ナレッジ 2026.04.05

複数サービスがある会社のナーチャリング設計の基本|リードの振り分け・ハウスリスト共有・シナリオ管理の考え方

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

「スコアが高いが、どのサービスに対する興味があるのかわからない」
「シナリオが増えすぎて管理できない」

複数サービスを持つ企業で、MAを運用しているチームからこういった声をよく聞きます。

スコアが高くなったリードを営業に渡したら「そのサービスは担当外」と言われた。
サービスを追加するたびにシナリオが増え、どれが動いているか把握できなくなってきた。
サービスAのリストにサービスBのメールを誤配信してしまった。

これらは、「複数サービスを前提としたナーチャリングの設計ルール」が整っていないことに起因します。

この記事では、複数サービスのナーチャリングを整理するための設計の考え方を整理します。

「サービスのターゲットが全く異なる場合」と「同じターゲット向けの補完的なサービスの場合」の2つのパターンに分けて解説します。

まず「サービスの関係性」を整理する

複数サービスのナーチャリング設計は、サービス間の関係性によって大きく設計が変わります。

サービスの関係性

ナーチャリング設計の基本方針

ターゲットが異なる別サービス (例:HubSpot支援 / Marketo支援)

原則として独立したシナリオ・スコアリング・MQL定義を持つ。ハウスリストは共有しない。リードの振り分けを最初に行う

同じターゲット向けの補完サービス (例:MA導入支援 + スコアリング設計支援)

シナリオ・ハウスリストは一部共有できます。一方のサービスを導入後に別サービスを提案するクロスセル設計が有効

段階的に使うサービス (例:スモールプラン → エンタープライズプラン)

フェーズが変わるタイミングでアップセルのシグナルを検知し、上位サービスへの誘導シナリオに切り替える

パターン①:ターゲットが異なる別サービスの場合

リードの振り分けが最初の設計

ターゲットが異なるサービスを持つ場合、リードが流入した段階でどのサービスに関心があるかを特定する仕組みが必要です。

振り分けの方法

内容と実装のポイント

フォームで選択させる

「ご興味のあるサービスをお選びください」という選択肢をフォームに設ける。最も確実な方法だが、フォームの離脱率が上がるリスクがある

流入元のコンテンツで推定する

サービスAのページから来た → サービスA向け・サービスBのウェビナーに参加した → サービスB向けと推定する。UTMパラメータと着地ページで判断する

初回メールで確認する

全員共通の最初のメールで「あなたは〇〇でお悩みですか、それとも△△でお悩みですか?」という選択肢リンクを設ける。クリックしたリンクでセグメントを更新する

サービス別にシナリオ・スコアリングを独立させる

ターゲットが異なるサービスは、シナリオとスコアリングを完全に独立させます。同じMAで管理する場合、サービスごとにフォルダ・タグ・ワークフロー(シナリオ)を分けることで混在を防げます。

MAでの分離管理の設定例(HubSpotの場合)

・リストをサービス別に命名:「ServiceA_nurturing_consideration」「ServiceB_nurturing_awareness」
・スコアリングプロパティをサービス別に作成:「ServiceA_score」「ServiceB_score」
・ワークフローをサービス別フォルダで管理:「/ServiceA/」「/ServiceB/」
・MQL条件:ServiceA_score≥50 かつ ServiceAタグあり → ServiceA営業に通知

パターン②:同じターゲット向けの補完サービスの場合

シナリオの共通部分と専用部分を分ける

同じターゲット向けの補完サービスの場合、「全サービス共通のナーチャリング」と「サービス別の専用ナーチャリング」を組み合わせる設計が効率的です。

シナリオの種類

内容

対象サービス

共通シナリオ(上流)

業界課題・BtoBマーケの全体論など、どのサービスにも関連するコンテンツを届ける。リードの関心が固まっていない段階で使う

全サービス共通

サービス別シナリオ(下流)

関心サービスが特定できた段階で、そのサービスに特化したシナリオに切り替える。コンテンツ・CTA・スコアリングをサービスに合わせて設計

サービスごとに独立

リストの共有ルールを決める

補完サービスであれば、一方のサービスのリードに別サービスの情報を届けることも選択肢になります。ただし、リードが明示的に同意していない場合の配信には注意が必要です。

共有の可否

判断基準

共有してよい場合

フォームで「関連サービスの情報提供に同意する」にチェックがある・オプトイン型のメルマガ登録リスト・自社の既存顧客(関係性がある)

共有に注意が必要な場合

特定サービスの資料DLで獲得したリード・展示会でそのサービスのブースで名刺交換したリード。別サービスの情報を送る前に、興味確認のメールを挟む

シナリオが増えすぎないための管理設計

複数サービスを展開していくとシナリオが増え続け、管理コストが高くなります。以下のようにシナリオを整理します。

シナリオ増殖を防ぐ設計原則

① 共通部分は1つのシナリオで運用し、分岐は条件分岐ルールで対応する
② サービス別の専用シナリオは「入口1本・出口1本」の最小構成から始める
③ 四半期ごとに「動いていないシナリオ」を棚卸しして停止または統合する
④ 命名規則を統一する:「[サービス名]_[フェーズ]_[シナリオ番号]」例:ServiceA_consideration_001

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない。こうした課題の多くは、戦略と施策のつながりが設計されていないことが原因です。Sells upは現状の分析と改善の優先順位整理から支援します。

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まとめ

複数サービスのナーチャリング設計は、まず「サービスの関係性(ターゲットが異なるか・補完的か・段階的か)」を整理することから始まります。

ターゲットが異なる場合はリードの振り分けを最初に設計し、シナリオとスコアリングを完全に独立させます。

補完サービスの場合は共通シナリオと専用シナリオを組み合わせ、ハウスリスト共有のルールを明確にします。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず100社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善