リードスコアリングのやり方とは?営業と連携し成果を出す設計手順5ステップと運用法
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リードスコアリングとは?目的は「選別」ではなく「連携の仕組み化」
リードスコアリングとは、見込み顧客(リード)一人ひとりの「受注確度」を、属性や行動データをもとに数値化し、営業活動の優先順位付けやマーケティング施策の最適化に活用する手法です。
その本質は単なる「リードの選別」ではなく、マーケティング部門と営業部門が「質の高いリードとは何か」という共通の基準を持ち、データに基づいて最適なタイミングで最適なアプローチを行うための「連携の仕組み化」にあります。
なぜ、スコアリングがBtoBマーケティングで重要なのか
近年、BtoBの購買プロセスは複雑化・長期化し、顧客は契約前にWeb上で多くの情報収集や比較検討を行います。MA(マーケティングオートメーション)ツールの普及によりリード獲得数自体は増加傾向にある一方で、営業現場では「どのリードに、どのタイミングでアプローチすべきか」の判断が難しくなっています。
「リード数は増えたが、営業部門から質について不満が出ている」「マーケティング活動が売上にどう貢献しているか不明瞭」といった課題に対し、スコアリングは客観的な判断基準を示します。これにより、営業とマーケティングの連携を強化し、売上に直結するリード供給体制を構築するために不可欠な仕組みとなっています。
スコアリング導入で解決できる3つの経営課題
課題1:営業活動の非効率性と属人化
リードの優先順位付けが担当者の感覚に頼っていると、判断基準がバラバラになり、確度の低いリードに時間を費やしてしまうケースが散見されます。スコアリングを導入することで「今、誰にアプローチすべきか」が客観的な数値で明確になり、限られた営業リソースを確度の高い商談に集中させることができます。
課題2:マーケティングと営業の連携不足
「マーケティングが渡すリードは質が低い」「営業はせっかく獲得したリードをフォローしてくれない」といった部門間の対立は、多くの場合、リードの質に関する共通言語や基準がないことに起因します。スコアリングは、客観的な数値をもとに、両部門が同じ目線でリードを評価し、建設的な議論を行うための土台を作ります。
課題3:マーケティングROIの不明瞭さ
リード獲得施策の成果が「獲得数」だけで評価されがちですが、経営層が求めているのは「売上にどれだけ貢献したか」です。スコアリングを通じてMQL(Marketing Qualified Lead:マーケティングが創出する質の高いリード)の定義と供給体制を整えることで、マーケティング活動が商談や受注にどれだけ貢献したかを定量的に測定し、ROI(投資対効果)を明確に示すことが可能になります。
失敗しないスコアリングの設計手順【5つのステップで解説】
スコアリング導入を成功させるためには、適切な手順で設計を進めることが重要です。特に、マーケティング部門単独で進めるのではなく、営業部門を巻き込みながら進めることが成功のポイントです。
Step.1:目的の明確化と営業部門との合意形成
スコアリング設計の最初のステップは、「何のためにスコアリングを行うのか」を明確にし、関係者間で共有することです。目的を曖昧にしたまま進めると、運用開始後に営業との認識がズレたり、現場で形骸化したりする原因となります。
【重要】マーケティング部門だけで設計を進めない
よくある失敗は、マーケティング部門だけでスコアリング項目や点数を決めてしまい、後から営業部門に「このスコアは現場感覚と合わない」と指摘されるケースです。必ず設計段階から営業部門のキーパーソン(マネージャーやトップセールスなど)を巻き込み、共同プロジェクトとして進める体制を構築しましょう。
最初の合意事項は「MQL(ホットリード)の定義」の言語化
営業部門と最初に合意すべき重要な論点は、「どのような状態のリードを、MQL(ホットリード)として営業に引き渡すべきか」の定義です。点数設定の前に、まずは「理想的なリードの状態」を言語化します。
ここを曖昧にしたまま進めると、せっかくスコアリングを導入しても「このスコアのリードはまだ早い」と営業現場で使われなくなります。実際の商談事例や過去の受注データを持ち寄り、「どのような行動を取り、どのような属性を持つリードが受注につながりやすいか」を徹底的にすり合わせましょう。
【Sells upの視点】営業部門を巻き込む「スコアリング設計キックオフ」の進め方
多くの企業が「営業の視点も重要」と認識しつつも、「具体的に、いつ、誰と、何を、どのように議論すれば合意形成できるのか」という具体的なプロセスに悩んでいます。Sells upでは、スコアリング設計の初期段階で、関係者を集めた「キックオフミーティング」の実施を推奨しています。
以下は、キックオフミーティングのアジェンダ例です。
スコアリング設計キックオフミーティング アジェンダ例
参加者:マーケティング責任者・担当者、営業責任者・キーパーソン(トップセールス等)
目的:スコアリング導入の目的共有と、MQL定義に関する合意形成
現状の課題共有
マーケティング側:リード数と質の現状、引き渡しの課題
営業側:供給されるリードに対する所感(「質の低いリードばかり」という不満の具体化)
スコアリング導入の目的とゴールの提示
「属人的な判断を排除し、質の高いリード供給を仕組み化する」ことの確認
「理想の顧客像」のすり合わせ
直近1年間の受注顧客リストをレビューし、共通する属性(業種、規模、役職)を洗い出す
「受注に繋がる行動」の特定
営業キーパーソンへのヒアリング:「商談化しやすい顧客は、事前にどのような行動をとっているか?」(例:価格ページ閲覧、特定セミナーへの参加など)
MQLの暫定定義と運用ルールの合意
「〇〇の属性を持ち、△△の行動をとったリードをMQLとする」という仮説の設定
MQLを受け取った際の営業の対応ルール(例:24時間以内に初回コンタクト)
ネクストアクションとスケジュール確認
このように、最初の段階で営業部門の意見を設計プロセスに組み込むことで、スコアリングが「現場で使われる仕組み」として定着しやすくなります。
Step.2:スコアリング項目の洗い出しと分類
スコアリングは「何を基準に点数を付けるか」で精度が大きく左右されます。Step.1で議論した「理想の顧客像」と「受注に繋がる行動」に基づき、項目を抜け漏れなく洗い出しましょう。
評価の軸となる3つの分類:「属性」「行動」「活性度」
スコアリング項目は大きく3つの軸に分類できます。
属性スコア(静的データ):企業規模、業種、役職など「顧客像(Who)」に関する情報。
行動スコア(動的データ):資料請求、セミナー参加、Webサイト閲覧など「興味・関心(What/How)」の表れ。
活性度スコア(時間軸):アクションの新しさや頻度など「熱量(When)」の変化。
この3つの軸でバランスよく項目を設定するのが、質の高いスコアリング設計の基本です。
属性スコア:貴社のターゲット顧客像を定義する
属性スコアは「自社がアプローチしたい理想の顧客像」に近いほど高得点を付与します。
企業規模(従業員数、売上高、資本金など)
業種(ターゲット業界かどうか)
担当者の部署・役職(決裁権の有無、担当領域)
所在地(商圏内かどうか)
自社の成約実績を分析し、「どのような属性の顧客が受注につながりやすいか」を明確にしておくと、精度が高まります。ターゲット外の属性(競合他社、パートナー企業など)にはマイナス点を設定することも有効です。
行動スコア:顧客の「興味・関心」の度合いを測る
行動スコアは、リードがどれだけ自社に関心を持っているかを示す指標です。MAツールで取得できる行動ログをもとに設定します。検討段階に応じて分類すると整理しやすくなります。
検討度合いが高い行動(購買プロセスに直結):
お問い合わせ、個別相談会の申し込み
料金ページ、導入事例ページの閲覧
製品デモのリクエスト
情報収集・比較検討段階の行動:
製品・サービス資料のダウンロード
セミナーやウェビナーへの参加・視聴
認知段階の行動:
ノウハウ系ホワイトペーパーのダウンロード
メールマガジンの開封、クリック
ポイントは、「受注に直結しやすい行動」ほど高得点を設定し、情報収集レベルの行動は低めに抑えるメリハリをつけることです。
活性度スコア:時間の経過による「熱量」の変化を捉える
活性度スコアは、リードの「今この瞬間の熱量」を捉えるための指標です。どれほど過去に関心が高くても、直近でアクションがなければ、検討が止まっている可能性があります。
例:直近1週間以内のWebアクセス:加点対象
例:最終アクションから30日以上経過:減点対象(またはスコア減衰)
このように、行動の「鮮度」を加味することで、営業がアプローチすべき最適なタイミングを逃しにくくなります。
Step.3:各項目への点数(重み付け)設定
スコアリング項目を洗い出した後は、それぞれに「どれだけ重要か」を示す点数(重み付け)を設定します。点数の付け方ひとつで、リードの優先順位が大きく変わるため、現場の感覚とデータの両面から慎重に設計しましょう。
点数設定の基本的な考え方:「受注へのインパクト」で決める
点数設定は、「その行動や属性が、受注にどれだけインパクトを与えるか」を基準に行います。成約に直結しやすい項目には高得点を設定し、温度感が読み取りにくい行動には低めの点数に留めておきます。
受注に直結しやすい項目(例:お問い合わせ、決裁者の特定):+10~20点
参考程度の項目(例:メール開封、ブログ閲覧):+1~5点
「熱量」が下がる行動や経過時間(例:30日以上アクションなし):−10点
【Sells upの視点】「なぜその点数なのか」営業が納得する根拠の作り方
スコアリングが形骸化する大きな要因の一つは、点数設定の根拠が曖昧で、営業部門が納得できないことです。「なぜこの行動が10点で、こっちは5点なのか?」という問いに明確に答えられる必要があります。
Sells upでは、点数設定の根拠として「過去データに基づく受注率(または商談化率)の差」を用いることを推奨しています。
例えば、過去1年間のデータを分析し、以下のような事実が判明したとします。
「料金ページ」を閲覧したリードの商談化率:10%
「ブログ記事」を閲覧したリードの商談化率:2%
この場合、料金ページの閲覧はブログ記事の閲覧よりも5倍のインパクトがあると判断できます。この事実を基に、「ブログ閲覧は2点、料金ページ閲覧は10点」と設定すれば、データに基づいているため営業部門も納得しやすくなります。
データが十分に蓄積されていない場合は、営業ヒアリングに基づき、「Aの行動はBの行動の約2倍重要だ」といった相対的な重要度を定義することから始めましょう。重要なのは、点数設定の背景にあるロジックを明確にし、関係者全員が共通認識を持つことです。
まずは仮説ベースで始める現実的なアプローチ
最初から完璧な点数設定を目指す必要はありません。多くの企業では、過去の受注事例や営業担当者の声(Step.1での議論)をもとに「仮説ベース」で点数を割り振り、テスト運用しながら調整しています。
「まずは始めてみて、運用しながら改善する」というスタンスが重要です。実際に運用してみて気づきがあれば、柔軟に見直しましょう。
Step.4:ホットリードの基準値(閾値)設定
スコアリングの設計で欠かせないのが、「スコアが何点に達したら営業に引き渡すか」という基準点(閾値)の設定です。ここを明確にすることで、Step.1で定義したMQLの基準が数値化され、リード供給が仕組み化されます。
営業へ引き渡す基準点を決める
過去の受注事例を分析し、受注に至ったリードのスコア分布を参考に「この点数以上ならMQLとして営業に渡す」という基準を設定します。
基準点の設定で重要なのは、営業のリソース状況も考慮することです。高すぎる基準点を設定するとリード供給数が不足し、低すぎると質の低いリードが混在して営業の負担が増えてしまいます。営業現場が納得でき、かつ十分な数を供給できる水準をすり合わせておきましょう。
複数の閾値を設ける多段階アプローチの有効性
一律の基準だけでなく、「スコアに応じて段階的に対応を変える」設計も有効です。リードの状態は多様であり、スコアに応じた最適なアプローチは異なります。
80点以上:即時、営業担当者が架電・商談設定
60~79点:インサイドセールスが架電し、追加ヒアリング(BANT情報など)を実施
40~59点:マーケティング部門がナーチャリング(事例送付、セミナー案内など)を継続
39点以下:長期的な情報提供を継続
Step.5:MAツールへの実装とテスト運用
設計したスコアリングロジックは、MAツールに実装して初めて現場で機能します。ツールの仕様や制約も踏まえ、設計通りに運用できるかを確認しましょう。
設計したロジックをツールに反映させる
各項目と点数、加点・減点のルールをMAツールの管理画面に登録します。ツールによっては、スコアの有効期限設定(例:Webアクセスによる加点は30日間のみ有効)や、複数条件の組み合わせ設定が可能です。自社の運用ルールに合った形で実装してください。
少数のリードで意図通りに機能するか確認する
いきなり全リードに適用するのではなく、まずは過去の受注リードや直近の新規リードなど、少数のサンプルでテスト運用を行います。
意図した行動でスコアが加算されているか?
減点ルールは正しく機能しているか?
閾値を超えた際に、営業への通知は適切なタイミングで届くか?
これらを現場の担当者と一緒に確認し、必要に応じて微調整を行った上で本格運用を開始します。
スコアリングの精度を継続的に高める運用のポイント
スコアリングは一度設計すれば終わりではありません。市場や顧客の変化、営業プロセスの変更に合わせて、常に見直しと改善を重ねることが重要です。ここでは、スコアリングの形骸化を防ぎ、継続的に精度を高めていくための運用体制について解説します。
スコアリングは「設定して終わり」ではない
設定したスコアが本当に正しいのかを検証し、継続的に精度を改善していくための仕組み(PDCAサイクル)が不可欠です。
形骸化を防ぐ「運用ルール」の設計
「PDCAを回すことが重要」と理解していても、多忙な日常業務の中でスコアリングの振り返りが後回しにされ、形骸化してしまうケースは少なくありません。これを防ぐためには、具体的な「運用ルール」を定め、業務プロセスに組み込む必要があります。
月1回の「マーケ・セールス定例会」を制度化する
最低でも月1回、営業とマーケティング合同で振り返りの場を設けます。定例化することで、形骸化を防ぎ、継続的な改善サイクルが回り始めます。単なる状況報告で終わらせないために、レビューする項目(アジェンダ)を事前に定めておくことが有効です。
定例会のアジェンダ例:
MQLの量と質の確認:当月引き渡したMQL数と、その後の商談化率・受注率。
スコアと実績の乖離分析:
高スコアにも関わらず失注したリードの要因分析(スコアの内訳と営業フィードバックの確認)。
低スコアから受注に至ったリードの分析(スコアリングモデルに見逃しがないか)。
スコア分布の確認:インフレーション(高騰)やデフレーション(下落)が起きていないか。
スコアリングモデルの調整提案:分析結果に基づき、項目や点数、閾値の調整を議論・決定する。
モニタリングすべき3つの重要指標
定例会で議論の土台となる、以下の3つの指標を定期的にモニタリングします。
スコア上位リードの受注率:スコアが高いリードほど、受注率が高くなっているか。
MQLの商談化率・受注率:スコアリングによって引き渡したリードが、どれだけ成果に繋がっているか。
スコア分布の健全性:特定のスコア帯にリードが偏りすぎていないか。
営業からの定性フィードバックを仕組み化する
スコアリングの精度向上には、数値データだけでなく、営業担当者からの定性的なフィードバックが不可欠です。しかし、口頭やチャットでの断片的なフィードバックでは、改善に活かしきれません。
SFA/CRMを活用したフィードバックループの構築
SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)の商談管理画面に、フィードバック項目を設けることを推奨します。
フィードバック項目の例:
「スコアと実際の温度感の乖離」(選択式:一致、やや高い、やや低い、不一致)
「受注・失注の決定打となった要因」(定性コメント)
例えば、「スコアは80点だったが、実際は情報収集中だった」「スコアは50点だったが、決裁者同席で確度が高かった」といった具体的なフィードバックを蓄積します。
【Sells upの視点】フィードバックは「営業の負担を最小限に」設計する
営業部門からのフィードバックは任意では集まりにくいものです。定着させるポイントは、入力の負担を最小限に抑えることと、業務プロセスの一部として組み込むことです。
自由記述欄ばかりでは入力されないため、選択式やチェックボックスを活用し、数秒で入力完了できる設計を心がけましょう。例えば、「フィードバックの入力をもってMQLの受付完了(または商談終了)とする」といったルール設定も考えられます。また、フィードバックがどのようにスコアリング改善に活かされたかを営業部門に共有することも、協力を得るためには重要です。
よくある失敗例とその具体的な解決策
失敗例1:スコアのインフレーションが起きる
項目を増やしすぎたり、加点ルールが甘すぎたりすると、リード全体のスコアが時間とともに高騰(インフレーション)してしまい、優先順位付けができなくなります。
解決策:定期的にスコア分布を見直し、基準点(閾値)を調整する。または、活性度スコアによる減点ルール(例:30日アクションがなければマイナス10点)を厳格に適用する。
失敗例2:完璧を求めすぎて導入が進まない
「全ての顧客行動を網羅しなければ」「統計的に有意なデータが揃わないと始められない」と完璧を求めすぎてしまい、スコアリング導入自体が遅れてしまうケースがあります。
解決策:まずは主要な項目(10〜15個程度)に絞り、仮説ベースでスタートする。運用しながらデータを蓄積し、段階的に改善していくアプローチが現実的です。
失敗例3:マーケティング部門だけで設計し、営業が使わない
営業現場の感覚や意見を取り入れずにスコアリングを設計してしまうと、「実態に合わない」「根拠のわからない点数だ」と判断され、結局使われなくなってしまいます。
解決策:設計の初期段階(Step.1)から営業部門を巻き込み、MQLの定義や点数設定の根拠について徹底的に議論し、合意形成を得る。運用開始後も、定期的なフィードバックの仕組みを構築する。
【Sells upの視点】スコアを「顧客理解」と「受注率向上」に繋げる活用法
スコアリングは、単なる「リード評価」のツールではありません。正しく活用することで、顧客理解を深め、商談の質と受注率を向上させる「武器」となります。ここからは、Sells upがBtoBマーケティングの現場で重視している、成果に直結するスコアの活用法について解説します。
スコアリングを「リード評価」から「顧客理解」へ
多くのマーケターは、合計スコアを算出し、それを営業に渡すだけで満足してしまっています。しかし、スコアリングのデータが価値を発揮するのは、その数値を「顧客理解」に繋げたときです。スコアは、顧客が今どのような課題を持ち、何を求めているかを示すシグナルです。この視点を持つことで、スコアリングはマーケティングと営業の連携を強化する「共通言語」として機能します。
合計点だけでなく「スコアの内訳」こそが営業の武器になる
本当に価値があるのは「なぜそのスコアになったのか」という内訳(行動履歴)です。スコアの内訳を営業に共有することが、商談の質を劇的に向上させます。
スコアの内訳から読み解く顧客心理とアプローチ例
たとえば、同じ「合計80点」のリードでも、その内訳によって顧客の状況は異なります。内訳を理解することで、営業はアプローチを最適化できます。
パターン1:属性スコアが高く(60点)、行動スコアが低い(20点)
顧客心理:ターゲット企業の決裁者だが、まだ情報収集段階で具体的な検討には至っていない。
アプローチ例:まずは関係構築を優先し、業界トレンドや役立つ資料を提供。製品説明を前面に出すのは避ける。
パターン2:属性スコアは低いが(30点)、行動スコアが突出して高い(50点)
顧客心理:担当者レベルで、今まさに具体的な製品比較検討フェーズに入っており、強い課題意識を持っている。
アプローチ例:競合比較情報や機能詳細を提供。スピード感を持った対応と具体的な提案が求められる。
このように、スコアの内訳を理解することで、営業は初動のアプローチや提案内容を顧客に合わせて最適化でき、結果として成約率が向上します。
スコアの内訳を活用した営業トークシナリオ例
営業にリードを引き渡す際、「合計85点です」と伝えるだけでは不十分です。Sells upでは、以下のように具体的なインサイトを添えて引き渡すことを推奨しています。
引き渡し時のコミュニケーション例:「この方は、3日前に価格ページを閲覧し、昨日A業界の導入事例をダウンロードしています。A業界特有の課題解決に関心が高い可能性があります。初回のアプローチでは、A業界での活用事例を交えながら、コストメリットについてご案内するのが有効かもしれません。」
このように、スコアの内訳(行動履歴)に基づいた具体的な示唆を提供することで、営業は仮説を持って商談に臨むことができ、顧客との対話の質が格段に高まります。
スコアの「変動」を捉えたタイムリーなアプローチ
スコアリングの強みは、「点数の推移」をリアルタイムで把握できることです。スコアの急上昇や停滞といった変動をトリガーにしたアプローチ設計が、成果を大きく左右します。
シナリオ1:スコアが急上昇したリードへのタイムリーなフォロー
短期間でスコアが大きく伸びたリードは、検討意欲が急速に高まっている「今アプローチすべき」リードです。MAツールのアラート機能を活用し、営業やインサイドセールスが迅速にアクションできる体制(例:検知後24時間以内に架電)を整えましょう。タイムリーなフォローが、競合との差別化と受注率アップに直結します。
シナリオ2:スコアが停滞しているリードへの再アプローチ
一方、過去にアクションがあったものの、直近でスコアが上昇していない(停滞している)リードは、検討が止まっている可能性があります。こうしたリードには、マーケティング部門から「検討段階別の事例集」や「業界別のROI解説」など、関心を再び高めるコンテンツを送付します。これにより、再度スコアを動かし、営業がアプローチするきっかけを作り出せます。
失注・ペンディングリードのスコア分析による示唆
スコアリングは、受注確度の高いリードを見つけるためだけのものではありません。「失注」や「ペンディング(保留)」となったリードのデータを分析することで、自社のビジネスプロセスの課題を発見できます。
高スコアだったにも関わらず失注したリード: スコアリングモデル自体に課題はなかったか?(例:考慮すべき項目が抜けていた)。あるいは、営業プロセスに課題はなかったか?(例:アプローチが遅れた、提案内容が期待とズレていた)。
低スコアのままペンディングになっているリード: ナーチャリング施策に課題はないか?(例:提供しているコンテンツが顧客の関心と合っていない)。
このように、スコアリングの結果を「改善のサイクル」に繋げる視点を持つことで、マーケティング活動全体の精度を高めることができます。
まとめ
リードスコアリングは、MAツールの導入やリード獲得数の増加だけでは解決できない、「営業とマーケティングの連携強化」「質の高いMQLの安定供給」「マーケティングROIの可視化」を実現するための重要な仕組みです。
成功のポイントは、以下の点に集約されます。
設計の初期段階から営業部門を巻き込み、キックオフミーティング等を通じて徹底した合意形成を行うこと。
点数設定の根拠(過去データや受注率の差など)を明確にし、まずは仮説ベースで開始すること。
形骸化を防ぐため、月1回の定例会議とSFA/CRMを活用したフィードバックの運用ルールを定めること。
スコアの合計点だけでなく「内訳」を顧客理解と営業アプローチの質の向上に活かすこと。
属人的な判断からの脱却を目指す現場こそ、スコアリングを導入し、データと現場の声をもとにPDCAを回してください。スコアリングを「営業とマーケティングの共通言語」として定着させることで、商談の質と受注率の向上、ひいては事業成長の加速へと繋がります。
MAツールの導入・活用の相談はSells upへ。
MAツールの導入や、導入後の成果最大化に課題をお持ちでしたら、ぜひSells upにご相談ください。50社以上の導入・活用を支援してきた担当者が貴社の状況・目標に向き合い、最適なツールの導入プラン / 統計知識を用いた活用プラン描き、戦略策定から実装 / 実行 / 効果測定までをご支援いたします。
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