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MAツールの使い方完全ガイド|機能・シナリオ設計・営業連携を80社の支援経験を基に解説

MAツールの使い方・スコアリング設計・シナリオ設計・営業連携SLAを解説する実践ガイド

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

目次

MAツール(マーケティングオートメーション)は、見込み顧客の獲得・育成・選別を自動化し、営業部門に質の高いリードを継続的に渡すための仕組みです。

弊社が支援してきた企業でも、「スコアリングは設定したものの営業側で活用されていない」「リードナーチャリングのシナリオ設計がわからず、そのまま止まっている」といった状態が少なくありません。

本記事では、80社以上の支援実績をもとに、MAツールの基本的な使い方から、シナリオ設計、スコアリングの具体的な数値基準、営業連携のSLA(マーケと営業の引き継ぎルール)までを整理してお伝えします。

MAツールとは何か|3つの役割とデマンドジェネレーションの全体像

MAツール(マーケティングオートメーション)は、BtoBマーケティングにおける見込み顧客の獲得・育成・選別という3つのプロセスを自動化し、商談化率の向上をめざすためのシステムです。

  1. リードジェネレーション(獲得)
  2. リードナーチャリング(育成)
  3. リードクオリフィケーション(選別)

という3つの役割を、一貫性を持って管理できる点がMAツールの中核機能と言えます。

BtoBマーケティングでは、初回接触から商談化までに数ヶ月〜数年かかることも珍しくなく、人手だけでリード管理と個別アプローチを続けるのには限界があります。具体的には、Webサイトのフォームやランディングページから獲得したリード情報を自動で蓄積し、その後の行動データに応じてメール配信やシナリオを自動的に走らせていきます。

MAツールの位置づけや、BtoBマーケティング全体の設計については、BtoBにおけるMAの全体像と導入設計でも詳しく解説しています。

MAツールが解決する3つの業務課題

MAツールで解消しやすくなる代表的な業務課題は、次の3つです。

  • リード管理の属人化:担当者ごとにExcelやメモで管理していたリスト情報を1つにまとめ、部門をまたいだ活用ができるようにします。
  • リードナーチャリングの未着手:メール配信やステップメールを手作業で運用していた工数を削減し、行動データに応じた自動配信に切り替えます。
  • 商談タイミングの見逃し:料金ページや導入事例ページを閲覧するなど、購買意欲の高い行動をスコアリングで可視化し、営業がアプローチのタイミングを逃さないようにします。

MA・SFA・CRMの役割の違いと連携の全体像

MAツール、SFA(営業支援システム)、CRM(顧客関係管理システム)の3つは、それぞれ得意とするフェーズが異なります。

ツール担当フェーズ主な機能
MAツール見込み顧客の獲得〜商談化候補の選別までリード管理・メール配信・スコアリング・シナリオ設計
SFA商談発生〜受注まで商談進捗管理・受注予測・営業活動の記録
CRM受注後の既存顧客管理顧客情報管理・アップセル支援・LTV向上施策

3つのツールをそれぞれバラバラに動かすのではなく、MAで育成したホットリードをSFAへ連携し、営業が「どのテーマに関心を持っている顧客なのか」を把握したうえで商談に入れるようにすることが、連携設計のポイントです。

MAツールでできること|5つの役割とカスタマージャーニーとの対応

MAツールで実現できるのは、デマンドジェネレーションの3プロセス(リードジェネレーション・リードナーチャリング・リードクオリフィケーション)を中心にした、5つのマーケティング機能の自動化・可視化です。具体的には、

  1. 見込み顧客の獲得
  2. 購買意欲の醸成
  3. 商談化候補の選別
  4. スコアリングによる優先度の見える化
  5. 施策の効果測定

の5つに整理できます。

これらはカスタマージャーニーの各タッチポイントに対応しており、TOFU(認知・関心)、MOFU(検討)、BOFU(意思決定)といったフェーズごとに、アプローチを自動で出し分けることができます。

リードジェネレーション|見込み顧客の獲得

リードジェネレーションは、Webフォーム・ランディングページ・ウェビナー申込・展示会名刺などを通じて見込み顧客の情報を集め、MAツールに取り込んでいくプロセスです。たとえば、MAツールのフォーム作成機能を使ってコンテンツダウンロードページを作り、資料請求者の情報を自動でリストに登録していきます。TOFU段階の入り口をどう設計するかが、この役割の肝になります。

リードナーチャリング|購買意欲の醸成

リードナーチャリングは、獲得した見込み顧客に継続的に情報提供を行い、MOFU段階へと引き上げていくための育成施策です。MAツールでは、ページ閲覧履歴・メールの開封状況・クリック率などの行動データをもとに、パーソナライズされたステップメールや自動配信シナリオを組むことができます。

弊社の支援現場でも、ナーチャリングシナリオが整っていないと、せっかく獲得したリードが次のアクションにつながらないまま止まってしまっているケースがよく見られます。とくに、展示会で名刺交換をしたリストに対して、初回フォローメールすら設計されていないパターンは典型例です。

ナーチャリングの具体的な設計方法については、リードナーチャリングの設計手順と事例もあわせてご覧ください。

リードクオリフィケーション|商談化候補の選別

リードクオリフィケーションは、育成してきたリードの中から、BOFU段階まで検討が進んだ商談候補を選び出し、営業部門へ引き渡すプロセスです。MAツールのスコアリング機能を使って行動データと属性データに点数をつけ、一定スコアを超えたリードをホットリードとして検知します。これによって営業は、全リードに手あたり次第アプローチするのではなく、購買意欲が高い相手に絞って動けるようになります。

スコアリングによる優先度の可視化

スコアリングは、見込み顧客の属性情報と行動履歴に点数を付与し、商談化の確度を数値として見えるようにする仕組みです。料金ページの閲覧、資料ダウンロード、ウェビナーへの参加といった行動にスコアを割り当て、合計スコアが閾値を超えたタイミングで営業へ通知します。エンゲージメントや開封率の推移を見ながらスコアを微調整していくことで、より精度の高いリード選別が可能になります。

マーケティング施策の効果測定

MAツールには、メールのCTRや開封率、コンバージョン数、シナリオの離脱率などを確認できるレポート機能が備わっています。開封率・クリック率といった活動指標と、商談化率・成約率といった成果指標の両方を追うことで、ボトルネックになっているポイントを特定しやすくなり、PDCAを回しやすくなります。

MAツールの主な機能8選|課題解決との対応で理解する

MAツールの機能は、リード管理から効果測定まで、BtoBマーケティングのプロセス全体をカバーする8つの機能群として整理できます。ひとつひとつの機能を、「自社のどの業務課題を解決するために使うのか」と結びつけて理解しておくと、どこから着手すべきかを判断しやすくなります。

リード管理・一元化機能

展示会の名刺、Webフォーム、ウェビナー申込など、複数チャネルで集めたリード情報を1つのデータベースにまとめて管理する機能です。部門やチャネルごとに散らばっていたリスト情報を集約し、重複の削除や属性タグ付けを自動で行います。

メール配信・ステップメール機能

セグメントごとの一斉配信から、顧客の行動をトリガーにした自動配信までを担う機能です。リード育成に欠かせないステップメールを設計・運用でき、開封率やCTRのデータを蓄積しながら、次回以降のシナリオ改善に活かしていけます。単体のメール配信ツールとの大きな違いは、リードの行動データと連動した配信ができる点です。

シナリオ設計(オートメーション)機能

資料ダウンロードや特定ページの閲覧、ウェビナー参加といった行動をきっかけに、その後のアクション(メール送信・スコア付与・営業通知)を自動で実行するための機能です。カスタマージャーニーに合わせてコンテンツをマッピングし、各フェーズごとに適切なシナリオを設計することで、パーソナライズされたコミュニケーションを自動化できます。

スコアリング機能

リードの属性情報と行動データを点数化し、商談化確度を数値で把握するための機能です。あらかじめ設定した閾値を超えたリードを自動でホットリードとして検知し、営業に通知します。設計の難易度は高めですが、うまく機能すれば、営業活動を価値の高いリードに集中的に投下できるようになります。

フォーム・LP作成機能

リード獲得の入口となるWebフォームやランディングページを、コードを書かずに作成できる機能です。フォームから取得したリード情報は、MAツールのデータベースに自動で取り込まれます。

Webトラッキング機能

既知リード(メールアドレスなどで識別できるリード)のWeb上での行動を追跡し、「どのページを、何回見たか」といった履歴を蓄積する機能です。こうした閲覧データは、スコアリングやシナリオのトリガーとして活用できます。

レポート・効果測定機能

メールのCTRや開封率、コンバージョン数、シナリオ到達率などをレポート画面で可視化する機能です。施策ごとの結果を定量的に把握し、どこを優先的に改善すべきかの判断材料として使います。

SFA/CRM連携機能

MAツールで育成・選別したリード情報を、SFAやCRMにスムーズに連携するための機能です。SalesforceやHubSpot CRMなど、主要なSFAとAPI連携ができるツールが多く、営業が「何に興味を持っているリードなのか」を理解したうえで商談に臨める環境づくりに役立ちます。

MAツールを使いこなす4ステップ|導入後に動き始めるための設計手順

「MAを入れたものの、次に何をすればいいのかわからない」という相談をよくいただきます。ここからは、導入後に成果を出していくための設計ステップを、

  1. KGIから逆算したKPI設定
  2. カスタマージャーニーとペルソナ設計
  3. スコアリングルールとMQL閾値の設定
  4. シナリオ設計と営業SLAの確定

という流れで整理していきます。

多くの企業がMAを使いこなせない背景には、ツールの設定以前に、この「設計工程」を飛ばしてしまっているという共通点があります。

Step.1:課題と目的を言語化する(KGI→KPI逆算)

最初に取り組むべきは、「MAツールで何を解決したいのか」「どんな数値目標を達成したいのか」をはっきりさせることです。「業務を効率化したい」といった抽象的な表現ではなく、「半年後にMA経由の商談化率を現状の1.5倍にする」「休眠リードから毎月10件の有効商談を創出する」といった形で、KGIから逆算した具体的なKPIを置きます。KPIが曖昧なまま運用を始めると、施策を評価する軸がなくなり、改善サイクルも止まりがちです。

Step.2:カスタマージャーニーとペルソナを設計する

MAのシナリオ設計は、カスタマージャーニーの設計が前提になります。ターゲットとなるペルソナが、「認知→関心→比較検討→意思決定」のそれぞれの段階で、どんな情報を求めているのかを整理し、TOFU・MOFU・BOFUごとにコンテンツをマッピングしていきます。このコンテンツマップが、あとでスコアリングやシナリオを設計する際の土台になります。

Step.3:スコアリングルールとMQL閾値を設定する

スコアリングルールは、リードの属性や行動に点数を割り当てていくルールであり、営業に渡すべきMQL(マーケティング・クオリファイド・リード)の条件を定義するものです。弊社では、属性スコアと行動スコアの2軸で設計し、MQLの初期条件を「属性スコア20点以上 AND 行動スコア40点以上」とすることをよくおすすめしています。行動スコアの考え方は、後述する「スコアリング設計の具体的な手順と数値基準」で詳しく触れます。

Step.4:シナリオを設計し、営業トスアップ基準(SLA)を決める

シナリオ設計と並行して、マーケティングと営業の間でSLA(リード引き継ぎのルール)を決めておきます。「スコアが何点以上になったリードに、何時間以内に初回アプローチするか」といった具体的な基準をすり合わせることで、「リードの質が悪い」「フォローが遅い」といった認識のズレを防ぎます。SLAがないまま運用を始めると、どれだけスコアリングの精度を上げても成果につながりにくくなってしまいます。

スコアリング設計の具体的な手順と数値基準|80社支援から導いた設定例

スコアリング設計は、見込み顧客の属性情報と行動データに点数をつけていき、商談化の確度を定量的に判断できるようにする作業です。

  1. 属性スコアと行動スコアの2軸で考える
  2. 行動スコアは受注との相関係数をもとに重みづけする
  3. MQL閾値は「属性スコア≥20pt AND 行動スコア≥40pt」を起点とする
  4. 180日間アクションがないリードにはスコア減衰を設定する

という4つが、基本的な骨格になります。

スコアリングの基本的な考え方については、リードスコアリングの仕組みと設計軸もあわせてご参照ください。

属性スコアと行動スコアの2軸設計

スコアリングは、「属性スコア」と「行動スコア」の2軸で設計するのが基本です。属性スコアでは、業種・従業員規模・役職など、「自社のターゲット像にどれだけ近いか」を点数で表します。行動スコアでは、Webページの閲覧、資料のダウンロード、メールの開封といった行動を点数化し、「自社サービスへの関心度合い」を数値で見ていきます。

この2軸を組み合わせることで、「ターゲット属性には合うが、まだ検討初期にいるリード」と「検討は進んでいるが、属性的には優先度が低いリード」とを区別でき、営業リソースのムダ打ちを減らせます。

行動別スコアの設定例と相関係数

行動別のスコアは、各行動と受注との相関係数をもとに重みづけしていくと設計しやすくなります。以下は、弊社が80社以上の支援データをもとに算出した参考例です。商材や営業サイクル、リード属性によって適切な数値は変わるため、「まずはここから試す出発点」として捉えていただければと思います。他社の環境では、相関の強さやスコアの妥当値が異なる可能性がある点もご注意ください。

行動種別付与スコア(参考例)受注との相関係数(r値)
料金・価格ページ閲覧+15ptr=0.61
資料・ホワイトペーパーダウンロード+20ptr=0.54
導入事例ページ閲覧+10ptr=0.48
メールリンククリック(CTR)+5ptr=0.31
メール開封(開封率)+2ptr=0.12

※ 上記はSells upの支援データをもとにした一例です。3ヶ月ごとに自社の実績データと照らし合わせながら、スコア配分を見直していくことをおすすめします。

一般に、r値が高いほど受注との関連性が強い行動だと考えられます。メールの開封はエンゲージメントを測る指標にはなりますが受注との相関は低く、一方で料金ページの閲覧や資料ダウンロードは購買意欲との結びつきが強いため、高めのスコアを割り当てるのが理にかなっています。

MQL閾値の決め方|属性≥20pt AND 行動≥40pt の根拠

MQL(マーケティング・クオリファイド・リード)の判定条件は、「営業に渡すべきリード」をどこで区切るかを決めるラインです。弊社では、初期設定の目安として「属性スコア20点以上 AND 行動スコア40点以上」という条件をよく採用しています。

属性と行動の両方を条件に入れる理由は、どちらか片方だけでは精度が下がるためです。行動スコアが高くても、自社のターゲット外の属性であれば商談化率は低くなりますし、属性が合っていても行動が伴っていなければ、まだ検討フェーズに入っていないと判断できます。この2つをAND条件で組み合わせることで、営業が優先すべきリードにフォーカスしやすくなります。

スコア減衰の設計|180日後 −30pt を設定する理由

スコア減衰は、一定期間アクションのないリードのスコアを自動的に下げるためのルールです。過去に高いスコアを獲得していても、今は関心が薄れているリードを、いつまでも「ホットリード」と誤認してしまうリスクを避ける狙いがあります。

弊社では、180日間メールの開封やサイト訪問がないリードに対して、−30ptの減衰を一つの目安としてご案内していますが、−10〜20pt程度から試し、3ヶ月ごとに商談化率との関係を見ながら調整していくケースも少なくありません。スコア減衰の幅に「これが正解」という値はなく、自社のリードサイクルに合わせて段階的に最適化していくのが現実的です。

シナリオ設計の手順とBtoBでよく使う4つのパターン|ナーチャリングシナリオの具体例

MAツールにおけるシナリオ設計は、リードの特定の行動をトリガーにして、その後に走らせるマーケティングアクション(メール送信・スコア付与・営業通知など)を組み立てていく作業です。

  1. 対象セグメントを決める
  2. トリガー行動を定義する
  3. 配信コンテンツとタイミングを決める
  4. 分岐条件を設定する
  5. ゴール(営業トスアップか育成継続か)を定義する

という5ステップで考えると組み立てやすくなります。

シナリオの設計手順や具体的な設定例については、シナリオ設計の詳細な手順と設定例も参考になります。

シナリオ設計の5ステップ

  • Step.1:対象セグメントを定義する:「展示会で名刺交換したリスト」「ウェビナー参加者」「休眠リード」など、どのリード群を対象とするかを決めます。
  • Step.2:トリガー条件を設定する:「資料をダウンロードした」「料金ページを2回閲覧した」など、シナリオを起動させる行動を定義します。
  • Step.3:配信コンテンツとタイミングを決める:カスタマージャーニー上の位置づけを踏まえ、「どのタイミングで、どんなコンテンツを送るか」を設計します。
  • Step.4:分岐条件を設定する:「メールを開封した場合」「リンクをクリックした場合」など、反応によって次のアクションを分けます。
  • Step.5:ゴールと出口条件を定義する:スコアが閾値に達したら営業にトスアップする、一定期間反応がなければ育成保留に戻す、など最終的な扱いを決めます。

BtoBでよく使う代表的なシナリオ4パターン

BtoBマーケティングの現場でよく使われるシナリオパターンは、次の4つです。

①ウェビナー後のフォローアップシナリオ
ウェビナー終了後、参加者には「参加のお礼メール+資料送付」、欠席者には「録画アーカイブの案内」を自動配信します。そのうえで、資料ダウンロードやアンケート回答などの反応があったリードにはスコアを加算し、閾値を超えたタイミングで営業に即時通知します。ウェビナーは開催して終わりではなく、その後のフォローが商談化率を左右します。

②資料ダウンロード後のナーチャリングシナリオ
資料をダウンロードしたリードに対して、翌日・3日後・7日後と段階的にステップメールを配信します。1通目ではダウンロードした資料に関連する補足情報、2通目で導入事例の紹介、3通目で個別相談の案内といった構成が、よくあるパターンです。

③料金ページ閲覧のホットリード即時検知シナリオ
料金ページや導入事例ページを複数回閲覧したリードのスコアを加算し、たとえば「行動スコア40pt以上」などの閾値を超えた瞬間に、担当営業のメールやSlackへ自動通知します。商談のきっかけになりやすいタイミングを逃さない、分かりやすい仕組みです。

④休眠リードの再活性化シナリオ
180日以上メール開封もサイト訪問もない休眠リードに対して、通常のメルマガとは異なる特別コンテンツ(限定レポートや業界トレンド解説など)を送り、どの程度の反応があるかを確認します。反応があったリードはステータスを「再活性化」に変更し、通常のナーチャリングシナリオに戻します。弊社の支援先でも、こうした休眠リストの再活性化施策から有効商談が生まれた事例があります。

休眠リードの再活性化設計|眠っている資産を商談候補に変える具体的な手順

休眠リードとは、一定期間(目安としては180日以上)メール開封やサイト訪問、問い合わせなどのアクションが見られない見込み顧客のことです。MAツールを入れたあとも、この休眠リードをそのまま放置してしまっているケースは多く、本来なら活用できるはずの資産を取りこぼしてしまっている状態と言えます。

  1. 休眠の定義を数値で明確にする
  2. 再活性化施策は売り込みではなく価値提供に徹する
  3. 反応のあったリードはすぐに通常の育成プロセスへ戻す

この3点を軸に設計していきます。

休眠リードの判定基準と抽出方法

休眠リードの定義は、自社のリード獲得サイクルに合わせて決めることが大切です。弊社では一例として、「直近180日間、メール開封・サイト訪問・フォーム送信のいずれも確認できないリード」を休眠リードとみなし、MAツールの絞り込み機能で対象リストを抽出するやり方をおすすめしています。そのうえで、再活性化シナリオの対象として設定します。

再活性化シナリオの設計手順と注意点

休眠リードへのアプローチでは、通常のメルマガとははっきりと違うコンテンツを届けることが重要です。限定公開のレポートや、直近の業界トレンド解説、自社のノウハウを凝縮した特別資料など、「開いてみよう」と思ってもらえるコンテンツを用意します。

配信後は、開封・クリック・ダウンロードといった反応状況を確認し、反応があったリードにはスコアを付与したうえで、通常の育成フローに戻します。一方、反応のないリードは引き続き休眠として管理し、四半期に一度程度の頻度で再アプローチする程度にとどめます。

実際の支援事例では、1〜2年ほど連絡が途絶えていたリストに対し、特別コンテンツを送付したところ、2週間以内に複数のリードが資料ダウンロードや個別相談に動き、商談化につながったケースもあります。休眠リードは「終わったリスト」ではなく、「たまたまタイミングが合っていなかったリスト」と捉え直すのが、施策を考えるうえでの前提になります。

再活性化施策の目的は、すべての休眠リードを掘り起こすことではありません。まだ購買意欲が残っているリードを、漏れなく拾い上げることが狙いです。

MAツール導入後・最初の30日間でやること|立ち上げ期の優先アクション

MAツール導入後の最初の30日間は、そのツールが「高価なメール配信ツール」で終わるのか、「商談を生み出す仕組み」に育つのかを左右する期間です。Day 0〜7で初期設定とリストインポートを済ませ、Day 8〜14で最初のシナリオを1本動かし、Day 15〜30で最初のトスアップを1件出す――という3フェーズで進めるイメージを持つと、やるべきことが整理しやすくなります。

弊社の支援事例では、導入30日以内に最初の営業トスアップを設計できた企業ほど、その後も継続的にMAを運用しやすい傾向があります。「まず1件」を早めに作ることが、チームの納得感と勢いの両方につながります。

Day 0〜7:初期設定と既存リストのインポート

最初の1週間は、MAツールの基本設定と既存リストの整備に集中します。具体的には、トラッキングコードをWebサイトに正しく設置できているかの確認、SFAとの連携設定、既存リストのクレンジング(重複の削除や不達アドレスの整理)、主要なリード属性項目の整理などです。この段階でリスト品質を整えておくことが、その後のスコアリングやシナリオ設計の精度につながります。

Day 8〜14:スモールスタートとなる最初のシナリオ1本を稼働させる

2週目は、シンプルで成果につながりやすいシナリオを1本動かすことを目標にします。最初のシナリオとしては、「ウェビナー後のフォローアップ」か「資料ダウンロード後のナーチャリング」をおすすめするケースが多いです。

初期から複雑なシナリオを作ろうとすると、設計に時間がかかりすぎてしまい、運用開始が遅れてしまいます。まずは1本稼働させ、そこで得られたデータを見ながら改善していくほうが、結果として早く成果に近づけます。実際の支援現場でも、ウェビナー後フォローという「既に接点のある温度の高いリスト」からスタートし、稼働から8週間以内に最初の商談につながった事例が複数あります。この成功体験が、営業側からの信頼感を高めるきっかけにもなります。

Day 15〜30:最初の商談・トスアップを1件つくることを目標にする

3週目以降は、動かしたシナリオのデータを確認しながら、「最初の商談を生み出す」ことを目標に設定します。行動スコアがある程度たまってきたら、ホットリードの検知テストを行い、営業へのSLA通知がきちんと動作するかもチェックします。

最初の1件のトスアップが実現した段階で、「MAツールが仕組みとして回り始めた」と言えます。このタイミングで営業からのフィードバックを集め、スコアリングルールを一度見直しておくと、その後の精度向上につながります。

MAツール活用が止まる5つの原因と対処法|導入後に運用が停滞するパターン

MAの活用が止まってしまう原因は、ツールそのものよりも、導入前後の設計や運用体制にあることがほとんどです。とくに多いのが、

  1. 目的が曖昧なまま導入している
  2. スコアリングルールが決まっていない
  3. 営業からのフィードバックが得にくい
  4. リスト規模に対してシナリオが複雑すぎる
  5. コンテンツが不足している

といった5つのパターンです。ここでは、弊社が80社以上を支援するなかでよく見られた停滞パターンを整理します。

原因①:導入目的が曖昧なまま始めた

「競合も導入しているから」「営業効率が上がりそうだから」といった理由だけでMAを導入すると、KPIが設定されず、施策を評価できない状態になりがちです。この場合は、「半年後にMA経由で月10件の商談をつくる」といった具体的な数値目標をあらためて置くところから見直すのがおすすめです。目標がないと、PDCAは回りません。

原因②:スコアリングルールが設計されていない

スコアリングがないままMAを使い続けると、最終的には「ハウスリストの上から順に電話する」といった、導入前と変わらない営業スタイルに戻ってしまいがちです。まずは「属性スコア20pt以上 AND 行動スコア40pt以上」というシンプルなMQL条件を置き、完璧を求めすぎずに一度稼働させることが大切です。そのうえで、四半期ごとに見直していけば十分です。

原因③:営業が商談化した理由をフィードバックしていない

スコアリングの精度を上げるには、「どのリードが商談化・受注に至ったのか」という営業側の情報が欠かせません。マーケ部門だけで運用を閉じてしまうと、スコアルールを改善する材料が集まりにくくなります。月に一度、マーケと営業の合同でレビューの場を設け、商談化したリードのスコアや行動履歴を共有することを習慣化できると、精度向上のサイクルを回しやすくなります。

原因④:リスト規模に対してシナリオが複雑すぎる

アクティブリードが2,000件に満たない段階で、10分岐以上の複雑なシナリオを組んでしまうと、各分岐に流れるリード数が少なすぎて、効果の良し悪しを判断できません。リスト規模に合わせてシナリオの複雑さをコントロールし、2,000件未満であればシングルトリガーのシンプルなシナリオ1〜2本に絞り込むのが現実的です。そのうえで、まずはリード獲得施策で母数を増やすことを優先します。

原因⑤:コンテンツが用意できておらずシナリオが空回りしている

シナリオだけ先に作っても、配信するコンテンツ(ホワイトペーパー、事例記事、ウェビナー録画など)が足りなければ、結局うまく回りません。最初に、既存コンテンツの棚卸しを行い、TOFU・MOFU・BOFUの各フェーズに対応するコンテンツを最低1つずつ準備してから、シナリオを動かし始めるのが順番としてはおすすめです。

MAツールの選び方|自社のフェーズとリスト規模別のチェックポイント

MAツールを選ぶ際には、自社のリスト規模、組織のフェーズ、既存システムとの連携要件を整理したうえで、必要な機能と運用コストのバランスを見ていくことが重要です。具体的なチェックポイントとしては、

  1. BtoBマーケティングに特化した設計かどうか
  2. 自社のリソースで使いこなせる機能に絞れるか
  3. SFAとの連携がしやすいか
  4. サポート体制は十分か

の4点が挙げられます。

弊社としては、まずリスト規模に応じて必要な機能要件を言語化してから、ツール比較を始める手順をおすすめしています。機能の数が多いかどうかよりも、「自社の体制で継続的に運用できるか」を優先して選んだほうが、結果として長く使えるツールになります。

リスト規模・フェーズ別の選定軸

MAツールの優先機能は、現在のリスト規模と組織の成熟度によって変わってきます。

フェーズアクティブリスト規模推奨機能の優先順位
導入初期〜3,000件リード管理・メール配信・シンプルなフォーム作成。スコアリングは簡易的な設定にとどめる。
運用拡張期3,000〜10,000件スコアリング・シナリオ設計・SFA連携。セグメント配信の精度を高める。
本格活用期10,000件以上予測スコアリング・高度なシナリオ分岐・GA4連携・ABM対応。分析機能の強化を優先。

BtoBマーケティング専用MAとオールインワン型の違い

BtoBマーケティング専用のMAツールとしては、Adobe Marketo Engage(マルケト)やSalesforce Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot)などが代表的です。企業単位でのリード管理やSFA連携、高度なスコアリングに強みがある一方で、設定の複雑さや運用コストは高めです。

一方、HubSpot Marketing Hubのようなオールインワン型は、CRM・MA・コンテンツ管理が一つのプラットフォームにまとまっており、初めてMAに取り組む企業や、少人数のチームで運用する企業に向いています。どちらを選ぶにしても、「今の運用リソースで継続的に回していけるかどうか」を基準に判断することが大事です。高機能なツールでも、運用が続かなければ成果にはつながりません。

まとめ

MAツールでしっかり成果を出していくためには、ツールの機能を知るだけでなく、スコアリング設計、シナリオ設計、営業とのSLAといった3つの設計工程を丁寧に踏むことが欠かせません。弊社の支援経験でも、MAを入れても成果が出ていない企業の多くは、この設計プロセスが抜け落ちているケースがほとんどでした。

スコアリングは、「属性スコア20pt以上 AND 行動スコア40pt以上」というシンプルなMQL条件からスタートし、営業からのフィードバックをもとに四半期ごとに見直していくサイクルを作ることで、徐々に精度を上げていけます。シナリオも、いきなり複雑なものにするのではなく、ウェビナー後フォローや資料ダウンロード後のナーチャリングといった汎用性の高いシナリオ1〜2本から始め、データを見ながら少しずつ拡張していくのがおすすめです。

導入直後の30日間は、MAを「商談創出の仕組み」に育てるための立ち上げ期間です。30日以内に最初の営業トスアップを1件出すことを目標に据え、そのために必要な初期設定、シナリオの稼働、SLAの合意といった3点を優先的に進めていってください。MAツールは、導入しただけでは成果は出ません。設計と改善のサイクルを回し続けることで、はじめて商談を生み出す仕組みとして機能します。

よくある質問

MAツールとは何ですか?

MAツール(マーケティングオートメーション)は、見込み顧客の獲得・育成・選別を自動化し、商談化率の向上を目指すためのシステムです。リード管理、メール配信、スコアリング、シナリオ設計といった機能を備え、BtoBマーケティングの営業成果を底上げする役割を担います。

MAツールで何ができますか?

MAツールでできる主なことは、リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)、リードナーチャリング(育成)、リードクオリフィケーション(商談候補の選別)、スコアリングによる優先度の見える化、施策の効果測定の5点です。フォームからリードを自動登録し、その後の行動データに応じたパーソナライズメール配信と、営業への自動通知までを一気通貫で行えます。

MAツールの主な機能は何ですか?

MAツールには、リード管理、メール配信、シナリオ設計、スコアリング、フォーム・LP作成、Webトラッキング、レポート、SFA/CRM連携といった機能があります。初めて導入する場合は、まずリード管理とメール配信、シンプルなシナリオの3つから使い始めると、無理なく立ち上げやすくなります。

MAツールの月額料金はいくらですか?

MAツールの月額費用は、ツールの種類や契約リード数によって大きく変わります。国産の入門向けツールであれば月額数万円台から、Adobe Marketo EngageやSalesforce Marketing Cloud Account Engagementといったエンタープライズ向けツールになると、月額数十万円以上が目安です。料金だけを見て選んでしまうと、自社の運用リソースに合わないツールを導入してしまうリスクもあるため、必要な機能と運用体制を踏まえて選定することが大切です。

MAツールとCRM・SFAはどう違いますか?

MAツールは、見込み顧客の獲得から商談候補の選別までの「マーケティングフェーズ」を担当します。SFAは、商談発生から受注までの「営業フェーズ」、CRMは受注後の既存顧客管理やカスタマーサクセスのフェーズを担います。3つのツールを連携させることで、リードが商談化・受注・継続利用にいたるまでの流れをデータでつなぎ、部門間で連携した成果向上が目指せます。

MAツールを導入したのに成果が出ない場合はどうすればよいですか?

MAツールを入れたのに成果が出ていないケースでは、スコアリング設計がない、シナリオに載せるコンテンツが不足している、営業との連携設計が整っていない――といった3点が原因になっていることが多いです。まずはMQL条件(属性スコアと行動スコアそれぞれに閾値を設定)を決め、シンプルなシナリオを1本動かしながら、月1回の営業フィードバックの場を作ることから着手すると改善しやすくなります。

MAツールはリスト件数が少ない会社でも使えますか?

アクティブリードが2,000件に満たない段階でも、ウェビナー後のフォローや資料ダウンロード後の自動メールなど、シンプルなシナリオであれば十分に効果が期待できます。ただし、リード数が少ないとスコアリングの統計的な精度は上げにくいため、まずはSEO、ウェビナー、展示会などでリストを増やす施策と並行して、シナリオを回していくのがおすすめです。

ツールの設定よりも、「何をどう設計するか」で成果が変わります

HubSpot・Account Engagement・Marketoに精通した担当者が、 ツールの設定支援だけでなく、リード育成シナリオやスコアリング設計まで一貫してサポートします。 まずは現状のツール活用状況をお聞かせください。

株式会社Sells up 代表取締役
武田 大
株式会社AOKIにて接客業を、株式会社リクルートライフスタイル(現:株式会社リクルート)にて法人営業を経験した後、株式会社ライトアップでBtoBマーケティングを担当。その後、デジタルマーケティングエージェンシーにてBtoBマーケティングの戦略設計/施策実行支援、インサイドセールスをはじめとしたセールスやカスタマーサクセスとの連携を通じたマーケティング施策への転換といった支援を行い、2023年に株式会社Sells upを設立。KGI逆算によるKPI設計・リードスコアリングの統計的設計・営業連携SLAの構築を含むMA活用支援を、業界・規模を問わず80社以上に提供してきた実績を持つ。Account Engagement SpecialistおよびTableau Desktop SpecialistのSalesforce認定資格を保有。