ナレッジ 2024.10.13 最終更新 2026.09.06

BtoBマーケティング外注の費用相場|選び方と自走化の手順

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

BtoBマーケティングの外注とは、戦略設計・施策実行・MA運用・コンテンツ制作などのマーケティング業務を外部の専門会社に委託することです。

弊社が支援した企業では、社内にBtoBマーケティング経験者がおらず「何を外注すべきか」の判断軸が整っていないまま会社選定に入り、費用だけ消耗してしまうケースを多く見てきました。

本記事では、メリット・費用相場・失敗しない選び方・自走化までの設計手順を、80社以上の支援実績から解説します。

▼本記事で分かること

  • BtoBマーケティングを外注すべき企業と内製すべき企業の判断軸
  • 支援タイプ別の費用感と、意思決定者を納得させる費用対効果の試算方法
  • 失敗しない外注先の選び方5つのチェックポイントと、自走化を見据えた進め方

BtoBマーケティングを外注すべきか迷ったとき、整理すべき3つの視点

BtoBマーケティングの外注を検討する局面とは、自社だけで戦略設計・施策実行・成果創出を完結できないと判断した段階のことです。

整理したい観点は、

  • 多くの担当者が直面する3つの壁を把握すること
  • 外注の判断を誤ったときに何が起きるかを理解すること
  • 本記事で何が得られるかを押さえること

の3点になります。

外注は手段であって目的ではなく、意思決定の前提を整理しないまま依頼先を探してしまうと、会社選定の基準そのものがぶれてしまうからです。

多くの担当者が直面する「経験者がいない・リソース不足・施策の羅列化」という3つの壁

BtoBマーケティングの立ち上げや再設計で多くの担当者がぶつかるのは、以下の3つです。

▼こんな課題、抱えていませんか?

  • 社内にBtoBマーケティング経験者がおらず、何から着手すべきか判断できない
  • 他の業務と兼任しており、マーケティング業務に割ける時間が足りない
  • 施策は動いているが、戦略と施策がつながっておらず、商談数に結びついていない
  • MA(マーケティングオートメーション)を導入したものの、活用が止まっている
  • 代理店とはCPAの話しかできず、事業成長の議論ができる相手が欠けている

弊社の支援事例では、株式会社ブリューアス様がBtoCのマーケティング手法をそのままBtoBに転用してしまっていた状態からスタートしました。BtoBマーケティング経験者が社内に一人もいない状況での立ち上げだったため、経験者不足・リソース不足・施策の羅列化という3つの壁が同時に発生していた典型例です。

外注の判断を誤ると何が起きるか

外注の判断を誤ったときに起きるのは、費用だけが消耗して社内にノウハウが蓄積されない状況です。よく見られるのは、次の3パターンです。

1つ目は、戦略設計を外注先に丸投げし、自社の業界知識と切り離された施策が動いてしまうパターンです。2つ目は、短期のCPA改善だけを依頼範囲に入れた結果、中長期のリード獲得体制が育たないパターンになります。3つ目は、契約時にSLA(マーケと営業の引き継ぎルール)を決めないまま外注が進み、獲得したリードが営業に活用されず商談化につながらないパターンです。

本記事で整理する判断軸(メリット・費用・選び方・自走化の設計)

本記事では、外注のメリットとデメリット、内製との判断軸、支援タイプ別の費用感、失敗しない選定ポイント、自走化までを見据えた進め方の5領域を、弊社の80社以上の支援実績から整理して解説します。

想定している読者は、第二創業期や0→1フェーズの事業で、既存の営業アセットだけでは成長の打ち手が足りていない担当者です。意思決定者に稟議を通すときに使える数値観や判断軸まで踏み込んで紹介していきます。

BtoBマーケティングの外注とは?定義と内製との違い

BtoBマーケティングの外注とは、企業間取引における戦略立案・リード獲得・ナーチャリング・MA/SFA活用・コンテンツ制作などの業務を、外部の専門会社に委託する体制設計のことです。

押さえたい観点は、

  • 委託できる業務範囲の全体像を把握すること
  • BtoCマーケティングの外注との違いを理解すること
  • 内製・外注・ハイブリッドの3形態を比較すること

の3点になります。

BtoBマーケティング外注で任せられる業務の全体像

BtoBマーケティングで外注できる業務は、戦略設計から実行、運用までの広い範囲にわたります。具体的には次のとおりです。

業務領域 外注で任せられる具体業務
戦略設計 ICP(理想顧客像)設計、KGI・KPI設計、カスタマージャーニー設計
リード獲得 広告運用(Google/Meta/Microsoftなど)、LP制作、SEO記事制作、展示会運営
リード育成 メールシナリオ設計、ステップメール配信、ウェビナー企画・運営
MA/SFA活用 MA選定・導入、スコアリング設計、SFA連携、セグメント設計
営業連携 SLA(マーケと営業の引き継ぎルール)の設計、トスアップ条件の整備
分析・改善 効果測定、ダッシュボード構築、改善施策の設計

どこまでを外注し、どこから内製で持つかは、社内リソースと自走化の方針によって変わります。

BtoCマーケティングの外注との違い

BtoBマーケティングの外注がBtoCと特に異なる点は、意思決定者が複数関与し、検討期間が長く、業界知識と商材理解が欠かせないところです。

BtoBマーケティングでは購買プロセスに現場担当者・情報システム部・事業責任者・経営層など複数のレイヤーが関わり、一律のメッセージでは響きません。具体的には、BtoCで主流のペルソナ1名に向けた情緒的訴求ではなく、役割ごとに異なる検討観点を踏まえたコンテンツ設計が必要になります。

弊社の支援事例では、ブリューアス様でBtoC発想では出てこなかったMicrosoft広告での法人向けPCユーザーへの訴求など、新たなチャネルを開拓しました。BtoB特有の検索・購買行動を理解した外注先でなければ、チャネル選定の段階から精度が落ちてしまいます。

内製・外注・ハイブリッドの比較表

BtoBマーケティングの体制には、内製・外注・ハイブリッドの3形態があります。以下は意思決定の観点で整理した比較表です。

観点 内製 外注 ハイブリッド
立ち上げスピード 低い(採用・育成に時間) 高い(即戦力を確保) 中〜高い
初期コスト 高い(採用・教育) 中(契約費用)
専門知識の獲得 時間がかかる 即時獲得 即時獲得+社内展開
ノウハウ蓄積 社内に残る 契約設計次第 社内に残りやすい
スケール柔軟性 低い 高い 高い

どの形態が合うかは、事業フェーズと社内リソースの組み合わせで決まります。第二創業期や0→1フェーズで経験者がいない場合は外注もしくはハイブリッドが馴染みやすく、成熟期に入っているマーケティング組織は内製比率を高める設計が向いています。

BtoBマーケティングを外注する5つのメリット

BtoBマーケティングを外注する主要なメリットは、外部の専門知識・実行リソース・客観的視点を短期間で取り込めることです。

整理すると、

  • 専門知識の即時獲得
  • 立ち上げ期間の短縮
  • 客観的な診断
  • 施策のブレ抑制
  • MA・CRMの実装まで任せられること

という5つの利点があります。

BtoBマーケティングに必要な知識領域(戦略・広告・MA・SFA・コンテンツ・分析)が広く、内製で全領域を揃えるには採用・育成に時間とコストがかかることから、外注の相対的な優位性が生まれやすい領域です。

メリット1:専門知識・ノウハウを即座にチームとして獲得できる

外注を使う大きな利点は、マーケターひとりではカバーしきれない複数領域の専門性を、チームとして一度に取り込めることです。

具体的には、戦略設計担当・広告運用担当・MA運用担当・コンテンツ制作担当を1社の中で連携させられるため、自社で採用する場合に比べて立ち上げコストが大幅に下がります。

メリット2:戦略設計から施策実行までの立ち上げ期間を短縮できる

2つ目の利点は、立ち上げ期間の短縮です。

弊社の支援事例では、ブリューアス様で取り組み開始から約1年で、BtoBマーケティング初心者が「個別施策と戦略的視点のバランスを意識できる」レベルまで成長されました。

採用で同じ立ち上げを狙う場合、募集開始から入社までに2〜3ヶ月(専門性の高い職種では3〜4ヶ月)、入社後に売上への影響が見えるまでにさらに6〜12ヶ月かかるのが一般的な目安です。外部の支援会社であれば契約からキックオフまでが1〜2ヶ月で、施策が動き出すまでの時間を数ヶ月単位で前倒しできます。

弊社の支援事例では、SmartHR様がAccount Engagement(旧Pardot)を導入したものの社内に運用経験を持つマーケターがいない状態から、2023年7月に初期設定を開始し約1ヶ月で最初のメルマガ配信を実現しました。メール文面は初期の1〜2パターンから20〜30パターンまで拡充し、マーケティングチーム全体の成果として問い合わせ数が1年間で約10倍に成長しています。


1年間で約10倍の問い合わせを獲得。メールを1〜2から20〜30パターンへ拡充

sellsup.co.jp

SmartHRのロゴが光る壁の前で、3人が並んで談笑している写真

メリット3:客観的な視点で自社の施策・データを診断してもらえる

3つ目の利点は、社内では気づきにくい論点を外部視点で指摘してもらえることです。

自社内の議論は商品・サービスへの愛着が先行しやすく、お客さまの検討軸を客観的に捉えにくくなる傾向があります。外部の視点が入ることで、LPのメッセージや広告クリエイティブ、スコアリング条件などを見直す起点が生まれます。

メリット4:意思決定者が複数いるBtoBで、施策のブレを抑えられる

4つ目の利点は、経営層・事業責任者・マーケティング担当者・営業部門など複数の意思決定者がいる体制でも、一貫した戦略のもとで施策を動かせることです。

中立的な立場の外部パートナーが全体設計を持つことで、部門ごとの局所最適に陥る状況を抑えやすくなります。

メリット5:MA・CRMなど既存ツールの活用まで含めて任せられる

5つ目の利点は、HubSpot・Account Engagement・Adobe Marketo Engage(以下Marketo)などの既存MAツールの設定・活用・SFA連携まで含めて外注できることです。

多くの企業でMAツールが「導入したが運用が止まっている」状態に陥る要因は、ツール操作ではなく、スコアリング・シナリオ・SLAという運用設計が整っていないところにあります。

弊社の支援事例では、CLUE様でAccount Engagement(MA)とSalesforce(SFA)の選定・導入初期設定・活用まで一貫して支援し、3日連続でサービスページに訪問しているユーザーを検知してインサイドセールスに自動連携される仕組みを構築しました。

MAまで含めた外注を検討するなら、MA導入支援会社の選定基準も参考になります。

外注で見落とされがちな3つのデメリットと対処法

BtoBマーケティングの外注には、導入前に把握しておきたいデメリットも存在します。

整理すると、

  • 業界知識・商材理解の共有に時間がかかる
  • 社内にノウハウが溜まらず継続費用が発生する
  • 営業連携がとりづらくなる

という3つに集約されます。

外注先は施策の専門家であっても、委託元の商材や業界の特性を最初から理解しているわけではありません。対処法を前提に設計しておけば、これらは回避できます。

デメリット1:業界知識・商材理解の共有に時間がかかる

外注先が業界・商材を理解するまでには一定の時間が必要です。特にコンテンツ制作や広告クリエイティブは、業界用語の誤用や商品理解の浅さが成果に直結します。

弊社の支援事例では、日本テレビアート様が営業代行を試みたものの、無形商材であるデザインという自社のケイパビリティをパートナーに理解してもらえず、商談化が進まなかった経緯があります。委託先の実行力ではなく、商材理解の共有が足りないところで止まる典型的なパターンです。

対処法:初月にRFP(提案依頼書)の作成と業界レクチャーを集中させることです。弊社が支援した企業では、初期の2〜4週間で商材の価値提案・競合との違い・過去の成功施策・失注パターンを整理し、この段階で双方の認識をそろえることで、2ヶ月目以降の制作物の手戻りを減らしてきました。


広告予算10万円で毎月100件のリードを創出。新規事業のマーケティング基盤を構築

sellsup.co.jp

日テレアートのロゴが掲げられた壁の前で、3人が立ち話をしている写真

デメリット2:社内にノウハウが溜まらず、継続費用が発生する

外注への依存度が高いほど、業務の工数は減る一方で社内にノウハウが残りにくくなります。結果として、契約を切ると運用が止まるリスクが残ります。

対処法:自走化を前提とした契約設計です。具体的には、月次レポートで判断プロセスと数値根拠を可視化する、施策設計書・シナリオ設計書などの成果物を社内資産として蓄積する、担当者への定例レクチャーを契約範囲に含める、といった設計がポイントになります。

デメリット3:外注先への依存で、営業連携がとりづらくなる

マーケティング業務だけを外注すると、獲得したリードが営業部門に活用されず、商談化につながらない状況が起きます。MAを導入したのに「結局ハウスリストの上から順に電話している」状態になる要因のひとつです。

対処法:SLAの設計を外注の業務範囲に含めることです。SLAとは、マーケティングが営業に渡すリードの条件(スコア・行動・属性)と、営業が対応する期限・フィードバックルールを合意する仕組みになります。契約段階でSLA設計を外注範囲に入れておくと、リード獲得と商談化の間に切れ目が生まれにくくなります。

BtoBマーケティングを外注すべき企業・内製すべき企業の判断軸

外注と内製の判断軸は、事業フェーズ・社内リソース・MA活用状況の3軸で決まります。

押さえたいのは、

  • 外注が馴染みやすい企業の条件
  • 内製化を先に進めるべき企業の条件
  • ハイブリッド型が機能するケース

の3パターンです。外注が必ずしも正解ではなく、社内人材が育っている組織では内製化のほうがノウハウ蓄積の観点で有利な場合もあります。

弊社が外注をおすすめする目安となる3条件

弊社が支援してきた企業の傾向から、外注を選ぶとスムーズに立ち上がりやすい企業には以下の3条件があります。あくまで弊社が外注をおすすめする目安であり、統計的な基準ではありません。

  • BtoBマーケティング専任の経験者が社内にいない、もしくは1〜2名程度で手が回っていない状態
  • 第二創業期または0→1の新規事業フェーズで、既存の営業アセットだけでは打ち手が足りていない状態
  • MAツールを導入したが運用が止まっている、または活用方法が定まっていない状態

CLUE様は2019年時点でマーケティング経験者が社内に一人もいない状態で、営業はできていたがマーケ施策への投資方法が不明という、この3条件に重なる状態から支援を開始しました。

内製化を先に進めたほうがよい企業の条件

すべての企業に外注が向いているわけではありません。注意したいのは、以下の条件に該当する企業です。ここで挙げた人数はあくまで、内製で回せているケースでよく見るレンジ感です。

  • BtoBマーケティングの経験者が複数名在籍し、チームとして機能している
  • マーケティング部門の権限と予算が明確に定義されている
  • 過去のデータが整備されており、PDCAサイクルが回っている状態

こうした企業では、部分的な施策代行だけを外注し、戦略・KPI設計・主要な意思決定は内製で持つ設計のほうが、ノウハウ蓄積と意思決定スピードの両立がしやすくなります。

ハイブリッド型(戦略は社内、実行は外注)が機能するケース

戦略や意思決定は社内で持ち、実行の一部を外注するハイブリッド型は、マーケティング経験者が1〜2名在籍しているが実行リソースが足りない企業に向いています。

ハイブリッド型が機能するのは、自社の意思決定スピードを保ちつつ、専門性の高い実行業務を外部に任せることでアウトプット量が増えるためです。広告運用・コンテンツ制作・MA設定など、手を動かす業務を外注に寄せると効果が出やすくなります。

外注しても成果が出ない発注側の3条件

外注が機能しない原因は、委託先の実行力よりも発注側の準備にあることが多く報告されています。Webマーケティングの外部委託に関する調査では、失敗要因として「予算やコストの管理が不十分だった」が約53%と最も多く挙げられ、48件の外注事例を分析した調査でも、失敗の本質は施策選びではなく目標設計が曖昧なまま契約が進んでいた点にあると総括されています。

次の3条件に当てはまる場合は、会社選定より先に社内の設計を進めたほうが、同じ費用でも成果につながりやすくなります。

  • 施策の優先順位と成果基準を決められる担当者が社内にいない(丸投げになり、委託先が売りやすい施策に偏る)
  • KPIとSLA(マーケが営業に渡すリードの条件と、営業の対応期限)を決めないまま契約している(マーケの指標は良く見えるのに営業からは質が悪いと言われ、どちらが正しいかを判断する共通の物差しがない)
  • 契約書に撤退時の引き継ぎ項目がない(設計やアカウント構成が委託先にしかなく、契約終了と同時に運用が止まる)

内製へ移す時期の目安として、委託先経由のリードの半分以上が自社で立てた問いから生まれている状態を挙げる調査もあります。この状態に届いていないうちに全面内製へ切り替えると、打ち手が広告メニューの選択に寄り、成果が伸びにくくなります。

BtoBマーケティング外注の費用感と費用対効果の考え方

BtoBマーケティング外注の費用は、支援範囲・頻度・成果KPIの3変数で決まる月額費用のレンジで捉えるのが分かりやすいです。

押さえたい観点は、

  • 支援タイプ別の相場感を弊社の見積もり比較から捉えること
  • 費用を決める3つの変数を理解すること
  • 意思決定者への稟議で使える費用対効果の示し方を整理すること

の3点になります。

弊社の支援実績から見た支援タイプ別の月額目安

以下は、弊社の80社以上の支援実績と、公開されている各社の料金情報を突き合わせた費用の目安です。公的な統計値ではないため、見積もりを取る前に当たりをつける材料としてご参照ください。

支援タイプ 費用の目安 主な支援内容
戦略コンサル型 月20万〜100万円 戦略設計・KPI設計・施策企画立案
MA実装支援型 初期50万〜300万円+月10万〜50万円 MA選定・初期設定・シナリオ/スコアリング設計
運用代行型 月10万〜80万円 広告運用・メール配信・レポーティング
BPO・実働型 月30万〜150万円 戦略から実行までの一貫支援

広告運用を含む場合は、月額に加えて広告費の15〜25%程度が運用手数料として発生する形が一般的です。大規模な案件では、BPO・実働型で月300万円規模になることもあります。

同じ「戦略コンサル型」でも、月次定例のみか、週次定例+日常コミュニケーションまで含むかで費用は大きく変わります。詳細な見積もりを取る際には、具体的な業務範囲を文書で切り分けることが欠かせません。

コンサル型の費用感や会社選定の視点は、BtoBマーケティングコンサル12社の比較で詳しく整理しています。

費用を決める3つの変数

同じ支援タイプでも費用が変動する理由は、以下の3変数によるものです。

  • 支援範囲:戦略のみか、実行まで含むか、MA・SFAの運用まで含むか
  • 頻度:月次定例のみか、週次定例+日常のコミュニケーションを含むか
  • 成果KPI:リード数・商談数・受注額のどこまでを共通指標として合意するか

費用だけで比較すると、支援範囲の違いを見落として後から追加費用が発生するリスクがあります。見積もり段階で「この費用に含まれる業務・含まれない業務」を明文化することが大切です。

外注費用と、マーケターを1名採用する場合の比較

外注費用が高いかどうかは、同じ役割を社内で担う人を採用した場合と並べると判断しやすくなります。

  • 人材紹介の手数料は理論年収の30〜35%が相場で、BtoBマーケティング経験者の年収帯(担当〜リーダーで500万〜700万円、マネージャー以上で700万〜900万円)に当てはめると、採用が決まった時点で150万〜300万円超が発生する
  • 募集開始から入社までに2〜3ヶ月、専門性の高い職種では3〜4ヶ月かかる
  • 入社後、売上への影響が見えるまでにさらに6〜12ヶ月かかる(採用開始から数えると9〜15ヶ月)

年収600万円の担当者を1名採用する場合、紹介手数料と年収を合わせた初年度の負担は800万円前後になります。月50万円の外注(年600万円)と比べると、金額そのものは大きく変わらない一方で、外注は施策が動き出すまでの期間が短く、契約範囲の増減で調整できる点が違いになります。

採用が難しいのは費用だけが理由ではありません。BtoB企業のマーケティング体制に関する2025年の調査では、専任のマーケターが3人以内の企業の8割が施策を十分に実行できていないと回答し、リソースの調達手段として採用を選んだ企業は25.5%にとどまっています。障壁として採用コストの高さを挙げた企業は6割を超えました。

経営層に稟議を通すための費用対効果の示し方

外注費用を経営層に説明するときは、商談数・CPA・LTVの3指標で試算する方法がおすすめです。

具体的には、月額費用を年額に換算し、獲得見込みリード数と商談化率から創出想定商談数を算出、想定受注単価・受注率を掛け合わせた年間想定売上から、投資対効果を数値で紹介します。

試算の一例として、月額60万円(年額720万円)の外注で、月30件のリード、商談化率20%、受注率20%、受注単価300万円と置いた場合、年間で獲得可能な受注件数を試算して年間想定売上を算出できます。あくまで試算の考え方ですが、この形で紹介すると意思決定者の判断材料になりやすくなります。

外注費用の試算にMA費用も含める場合は、MAツール費用対効果の試算方法を合わせて確認すると進めやすくなります。

失敗しない外注先の選び方:5つのチェックポイント

外注先選びの判断軸は、料金ではなく「商談化までの仕組みを設計できるか」という質の観点で決まります。

押さえたい観点は、

  • 商談化フロー全体の設計力
  • 自社に近い支援実績
  • MA・SFA実装への対応可否
  • 自走化を見据えた支援体制
  • 担当者の専門性と提案姿勢

の5つです。

支援会社全般の選定観点は、マーケティング支援会社の選び方と比較で体系的に解説しています。

具体的な会社名まで並べて検討する段階であれば、BtoBのアウトソーシング会社7社の比較で各社の特徴と費用感を確認できます。

チェック1:BtoBマーケティングの商談化フロー全体を設計できるか

1つ目は、リード獲得から商談化・受注までの全体フローを設計できるかです。

施策単位の代行しかできない会社は、局所最適に陥りやすい傾向があります。全体を俯瞰してKPIとSLAを設計できる会社を選ぶことが大切です。

チェック2:自社の業種・フェーズ・課題に近い支援実績があるか

2つ目は、自社と似た業種・事業フェーズ・組織規模の支援実績を持っているかです。

たとえばCLUE様のような建設業界向けSaaSであれば、検索ボリュームが限られる業界でMeta広告・ディスプレイ広告などプッシュ型のほうが獲得効率が高いという、業界固有の知見を持っている外注先が適しています。

チェック3:MA・SFAの実装・連携まで対応できるか

3つ目は、HubSpot・Account Engagement・Marketoなど主要MAツールの実装・運用と、SFA(Salesforceなど)との連携設計まで対応できるかです。

MAの設定はツール操作だけでは不十分で、スコアリング・シナリオ・SLAという運用設計が欠かせません。認定資格の有無や実装事例の有無を確認してください。

見極め方として有効なのは、スコアの配点をどう決めているかを聞くことです。弊社では複数のクライアントの6ヶ月分のデータをロジスティック回帰で分析し、Engagement 0.45/Recency 0.385/Frequency 0.165という重みを算出したうえで、MQLを属性スコア20点以上かつ行動スコア40点以上、ホットリードをスコア0.75以上かつ直近7日以内に質の高い行動があること、という二重条件で定義しています。配点の根拠と閾値の決め方を説明できるかどうかで、営業に渡るリードの質は変わります。

チェック4:自走化・内製化を見据えた支援体制か

4つ目は、自走化を前提にした支援設計を示せるかです。

注意したいのは、依存関係を深めることを目的にした提案です。弊社が推奨するのは、丸投げではなく自走化を前提とした契約設計です

月次レポートで判断プロセスまで可視化する会社、設計書・マニュアルを成果物として残す会社、担当者への定例レクチャーを組み込む会社が、自走化を意識した支援体制を持っていると判断できます。

チェック5:担当者の専門性と、忖度なき提案ができるか

5つ目は、担当者の専門性と、耳が痛い話でも伝えてくれる提案姿勢です。

BtoBマーケティング支援では、Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialistなどの認定資格の有無が専門性の目安になります。ブリューアス様でのパートナー選定の決め手も「中長期(1年・3年・5年)の成長計画を示せること」「戦略ドリブンな思考(施策依存ではなく複数チャネルへの投資配分最適化)」「建設的なフィードバック姿勢」の3点でした。

外注を成功に導く4つのステップ

BtoBマーケティング外注を成功させる流れは、会社選定に入る前に社内の意思決定を整えるプロセスで決まります。

外注先の提案精度は、依頼側の情報整理の質に比例します。そのため、Step.1からStep.4までの順で進めることをおすすめしています。

Step.1:外注目的とKGI・KPIを言語化する

最初に、外注で達成したい成果を数値で言語化します。「新規リード月50件」「商談数月10件」「6ヶ月で受注3件」など、具体的な目標を設定することで、外注先の提案が目的に合っているかを判断できるようになります。

KGI・KPIの設計手順は、BtoBマーケティング戦略の立て方を参考にするとスムーズに進みます。

Step.2:外注業務と内製業務を切り分ける(RFPの作成)

次に、RFP(提案依頼書)を作成し、外注範囲と社内で持つ範囲を明確に切り分けます。

RFPには、事業の現状・現状課題・外注目的・期待する役割・成果KPI・予算感・スケジュール・意思決定プロセスを盛り込みます。この段階で整理しておくと、複数の外注先からの提案を同じ基準で比較できるようになります。

Step.3:2〜3社に相談し、提案内容と担当者の質を比較する

3つ目のステップは、2〜3社に相談して提案を受けることです。

比較観点は、提案の具体性・担当者の専門性・実績の再現性・コミュニケーションの相性の4点になります。1社だけで決めると比較軸が持てないため、複数社への相談を前提にしてください。

Step.4:SLAを先に合意してから契約する

ラストのステップは、契約前にSLA(マーケと営業の引き継ぎルール)を合意することです。

具体的には、マーケが営業にリードを渡す条件、営業がフォローを開始する期限、フィードバックルールを文書化しておきます。これを先に合意しておくと、獲得したリードが営業に活用されない状況を減らせます。

事例:外注を起点に自走化を実現した2社

ここでは、外注をきっかけにしてマーケティングの体制が自走できる状態へ近づいた企業の一次情報として、2社の事例を紹介します。BtoC発想からの脱却とMA活用で大型受注を実現したブリューアス様と、マーケティング経験ゼロから5年でリード獲得体制を構築したCLUE様です。

事例1:ブリューアス様:BtoC発想から脱却し、CPAを約3分の1に削減

株式会社ブリューアス様では、BtoCのマーケティング手法をそのままBtoBに転用していた状態からスタートしました。BtoBマーケティング経験者が社内におらず、何から手をつければよいかが整理できていない状況でした。

弊社では、Google広告のみの運用からMeta広告・Microsoft広告を追加し、多媒体戦略でリーチを拡大しました。BtoC発想では出てこなかったMicrosoft広告での法人向けPCユーザーへの訴求など新たなチャネルを開拓したほか、LPの構成を論理的なお客さまとのコミュニケーション視点で再設計しました。また、Account Engagement(旧Pardot)のアカウント移行時に重要なアクティビティデータの消去リスクを回避し、ステップメールが継続配信できる最低限のラインを死守しています。

結果として、広告運用の改善により取り組み前と比べてCPAを約3分の1に削減、コンテンツマーケティングの立て直しにより目標のリード件数を達成、MA運用の改善によりステップメールから継続的な受注を獲得しました。さらに、一度失注した休眠顧客への掘り起こしメール配信で大型案件を受注しています。取り組み開始から約1年で、BtoBマーケティング初心者が「個別施策と戦略的視点のバランスを意識できる」レベルまで成長された事例です。


BtoCマーケの”コピー&ペースト”から脱却。全方位施策で広告CPAを支援前の約3分の1に削減

sellsup.co.jp

本棚のある打ち合わせスペースで、2人が木製テーブルの脇に立って笑顔で並んでいる写真

事例2:CLUE様:マーケ経験ゼロから5年でリード獲得体制を構築

株式会社CLUE様では、2019年時点でマーケティング経験者が社内に一人もいない状態でした。営業はできていたがマーケ施策への投資方法が不明で、パートナー選定の決め手は「マーケティング全体の戦略を俯瞰して描ける」「施策ではなく戦略レベルで共通認識を持てる」ことでした。

弊社ではKPI設計から着手し、ターゲット属性に合致するリード数と商談獲得数の2つを指標に設定しました。建設業界は検索行動が活発でないため、Meta広告・ディスプレイ広告などプッシュ型のほうが獲得効率が高いという知見を支援の中で発見し、LPをサービス機能中心の構成からお客さまの課題解決に焦点を当てた構成に再設計しました。セミナー後のアンケートからお客さまごとの関心トピックを分析し、最適なフォローアップメールを配信する仕組みも整えています。

MAにはAccount Engagementを、SFAにはSalesforceを選定・導入初期設定・活用まで支援し、3日連続でサービスページに訪問しているユーザーを検知してインサイドセールスに自動連携される仕組みを構築しました。オウンドメディア「MOTTOBE」では方針策定・記事企画・レビューまで対応し、セミナーアンケートやメルマガとも連携した記事企画で安定したCV獲得を実現しています。5年間の支援で「営業が自分の足で獲得する状態」から「マーケティング施策でリードを獲得できる状態」へ変革し、インサイドセールスチームの立ち上げも実現した事例です。


スタートアップのマーケ立ち上げ。商談・受注を創出するリードが安定獲得できる仕組みを構築

sellsup.co.jp

打ち合わせスペースの木製テーブルを挟んで、2人が向かい合って笑顔で話している写真

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

相談してみる →

まとめ

BtoBマーケティングの外注とは、戦略設計・施策実行・MA運用・コンテンツ制作・営業連携までを外部の専門会社に委託し、立ち上げや再設計のスピードを高める体制設計のことです。本記事では、外注のメリット・デメリット、内製との判断軸、費用感と費用対効果の考え方、失敗しない選び方の5チェック、成功に導く4ステップ、弊社の支援事例までを解説しました。

大切なのは、外注を「手段」として位置付け、自走化の設計と合わせて進めることです。費用だけで判断せず、支援範囲・成果KPI・SLA・内製化の道筋まで含めて契約設計を進めると、外注費用が費用ではなく投資になります。

弊社の支援事例では、ブリューアス様でCPAを約3分の1に削減し大型受注を実現、CLUE様でマーケティング経験ゼロから5年でリード獲得体制を構築しました。これらの成果は、外注を「実行の委託」だけでなく「自走化を見据えた協業」として設計したことで生まれたものです。同じ論点で迷われている多くの担当者にとって、本記事の判断軸が意思決定の参考になれば幸いです。

よくある質問

有名なBtoB企業はどこですか?

BtoBマーケティングで広く知られる企業には、SaaS領域のSalesforce・HubSpot・Sansan・freee・SmartHR、製造業の日立製作所・三菱電機・ダイキン工業、IT領域のNTTデータ・富士通などがあります。事業規模と業界によって代表企業の顔ぶれは変わりますが、BtoBマーケティングに積極投資している企業が目立ちます。

BtoBマーケティングとは何ですか?

BtoBマーケティングとは、企業間取引における見込み客の獲得から商談化・受注・継続利用までを仕組みとして設計する活動のことです。複数の意思決定者が関与し、検討期間が長く、商材の専門性が高いという特徴があり、BtoCマーケティングとは異なる戦略設計と運用が必要になります。

マーケティング代行の費用はいくらですか?

支援タイプによって幅があり、運用代行型が月10万〜80万円、MA実装支援型が初期50万〜300万円に加えて月10万〜50万円、戦略コンサル型が月20万〜100万円、戦略から実行まで含むBPO・実働型が月30万〜150万円が目安です。広告運用を含む場合は、これに広告費の15〜25%程度の運用手数料が加わります。支援範囲と成果KPIの設定内容で費用は変動するため、見積もり時に業務範囲を明文化することをおすすめします。

BtoBとBtoCの違いは何ですか?

BtoBは企業対企業の取引で、複数の意思決定者が関与し検討期間が長く、購買単価が高い傾向にあります。一方BtoCは企業対個人で、意思決定者は基本的に1名、検討期間は短く、感情的訴求が有効になる場面が多いです。弊社の支援では、BtoC発想のLPやメール設計をそのままBtoBに転用してしまい成果が出ない、というご相談を多く受けます。役割ごとに異なる検討観点を踏まえたコンテンツ設計とナーチャリング設計が必要です。

外注すれば社内にノウハウは残らないのでしょうか?

契約設計次第で残せます。月次レポートで判断プロセスと数値根拠を可視化する、施策設計書・シナリオ設計書を社内資産として蓄積する、担当者への定例レクチャーを契約範囲に含めるなどの設計を入れておくと、ノウハウは社内に残ります。弊社が推奨するのは、丸投げではなく自走化を前提とした契約設計です。

外注して成果が出るまでどのくらいかかりますか?

支援範囲によりますが、広告運用・MA設定など即時的な施策で1〜3ヶ月、コンテンツSEO・ナーチャリング設計など中期的な施策で6〜12ヶ月が目安です。弊社が支援した企業では、ブリューアス様で約1年の取り組みで戦略と施策のバランスを意識できるレベルまで成長された例があります。短期の成果と中長期の体制づくりを分けて設計することが大切です。

外注を成功させるために、発注側で準備すべきことは何ですか?

事業の現状・課題・外注目的・期待する役割・成果KPI・予算感・スケジュール・意思決定プロセスをまとめたRFP(提案依頼書)の準備と、マーケ・営業双方の意思決定者を巻き込んだ体制づくりの2点です。この準備があると、外注先からの提案精度が大きく上がります。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず80社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善