やマーケティング成果がどのように変化したかを測定します。
改善サイクルの確立:運用で見えてきた課題や新たな要望を吸い上げ、連携設定や運用フローを見直すサイクルを回します。
SATORI連携の成功事例
実際にSATORI連携を活用し、成果を上げている企業の事例を紹介します。自社でどのような効果が得られるかの参考にしてください。
事例1:BtoB SaaS企業(Salesforce連携)
課題:マーケティング(SATORI)と営業(Salesforce)でリード情報が分断。手動でのデータ移行によるタイムラグと入力ミスが多発し、機会損失が発生していた。
施策:SATORIのSalesforce連携オプションを導入。ホットリードの自動連携と、Web行動履歴のSalesforceへの付与を実現。
成果:リード発生から初回アプローチまでの時間が平均2日から1時間以内に短縮。データ入力工数が大幅に削減され、商談化率が1.4倍に向上した。
事例2:ITコンサルティング企業(Slack連携)
課題:Webサイトからの問い合わせ(SATORIフォーム)に対する初期対応が遅れがちで、競合他社に後れを取っていた。
施策:SATORIのWebhook機能を利用し、問い合わせ発生時に営業チームのSlackチャンネルへ即時通知する仕組みを構築。
成果:問い合わせから5分以内のフォローコール実施率が30%から90%以上に改善。顧客満足度の向上と、案件化スピードの加速を実現した。
【Sells upの視点】連携はスタート地点。将来を見据えたマーケティングデータ基盤の構築
SATORIと外部ツールの連携は、ゴールではなくスタート地点です。本質的な価値は、連携によって統合されたデータを活用し、組織全体で売上を最大化できる「マーケティングデータ基盤」を構築することにあります。
「点」の連携から「面」のデータ基盤へ
場当たり的にツール同士を1対1で連携させる(「点」の連携)だけでは、将来的にツールの追加や変更が発生した際に、システム構成が複雑化し、管理が困難になります。
目指すべきは、将来の拡張性を見据えた「面」のデータ基盤構築です。例えば、将来的にBIツールでの分析や、広告プラットフォームとの連携、CDP(Customer Data Platform)の導入などが発生する可能性を考慮します。
iPaaSやデータウェアハウスなどをデータ連携のハブ(中心)として位置づけ、各システムが疎結合(依存関係が少ない状態)になるようなアーキテクチャを採用することも検討します。
このようなスケーラブルな設計思想を持つことで、事業の成長や市場の変化にも柔軟に対応できる、長期的かつ本質的な解決策となります。Sells upは、貴社の現状の課題解決だけでなく、将来の成長を見据えた最適な設計を支援します。
SATORI連携に関するよくある質問(FAQ)
ここでは、SATORI連携を検討・導入する際によく寄せられる質問とその回答をまとめました。
Q. プログラミング知識がなくても連携は可能ですか?
A. はい、可能です。公式データ連携オプション(Salesforce, kintone向け)や、iPaaS(Zapierなど)を利用すれば、プログラミング知識がなくても主要ツールとの連携を実現できます。ただし、APIやWebhookを用いた独自の連携や複雑な要件を実現する場合は、一定の技術知識や開発リソースが必要となります。
Q. 連携にかかる費用や期間の目安は?
A. 選択する連携方法によって大きく異なります。
公式データ連携オプション:初期費用(数十万円程度)と月額費用(数万円程度)が発生します。期間は設定作業含め数週間〜1ヶ月程度が目安です。(例:kintone連携は初期費用50万円、月額5万円など、詳細は要確認)
APIカスタム連携:開発規模によりますが、数十万円〜数百万円の開発コストがかかる場合があります。期間は要件定義・開発・テストを含めて1ヶ月〜3ヶ月程度が目安です。
iPaaS連携:ツールの月額利用料(数千円〜数万円)が発生します。期間は数日〜1週間程度で導入できるケースが多いです。
Q. 連携する際のセキュリティは大丈夫ですか?
A. SATORIは情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO 27001認証を取得しており、セキュリティ対策に努めています。公式連携やAPI連携においても、認証情報の管理、アクセス権限の設定、通信の暗号化といったセキュリティ機能が提供されています。ただし、貴社側でも、APIキーの適切な管理や、アクセス制御に関する運用ルールを徹底することが推奨されます。
まとめ:SATORI連携でデータドリブンなマーケティング体制を構築する
SATORIと外部ツールの連携は、BtoBマーケティングの生産性向上と売上最大化を実現するための不可欠な基盤です。
本記事で解説したように、連携の目的は単なる業務効率化(守りの連携)にとどまらず、データを活用した施策の高度化(攻めの連携)にあります。
成功のポイントは、貴社の目的とリソースに合った最適な連携方法を選択すること、そして技術的な実装だけでなく、「上流工程(目的設定・データ設計・運用設計)」を丁寧に進めることです。
Sells upは、貴社の現状やビジネスゴールに合わせた最適なSATORI連携の設計・導入、そしてデータを活用した「攻めのマーケティング」への転換をご支援します。本記事が、貴社の課題解決とデータ活用推進の一助となれば幸いです。
MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。
MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。
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