MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。

MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。

目次

「マーケティング部門から渡されるリードは、質が低く温度感がわからない」 
「MAツールにスコアリング機能はあるが、設定が複雑そうで何から手をつければ良いかわからない」

BtoB企業のマーケティング担当者であれば、このような悩みを抱えている方は少なくないでしょう。リード獲得数は安定しているのに商談数は増加しない、あるいはMAツールへの投資対効果(ROI)を説明できないといった課題は、多くの企業で共通しています。

これらの課題を解決する有効な手段が「スコアリング」です。適切な「スコアリングルール」を設定することで、見込み客(リード)の購買意欲を客観的に数値化し、営業とマーケティングの連携を劇的に改善できます。

本記事では、スコアリングルールの基本的な考え方から、自社に合った具体的な設計手順、そして導入後に失敗しないための運用ポイントまでを体系的に解説します。

スコアリングルールとは?見込み客の「本気度」を可視化する仕組み

BtoBマーケティングにおける「スコアリングルール」とは、見込み客(リード)の属性や行動を点数化し、購買意欲や検討度合い(本気度)を客観的に可視化するための基準です。

スコアリングの定義とMAツールにおける位置づけ

スコアリングは、MA(マーケティングオートメーション)ツールの主要な機能の一つです。MAツールを活用することで、Webサイトの閲覧、資料ダウンロード、セミナー参加といった様々な顧客接点での行動に対して、自動的かつリアルタイムに点数を付与できます。

これにより、どのリードが「今」営業アプローチに適しているかを、個人の勘や経験則ではなく、データに基づいて判断できるようになります。適切なルール設計は、営業部門へのリード引き渡し精度や商談化率を大きく左右します。

なぜBtoBマーケティングでスコアリングが重要なのか

BtoBの購買プロセスは年々複雑化し、リードが情報収集を行う期間も長期化しています。顧客は営業担当者に接触する前に、Web上で多くの情報を収集し、購買プロセスの大半を終えているとも言われます。

また、リードの温度感は常に一定ではなく、競合の動向や社内状況の変化により短期間で変動します。こうした状況下で、従来の「勘」や「経験」だけに頼ったリード判定では、最適なアプローチタイミングを逃しやすくなります。

スコアリングを導入し、リードの行動や属性をリアルタイムで数値化することで、購買意欲が高まった瞬間を的確に捉えることが可能になります。

スコアリング導入の目的とメリット・デメリット

スコアリングは何のために行うのか、その目的と導入による利点、そして注意点を整理します。

最大の目的は「営業とマーケティングの連携最適化」

スコアリングの最大の目的は、営業部門とマーケティング部門の連携を最適化し、組織全体の生産性を高めることです。

「どのような状態のリードを営業に引き渡すべきか」という基準が曖昧な場合、「マーケティングが渡すリードは質が低い」「営業がリードをフォローしない」といった部門間の対立が発生しやすくなります。スコアリングルールを設計し、リードの温度感を「数値」という共通言語で示すことで、両部門が納得感のある共通の基準を持つことが可能になります。

営業は「本当に今アプローチすべきリード」に集中でき、マーケティングは「どの施策がホットリード(購買意欲の高いリード)の創出につながったか」を客観的に評価できます。

スコアリング導入で得られる4つのメリット

スコアリングルールを導入することで、以下のようなメリットが期待できます。

メリット1:営業活動の効率化と生産性向上

営業部門は、スコアが高いリード(ホットリード)だけに優先的にアプローチできるようになります。温度感の低いリードへの無駄なアプローチ工数を削減し、限られた営業リソースを最適に配分できるため、商談化率や受注率の向上が期待できます。

メリット2:部門間の共通言語となり連携がスムーズに

スコアリングは、客観的な数値でリードの質を評価する仕組みです。これが部門間の「共通言語」となることで、不毛な対立を減らし、建設的な議論とスムーズな連携を促進します。

メリット3:データに基づいたナーチャリング(顧客育成)の最適化

リードの温度感や検討フェーズをスコアで可視化できるため、ナーチャリング施策の精度が向上します。

【Sells upの視点】中長期フォローリードへの最適なアプローチ

スコアリングは、ホットリード以外を放置するための仕組みではありません。スコアが閾値に達しない「中長期フォローリード」に対して、スコアのレベルに応じて最適なアプローチを行うことが重要です。

  • 低スコア層:まだ課題が明確でない潜在層。基礎知識の提供を中心としたメールマガジンで緩やかな接点を維持する。

  • 中スコア層:課題は認識しているが、解決策を探している準顕在層。課題解決型のホワイトペーパーや事例セミナーを案内し、関心を高める。

このようにナーチャリングシナリオを分岐させる考え方を取り入れることで、リードの取りこぼしを防ぎ、マーケティング活動全体のROIを最大化できます。

メリット4:マーケティング施策のROI(投資対効果)可視化

どの施策がホットリード創出に貢献したかを定量的に分析できます。これにより、マーケティング施策の費用対効果(ROI)を明確に示しやすくなり、経営層や上司への説明責任を果たす上でも有益です。

導入前に知っておくべきデメリットと解決策

一方で、スコアリング導入には注意すべき点も存在します。これらを理解し、事前に対策を講じることが、導入の失敗を回避するポイントです。

  • 形骸化のリスク:「設定したスコアは高いのに、実際には受注に繋がらない」という事態が発生すると、スコアリング自体が信頼されなくなり、形骸化する恐れがあります。

    • 解決策:定期的な効果検証とルールの見直し(PDCA)を徹底することが重要です。

  • 設定・運用の工数とコスト:ルールの設計やMAツールの運用には、一定の工数とコスト(人的リソース、時間)が発生します。

    • 解決策:最初から複雑なルールを作り込まず、シンプルな設計からスモールスタートすることが推奨されます。

  • 営業部門との連携体制の構築:マーケティング部門単独で進めると、現場の感覚と乖離したルールになりがちです。

    • 解決策:設計段階から営業部門を巻き込み、継続的なフィードバック体制を構築することが不可欠です。

成果に直結するスコアリングルールの設計プロセス

スコアリングルールは、「なんとなく」で設定してもうまくいきません。ここでは、BtoBマーケティングの現場で再現性の高い成果を出すための設計プロセスを、5つのステップで解説します。

Step.1:ゴール設定|何のためにスコアリングを行うのか?

最初のステップは、スコアリングを導入する「目的(ゴール)」を明確に定義することです。商談化率を高めたいのか、受注率を最大化したいのか、あるいは営業工数の最適化を目指すのか。目的によって、評価項目や点数配分が変わってきます。

例えば「商談化率向上」が主目的であれば、初期の検討段階での行動を重視した設計が有効です。一方、「受注率向上」を重視する場合は、過去の成約顧客の属性や、決裁者に近い役職者の行動をより高く評価する設計が求められます。

Step.2:ペルソナとホットリードの定義|営業部門とのすり合わせ

スコアリングルール設計で非常に重要なプロセスが、営業部門との「ホットリードの定義」のすり合わせです。マーケティング部門が考える理想の顧客像と、営業現場が感じる「受注しやすい顧客」にはギャップがあることが多いためです。

過去の受注データ分析と営業ヒアリングの重要性

具体的には、以下の2つのアプローチで定義をすり合わせます。

  1. 過去データの分析:直近1〜2年の受注顧客と失注顧客のデータを分析し、共通する属性や行動パターン(業種、企業規模、役職、受注前のWeb行動など)を洗い出します。

  2. 営業担当者へのヒアリング:現場の営業担当者(特に成果を上げている担当者)へヒアリングを実施し、「受注につながりやすい特徴」や、逆に「商談化しにくいポイント」を具体的に洗い出します。

データと現場の感覚を組み合わせることで、机上の空論ではない、実効性の高い評価基準を設計できます。

【Sells upの視点】営業部門を巻き込むための「ワークショップ」のすすめ

「営業と連携しましょう」と言葉で言うのは簡単ですが、具体的にどう進めれば良いのでしょうか。営業部門に納得してもらい、協力体制を築くためには、設計段階から巻き込む具体的な方法が必要です。Sells upでは、マーケティング部門と営業部門の主要メンバーを集めた「ホットリード定義ワークショップ」の開催を推奨しています。

ワークショップのアジェンダ例:

  1. 目的の共有:なぜスコアリングを導入するのか、目指すゴール(例:商談化率15%向上)を共有する。

  2. 現状の課題共有:マーケティング・営業それぞれが感じているリードの質や連携に関する課題を率直に出し合う。

  3. 成功体験の分析:直近の「理想的な受注案件」をいくつかピックアップし、受注に至るまでの経緯(属性・行動)を深掘りする。

  4. 失敗体験の分析:逆に「期待したが失注した案件」を分析(受注顧客と失注顧客の行動・属性データの比較分析)し、その要因を探る。

  5. ホットリードの定義案作成:成功・失敗体験を基に、「どのような状態になれば営業がアプローチすべきか」を言語化し、仮のスコアリング項目を洗い出す。

このように、共同作業を通じてルールを設計することで、営業部門の当事者意識が醸成され、導入後のスムーズな運用につながります。

Step.3:評価項目の洗い出し|属性と行動をどう評価するか?

評価項目は大きく「属性情報」と「行動情報」の2つに分類できます。(関心情報も行動情報の一部として整理します)

属性情報(静的データ):ターゲット企業か?

リードが所属する企業の基本情報や、担当者の情報です。容易には変化しない静的な情報であり、自社のターゲット像(ペルソナ)に近いほど高い点数を設定します。

  • 企業情報(Firmographics):企業規模(従業員数、売上高)、業種、業態、所在地など。

  • 個人情報(Demographics):部署、役職(決裁権の有無)、役職レベル(担当者、管理職)など。

例えば、「従業員数500名以上」「情報システム部門」「部長クラス」などが加点対象となります。

行動情報(動的データ):購買意欲は高いか?

リードがWebサイト上やイベントなどで取った具体的なアクションを評価する動的な情報です。行動の頻度や、直近のアクションかどうかも重要な指標となります。

  • Webアクティビティ:Webサイトへの訪問回数、特定のページ(料金ページ、事例ページ、製品詳細ページ)の閲覧、滞在時間など。

  • コンテンツ接触(関心情報):資料(ホワイトペーパー、サービス紹介資料)のダウンロード、導入事例の閲覧など。

  • コンバージョン行動:問い合わせフォーム送信、無料トライアル申し込み、見積もり依頼など。

  • イベント参加:セミナー・ウェビナーへの参加登録・視聴、展示会への来場など。

  • メール反応:メールマガジンの開封、メール内のリンククリックなど。

Step.4:点数配分のルール化|行動の「重み」をどう決めるか?

評価項目ごとに、行動の「重み」を考慮した点数配分を行います。購買検討プロセスにおいて、より購買(受注)に近い行動ほど高い点数を設定するのが基本です。

BtoBにおけるスコアリングルールの具体例(テンプレート)

以下は、BtoB SaaS企業(ペルソナの所属企業を想定)のスコアリングルールのサンプルです。

カテゴリ


行動・属性


点数配分例


属性情報

従業員数150名以上

+15点

従業員数50名〜149名

+10点

ターゲット業種(ITサービス業等)

+10点

役職:部長・課長クラス

+15点

役職:主任・担当者クラス

+5点
行動情報

無料トライアル申し込み

+50点

料金ページ閲覧

+20点

サービス資料ダウンロード

+15点

導入事例ページ閲覧

+10点

セミナー参加(視聴完了)

+10点

ホワイトペーパーダウンロード

+8点

Webサイト訪問(再訪)

+3点

メールリンククリック

+2点

「受注に近い行動」から逆算する考え方

点数配分に迷った場合は、Step.2で分析した過去の受注案件の行動データから逆算して設計することが有効です。

例えば、過去の受注顧客の多くが「料金ページを閲覧した後、無料トライアルに申し込んでいた」という傾向が見つかれば、これらの行動の点数を高く設定します。これにより、机上の理論ではなく実際の成果に直結したルールを構築できます。

Step.5:閾値の設定|何点から営業に渡すか?

最後に、営業部門(またはインサイドセールス)へ引き渡すホットリードの「閾値(しきい値)」を設定します。例えば「合計スコアが100点以上」となったリードを自動的に通知する、といった基準を設けます。

また、単純な合計スコアだけでなく、属性スコアと行動スコアの組み合わせで判断することも有効です。 例)属性スコアが30点以上(ターゲット企業である)かつ、行動スコアが70点以上(一定の関心がある)の場合にホットリードとする。

閾値の設定においては、営業部門の対応可能リソース(1ヶ月に対応できるリード数)を考慮することが重要です。まずは仮の閾値を設定し、運用開始後に実際の商談化率やリソースの状況を見ながら、定期的に見直しを行うことが前提となります。

スコアリングの精度を格段に高める応用設定

基本的な加点方式だけでは、「スコアは高いのに受注に繋がらない」といった事態が発生する可能性があります。ここでは、スコアリングの精度を格段に上げるための応用的な設定について解説します。

失敗しないための「減点(ネガティブ)スコアリング」活用法と具体例

購買意欲が低い、あるいは自社のターゲットではないと判断できる行動に対して、スコアを減点するルールを「ネガティブスコアリング」と呼びます。これを活用することで、見かけ上スコアが高いが実際には温度感が低いリードを判別しやすくなります。

減点ルールの具体例:

  • 購買に繋がらないページの閲覧:採用情報ページを頻繁に閲覧している(求職者の可能性が高い)場合は-50点。

  • エンゲージメントの低下:配信メールの購読を解除した場合は-30点。

  • 競合他社の行動:競合企業のドメインからのアクセスや資料請求は-100点(または即時除外)。

  • 商談後の失注:営業が商談したが、結果として失注(当面見込みなし)となった場合は、スコアをリセット(0点)する。

スコアの鮮度を保つ「有効期限」と「時間経過による減点」

BtoBでは検討期間が長期化しやすいため、過去の行動でスコアが高止まりしているが、直近では全くアクションがない、という状況が頻繁に発生します。こうしたリードは、すでに興味を失っている可能性が高いです。

スコアの鮮度を管理し、スコアのインフレーション(時間経過とともに全員のスコアが高くなってしまう現象)を防ぐために、以下の2つのアプローチが有効です。

  1. 行動スコアの有効期限:個別の行動に有効期限を設定します。

    • 例:「資料ダウンロード(+15点)」は、実行後60日間のみ有効とする。

  2. 時間経過による減点(スコア減衰):一定期間アクションがない場合に、合計スコアから減点します。

    • 例:過去90日間、Webサイト訪問もメール開封もない場合:-30点。

これにより、営業部門には常に「今、動いている」リードを引き渡すことができます。

ビジネスモデル別のスコアリング設計のポイント

扱う商材やビジネスモデルによって、重視すべき項目は異なります。汎用的なルールだけでなく、自社の特性に合わせてカスタマイズしましょう。

SaaS・サブスクリプションモデルの場合(例:無料トライアルの場合)

SaaSモデルでは、無料トライアルやデモ利用が重要な顧客接点となります。

  • 無料トライアルへの登録や、トライアル中の特定機能の利用頻度を高く評価する。

  • 導入支援コンテンツ(初期設定ガイドなど)の閲覧を評価対象に含める。

高額商材・長期検討モデルの場合(例:基幹システム、製造機器)

高額商材では、購買に関わる人数が多く、検討期間が年単位になることも珍しくありません。

  • 個人のスコアだけでなく、企業単位(アカウント単位)でのスコアを重視する(ABMの視点)。

  • 決裁権者の行動(例:役員向けセミナー参加)を特に高く評価する。

  • オフラインの接点(例:展示会での名刺交換、対面での打ち合わせ)も忘れずにスコアリング対象とする。

【Sells upが解説】スコアリング運用で失敗しないための3つのポイント

ここからは、データドリブンなBtoBマーケティング支援を行うSells up独自の知見をもとに、スコアリング運用で失敗しないための3つの重要ポイントを解説します。

ポイント1:最初から完璧を目指さず、スモールスタートで始める

スコアリング設計で最も多い失敗は、最初から複雑なルールを作り込みすぎて運用負荷が高くなり、結局現場で使われなくなることです。例えば、100以上の評価項目を設定すると管理が煩雑になり、どの行動がスコアに影響したのかが分かりにくくなります。

まずは最小限(10〜20程度)の評価項目と、シンプルな点数配分(5点、10点、20点など)でスタートし、運用しながら徐々に精度を高めていく「スモールスタート」が現実的です。

ポイント2:スコアリングは「選別」だけでなく「営業の武器」と捉える

スコアリングの目的を「アプローチするリードを選別すること」だけに限定してしまうと、その価値を十分に引き出せません。

スコアリングの結果、すなわち「なぜこのリードのスコアが高いのか」という背景にある行動履歴(どのページを何回見たか、どんな資料をダウンロードしたか)そのものが、営業担当者にとって非常に有益な情報となります。

【Sells upの視点】行動履歴は商談の仮説構築に役立つ

例えば、あるリードが「料金ページ」と「特定の業界向け導入事例」を閲覧してスコアが上昇した場合、営業担当者は「この顧客は具体的な導入を検討しており、特に同業他社の事例を参考にしているのではないか」という仮説を立てることができます。

この情報を「武器」として活用することで、営業担当者は顧客の課題を推測し、初回のアプローチから的確な提案を行うことが可能になり、受注率の向上が期待できます。スコアリングを導入する際は、この「営業の武器を提供する」という視点が重要です。

ポイント3:インサイドセールス(IS)との連携モデルを構築する

スコアリングによって抽出されたリードに対して、すぐにフィールドセールスが訪問するのではなく、インサイドセールス(IS)が架電やメールでアプローチする体制を構築することが、効率的な運用には不可欠です。

スコアリングとISの連携モデル(業務フロー例):

  1. リード抽出:スコアリングにより、閾値を超えたホットリードをMAツールが自動抽出する。

  2. ISのアプローチ:ISがホットリードに対し、架電やメールでアプローチする。その際、スコアリングの根拠となった行動履歴を確認し、仮説を立てておく。

  3. ヒアリングと見極め:BANT情報(予算、決裁権、必要性、導入時期)など、デジタルデータだけでは把握できない定性的な情報をヒアリングし、商談の確度を見極める。

  4. フィードバックとスコア反映:ヒアリング結果をSFAやMAツールに記録する。「導入時期が半年以内と判明したら追加で30点付与する」など、オフラインの情報をスコアに反映させる仕組みも有効です。

また、ISは「スコアと実際の温度感のズレ」を最初に検知する部門です。ISからのフィードバック(例:「100点以上のリードに架電したが、情報収集中で時期尚早だった」など)を、スコアリングルールの見直しに活かすフィードバックループを構築することが、運用の精度を高めるポイントとなります。

スコアリング運用開始後のPDCA|継続的な改善の進め方

スコアリングルールは、設定して終わりではありません。むしろ運用開始後の「見直し・改善(PDCA)」が成果を大きく左右します。市場環境や顧客の行動は常に変化するため、ルールもそれに応じてアップデートし続ける必要があります。

定期的に見直すべき主要KPI(スコア精度を測る指標)

運用開始から1〜3ヶ月ごとに、設定したスコアリングルールが実際の成果にどの程度貢献しているかを分析します。その際、スコアリング精度を測るために必ず確認すべき主要なKPIは以下の通りです。

  • スコア別商談化率:スコアのレンジ(例:100点以上、80〜99点、60〜79点など)ごとに、商談化率を算出します。

  • スコア別受注率:同様に、スコアのレンジごとに受注率を算出します。

  • ホットリードの商談化率・受注率:閾値を超えたリード全体での成果を確認します。

スコアと成果の相関分析と改善アクション例

上記のKPIを分析し、設定したスコアと実際の受注率などの成果の間に明確な相関関係があるか(相関分析)を確認します。「スコアが高いほど成果が出ている」状態が理想です。

もし相関が弱い場合は、以下のような課題と改善アクションが考えられます。

  • 課題例1:スコアは高いが商談化しない

    • 考えられる原因:特定の行動(例:ホワイトペーパーのダウンロード)の点数が高すぎる、時間経過による減点が設定されていない。

    • 改善アクション:該当する行動の点数を引き下げる、減点ルールを導入・強化する。

  • 課題例2:スコアは低いが受注につながったケースがある

    • 考えられる原因:受注に繋がる重要な行動(例:特定のセミナー参加)が見落とされている、または点数が低すぎる。

    • 改善アクション:該当する行動を評価項目に追加する、または点数を引き上げる。

  • 課題例3:ホットリード数が多すぎて対応できない

    • 考えられる原因:閾値が低すぎる、または点数配分が全体的に甘い(スコアのインフレ)。

    • 改善アクション:閾値を引き上げる、属性情報のスコア基準を厳格にする。

営業・ISからのフィードバックをルールに反映する仕組み

データ分析と並行して、現場(営業やインサイドセールス)からの定性的なフィードバックを収集し、ルール改善に反映する仕組みを構築することが重要です。

定例ミーティングでのヒアリング、SFA(営業支援システム)の活動履歴へのコメント入力依頼などを活用し、現場の納得感を醸成しながら運用を進めましょう。

まとめ:スコアリングは「設定」より「運用と見直し」が重要

スコアリングルールは、BtoBマーケティングにおいて見込み客の「本気度」を可視化し、営業とマーケティングの連携を最適化するための有効な手段です。

しかし、一度設定したルールが永続的に機能することはありません。重要なのは、ルールを「設定すること」ではなく、継続的に「運用し、見直すこと」です。

成功のポイントは以下の3点です。

  1. 設計段階から営業部門を巻き込み、共同でホットリードを定義すること。

  2. 加点だけでなく、減点ルールや有効期限を活用し、スコアの精度と鮮度を保つこと。

  3. 定期的な効果測定(KPI分析)と現場のフィードバックに基づき、PDCAを回し続けること。

まずはシンプルな設計からスモールスタートし、データに基づく客観的な判断基準を「育てていく」姿勢が、貴社の商談化率・受注率の向上につながるはずです。

MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。

MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。

株式会社Sells up
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。BtoBマーケティングの戦略設計/KPI設計はもちろん、リードジェネレーション施策やナーチャリング、MA/SFA活用を支援し、業界/企業規模を問わずこれまでに約80社以上の支援実績を持つ。Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。