ナレッジ 2025.09.28 最終更新 2026.09.13

MAツールの使い方|機能・シナリオ設計・スコアリングと営業連携の手順

この記事を書いた人 武田 大 株式会社Sells up 代表取締役

MAツール(マーケティングオートメーション)は、見込み顧客の情報を管理し、メール配信や行動データの蓄積、営業への連携などを通じて、マーケティング活動を効率化するためのツールです。

弊社が支援してきた企業でも、「スコアリングは設定したものの営業で活用されていない」「リードナーチャリングのシナリオをどう設計すればよいか分からず、運用が止まっている」といったケースがあります。

本記事では、80社以上のBtoBマーケティング支援を通じて得た知見をもとに、MAツールの基本的な使い方から、シナリオ設計、スコアリング、営業への引き渡しルールまでを具体的に解説します。

MAツールとは何か|3つの役割とデマンドジェネレーションの全体像

MAツール(マーケティングオートメーション)は、BtoBマーケティングにおける見込み顧客の獲得・育成・選別を支援し、マーケティングと営業の活動をつなぐためのツールです。

代表的な役割は、次の3つです。

  • リードジェネレーション(獲得)
  • リードナーチャリング(育成)
  • リードクオリフィケーション(選別)

Webサイトのフォームやランディングページ、ウェビナーなどから得たリード情報を蓄積し、その後のメールへの反応やWebサイトの閲覧履歴などを確認しながら、継続的な情報提供や営業への連携に活用します。

BtoBでは、初回の接点から商談まで一定の期間を要するケースもあるため、すべての見込み顧客を人手だけで継続的に管理するのは負担が大きくなります。

MAツールを利用すると、たとえば「資料をダウンロードした人へ関連情報を送る」「特定のページを閲覧した人を営業へ通知する」といった処理を自動化できます。

MAツールの位置づけや、BtoBマーケティング全体の設計については、BtoBにおけるMAの全体像と導入設計でも詳しく解説しています。

MAツールが解決しやすい3つの業務課題

MAツールは、特に次のような課題の改善に活用できます。

  • リード情報が複数の場所に分かれている:展示会、Webフォーム、ウェビナーなどで取得した見込み顧客の情報をまとめて管理しやすくなります。
  • 継続的なフォローに手が回っていない:条件に応じたメール配信やステップメールを設定し、継続的な情報提供を行いやすくなります。
  • 営業へ連携するタイミングを判断しにくい:Webサイトの閲覧や資料ダウンロードなどの行動を記録し、営業が確認する対象を絞り込む材料として活用できます。

重要なのは、MAツールを導入すれば自動的に商談候補が見つかるわけではないことです。

どの行動を確認するのか、どの条件で営業へ連携するのかをあらかじめ設計しておく必要があります。

MA・SFA・CRMの役割の違いと連携の全体像

MA、SFA、CRMは、それぞれ役割が異なります。

ツール 主な役割 主な機能の例
MA 見込み顧客へのマーケティング活動を管理・自動化する リード管理、メール配信、Web行動の記録、スコアリング、シナリオ設計
SFA 営業活動や商談の進捗を管理する 商談管理、営業活動の記録、案件管理、売上予測
CRM 顧客情報や顧客との関係を管理する 顧客情報管理、対応履歴、既存顧客管理、顧客データの一元化

実際には、これらの機能を一つの製品が複数備えている場合もあるため、MA・SFA・CRMを完全に別々のシステムとして考える必要はありません。

重要なのは、マーケティングで得た情報を営業が利用でき、営業活動の結果を再びマーケティングへ戻せる状態をつくることです。

たとえば、MA上で資料ダウンロードやWebサイトの閲覧履歴を確認できるようにし、その情報をSFAやCRMへ連携すれば、営業は「この見込み顧客が何に関心を持っているのか」を確認したうえでアプローチできます。

反対に、営業側の商談化・失注・受注といった結果をMAへ戻せるようにしておくと、スコアリングやシナリオの見直しにも活用できます。

MAツールでできること|5つの活用領域

MAツールでは、見込み顧客の獲得から情報提供、営業への連携、施策の効果測定まで、BtoBマーケティングの複数の業務をまとめて管理・自動化できます。

主な活用領域は、次の5つです。

  • 見込み顧客の獲得
  • 見込み顧客への継続的な情報提供
  • 商談候補となるリードの選別
  • スコアリングによる優先度の整理
  • マーケティング施策の効果測定

これらは、TOFU(認知・関心)、MOFU(検討)、BOFU(意思決定)といった購買プロセスの考え方と組み合わせて整理できます。

ただし、実際のBtoBの検討プロセスは必ずしも一直線に進むわけではありません。各フェーズは、どのような情報を届けるか、どのタイミングで営業へ連携するかを考えるための目安として利用します。

リードジェネレーション|見込み顧客の獲得

リードジェネレーションは、Webフォーム、ランディングページ、ウェビナー申込、展示会などを通じて、見込み顧客の情報を取得するプロセスです。

MAツールでは、たとえば資料ダウンロード用のフォームを作成し、送信された会社名・氏名・メールアドレスなどを自動的にデータベースへ登録できます。

展示会やウェビナーなど、MAツール外で取得したリードも取り込み、同じ顧客情報として管理できます。

この段階で重要なのは、単にリード数を増やすことではなく、どのチャネルから、どのような企業・担当者が流入したのかを後から確認できる状態にすることです。

リードナーチャリング|継続的な情報提供

リードナーチャリングは、獲得した見込み顧客に継続的な情報提供を行い、関心や検討状況に応じて次の接点をつくる取り組みです。

MAツールでは、たとえば、

  • 資料をダウンロードした人へ関連情報を送る
  • ウェビナー参加者へ後日事例記事を案内する
  • 特定のテーマに関するページを閲覧した人へ関連コンテンツを配信する

といったシナリオを設定できます。

ページ閲覧履歴やメールのクリックなどの行動データを条件にすることで、すべてのリードへ同じメールを送るのではなく、関心に応じた情報提供を行いやすくなります。

弊社が支援してきた企業でも、リードを獲得した後のフォローが設計されておらず、展示会やウェビナーで集めたリストがそのままになっているケースがあります。

まずは、資料ダウンロード後やウェビナー参加後など、接点が明確なリードからフォローを設計すると進めやすいでしょう。

ナーチャリングの具体的な設計方法については、リードナーチャリングの設計手順と事例もあわせてご覧ください。

リードクオリフィケーション|営業が確認する対象を絞る

リードクオリフィケーションは、保有しているリードの中から、営業が優先して確認する対象を絞り込むプロセスです。

たとえば、

  • ターゲットとなる業種・企業規模に該当している
  • 資料をダウンロードしている
  • 導入事例や料金ページを閲覧している
  • ウェビナーへ参加している

など、属性情報と行動情報を組み合わせて判断します。

MAツールでは、こうした条件に該当したリードを自動的にリスト化したり、営業へ通知したりできます。

ここで重要なのは、MAツールだけで「商談になる人」を判定しようとしないことです。

条件に該当したリードは、あくまで営業が確認する優先度をつけるための候補として扱い、実際の検討状況は営業との対話で確認します。

スコアリングによる優先度の整理

スコアリングは、見込み顧客の属性や行動に点数を付け、営業が確認する優先順位を整理する方法です。

たとえば、

  • ターゲット業種に該当する
  • 資料をダウンロードした
  • 導入事例ページを閲覧した
  • メール内のリンクをクリックした

といった条件ごとにスコアを設定します。

一定のスコアを超えたリードを営業へ通知することで、大量のリードを一件ずつ確認する負担を減らせます。

ただし、スコアが高いことと、購買意欲が高いことは同じではありません。

スコアはあくまで、属性や行動にもとづいて営業が確認する対象を絞り込むための指標です。

また、最初から複雑なスコアリングを設計する必要はありません。保有リードが少ない場合や営業が全件確認できる場合は、特定の行動を条件に通知する方法から始めても問題ありません。

スコアリングの具体的な設計方法は、後半の「スコアリング設計の具体的な手順と数値基準」で詳しく解説します。

マーケティング施策の効果測定

MAツールでは、メールの開封・クリック、フォーム送信、Webサイトの閲覧、シナリオ内の行動などを記録できます。

そのため、

  • メールのクリック率
  • コンバージョン数
  • 資料ダウンロード数
  • シナリオごとの到達状況
  • 営業へ連携したリード数

などを確認しながら、施策の改善に活用できます。

SFAやCRMと連携している場合は、さらに商談化・受注まで追跡し、マーケティング施策がその後の営業活動にどうつながったのかを確認しやすくなります。

開封率やクリック率などの活動指標だけでなく、商談化率や受注率なども合わせて確認することで、リード獲得・育成・営業連携のどこに改善余地があるのかを判断しやすくなります。

MAツールの主な機能8選|課題解決との対応で理解する

MAツールには、リード情報の管理、メール配信、行動データの記録、営業への連携など、BtoBマーケティングを支援するさまざまな機能があります。

重要なのは、機能の数ではなく、自社のどの業務を改善するために使うのかを明確にすることです。

代表的な機能を8つ紹介します。

リード管理・一元化機能

展示会、Webフォーム、ウェビナーなど、複数のチャネルで取得したリード情報をまとめて管理する機能です。

会社名、氏名、メールアドレス、部署、役職などの属性情報に加え、メールへの反応やWebサイトの閲覧履歴などを同じリード情報に紐づけて管理できます。

製品によっては、重複データの管理や項目の整理を支援する機能もあります。

メール配信・ステップメール機能

一斉配信だけでなく、条件に応じて対象者を分けたメール配信や、自動配信を行うための機能です。

たとえば、

  • ウェビナー参加者だけにフォローメールを送る
  • 資料ダウンロード後に数日おきで関連情報を送る
  • 特定の条件に該当したリードへ案内メールを送る

といった運用ができます。

一般的なメール配信ツールとの違いは、リードの属性や行動データと組み合わせて配信対象を設定しやすい点です。

シナリオ設計(オートメーション)機能

特定の条件や行動をきっかけに、その後の処理を自動で実行するための機能です。

たとえば、

資料をダウンロード → 関連メールを送信 → 導入事例ページを閲覧 → 営業へ通知

といった流れを設定できます。

メール送信だけでなく、リストへの追加、スコアの変更、担当者への通知などを組み合わせられる製品もあります。

具体的なシナリオの作り方は、後半で詳しく解説します。

スコアリング機能

見込み顧客の属性や行動に点数を付け、営業が確認する対象の優先順位を整理するための機能です。

たとえば、

  • ターゲットとなる業種に該当する
  • 資料をダウンロードした
  • 導入事例ページを閲覧した
  • メール内のリンクをクリックした

といった条件に点数を設定します。

一定のスコアを超えたリードを営業へ通知する運用もできます。

ただし、スコアは商談化の確度や購買意欲そのものを示すものではありません。営業が確認する対象を絞るための判断材料として利用します。

フォーム・LP作成機能

問い合わせや資料ダウンロード、ウェビナー申込などに使用するフォームを作成する機能です。

フォームから送信された情報を、そのままMAツールのリード情報として登録できるため、手作業でデータを転記する負担を減らせます。

製品によっては、ランディングページを作成する機能も備えています。

Webトラッキング機能

Webサイト上での行動を記録し、リード情報と紐づけて確認するための機能です。

たとえば、

  • どのページを閲覧したか
  • 何回訪問したか
  • いつ訪問したか

といった情報を確認できます。

こうした行動データは、メール配信の条件やシナリオの起点、営業への通知条件などに活用できます。

なお、どのユーザーの行動をどこまで識別できるかは、製品の仕様やCookie・同意取得の状況などによって異なります。

レポート・効果測定機能

MAツール内で実施した施策の結果を確認するための機能です。

たとえば、

  • メールの開封・クリック
  • フォーム送信数
  • コンバージョン数
  • シナリオ内の到達状況
  • 営業へ連携したリード数

などを確認できます。

SFAやCRMと連携すれば、商談や受注までの結果とマーケティング活動を結びつけて分析できる場合もあります。

SFA・CRM連携機能

MAツールに蓄積したリード情報や行動データを、SFA・CRMと連携するための機能です。

たとえば、営業へリードを引き渡す際に、

  • 会社・担当者情報
  • 資料ダウンロード履歴
  • Webサイトの閲覧履歴
  • メールへの反応
  • スコアやステータス

などを共有できます。

また、営業側で記録した商談化・失注・受注などの結果をMAへ戻せるようにすると、そのデータをスコアリングやシナリオの見直しにも利用できます。

MA・SFA・CRMを連携する目的は、単にデータを同期することではなく、マーケティングと営業が同じ顧客情報を見ながら活動できる状態をつくることです。

MAツールを使いこなす4ステップ|導入後に動き始めるための設計手順

「MAを導入したものの、次に何をすればよいのか分からない」という相談をいただくことがあります。

MAツールは、機能を設定するだけでは十分に活用できません。導入後は、何を改善するために使うのかを整理し、その目的に合わせて対象顧客やシナリオ、営業への連携条件を設計します。

基本的には、次の4つのステップで進めます。

  • Step.1:課題と目的を整理する
  • Step.2:対象顧客と検討プロセスを整理する
  • Step.3:営業へ連携する条件を決める
  • Step.4:シナリオと営業連携のルールを設計する

ツール上の設定を始める前にこの設計を行っておくことで、「メールは配信しているものの、その後どう営業につなげればよいか分からない」といった状態を避けやすくなります。

導入そのものの進め方と、つまずきやすい原因は、MAツールの導入手順8ステップで解説しています。

Step.1:課題と目的を整理する

最初に、「MAツールを使って何を改善したいのか」を明確にします。

たとえば、

  • 獲得したリードを十分にフォローできていない
  • 展示会やウェビナー後の対応が担当者任せになっている
  • 営業へ渡すリードの基準が決まっていない
  • 休眠リードを活用できていない
  • マーケティング施策が商談や受注につながっているか分からない

といった課題があります。

課題を整理したうえで、改善状況を確認するための指標を決めます。

たとえば「休眠リードの活用」が目的であれば、メール開封率だけを見るのではなく、

  • 再反応したリード数
  • 営業へ連携した件数
  • 商談化した件数

など、その後の営業活動まで確認できる指標を設定します。

数値目標を置く場合は、「商談数を10件にする」といった数字を先に決めるのではなく、現在のリード数や商談化率などを確認したうえで設定するとよいでしょう。

Step.2:対象顧客と検討プロセスを整理する

次に、どのような顧客を対象に、どのような情報を届けるのかを整理します。

必ずしも詳細なペルソナやカスタマージャーニーを作る必要はありません。

最低限、

  • どのような企業・担当者を対象にするのか
  • どのような課題を抱えているのか
  • どのような情報を求めているのか
  • どの段階で営業との接点が必要になるのか

を整理できれば、シナリオ設計の土台になります。

必要に応じて、認知・関心・比較検討・意思決定といった段階に分け、それぞれで利用するコンテンツを整理します。

たとえば、

  • 認知・関心:課題解説の記事、調査レポート
  • 比較検討:サービス資料、ウェビナー、導入事例
  • 意思決定:料金情報、個別相談、導入支援の説明

といった形です。

ただし、実際の顧客が必ずこの順番で検討を進めるわけではありません。

フェーズは顧客を機械的に分類するためではなく、どのような情報を用意し、次にどの接点をつくるかを考えるための整理方法として利用します。

Step.3:営業へ連携する条件を決める

対象顧客と検討プロセスを整理したら、どのような状態になったリードを営業へ連携するのかを決めます。

判断材料には、大きく分けて次の2種類があります。

  • 属性情報:業種、企業規模、部署、役職など
  • 行動情報:資料ダウンロード、Web閲覧、ウェビナー参加など

たとえば、

「自社の対象業種に該当し、直近30日以内に導入事例を閲覧している」

といった条件を設定できます。

保有リードが多く、営業がすべてを確認できない場合は、スコアリングを使って優先順位を整理する方法もあります。

ただし、スコアリングは必須ではありません。

リード数が少ない場合や、特定の行動をしたリードだけを営業へ通知すれば十分な場合は、ルールベースで条件を設定する方がシンプルです。

スコアリングを利用する場合も、最初から複雑な配点を作り込むのではなく、営業へ連携した結果を確認しながら調整します。

具体的な配点やMQL条件については、後半の「スコアリング設計の具体的な手順と数値基準」で詳しく解説します。

Step.4:シナリオと営業連携のルールを設計する

最後に、リードの行動に応じてどのような処理を行うのかをシナリオとして設定します。

たとえば、

資料ダウンロード → 関連コンテンツを案内 → 導入事例を閲覧 → 営業へ通知

といった流れです。

シナリオと合わせて決めておきたいのが、マーケティングから営業へリードを引き渡すルールです。

営業連携では、少なくとも次の内容を整理します。

  • どの条件を満たしたら営業へ連携するか
  • 誰が対応するか
  • いつまでに初回対応するか
  • どの情報を営業へ渡すか
  • 商談化・失注などの結果をどのようにマーケティングへ戻すか

こうしたルールをマーケティングと営業の間で合意しておくことで、「マーケティングは営業へ渡したつもりだが対応されていない」「営業側ではなぜこのリードが渡されたのか分からない」といった認識のずれを減らせます。

SLAの決め方や、営業が受け取ったあとの対応まで含めた設計は、トスアップの基準と部門連携の手順で解説しています。

弊社が支援したCLUE様では、3日連続でサービスページを訪問しているユーザーを検知し、インサイドセールスへ自動的に連携する仕組みを構築しました。

この例のように、単純なスコアの合計だけではなく、「どの行動を、いつ、どの程度行ったのか」を条件にすると、営業側も連携された理由を理解しやすくなります。


スタートアップのマーケ立ち上げ。商談・受注を創出するリードが安定獲得できる仕組みを構築

顧客データで目標設定し、運用型広告を媒体選定から刷新。営業インサイトを反映したLP改修とセミナー・オウンドメディア改善により、商談・受注を創出するリードの安定獲得を実現。

sellsup.co.jp

打ち合わせスペースの木製テーブルを挟んで、2人が向かい合って笑顔で話している写真

スコアリング設計の具体的な手順と数値基準|Sells upの設定例

スコアリングは、見込み顧客の属性情報や行動データに点数を付け、営業が確認する対象の優先順位を整理するための方法です。

設計するときは、主に次の4点を考えます。

  • 属性スコアと行動スコアを分けて考える
  • 行動ごとの重みを決める
  • 営業へ連携する条件を決める
  • 時間の経過に応じてスコアを見直す

重要なのは、スコアそのものを「購買意欲」や「商談化確率」と捉えないことです。

スコアは、営業がすべてのリードを同じ優先度で確認するのではなく、属性や行動から確認対象を絞るための指標として利用します。

以下では、弊社で実際に用いている考え方や設定例も交えながら解説します。

スコアリングの基本的な考え方については、リードスコアリングの仕組みと設計軸もあわせてご参照ください。

属性スコアと行動スコアの2軸で考える

スコアリングでは、「属性」と「行動」を分けて考えると整理しやすくなります。

属性スコアでは、たとえば、

  • 業種
  • 企業規模
  • 部署
  • 役職
  • 自社のターゲット条件との一致度

などを評価します。

一方、行動スコアでは、

  • Webページの閲覧
  • 資料ダウンロード
  • メール内リンクのクリック
  • ウェビナーへの参加

などを評価します。

この2つを分ける理由は、同じ行動をしていても、自社のターゲットとなる企業とそうでない企業では営業上の優先度が異なるためです。

たとえば、

  • ターゲット属性には合っているが、最近はほとんど行動がないリード
  • Web上では活発に行動しているが、自社の対象業種ではないリード

を同じ条件で扱うと、営業が確認すべき対象を絞りにくくなります。

属性と行動を分けて見ることで、「自社が狙いたい相手か」と「最近どのような行動をしているか」をそれぞれ確認できます。

行動別スコアの設定例と配点の決め方

行動スコアでは、すべての行動に同じ点数を付けるのではなく、自社にとって重要度の高い行動ほど重く設定します。

たとえば、次のような考え方です。

行動 付与スコアの例 考え方
料金・価格ページ閲覧 +15pt 比較検討時に確認されやすい
資料・ホワイトペーパーダウンロード +20pt 自社の情報を能動的に取得している
導入事例ページ閲覧 +10pt 導入後の具体像を確認している可能性がある
メール内リンクのクリック +5pt メール内の情報に反応している
メール開封 +2pt 配信への反応は確認できるが、関心の強さまでは判断しにくい

※上記はSells upで用いることがある設定例であり、一般的な基準ではありません。商材、営業サイクル、リード数、コンテンツ構成などによって適切な配点は変わります。

たとえばメール開封は、メールが届き、開封されたことは確認できますが、それだけで検討が進んでいるとは判断できません。

一方で、料金ページや導入事例の閲覧は、比較検討の過程で行われることがあります。

ただし、これらの行動も購買意欲そのものを示すものではありません。

そのため、点数を決める際は、可能であれば過去の商談・受注データと照らし合わせます。

受注したリードと受注しなかったリードで、

  • どのページを見ていたか
  • どの資料をダウンロードしていたか
  • どの程度の頻度でWebサイトを訪問していたか
  • 最後の行動からどれくらいの期間で商談化したか

などを比較すると、自社で重要な行動を見つけやすくなります。

データが十分にある場合は統計分析を使う方法もある

十分な件数の商談・受注データがある場合は、ロジスティック回帰などの統計手法を利用し、各行動と受注との関係を分析する方法もあります。

たとえば、受注したかどうかを目的変数とし、

  • 閲覧ページ
  • 資料ダウンロード
  • 訪問頻度
  • 最終行動からの経過日数

などを説明変数として分析します。

弊社が複数の支援先の6ヶ月分のデータを使って、RFE(Recency・Frequency・Engagement)の考え方をもとに分析した例では、

  • Engagement:0.45
  • Recency:0.385
  • Frequency:0.165

という重みになりました。

このデータでは、訪問回数だけを見るよりも、どの程度深い行動をしているか、最近行動しているかを重視する結果になっています。

ただし、この係数をそのまま他社へ当てはめることはできません。

商材、検討期間、リード獲得チャネルなどによって結果は変わるため、あくまでSells upにおける分析例として捉えてください。

また、十分なデータがない段階では、無理に統計モデルを作る必要はありません。

まずは営業担当者へのヒアリングや過去の受注案件を確認し、重要と思われる行動から仮の配点を設定する方法でも始められます。

MQLの条件を決める

MQL(Marketing Qualified Lead)は、マーケティング側で一定の条件を満たし、営業へ連携する候補となったリードを指します。

スコアリングを利用する場合は、どの条件を満たしたらMQLとするかを決めます。

弊社では、支援先の状況によって、

属性スコア20点以上 AND 行動スコア40点以上

を初期条件の一例として設定することがあります。

ただし、この「20点」「40点」に一般的な根拠があるわけではありません。

重要なのは、

  • 自社のターゲット属性に合っているか
  • 一定の行動が確認できているか

の両方を見ることです。

たとえば行動スコアだけが高くても、自社の対象外となる業種や企業規模であれば、営業が優先して対応する必要性は低いかもしれません。

反対に、属性が自社のターゲットと一致していても、まだ具体的な行動がほとんどなければ、すぐに営業へ連携する必要はない場合があります。

そのため、初期条件を設定した後は、

  • 営業へ渡したリードのうち、どれくらいが商談化したか
  • 商談化しなかったリードにはどのような特徴があったか
  • スコア未達でも商談化したリードがなかったか

を確認しながら条件を見直します。

スコア減衰を設定する

スコアは、一度加算したらそのままにしておくとは限りません。

過去に活発な行動をしていたリードでも、その後長期間動きがなければ、現在の優先度は下がっている可能性があります。

そこで、一定期間行動がない場合に点数を下げる「スコア減衰」を設定します。

たとえば弊社では、

180日間、メールへの反応やWebサイト訪問が確認できない場合にスコアを下げる

といったルールを設定することがあります。

減点幅についても、−10pt、−20pt、−30ptなど、支援先の営業サイクルやスコア体系に応じて調整します。

ここでも、「180日」「−30pt」が一般的な正解ではありません。

検討期間が数週間の商材であれば180日は長すぎる場合がありますし、1年以上かけて検討する商材であれば短すぎる可能性もあります。

自社では、どの程度行動が途切れると商談化しにくくなるのかを過去データから確認し、期間と減点幅を決めるとよいでしょう。

スコアリングを後から設計してよい場合

スコアリングは、すべての企業がMA導入直後から作り込む必要はありません。

たとえば、次のような場合です。

  • 保有リードが少なく、スコアで優先順位をつける必要がない
  • 営業が対象リードをすべて確認できる
  • 受注・失注データが少なく、配点を検証できない
  • ABM型で対象企業を絞り込み、個別に状況を把握している

この段階では、点数を付けるよりも、

  • 資料請求があった
  • デモ申込があった
  • 料金ページを一定期間に複数回閲覧した
  • 特定のウェビナーへ参加した

など、明確な行動を条件に営業へ通知する方が運用しやすい場合があります。

その後、

行動 → 営業対応 → 商談化 → 受注・失注

のデータが蓄積されてきた段階で、スコアリングを設計しても遅くありません。

スコアリングは導入すること自体が目的ではなく、営業が限られた時間の中で、どのリードを優先して確認するかを判断しやすくすることが目的です。

シナリオ設計の手順とBtoBでよく使う4つのパターン|ナーチャリングシナリオの具体例

MAツールにおけるシナリオ設計とは、見込み顧客の属性や行動を条件に、その後に実行するアクションをあらかじめ決めておくことです。

たとえば、

資料ダウンロード → 関連メールを送信 → 導入事例を閲覧 → 営業へ通知

といった流れを設定します。

シナリオは、次の5つのステップで整理すると組み立てやすくなります。

  • Step.1:対象となるリードを決める
  • Step.2:シナリオを開始する条件を決める
  • Step.3:届ける情報とタイミングを決める
  • Step.4:反応に応じた分岐を決める
  • Step.5:ゴールと終了条件を決める

シナリオの設計手順や具体的な設定例については、シナリオ設計の詳細な手順と設定例も参考になります。

シナリオ設計の5ステップ

Step.1:対象となるリードを決める

最初に、どのようなリードをシナリオの対象にするのかを決めます。

たとえば、

  • 展示会で名刺交換したリード
  • ウェビナー参加者
  • 資料をダウンロードしたリード
  • 一定期間反応のない休眠リード

などです。

対象を広げすぎると、届ける情報が曖昧になりやすいため、まずは共通する接点や課題を持つリードに絞ると設計しやすくなります。

Step.2:シナリオを開始する条件を決める

次に、どのタイミングでシナリオを開始するかを決めます。

たとえば、

  • フォームから資料をダウンロードした
  • ウェビナーへ参加した
  • 特定のページを閲覧した
  • 一定期間メールやWeb上で反応がない

といった条件です。

単一の行動だけでなく、

「直近30日以内に導入事例ページを2回以上閲覧した」

のように、期間や回数を組み合わせることもできます。

Step.3:届ける情報とタイミングを決める

対象と開始条件が決まったら、どの情報を、どのタイミングで届けるのかを整理します。

たとえば資料ダウンロード後であれば、

  • ダウンロード直後:資料送付とお礼
  • 数日後:関連する解説記事
  • その後:導入事例
  • さらに関心が確認できた場合:個別相談の案内

といった流れが考えられます。

ただし、すべてのリードが同じ順番で検討を進めるわけではありません。

そのため、「認知→検討→意思決定」と固定的に考えるのではなく、次に役立つ情報は何かという視点で設計する方が実務では使いやすくなります。

Step.4:反応に応じた分岐を決める

次に、リードの反応によってその後の処理を分けます。

たとえば、

  • メール内のリンクをクリックした
  • フォームを送信した
  • 導入事例ページを閲覧した
  • 一定期間反応がなかった

といった条件です。

反応があった場合は次の情報提供へ進め、反応がなければ配信頻度を下げる、別のシナリオへ移す、といった分岐を設定できます。

ただし、分岐を増やしすぎると管理が難しくなるため、導入初期はシンプルな条件から始める方が運用しやすいでしょう。

Step.5:ゴールと終了条件を決める

最後に、シナリオをどの状態で終了するのかを決めます。

たとえば、

  • 営業へ連携する
  • 個別相談の申込があったため終了する
  • 一定期間反応がないため育成を保留する
  • 別のシナリオへ移す

といった条件です。

重要なのは、シナリオを「メールを送り続ける仕組み」にしないことです。

どの状態になったら次の対応へ移すのかまで決めておくことで、マーケティングと営業の連携につなげやすくなります。

BtoBでよく使う代表的なシナリオ4パターン

BtoBマーケティングでは、まず次のようなシンプルなシナリオから始めると運用しやすくなります。

① ウェビナー後のフォローアップシナリオ

ウェビナー終了後に、参加状況に応じてフォロー内容を分けるシナリオです。

たとえば、

  • 参加者:お礼メール+当日の資料
  • 欠席者:録画アーカイブや次回開催の案内

を送ります。

その後、アンケート回答や資料ダウンロード、関連ページの閲覧などの反応が確認できた場合は、追加コンテンツを案内したり、条件によって営業へ通知したりします。

ウェビナーは開催そのものではなく、開催後にどのような接点を続けるかまで設計しておくことが重要です。

② 資料ダウンロード後のナーチャリングシナリオ

資料をダウンロードしたリードへ、関連情報を段階的に届けるシナリオです。

たとえば、

  • 1通目:ダウンロードした資料の補足情報
  • 2通目:関連する導入事例や記事
  • 3通目:ウェビナーや個別相談など、次の接点の案内

といった構成が考えられます。

配信間隔は「翌日・3日後・7日後」などに固定する必要はありません。

商材の検討期間やメールへの反応を見ながら調整します。

③ 特定ページの閲覧をきっかけに営業へ通知するシナリオ

料金ページや導入事例ページなど、比較検討時に確認されやすいページの閲覧をきっかけに営業へ通知するシナリオです。

たとえば、

「直近30日以内に料金ページを2回以上閲覧し、かつ自社の対象業種に該当する」

といった条件を設定できます。

スコアリングを使っている場合は、行動スコアの条件と組み合わせる方法もあります。

ただし、料金ページを見たからといって、必ず購買意欲が高いとは限りません。

このシナリオの目的は、営業が確認する価値のある行動を早めに共有することです。

通知を受けた営業が、過去の接点や企業情報も確認したうえで対応します。

④ 休眠リードの再活性化シナリオ

一定期間反応のないリードへ、あらためて情報を届けるシナリオです。

たとえば、

  • 一定期間メールへの反応がない
  • Webサイトへの訪問がない
  • フォーム送信や資料ダウンロードもない

といった条件で対象を抽出します。

そのうえで、通常のメールとは少し内容を変え、

  • 新しい調査レポート
  • 業界トレンド
  • 新しい導入事例
  • ウェビナーやイベント

などを案内し、再び関心を示すかを確認します。

反応が確認できた場合は通常のナーチャリングへ戻し、反応がない場合は配信頻度を下げるなどの対応を行います。

休眠とみなす期間は、180日などの固定値で決めるのではなく、自社の検討期間や過去の商談データに合わせて設定することが重要です。

休眠リードの再活性化設計|眠っている資産を商談候補に変える具体的な手順

休眠リードとは、一定期間、メールへの反応やWebサイトの訪問、問い合わせなどの行動が確認できない見込み顧客を指します。

休眠とみなす期間に共通の正解はなく、自社の商材や検討期間に合わせて決める必要があります。

MAツールを導入しても、過去に獲得したリードへのフォローが止まったままになっているケースがあります。こうしたリードの中には、当時は検討時期が合わなかったものの、時間の経過によって状況が変わっている企業も含まれます。

再活性化を設計するときは、次の3点を整理します。

  • 休眠とみなす条件を決める
  • 売り込みだけではなく、再び接点を持つ理由になる情報を届ける
  • 反応があったリードを、その後どのように扱うか決める

休眠リードの判定基準と抽出方法

まず、自社で何をもって「休眠」とするのかを定義します。

たとえば、

  • 一定期間メールへの反応がない
  • Webサイトへの訪問がない
  • フォーム送信や資料ダウンロードがない
  • 営業との接点が一定期間ない

といった条件が考えられます。

弊社では一例として、

「直近180日間、メールへの反応・Webサイト訪問・フォーム送信のいずれも確認できない」

という条件を使うことがあります。

ただし、180日はあくまで一例です。

検討期間が短い商材では数ヶ月でも十分に休眠と判断できる場合がありますし、1年以上かけて検討される商材では180日では短い可能性があります。

そのため、

  • 過去の商談では、初回接点から商談までどの程度かかっているか
  • どの程度行動が途切れると、その後の商談化が減るのか
  • 営業活動上、どの期間までをフォロー対象としたいのか

などを確認しながら基準を決めるとよいでしょう。

条件が決まったら、MAツールのリストや絞り込み機能を使って対象者を抽出し、再活性化シナリオの対象とします。

再活性化シナリオの設計手順と注意点

休眠リードへ再度アプローチするときは、これまでと同じメールを繰り返すのではなく、あらためて接点を持つ理由になる情報を用意します。

たとえば、

  • 最新の調査レポート
  • 業界トレンドの解説
  • 新しい導入事例
  • 実務で使える資料
  • ウェビナーやイベントの案内
  • サービスの新機能や変更点

などです。

重要なのは、最初から商談化を求めすぎないことです。

まずは、現在もそのテーマに関心があるかを確認する接点として設計すると運用しやすくなります。

配信後は、

  • メール内リンクのクリック
  • 資料ダウンロード
  • Webサイトへの再訪
  • フォーム送信

などの反応を確認します。

反応があったリードは、通常のナーチャリングへ戻したり、条件によって営業へ通知したりします。

一方で反応がない場合は、同じ内容を繰り返し送るのではなく、配信頻度を下げる、対象から一時的に外すといった対応も検討します。

再アプローチの頻度も「四半期に一度」と固定する必要はありません。自社の商材やメール配信頻度、過去の反応状況に合わせて調整します。

休眠リードの見極め方と、再アプローチの手法は、休眠顧客の掘り起こし方法と4つの手法で詳しく解説しています。

弊社が支援したブリューアス様では、Account Engagementのアカウント移行時に、ステップメールを継続配信できる状態を維持しながら、アクティビティデータへの影響を抑える形で移行を進めました。

その後のMA運用改善では、ステップメールから継続的な受注につながり、一度失注した顧客への掘り起こしメールから大型案件を受注した事例もあります。

休眠リードのすべてが再び検討を始めるわけではありません。

一方で、過去に接点を持った時点ではタイミングが合わなかっただけで、その後状況が変わる企業もあります。

そのため、休眠リードは一律に「見込みがない」と判断するのではなく、再び関心を示すリードがいるかを定期的に確認できる状態にしておくことが重要です。


BtoCマーケの”コピー&ペースト”から脱却。全方位施策で広告CPAを支援前の約3分の1に削減

中長期のマーケティング戦略を策定し、広告の多角化とLPOを実施。Account Engagementのデータ移行とステップメール施策により、広告CPAを約3分の1に削減し、月間リード数・商談数の増加を通じた売上向上を実現。

sellsup.co.jp

本棚のある打ち合わせスペースで、2人が木製テーブルの脇に立って笑顔で並んでいる写真

MAツール導入後・最初の30日間でやること|立ち上げ期の優先アクション

MAツールの導入直後は、すべての機能を使おうとするのではなく、まず基本設定と最初の運用フローを動かすことを優先します。

一例として、弊社では次のような3段階で立ち上げることがあります。

  • Day 0〜7:初期設定と既存リストの整備
  • Day 8〜14:最初のシナリオを1本動かす
  • Day 15〜30:営業連携まで含めて動作を確認する

30日という期間はあくまで一つの目安です。既存システムとの連携や社内承認に時間がかかる場合もあるため、自社の体制に合わせて調整します。

重要なのは、導入直後から複雑な仕組みを作り込むのではなく、一つの運用フローを実際に動かし、改善できる状態を早めにつくることです。

Day 0〜7:初期設定と既存リストを整備する

最初に、MAツールを運用するための基本設定とデータの整備を行います。

主な作業は次のとおりです。

  • トラッキングコードの設置確認
  • メール送信に必要なドメイン設定
  • SFA・CRMとの連携
  • 既存リストのインポート
  • 重複データや不達アドレスの整理
  • 会社名、部署、役職など主要な項目の確認
  • 必要なユーザー権限の設定

この段階では、シナリオやスコアリングを作り込むよりも、後から使うデータを正しく取得・管理できる状態にすることを優先します。

特に、SFA・CRMと連携する場合は、

  • どの項目を同期するか
  • どちらのシステムを正とするか
  • 重複データをどう扱うか

などもあわせて確認しておくと、その後の運用で混乱しにくくなります。

トラッキングコードの設置や送信ドメイン認証など、初期設定の具体的な手順は、MAツールの初期設定5つと設定の順番で解説しています。

Day 8〜14:最初のシナリオを1本動かす

基本設定が終わったら、シンプルなシナリオを1本動かします。

最初から複数の分岐を持つ複雑なシナリオを作る必要はありません。

たとえば、

  • ウェビナー参加後のフォロー
  • 資料ダウンロード後のフォロー
  • 問い合わせ後の営業通知

など、対象と起点が分かりやすいシナリオから始めると運用しやすくなります。

この段階で確認したいのは、シナリオそのものの完成度よりも、

  • 対象者が正しく抽出されるか
  • メールが想定したタイミングで送られるか
  • 除外条件が正しく機能するか
  • Web行動やメールへの反応を記録できているか
  • 必要な通知が届くか

といった基本動作です。

まず1本を実際に動かし、そこで見つかった課題を修正してから対象やシナリオを増やしていく方が進めやすくなります。

弊社が支援したSmartHR様では、Account Engagement導入時に社内に運用経験を持つマーケターがいない状態から、2023年7月に初期設定を開始し、約1ヶ月で最初のメルマガ配信まで進みました。

その後、メールのパターンを徐々に増やし、現在は20〜30パターンまで拡充しています。

最初から多くの施策を用意するのではなく、まず一つ動かし、運用しながら拡張していった事例です。


1年間で約10倍の問い合わせを獲得。メールを1〜2から20〜30パターンへ拡充

Account Engagementの初期設定からメール文面作成まで一貫支援。メールラインナップを20〜30パターンに拡充し、行動データを基にしたトリガーメールと30以上のフォームを展開。

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SmartHRのロゴが光る壁の前で、3人が並んで談笑している写真

Day 15〜30:営業連携まで含めて動作を確認する

3週目以降は、動かしたシナリオから営業へ情報を渡す流れまで確認します。

たとえば、

資料ダウンロード → 関連メールを配信 → 導入事例を閲覧 → 条件に該当したため営業へ通知

といった一連の流れが正しく動いているかを確認します。

営業連携では、次の点をチェックします。

  • 想定した条件で通知されるか
  • 営業へ必要な顧客情報や行動履歴が渡っているか
  • 誰が対応するか決まっているか
  • 初回対応の期限が決まっているか
  • 対応結果をマーケティング側へ戻せるか

最初の30日間で必ず商談をつくる必要はありません。

商材によっては検討期間が長く、短期間で商談化しないこともあります。

この段階では、マーケティングで取得した情報が営業へ正しく届き、営業の結果を再びマーケティングへ戻せる状態になっているかを確認することが重要です。

実際に営業へ連携したリードが出たら、

  • なぜこのリードが選ばれたのか
  • 営業から見て対応する価値があったか
  • 連携した情報で不足しているものはなかったか

などを確認し、通知条件やシナリオを見直します。


30日を過ぎたあとの進め方は、MA導入後、最初の3ヶ月の優先順位で解説しています。日々の運用業務の全体像はMA運用の業務内容と5ステップで整理しています。

MAツール活用が止まる5つの原因と対処法|導入後に運用が停滞するパターン

MAツールを導入しても、十分に活用できないまま運用が止まってしまうことがあります。

弊社が80社以上のBtoBマーケティングを支援する中では、ツールの機能そのものよりも、導入目的や運用方法、営業との連携に課題があるケースを多く見てきました。

代表的なのは、次の5つです。

  • 導入目的が曖昧なまま運用している
  • 営業へ連携する条件が決まっていない
  • 営業から結果がフィードバックされない
  • シナリオを複雑にしすぎている
  • 配信するコンテンツが不足している

それぞれ、どのように見直せばよいのかを解説します。

活用が止まる原因ごとの立て直し方は、MAツールを使いこなせない7つの原因でさらに詳しく解説しています。

原因①:導入目的が曖昧なまま運用している

「競合も導入しているから」「営業活動を効率化できそうだから」といった理由だけでMAを導入すると、何を改善すべきなのか判断しにくくなります。

まずは、

  • 獲得したリードへのフォローを自動化したい
  • 休眠リードを活用したい
  • 営業へ渡す対象を整理したい
  • マーケティング施策と商談・受注をつなげて確認したい

など、MAを使って改善したい課題を明確にします。

そのうえで、現在の実績を確認しながらKPIを設定します。

たとえば休眠リードの活用であれば、「メール開封率を上げる」だけではなく、再反応したリード数や営業連携数、商談化数まで確認できるようにします。

目的と評価指標が決まっていないと、施策を続けるべきか、見直すべきかを判断しにくくなります。

原因②:営業へ連携する条件が決まっていない

MAツールにリード情報や行動データが蓄積されても、どの状態になったら営業が確認するのかが決まっていなければ、営業活動にはつながりません。

たとえば、

  • 対象業種の企業が資料をダウンロードした
  • 直近一定期間に料金ページを複数回閲覧した
  • ウェビナー参加後に導入事例を閲覧した

など、営業へ連携する条件を決めます。

保有リードが多い場合は、スコアリングを使って優先順位を整理する方法もあります。

一方、営業が全件確認できる規模であれば、無理にスコアリングを導入する必要はありません。

重要なのはスコアを作ることではなく、どのような状態になったリードを、誰が確認するのかを決めることです。

原因③:営業から結果がフィードバックされない

営業へリードを連携しても、その後どうなったのかがマーケティング側へ戻ってこなければ、シナリオや営業連携条件を改善できません。

たとえば、

  • 商談化したか
  • 商談化しなかった理由は何か
  • 受注・失注したか
  • 営業から見て対応する価値のあるリードだったか

といった情報を確認します。

定期的にマーケティングと営業で対象リードを確認し、

「なぜ商談化したのか」「なぜ営業対象として適切ではなかったのか」

を共有すると、次の改善につなげやすくなります。

BtoB企業の担当者480名を対象に弊社が実施したMA活用実態調査でも、営業への通知やトスアップの運用があると回答した割合は、MAが商談・売上に貢献できている企業とそうでない企業のいずれも6割前後で、大きな差はありませんでした。一方で、営業との連携がスムーズに取れていると回答した割合は、貢献できている企業でおよそ8割、そうでない企業では1割に届きません。通知の仕組みを用意すること以上に、渡したリードを営業がどう扱い、その結果をどう共有するかで差が出ていると読み取れます。なお、この結果は相関を示すものであり、因果関係を示すものではありません。詳細はBtoB企業のMA活用実態調査(第0回)で公開しています。

レビュー頻度は月1回などに固定する必要はなく、商談件数や運用体制に合わせて設定します。

原因④:シナリオを複雑にしすぎている

MAツールには細かな分岐を設定できるものもありますが、分岐を増やせば成果が上がるわけではありません。

特に、各条件に該当するリード数が少ない状態で複雑なシナリオを作ると、

  • 各分岐に十分な対象者が入らない
  • 結果を比較しにくい
  • 修正箇所が分かりにくい
  • 運用担当者しか仕組みを理解できない

といった問題が起こりやすくなります。

導入初期は、

「資料ダウンロード → 関連メール → 条件に該当したら営業へ通知」

のようなシンプルなシナリオから始める方が、結果を確認しやすくなります。

リード数や施策データが増えてから、必要に応じて分岐を追加していけば十分です。

原因⑤:配信するコンテンツが不足している

シナリオを作っても、届ける情報がなければ継続的なナーチャリングはできません。

まずは既存コンテンツを棚卸しし、

  • 課題を知るための記事や資料
  • 比較検討に使えるサービス資料や導入事例
  • 個別相談や問い合わせにつながる情報

など、顧客の検討状況に応じて利用できるコンテンツがあるかを確認します。

最初から大量のコンテンツを用意する必要はありません。

まずは、現在運用したいシナリオに必要なコンテンツを揃え、不足しているものから優先的に作成します。

重要なのは、TOFU・MOFU・BOFUそれぞれに機械的にコンテンツを用意することではなく、シナリオの中で次に届けるべき情報がある状態をつくることです。

MAツールの選び方|自社の運用体制と要件から考える

MAツールを選ぶときは、機能の多さだけで比較するのではなく、自社でどのような運用をしたいのか、その運用を継続できる体制があるかを整理することが重要です。

主に次のような点を確認します。

  • 実現したい施策に必要な機能があるか
  • 既存のSFA・CRMなどと連携できるか
  • 自社の担当者が継続して運用できるか
  • リード数やメール配信量に対して費用が見合うか
  • 導入・運用時に必要なサポートを受けられるか

たとえば、メール配信と簡単なナーチャリングが主な目的であれば、高度なスコアリングや複雑なシナリオ機能を最初から求める必要はありません。

一方で、SalesforceなどのSFAと連携し、リードの行動履歴や営業結果を相互に利用したい場合は、連携できる項目や同期方法まで確認する必要があります。

重要なのは、「できることが多いツール」ではなく、「自社が実際に使う機能を無理なく運用できるツール」を選ぶことです。


具体的な製品の比較は、BtoB向きのMAツールおすすめ7選と選び方で解説しています。導入に踏み切る時期そのものを判断したい場合は、MA導入のタイミングの判断軸を参考にしてください。

フェーズごとに確認したい選定ポイント

必要な機能は、単純なリスト件数だけで決まるものではありません。

現在どのような運用をしていて、次に何を実現したいのかによって優先順位が変わります。

運用状況 優先して確認したいこと
これからMAを使い始める リード管理、メール配信、フォーム、基本的な自動化など、最初に必要な機能を無理なく使えるか
ナーチャリングを拡張したい セグメント配信、シナリオ設計、行動データの利用などを柔軟に設定できるか
営業連携を強化したい SFA・CRMとの連携、営業通知、商談結果のフィードバックなどを設計できるか
データ活用を高度化したい 複数のデータを組み合わせた分析やスコアリング、アカウント単位での管理などに対応できるか

リード数も料金や運用負荷を考えるうえでは重要ですが、「何件になったらこの機能が必要」という一律の基準はありません。

自社で実現したい運用を先に整理し、そのために必要な機能を洗い出してから製品を比較すると、不要な機能にコストをかけにくくなります。

MAツールごとの特徴を比較する

MAツールは、製品によって機能の範囲や得意とする運用が異なります。

たとえば、Adobe Marketo EngageやSalesforce Marketing Cloud Account Engagement、HubSpot Marketing Hubなどでも、SFA・CRMとの連携方法、シナリオ設計、スコアリング、コンテンツ管理などの考え方は異なります。

そのため、

「BtoB向けかどうか」だけで判断するのではなく、自社で必要な運用がその製品で実現できるか

を確認することが重要です。

比較するときは、機能表だけを見るのではなく、

  • 現在利用しているSFA・CRMとどう連携するか
  • 実際に作りたいシナリオを設定できるか
  • データ項目をどこまで管理できるか
  • 運用担当者が日常的に扱えるか
  • 将来的に運用を拡張できるか

まで確認します。

高機能なMAツールであっても、実際に利用する機能が限られていたり、社内で設定を変更できなかったりすると、運用負荷が大きくなる可能性があります。

反対に、現在はシンプルな運用でも、今後SFAとの連携やシナリオの拡張を予定しているのであれば、その要件まで含めて選定しておくとよいでしょう。

「やっているのに成果が出ない」状態から抜け出すために

施策を続けているのに商談が増えない、リードの質が上がらない場合は、個々の施策だけでなく、ターゲットや訴求内容、営業への引き渡し条件なども含めて見直す必要があります。Sells upでは、現在の施策やデータを確認しながら、課題となっている箇所と改善する順番を整理します。

相談してみる →

まとめ

MAツールを活用するうえで重要なのは、機能を設定すること自体ではなく、どの課題を改善するために、どのような情報を取得し、どの条件で次のアクションにつなげるのかを設計することです。

導入後は、まず次の流れを整理します。

  • MAを使う目的と確認する指標を決める
  • 対象となる顧客と届ける情報を整理する
  • 営業へ連携する条件を決める
  • シナリオを設定し、実際に動かす
  • 営業の結果をもとに条件や施策を見直す

営業へ連携する対象を絞る方法としてスコアリングを利用できますが、すべての企業で必須というわけではありません。

リード数が少ない場合や、特定の行動をしたリードだけを確認すれば十分な場合は、資料ダウンロードや特定ページの閲覧などを条件に営業へ通知する方法から始めることもできます。

シナリオも、最初から複雑にする必要はありません。ウェビナー参加後のフォローや資料ダウンロード後の情報提供など、対象と起点が明確なものを一つ動かし、実際の反応を確認しながら広げていく方が運用しやすくなります。

MA導入直後は、短期間で商談を生み出すことだけを目標にするのではなく、リード情報の取得からマーケティング施策、営業への連携、その後の結果確認までが一連の流れとして動く状態をつくることを優先しましょう。

MAツールは、導入しただけでマーケティングや営業が改善するものではありません。実際のリード・商談・受注データを確認しながら、シナリオや営業連携の条件を継続的に見直すことで、自社に合った運用へ近づけていくことが重要です。

よくある質問

MAツールとは何ですか?

MAツール(マーケティングオートメーション)は、見込み顧客の獲得・育成・選別を自動化し、商談化率の向上を目指すためのシステムです。リード管理、メール配信、スコアリング、シナリオ設計といった機能を備え、BtoBマーケティングの営業成果を底上げする役割を担います。

MAツールで何ができますか?

MAツールでできる主なことは、リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)、リードナーチャリング(育成)、リードクオリフィケーション(商談候補の選別)、スコアリングによる優先度の見える化、施策の効果測定の5点です。フォームからリードを自動登録し、その後の行動データに応じたパーソナライズメール配信と、営業への自動通知までを一気通貫で行えます。

MAツールの主な機能は何ですか?

MAツールには、リード管理、メール配信、シナリオ設計、スコアリング、フォーム・LP作成、Webトラッキング、レポート、SFA/CRM連携といった機能があります。初めて導入する場合は、まずリード管理とメール配信、シンプルなシナリオの3つから使い始めると、無理なく立ち上げやすくなります。

MAツールの月額料金はいくらですか?

MAツールの月額費用は、ツールの種類や契約リード数によって大きく変わります。国産の入門向けツールであれば月額数万円台から、Adobe Marketo EngageやSalesforce Marketing Cloud Account Engagementといったエンタープライズ向けツールになると、月額数十万円以上が目安です。料金だけを見て選んでしまうと、自社の運用リソースに合わないツールを導入してしまうリスクもあるため、必要な機能と運用体制を踏まえて選定することが大切です。

MAツールとCRM・SFAはどう違いますか?

MAツールは、見込み顧客の獲得から商談候補の選別までの「マーケティングフェーズ」を担当します。SFAは、商談発生から受注までの「営業フェーズ」、CRMは受注後の既存顧客管理やカスタマーサクセスのフェーズを担います。3つのツールを連携させることで、リードが商談化・受注・継続利用にいたるまでの流れをデータでつなぎ、部門間で連携した成果向上が目指せます。

MAツールを導入したのに成果が出ない場合はどうすればよいですか?

MAツールを入れたのに成果が出ていないケースでは、スコアリング設計がない、シナリオに載せるコンテンツが不足している、営業との連携設計が整っていない――といった3点が原因になっていることが多いです。まずはMQL条件(属性スコアと行動スコアそれぞれに閾値を設定)を決め、シンプルなシナリオを1本動かしながら、月1回の営業フィードバックの場を作ることから着手すると改善しやすくなります。

MAツールはリスト件数が少ない会社でも使えますか?

アクティブリードが2,000件に満たない段階でも、ウェビナー後のフォローや資料ダウンロード後の自動メールなど、シンプルなシナリオであれば十分に効果が期待できます。ただし、リード数が少ないとスコアリングの統計的な精度は上げにくいため、まずはSEO、ウェビナー、展示会などでリストを増やす施策と並行して、シナリオを回していくのがおすすめです。

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株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。デジタルマーケティングエージェンシーを経て2023年に株式会社Sells upを設立。戦略設計・KPI設計を起点に、リードジェネレーション、ナーチャリング、MA/SFA活用、営業連携までBtoBマーケティングを一気通貫で支援。KGI逆算のKPI設計やリードスコアリングの統計的設計、営業連携SLAの構築を強みとし、業界・規模を問わず80社以上に提供。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。
保有資格Salesforce Certified Marketing Cloud Account Engagement Specialist/Tableau Desktop Specialist
専門領域BtoBマーケティング/リードジェネレーション/リードナーチャリング/マーケティングオートメーション/HubSpot導入活用支援/Account Engagement導入活用支援/Marketo活用支援/インサイドセールス/統計解析によるスコアリング設計/商談化率向上/マーケティングROI改善